説明

オーディオ装置

【課題】リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を格納したデータベースの更新を効率よく行う「オーディオ装置」を提供する。
【解決手段】オーディオ装置1の制御部12は、現用DBに登録されているリムーバブル記憶装置2上のオーディオファイルのうちの、これまでの再生回数が少ない所定数のオーディオファイルについて変更が発生しているかどうかを調査する。そして、調査した全てのオーディファイルについて変更が無ければ、現用DBの利用を継続しつつ、バックグランドで新たなDBをリムーバブル記憶装置2を参照して作成し、作成が完了したならば現用DBを更新する。一方、いずれかのオーディオファイルに変更が検出された場合には、即座に、現用DBの利用を停止し新たなDBをリムーバブル記憶装置2を参照して作成して現用DBを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続されたリムーバブルな記憶装置に記憶されているオーディオファイルを再生出力するオーディオ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接続されたリムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルを再生出力するオーディオ装置に関する技術としては、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのデータベースをオーディオ装置上に作成して保持し、当該データベースに基づいて、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報のユーザへの提示や検索や再生制御を行う技術が知られている。
【0003】
ここで、このようなデータベースを保持するオーディオ装置において、リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの記憶内容の変更が生じた場合には、これに伴ってデータベースの更新を行う必要がある。一方、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディファイル数が多い場合には、当該データベースの更新には長時間を要することとなり、また、データベースの更新中はデータベースに基づいたオーディオファイルの情報のユーザへの提示や検索や再生制御が行えなくなる。したがって、データベースの更新中、ユーザの利便性が低下することとなる。
【0004】
そして、このようなデータベースの更新に伴うユーザの利便性の低下を軽減する技術としては、リムーバブル記憶装置が接続されたときに当該リムーバブル記憶装置の使用量(使用済記憶容量)を取得して、前回、当該リムーバブル記憶装置が接続されたときに取得しておいた使用量と比較し、使用量の差が所定のしきい値より大きい場合にのみ、即座にデータベースを破棄して新たなデータベースを作成し、差が所定のしきい値より小さい場合には、そのままデータベースを使用しながら、バックグランドで新たなデータベースを作成し、作成完了後にデータベースを新たなデータベースに置き換える技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-108528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したリムーバブル記憶装置の使用量の変化に基づいてデータベースを更新する技術によれば、リムーバブル記憶装置の使用量の変化が小さい場合には、即座にデータベースの更新は行われず、従前のデータベースが新たなデータベースが作成されるまで使用されることとなる。そして、この従前のデータベースは、リムーバブル記憶装置の記憶内容の変化が反映されていないものであるため、このデータベースに基づいたオーディオファイルの情報のユーザへの提示や検索や再生制御が正しく行えない場合が生じ得る。特に、ユーザ操作に従って、データベースに基づいて検索したオーディオファイルが既にリムーバブル記憶装置に記憶されていない場合には、検索できたにも関わらず再生できないオーディオファイルが発生するといった動作の不整合が生じるため大きな問題となる。
【0007】
一方で、リムーバブル記憶装置の使用量の変化は、オーディオファイル以外のファイルについてリムーバブル記憶装置の記憶内容の変更が行われた場合にも生じるため、リムーバブル記憶装置の使用量が変化したときに常に即座のデータベースの更新を行うこととすれば、無意なデータベースの更新によって、データベースに基づいたオーディオファイルの情報のユーザへの提示や検索や再生制御を行えなくなる期間が生じることとなり、ユーザの利便性を損なってしまうこととなる。
【0008】
そこで、リムーバブル記憶装置の接続時に、データベースに情報が登録されている全てのオーディオファイルについて、リムーバブル記憶装置の記憶内容の変更の有無を調査して、変更が無い場合には保持しているデータベースの利用を開始し、変更がある場合にデータベースの更新を行った上でデータベースの利用を開始するようにすることも考えられる。
【0009】
しかしながら、このようなデータベースに登録されている全てのオーディオファイルについての調査には、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディファイル数に応じた時間を要するため、このようにしても、当該オーディファイル数が多い場合には長時間に渡って、データベースを利用できなくなるという問題は解消されない。一方で、このような問題は、当該リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの変更の発生の検出を短時間で効率良く行うことができれば解消される。
【0010】
そこで、本発明は、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのデータベースを保持するオーディオ装置において、リムーバブル記憶装置の接続時の、当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのデータベースの更新を当該リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの記憶内容の変更が検出された場合のみ行うようにすると共に、当該リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの記憶内容の変更の発生の有無の調査を、短時間で高い信頼度をもって行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題達成のために、本発明は、接続されたリムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルを再生出力するオーディオ装置に、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を格納したデータベースと、前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能を提供する検索手段と、前記データベースを更新するデータベース更新手段とを設けると共に、前記データベース更新手段を、前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちの一部のオーディオファイルをチェック対象オーディオファイルとして選定するチェック対象オーディオファイル選定手段と、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、前記チェック対象オーディオファイルについての前記リムーバブル記憶装置の記憶内容の変更の発生の有無を調査し、変更が発生している場合に、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を禁止し、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、作成した新規データベースに前記データベースを更新し、当該更新完了後に前記検索機能の提供の禁止を解除するデータベース更新手段とより構成したものである。ただし、前記チェック対象オーディオファイル選定手段は、前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちから、当該オーディオファイルの当該オーディオ装置における再生回数の少ないほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルの最終アクセス日時が古いほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルが前記リムーバブル記憶装置に記憶されているプレイリストに登録されていない場合に登録されている場合よりも当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準との3つの選定基準のうちのいずれかの選定基準、もしくは、前記3つの選定基準のうちの複数の選定基準を組み合わせた選定基準に従って、前記所定数のオーディオファイルを前記チェック対象オーディオファイルとして選定するものである。
【0012】
ここで、再生回数が少ないオーディオファイルや、最終アクセス日時が古いオーディオファイルや、プレイリストに登録されていないオーディオファイルは、ユーザがあまり利用しておらず、したがって、リムーバブル記憶装置がオーディオ装置に接続されていない間にユーザが削除してしまう可能性が高いオーディオファイルである蓋然性が大きい。
【0013】
したがって、上述の選定基準で選定したチェック対象オーディオファイルについてのみ変更の発生の有無を検出することにより、効率的にリムーバブル記憶装置におけるオーディオファイルの変更の発生を短時間で信頼度高く検出して、データベースの更新を行うことができるようになる。
【0014】
ここで、このようなオーディオ装置は、前記データベース更新手段において、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、前記チェック対象オーディオファイルの変更の発生の有無を調査し、変更が発生していない場合に、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を停止することなく、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、新規データベースの作成が完了したならば、作成した新規データベースに前記データベースを更新するように構成してもよい。
【0015】
このようにすることにより、リムーバブル記憶装置へのオーディオファイルの追加などの、チェック対象オーディオファイルの変更の発生の有無の検出のみでは検出できないリムーバブル記憶装置におけるオーディオファイルの変更が発生している場合には、ユーザのデータベースを用いたオーディオファイルの検索機能の利用を妨げることなく、データベースを変更後のリムーバブル記憶装置の記憶状態に整合するように更新することができる。
【0016】
また、このようなオーディオ装置は、前記データベースに、当該データベース作成時のリムーバブル記憶装置の使用済容量を登録し、前記データベース更新手段において、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、当該時点のリムーバブル記憶装置の使用済容量と、前記データベースに登録されている当該リムーバブル記憶装置の使用済容量との差が所定値より大きい場合には、前記チェック対象オーディオファイルの変更の発生の有無に関わらずに、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を禁止し、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、作成した新規データベースに前記データベースを更新し、当該更新完了後に前記検索機能の提供の禁止を解除するようにしてもよい。
【0017】
このようにすることにより、使用済容量の変化から見て、明らかにリムーバブル記憶装置におけるオーディオファイルの変更が発生していると考えられる場合に、直ちにデータベースの更新を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのデータベースを保持するオーディオ装置において、リムーバブル記憶装置の接続時の、当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのデータベースの更新を当該リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの記憶内容の変更が検出された場合のみ行うようにすると共に、当該リムーバブル記憶装置のオーディオファイルの記憶内容の変更の発生の有無の調査を、短時間で高い信頼度をもって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデータベースとランクテーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るDB更新制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るオーディオ装置の構成を示す。
図示するように、オーディオ装置1は、USBメモリやMTPデバイス等のリムーバブル記憶装置2を接続することができる装置である。
リムーバブル記憶装置2は、オーディオ装置1との間の接続/入出力を担うホストインタフェース21、記憶領域22を備えている。記憶領域22には、楽曲データを格納したオーディオファイルや、オーディオファイルのリストのデータを格納したプレイリストファイルなどのファイルが、階層配置されたディレクトリ(フォルダ)に格納された形態で格納されている。ここで、各オーディオファイルには、楽曲データの他に、当該オーディオファイルに楽曲データが格納されている楽曲のタイトルやアルバムやアーティストやジャンルなどを表すタグ情報が格納されている。
【0021】
また、リムーバブル記憶装置2は、記憶領域22に格納した管理データを用いて記憶領域22に記憶されている各ファイルの情報を管理し、記憶領域22に格納されている各ファイルへのアクセスのインタフェースを提供するファイルシステム23を備えている。
ファイルシステム23が管理する各ファイルの情報としては、階層配置されたディレクトリ構造、ファイルのディレクトリ構造上の格納位置を表すファイルパス、ファイル名、ファイルのデータサイズを表すファイルサイズ、ファイルの作成日時、ファイルの更新日時、ファイルの最終アクセス日時などがある。
【0022】
次に、オーディオ装置1は、リムーバブル記憶装置2との間の接続/入出力を担うデバイスインタフェース11、制御部12、記憶装置13、表示装置14、入力装置15、オーディオプレイヤ16、スピーカ17を備えている。
ただし、オーディオ装置1は、CPUやメモリを備えたコンピュータを用いて構成されるものであってよく、この場合、制御部12やオーディオプレイヤ16などは、コンピュータが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものであってよい。
【0023】
このようなオーディオ装置1の構成においては、記憶装置13にはDBとランクテーブルが格納される。
図2aに記憶装置13に格納されるDBの構成を示す。
図示するように、DBは、オーディオ装置1に接続されたことのあるリムーバブル記憶装置2毎に対応して設けられる。
そして、各DBには、対応するリムーバブル記憶装置2の識別子である記憶装置識別子と、対応するリムーバブル記憶装置2の使用量(使用済容量)と、ファイル情報とが格納される。
ファイル情報は、対応するリムーバブル記憶装置2に格納されている各オーディオファイル毎に対応して設けられたファイル属性データを有し、各ファイル属性データには、対応するオーディオファイルの識別子であるファイル識別子、対応するオーディオファイルのファイル名、対応するオーディオファイルのディレクトリ構造上の格納位置を表すファイルパス、対応するオーディオファイルのデータサイズを表すファイルサイズ、対応するオーディオファイルに格納されている楽曲のタグ情報、ファイル管理情報とが格納される。
【0024】
そして、タグ情報には、対応するオーディオファイルにタグ情報として格納されている、当該オーディオファイルに楽曲データが格納されている楽曲のタイトルやアルバムやアーティストやジャンルなどが登録される。
また、ファイル管理情報には、対応するオーディオファイルの作成日時、対応するオーディオファイルの更新日時、対応するオーディオファイルの最終アクセス日時、対応するオーディオファイルのファイル属性データをDBに登録した日時を表す登録日時、対応するオーディオファイルをオーディオ装置1が再生した回数を表す再生回数、評価値とが格納される。ここで、ファイル管理情報に登録する評価値については後述する。
【0025】
次に、図2bに記憶装置13に格納されるランクテーブルの構成を示す。
図示するように、ランクテーブルは、オーディオ装置1に接続されたことのあるリムーバブル記憶装置2毎に対応して設けられており、各ランクテーブルには、対応するリムーバブル記憶装置2の記憶装置識別子と、ランクデータが格納される。そして、ランクデータには、所定数(たとえば、100個)のオーディオファイルのファイル識別子が、オーディオファイルのランク順に登録される。ここで、オーディオファイルのランクについては後述する。
【0026】
ここで、図2aに示した各リムーバブル記憶装置2に対応するDBは、当該リムーバブル記憶装置2が初めてオーディオ装置1に接続されたときに行われる新規DB作成処理によって、以下のように作成される。
すなわち、新規DB作成処理では、まず、新たなDBを作成し、作成したDBに、接続されたリムーバブル記憶装置2の記憶装置識別子を登録する。また、接続されたリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から使用量を取得し使用量として登録する。そして、ファイル情報に、接続されたリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23が管理しているリムーバブル記憶装置2の各オーディオファイルに対応するファイル属性データを設ける。リムーバブル記憶装置2に記憶されている各ファイルがオーディオファイルであるか否かは、当該ファイルのファイル名に含まれる拡張子から判断することができる。
【0027】
そして、各ファイル属性データに、接続されたリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から取得した対応するオーディオファイルのファイル識別子、ファイル名、ファイルパス、ファイルサイズを登録する。
また、各ファイル属性データに、タグ情報と、ファイル管理情報を設け、ファイル管理情報に、接続されたリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から取得した対応するファイルの作成日時、更新日時、最終アクセス日時を登録すると共に、登録日時として現在日時を、再生回数として0回を登録する。
【0028】
また、リムーバブル記憶装置2に格納されている各オーディオファイルにアクセスして各オーディオファイルのタグ情報を取得し、取得したタグ情報を、当該タグ情報を取得したオーディオファイルに対応するファイル情報のファイル属性データのタグ情報に登録する。
【0029】
さて、このようなDBを用いて、オーディオ装置1の制御部12は、接続されたリムーバブル記憶装置2に格納されているオーディオファイルの再生を以下のように制御する。
すなわち、ユーザから、ディレクトリ検索モードと、タグ情報検索モードとのうちからの検索モードの設定を入力装置15を介して受け付ける。
そして、ディレクトリ検索モードが設定されたならば、リムーバブル記憶装置2のファイルシステム23が管理しているディレクトリの階層構造に沿って、階層的にディレクトリの指定を受け付けるメニューを表示装置14に表示し、当該メニュー上でユーザからディレクトリの指定を受け付けて、指定されたディレクトリに格納されているオーディオファイルもしくはプレイリストファイルの一覧を表示すると共に、表示した一覧中からのオーディオファイルもしくはプレイリストの再生指示をユーザから入力装置15を介して受け付ける。そして、オーディオファイルの再生指示を受け付けた場合には、接続されているリムーバブル記憶装置2から再生指示されたオーディオファイルを読み出して、オーディオファイルに格納されている楽曲データの再生とスピーカ17への出力をオーディオプレイヤ16に行わせる。また、プレイリストファイルの再生指示を受け付けた場合には、接続されているリムーバブル記憶装置2から再生指示されたプレイリストファイルを読み出すと共に、プレイリストに登録されているオーディオファイルを接続されているリムーバブル記憶装置2から順次読み出して、オーディオファイルに格納されている楽曲データの再生とスピーカ17への出力をオーディオプレイヤ16に行わせる。
【0030】
一方、制御部12は、タグ情報検索モードが設定されている場合には、接続されているリムーバブル記憶装置2に対応するDBを現用DBとする。そして、ユーザからタイトルやアルバムやアーティストやジャンルなどを検索キーとする検索の指示を受け付けて、検索キーにマッチするオーディオファイルを、現用DBのタグ情報を用いて検索し、検索したオーディオファイルの一覧を表示すると共に、表示した一覧中からのオーディオファイルの再生指示をユーザから入力装置15を介して受け付ける。そして、再生指示されたオーディオファイルを読み出して、オーディオファイルに格納されている楽曲データの再生とスピーカ17への出力をオーディオプレイヤ16に行わせる。
【0031】
以下、オーディオ装置1の制御部12が行うランクテーブル作成処理と、ランクテーブル更新処理と、DB更新制御処理について説明する。
まず、ランクテーブル作成処理について説明する。
ここで、接続されているムーバブル記憶装置に対応するDBを上述のように現用DBとして、ランクテーブル作成処理は、制御部12がバックグランド処理として行う処理であり、リムーバブル記憶装置2が接続されたときと、現用DBが更新されたときに、その処理が開始される。
【0032】
制御部12は、このランクテーブル作成処理において、接続されているリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から、各オーディオファイルの最終アクセス日時を取得し、現用DBのファイル情報の各ファイル属性データのファイル管理情報の最終アクセス日時を更新する。ただし、現用DBが更新されたときには、最終アクセス日時の更新は不要である。
【0033】
そして、次に制御部12は、現用DBにファイル情報が登録されている各オーディオファイルのランクを算出する。
ここで、オーディオファイルのランクは、以下のように算出する。
すなわち、まず、現用DBに登録されている最終アクセス日時が古いものほど評価項目値Aが大きくなるように評価項目値Aを算出する。次に、現用DBに登録されている再生回数の小さいオーディオファイルほど評価項目値Bが大きくなるように評価項目値Bを算出する。また、接続されているリムーバブル記憶装置2に格納されているプレイリストに登録されていないオーディオファイルほど評価項目値Cが大きくなるように評価項目値Cを算出する。
【0034】
ここで、各評価項目値は、その値の大きいオーディオファイルほど、ユーザがあまり利用しておらず、したがって、リムーバブル記憶装置2がオーディオ装置1に接続されていない間にユーザが削除してしまう可能性が高いことを表している。
そして、評価項目値A、B、Cの和、または、評価項目値A、B、Cをそれぞれ予め定めた係数で重み付けした値の和を評価値として、評価値を、各オーディオファイルのファイル属性データのファイル管理情報の評価値に登録する。ただし、評価項目値A、B、Cのいずれか一つの値、または、いずれか二つの値の和もしくは重み付けした値の和を評価値として用いるようにしてもよい。
そして、評価値が大きいものほど、ランクが高くなるように各オーディオファイルのランクを算出する。
ただし、このオーディオファイルのランクは、現用DBに登録されている登録日時、作成日時、更新日時をも考慮して算出するようにしてもよい。すなわち、この場合には、たとえば、評価値が同じオーディオファイル間では、これらの日時が古いものほど、ランクが高くなるようにランクを算出するようにしてよい。
【0035】
そして、接続されているリムーバブル記憶装置2に対応するランクテーブルを、当該ランクテーブルが存在しない場合には作成した上で、当該ランクテーブルに、算出したランクが上位の所定数のオーディオファイルのファイル識別子を、ランクの高いものより登録する。
【0036】
次に、オーディオ装置1の制御部12が行うランクテーブル更新処理について説明する。
ランクテーブル更新処理は、オーディオ装置1の制御部12がバックグランドで行う処理であり、オーディオ装置1においてオーディオファイルの再生を行ったときに開始される。
すなわち、制御部12は、このランクテーブル更新処理において、現用DBの、再生を開始したオーディオファイルに対応するファイル情報のファイル属性データのファイル管理情報の再生回数を1増加する。また、接続されているリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から、再生したオーディオファイルの最終アクセス日時を取得し、当該ファイル属性データのファイル管理情報の最終アクセス日時を更新する。
【0037】
そして、再生したオーディオファイルの評価値を再算出して、現用DBのファイル情報の再生したオーディオファイルのファイル属性データのファイル管理情報の評価値を更新する。そして、評価値が大きいものほど、ランクが高くなるように、現用DBのファイル情報の各ファイル属性データに対応する各オーディオファイルのランクを算出し直し、現用ランクテーブルに、算出したランクが上位の所定数のオーディオファイルのファイル識別子を、ランクの高いものより登録する。
【0038】
次に、オーディオ装置1の制御部12が行うDB更新制御処理について説明する。
図3に、このDB更新制御処理の手順を示す。
図示するように、このDB更新制御処理では、リムーバブル記憶装置2の接続の発生を待ち(ステップ302)、リムーバブル記憶装置2が接続されたならば、上述したタグ情報検索モードの設定を禁止する(ステップ304)。
ここで、制御部12はタグ情報検索モードの設定を禁止している期間中は、ユーザのタグ情報検索モードの設定の受付を行わず、上述したタグ情報検索モードでの再生制御の動作は行わない。一方、上述したディレクトリ検索モードでのオーディオファイルの再生制御の動作は継続して行う。よって、ユーザは、タグ情報検索モードの設定を禁止している期間中も、ディレクトリ検索モードを利用して、オーディオファイルやプレイリストの再生を行うことができる。
【0039】
次に、タグ情報検索モードの設定を禁止したならば(ステップ304)、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するDBが記憶装置13に記憶されているかどうかを調べる(ステップ306)。そして、記憶されていなければ、上述した新規DB作成処理を行って、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するDBを作成して記憶装置13に格納し(ステップ326)、タグ情報検索モードの設定の禁止を解除し(ステップ328)、ステップ302に戻って、次回のリムーバブル記憶装置2の接続の発生を待つ。
【0040】
一方、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するDBが記憶装置13に記憶されている場合には、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するDBを現用DBとして、以下の処理を行う。
すなわち、接続されたリムーバブル記憶装置2のファイルシステム23から現在のリムーバブル記憶装置2の使用量を取得し、取得した使用量と、現用DBに登録されている使用量との差が所定のしきい値未満であるかどうかを判定する(ステップ308)。そして、しきい値未満でなければ、接続されているリムーバブル記憶装置2に対応する新たなDBを再作成する更新用DB作成処理を開始する(ステップ318)。ここで、この更新用DB作成処理の詳細については後述する。
【0041】
そして、新たなDBの作成が完了したならば(ステップ320)、現用DBを作成した新たなDBで置換することにより更新し(ステップ322)、タグ情報検索モードの設定の禁止を解除し(ステップ324)、ステップ302に戻って、次回のリムーバブル記憶装置2の接続の発生を待つ。
【0042】
一方で、ステップ308で、しきい値未満であると判定された場合には、以下の処理を行う。
すなわち、しきい値未満であれば、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するランクテーブルを現用ランクテーブルとして、現用ランクテーブルにファイル識別子が登録されている各オーディファイルについて(ステップ310、314、316)、登録順、すなわち、オーディオファイルのランク順に、リムーバブル記憶装置2の記憶状態に変更がないかどうかを調べる(ステップ312)。
【0043】
ここで、ステップ312における。オーディオファイルのリムーバブル記憶装置2の記憶状態の変更の判定は以下のように行う。
すなわち、現用DBのファイル情報の当該オーディオファイルのファイル属性データのファイルパスで示されるファイルが、接続されたリムーバブル記憶装置2に存在しない場合には、当該オーディオファイルのリムーバブル記憶装置2の記憶状態に変更があったものとする。
【0044】
また、現用DBのファイル情報の当該オーディオファイルのファイル属性データのファイルパスで示されるオーディオファイルがリムーバブル記憶装置2に存在するが、リムーバブル記憶装置2上のファイルシステム23から取得した当該ファイルの作成日時/更新日時が、当該オーディオファイルのファイル属性データのファイル管理情報に登録されている作成日時/更新日時と異なる場合、リムーバブル記憶装置2上のファイルシステム23から取得した当該オーディオファイルのファイルサイズが、当該オーディオファイルのファイル属性データに登録されているファイルサイズと異なる場合、リムーバブル記憶装置2上の当該オーディオファイルにアクセスして取得した当該オーディオファイルに格納されているタグ情報が、当該オーディオファイルのファイル属性データに登録されているタグ情報と一致しない場合との、いずれかの場合であった場合に、当該オーディオファイルのリムーバブル記憶装置2の記憶状態に変更があったものとする。
【0045】
そして、現用ランクテーブルにファイル識別子が登録されている全てのオーディファイルについて、リムーバブル記憶装置2の記憶状態に変更が無ければ(ステップ314)、タグ情報検索モードの設定の禁止を解除し(ステップ330)、バックグランドで上述した更新用DB作成処理を開始し(ステップ332)、新たなDBの作成が完了したならば(ステップ334)、現用DBを作成した新たなDBで置換することにより更新し(ステップ336)、ステップ302に戻って、次回のリムーバブル記憶装置2の接続の発生を待つ。
【0046】
一方、現用ランクテーブルにファイル識別子が登録されているいずれかのオーディファイルにリムーバブル記憶装置2の記憶状態の変更が検出されたならば(ステップ312)、上述した更新用DB作成処理を開始し(ステップ318)、新たなDBの作成が完了したならば(ステップ320)、現用DBを作成した新たなDBで置換することにより更新し(ステップ322)、タグ情報検索モードの設定の禁止を解除し(ステップ324)、ステップ302に戻って、次回のリムーバブル記憶装置2の接続の発生を待つ。
【0047】
次に、上述した更新用DB作成処理の詳細について説明する。更新用DB作成処理の動作は、上述した新規DB作成処理とほぼ同様であるが、リムーバブル記憶装置2の記憶状態に変更が無かったオーディオファイルのファイル属性データのファイル管理情報の登録日時と再生回数は、現用DBの当該オーディオファイルのファイル属性データのファイル管理情報に登録されている値を継承する。ここで、各オーディオファイルのリムーバブル記憶装置2の記憶状態の変更の有無の判定は、上述したステップ312における変更の判定と同様に行う。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上のDB更新制御処理は、ステップ308を設けずに、ステップ306において、接続されたリムーバブル記憶装置2に対応するDBが記憶装置13に記憶されていると判定された場合にはステップ310以降の処理に進む処理としてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、再生回数が少ないオーディオファイルや、最終アクセス日時が古いオーディオファイルや、プレイリストに登録されていないオーディオファイルなどの、ユーザがあまり利用しておらず、したがって、リムーバブル記憶装置2がオーディオ装置1に接続されていない間にユーザが削除してしまう可能性が高いオーディオファイルをランクの高いオーディオファイルとして、当該ランクの高いオーディオファイルについてのみ変更の発生の有無を検出することにより、リムーバブル記憶装置2におけるオーディオファイルの変更の発生の有無を短時間で信頼度高く検出して、データベースの更新を行うことができるようになる。
【0049】
また、リムーバブル記憶装置2へのオーディオファイルの追加などの、ランクの高いオーディオファイルについてのみの変更の発生の有無の検出のみでは検出できないリムーバブル記憶装置2におけるオーディオファイルの変更が発生している場合にも、バックグランドで新たなデータベースの作成を行って、新たなデータベースの作成後にデータベースを更新することにより、ユーザのデータベースの利用を妨げることなく、変更後のリムーバブル記憶装置2の記憶状態に整合するようにデータベースを更新することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…オーディオ装置、2…リムーバブル記憶装置、11…デバイスインタフェース、12…制御部、13…記憶装置、14…表示装置、15…入力装置、16…オーディオプレイヤ、17…スピーカ、21…ホストインタフェース、22…記憶領域、23…ファイルシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたリムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルを再生出力するオーディオ装置であって、
リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を格納したデータベースと、
前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能を提供する検索手段と、
前記データベースを更新するデータベース更新手段とを有し、
前記データベース更新手段は、
前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちの一部のオーディオファイルをチェック対象オーディオファイルとして選定するチェック対象オーディオファイル選定手段と、
前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、前記チェック対象オーディオファイルについての前記リムーバブル記憶装置の記憶内容の変更の発生の有無を調査し、変更が発生している場合に、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を禁止し、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、作成した新規データベースに前記データベースを更新し、当該更新完了後に前記検索機能の提供の禁止を解除するデータベース更新手段とを有し、
前記チェック対象オーディオファイル選定手段は、前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちから、当該オーディオファイルの当該オーディオ装置における再生回数の少ないほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルの最終アクセス日時が古いほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルが前記リムーバブル記憶装置に記憶されているプレイリストに登録されていない場合に登録されている場合よりも当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準との3つの選定基準のうちのいずれかの選定基準、もしくは、前記3つの選定基準のうちの複数の選定基準を組み合わせた選定基準に従って、前記所定数のオーディオファイルを前記チェック対象オーディオファイルとして選定することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
請求項1または2記載のオーディオ装置であって、
前記データベース更新手段は、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、前記チェック対象オーディオファイルの変更の発生の有無を調査し、変更が発生していない場合に、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を停止することなく、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、新規データベースの作成が完了したならば、作成した新規データベースに前記データベースを更新することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のオーディオ装置であって、
前記データベースには、当該データベース作成時のリムーバブル記憶装置の使用済容量が登録されており、
前記データベース更新手段は、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、当該時点のリムーバブル記憶装置の使用済容量と、前記データベースに登録されている当該リムーバブル記憶装置の使用済容量との差が所定値より大きい場合には、前記チェック対象オーディオファイルの変更の発生の有無に関わらずに、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を禁止し、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、作成した新規データベースに前記データベースを更新し、当該更新完了後に前記検索機能の提供の禁止を解除することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項4】
リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を格納したデータベースと、前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能を提供する検索手段とを備え、リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルを再生出力するオーディオ装置において、前記データベースを更新するデータベース更新方法であって、
前記オーディオ装置が、前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちの一部のオーディオファイルをチェック対象オーディオファイルとして選定するチェック対象オーディオファイル選定ステップと、
前記オーディオ装置が、前記リムーバブル記憶装置が接続されたときに、前記チェック対象オーディオファイルについての前記リムーバブル記憶装置の記憶内容の変更の発生の有無を調査し、変更が発生している場合に、前記検索手段の前記データベースを用いたオーディオファイルの検索機能の提供を禁止し、当該時点において当該リムーバブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルの情報を収集して格納した新規データベースを作成し、作成した新規データベースに前記データベースを更新し、当該更新完了後に前記検索機能の提供の禁止を解除するデータベース更新ステップとを有し、
前記チェック対象オーディオファイル選定ステップにおいて、前記データベースに情報が登録されているオーディオファイルのうちから、当該オーディオファイルの当該オーディオ装置における再生回数の少ないほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルの最終アクセス日時が古いほど当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準と、当該オーディオファイルが前記リムーバブル記憶装置に記憶されているプレイリストに登録されていない場合に登録されている場合よりも当該オーディオファイルがチェック対象オーディオファイルとして選定され易くなる選定基準との3つの選定基準のうちのいずれかの選定基準、もしくは、前記3つの選定基準のうちの複数の選定基準を組み合わせた選定基準に従って、前記所定数のオーディオファイルを前記チェック対象オーディオファイルとして選定することを特徴とするデータベースの更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−51004(P2013−51004A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187115(P2011−187115)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】