インサートチップ及びこれを用いた面取り機
【課題】1つのインサートチップに複数の切削刃が備えられてインサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交換されるので、使用し易く、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少されて切削品質に優れたインサートチップを提供すること。
【解決手段】本発明に係るインサートチップは、円形の本体と、該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面とを備え、このようなインサートチップを用いた面取り機は、駆動手段によって回転する回転軸と、前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダとを備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係るインサートチップは、円形の本体と、該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面とを備え、このようなインサートチップを用いた面取り機は、駆動手段によって回転する回転軸と、前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダとを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサートチップ及びこれを用いた面取り機に関し、より詳細には、1つのインサートチップに複数の切削刃を設けて、インサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交替され、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少して、切削品質に優れたインサートチップ及びこれを用いた面取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、被加工物の角部をラウンド加工するか、または面取り加工するのに主に用いられている従来のエアー工具を用いた面取り機は、図1に示すように、圧縮空気により駆動されるエアー工具のヘッド部103の内側に回転自在に垂直に挿設される回転軸102の下端に、被加工物の角部を切削加工する回転カッター111が案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115により固設され、前記ヘッド部103の下端には、中央に軸挿入孔が貫設された回転マウント107が螺合され、前記回転マウント107の下部には、中央に貫通孔が貫設された円板状の支持案内板106が軸受105を介在して回転自在に設置されるよう構成される。
【0003】
このように構成される従来のエアー工具を用いた面取り機は、まず、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107を緩める、または締めることにより、支持案内板106の下面の中央から突出する回転カッター111の切削高さを加工寸法に合うように調整してセットを完了した後、被加工物116の上面に支持案内板106の下面の一側を面接触させるとともに、被加工物116の側面に、回転カッター111の下部に設置された案内軸受114が接触されるようにし、被加工物116の角部に、回転カッター111の外周縁に形成された複数の切削刃部109が接触されるようにした状態でエアー工具を駆動させて、角方向にゆっくりと移動させることにより、回転軸102の回転によって高速で回転する回転カッター111の切削刃部109により、被加工物116の角部を容易にラウンド加工または面取り加工できるようにする。
【0004】
しかし、上記のように構成される従来のエアー工具を用いた面取り機は、摩耗された回転カッター111を交替するとき、回転軸102の下端に回転カッター111を固定させている案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115を緩めなければならないが、このカッター固定ボルト115を緩めるためには、まず、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107を適切な高さに昇下降させて、回転マウント107の軸挿入孔に挿入された回転軸102の下部に形成された貫通孔102aと、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107の外周縁の一側に貫設された貫通孔107aとを一致させ、この貫通孔107aを介して回転軸固定用ピン(図示せず)を挿入して回転軸102が動かないように固定させた後、六角レンチ等を用いて回転軸102の下端に案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115を緩めて、摩耗された回転カッター111を分離した後、新しい回転カッター111を装着してから、回転カッター111の切削高さをさらにセットしなければならないため、回転カッター111の交替作業が面倒になる問題があった。
【0005】
また、図2に示すように、回転カッター111の外側に斜線方向に形成される切削刃109の加工が難しいため、回転カッター111の製造工程が複雑、かつ、製造費用が上昇するという問題があった。
【0006】
一方、このような問題点を解決するために、図3に示すように、面取り機のバイトホルダ204に複数個の取付溝203を形成し、ここに複数個のバイト205を側方でそれぞれ設置する技術が提案されており、このような従来の技術のバイト205は、前後8面の切削溝205'が用いられるように考案されたが、切削角が加工物から鈍角となるようにすれば、切削溝205'の後部が加工物に干渉するため、切削面が均一でない問題があり、図4に示すように、バイト205をバイトホルダ204に固定させるボルト206の頭部がバイト205に直接保持されて、締結力がボルト206の頭部を介してバイト205にそのまま伝達されるため、振動等による外部衝撃によってバイト205が容易に破損されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来の技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、1つのインサートチップに複数の切削刃が備えられてインサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交換されるので、使用し易く、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少されて切削品質に優れたインサートチップを提供することにある。
【0008】
また、インサートチップの後方に切削刃の個数と対応する面を有する多角ストッパーによってインサートチップの切削刃の位置が容易に設定されるインサートチップを提供することにその目的がある。
【0009】
そして、前記多角ストッパーの外側面が斜めに形成されて、ホルダの多角溝と面接触されながらインサートチップがホルダに密着し組み立てられるので、組立空間内で発生する振動によって破損されることを防止するインサートチップを提供することにその目的がある。
【0010】
また、切削刃をなす円弧部の両側の間の角が90度以上を維持する接線部を設けることにより、インサートチップの位置によって加工物に縞が発生する等の品質低下を防止するインサートチップを提供することにその目的がある。
【0011】
さらに、面取り機のホルダに複数のインサートチップを設置して、複数個の切削刃によって加工物を切削することにより、切削抵抗を分散させるインサートチップを用いた面取り機を提供することにその目的がある。
【0012】
さらには、前記インサートチップの外側にカバーを設け、締結ボルトの頭部を前記カバーに定着させることにより、インサートチップがホルダに密着固定され、これにより、組立部位で発生する振動を防止してインサートチップの破損を防止するインサートチップを用いた面取り機を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記の目的を達成するための本発明のインサートチップは、円形の本体と、該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面とを備えることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記切削刃は、本体の周縁部に形成される凹状の円弧部と、該円弧部の両端部に形成される接線部とからなることが好ましい。
【0015】
また、前記第1の傾斜面は、切削方向の後端側に、前記切削刃から切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されて、切削刃の円弧部より直径の大きい円弧が形成されることが好ましい。
【0016】
なお、前記本体は、後面に、切削刃の個数に対応する多角ストッパーが突設することが好ましい。
【0017】
さらに、前記多角ストッパーは、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形であることが好ましい。
【0018】
本発明に係るインサートチップの前記切削刃は、切削方向に対して切削刃の前方に切削刃先部の角を減少させる第2の傾斜面を形成することが好ましい。
【0019】
本発明の他の目的は、駆動手段によって回転する回転軸と、前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダとを備えるインサートチップを用いた面取り機によって達成される。
【0020】
ここで、前記ホルダは、インサートチップ固定用締結ボルトの頭部を保持するカバーがインサートチップの外側に設けられ、前記カバーは、ホルダと一体に形成されることが好ましい。
【0021】
また、前記ホルダの装着溝に設置される2つ以上のインサートチップは、集中負荷を減少させるために、切削刃の一部に溝が各々形成され、前記溝は、重複しない位置に各々形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一つのインサートチップに複数の切削刃が備えられてインサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交換されるので、使用し易く、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少されて切削品質に優れたインサートチップが提供される。
【0023】
また、インサートチップの後方に切削刃の個数と対応する面を有する多角ストッパーによってインサートチップの切削刃の位置が容易に設定されるインサートチップが提供される。
【0024】
そして、前記多角ストッパーの外側面が斜めに形成されて、ホルダの多角溝と面接触されながらインサートチップがホルダに密着し組み立てられるので、組立空間内で発生する振動によって破損されることを防止するインサートチップが提供される。
【0025】
また、切削刃をなす円弧部の両側の間の角が90度以上を維持する接線部を設けることにより、インサートチップの位置によって加工物に縞が発生する等の品質低下を防止するインサートチップが提供される。
【0026】
さらに、面取り機のホルダに複数のインサートチップを設置して、複数個の切削刃によって加工物を切削することにより、切削抵抗を分散させるインサートチップを用いた面取り機が提供される。
【0027】
さらには、前記インサートチップの外側にカバーを設け、締結ボルトの頭部を前記カバーに定着させることにより、インサートチップがホルダに密着固定され、これにより、組立部位で発生する振動を防止してインサートチップの破損を防止するインサートチップを用いた面取り機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のエアー工具を用いた面取り機の断面図である。
【図2】従来の面取り機の回転カッターの抜粋斜視図である。
【図3】従来の他の実施形態に係る面取り機の断面図である。
【図4】従来の他の実施形態に係る面取り機のバイトの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの正面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
【図11】本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の斜視図である。
【図12】本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の分解斜視図である。
【図13】本発明のインサートチップ及びこれを用いた面取り機の平断面図である。
【図14】本発明のインサートチップを用いた面取り機の側断面図である。
【図15】本発明のインサートチップの切削刃の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
説明に先立って、様々な実施形態において、同じ構成を有する構成要素に対しては、同じ符号を用いて代表的に第1の実施形態において説明し、その他の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
以下、添付された図面を参照して本発明の第1の実施形態に係るインサートチップ及びこれを用いた面取り機について詳しく説明する。
【0030】
添付図面のうち、図5は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの斜視図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの正面図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側断面図であり、図8は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側面図である。
【0031】
上記図面に示すように、本発明に係るインサートチップ10は、円形の本体11と、該本体11の外周縁部に陰刻状で複数形成される切削刃12と、前記円形の本体11の後面に突設する多角ストッパー15と、前記円形の本体中心に貫設される貫通孔16とを備えて構成される。
【0032】
前記切削刃12は、前記本体11の外周縁部に円弧形で陰刻形成されるものであって、弧形からなる円弧部12aと、該円弧部12aの両側に形成される接線部12bとからなり、前記両側接線部12bの間の角Aは90度以上に設定される。したがって、被加工物の粗度(surface roughness)が粗くなるか、または切削刃のセット誤差のため、加工面に縞が発生することを防止する。
【0033】
また、前記切削刃12の切削方向に対して前方及び後方に位置する2つの面のうち、切削方向に対して後方の面には切削刃の切削余裕角Bを形成して、インサートチップの回転の際、切削刃12の後方が被加工物に干渉されることを防止するための第1の傾斜面14が所定角度で斜めに形成される。
【0034】
そして、前記円弧形の第1の傾斜面14は、切断刃12の全域に形成されつつ、切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されるので、第1の傾斜面14の後端側には切削刃12の円弧部12aより直径の大きい円弧14aが形成される。したがって、切削刃12の両端部が被加工物に干渉されることを防止するための後面余裕角Dが形成される。
【0035】
前記多角ストッパー15は、円形の本体11の後面に突設するものであって、前記本体11の外周縁部に形成される切削刃12の個数に対応する多角形の断面を有し、図面上において、ストッパー傾斜角Cで表示されているように、外側面が所定角度で傾斜をなしながら、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形の外観を有する。
【0036】
添付図面のうち、図9は、本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの斜視図であり、図10は、本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
前記図面に示すように、第2の実施形態に係るインサートチップ10'は、切削刃12の切削方向に対して前方に第2の傾斜面13が形成されて、切削刃12の刃先部角Eを減少させることにより、切削チップの排出が容易になるとともに、切削抵抗を減少させる。
このような第2の傾斜面13を除いた他の構成は、上述した第1の実施形態と同じ構成を有するので、同じ構成についての詳細な説明は省略する。
【0037】
以下、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機について説明する。
添付図面のうち、図11は、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の斜視図であり、図12は、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の分解斜視図である。
上記のような本発明のインサートチップを用いた面取り機は、別の駆動手段によって回転する回転軸と、少なくとも2つ以上のインサートチップ10'が設置されて、前記回転軸に結合されるホルダ20と、前記インサートチップ10'の外側を覆うカバー30と、該カバー30及びインサートチップ10'を貫通してホルダ20に締結される締結ボルト40とを備えて構成される。
【0038】
前記ホルダ20は、下端部の外側に少なくとも2つ以上の装着溝21が所定間隔離隔配置され、前記装着溝21には、インサートチップ10'の多角ストッパー15が挿入される多角溝22と締結ボルト40が締結される締結孔23とが形成される。
ここで、前記多角溝22の深さ及び傾斜角は、多角ストッパーの突出長及び傾斜角に対応して形成されて、多角溝22と多角ストッパー15とを面接触させることが好ましい。
【0039】
前記カバー30は、前記ホルダ20の装着溝21に配置されるインサートチップ10'の外側に配置されるものであって、後述する締結ボルト40の頭部41が板面に定着される定着溝31が形成され、前記ホルダ20に一体に形成されることも可能である。
【0040】
前記締結ボルト40は、前記カバー30及びインサートチップ10を貫通してホルダ20の締結孔23に締結されつつ、前記インサートチップ10'をホルダ20に固定させるものであって、前記カバー30の定着溝31に定着される皿型の頭部41が形成される。
【0041】
一方、前記ホルダ20の装着溝21に設置される2つ以上のインサートチップ10は、切削刃12に加えられる負荷を減少させるために、切削刃12の一部に溝17が形成され、各々の溝17は、他のインサートチップ10の切削刃12に形成された溝17と重複しない位置に形成される。(図15参照)
【0042】
これから、本発明のインサートチップを用いた面取り機の作動について説明する。
添付図面のうち、図13は、本発明のインサートチップ及びこれを用いた面取り機の平断面図であり、図14は、本発明のインサートチップを用いた面取り機の側断面図である。
本発明は、別の駆動手段によって回転する回転軸の末端にホルダ20が組み立てられ、前記ホルダ20の下端部の外側に形成された複数の装着溝21にインサートチップ10がそれぞれ設置される。
【0043】
前記インサートチップ10'の設置状態を説明すると、まず、ホルダ20の装着溝21に形成された多角溝22にインサートチップ10'の後方に形成された多角ストッパー15を挿入した後、インサートチップ10'の外側にカバー30を配置し、締結ボルト40によってカバー30及びインサートチップ10'を貫通してホルダ20の締結溝23に締結させる。このとき、前記締結ボルト40の皿型の頭部41がカバー30の定着溝31に挿入されて密着されるので、作業時に発生する振動によってインサートチップ10'が破損されることを防止することができる。
【0044】
上記のように、ホルダ20に設置されたインサートチップ10'の本体11の外周縁部には複数個の切削刃12が形成されているが、後方に形成された多角ストッパー15がホルダ20の多角溝22に挿入される方向によってインサートチップ10'の外周縁部に形成された複数の切削刃12のうち、いずれか1つの切削刃12を選択して設置することが可能となり、選択された切削刃12の摩耗時、インサートチップ10'の設置角度を変更して新しい切削刃12を用いることが可能となる。
【0045】
また、前記ホルダ20の多角溝の傾斜角は、前記インサートチップ10'の多角ストッパー15の傾斜角に対応して形成されており、前記インサートチップ10'の多角ストッパー15とホルダ20の多角溝22の接触部位とが互いに面接触するので、インサートチップ10'がホルダ20に堅固に装着される。
【0046】
上記のように、インサートチップ10'がホルダ20に固定された状態でホルダ20が固定された回転軸が別の駆動手段によって回転すると、ホルダ20に設置されたインサートチップ10'の切削刃12が加工物の角部に接触しつつ、角部を切削刃12の形態で加工する。
【0047】
このとき、前記切削刃12の円弧部12aが加工物の角部を切削する過程において、前記円弧部12aの両側に形成された接線部12bの間の角(接線部間の角A、図9参照)が90度以上になされているので、前記円弧部12aが正確に加工物の角部に位置しない場合にも加工物の切削部分に縞が形成される等の加工品質が低下することを防止する。
【0048】
また、前記切削刃12の切削方向に対して前方及び後方に形成された2つの傾斜面のうち、切削方向に対して前方に第2の傾斜面13が所定角度(刃先部角E、図10参照)で斜めに形成されて、加工物と切削刃と12の間の角が鈍角をなすようになるので、切削抵抗を減少させることはもちろん、切削チップが容易に排出されるようにし、切削方向に対して後方に形成された第1の傾斜面14が所定角度(切削余裕角B、図10参照)で斜めに形成されて回転するホルダ20に装着されたインサートチップ10'の切削刃12の後方が加工物に干渉されることを防止する。また、前記円弧形の第1の傾斜面14が切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されつつ、第1の傾斜面14の後端側に切削刃12の円弧部12aより直径の大きい円弧14aが形成されて、切削刃12の両端部が所定角度(後面余裕角D、図8参照)に開くので、切削刃12の両端部が被加工物に干渉されることを防止する。
【0049】
一方、ホルダ20に装着される複数のインサートチップ10'は、図15に示すように、各々の切削刃12に切削抵抗を減少させるための溝17が形成されるが、各インサートチップ10の切削刃に形成される溝17の位置が互いに重ならないように形成される。したがって、各インサートチップ10の切削刃12によって加工される部分が互いに重なるので、加工物の表面粗さ(粗度)が増加することを防止する。また、前記各溝17及び切削刃12の角部はラウンド処理されて、加工中、切削刃12の一部に荷重が集中しながら切削刃12が破損されることを防止する。
【0050】
本実施形態では、ホルダ20の装着溝21に本発明の第2の実施形態に係るインサートチップ10'が設置されたものを例に挙げたが、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップ10が適用されることも可能であろう。
【0051】
本発明の権利範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲内で様々な形の実施形態で実現され得る。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求の範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0052】
10 インサートチップ
11 本体
12 切削刃
12a 円弧部
12b 接線部
13 第2の傾斜面
14 第1の傾斜面
15 多角ストッパー
16 貫通孔
17 溝
20 ホルダ
21 装着溝
22 多角溝
23 締結孔
30 カバー
31 定着溝
40 締結ボルト
41 頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサートチップ及びこれを用いた面取り機に関し、より詳細には、1つのインサートチップに複数の切削刃を設けて、インサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交替され、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少して、切削品質に優れたインサートチップ及びこれを用いた面取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、被加工物の角部をラウンド加工するか、または面取り加工するのに主に用いられている従来のエアー工具を用いた面取り機は、図1に示すように、圧縮空気により駆動されるエアー工具のヘッド部103の内側に回転自在に垂直に挿設される回転軸102の下端に、被加工物の角部を切削加工する回転カッター111が案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115により固設され、前記ヘッド部103の下端には、中央に軸挿入孔が貫設された回転マウント107が螺合され、前記回転マウント107の下部には、中央に貫通孔が貫設された円板状の支持案内板106が軸受105を介在して回転自在に設置されるよう構成される。
【0003】
このように構成される従来のエアー工具を用いた面取り機は、まず、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107を緩める、または締めることにより、支持案内板106の下面の中央から突出する回転カッター111の切削高さを加工寸法に合うように調整してセットを完了した後、被加工物116の上面に支持案内板106の下面の一側を面接触させるとともに、被加工物116の側面に、回転カッター111の下部に設置された案内軸受114が接触されるようにし、被加工物116の角部に、回転カッター111の外周縁に形成された複数の切削刃部109が接触されるようにした状態でエアー工具を駆動させて、角方向にゆっくりと移動させることにより、回転軸102の回転によって高速で回転する回転カッター111の切削刃部109により、被加工物116の角部を容易にラウンド加工または面取り加工できるようにする。
【0004】
しかし、上記のように構成される従来のエアー工具を用いた面取り機は、摩耗された回転カッター111を交替するとき、回転軸102の下端に回転カッター111を固定させている案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115を緩めなければならないが、このカッター固定ボルト115を緩めるためには、まず、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107を適切な高さに昇下降させて、回転マウント107の軸挿入孔に挿入された回転軸102の下部に形成された貫通孔102aと、ヘッド部103の下端に螺合された回転マウント107の外周縁の一側に貫設された貫通孔107aとを一致させ、この貫通孔107aを介して回転軸固定用ピン(図示せず)を挿入して回転軸102が動かないように固定させた後、六角レンチ等を用いて回転軸102の下端に案内軸受114が備えられたカッター固定ボルト115を緩めて、摩耗された回転カッター111を分離した後、新しい回転カッター111を装着してから、回転カッター111の切削高さをさらにセットしなければならないため、回転カッター111の交替作業が面倒になる問題があった。
【0005】
また、図2に示すように、回転カッター111の外側に斜線方向に形成される切削刃109の加工が難しいため、回転カッター111の製造工程が複雑、かつ、製造費用が上昇するという問題があった。
【0006】
一方、このような問題点を解決するために、図3に示すように、面取り機のバイトホルダ204に複数個の取付溝203を形成し、ここに複数個のバイト205を側方でそれぞれ設置する技術が提案されており、このような従来の技術のバイト205は、前後8面の切削溝205'が用いられるように考案されたが、切削角が加工物から鈍角となるようにすれば、切削溝205'の後部が加工物に干渉するため、切削面が均一でない問題があり、図4に示すように、バイト205をバイトホルダ204に固定させるボルト206の頭部がバイト205に直接保持されて、締結力がボルト206の頭部を介してバイト205にそのまま伝達されるため、振動等による外部衝撃によってバイト205が容易に破損されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来の技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、1つのインサートチップに複数の切削刃が備えられてインサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交換されるので、使用し易く、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少されて切削品質に優れたインサートチップを提供することにある。
【0008】
また、インサートチップの後方に切削刃の個数と対応する面を有する多角ストッパーによってインサートチップの切削刃の位置が容易に設定されるインサートチップを提供することにその目的がある。
【0009】
そして、前記多角ストッパーの外側面が斜めに形成されて、ホルダの多角溝と面接触されながらインサートチップがホルダに密着し組み立てられるので、組立空間内で発生する振動によって破損されることを防止するインサートチップを提供することにその目的がある。
【0010】
また、切削刃をなす円弧部の両側の間の角が90度以上を維持する接線部を設けることにより、インサートチップの位置によって加工物に縞が発生する等の品質低下を防止するインサートチップを提供することにその目的がある。
【0011】
さらに、面取り機のホルダに複数のインサートチップを設置して、複数個の切削刃によって加工物を切削することにより、切削抵抗を分散させるインサートチップを用いた面取り機を提供することにその目的がある。
【0012】
さらには、前記インサートチップの外側にカバーを設け、締結ボルトの頭部を前記カバーに定着させることにより、インサートチップがホルダに密着固定され、これにより、組立部位で発生する振動を防止してインサートチップの破損を防止するインサートチップを用いた面取り機を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記の目的を達成するための本発明のインサートチップは、円形の本体と、該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面とを備えることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記切削刃は、本体の周縁部に形成される凹状の円弧部と、該円弧部の両端部に形成される接線部とからなることが好ましい。
【0015】
また、前記第1の傾斜面は、切削方向の後端側に、前記切削刃から切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されて、切削刃の円弧部より直径の大きい円弧が形成されることが好ましい。
【0016】
なお、前記本体は、後面に、切削刃の個数に対応する多角ストッパーが突設することが好ましい。
【0017】
さらに、前記多角ストッパーは、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形であることが好ましい。
【0018】
本発明に係るインサートチップの前記切削刃は、切削方向に対して切削刃の前方に切削刃先部の角を減少させる第2の傾斜面を形成することが好ましい。
【0019】
本発明の他の目的は、駆動手段によって回転する回転軸と、前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダとを備えるインサートチップを用いた面取り機によって達成される。
【0020】
ここで、前記ホルダは、インサートチップ固定用締結ボルトの頭部を保持するカバーがインサートチップの外側に設けられ、前記カバーは、ホルダと一体に形成されることが好ましい。
【0021】
また、前記ホルダの装着溝に設置される2つ以上のインサートチップは、集中負荷を減少させるために、切削刃の一部に溝が各々形成され、前記溝は、重複しない位置に各々形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一つのインサートチップに複数の切削刃が備えられてインサートチップの設置角度を変更することにより切削刃が交換されるので、使用し易く、切削刃の前後方に各々形成された傾斜面によって切削抵抗が減少されて切削品質に優れたインサートチップが提供される。
【0023】
また、インサートチップの後方に切削刃の個数と対応する面を有する多角ストッパーによってインサートチップの切削刃の位置が容易に設定されるインサートチップが提供される。
【0024】
そして、前記多角ストッパーの外側面が斜めに形成されて、ホルダの多角溝と面接触されながらインサートチップがホルダに密着し組み立てられるので、組立空間内で発生する振動によって破損されることを防止するインサートチップが提供される。
【0025】
また、切削刃をなす円弧部の両側の間の角が90度以上を維持する接線部を設けることにより、インサートチップの位置によって加工物に縞が発生する等の品質低下を防止するインサートチップが提供される。
【0026】
さらに、面取り機のホルダに複数のインサートチップを設置して、複数個の切削刃によって加工物を切削することにより、切削抵抗を分散させるインサートチップを用いた面取り機が提供される。
【0027】
さらには、前記インサートチップの外側にカバーを設け、締結ボルトの頭部を前記カバーに定着させることにより、インサートチップがホルダに密着固定され、これにより、組立部位で発生する振動を防止してインサートチップの破損を防止するインサートチップを用いた面取り機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のエアー工具を用いた面取り機の断面図である。
【図2】従来の面取り機の回転カッターの抜粋斜視図である。
【図3】従来の他の実施形態に係る面取り機の断面図である。
【図4】従来の他の実施形態に係る面取り機のバイトの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの正面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
【図11】本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の斜視図である。
【図12】本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の分解斜視図である。
【図13】本発明のインサートチップ及びこれを用いた面取り機の平断面図である。
【図14】本発明のインサートチップを用いた面取り機の側断面図である。
【図15】本発明のインサートチップの切削刃の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
説明に先立って、様々な実施形態において、同じ構成を有する構成要素に対しては、同じ符号を用いて代表的に第1の実施形態において説明し、その他の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
以下、添付された図面を参照して本発明の第1の実施形態に係るインサートチップ及びこれを用いた面取り機について詳しく説明する。
【0030】
添付図面のうち、図5は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの斜視図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの正面図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側断面図であり、図8は、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップの側面図である。
【0031】
上記図面に示すように、本発明に係るインサートチップ10は、円形の本体11と、該本体11の外周縁部に陰刻状で複数形成される切削刃12と、前記円形の本体11の後面に突設する多角ストッパー15と、前記円形の本体中心に貫設される貫通孔16とを備えて構成される。
【0032】
前記切削刃12は、前記本体11の外周縁部に円弧形で陰刻形成されるものであって、弧形からなる円弧部12aと、該円弧部12aの両側に形成される接線部12bとからなり、前記両側接線部12bの間の角Aは90度以上に設定される。したがって、被加工物の粗度(surface roughness)が粗くなるか、または切削刃のセット誤差のため、加工面に縞が発生することを防止する。
【0033】
また、前記切削刃12の切削方向に対して前方及び後方に位置する2つの面のうち、切削方向に対して後方の面には切削刃の切削余裕角Bを形成して、インサートチップの回転の際、切削刃12の後方が被加工物に干渉されることを防止するための第1の傾斜面14が所定角度で斜めに形成される。
【0034】
そして、前記円弧形の第1の傾斜面14は、切断刃12の全域に形成されつつ、切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されるので、第1の傾斜面14の後端側には切削刃12の円弧部12aより直径の大きい円弧14aが形成される。したがって、切削刃12の両端部が被加工物に干渉されることを防止するための後面余裕角Dが形成される。
【0035】
前記多角ストッパー15は、円形の本体11の後面に突設するものであって、前記本体11の外周縁部に形成される切削刃12の個数に対応する多角形の断面を有し、図面上において、ストッパー傾斜角Cで表示されているように、外側面が所定角度で傾斜をなしながら、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形の外観を有する。
【0036】
添付図面のうち、図9は、本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの斜視図であり、図10は、本発明の第2の実施形態に係るインサートチップの側断面図である。
前記図面に示すように、第2の実施形態に係るインサートチップ10'は、切削刃12の切削方向に対して前方に第2の傾斜面13が形成されて、切削刃12の刃先部角Eを減少させることにより、切削チップの排出が容易になるとともに、切削抵抗を減少させる。
このような第2の傾斜面13を除いた他の構成は、上述した第1の実施形態と同じ構成を有するので、同じ構成についての詳細な説明は省略する。
【0037】
以下、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機について説明する。
添付図面のうち、図11は、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の斜視図であり、図12は、本発明に係るインサートチップを用いた面取り機の分解斜視図である。
上記のような本発明のインサートチップを用いた面取り機は、別の駆動手段によって回転する回転軸と、少なくとも2つ以上のインサートチップ10'が設置されて、前記回転軸に結合されるホルダ20と、前記インサートチップ10'の外側を覆うカバー30と、該カバー30及びインサートチップ10'を貫通してホルダ20に締結される締結ボルト40とを備えて構成される。
【0038】
前記ホルダ20は、下端部の外側に少なくとも2つ以上の装着溝21が所定間隔離隔配置され、前記装着溝21には、インサートチップ10'の多角ストッパー15が挿入される多角溝22と締結ボルト40が締結される締結孔23とが形成される。
ここで、前記多角溝22の深さ及び傾斜角は、多角ストッパーの突出長及び傾斜角に対応して形成されて、多角溝22と多角ストッパー15とを面接触させることが好ましい。
【0039】
前記カバー30は、前記ホルダ20の装着溝21に配置されるインサートチップ10'の外側に配置されるものであって、後述する締結ボルト40の頭部41が板面に定着される定着溝31が形成され、前記ホルダ20に一体に形成されることも可能である。
【0040】
前記締結ボルト40は、前記カバー30及びインサートチップ10を貫通してホルダ20の締結孔23に締結されつつ、前記インサートチップ10'をホルダ20に固定させるものであって、前記カバー30の定着溝31に定着される皿型の頭部41が形成される。
【0041】
一方、前記ホルダ20の装着溝21に設置される2つ以上のインサートチップ10は、切削刃12に加えられる負荷を減少させるために、切削刃12の一部に溝17が形成され、各々の溝17は、他のインサートチップ10の切削刃12に形成された溝17と重複しない位置に形成される。(図15参照)
【0042】
これから、本発明のインサートチップを用いた面取り機の作動について説明する。
添付図面のうち、図13は、本発明のインサートチップ及びこれを用いた面取り機の平断面図であり、図14は、本発明のインサートチップを用いた面取り機の側断面図である。
本発明は、別の駆動手段によって回転する回転軸の末端にホルダ20が組み立てられ、前記ホルダ20の下端部の外側に形成された複数の装着溝21にインサートチップ10がそれぞれ設置される。
【0043】
前記インサートチップ10'の設置状態を説明すると、まず、ホルダ20の装着溝21に形成された多角溝22にインサートチップ10'の後方に形成された多角ストッパー15を挿入した後、インサートチップ10'の外側にカバー30を配置し、締結ボルト40によってカバー30及びインサートチップ10'を貫通してホルダ20の締結溝23に締結させる。このとき、前記締結ボルト40の皿型の頭部41がカバー30の定着溝31に挿入されて密着されるので、作業時に発生する振動によってインサートチップ10'が破損されることを防止することができる。
【0044】
上記のように、ホルダ20に設置されたインサートチップ10'の本体11の外周縁部には複数個の切削刃12が形成されているが、後方に形成された多角ストッパー15がホルダ20の多角溝22に挿入される方向によってインサートチップ10'の外周縁部に形成された複数の切削刃12のうち、いずれか1つの切削刃12を選択して設置することが可能となり、選択された切削刃12の摩耗時、インサートチップ10'の設置角度を変更して新しい切削刃12を用いることが可能となる。
【0045】
また、前記ホルダ20の多角溝の傾斜角は、前記インサートチップ10'の多角ストッパー15の傾斜角に対応して形成されており、前記インサートチップ10'の多角ストッパー15とホルダ20の多角溝22の接触部位とが互いに面接触するので、インサートチップ10'がホルダ20に堅固に装着される。
【0046】
上記のように、インサートチップ10'がホルダ20に固定された状態でホルダ20が固定された回転軸が別の駆動手段によって回転すると、ホルダ20に設置されたインサートチップ10'の切削刃12が加工物の角部に接触しつつ、角部を切削刃12の形態で加工する。
【0047】
このとき、前記切削刃12の円弧部12aが加工物の角部を切削する過程において、前記円弧部12aの両側に形成された接線部12bの間の角(接線部間の角A、図9参照)が90度以上になされているので、前記円弧部12aが正確に加工物の角部に位置しない場合にも加工物の切削部分に縞が形成される等の加工品質が低下することを防止する。
【0048】
また、前記切削刃12の切削方向に対して前方及び後方に形成された2つの傾斜面のうち、切削方向に対して前方に第2の傾斜面13が所定角度(刃先部角E、図10参照)で斜めに形成されて、加工物と切削刃と12の間の角が鈍角をなすようになるので、切削抵抗を減少させることはもちろん、切削チップが容易に排出されるようにし、切削方向に対して後方に形成された第1の傾斜面14が所定角度(切削余裕角B、図10参照)で斜めに形成されて回転するホルダ20に装着されたインサートチップ10'の切削刃12の後方が加工物に干渉されることを防止する。また、前記円弧形の第1の傾斜面14が切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されつつ、第1の傾斜面14の後端側に切削刃12の円弧部12aより直径の大きい円弧14aが形成されて、切削刃12の両端部が所定角度(後面余裕角D、図8参照)に開くので、切削刃12の両端部が被加工物に干渉されることを防止する。
【0049】
一方、ホルダ20に装着される複数のインサートチップ10'は、図15に示すように、各々の切削刃12に切削抵抗を減少させるための溝17が形成されるが、各インサートチップ10の切削刃に形成される溝17の位置が互いに重ならないように形成される。したがって、各インサートチップ10の切削刃12によって加工される部分が互いに重なるので、加工物の表面粗さ(粗度)が増加することを防止する。また、前記各溝17及び切削刃12の角部はラウンド処理されて、加工中、切削刃12の一部に荷重が集中しながら切削刃12が破損されることを防止する。
【0050】
本実施形態では、ホルダ20の装着溝21に本発明の第2の実施形態に係るインサートチップ10'が設置されたものを例に挙げたが、本発明の第1の実施形態に係るインサートチップ10が適用されることも可能であろう。
【0051】
本発明の権利範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲内で様々な形の実施形態で実現され得る。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求の範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0052】
10 インサートチップ
11 本体
12 切削刃
12a 円弧部
12b 接線部
13 第2の傾斜面
14 第1の傾斜面
15 多角ストッパー
16 貫通孔
17 溝
20 ホルダ
21 装着溝
22 多角溝
23 締結孔
30 カバー
31 定着溝
40 締結ボルト
41 頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の本体と、
該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、
該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面と、
を備えることを特徴とするインサートチップ。
【請求項2】
前記切削刃は、本体の周縁部に形成される凹状の円弧部と、該円弧部の両端部に形成される接線部とからなることを特徴とする請求項1に記載のインサートチップ。
【請求項3】
前記第1の傾斜面は、切削方向の後端側に、前記切削刃から切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されて、切削刃の円弧部より直径の大きい円弧が形成されることを特徴とする請求項2に記載のインサートチップ。
【請求項4】
前記本体は、後面に、切削刃の個数に対応する多角ストッパーが突設することを特徴とする請求項3に記載のインサートチップ。
【請求項5】
前記多角ストッパーは、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形であることを特徴とする請求項4に記載のインサートチップ。
【請求項6】
前記切削刃は、切削方向に対して切削刃の前方に切削刃先部の角を減少させる第2の傾斜面を形成することを特徴とする請求項5に記載のインサートチップ。
【請求項7】
駆動手段によって回転する回転軸と、
前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダと、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項8】
前記ホルダは、インサートチップ固定用締結ボルトの頭部を保持するカバーがインサートチップの外側に設けられることを特徴とする請求項7に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項9】
前記カバーは、ホルダと一体に形成されることを特徴とする請求項8に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項10】
前記ホルダの装着溝に設置される2つ以上のインサートチップは、集中負荷を減少させるために、切削刃の一部に溝が各々形成されることを特徴とする請求項7に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項11】
前記溝は、重複しない位置に各々形成されることを特徴とする請求項10に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項1】
円形の本体と、
該本体の周縁部に所定間隔離隔して配置される複数の円弧形の切削刃と、
該切削刃の切削方向に対して後方に形成されて、切削余裕角を確保する第1の傾斜面と、
を備えることを特徴とするインサートチップ。
【請求項2】
前記切削刃は、本体の周縁部に形成される凹状の円弧部と、該円弧部の両端部に形成される接線部とからなることを特徴とする請求項1に記載のインサートチップ。
【請求項3】
前記第1の傾斜面は、切削方向の後端側に、前記切削刃から切削方向の後端側へ行くほど漸進的に拡大されて、切削刃の円弧部より直径の大きい円弧が形成されることを特徴とする請求項2に記載のインサートチップ。
【請求項4】
前記本体は、後面に、切削刃の個数に対応する多角ストッパーが突設することを特徴とする請求項3に記載のインサートチップ。
【請求項5】
前記多角ストッパーは、切削方向の後方へ進むほど体積が縮小される截頭ピラミッド形であることを特徴とする請求項4に記載のインサートチップ。
【請求項6】
前記切削刃は、切削方向に対して切削刃の前方に切削刃先部の角を減少させる第2の傾斜面を形成することを特徴とする請求項5に記載のインサートチップ。
【請求項7】
駆動手段によって回転する回転軸と、
前記インサートチップが設置される装着溝が2つ以上形成されて、前記回転軸に組み立てられるホルダと、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項8】
前記ホルダは、インサートチップ固定用締結ボルトの頭部を保持するカバーがインサートチップの外側に設けられることを特徴とする請求項7に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項9】
前記カバーは、ホルダと一体に形成されることを特徴とする請求項8に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項10】
前記ホルダの装着溝に設置される2つ以上のインサートチップは、集中負荷を減少させるために、切削刃の一部に溝が各々形成されることを特徴とする請求項7に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【請求項11】
前記溝は、重複しない位置に各々形成されることを特徴とする請求項10に記載のインサートチップを用いた面取り機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−172761(P2009−172761A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10792(P2009−10792)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(509021856)
【氏名又は名称原語表記】Lee Heung−Yeul
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(509021856)
【氏名又は名称原語表記】Lee Heung−Yeul
【Fターム(参考)】
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