説明

インターホンシステム

【課題】応対したくない来訪者から呼び出された際に、呼出に対する応対を回避できるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】各住戸のインターホン親機1a,1bは、表示部11に表示された来客画像に対して来客の分類情報を付与する分類設定スイッチ16bと、呼出時に来客通知を禁止する分類を設定する禁止分類設定スイッチ16cを備える。制御装置3は、各住戸のインターホン親機1a,1bで分類情報が付与された来客画像をその分類情報と対応付けて記憶する第1記憶部31と、呼出時に子機2から送信された来客画像を第1記憶部31に記憶された来客画像と照合して来客の分類を取得する分類取得部33と、呼出先の住戸で来客通知を禁止している分類と取得した分類を比較する判断部34と、来客通知が禁止されていると判断されれば来客通知を行わせず、来客通知が禁止されていないと判断されれば来客通知を行わせる通知制御部35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のインターホンシステムとして、玄関に設置されたカメラ付きのドアホン子器と、屋内に設置されたインターホン親機とで構成されるシステムが従来提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来のインターホンシステムでは、来訪者がドアホン子器の呼出釦を操作すると、ドアホン子器からインターホン親機へ呼出信号が送信される。この呼出信号を受けたインターホン親機では呼出音を鳴動させるとともに、ドアホン子器のカメラを起動して来訪者を撮像させ、ドアホン子器で撮像された画像を、インターホン親機の表示デバイスに表示させている。住戸人は、表示デバイスに表示された来訪者の画像を見て、呼出に応答するか否かを決め、応答する場合にはインターホン親機の通話釦を押操作する。インターホン親機は、通話釦が押されると、ドアホン子器との間に通話路を形成しており、表示デバイスの画面で相手の姿を見ながら来訪者と通話することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−261007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のインターホンシステムでは、訪問販売員や勧誘員など住戸人が応対したくない人物が来訪して、ドアホン子器の呼出釦を押した場合でも、インターホン親機から呼出音が鳴動される。また、来訪者が応対したくない類の人物であることを住戸人が知らない場合、住戸人が、インターホン親機の通話釦を押して応対したために、無駄な対応に時間を費やして、不快な思いをする可能性があった。また、訪問販売員や勧誘員などに応対したために、高額の商品を買わされるといった被害を受ける可能性もあった。また、オートロック式の集合住宅で、共用部玄関に設置されたロビーインターホンを用いて不審者が何れかの住戸の住人を呼び出し、この住戸の住人が共用部玄関のロックを解除した場合、集合住宅内への不審者の入場を許してしまい、治安が悪化する可能性もあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、応対したくない来訪者から呼び出された際に、呼出に対する応対を回避できるようにしたインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のインターホンシステムは、複数の住戸からなる集合住宅用であり、各々の住戸に設置されるモニタ付きのインターホン親機と、来客による呼出操作時に撮像手段で撮像した来客画像を呼出先のインターホン親機へ送信するカメラ付き子機とを備える。インターホン親機は、子機からの呼出時に当該住戸の住人に対して来客通知を行う通知手段と、子機から送信された来客画像を表示する表示手段と、通知手段による来客通知を禁止する来客の分類を設定する第1設定手段とを備える。また、このインターホンシステムは、子機からの呼出時に呼出先のインターホン親機の表示手段に表示された来客画像に対して来客の分類を表す分類情報を付与する分類付与手段と、分類付与手段で分類情報が付与された来客画像を、付与された分類情報と対応付けて記憶する第1記憶手段と、各住戸の第1設定手段で設定された分類を各住戸に対応付けて記憶する第2記憶手段と、子機からの呼出時に子機から送信された来客画像を第1記憶手段に記憶された来客画像と照合して、来客の分類情報を取得する分類取得手段と、呼出先の住戸のインターホン親機で来客通知が禁止されている来客の分類を第2記憶手段から取得して、当該分類を分類取得手段で取得された分類情報と比較し、来客通知が禁止されている来客か否かを判断する判断手段と、判断手段によって来客通知が禁止されていると判断された場合は通知手段による来客通知を禁止し、判断手段によって来客通知が禁止されていないと判断された場合は通知手段に来客通知を行わせる通知制御手段とを備えている。
【0008】
このインターホンシステムにおいて、判断手段によって来客通知が禁止されていると判断された場合、通知制御手段は、来客通知を行わなかった来客の来客画像を訪問記録として記憶することも好ましい。
【0009】
このインターホンシステムにおいて、インターホン親機は、特定の分類に属する来客が他の住戸のインターホン親機を呼び出した際に自機への通知を要求する分類を設定する第2設定手段を備えることも好ましい。判断手段は、子機からの呼出時に分類取得手段で取得された分類情報と第2設定手段で設定された分類情報を比較して、呼出先以外の住戸で通知を要求しているか否かを判断する。通知制御手段は、子機からの呼出時に呼出先以外のインターホン親機で通知を要求していると判断手段によって判断されたインターホン親機に対して、第2設定手段で設定された分類の来客があるという情報を通知する。
【0010】
このインターホンシステムにおいて、子機が、来客の発する音声を集音するマイクを備える。またインターホンシステムには、マイクで集音された音声信号の音声認識を行う音声認識手段が設けられ、分類付与手段は、音声認識手段による音声認識の内容から来客の分類を推定し、表示手段に表示された来客画像に対して分類の推定結果を付与することも好ましい。
【0011】
このインターホンシステムにおいて、複数の住戸のインターホン親機で、同じ来客の来客画像に対して、複数種類の分類が付与された場合、第1記憶手段では、同じ来客の来客画像に対応付けて複数種類の分類情報を記憶するとともに、同じ来客の来客画像に対応付けられた分類情報には、これらの分類情報をそれぞれ付与した住戸の住戸識別情報を記憶することも好ましい。分類取得手段は、来客画像をもとに第1記憶手段を照合して、来客の分類情報を取得する際に、第1記憶手段に来客画像に対応付けて記憶された住戸識別情報を参照し、呼出先の住戸が付与した分類情報を優先して取得する。
【0012】
このインターホンシステムにおいて、第1記憶手段には、複数の集合住宅の各住戸に設けられたインターホン親機で分類が付与された来客画像を記憶することも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、住戸毎に応対したくない来客の分類情報を予め設定しておくことによって、来客からの呼出時、応対したくない分類の来客であれば来客通知が行われないので、好ましくない来客との応対を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のインターホンシステムのシステム構成図である。
【図2】同上の第1記憶部に記憶された来客画像の一例を示す説明図である。
【図3】同上の第1記憶部に記憶された来客画像の他例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係るインターホンシステムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1はインターホンシステムのブロック図であり、本システムは、複数の住戸B1,B2…からなる集合住宅A1に適用されるものである。このインターホンシステムは、各々の住戸B1,B2…に設置されるモニタ付きのインターホン親機1a,1bと、集合住宅Aの共用部玄関Cに設置される所謂ロビーインターホンのようなカメラ付き子機2と、制御装置3とを主要な構成として備える。尚、以下の説明で個別の住戸のインターホン親機について説明する場合はインターホン親機1a,1bと表記し、各インターホン親機に共通する説明を行う場合はインターホン親機1と表記する。同様に個々の住戸について説明する場合は住戸B1,B2と表記し、各住戸に共通する説明を行う場合は住戸Bと表記する。
【0017】
カメラ付き子機2(以下、子機2と略称す。)は、撮像部21と、音声入出力部22と、音声処理部23と、入力操作部24と、多重分離部25と、通信部26を主要な構成として備え、通信線L3及び制御線L4を介して制御装置3に接続される。撮像部21(撮像手段)は、例えばCCDのような固体撮像素子とレンズなどの光学系を有し、子機2を操作する来客の画像を撮像する。音声入出力部22は、来客の発する音声を集音して電気信号に変換するためのマイクと、音声を出力するためのスピーカを備える。音声処理部23は、マイクロホンから入力される音声信号の増幅やインターホン親機1から送信される音声信号を増幅してスピーカから出力させる処理を行う。入力操作部24は、訪問先の住戸の住戸番号を指定するための番号キーや呼出釦を有し、来客が番号キーを操作して訪問先の住戸番号を選択した後に呼出釦を操作すると、住戸番号に対応するインターホン親機1を呼び出すための呼出信号を出力する。多重分離部25は、撮像部21から入力される映像信号を変調し、音声処理部23から入力される音声信号と周波数分割多重して通信線L3に出力するとともに、通信線L3を介して制御装置3から送信されてくる音声信号を分離して音声処理部23に出力する。通信部26は、入力操作部24から入力される呼出信号を含む制御信号を制御線L4に出力する。尚、本実施形態では子機2が共用部玄関Cに設けられているが、各住戸の玄関に設けられたものでもよい。
【0018】
各住戸のインターホン親機1は、制御部10と、表示部(表示手段)11と、音声入出力部12と、音声処理部13と、多重分離部14と、通信部15と、操作入力部16とを主要な構成として備え、通信線L1及び制御線L2を介して制御装置3に接続されている。通信線L1は例えばツイストペアケーブルからなり、音声信号及び映像信号が多重化して伝送される。制御線L2は例えばツイストペアケーブルからなり、呼出信号などの制御信号を伝送するために用いられる。
【0019】
制御部10は、例えばマイクロコンピュータからなり、組み込みのプログラムを実行することによって、インターホン親機1の全般的な制御を行う。表示部11は例えば液晶ディスプレイからなり、多重分離部14から映像データが入力されて、子機2で撮像された画像を表示する。音声入出力部12は、音声を集音して、集音した音声を電気信号に変換するためのマイクロホンと、音声を出力するためのスピーカを備える。音声処理部13は、マイクロホンから入力される音声信号の増幅やインターホン親機1から送信される音声信号を増幅してスピーカから出力させる処理を行う。多重分離部14は、通信線L3を介して入力される映像信号を分離して復調した後、表示部11に出力する。また多重分離部14は、音声処理部23から入力される音声信号を周波数分割多重して通信線L1に出力するとともに、通信線L1を介して制御装置3から送信されてくる音声信号を分離して音声処理部13に出力する。ここで、来客が子機2を用いるとともに居住者がインターホン親機1を用いることによって、来客と居住者の間で音声通話が可能となる。また、子機2から送信された映像信号が多重分離部14で分離された後に復調されて、表示部11に表示されるようになっている。
【0020】
操作入力部16は、通話釦16aや分類設定スイッチ16bや禁止分類設定スイッチ16cや通知分類設定スイッチ16dからの操作入力を監視し、操作内容を制御部10に出力する。通話釦16aは、子機2からの呼出に応答する際に操作するスイッチである。分類設定スイッチ16bは、来客の種類を示す複数の分類(例えば訪問販売、勧誘員など)から、表示部11に表示された来客画像に対応する分類を設定するために操作するスイッチである。禁止分類設定スイッチ16c(第1設定手段)は、来客通知を禁止する分類を設定するためのスイッチである。通知分類設定スイッチ16d(第2設定手段)は、特定の分類の来客が他の住戸を呼び出した際に自機への通知を希望する分類を設定するために操作するスイッチである。
【0021】
制御装置3には、通信線L3及び制御線L4を介して子機2が接続されるとともに、幹線(通信線L1及び制御線L2からなる)を介して各住戸のインターホン親機1が接続されている。制御装置3は、インターホン親機1及び子機2との間で制御信号を授受する通信部37を備えるとともに、子機2から通信線L3を介して送信された映像信号を分離、復調する多重分離部36を備えている。また制御装置3は、子機2で選択された住戸番号が制御線L4を介して入力されると、この住戸番号に該当するインターホン親機に制御線L2を介して制御信号(呼出信号)を送出する。また制御装置3は、各住戸のインターホン親機1によって分類情報が付与された来客画像を分類情報と対応付けて記憶する第1記憶部31(第1記憶手段)を備えている。また制御装置3は、各住戸のインターホン親機1で設定された来客通知を禁止する分類を記憶する第2記憶部32(第2記憶手段)を備えている。また制御装置3は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部30を備え、制御部30の演算機能によって分類取得部33(分類取得手段)と判断部34(判断手段)と通知制御部35(通知制御手段)が実現されている。分類取得部33は、来客時に子機2を操作した来客の来客画像を子機2から取得し、第1記憶部31に記憶された来客画像と照合して、来客の分類を取得する。判断部34は、呼出先の住戸のインターホン親機1で来客通知が禁止されている来客の分類を第2記憶部32から取得し、この分類を分類取得部33で取得された分類情報と比較し、来客通知が禁止されているか否かを判断する。呼出先のインターホン親機1で来客通知が禁止されていると判断部34によって判断されると、通知制御部35は呼出先のインターホン親機1へ通知信号を送信しない。一方、呼出先のインターホン親機1で来客通知が禁止されていないと判断部34によって判断されると、通知制御部35は、呼出先のインターホン親機1へ通知信号を送信する。尚、本実施形態では第1、第2記憶部31,32と分類取得部33と判断部34と通知制御部35を制御装置3に備えているが、各住戸のインターホン親機1に第1、第2記憶部31,32と分類取得部33と判断部34と通知制御部35とを設けてもよい。
【0022】
次に、このインターホンシステムでの呼出動作を説明する。
【0023】
先ず、各住戸Bのインターホン親機1で来客画像に分類を付与する操作について説明する。集合住宅A1の住戸B1…を訪ねて、応対したくない来客があった場合、この来客が共用部玄関Cに設置された子機2を操作して、呼出先の住戸番号を入力した後、呼出釦を操作すると、この呼出信号が制御装置3に送信される。この時、制御装置3の分類取得部33が、子機2で撮像された来客画像を、第1記憶部31に記憶された画像情報と照合する。この来客が集合住宅A1を初めて訪れた場合、この人物の画像は第1記憶部31に登録されていないので、判断部34は来客通知を禁止せず、通知制御部35が呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送出する。呼出先のインターホン親機1では、制御装置3を介して呼出信号が入力されると、子機2で撮像された画像を表示部11に表示させるとともに、通知手段たる音声入出力部12のスピーカから呼出音を出力する。また、居住者がインターホン親機1の通話釦16aを押操作すると、インターホン親機1と子機2との間で通話路が形成され、来客と居住者とがインターホン親機1及び子機2を用いて通話を行う。この時、居住者は、表示部11に表示された来客画像と会話の内容とに基づいて、応対中の来客がどのような分類に属するのかを判断し、分類設定スイッチ16bを用いて分類を設定する。ここで、来客通知を拒否したい来客の分類としては、例えば宝石の訪問販売、教材の訪問販売、取り立て屋、宗教団体の勧誘員などがある。呼出先の住戸の居住者が分類設定スイッチ16bを用いて来客の分類を設定すると、分類付与手段としての制御部10は、操作入力部16を介して入力された分類情報を、表示部11に表示された来客画像に付与し、この分類情報を通信部15から制御装置3へ送信させる。制御装置3では、呼出先のインターホン親機1から分類情報が送信されると、子機2で撮像された来客画像と分類情報とを対応付けて第1記憶部31に記憶させる。図2は第1記憶部31に記憶された内容の一例を示し、集合住宅A1を訪れた来客の来客画像と、各住戸のインターホン親機1で付与された分類情報とが対応付けて登録される。尚、図2では各々の分類情報で1つの来客画像しか記憶されていないが、1つの分類に複数の来客画像が登録されていてもよい。また、第1記憶部31では、来客画像とその分類情報に加えて来訪時間を記憶してもよい。
【0024】
例えば、この集合住宅A1を初めて訪れた来客が、子機2を用いて住戸番号「201」を指定し、呼出釦を操作すると、呼出信号が制御装置3に送信される。この来客の来客画像は第1記憶部31に登録されていないので、判断部34は来客通知を禁止せず、通知制御部35が呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送出する。呼出先(201号室)のインターホン親機1は、制御装置3を介して呼出信号が入力されると、カメラ子機2で撮像された画像を表示部11に表示させるとともに、スピーカから呼出音を出力させる。そして、居住者がインターホン親機1の通話釦16aを押操作すると、インターホン親機1と子機2との間で通話路が形成され、来客と居住者とがインターホン親機1及び子機2を用いて通話を行う。この時、201号室の居住者が、表示部11に表示された来客画像と会話の内容に基づいて、宝石の販売員と判断すると、分類設定スイッチ16bを用いて、この来客画像に付与する分類情報として「宝石の販売員」を設定する。この分類情報は制御装置3に送られ、201号室のインターホン親機1で設定された分類情報が、子機2で撮像された来客画像に対応付けて制御装置3の第1記憶部31に登録される。したがって、各住戸に来客がある毎に、各住戸の居住者がインターホン親機1の分類設定スイッチ16bを用いて分類情報を設定すると、制御装置3の第1記憶部31に、来客の分類情報が来客画像に対応付けて蓄積されるのである。尚、家族や知人、公共料金や新聞料金の徴収員、ピザや寿司などの出前の者、配達業者といった来客通知を許可する来客には、分類設定スイッチ16bを用いて分類を付与しなければよく、第1記憶部31に来客画像が登録されていなければ、来客通知が許可される。
【0025】
また、各住戸Bの居住者は、インターホン親機1の禁止分類設定スイッチ16cを用いて、来客通知を禁止したい来客の分類情報を予め設定することができる。居住者が、禁止分類設定スイッチ16cを用いて来客通知を禁止したい来客の分類を選択すると、制御部10は、操作入力部16を介して入力された分類情報を、通信部15から制御装置3へ送信させる。制御装置3では、各住戸Bのインターホン親機1から来客通知を禁止したい分類情報が入力されると、この分類情報を住戸識別情報(各住戸に個別に割り当てられた識別情報)と対応付けて第2記憶部32に記憶させる。下記の表1は第2記憶部32に記憶された内容の一例を示し、住戸毎に来客通知を禁止したい来客の分類情報が登録されている。表1では来客通知を許容する分類を「○」、禁止する分類を「×」で示しており、201号室では、宝石の訪問販売と教材の訪問販売が来客通知を禁止する分類として設定されている。ところで、201号室の住人が、宝石の訪問販売員との応対を拒否したいと考える一方、202号室の住人は宝石の訪問販売員に応対してもよいと考えており、住戸毎に来客通知を禁止したい分類は異なる場合がある。本実施形態では、各住戸のインターホン親機1で来客通知を禁止したい分類を設定しているので、各住戸の住人の希望に合わせて来客通知を禁止するか否か(換言すれば、来客通知を許容するか否か)が登録できる。尚、第2記憶部32に登録された内容は変更が可能であり、各住戸の住人は、インターホン親機1の禁止分類設定スイッチ16cを用いて、来客通知を禁止したい分類(許容したい分類)を再設定できる。
【0026】
【表1】

【0027】
次に、第1記憶部31に来客画像が登録されている来客が、再び来訪した場合の動作について説明する。来客画像や分類情報が登録済みの来客が共用部玄関Cに設置された子機2を操作して、呼出先の住戸番号を入力した後、呼出釦を操作すると、この呼出信号が制御装置3に送信される。この時、制御装置3の分類取得部33が、公知の顔識別技術を用いて、子機2で撮像された来客画像を、第1記憶部31に記憶された画像情報と照合し、来客画像に付与された分類情報を取得する。尚、分類取得部33では画像処理技術を用いて来客画像の一致/不一致を識別しているが、例えば入力操作部24に操作者の指紋を検出する指紋センサを設け、従来公知の指紋認証技術を用いて来客を識別してもよい。また、指紋以外の生体情報を検出するセンサを設け、このセンサで検出された生体情報を用いて、来客を識別してもよい。
【0028】
分類情報が取得されると、判断部34は、第2記憶部32から呼出先の住戸で来客通知が禁止されている分類情報を取得し、この分類情報と分類取得部33で取得された分類情報とを比較し、来客通知が禁止されている分類か否かを判断する。ここで、来客通知が禁止されていると判断されれば、通知制御部35は、呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送信せず、来客通知を行わせない。一方、来客通知が禁止されていないと判断されれば、通知制御部35は、呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送信し、呼出先のインターホン親機1で来客通知を行わせる。
【0029】
このように、本システムでは、判断部34によって来客通知が禁止されていると判断された場合は、通知手段(インターホン親機1の音声入出力部12)による来客通知を禁止し、判断部34によって来客通知が禁止されていないと判断された場合は通知手段に来客通知を行わせる通知制御部30を備えている。
【0030】
これにより、住戸毎に応対したくない来客の分類情報を予め設定しておくことによって、来客からの呼出時、応対したくない分類の来客であれば来客通知が行われないので、好ましくない来客との応対を回避することができる。
【0031】
上述のように、来客通知を拒否したい分類の来客が訪問してきた場合、来客通知が行われないため、当該住戸の住人は、応対を禁止した分類の来客があったことを把握できない。そこで、制御装置3の通知制御部35では、来客通知を行わなかった場合に、来客通知を行わなかった来客の来客画像と訪問時刻を訪問記録として図示しないメモリに記憶させている。そして、各住戸の住人がインターホン親機1を用いて制御装置3から訪問記録を送信させると、訪問記録として記録された来客画像が、その訪問時刻とともに表示部11に表示されるので、来客通知を行わなかった来客の画像を後から確認できる。よって、各住戸の住人が、インターホン親機を介して応対することなく、直接応対したくない来客の訪問があったことを、後から確認することができる。
【0032】
尚、各住戸の住人が、インターホン親機1を操作して訪問記録を確認してもよいが、制御装置3が、所定のタイミングでインターホン親機1へ当該住戸の訪問記録を送信し、当該住戸の住人に対して訪問記録を確認させるようにしてもよい。また、制御装置3から訪問記録を送信するタイミングとしては、インターホン親機1で来客と通話した後や、1日のうちの所定の時刻に設定でき、このタイミングをインターホン親機1で変更できるようにすることも好ましい。
【0033】
また、各住戸Bの住人は、自宅のインターホン親機1を用いて通知させたい分類を予め設定しておけば、設定した分類の来客が、同じ集合住宅A1内の別住戸Bを呼び出したことを、自宅のインターホン親機1に通知させることもできる。
【0034】
ある住戸Bの住人が、特定の分類の来客によって他の住戸が呼び出された際に自宅への通知を希望する場合、自宅のインターホン親機1の通知分類設定スイッチ16dを用いて、自宅への通知を希望する来客の分類(以下、通知希望分類と言う。)を設定する。通知分類設定スイッチ16dで設定された分類情報は操作入力部16を介して制御部10に出力され、制御部10は、この分類情報を通信部15から制御装置3へ送信させる。制御装置3では、インターホン親機1から送信された通知希望分類の分類情報を通信部37が受信すると、制御部30が、この分類情報を各住戸のインターホン親機1に対応付けて、第2記憶部32に記憶させる。下記の表2は各住戸に対応付けて記憶された通知希望分類を示しており、各住戸番号で「○」がつけられた分類が通知希望分類を示している。例えば203号室、905号室、906号室の住人は、他の住戸に教材販売の来客から呼出があれば、自宅への通知を行うように希望している。
【0035】
【表2】

【0036】
そして、教材販売の来客が子機2を用いて例えば201号室を呼び出した場合、制御装置3の判断部34は、呼出先の住戸(201号室)で来客通知が禁止されている分類情報と、分類取得部33で取得された分類情報とを比較する。ここで、来客通知が禁止されていると判断されれば、通知制御部35は、呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送信せず、来客通知を行わせない。一方、来客通知が禁止されていないと判断されれば、通知制御部35は、呼出先のインターホン親機1へ呼出信号を送信し、呼出先のインターホン親機1で来客通知を行わせる。また判断部34は、呼出先以外の住戸(201号室以外の住戸)で設定された通知希望分類を第2記憶部32から読み込み、各住戸の通知希望分類と分類取得部33で取得された分類情報とを比較して、通知を希望する住戸があれば、この住戸のインターホン親機1に対して通知信号を送信する。来客の分類が教材販売であれば、203号室と905号室と906号室で通知を希望しているので、判断部34は、203号室と905号室と906号室のインターホン親機1に対して、教材販売の来客が来ていることを通知する通知信号を送信する。この通知信号を受けた203号室と905号室と906号室室のインターホン親機1では、例えば「教材販売の訪問者がマンションに来ていますのでご注意下さい」といったメッセージをスピーカから音声で出力させたり、表示部11に文字で表示させたりする。このような通知を行うことで、当該住戸の住人に、特定の分類の来客が当該集合住宅に来ていることをリアルタイムに報知でき、注意を喚起することができる。また、ある住戸で例えば宅配業者に用事がある場合に、自宅のインターホン親機1の通知分類設定スイッチ16dを用いて宅配業者を設定しておけば、他の住戸を宅配業者が呼び出した際に、宅配業者が他の住戸を訪問中であることを通知させることができる。したがって、ある住戸の居住者が応対を望んでいる分類の来客が、他の住戸を呼び出した際に、この分類の来客が集合住宅を訪問中であることを通知させるといった使い方もでき、使い勝手が向上する。
【0037】
尚、通知分類設定スイッチ16dを用いて通知希望分類を設定する代わりに、禁止分類設定スイッチ16cで設定された来客通知を禁止する分類を、通知希望分類として使用してもよく、この場合、表2の設定は表1と同じになる。
【0038】
ところで、上述のインターホンシステムでは、各住戸の住人が、表示部11に表示された画像を見て来客の分類を判断し、分類設定スイッチ16bを用いて、来客画像に分類情報を付与しているが、来客が発した音声の内容から分類を付与してもよい。
【0039】
すなわち、インターホン親機1又は制御装置3に、子機2から入力される音声の認識処理を行う音声認識手段(図示せず)と、音声認識手段による音声認識の内容から来客の分類を判断し、来客画像に付与する分類付与手段(図示せず)を設けてもよい。ここで、分類付与手段では、音声認識の内容(すなわち来訪者が発した言葉)と、来客の分類毎に予め登録された語句とを、従来公知の音声認識技術を用いて比較することで、来客の分類を判断し、来客画像に分類情報を付与している。
【0040】
このように、来客の発する音声の内容から来客の分類を判断して、来客画像に分類情報を付与しているので、各住戸の住人が来客の分類を設定する手間を低減することができる。
【0041】
また制御装置3では、来客が発した音声を分類情報とともに第1記憶部31に記憶しておき、分類取得部33が、子機2の音声入出力部22に入力された来客の音声と、第1記憶部31に記憶された音声情報とを比較することで、来客の分類を取得してもよいし、来客画像と来客の発した音声の両方をもとに、来客の分類を取得するようにしてもよい。尚、音声のみで来客の分類を取得する場合には、第1記憶部33に来客画像を記憶させておく必要はない。
【0042】
また上述のインターホンシステムでは、各住戸の住人が、表示部11に表示された画像を見て来客の分類を判断し、来客画像に分類情報を付与しているため、同じ来客画像に対して各住戸で異なる分類情報が付与される場合がある。そのため、第1記憶部31には、同じ来客画像に対応付けて複数種類の分類情報が記憶される可能性があるが、同じ来客画像に対応付けられた分類情報には、これらの分類情報をそれぞれ付与した住戸を識別する住戸識別情報を対応付けて記憶させている。そして、分類取得部33では、来客画像をもとに第1記憶部31を照合して、来客の分類情報を取得する際に、第1記憶部31に来客画像に対応付けて記憶された住戸識別情報を参照し、呼出先の住戸が付与した分類情報を優先して取得する。したがって、同じ来客画像に対して複数種類の分類情報が対応付けられている場合でも、呼出先の住戸が付与した分類情報を選択することで、呼出先の住戸で設定された禁止分類にしたがって来客通知を行うか否かを判断できる。
【0043】
例えば同じ人物が201号室、202号室をそれぞれ呼び出した際に、201号室の住人はこの人物を「宝石」に分類し、202号室の住人はこの人物を「教材」に分類した場合、同じ人物の来客画像に複数の分類が付与されることになる。図3は第1記憶部31に記憶された内容の一例を示し、1つの来客画像P1に対して複数の分類(例えば宝石と教材)が対応付けて記憶されている。尚、「宝石」の分類を付与した住戸は201号室、206号室、209号室、304号室、305号室、306号室、307号室であり、「教材」の分類を付与した住戸は202号室である。
【0044】
この人物が子機2を用いて所望の住戸の住人を呼び出した場合、制御装置3の分類取得部33は、子機2で撮像された画像を、第1記憶部31に記憶された来客画像と照合するとともに、呼出先の住戸識別番号を用いて、来客の分類を取得する。この人物が201号室を呼び出した場合は図3の設定から、この人物の分類は「宝石」となり、202号室を呼び出した場合は図3の設定から、この人物の分類は「教材」となる。来客の分類情報を取得すると、制御部30は、上述と同様、来客の分類情報にしたがって来客通知を禁止するか否かを判断しており、各住戸で設定された分類情報にしたがって来客通知を禁止するか否かを制御することができる。
【0045】
ところで、本実施形態のインターホンシステムでは、各住戸のインターホン親機1に、子機2からの呼出時に表示部11に表示された来客画像に対して、来客の分類を表す分類情報を付与する分類付与手段が設けられているが、この分類付与手段は制御装置3に設けられてもよい。また制御装置3に、第1、第2記憶部31,32や分類取得部33や判断部34や通知制御部35が設けられているが、これら第1、第2記憶部31,32や分類取得部33や判断部34や通知制御部35は各インターホン親機1に設けられていてもよい。
【0046】
また本実施形態のインターホンシステムにおいて、制御装置3は、ゲートウェイ4を介してインターネットのような情報通信網5に接続されている。情報通信網5にはセンターサーバ6が接続されており、センターサーバ6では、情報通信網5を介して各集合住宅A1〜A3の制御装置3に接続され、各々の制御装置3との間で来客の情報などを授受する。尚、他の集合住宅A2,A3にも集合住宅A1と同様のインターホンシステムが適用されており、そのインターホンシステムについては図示及び説明は省略する。
【0047】
したがって、各集合住宅A1〜A3の制御装置3は、センターサーバ6を介して他の集合住宅を訪問した来客の情報を取得したり、この集合住宅を訪問した来客の情報を他の集合住宅の制御装置3に送信することで、好ましくない来客の情報を複数の集合住宅で共有できる。尚、他の集合住宅の制御装置3と情報を共有するタイミングは、このインターホンシステムの初期設定時でもよいし、その後は所定の期間を設定して、定期的に情報を共有してもよい。
【符号の説明】
【0048】
A1,A2,A3 集合住宅
B1,B2 住戸
C 共用部玄関
1a,1b インターホン親機
2 子機
3 制御装置
10 制御部
11 表示部(表示手段,通知手段)
12 音声入出力部(通知手段)
16 操作入力部
16a 通話釦
16b 分類設定スイッチ(分類付与手段)
16c 禁止分類設定スイッチ(第1設定手段)
16d 通知分類設定スイッチ(第2設定手段)
21 撮像部
30 制御部
31 第1記憶部(第1記憶手段)
32 第2記憶部(第2記憶手段)
33 分類取得部(分類取得手段)
34 判断部(判断手段)
35 通知制御部(通知制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸からなる集合住宅のインターホンシステムであって、
各々の前記住戸に設置されるモニタ付きのインターホン親機と、来客による呼出操作時に撮像手段で撮像した来客画像を呼出先の前記インターホン親機へ送信するカメラ付き子機とを備え、
前記インターホン親機は、前記子機からの呼出時に当該住戸の住人に対して来客通知を行う通知手段と、前記子機から送信された来客画像を表示する表示手段と、前記通知手段による来客通知を禁止する来客の分類を設定する第1設定手段とを具備しており、
前記子機からの呼出時に呼出先の前記インターホン親機の前記表示手段に表示された来客画像に対して来客の分類を表す分類情報を付与する分類付与手段と、
前記分類付与手段で分類情報が付与された来客画像を、付与された分類情報と対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記各住戸の前記第1設定手段で設定された分類を前記各住戸に対応付けて記憶する第2記憶手段と、
前記子機からの呼出時に前記子機から送信された来客画像を前記第1記憶手段に記憶された来客画像と照合して、来客の分類情報を取得する分類取得手段と、
呼出先の住戸の前記インターホン親機で来客通知が禁止されている来客の分類を前記第2記憶手段から取得して、当該分類を前記分類取得手段で取得された分類情報と比較し、来客通知が禁止されている来客か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって来客通知が禁止されていると判断された場合は前記通知手段による来客通知を禁止し、前記判断手段によって来客通知が禁止されていないと判断された場合は前記通知手段に来客通知を行わせる通知制御手段とが設けられたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記判断手段によって来客通知が禁止されていると判断された場合、前記通知制御手段は、来客通知を行わなかった来客の来客画像を訪問記録として記憶することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記インターホン親機は、特定の分類に属する来客が他の住戸の前記インターホン親機を呼び出した際に自機への通知を要求する前記分類を設定する第2設定手段を備え、
前記判断手段は、前記子機からの呼出時に前記分類取得手段で取得された分類情報と前記第2設定手段で設定された分類情報を比較して、呼出先以外の住戸で通知を要求しているか否かを判断し、
前記通知制御手段は、呼出先以外の前記インターホン親機で通知を要求していると前記判断手段が判断した前記インターホン親機に対して、前記第2設定手段で設定された分類の来客があるという情報を通知することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記子機が、来客の発する音声を集音するマイクを具備しており、
前記マイクで集音された音声信号の音声認識を行う音声認識手段が設けられ、
前記分類付与手段は、前記音声認識手段による音声認識の内容から前記来客の分類を推定し、前記表示手段に表示された来客画像に対して分類の推定結果を付与することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
複数の前記住戸の前記インターホン親機で、同じ来客の来客画像に対して、複数種類の分類が付与された場合、前記第1記憶手段では、同じ来客の来客画像に対応付けて複数種類の分類情報を記憶するとともに、同じ来客の来客画像に対応付けられた分類情報には、これらの分類情報をそれぞれ付与した住戸の住戸識別情報を対応付けて記憶し、
前記分類取得手段は、来客画像をもとに前記第1記憶手段を照合して、来客の分類情報を取得する際に、前記第1記憶手段に前記来客画像に対応付けて記憶された前記住戸識別情報を参照し、呼出先の住戸が付与した分類情報を優先して取得することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記第1記憶手段には、複数の集合住宅の各住戸に設けられたインターホン親機で分類が付与された来客画像を記憶することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のインターホンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−54784(P2012−54784A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196069(P2010−196069)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】