説明

インドール減少能を有する微生物

【課題】 服用することにより効果的に腸内容物あるいは糞便のインドールを減少させることができる微生物、変異体および当該微生物の培養物を提供する。
【解決手段】 インドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール減少能、特に80%以上の高いインドール減少能を有する新規なビフィドバクテリウム・サーモフィラムおよびこの培養物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インドールは、腸内で腸内細菌によりトリプトファンから産生される便の悪臭成分の一つであり、特に肉などのタンパク質を多量に摂り、タンパク質が過剰に腸内に存在すると、大腸菌などの腐敗菌(悪玉菌)が好んで繁殖し、インドール等の悪臭ガスを発生する。また、インドールは、便秘や下痢を引き起こしたり、細胞老化物質と呼ばれるリポフスチンを生成する原因になったり、大腸癌や膀胱癌に関与するとも言われており、有害物質として認識されている。このため、体内のインドールを分解したり、他の安全で無臭の物質に変換したり、取り込んだりできる微生物が望まれている。
【0003】
従来インドールを分解する菌としては、アシネトバクター属(特許文献1)、ラクトバチルス属(特許文献2)、チオバチルス属(特許文献3)、シュードモナス属(特許文献3)、アルカリゲネス属(特許文献4)、セラチア属(特許文献4)など、様々な微生物が知られている。
【0004】
一方、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の生菌製剤投与により、糞便中のインドールが減少したという報告がある(非特許文献1)。当該非特許文献1では、投与された菌が腸内細菌叢を整え、腸内のインドール産生菌の増殖を抑えるのではないかという、間接的且つ消極的な推察がなされている。
【特許文献1】特開平2−53482号公報
【特許文献2】特公昭57−49193号公報
【特許文献3】特開昭55−48386号公報
【特許文献4】特開昭61−46240号公報
【非特許文献1】透析会誌、1999年、32巻、349頁〜356頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術のうち、特許文献1〜4に記載の微生物は、悪臭物質の脱臭方法として提案されているものの、特許文献2、3では、これらの微生物を用いた場合の糞便や尿の脱臭を官能試験によって評価しているのみである。特に特許文献1に記載のアシネトバクター属は、比較的高いインドール減少能を示すものの、好気性菌であり大腸での増殖が困難である上、土壌や水系に生育する菌であるためヒトへの摂取には適さないという問題がある。また、特許文献2に記載のラクトバチルス属は、主に小腸に存在する菌であり、腐敗産物が主に大腸で生産されることを考えると、十分な悪臭防止・抑制能を発揮できるとはいいがたい。また、特許文献4では、アンモニア、低級脂肪酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィドの減少能のみが評価されており、悪臭物質のうち特に生体に悪影響のあるインドールを選択的に減少させることは何ら記載されていない。
【0006】
また、上記非特許文献1に関しては、表3には、ビフィズス菌製剤(Bifidobacterium longum 1×10CFU/gを含む)を1日3回、1ヶ月間服用させたところ、14日及び28日間服用時のインドール減少能が、それぞれ、44%及び62%達成されたことが示されているが、このようなインドール減少能では、上記したようなインドールの体内での有害な効果や糞便の悪臭問題を考慮すると、不十分であり、より高いインドール減少能を有する微生物に対する要求が依然として強く存在している。上記点に加えて、ビフィドバクテリウムの服用によりインドールが減少したという報告があるが、当該インドールの減少はインドール産生菌の増殖を抑制した結果であると推察されており、インドールの分解、変換、取り込み等による直接的な減少は未だ報告されていない。また、腸内細菌叢には個人差があるため、非特許文献1に開示されるビフィズス菌製剤では、全てのインドール産生菌の発育を必ずしも効果的に抑制することはできないと考えられる。
【0007】
上記点に加えて、上記特許文献1〜4及び非特許文献1に記載される微生物はすべて、40℃を超える高温条件下での生存が困難であるため、例えば、現在、糞便の悪臭がひどく、その廃棄が問題となっているニワトリは体温が高い(39〜40℃)ので、このような体温が高い動物に投与しても、微生物は死滅してしまい、悪臭物質の減少には効果がない;さらには、他の混入微生物との生育温度が近似しているため、培養物への他の雑菌の混入の危険性があるという問題もある。
【0008】
したがって、本発明は、上記事情を鑑みて、40℃以上の高温下でも生存可能でかつインドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラム、当該微生物の変異体および培養物を提供することを目的とするものである。
【0009】
本発明の他の目的は、40℃以上の高温下でも生存可能でかつ80%以上という高いインドール減少能を発揮するビフィドバクテリウム・サーモフィラム、当該微生物の変異体および培養物を提供することを目的とするものである。
【0010】
本発明の他の目的は、服用することにより効果的に腸内容物あるいは糞便のインドールを減少させることができるビフィドバクテリウム・サーモフィラム、当該微生物の変異体および培養物を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる他の目的は、服用しても安全性に問題がなく、且つインドールを直接分解、変換または取り込みにより80%という高い減少能でインドールを減少させることができるビフィドバクテリウム・サーモフィラム、当該微生物の変異体および培養物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行ない、人の糞便中からインドール分解能を有する菌の分離を試みた。すなわち、細菌学技術叢書3 嫌気性菌の分離と同定法(日本細菌学会教育委員会編、昭和60年6月10日 第1版第2刷発行、p.81)の方法に従って、嫌気性菌用希釈液(A)9mlが入った試験管に、糞便1gをとり、同希釈液(A)により10倍希釈を行なった。単一なコロニーが出るまで適当に希釈された液を、BL寒天培地(日水製薬)に塗抹し、37℃で3日間嫌気培養した。出現したコロニーをBL寒天培地に画線培養し、数回継代を繰り返して、純培養菌を得た。こうして分離された菌を、インドール20μg/mlを含むGAMブイヨン(日水製薬)10mlに白金耳で1コロニー接種し、37℃で48時間嫌気培養した後、インドール濃度の減少を液体クロマトグラフィーで測定し、このスクリーニング操作を繰り返した結果、インドール濃度を4μg/ml以下にまで減少できる(即ち、80%以上のインドール減少能を発揮できる)菌株を得た。上記スクリーニング操作において、なお、嫌気性菌用希釈液(A)は、4.5g KHPO、6.0g NaHPO、0.5g L−システイン・HCl・HO、0.5g Tween 80、1.0g 寒天、1000ml 精製水)を加温して、各成分を溶解し、試験管に9mlずつ分注し、酸素を含まない二酸化炭素ガスを吹き込んで試験管内の気相を置換し、素早くブチルゴム栓をし、ゴム栓が飛ばないように押えをして、115℃で20分間滅菌することによって、調製する。
【0013】
次に、この菌株の同定を行なったところ、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムであると同定されたが、従来ビフィドバクテリウム・サーモフィラムにインドール減少能を有するものは知られておらず、かつ、同じビフィドバクテリウム属に属する他の菌についてもインドール減少能を測定したところ、下記表1に示されるように、本発明で分離・同定されたビフィドバクテリウム・サーモフィラムの方が有意に優れたインドール減少能を示すことが分かった。また、この微生物は、インドールの減少に極めて有用であり、40℃以上の高温下でも生育でき、かつ従来から乳製品、飼料添加物、健康食品として使用され、安全性が広く認められているため、人体をはじめとして種々の動物に安全に服用できるため、これを服用することによって、効果的に腸内容物あるいは糞便のインドールを減少させ、糞便の悪臭の一つであり、便秘や下痢を引き起こしたり、細胞老化物質と呼ばれるリポフスチンを生成する原因になったり、大腸癌や膀胱癌に関与するなど、生体に有害な影響を及ぼしうるインドールを減少できることを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0014】
【表1】

【0015】
すなわち、本発明の上記目的は、インドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物によって達成される。なお、本明細書において、「インドール減少能」とは、微生物が、インドールを菌体内に取り込み、インドールを分解および/または変換できることを意味する。また、本明細書において、「インドール減少能(%)」とは、下記方法に従って48時間培養した後のインドール濃度の減少率(%)を意味し、即ち、式:インドール減少能(%)=100−(48時間培養後のインドール濃度(%))で算出された値とする。すなわち、滅菌条件下でGAMブイヨン培地(日水製薬)10mlにインドール200μgを添加し、この混合培地に、種々の菌株を単独で一白金耳接種し、37℃で48時間嫌気培養した後、培地中のインドール濃度を液体クロマトグラフィーで測定し、起始のインドール濃度を100%とした場合の、培養後のインドール濃度(48時間培養後のインドール濃度(%))を算出する。この際、培養液中のインドール濃度は、下記条件で液体クロマトグラフィーで測定する。
【0016】
<インドール濃度の測定条件>
培養液を6000×gで遠心し、上清を0.45μのメンブランフィルターで濾過した後、この濾液について、下記条件で液体クロマトグラフィー(島津製作所製)によって、インドール量を測定した。
【0017】
(分析条件)
カラム:ODS(C18)
移動相:0.02M酢酸/2−プロパノール/アセトニトリル
=60:15:25(体積比)
流量:1ml/分
カラム温度:40℃
検出器:UV 280nm
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、インドール減少能を発揮する。特に本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN−2(FERM P−20225)は、80%以上の優れたインドール減少能を発揮する。さらに、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、従来から乳製品や飼料添加物、健康食品として使用され、安全性が広く認められているものであるため、当該微生物を服用することにより、腸内細菌により産生されたインドールを効率的に減少させることができる。このようなインドールの減少により、便秘や下痢、さらにはリポフスチンの生成を防止/抑制したり、発癌を抑制することが期待され、便臭も軽減される。
【0019】
また、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムを、例えば、飼料に添加するなどにより、家畜や家禽をはじめとする様々な動物に投与することによって、現在、環境問題になっている、畜産動物等の悪臭対策にも効果が期待される。この際、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、40℃以上の高温条件下でも生育が可能であるため、菌体をこのような高温で培養することにより他の雑菌が当該細菌の培養物中に混入する危険性を回避することができ、さらにニワトリなど体温(39〜40℃)の高い動物に投与しても活性が低下せず、高温環境中でもインドール減少が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明は、インドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラム(本明細書では、単に「ビフィドバクテリウム・サーモフィラム」とも称する)及び該微生物の培養物を提供するものである。本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、インドールを菌体内に取り込み、インドールを他の無臭の物質に分解および/または変換する細菌である。また、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、80%以上という優れたインドール減少能を発揮でき、かつ従来から乳製品や飼料添加物、健康食品として使用されるような安全性の高い微生物であるため、本発明の微生物は服用が可能であり、服用により、腸内細菌により産生されたインドールを、分解、変換または取込みによって効率的に減少させることができ、その結果、便臭を軽減できるという利点に加えて、便秘や下痢が防止/抑制できる;細胞老化物質であるリポフスチンの生成を防止/抑制できる;発癌を阻害/抑制できるなどの利点を達成することが期待される。また、本発明の微生物は、同様にして家畜や家禽をはじめとする様々な動物に投与することもでき、これにより現在環境問題にもなっている、畜産動物等の糞便による悪臭の解消の有効な対策となることが期待できる。また、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、40℃以上の高温条件下でも生育が可能であるため、菌体をこのような高温で培養することにより他の雑菌が当該細菌の培養物中に混入する危険性を回避することができ、さらにニワトリなど体温(39〜40℃)の高い動物に投与しても活性が低下せず、高温環境中でもインドール減少が期待できる。本発明の微生物のうち、特に以下に詳述する本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN−2(FERM P−20225)は、46℃という高温でも生育が可能であるため、優れたインドール減少能を維持したまま菌体/培養物をこのような高温条件下におくことができ、これにより他の雑菌の混入の危険性を効果的に回避できる。上記利点に加えて、本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN−2(FERM P−20225)、ニワトリなどの体温(39〜40℃)の高い動物に投与しても優れたインドール減少の発揮が期待できる。
【0022】
本発明で使用できるビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、インドール減少能を有するものであれば特に制限されない。この際、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムによるインドール減少能は、高いほど好ましいが、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上である。この際、インドール減少能が80%未満であると、当該微生物によるインドール減少が十分でなく、便臭の軽減効果、便秘や下痢の防止/抑制効果、細胞老化物質であるリポフスチン生成の防止/抑制効果、及び発癌の阻害/抑制効果などが十分達成できないおそれがある。このようなインドール減少能を発揮する微生物としては、具体的には、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム、特に好ましくは以下に詳述するビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN−2(FERM P−20225)がある。
【0023】
本発明で使用できるビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、その名前のとおり、40℃以上の高い温度でもインドール減少能を維持したまま生育できるが、他の雑菌の混入の危険性やニワトリなどの体温(39〜40℃)の高い動物に投与の可能性を考慮すると、好ましくは40℃〜46℃の温度でもインドール減少能を維持したまま生育できることが好ましい。
【0024】
以下、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN−2株について、詳述する。
【0025】
以下の方法によって、健康なヒトの糞便中から、様々な菌を単離し、これらについてインドール減少能を試験管内で測定し、インドール減少能の高い菌をスクリーニングしていった。すなわち、人の糞便中からインドール分解能を有する菌の分離を試みた。すなわち、細菌学技術叢書3 嫌気性菌の分離と同定法(日本細菌学会教育委員会編、昭和60年6月10日 第1版第2刷発行、p.81)の方法に従って、嫌気性菌用希釈液(A)9mlが入った試験管に、糞便1gをとり、同希釈液(A)により10倍希釈を行なった。単一なコロニーが出るまで適当に希釈された液を、BL寒天培地(日水製薬)に塗抹し、37℃で3日間嫌気培養した。出現したコロニーをBL寒天培地に画線培養し、数回継代を繰り返して、純培養菌を得た。こうして分離された菌を、インドール20μg/mlを含むGAMブイヨン(日水製薬)10mlに白金耳で1コロニー接種し、37℃で48時間嫌気培養した後、インドール濃度の減少を液体クロマトグラフィーで測定し、このスクリーニング操作を繰り返した結果、インドール濃度を4μg/ml以下にまで減少できる(即ち、80%以上のインドール減少能を発揮する)菌株を得た。上記スクリーニング操作において、なお、嫌気性菌用希釈液(A)は、4.5g KHPO、6.0g NaHPO、0.5g L−システイン・HCl・HO、0.5g Tween 80、1.0g 寒天、1000ml 精製水)を加温して、各成分を溶解し、試験管に9mlずつ分注し、酸素を含まない二酸化炭素ガスを吹き込んで試験管内の気相を置換し、素早くブチルゴム栓をし、ゴム栓が飛ばないように押えをして、115℃で20分間滅菌することによって、調製する。
【0026】
この結果、92%という高いインドール減少能を示す菌株が得られた。
【0027】
上記菌株の菌学的性質を調べたところ、下記の性質を有することが分かった。ただし、下記説明において、+は陽性、−は陰性を示す。
【0028】
1.形態的性質
(a) 細胞の形:桿菌、不定形
(b) 運動性有無:−
(d) 内生胞子の有無:−
2.培養的性質
(a) 肉汁ゼラチン穿刺培養:ゼラチン液化は、−
3.生理学的性質
(a) グラム染色性:+
(b) インドールの生成:−
(c) 硝酸塩の還元(硝酸塩からの亜硝酸塩の生成):−
(d) カタラーゼ:−
(e) デンプンの加水分解:+
(f) エスクリンの分解:−
(g) 酸素に対する態度:偏性嫌気性
(h)生育の範囲:至適pHは、6.6〜7.0
(i)46℃での発育:+
(j)グルコースから産生される主な酸:酢酸、乳酸
(k)インドール分解、変換、取込能:+
4.糖の分解及び酸の生成
(a) L−アラビノース:−
(b) ラクトース:−
(c) セロビオース:−
(d) D−フラクトース:+
(e) D−グルコース:+
(f) イノシトール:−
(g) マルトース:+
(h) D−マンニトール:−
(i) ラフィノース:+
(j) サリシン:−
(k) デンプン:+
(l) スクロース:+
(m) トレハロース:−
(n) D−キシロース:−
以上の諸性質を、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology) Vol.1.1, 1984年を参照して検討したところ、上記菌株の性状が、ビフィドバクテリウム属に属する微生物、特にビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)の性状に酷似することが判明した。さらに詳細に検討するため、遺伝的検討を行なった。すなわち、16S rDNAの部分塩基配列約500bpを用いて、相同性検索を行った結果、Bifidobacterium thermophilumの標準株と98.6%の高い相同性を示したことから、上記菌株はビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)と同定された。しかしながら、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)に属する既知菌株でインドール減少能を示すものはいまだ知られておらず、既知菌株にはこれら本菌株に近縁ないし同種のものは存在しないため、新菌株であると認められる。このため、本菌株をビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2(Bifidobacterium thermophilum IN2)株と命名し、平成16年9月24日付で、独立行政法人産業技術総合研究所に、受託番号 FERM P−20225で寄託した。なお、本明細書では、本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2(Bifidobacterium thermophilum IN2)株を、単に「IN2株」とも称する。
【0029】
本発明において、本菌株を自然にもしくは人工的手段によって変異させて得られる変異株であっても、インドール減少能、好ましくは80%以上のインドール減少能(例えば、目的とするインドールを分解する能力)を有するビフィドバクテリウム属である限り、このような変異株もまた本発明に包含される。このような変異株の生産方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。具体的には、自然突然変異、ならびに周知の突然変異、例えば、紫外線照射、X線照射、放射線照射、エチルメタンスルホン酸(EMS)、N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)等の化学的突然変異誘発剤を用いた突然変異誘発手段などがある。
【0030】
本発明は、上記インドール分解能を有する菌株を培養して得られる培養物をも包含するものである。
【0031】
本発明において、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムの培養では、ビフィドバクテリウム属に属する微生物を一般的に培養するのと同様の培地及び培養条件が使用され、例えば、本発明による培養に使用される培地は、当業者には公知の成分からなる培地が使用でき、特に制限されず、各種培養成分を適宜混合することにより調製してもあるいは市販の培地をそのまま使用してもあるいは市販の培地に上記公知の成分を補助成分として添加した培地を使用してもよい。この際、培地は、固体または液体培地のいずれを使用してもよく使用目的によって適宜選択され、また、使用する微生物が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩及びその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれであってもよい。
【0032】
本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラムの培養において使用できる炭素源は、使用する菌株が良好に生育し、インドール減少能を発揮できるものであれば特に制限されない。具体的には、ブドウ糖、白糖、乳糖、デンプンまたはその組成画分、焙焼デキストリン、加工デンプン、デンプン誘導体、物理処理デンプン、α−デンプン、可溶性デンプン、アミロース、アミロペクチン、マルトオリゴ糖、シクロデキストリン、プルラン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン及びデキストリン、グリセリン、ソルビトール、麦芽汁、グルコース等の炭水化物が挙げられる。これらの炭素源のうち、インドール減少能の観点から、ブドウ糖、デンプン、可溶性デンプン、白糖が好ましく使用される。これらの炭素源は、単独あるいは2種以上の混合物の形態で使用できる。
【0033】
本発明によるビフィドバクテリウム・サーモフィラムの培養において使用できる窒素源もまた、使用する菌株が良好に生育し、インドール減少能を発揮できるものであれば特に制限されない。具体的には、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)等のポリペプトン、酵母エキス、味液(大豆タンパク酸加水分解物)、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸及びコーンスティープリカー等の有機窒素化合物、およびアンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物等が挙げられる。これらの窒素源のうち、インドール減少能の観点から、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、味液が好ましく使用される。これらの窒素源も、単独あるいは2種以上の混合物の形態で使用できる。
【0034】
本発明による培養に使用できる無機塩もまた、使用する菌株が良好に生育し、インドール減少能を発揮できうるものであれば特に制限されないが、具体的には、リン酸水素カリウム等の緩衝剤、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛などのリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。さらに、必要に応じて微生物の生育に必要な各種の有機栄養源、無機栄養源などを培地に添加することができる。
【0035】
本発明において、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムの培養は、従来公知の方法と同様にして行われ、その際の培養条件は、使用する菌株、培地の組成及び培養法によって適宜選択され、使用する菌株が増殖しインドール減少能を発揮できる条件であれば特に制限されない。具体的には、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムの培養は、嫌気的条件下に行なわれ、バッチ培養の場合には、気相を窒素ガスや炭酸ガス等で置換して行なう。上記培地を115〜121℃で15〜30分間蒸気滅菌し、冷却後、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムを、一般に培地中に1×10〜1×10/mlになるように接種する。この際、培養温度は、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムが良好に生育できる温度であれば特に制限されないが、好ましくは30〜42℃、より好ましくは35〜40℃であり、培養期間もまた、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムが良好に生育できる温度であれば特に制限されないが、好ましくは1〜5日間、より好ましくは1〜3日間である。なお、培地中のpHは、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムが良好に生育できる温度であれば特に制限されないが、6〜8に保つことが好ましい。
【0036】
培養終了後は、遠心分離や濾過などにより菌体を集めることによって、培養物が得られる。この培養物は、そのままの形態で使用してもよいが、滅菌水や緩衝液等で洗浄し、スキンミルク、グルタミンソーダ等の保護剤を含む溶液に懸濁した後、噴霧乾燥あるいは凍結乾燥により粉末化することもできる。
【0037】
本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラムは、従来から乳製品や飼料添加物、健康食品として使用され、安全性が広く認められているため、上記したような本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末は、そのままでも使用できるが、食品、飲料または飼料に添加されてもよい。この際、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末の食品、飲料または飼料への添加量は、腸内細菌により産生されたインドールの効率的な減少が達成できるような量であれば特に制限されないが、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムが、0.1〜6mg(乾燥菌体質量換算)/g食品、飲料または飼料、より好ましくは0.2〜3mg(乾燥菌体質量換算)/g食品、飲料または飼料の量で食品、飲料または飼料中に含まれることが好ましい。通常食することのできる食品、飲料または飼料としては、例えば、オカラ、オカラ納豆、納豆、大豆、味噌や納豆製造時に副生する大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時に副生する豆腐粕、大豆を原料とした製油時に副生する大豆粕、味噌製造時の副産物である大豆の種皮、ヨーグルト、チーズ等の乳製品、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、なると、つみれ等の水産練り製品、でんぶ等の魚介類加工品、ソーセージ、フランクフルト、レバーペースト等の食肉加工品、豆腐、焼き豆腐、生揚げ、油揚げ、がんもどき、おから、凍り豆腐、湯葉等の豆製品、ピューレ等の野菜加工品、マッシュポテト、くず、はるさめ、こんにゃく、しらたき等の芋加工品、もち、白玉、白飯、麩、ビーフン、マカロニ、スパゲッティ、そうめん、そば、うどん、中華めん、即席麺、食パン、乾パン、アンパン等の穀物の加工品、冷凍食品、栄養補助食品、ジャム等の甘味類、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂類、あめ、らくがん、せんべい、あられ、カステラ、ようかん、もなか、まんじゅう、大福もち、だんご、ういろう、チョコレート、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ケーキ、パイ、アイスクリーム、プリン、ババロア、ガム等の菓子類、豆腐、ゼリー、コンニャク、寒天またはトコロテン等のゲル状食品、コンブ、ワカメ、ノリ、テングサ等の海草類など、すべての食品;各種果汁ジュース(オレンジ、パイナップル、リンゴ、ブドウ、メロン及びイチゴジュース等を含む)、各種炭酸飲料、お茶(煎茶、ウーロン茶等を含む)、飲むヨーグルト、牛乳、豆乳、調製乳、ミネラルウォーター、清涼飲料、コーヒー、紅茶、ココアなど、すべての飲料;ならびにブタ、ウシ、ウマ、ヒツジやヤギ等の家畜、イヌ、ネコ、ウサギやハムスター等のペット、家禽及び魚など、通常、飼育される動物用のエサ(飼料)が挙げられる。特に、本発明によるIN2株は、46℃という高温下で生育できるため、ニワトリのように体温が39〜40℃と高い動物の体内に入ってもインドール減少能を維持できるため、家禽用のエサ(飼料)にも好適に使用できる。従来知られていたインドールを分解できる上記したような微生物は、このような高温での生育は困難であるため、ニワトリのような体温の高い動物には適用できなかった。
【0038】
または、上記したような本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末は、カプセルに封入による使用や錠剤に加工するなど、経口的に投与される形態に成形されてもよい。より具体的には、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末を、適当な添加剤、例えば、乳糖、ショ糖、マンニット、トウモロコシデンプン、合成もしくは天然ガム、結晶セルロース等の賦形剤、デンプン、セルロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボシキメチルセルーロースカルシウム、カルボシキメチルセルーロースナトリウム、デンプン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の充填剤または希釈剤等と適宜混合して、錠剤、散剤(粉末)、丸剤、および顆粒剤等の固型製剤にすることができる。また、硬質または軟質のゼラチンカプセル等を用いてカプセル剤としてもよい。これらの固型製剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、メタアクリレートコポリマー等の被覆用基剤を用いて腸溶性被覆を施してもよい。さらに、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末を、精製水等の一般的に用いられる不活性希釈剤に溶解して、必要に応じて、この溶液に浸潤剤、乳化剤、分散助剤、界面活性剤、甘味料、フレーバー、芳香物質等を適宜添加することにより、シロップ剤、エリキシル剤等の液状製剤とすることもできる。上記場合において、本発明のビフィドバクテリウム・サーモフィラム、その培養物、または上記したようにして得られる粉末のヒトを含む動物への投与量は、腸内細菌により産生されたインドールの効率的な減少が達成できるような量であれば特に制限されず、投与する対象や投与対象の状態(例えば、糖尿病への罹患の有無など)によって異なり、最終的には担当医が決定するものであるが、ビフィドバクテリウム・サーモフィラムが、0.1〜10mg/kg体重、より好ましくは0.4〜5mg/kg体重投与されるような量であることが好ましい。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0040】
実施例1
GAMブイヨン(日水製薬)10mlに、GAM寒天培地上で発育したIN2株の1コロニーを白金耳で接種し、37℃で24時間、嫌気培養することによって、前培養液を調製した(なお、本実施例では、前培養液を2本調製した)。
【0041】
別途、1Lの脱イオン水に、にペプトン10g、酵母エキス3g、肉エキス3g、ブドウ糖0.5g、溶性デンプン5g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化ナトリウム3gを添加した液体培地に、インドールを20mg加え、121℃で15分間蒸気滅菌した後、37℃まで冷却し、本培養用の培養液を調製した(本実施例では、この1L本培養用培養液を2本用意した)。この本培養用培養液1L(2本)に、上記したようにして24時間前培養したビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株の前培養液10mlを、それぞれ、接種し、培養容器内の空気を窒素に置換しながら、37℃で48及び72時間、嫌気培養した。所定時間培養後の培養液について、インドール濃度の減少を、液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株のインドール減少能は、48及び72時間後で、それぞれ、92%及び96%であった。なお、培養液中のインドールの量は、下記条件で液体クロマトグラフィーで測定した。
【0042】
<インドール量の測定条件>
培養液を6000×gで遠心し、上清を0.45μのメンブランフィルターで濾過した後、この濾液について、下記条件で液体クロマトグラフィー(島津製作所製)によって、インドール量を測定した。
【0043】
(分析条件)
カラム:ODS(C18)
移動相:0.02M酢酸/2−プロパノール/アセトニトリル
=60:15:25(体積比)
流量:1ml/分
カラム温度:40℃
検出器:UV 280nm
実施例2
本実施例では、実施例1で得られた培養液中のインドールの減少が、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株の菌体表面へのインドールの吸着によるのか、あるいは菌内内への取り込みによるのかを検討するために、以下の試験を実施した。
【0044】
すなわち、実施例1で使用した本培養用の培養液からインドールを除いた以外は同様の組成を有する培養液1Lに、実施例1と同様にして培養された前培養液10mlを接種して、培養容器内の空気を窒素に置換しながら、37℃で72時間、嫌気培養し、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株の培養液1Lを得た。次に、この培養液を、10,000×gで15分間、遠心することにより集菌した後、上清を捨て、滅菌生理食塩水20mlを加えて菌体を懸濁し、この懸濁液を10,000×gで15分間、遠心することにより再度菌体を集めた。この菌体に、生理食塩水20mlを加えて菌体を懸濁した後、気相を酸素に置換し、ボルテックスで30分間混合して、菌を死滅させた。なお、上記死菌懸濁液の調製は、無菌的操作により行なった。次に、実施例1と同様にして調製したインドールを含む本培養用の培養液(滅菌済)500mlに、上記死菌懸濁液10mlを添加し、37℃で72時間、嫌気培養した。所定時間培養後の培養液について、インドール濃度の減少を、実施例1の方法と同様にして、液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、起始と72時間後のインドール濃度に差は認められなかったことから、実施例1で認められたインドールの減少は、インドールが単に菌体表面に付着するのではなく、菌体内に取り込まれたことにより起こっていることが考察される。なお、本実施例では、上記培養期間中、IN2株及び他の如何なる菌の発育/生育も確認されず、上記死菌懸濁液中に生菌は存在していなかったことを確認した。
【0045】
実施例3
GAMブイヨン800mlに、GAM寒天培地上で発育したIN2株の1コロニーを白金耳で接種し、37℃で48時間、嫌気培養することによって、前培養液を調製した。
【0046】
別途、40Lの脱イオン水に、ペプトン400g、酵母エキス120g、肉エキス120g、ブドウ糖20g、溶性デンプン200g、リン酸二水素カリウム100g、塩化ナトリウム120gを添加した液体培地を、121℃で30分間蒸気滅菌した。この液体培地を37℃まで冷却した。この培養液40Lに、上記したようにして調製したビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株の48時間前培養液800mlを接種し、培養容器内の空気を窒素に置換しながら、37℃で48時間、嫌気培養した。その後、培養液を10,000gで15分間遠心して菌体を集め、スキムミルク100g、グルタミンソーダ10gが入った溶液2Lに菌体を懸濁し、−20℃で1時間、凍結した後、凍結乾燥を行なった。得られた粉末菌体中のビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株の菌数は、6×10/gであった。
【0047】
実施例4
8週令のddy雄性マウス10匹に、実施例2で作製した粉末菌体50mgをスキンミルク1mlに懸濁したものを、0.2ml/匹の投与量で、2週間、一日2回、経口投与した。2週間後、各マウスから糞便を採取し、この糞便中のインドール濃度を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって、測定した。この際、対照としては、スキンミルクのみを投与した群を用いた。その結果、対照マウスの糞便中のインドール濃度の平均を100%とした場合、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2株を投与した群は、18%と有意に減少しており、これから、本発明のIN2株は82%という高いインドール減少能を示した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のインドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物を、ヒトを含む動物に服用させて、インドールを菌体内に取り込んで、分解および/または変換させることにより腸内のインドールを減少させ、これによりインドールにより誘発される発癌抑制や便臭の軽減が期待できるため、糞便脱臭剤などの用途に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インドール減少能を有するビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物。
【請求項2】
インドール減少能が80%以上である、請求項1に記載のビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物。
【請求項3】
40℃〜46℃の温度でインドール減少能を有する、請求項1または2に記載のビフィドバクテリウム・サーモフィラムまたは該微生物の培養物。
【請求項4】
該微生物は、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム IN2(Bifidobacterium thermophilum IN2)(FERM P−20225)またはその変異株である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微生物または該微生物の培養物。

【公開番号】特開2006−158216(P2006−158216A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349616(P2004−349616)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000114282)ミヤリサン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】