説明

エンジン

【課題】エンジンからモア等の駆動装置までの伝達経路で伝達方向が大きく変化する動力伝達機構において、ベルト等の無端帯を捻れさせないためには、方向転換構造を有する単一の動力伝達ケースをエンジン自体に設けることが考えられるが、複数の駆動装置に動力を分配する際、該動力伝達ケースの大型化が避けられない、という問題があった。
【解決手段】クランク軸25に平行に配置され該クランク軸25からの動力を入力する第一入力軸43と該第一入力軸43に垂直な第一出力軸44とを内装支持する第一動力伝達ケース33に、前記クランク軸25に平行に配置されて該クランク軸25からの動力を入力する第二入力軸38を内装支持する第二動力伝達ケース34を少なくとも一つ並設し、クランク軸25からの動力を、前記第一動力伝達ケース33と第二動力伝達ケース34を介して、エンジン1外部の複数の駆動装置5・6に供給可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略水平方向にクランク軸を有するエンジンの技術に関し、詳しくは、該エンジン外部の駆動装置に前記クランク軸からの動力を供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジン内の略水平方向のクランク軸に対して垂直に配置された軸に、エンジンからの動力を伝達する技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。該技術においては、作業車両はアッカーマン式の芝刈り機であって、該芝刈り機には、前後略水平方向にクランク軸を有するエンジンが設けられ、該エンジンの下方には、左右水平方向にカウンター軸を設け、該カウンター軸の後方に、前記クランク軸に垂直な入力軸を上下方向に有するモアが備えられている。そして、前記クランク軸の前端にはクランクプーリ、カウンター軸の左右両端には一対のカウンタープーリ、入力軸の上端には入力プーリが、それぞれ固設され、これらクランクプーリ、左右一対のカウンタープーリ、及び入力プーリには単一のベルトが巻回されており、エンジンからの動力が、クランクプーリから単一のベルトを介して下方のカウンタープーリに伝達され、そこで伝達方向を90度変え、同じベルトを介して後方の入力プーリに伝達され、該入力プーリに接続されたモアの回転刃が回転駆動される。
このように、エンジンからモア等の作業機や車軸駆動装置(以下、まとめて単に「駆動装置」とする。)までの伝達経路の途中で、伝達方向が大きく変化する動力伝達機構においては、プーリ・スプロケット等の回転伝達体間を巻回するベルト・チェーン等の無端帯が、途中の方向転換位置で大きく捻れるため、無端帯の耐用寿命が短くなったり、大きな騒音が発生する。更に、無端帯を方向転換させるには、方向変換位置での巻回スペースを大きく確保する必要があり、該巻回スペースが作業車両の小型化を図る上で大きな制約となっている。加えて、クランクプーリ、左右一対のカウンタープーリ、及び入力プーリから成る三つの回転伝達体を、長い無端帯のベルトによって巻回することから、伝達効率が悪く、組立時には、これらの回転伝達体間の位置調整が必要となり、組立時の作業効率も良好とは言えない。
そこで、このような不具合を解消するには、クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する入力軸と、該入力軸に垂直な出力軸とを内装支持した単一の動力伝達ケースをエンジン自体に備え付け、該動力伝達ケースを介して前記駆動装置に動力を分配する技術が考えられる。この場合、該動力伝達ケース内において、前記入力軸と出力軸間には、ベベルギア等の方向転換構造が介設されている。
【特許文献1】実開昭60−10427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような単一の動力伝達ケースから複数の駆動装置に動力を分配する場合、動力伝達ケースからの出力馬力を大きくとる必要があり、それに伴って方向転換構造も大きくなり、動力伝達ケースの大型化が避けられない、という問題があった。
更に、動力伝達ケースからの出力回転数は一種類しかないため、全ての駆動装置には、伝達軸径等に応じた最適な回転数を入力することができず、大きな騒音が発生したり、伝達効率が悪くなる、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、略水平方向にクランク軸を有するエンジンにおいて、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第一入力軸と該第一入力軸に垂直な第一出力軸とを内装支持する第一動力伝達ケースに、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第二入力軸を内装支持する第二動力伝達ケースを、少なくとも一つ並設することにより、前記クランク軸からの動力を、前記第一動力伝達ケースと第二動力伝達ケースを介して、エンジン外部の複数の駆動装置に供給可能としたものである。
請求項2においては、前記エンジンの下部にオイルパンを備え、該オイルパンに前記第一動力伝達ケースを取り付けるものである。
請求項3においては、前記オイルパンの下側に切欠き部を形成し、該切欠き部内に前記第一動力伝達ケースを配置するものである。
請求項4においては、前記第二動力伝達ケースは、前記第二入力軸に垂直な第二出力軸を内装支持し、該第二出力軸から前記駆動装置に回転動力を供給するものである。
請求項5においては、前記第二動力伝達ケースは、油圧ポンプを内装し、該油圧ポンプから前記駆動装置に油圧動力を供給するものである。
請求項6においては、前記クランク軸からの動力は、単一の無端帯を介して、前記第一入力軸と第二入力軸に入力するものである。
請求項7においては、前記クランク軸からの動力は、前記クランク軸から第一入力軸までの第一無端帯と、前記クランク軸から単一又は複数の第二入力軸までの第二無端帯とを介して、各入力軸に入力するものである。
請求項8においては、前記クランク軸から、前記第一入力軸と単一又は複数の第二入力軸とから成る複数の入力軸まで間に、該入力軸毎に無端帯を設けるものである。
請求項9においては、前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて同じクランク軸端部側に配置するものである。
請求項10においては、前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて反対のクランク軸端部側に配置するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、略水平方向にクランク軸を有するエンジンにおいて、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第一入力軸と該第一入力軸に垂直な第一出力軸とを内装支持する第一動力伝達ケースに、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第二入力軸を内装支持する第二動力伝達ケースを、少なくとも一つ並設することにより、前記クランク軸からの動力を、前記第一動力伝達ケースと第二動力伝達ケースを介して、エンジン外部の複数の駆動装置に供給可能としたので、第一動力伝達ケースと第二動力伝達ケース(以下、まとめて単に「動力伝達ケース」とする。)を伝達経路の途中に介設し、無端帯を、クランク軸から入力軸までと、出力軸から駆動装置までとに分けて巻回することができ、無端帯が伝達経路途中で方向転換することがないため、大きな捻れも発生せずに無端帯の耐用寿命が長くなり、騒音も低減することができる。同時に、各無端帯の長さが短くなってスリップや振動等が起こりにくいため、伝達効率が向上し、組立時の回転伝達体間の位置調整も不要なため、組立時の作業効率も向上する。更に、各駆動装置毎に専用の動力伝達ケースを設けることができ、該動力伝達ケースからの出力馬力が小さくて済み、それに伴い動力伝達ケース内の方向転換構造も小さくなって、動力伝達ケースの小型化を図ることができる。同時に、各駆動装置に最適な回転数を、対応する動力伝達ケースから無端帯を介して入力させることが可能となり、各駆動装置が安定して駆動するため、大きな騒音が発生しなくなり、伝達効率も一層向上する。
請求項2においては、前記エンジンの下部にオイルパンを備え、該オイルパンに前記第一動力伝達ケースを取り付けるので、オイルパンを利用して、第一動力伝達ケースをエンジンに容易に取り付けることができ、組立時における動力伝達ケースの取付作業の作業効率が向上する。更に、該動力伝達ケースをエンジンと同一の振動系に設定することができ、防振対策が簡素化されてコストダウンを図ることができる。
請求項3においては、前記オイルパンの下側に切欠き部を形成し、該切欠き部内に前記第一動力伝達ケースを配置するので、切欠き部を利用して、第一動力伝達ケースをコンパクトに配置することができ、エンジンを小さくして作業車両の小型化を図ることができる。
請求項4においては、前記第二動力伝達ケースは、前記第二入力軸に垂直な第二出力軸を内装支持し、該第二出力軸から前記駆動装置に回転動力を供給するので、エンジンからの動力を、第二動力伝達ケースから、安価で簡単な構成の無端帯やギア等から成る機械式伝達系を介して各駆動装置に供給することができ、部品コストの低減、伝達効率の向上を図ることができる。
請求項5においては、前記第二動力伝達ケースは、油圧ポンプを内装し、該油圧ポンプから前記駆動装置に油圧動力を供給するので、エンジンからの動力を、第二動力伝達ケースから、油圧配管等から成る油圧式伝達系を介して各駆動装置に供給することができ、該各駆動装置に対して高精度な駆動制御を行い、走行性能や旋回性能の向上を図ることができる。
請求項6においては、前記クランク軸からの動力は、単一の無端帯を介して、前記第一入力軸と第二入力軸に入力するので、動力伝達に必要な無端帯の本数を減らすことができ、部品点数の減少による部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項7においては、前記クランク軸からの動力は、前記クランク軸から第一入力軸までの第一無端帯と、前記クランク軸から単一又は複数の第二入力軸までの第二無端帯とを介して、各入力軸に入力するので、駆動装置が、第一動力伝達ケースに対応する駆動装置と、第二動力伝達ケースに対応する駆動装置との2種類である場合に、クランク軸から入力軸までの動力伝達構成の簡単な変更だけで、各種類の駆動装置に対して最適な回転数を入力することが可能となり、最少の本数の無端帯で各駆動装置を安定駆動させることができ、部品点数の減少による部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項8においては、前記クランク軸から、前記第一入力軸と単一又は複数の第二入力軸とから成る複数の入力軸までの間に、該入力軸毎に無端帯を設けるので、第二動力伝達ケースに対応する駆動装置が複数種類あって、該駆動装置毎に最適な回転数が異なる場合でも、クランク軸から入力軸までの動力伝達構成の簡単な変更だけで、該駆動装置毎に最適な回転数を入力することが可能となり、確実に各駆動装置を安定駆動させることができ、各駆動装置の駆動性能を大きく向上させることができる。
請求項9においては、前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて同じクランク軸端部側に配置するので、クランク軸、第一入力軸、及び第二入力軸を近接して配置し、クランク軸からこれらの第一入力軸と第二入力軸までの伝達経路の長さを短縮することができ、無端帯やギア等の伝達系を小さくして、配置スペースの縮小によるエンジンの小型化や伝達効率の向上を図ることができる。
請求項10においては、前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて反対のクランク軸端部側に配置するので、第一動力伝達ケースに対応する駆動装置と、第二動力伝達ケースに対応する駆動装置とが、クランク軸の一端部側と他端部側に分かれて配置されている場合に、クランク軸から各駆動装置までの伝達経路の長さを短縮することができ、伝達スペースの縮小による作業車両の小型化や、スリップや振動等の抑制による伝達効率の向上を図ることができる。例えば、クランク軸の前端部側に、作業機用の第一動力伝達ケースが配置され、クランク軸の後端部側に、車軸駆動装置用の第二動力伝達ケースが配置される場合には、前装作業機・後輪駆動式の作業車両に適した配置構成であり、逆に、クランク軸の前端部側に、車軸駆動装置用の第二動力伝達ケースが配置され、クランク軸の後端部側に、作業機用の第一動力伝達ケースが配置される場合には、後装作業機・前輪駆動式の作業車両に適した配置構成であって、いずれの場合も、伝達経路の長さを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第一実施例に係わるエンジンを搭載した作業車両の側面一部断面図、図2は第一実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図、図3は第一実施例に係わるエンジンの正面図、図4は同じく側面図、図5は第一実施例の伝達ボックスの側面一部断面図であって、図5(a)は第一伝達ボックスの側面一部断面図、図5(b)は第二伝達ボックスの側面一部断面図、図6は第一実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図、図7は本発明の第二実施例に係わるエンジンの正面図、図8は第二実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図であって、図8(a)は後車軸駆動装置を左右別個に設けた場合の平面模式図、図8(b)は前後に車軸駆動装置を設けた場合の平面模式図、図9は第二実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図であって、図9(a)は第一入力軸と左右の第二入力軸とに分けてベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図、図9(b)は各入力軸毎にベルトを巻回した場合のベルト機構を示す正面図、図10は本発明の第三実施例に係わるエンジンの部分正面図、図11は同じく側面図、図12は第三実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図、図13は第三実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図であって、図13(a)は第一入力軸と左右のポンプ軸とに分けてベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図、図13(b)は各軸毎にベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図、図14は本発明の第四実施例に係わるエンジンの正面図、図15は同じく側面図、図16は本発明の第五実施例に係わるエンジンの正面図、図17は同じく側面図である。
なお、本実施例では、図2に示す矢印54の方向を前方、矢印55に示す方向を左方として説明する。
【0007】
まず、本発明の第一実施例に係わるエンジン1を搭載した作業車両2の全体構成について、図1、図2により説明する。
該作業車両2は、アッカーマン操舵式の芝刈り機であって、車両フレーム3と、該車両フレーム3の後部に支持される後車軸駆動装置5と、車両フレーム3の前部に支持される前車軸支持装置4と、該前車軸支持装置4と前記後車軸駆動装置5間にて車両フレーム3によって支持されるエンジン1と、車両フレーム3の下方に昇降可能に吊設されるモア6とを備えている。
【0008】
そして、このうちの後車軸駆動装置5には、油圧ポンプ7と、該油圧ポンプ7に流体接続される油圧モータ8と、該油圧モータ8の出力軸を左右の後車軸10L・10Rに差動連結する差動装置11等が収納されており、油圧ポンプ7のポンプ軸12に入力された、エンジン1からの動力が、前記油圧ポンプ7と油圧モータ8等から成る油圧式無段変速装置18によって無段階に変速された後、差動装置11を介して差動動力として、左右の後車軸10L・10Rを走行駆動させるようにしている。
【0009】
前記エンジン1は、ボンネット13内に収納され、該ボンネット13直後のダッシュボードから後上方には、ハンドル14が延設されると共に、エンジン1の直前の車両フレーム3には、ラジエータ15が搭載されている。加えて、前記ボンネット13内においては、図示せぬ油圧シリンダなどに作動油を補給するためのリザーバタンク16が、エンジン1の後方に配設されている。
【0010】
更に、前記車両フレーム3の後部には、リアカバー17が配設され、該リアカバー17の上面に、運転席109が搭載されると共に、該リアカバー17内には、前記後車軸駆動装置5が配設されている。
【0011】
前記モア6は、後車軸駆動装置5によって駆動される後輪20と、前車軸支持装置4によって支持される前輪19との間で、車両フレーム3の下方に配設されている。そして、車両フレーム3の左右側板前端部には、左右のモアハンガー21・21がそれぞれ連結され、該モアハンガー21・21は、各リンクロッド21a・21aを介してモア6の前端に連結されており、これにより、モア6が昇降可能に吊設されている。
【0012】
次に、前記エンジン1について、図1乃至図6により説明する。
図3、図4に示すように、エンジン1においては、下部にオイルパン22が設けられ、該オイルパン22の上部にシリンダブロック23が備えられ、該シリンダブロック23の更に上部にはシリンダヘッド24が備えられている。
【0013】
そして、前記シリンダブロック23内には、クランク軸25が前後に略水平方向に架設され、該クランク軸25の前後端部は、それぞれ、前記シリンダブロック23の前後端面から突出されている。そして、このクランク軸25の後端部には、フライホイール26が固設されると共に、クランク軸25の前端部には、前方から順に第一クランクプーリ25a、第二クランクプーリ25bが固設されている。
【0014】
前記クランク軸25の上方には、冷却ファン27が配置され、該冷却ファン27のファン軸28には、プーリ28aが固設されると共に、冷却水ポンプ29が取り付けられている。前記冷却ファン27の左方には、オルタネータ30が配置され、該オルタネータ30のオルタネータ軸31には、プーリ31aが固設されている。
【0015】
そして、前記クランク軸25の第二クランクプーリ25b、ファン軸28のプーリ28a、及びオルタネータ軸31のプーリ31aには、一本のベルト32が巻回されて補機駆動用ベルト機構53が構成されており、該補機駆動用ベルト機構53によって、前記クランク軸25からの動力が前記ベルト32を介して伝達され、前記冷却ファン27、冷却水ポンプ29、及びオルタネータ30が駆動されるようにしている。
【0016】
また、前記オイルパン22の前部下側には、該オイルパン22の前下角部が側面視略矩形状に切り欠かれて成る切欠き部22aが形成されている。該切欠き部22aの下面22bにおいて、該下面22bの左側には、第一伝達ボックス33の取付部35がボルト37によって締結固定され、下面22bの右側には、第二伝達ボックス34の取付部36がボルト37によって締結固定されている。そして、該両伝達ボックス33・34は、同一水平面上にあって、正面視で、前記クランク軸25を通る垂直面を挟んで左右対称位置に配置されている。
【0017】
このうちの第一伝達ボックス33には、図5(a)に示すように、前記クランク軸25に対して平行な第一入力軸43と、該第一入力軸43に対して垂直な第一出力軸44とが、軸受けによって回動自在に内装支持されると共に、該第一出力軸44の上端に固設されたベベルギア46には、前記第一入力軸43の後端に固設されたベベルギア45が噛合されている。
【0018】
更に、第一入力軸43の前端部には、第一入力プーリ43aが固設されると共に、第一出力軸44の下端には、同軸上に出力軸部44bが着脱可能に連結され、該出力軸部44bに、第一出力プーリ44aが電磁クラッチ48を介して設けられている。そして、該電磁クラッチ48の入切によって、第一出力軸44から第一出力プーリ44aへの動力を断接することができる。
【0019】
該電磁クラッチ48は、図3に示すように、左右一対の長尺のボルト49・49を電磁クラッチ48のボルト孔48aに下方から螺挿することにより、第一伝達ボックス33下部に左右に延設されたボス部47に、確実に取り付けることができる。このクラッチは前記電磁クラッチ48に限定されるものではなく、例えば、油圧クラッチでもよい。なお、第一入力プーリ43aの後側には、冷却ファン42が取り付けられており、該冷却ファン42によって冷却風を後方に向かって送風し、前記オイルパン22等を効率良く冷却できるようにしている。
【0020】
前記第二伝達ボックス34にも、図5(b)に示すように、前記クランク軸25に対して平行な第二入力軸38と、該第二入力軸38に対して垂直な第二出力軸39とが、軸受けによって回動自在に内装支持されると共に、該第二出力軸39の上端に固設されたベベルギア41には、前記第二入力軸38の後端に固設されたベベルギア40が噛合されている。
【0021】
更に、第二入力軸38の前端部にも、第二入力プーリ38aが固設されると共に、第二出力軸39の下端部には、第二出力プーリ39aがキー嵌合により固設されており、これにより、第二入力プーリ38aに入力された動力は、伝達方向がベベルギア40・41によって90度変えられた後、第二出力プーリ39aから出力させることができる。なお、第二入力プーリ38aの後側にも、冷却ファン42が取り付けられており、該冷却ファン42によって冷却風を後方に向かって送風し、前記オイルパン22等を効率良く冷却できるようにしている。
【0022】
そして、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25a、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43a、及び第二伝達ボックス34の第二入力プーリ38aに、一本のベルト50が巻回されてベルト機構51が構成されており、該ベルト機構51によって、前記クランク軸25からの動力が前記ベルト50を介して伝達され、前記第一出力プーリ44aと第二出力プーリ39aが回転駆動されるようにしている。
【0023】
図1乃至図3に示すように、このうちの第二出力プーリ39aの高さ59と略同じ高さにおいて、前記後車軸駆動装置5の油圧ポンプ7のポンプ軸12にプーリ12aが固設され、該プーリ12aと第二出力プーリ39aとの間にはベルト57が巻回されている。また、この第二出力プーリ39aの高さ59よりも低位置に、前記第一出力プーリ44aの高さ60が設定されると共に、前記モア6の回転刃6aに駆動力を入力する入力軸58上には、モア6が昇降しても高さ59よりも低位置となるように、入力プーリ58aが固設されている。そして、該入力プーリ58aと第一出力プーリ44aとの間にはベルト56が巻回されている。
【0024】
このように、第一伝達ボックス33の第一出力プーリ44aの高さ60と、第二伝達ボックス34の第二出力プーリ39aの高さ59を、互いにずれるように配設するので、第一出力プーリ44aからモア6への動力伝達のための前記ベルト56が、第二出力プーリ39aから後車軸駆動装置5への動力伝達のための前記ベルト57と接触するのを防ぐことができ、ベルト56・57が擦れることなく耐用寿命が長くなり、騒音も低減することができる。
【0025】
このような構成において、エンジン1のクランク軸25からの動力は、第一クランクプーリ25a、ベルト50を介して、つまりベルト機構51によって、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43aと、第二伝達ボックス34の第二入力プーリ38aに同時に伝達される。そして、第一入力プーリ43aに伝達された動力は、第一入力軸43、ベベルギア45、ベベルギア46、第一出力軸44、出力軸部44b、電磁クラッチ48を介することにより、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力され、更に、ベルト56、入力プーリ58a、入力軸58を介してモア6に動力が伝達される。そして、該モア6において、回転刃6aが回転駆動されるのである。
【0026】
一方、第二入力プーリ38aに伝達された動力は、第二入力軸38、ベベルギア40、ベベルギア41、第二出力軸39を介することにより、伝達方向を90度変えて第二出力プーリ39aから出力され、更に、ベルト57、プーリ12a、ポンプ軸12を介して、後車軸駆動装置5の油圧ポンプ7に動力が伝達される。該後車軸駆動装置5においては、前記油圧式無段変速装置18によって無段変速された変速動力により、左右の前記後車軸10L・10Rが走行駆動される。
【0027】
すなわち、略水平方向にクランク軸25を有するエンジン1において、前記クランク軸25に平行に配置され該クランク軸25からの動力を入力する第一入力軸43と該第一入力軸43に垂直な第一出力軸44とを内装支持する第一動力伝達ケースである第一伝達ボックス33に、前記クランク軸25に平行に配置され該クランク軸25からの動力を入力する第二入力軸38を内装支持する第二動力伝達ケースを少なくとも一つ、本実施例では単一の第二伝達ボックス34を並設することにより、前記クランク軸25からの動力を、前記第一伝達ボックス33と第二伝達ボックス34を介して、エンジン1外部の複数の駆動装置であるモア6・後車軸駆動装置5にそれぞれ供給可能としたので、伝達ボックス33・34を伝達経路の途中に介設し、無端帯であるベルトを、クランク軸25から入力軸43・38までのベルト50と、出力軸44・39からモア6・後車軸駆動装置5までのベルト56・57とに分けて、巻回することができ、ベルト50・56・57が伝達経路途中で方向転換することがないため、大きな捻れも発生せずにベルト50・56・57の耐用寿命が長くなり、騒音も低減することができる。同時に、ベルト50・56・57のようにベルトの長さが短くなってスリップや振動等が起こりにくいため、伝達効率が向上し、組立時の回転伝達体である第一クランクプーリ25aとプーリ58a・12a間の位置調整も不要なため、組立時の作業効率も向上する。更に、モア6・後車軸駆動装置5毎に専用の伝達ボックス33・34を設けることができ、該伝達ボックス33・34からの出力馬力が小さくて済み、それに伴い伝達ボックス33・34内の方向転換構造、本実施例ではベベルギア40・41・45・46も小さくなって、伝達ボックス33・34の小型化を図ることができる。同時に、モア6・後車軸駆動装置5に最適な回転数を、対応する伝達ボックス33・34からベルト56・57を介して入力させることが可能となり、モア6・後車軸駆動装置5が安定して駆動するため、大きな騒音が発生しなくなり、伝達効率も一層向上する。
【0028】
更に、前記エンジン1の下部にオイルパン22を備え、該オイルパン22に前記第一動力伝達ケースである第一伝達ボックス33を取り付けるので、オイルパン22を利用して、第一伝達ボックス33をエンジン1に容易に取り付けることができ、組立時における第一伝達ボックス33の取付作業の作業効率が向上する。更に、該第一伝達ボックス33をエンジン1と同一の振動系に設定することができ、防振対策が簡素化されてコストダウンを図ることができる。
【0029】
加えて、前記オイルパン22の下側に切欠き部22aを形成し、該切欠き部22a内に前記第一動力伝達ケースである第一伝達ボックス33を配置するので、切欠き部22aを利用して、第一伝達ボックス33をコンパクトに配置することができ、エンジン1を小さくして作業車両2の小型化を図ることができる。
【0030】
更に、前記第二動力伝達ケースである第二伝達ボックス34は、前記第二入力軸38に垂直な第二出力軸39を内装支持し、該第二出力軸39から駆動装置である後車軸駆動装置5に回転動力を供給するので、エンジン1からの動力を、第二伝達ボックス34から、安価で簡単な構成の無端帯やギア等から成る機械式伝達系、本実施例では第二出力プーリ39a・ベルト57・プーリ12a等から成るベルト伝動系を介して、後車軸駆動装置5に供給することができ、部品コストの低減、伝達効率の向上を図ることができる。
【0031】
加えて、前記クランク軸25からの動力は、単一の無端帯であるベルト50を介して、前記第一入力軸43と第二入力軸38に入力するので、動力伝達に必要なベルトの本数を減らすことができ、部品点数の減少による部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0032】
また、図6に示すように、前記ベルト機構51の替わりにベルト機構51Aを適用することができる。
該ベルト機構51Aは、単一のベルト50ではなく複数のベルト61・62を用いるものであって、このうちの第一ベルト61は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、第一入力軸43の第一入力プーリ43aとの間に巻回されると共に、第二ベルト62は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、第二入力軸38の第二入力プーリ38aとの間に巻回されている。
【0033】
これにより、例えば、モア6の回転刃6aの回転速度を、草刈りの対象や作業内容等に応じて増減して最適化したい場合には、例えば、前記第一クランクプーリ25aを更に前後方向に二分割した上で、一方の分割プーリと第一入力プーリ43aとの間を第一ベルト61で巻回し、他方の分割プーリと第二入力プーリ38aとの間を第二ベルト62で巻回し、このうちの一方の分割プーリと第一入力プーリ43aの径比と第一ベルト61の長さを適正値に変更するだけでよい。
【0034】
つまり、前記ベルト機構51では、一本のベルト50が多くのプーリ25a・43a・38a間に巻回されていることから、長期間や高負荷下での作業により張力に緩みが出た場合には、ベルト50の張力バランスを適正化するために多くのプーリ25a・43a・38a間の位置関係等を微調整する必要があるが、本ベルト機構51Aでは、2個のプーリ間の微調整だけですみ、モア6の回転刃6aに対して最適な回転数を確実かつ簡単に入力することができる。
【0035】
すなわち、前記クランク軸25からの動力は、前記クランク軸25から第一入力軸43までの第一無端帯である第一ベルト61と、前記クランク軸25から単一又は複数の第二入力軸、本実施例では単一の第二入力軸38までの第二無端帯である第二ベルト62とを介して、各入力軸43・38に入力するので、駆動装置が、第一動力伝達ケースである第一伝達ボックス33に対応する駆動装置であるモア6と、第二動力伝達ケースである第二伝達ボックス34に対応する駆動装置である後車軸駆動装置5との2種類である場合に、クランク軸25から入力軸43・38までの動力伝達構成、例えばプーリ25a・43a・38aの径比やベルト61・62の簡単な変更だけで、モア6や後車軸駆動装置5に最適な回転数を入力することが可能となり、最少の本数のベルト61・62でモア6や後車軸駆動装置5を安定駆動させることができ、部品点数の減少による部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。なお、以下には、エンジン1の別実施例について説明するが、同じ部材や構造については、同一符号を用いると共に詳しい説明は省略するものとする。
【0036】
次に、本発明の第二実施例に係わるエンジン1Aについて、図7乃至図9により説明する。
図7、図8(a)に示すように、該エンジン1Aは、前記エンジン1において、第二伝達ボックス34を新たに一個追加して左右一対の第二伝達ボックス34L・34Rを設けることにより、該左右一対の第二伝達ボックス34L・34Rからの動力が、それぞれ、作業車両2Aにおいて左右別個に設けられた後車軸駆動装置64L・64Rに対して、伝達されるようにしたものである。
【0037】
該エンジン1Aにおいては、前記オイルパン22の切欠き部22aの下面22bに、第一伝達ボックス33の取付部67がボルト37によって締結固定され、該取付部67の左右延出部より、それぞれ左右の支持板67L・67bが垂設され、該支持板67L・67Rの下端部に、それぞれ前記第二伝達ボックス34L・34Rが図示せぬボルトによって締結固定されている。更に、この左右一対の第二伝達ボックス34L・34Rは、正面視で前記第一伝達ボックス33を挟んで左右対称位置に配置されている。
【0038】
そして、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25a、左側の第二伝達ボックス34Lの第二入力プーリ38a、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43a、及び右側の第二伝達ボックス34Rの第二入力プーリ38aに、一本のベルト72が巻回されてベルト機構71が構成されており、該ベルト機構71によって、前記クランク軸25からの動力が前記ベルト72を介して伝達され、前記第一出力プーリ44aと左右の第二出力プーリ39a・39aが回転駆動されるようにしている。
【0039】
該ベルト機構71においては、ベルト72の一辺が、左右の第二入力プーリ38a・38aの下半部によって押し下げられると共に、該左右の第二入力プーリ38a・38a間のベルト72の略中央が第一入力プーリ43aの上半部によって押し上げられるようにすることで、前記ベルト機構51よりも強い張設構造が構成されている。これにより、ベルト72で発生するスリップを減少させる、動力伝達効率の高いベルト機構71が形成されている。
【0040】
ここで、作業車両2Aで前記左右別個に設けられた後車軸駆動装置64L・64Rにおいては、それぞれに、油圧ポンプ73・73のポンプ軸65・66にプーリ65a・66aが固設され、該プーリ65a・66aと前記第二出力プーリ39a・39aとの間には、それぞれベルト69・70が巻回されている。また、前記モア6の回転刃6aに駆動力を入力する入力軸58に固設された入力プーリ58aと前記第一出力プーリ44aには、ベルト68が巻回されている。
【0041】
このような構成において、エンジン1Aのクランク軸25からの動力は、第一クランクプーリ25a、ベルト72を介して、つまりベルト機構71によって、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43aと、左右の第二伝達ボックス34L・34Rの第二入力プーリ38a・38aに同時に伝達される。そして、第一入力プーリ43aに伝達された動力は、第一伝達ボックス33と電磁クラッチ48を介することにより、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力され、更に、ベルト68、入力プーリ58a、入力軸58を介してモア6に動力が伝達される。そして、該モア6において、回転刃6aが回転駆動される。
【0042】
一方、左右一対の第二入力プーリ38a・38aに伝達された動力は、左右の第二伝達ボックス34L・34Rを介することにより、伝達方向を90度変えて左右の第二出力プーリ39a・39aから出力され、更に、それぞれベルト69・70、プーリ65a・66a、ポンプ軸65・66を介して、左右の後車軸駆動装置64L・64Rの油圧ポンプ73・73に動力が伝達される。該後車軸駆動装置64L・64Rにおいては、油圧ポンプ73・73に流体接続される油圧モータ74・74からの変速動力により、左右の前記後車軸75L・75Rが走行駆動される。
【0043】
すなわち、本実施例のように、駆動装置である後車軸駆動装置64L・64Rの数に応じて、配設する第二伝達ボックスの数を増減させることにより、クランク軸25からの動力を、後車軸駆動装置64L・64R毎に供給することができる。これにより、伝達途中のプーリ39a・65a・66aの径比やベルト69・70の長さを適正値に変更するだけで、左右の後車軸駆動装置64L・64Rに入力される動力の回転数を自在に微調整することができ、エンジン1Aにおいては、エンジン1よりも更にバランス良く左右の後車軸駆動装置64L・64Rを駆動させて、走行性能を向上させることができる。
【0044】
また、図8(b)に示すように、本実施例のエンジン1Aは、前後に車軸駆動装置76・77を有する作業車両2Bにも適用することができる。
該作業車両2Bの前後の車軸駆動装置76・77においては、それぞれに、油圧ポンプ80・83のポンプ軸78・79にプーリ78a・79aが固設され、該プーリ78a・79aと前記第二出力プーリ39a・39aとの間には、それぞれベルト86・87が巻回されている。なお、前記モア6の入力プーリ58aと前記第一出力プーリ44aには、同様にして、ベルト68が巻回されている。
【0045】
このような構成において、エンジン1Aのクランク軸25からの動力は、ベルト機構71を介して、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43aと、左右の第二伝達ボックス34L・34Rの第二入力プーリ38a・38aに同時に伝達される。このうちの第一入力プーリ43aに伝達された動力は、前述の如く、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力された後にモア6に入力され、該モア6において、回転刃6aが回転駆動される。
【0046】
一方、左右の第二入力プーリ38a・38aに伝達された動力は、左右の第二伝達ボックス34L・34Rを介することにより、伝達方向を90度変えて左右の第二出力プーリ39a・39aから出力され、更に、それぞれ、ベルト86・87、プーリ78a・79a、ポンプ軸78・79を介して、前後の車軸駆動装置76・77の油圧ポンプ80・83に動力が伝達される。このうちの前車軸駆動装置76においては、油圧ポンプ80に流体接続される左右の油圧モータ81L・81Rからの変速動力により、左右の前車軸82L・82Rが走行駆動される。前記後車軸駆動装置77においても同様に、油圧ポンプ83に流体接続される左右の油圧モータ84L・84Rからの変速動力により、左右の後車軸85L・85Rが走行駆動される。このように、本実施例のエンジン1Aは、様々な駆動配置構成から成る作業車両に適用することができる。
【0047】
また、図9(a)に示すように、前記ベルト機構71の替わりにベルト機構71Aを適用することができる。
該ベルト機構71Aは、単一のベルト72ではなく複数のベルト88・89を用いるものであり、このうちの第一ベルト88は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、第一入力軸43の第一入力プーリ43aとの間に巻回されると共に、第二ベルト89は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、左右の第二入力軸38・38の第二入力プーリ38a・38aとの間に巻回されている。
【0048】
これにより、例えばプーリ25a・43aの径比や第一ベルト88を変更したり、プーリ25a・38a・38aの径比や第二ベルト89を変更するだけで、モア6と後車軸駆動装置64L・64Rに対して、別々に最適な回転数を入力することができ、最少の本数のベルト88・89でモア6や後車軸駆動装置64L・64Rを安定駆動させることができる。
【0049】
更に、図9(b)に示すように、前記ベルト機構71の替わりにベルト機構71Bを適用することができる。
該ベルト機構71Bは、単一のベルト72ではなく複数のベルト88・90・91を用いるのは前記ベルト機構71Aと同様であるが、該ベルト機構71Aとは異なり、各入力軸43・38・38毎に、ベルト88・90・91がそれぞれ巻回されている。
【0050】
これにより、例えばプーリ25a・43aの径比や第一ベルト88を変更したり、プーリ25a・38aの径比や第二ベルト90を変更したり、プーリ25a・38aの径比や第二ベルト91を変更するだけで、モア6、後車軸駆動装置64L・64Rに対して、全て別々に最適な回転数を入力することができ、該モア6、後車軸駆動装置64L・64Rを、前記ベルト機構71Aよりも更に安定駆動させることができる。
【0051】
すなわち、前記クランク軸25から、前記第一入力軸である43と単一又は複数の第二入力軸、本実施例では複数の第二入力軸38・38とから成る複数の入力軸43・38・38までの間に、該入力軸43・38・38毎に無端帯であるベルト88・90・91を設けるので、第二動力伝達ケースである第二伝達ボックス34に対応する駆動装置である左右の後車軸駆動装置64L・64R毎に最適な回転数が異なる場合でも、クランク軸25から入力軸43・38・38までの動力伝達構成の簡単な変更、本実施例では、プーリの径比やベルトの変更だけで、該後車軸駆動装置64L・64R毎に最適な回転数を入力することが可能となり、確実にモア6や後車軸駆動装置64L・64Rを安定駆動させることができ、モア6や後車軸駆動装置64L・64Rの駆動性能を大きく向上させることができる。
【0052】
次に、本発明の第三実施例に係わるエンジン1Bについて、図10乃至図13により説明する。
図10乃至図12に示すように、該エンジン1Bは、前記エンジン1Aにおいて、前記ベベルギア40・41等のギア伝達機構を内装する左右一対の第二伝達ボックス34L・34Rの替わりに、油圧ポンプ92を内装する左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rを設けることにより、該左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rからの圧油が、それぞれ、作業車両2Cにおいて左右別個に設けられた左右一対の後車軸駆動装置96L・96Rに対して、給排されるようにしたものである。
【0053】
該エンジン1Bにおいては、前記エンジン1Aと同様に、前記オイルパン22の切欠き部22aの下面22bに、第一伝達ボックス33の取付部98がボルト37によって締結固定されている。また、前記左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rは、図示せぬ支持部材によって、正面視で前記第一伝達ボックス33を挟んで左右対称位置に配置されている。
【0054】
更に、これらの第一伝達ボックス33の第一入力軸43、及び左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rのポンプ軸99・99は、いずれもクランク軸25の前端部側に配置されており、クランク軸25、第一入力軸43、及びポンプ軸99・99が近接した配置構成となっている。これにより、伝達ボックス33・93L・93Rへの入力用のプーリ43a・99a・99aも、クランク軸25からの出力用の第一クランクプーリ25aに接近して配置することができる。
【0055】
そして、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25a、左側の油圧伝達ボックス93Lのポンプ軸99に固設されたプーリ99a、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43a、及び右側の油圧伝達ボックス93Rのポンプ軸99に固設されたプーリ99aに、一本のベルト101が巻回されてベルト機構100が構成されている。該ベルト機構100により、前記クランク軸25からの動力が前記ベルト101を介して、第一入力プーリ43aと左右一対のプーリ99a・99aに同時に伝達される。
【0056】
このうちの第一入力プーリ43aに伝達された動力は、前記エンジン1Aと同様に、第一伝達ボックス33と電磁クラッチ48を介することにより、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力され、更に、ベルト68、入力プーリ58a、入力軸58を介してモア6に動力が伝達され、該モア6において、回転刃6aが回転駆動される。
【0057】
一方、左右一対のプーリ99a・99aに伝達された回転動力は、油圧ポンプ92・92によって油圧動力に変換される。このうちの左の油圧伝達ボックス93L内の油圧ポンプ92は、一対の油圧配管94a・94bを介して、左の後車軸駆動装置96L内の油圧モータ97に流体接続されており、左の油圧伝達ボックス93Lからの圧油が左の後車軸駆動装置96Lに供給される。
【0058】
同様に、右の油圧伝達ボックス93R内の油圧ポンプ92も、一対の油圧配管95a・95bを介して、右の後車軸駆動装置96R内の油圧モータ97に流体接続されており、右の油圧伝達ボックス93Rからの圧油が右の後車軸駆動装置96Rに供給される。そして、これら左右一対の後車軸駆動装置96L・96Rにおいては、供給される圧油で作動する前記油圧モータ97・97によって、左右の後車軸102L・102Rが走行駆動されるようにしている。
【0059】
すなわち、前記第二動力伝達ケースである油圧伝達ボックス93L・93Rは、油圧ポンプ92・92を内装し、該油圧ポンプ92・92から駆動装置である後車軸駆動装置96L・96Rに油圧動力を供給するので、エンジン1Bからの動力を、油圧伝達ボックス93L・93Rから、油圧配管94a・94b・95a・95b等から成る油圧式伝達系を介して各後車軸駆動装置96L・96Rに供給することができ、該各後車軸駆動装置96L・96Rに対して高精度な駆動制御を行い、走行性能や旋回性能の向上を図ることができる。
【0060】
更に、前記第一入力軸43と第二入力軸であるポンプ軸99・99は、前記クランク軸25の軸方向にて同じクランク軸端部側である前端部側に配置するので、前記クランク軸25、第一入力軸43、及びポンプ軸99・99を近接して配置し、クランク軸25からこれらの第一入力軸43やポンプ軸99・99までの伝達経路の長さを短縮することができ、無端帯であるベルト101やギア等の伝達系を小さくして、配置スペースの縮小によるエンジン1Bの小型化や伝達効率の向上を図ることができる。
【0061】
また、図13(a)に示すように、エンジン1Bにも、エンジン1Aと同様に、前記ベルト機構100の替わりにベルト機構100Aのようなベルト構成を適用することができる。
該ベルト機構100Aは、単一のベルト101ではなく複数のベルト88・103を用いるものであり、このうちの第一ベルト88は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、第一入力軸43の第一入力プーリ43aとの間に巻回されると共に、第二ベルト103は、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、左右のポンプ軸99のプーリ99a・99aとの間に巻回されている。
【0062】
これにより、例えばプーリ25a・43aの径比や第一ベルト88を変更したり、プーリ25a・99a・99aの径比や第二ベルト103を変更するだけで、モア6と後車軸駆動装置96L・96Rに対して、別々に最適な回転動力や油圧動力を供給することができ、最少の本数のベルト88・103でモア6や後車軸駆動装置96L・96Rを安定駆動させることができる。
【0063】
更に、図13(b)に示すように、前記ベルト機構100の替わりにベルト機構100Bを適用することができる。
該ベルト機構100Bは、単一のベルト101ではなく複数のベルト88・104・105を用いるのは前記ベルト機構100Aと同様であるが、該ベルト機構100Aとは異なり、第一入力軸43やポンプ軸99・99毎に、全て異なるベルト88・104・105がそれぞれ巻回されている。
【0064】
これにより、例えばプーリ25a・43aの径比や第一ベルト88を変更したり、プーリ25a・99aの径比や第二ベルト104を変更したり、プーリ25a・99aの径比や第二ベルト105を変更するだけで、モア6、後車軸駆動装置96L・96Rに対して、全て別々に最適な回転動力や油圧動力を供給することができ、該モア6、後車軸駆動装置96L・96Rを、前記ベルト機構100Aよりも更に安定駆動させることができる。
【0065】
次に、本発明の第四実施例に係わるエンジン1Cと、第五実施例に係わるエンジン1Dについて、図14乃至図17により説明する。
エンジン1C・1Dは、いずれも、エンジン1Bにおける第一伝達ボックス33と、左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rとを、クランク軸25の軸方向にて互いに反対側に配置し、前記モア6や後車軸駆動装置96L・96Rへの伝達経路の長さを短縮できるようにしたものである。
【0066】
図14、図15に示すように、エンジン1Cにおいては、前記エンジン1Bと同様に、前記オイルパン22の切欠き部22aの下面22bに、第一伝達ボックス33の取付部98がボルト37によって締結固定されている。つまり、第一伝達ボックス33への第一入力軸43は、クランク軸25の前端部側に配置されている。
【0067】
そして、前記クランク軸25の第一クランクプーリ25aと、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43aとの間には、第一ベルト88が巻回されており、該第一ベルト88を介して、前記クランク軸25から第一入力プーリ43aに動力が入力されるようにしている。入力された回転動力は、前記エンジン1Bと同様に、第一伝達ボックス33と電磁クラッチ48を介することにより、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力される。
【0068】
これに対し、左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rのポンプ軸99・99は、クランク軸25の後端部側でオイルパン22の下方に、図示せぬ支持部材によって配置されている。そして、該ポンプ軸99・99の左右一対のプーリ99a・99aと、前記クランク軸25の後端に固設された第三クランクプーリ25cとの間には、ベルト106が巻回されており、該ベルト106を介して、前記クランク軸25からプーリ99a・99aに回転動力が同時に伝達されるようにしている。伝達された動力は、前記エンジン1Bと同様に、左右一対の油圧伝達ボックス93L・93R内の油圧ポンプ92・92によって油圧動力に変換されて出力される。
【0069】
このような構成において、クランク軸25の前端部側からは、第一伝達ボックス33を介して回転動力を出力させ、クランク軸25の後端部側からは、油圧伝達ボックス93L・93Rを介して油圧動力を出力させることができ、例えば、モア6等の作業機が作業車両の前部に配置され、油圧モータを収納する車軸駆動装置が作業車両の後部に配置されている場合には、前記作業機や車軸駆動装置までの伝達経路の長さを短縮することができる。
【0070】
また、図16、図17に示すように、エンジン1Dにおいては、前記エンジン1Cとは異なり、オイルパン22後部の下面に、第一伝達ボックス33の取付部98がボルト37によって締結固定されている。つまり、第一伝達ボックス33への第一入力軸43は、クランク軸25の後端部側に配置されている。
【0071】
そして、前記クランク軸25後端の第三クランクプーリ25cと、第一伝達ボックス33の第一入力プーリ43aとの間には、ベルト107が巻回されており、該ベルト107を介して、前記クランク軸25から第一入力プーリ43aに動力が入力されるようにしている。入力された回転動力は、前記エンジン1Cと同様に、第一伝達ボックス33と電磁クラッチ48を介することにより、伝達方向を90度変えて第一出力プーリ44aから断接可能に出力される。
【0072】
これに対し、左右一対の油圧伝達ボックス93L・93Rのポンプ軸99・99は、クランク軸25の前端部側でオイルパン22前部の下方に、図示せぬ支持部材によって配置されている。そして、該ポンプ軸99・99の左右一対のプーリ99a・99aと、前記クランク軸25前端の第一クランクプーリ25aとの間には、ベルト108が巻回されており、該ベルト108を介して、前記クランク軸25からプーリ99a・99aに回転動力が伝達されるようにしている。伝達された動力は、前記エンジン1Cと同様に、左右一対の油圧伝達ボックス93L・93R内の油圧ポンプ92・92によって油圧動力に変換されて出力される。
【0073】
このような構成において、クランク軸25の前端部側からは、油圧伝達ボックス93L・93Rを介して油圧動力を出力させ、クランク軸25の後端部側からは、第一伝達ボックス33を介して回転動力を出力させることができ、例えば、油圧モータを収納する車軸駆動装置が作業車両の前部に配置され、モア6等の作業機が作業車両の後部に配置されている場合には、前記作業機や車軸駆動装置までの伝達経路の長さを短縮することができる。
【0074】
すなわち、本実施例においては、前記第一入力軸43と第二入力軸であるポンプ軸99・99は、前記クランク軸25の軸方向にて反対のクランク軸端部側に配置するので、第一動力伝達ケースである第一伝達ボックス33に対応する駆動装置であるモア6と、第二動力伝達ケースである油圧伝達ボックス93L・93Rに対応する駆動装置である車軸駆動装置とが、クランク軸25の一端部側と他端部側に分かれて配置されている場合に、クランク軸25からモア6や車軸駆動装置までの伝達経路の長さを短縮することができ、伝達スペースの縮小による作業車両2の小型化や、スリップや振動等の抑制による伝達効率の向上を図ることができる。例えば、クランク軸25の前端部側にモア6用の第一伝達ボックス33が配置され、クランク軸25の後端部側に、車軸駆動装置用の油圧伝達ボックス93L・93Rが配置される場合には、前装作業機・後輪駆動式の作業車両に適した配置構成であり、逆に、クランク軸25の前端部側に、車軸駆動装置用の油圧伝達ボックス93L・93Rが配置され、クランク軸25の後端部側に、モア6用の第一伝達ボックス33が配置される場合には、後装作業機・前輪駆動式の作業車両に適した配置構成であって、いずれの場合も、伝達経路の長さを短縮することができる。
【0075】
なお、以上述べた実施例では配設していないが、ベルト・チェーン等の無端帯をプーリ・スプロケット等の複数の回転伝達体に巻回するにあたり、揺動自在のプーリアームに支持されたテンションプーリ等のような張力調整機構を設けることにより、更なる騒音の抑制や伝達効率の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、略水平方向にクランク軸を有する全てのエンジンに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第一実施例に係わるエンジンを搭載した作業車両の側面一部断面図である。
【図2】第一実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図である。
【図3】第一実施例に係わるエンジンの正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】第一実施例の伝達ボックスの側面一部断面図であって、図5(a)は第一伝達ボックスの側面一部断面図、図5(b)は第二伝達ボックスの側面一部断面図である。
【図6】第一実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図である。
【図7】本発明の第二実施例に係わるエンジンの正面図である。
【図8】第二実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図であって、図8(a)は後車軸駆動装置を左右別個に設けた場合の平面模式図、図8(b)は前後に車軸駆動装置を設けた場合の平面模式図である。
【図9】第二実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図であって、図9(a)は第一入力軸と左右の第二入力軸とに分けてベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図、図9(b)は各入力軸毎にベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図である。
【図10】本発明の第三実施例に係わるエンジンの正面図である。
【図11】同じく側面図である。
【図12】第三実施例に係わる動力伝達構成を示す平面模式図である。
【図13】第三実施例のベルト機構の別形態を示す部分正面図であって、図13(a)は第一入力軸と左右のポンプ軸とに分けてベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図、図13(b)は各軸毎にベルトを巻回した場合のベルト機構を示す部分正面図である。
【図14】本発明の第四実施例に係わるエンジンの正面図である。
【図15】同じく側面図である。
【図16】本発明の第五実施例に係わるエンジンの正面図である。
【図17】同じく側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 エンジン
5・6・96L・96R 駆動装置
22 オイルパン
22a 切欠き部
25 クランク軸
33 第一動力伝達ケース
34・93L・93R 第二動力伝達ケース
38・99・99 第二入力軸
39 第二出力軸
43 第一入力軸
44 第一出力軸
50 単一の無端帯
61 第一無端帯
62 第二無端帯
88・90・91 複数の無端帯
92 油圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向にクランク軸を有するエンジンにおいて、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第一入力軸と該第一入力軸に垂直な第一出力軸とを内装支持する第一動力伝達ケースに、前記クランク軸に平行に配置され該クランク軸からの動力を入力する第二入力軸を内装支持する第二動力伝達ケースを、少なくとも一つ並設することにより、前記クランク軸からの動力を、前記第一動力伝達ケースと第二動力伝達ケースを介して、エンジン外部の複数の駆動装置に供給可能としたことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記エンジンの下部にオイルパンを備え、該オイルパンに前記第一動力伝達ケースを取り付けることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記オイルパンの下側に切欠き部を形成し、該切欠き部内に前記第一動力伝達ケースを配置することを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記第二動力伝達ケースは、前記第二入力軸に垂直な第二出力軸を内装支持し、該第二出力軸から前記駆動装置に回転動力を供給することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記第二動力伝達ケースは、油圧ポンプを内装し、該油圧ポンプから前記駆動装置に油圧動力を供給することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記クランク軸からの動力は、単一の無端帯を介して、前記第一入力軸と第二入力軸に入力することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記クランク軸からの動力は、前記クランク軸から第一入力軸までの第一無端帯と、前記クランク軸から単一又は複数の第二入力軸までの第二無端帯とを介して、各入力軸に入力することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記クランク軸から、前記第一入力軸と単一又は複数の第二入力軸とから成る複数の入力軸までの間に、該入力軸毎に無端帯を設けることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項9】
前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて同じクランク軸端部側に配置することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項10】
前記第一入力軸と第二入力軸は、前記クランク軸の軸方向にて反対のクランク軸端部側に配置することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−38079(P2010−38079A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203524(P2008−203524)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】