説明

オーニング装置

【課題】 張った状態を維持したキャンバスの使用面の位置を自在に調整することが可能で円滑な開閉動作を有するオーニング装置を提供する。
【解決手段】 窓部20の上部に取り付けられた第1巻取部30と、第1巻取部30を巻取り及び巻戻し可能に回動させる駆動機構31と、窓部20に一端が回動自在に取り付けられたアーム50と、アーム50の他端に取り付けられ、一定の回転方向に付勢力が働いている第2巻取部60と、第1巻取部30及び第2巻取部60に配設されたキャンバス80と、アーム50が第一巻取部30側の窓部20に対して角度を広げる方向へ付勢力が働く付勢機構90と、アーム20を付勢力方向で係止するストッパ機構70とで構成されており、キャンバス80を閉じる際は、第1巻取部30の巻取る力がアーム50の付勢力及び第2巻取部60の巻取る力の合力よりも大きな力であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の窓部に対して取り付けられ、日よけ用に開閉を行うオーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、日よけ用オーニング装置は、窓枠に対して取り付けられた巻取部と、窓枠の幅方向の両端に取り付けられた一対の支柱と、この支柱に対して回動自在に結しているアームと、アームの先端に取り付けられアーム間を結ぶ張出用バーと、巻取部及び張出用バーの間に配設されたキャンバスとで構成されたオーニング装置が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に示されるオーニング装置は、張出用バーがアームの移動に合わせて動き、キャンバスを引っ張ることにより、キャンバスは開く構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−37512号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に示されるオーニング装置では、キャンバスを開く構造が一方は巻取りのみであり、他方は引張りのみの構造であるから、キャンバスの位置を自在に調整することが困難である。また、巻取部にはキャンバスを巻き戻す巻き戻し機構がなく、キャンバスを開く際には、アームでの窓枠に対しての角度調整が必要となり、高所等の場所に取り付けを行う場合には円滑かつ安全な取り付けが困難である。更に、巻取部が1つであるため、キャンバスにかかる力はキャンバスを十分に張った状態で所定開度まで張出用バーを回動させて固定し、開状態とすることが必要となる。また、キャンバスを開いた状態ではキャンバスの生地の使用面の位置は固定となるため、キャンバスは局部的な摩耗を引き起こし易くなる。
【0005】
そこで、本発明は、張った状態を維持したキャンバスの使用面の位置を自由に調整することが可能なオーニング装置を提供すること、また、円滑な開閉動作が行えるオーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために講じた手段は、窓部の上部に取り付けられる第1巻取部と、第1巻取部を巻取り及び巻戻し可能に回動させる駆動機構と、フレームに一端が回動自在に取り付けられるアームと、アームの他端に取り付けられ、一定の回転方向に付勢力が働いている第2巻取部と、第1巻取部及び第2巻取部との間に配設されるキャンバスと、アームが第一巻取部側の窓部に対して角度を広げる方向へ付勢力が働きアームと窓部の間に設けられる付勢機構と、アームを付勢力に抗して所定角度で係止するストッパ機構とを備え、キャンバスの開動作は、駆動機構によって第1巻取部を巻戻し、アームの他端に取り付けられた第2巻取部が、アームの付勢力によってアームと共に窓部に対して回動し、ストッパ機構によって任意の位置で係止されてキャンバスを開き、第1巻取部を巻戻し及び第2巻取部の巻取りによってキャンバスの生地を調整し、の閉動作は、アームの付勢力及び第2巻取部の巻取る力よりも大きな力で、駆動機構によって第1巻取部の巻取りを行うことでキャンバスを閉じる構成となっている。
【0007】
また、第1巻取部の回転動作は、モータ若しくはギアを用いた回転手段によって巻取り及び巻戻しを行うこととしても良い。
【0008】
そして、キャンバスは、複数の柄のパターン若しくは複数の異なる生地を有する構成であっても良い。
【0009】
更に、ストッパ機構は、窓部及びアームの一端との間に配設され、複数の係止孔が設けられ、係止孔にピンを挿入することでアームの付勢力方向を係止していると良い。
【0010】
また、上記した課題を解決するために講じた手段は、窓部の上部に取り付けられる第1巻取部と、第1巻取部を巻取り及び巻戻し可能に回動させる駆動機構と、窓部に一端が回動自在に取り付けられるアームと、アームの他端に取り付けられ、一定の回転方向に付勢力が働いている第2巻取部と、第1巻取部及び第2巻取部との間に配設されるキャンバスと、アームが第一巻取部側の窓部に対して角度を広げる方向へ付勢力が働きアームと窓部の間に設けられる付勢機構と、アームには全開時に窓部と当接し、アームを付勢方向で係止する屈曲部とを備え、キャンバスの開動作は、駆動機構によって第1巻取部を巻戻し、アームの他端に取り付けられた第2巻取部が、アームの付勢力によってアームと共に窓部に対して回動し、屈曲部によって任意の位置で係止されてキャンバスを開き、第1巻取部を巻戻し及び第2巻取部の巻取りによってキャンバスの生地を調整し、キャンバスの閉動作は、アームの付勢力及び第2巻取部の巻取る力よりも大きな力で、駆動機構によって第1巻取部の巻取りを行うことでキャンバスを閉じる構成となっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オーニング装置は、第1巻取部に巻戻し及び巻取り機能を有し、第2巻取部に巻取り機能を有している。さらには、アームは窓部に対して角度を広げる方向に付勢力が働いている。このため、オーニング装置は、第1巻取部の巻戻しと第2巻取部の巻取り、アームの付勢力によって、キャンバスを送る力の方向が一定のためキャンバスを開動作は円滑になる。また、オーニング装置は、第1巻取部の巻戻しが上記した二つの力である第2巻取部の巻取り及びアームの付勢力よりも大きいため閉動作におけるキャンバスの巻取りも円滑に行うことができる。更に、開動作の際にストッパ構造によってアームが任意の位置に到達した時のキャンバスは、第1巻取部の巻戻しと第2巻取部の巻取りの関係から位置を調整することが可能である。これにより、キャンバスは、使用する面を調整することで局部的な摩耗を抑制することができ、キャンバスの耐久性を増すことが可能である。また、キャンバスの耐久性が増すことによって、使用者はキャンバスの取り替え作業を軽減できる。但し、第2巻取部の巻取り力よりもアームの付勢力が大きくなければならない。
【0012】
このオーニング装置は、第1巻取部の駆動機構がモータによる電動若しくはギア等によるメカ機構でも、閉動作時の巻取り力が、第2巻取部の巻取り及びアームの付勢力よりも大きければ成立していれば、使用者が環境に合わせた駆動方法を選択してオーニング装置を使用できる。モータ及びギアによる回転動作は、巻取り及び巻戻しの両方向への力の調節が可能である。
【0013】
このキャンパスは、1つの生地に複数の柄や濃淡の異なる色の組合せ等で構成してもよい。更に、キャンバスは、複数の異なる生地を繋ぎ合わせることで構成してもよい。これにより、キャンバスの生地若しくは柄パターンの性質によって、使用者が生活環境に合わせた組合せを選ぶことが可能となる。
【0014】
更に、オーニング装置のストッパ機構は、アームの周方向に設けられた複数の係止孔に係止ピンを挿入することによって、使用者が任意の角度でアームを係止することができる。上記したストッパ構造は、窓部に取付けられており、アームを任意の位置を設定する動作は窓部付近で行えるため、高所等の場所においても安全にオーニング装置が使用できる。
【0015】
また、ストッパ機構を有するアームは、窓部との回転中心付近に任意の角度で折り曲げられており、この折り曲げられた部分が窓枠と当接することでストッパの役割を担っている。使用者は、予め定められたアームを選択することで、必要な遮光等を行うためのキャンバスの角度を決めることになるが、ストッパ位置を選定する作業を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係わるオーニング装置の斜視図。
【図2】図1に示すオーニング装置の第1巻取部の断面の様子を示す説明図。
【図3】図1に示すオーニング装置の第2巻取部の斜視図。
【図4】図3に示す第2巻取部の様子を示す説明図。
【図5】図1に示すオーニング装置のストッパ機構の係止角が90度の場合の要所部分拡大図。
【図6】図1に示すオーニング装置のストッパ機構の係止角が135度の場合の要所部分拡大図。
【図7】図1に示すオーニング装置のアームの付勢機構の状態を示した説明図であり、(a)アーム角度が10度の場合、(b)アーム角度が90度の場合、(c)アーム角度が135度の場合の説明図。
【図8】図1に示すオーニング装置のキャンバスが閉状態時の斜視図。
【図9】オーニング装置のキャンバス開状態時の状態説明図(135度の場合)。
【図10】オーニング装置のキャンバス開状態時の状態説明図(キャンバスの半分が異なる生地の場合)。
【図11】オーニング装置のキャンバス開状態時の状態説明図(キャンバスが完全に入れ替わる場合)。
【図12】アームにストッパ機構を含むオーニング装置の閉状態の斜視図。
【図13】図12に示すオーニング装置の開状態の斜視図。
【図14】図12に示すオーニング装置にカバー部が取付けられた斜視図。
【図15】図13に示すオーニング装置にカバー部が取付けられた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1に係わるオーニング装置1の構成について、説明する。図1は、実施例1のオーニング装置1の斜視図を示している。
【0019】
図1に示すように、オーニング装置1は、建物等の日光を取り入れる窓部20の上部に、窓部20と平行な状態で第1巻取部30の両端が窓部20の窓周囲21の左右端に固定される支持体40を介して配設されている。さらに、左右の窓部20の下方には左右一対のアーム50が窓周囲21に取付けられている。アーム50の一方は回動自在な状態で取付けられ、他方は、第1巻取部30に対向するように第1巻取部30と略長さが同じの第2巻取部60が取付けられている。このアーム50と窓部20の接合部分は、アーム50の上下方向の回動を所定角度で係止するストッパ機構70が窓部20に対して取付けられている。
【0020】
第1巻取部30及び第2巻取部60には、複数の生地を縦列に結合した布製のキャンバス80が後述する第2巻取部60に設けられた巻取り機構によって常に張った状態を維持できる構成となっている。第1巻取部30は、後述する駆動機構を用いて巻戻しおよび巻取りが可能である。第2巻取部60は、内部に設けられるばね機構によってキャンバス80の巻取り方向(図1に示す反時計方向)に常に付勢力が作用して、キャンバス80の巻取りがばねの付勢力によって可能となっている。アーム50はパイプ状の金属から成り、第1巻取部30から第2巻取部60が離間するようキャンバス80を下方に引っ張る方向に付勢力が付与されている。図1に示す如く、キャンバス80を開方向に開く場合は、第1巻取部30の巻戻し(図1に示す反時計方向の回動動作)と第2巻取部60の巻取り(図1に示す反時計方向の回動動作)は、アーム50のばねによる付勢力によって行われる。この場合、第2巻取部60のキャンバス80を巻き取る力よりもアーム50を下方に回動させる付勢力の方が大きく設定してある。このため、キャンバス80を十分に張った状態を維持し続けたまま、アーム50は下方に一点を中心として回動し、ストッパ機構70にアーム50の側面が係止される位置まで回動することができる。一方、キャンバス80を図7の(a)の如く収納する場合には、第2巻取部60のキャンバス80を巻取る力及びアーム50を下方に回動させる付勢力よりも第1巻取部30の巻取る力、つまり、内部に設けられる駆動機構の出力の方が大きく設定することによって、キャンバス80が巻き取られる閉状態とすることができる。
【0021】
図1に示すように、キャンバス80に複数の生地を用いる場合は、例えば、遮光生地とメッシュ生地の場合には、遮光生地は直射日光を室内に入れないため、家具や床等の色あせを防ぐ事が可能であり、メッシュ生地は、室内から屋外をみることができ、室内の圧迫感を軽減が可能となる。更に、このように二つの生地を合わせることにより、例えば、遮光生地及びメッシュ生地を同時に用いた場合は、室内の照度を確保しつつ直接的な室内への日射を軽減することができる。このとき、生地を縦列に結合しているために各生地の性質を有効に利用することができる。また、キャンバス80の変形例として、1枚の布または樹脂製のシートを使用することも可能であり、この場合には日射を抑制するために上方の所定領域のみ下方に比べて濃い色を付けたり、模様や所定パターンあるいは柄をつけたりすることでも、上記と同様の効果が得られるのはいうまでもない。また、キャンバス80は、日射による日ざしを抑えるためには、少なくとも2パターンの色(薄い色と濃い色、透明色と透明色より濃い色等)を有していれば良い。
【0022】
次に、本発明に係わるオーニング装置1の第1巻取部30について、図2を参照して説明する。
【0023】
図2は図1に示すオーニング装置1における第1巻取部30の断面の様子を示す説明図である。第1巻取部30は図2に示す如く両持ちで支持され、一方が支持体40aに固定され、他方が回動自在に支持体40bに支持される構成となっている。第1巻取部30は、駆動機構の駆動源となる一端が固定されたモータ31と、モータ31の出力となり回転を行う回転部32と、キャンバス80を巻取り及び巻戻すために回転部32に取付けられた筒状の第1ロール33と、第1ロール33と一体となって回転するシャフト34と、シャフト34に近設してキャンバス80の端部を検知する検知部材34とを備えている。このモータ31は、第1巻取部30を支持する支持体40の一方の支持体40aに固定されており、モータ31の回転部分は第1ロール33が取付けられている。また、シャフト34は、他方の支持体40bに回動自在に支持されている。第1巻取部30は、モータ31の回転(正回転または逆回転)と同時に回転部32が回転しこれにともなって第1ロール33が回転することにより、キャンバス80の巻取り及び巻戻しを行うことができる構成となっている。更に、第1ロール33が一方向に回転することによりシャフト34が回転するため、支持体40bの固定側に設けられた検知部材35は、シャフト34の回転状態からキャンパス80の巻き戻しや巻取りの端部を接触または非接触にて検知することができる。この検知部材35は公知のものを用いており、詳細な説明は省略する。
【0024】
次に、オーニング装置1における第2巻取部60について、図3および図4を参照して説明する。図3は、オーニング装置1の第2巻取部60の斜視図であり、図4は、図3に示す第2巻取部60の断面の様子を示した説明図である。
【0025】
図3に示す如く、第2巻取部60は、断面コ字状を呈し一対のアーム50の先端に固定され、両端が垂直方向に突出した細長い支持枠64に、キャンバス80を巻き取る中空状の第2ロール61が回転可能に支持されている。第2ロール61の回転軸となる第2ロール61内部に軸部62が設けられ、第2ロール61と軸部62の間には両端が第2ロール61と軸部62のそれぞれに係止されキャンバス80を巻き取る付勢力を付与するスプリング63が設けられている。図4に示すように第2ロール62の中に配設されるスプリング63は、一端が第2ロール61、他方が軸部62の途中の側壁にリベット等の取付手段65を用いて取付けられ、軸部62はねじ66によって支持枠64の両端で固定されている。このため、第2ロール61が回転すると回転した分だけスプリング63に付勢力が増大する。また、第2巻取部60の巻き取り方向の付勢力は、キャンバス80が引っ張られた状態で大きく、最大にキャンバス80が開いた状態で最大となり、キャンバス80を巻取るにつれて徐々に小さくなり、キャンバス80が閉じた状態で最小となる。
【0026】
次に、アーム50を回転自在に支持およびアーム50の回動を所定角度にて係止するストッパ機構70について、図5および図6を参照して説明する。図5は、図1に示すオーニング装置1におけるストッパ機構70の係止角90度での状態を示し、図6はストッパ機構70の係止角135度での状態を示した要所部分拡大図である。なお、係止角の角度は、アーム50とアーム50の取付けられた窓部(窓フレームでも可)20及びキャンバス80によって形成される三角形の内角のうち、窓部20とアーム50との成す角度と定義する。以下に示す角度は、この定義を意味するものとする。
【0027】
図5に示すように、ストッパ機構70は、1本のアーム50を左右両側から挟み込むように金属製の2枚のプレート部材71を設置し、アーム50が回動する周方向にプレート部材71を連通する複数の係止孔72を周方向に複数(例えば、個数は限定されないものとするが、ここでは2つ)有している。係止孔72に対し、外側より一端に頭部を有する係止ピン73を挿入することにより、係止ピン73の側面にアーム50の側面が当接することによりアーム50の回動を所定角度となるように規制することが可能である。図5および図6は、係止孔72によってアーム50の回動角度が90度及び135度の場合について示している。図5は、アーム50が水平である90度となる位置にて係止孔72をプレート部材71に設けており、この係止孔72の位置に係止ピン73を挿入することによって、アーム50の回動角度を係止している。図6も図5と同様に、アーム50の回動角度が135度の位置となり、アーム50の回動を係止できるように、135度となる係止孔72に係止ピン73を挿入することで図6の状態とすることができる。このように係止孔72が複数設けられているために、様々な角度でのアームを係止することができ、使用者は、自分の好み若しくは用途に合わせた角度を自由に係止ピン73の位置を変えて選定することが可能である。
【0028】
次に、アーム50の付勢機構90について、図7を参照して説明する。図7は、アーム50の付勢機構90を説明する説明図である。(a)はアーム50のアーム角度が10度の場合を示し、(b)はアーム50角度が垂直(90度)の場合、(c)はアーム50角度が135度の場合を示している。
【0029】
図7に示すように、主にアーム50の内部に設けられる付勢機構90はコイル状の引張ばね91が取付けられており、一方はアーム50の第2巻取部60側に、他方はワイヤー92を介して回転軸93に係止され取付けられている。更に、ワイヤー92はストッパ機構70との回転軸93を介してストッパ機構70を窓部20に設置する設置部74にねじ等の固定手段94によって係止された状態で取付けられ、先端がく字状に屈曲しその屈曲部が平面状となった設置部74と当接している。この場合、ワイヤー92が回転軸93を介して係止され引張ばね91により引っ張られることで、ワイヤー92はアーム50の回動角度によって回転軸93での張力が変化し、引張ばね91の張力もこれに伴って変化する。図7の(a)〜(c)に示すように、アーム50の回動角度が広がるにつれて、回転軸93とワイヤー92の設置面積は次第に小さくなる。このため、アーム50の回動角度が大きくなるとアーム50内部の付勢機構90の張力が弱まるので、アーム50の付勢力も小さくなる。これにより、オーニング装置1の閉状態からの開状態の初動作は、この付勢機構90の付勢力が最大からの動作となるため、開動作を円滑に行うことが可能となる。
【0030】
次に、オーニング装置1の動作について、図8〜図11を参照して説明する。図8は、オーニング装置1のキャンバス80が閉状態の場合の斜視図を示す。図9は、オーニング装置1のキャンバス80が全開状態の場合の斜視図を示している。また、図10は、キャンバス80が全開状態の場合においてキャンバス80の上下方向の半分が異なる生地を用いた場合の斜視図を示す。更に、図11は、キャンバス80が全開状態の場合にキャンバス80の生地が完全に入れ替わる場合の斜視図を示す。図8〜図11のアーム50の角度は135度まで開くことが可能である。
【0031】
図8に示す如く、オーニング装置のキャンバス80が閉状態の場合では、キャンバス80は、第1巻取部30側に最も巻き取られている。一方、第2巻取部60は、キャンバス80の下方の端部との接合面が外見から露出するようにすることも可能である。この状態では、第2巻取部60は、キャンバス80を第1巻取部30により巻き取られているために、第2巻取部60の巻取り方向の付勢力(図8の反時計方向)は最大となり、付勢機構90によりアーム50に作用する付勢力も最大となる。この時、第1巻取部30の内部に設けられるモータ31によって、第1巻取部30の巻取方向への力は、第2巻取部60の巻取り方向への付勢力とアーム50の付勢力よりも大きい力としているため、上記2つの力が最大となっても、開状態への動作は規制され行われない。キャンバス80の閉状態から開状態に移る際は、第1巻取部30のモータ31によって巻戻し(図8に示す反時計方向の回転)が行われることで、アーム50が付勢機構90の付勢力によって移動するため、図9に示すように弛みなくキャンバス80を十分に張ったまま状態で開動作が行われる。この開動作においては、アーム50の側面がストッパ機構70に挿入された係止ピン73の位置によって係止されるまでは、第2巻取部60での巻取りは行われない。これは、第2巻取部60の巻取り方向の付勢力に比べてアーム50の付勢力が大きいために、キャンバス80は、第2巻取部60に巻き取られること無く、アーム50が係止される位置まで張ったままの状態を継続することができる。アーム50が係止ピン73による係止後に、再び第1巻取部30が巻戻し動作を行うと、キャンバス80は第2巻取部60の付勢力によって巻き取られる。第2巻取部60がキャンバス80を巻き取った際、キャンバス80が異なる生地で縦列に結合されている場合は、図10に示すようにキャンバス80を異なる生地を同時に使用することができ、使用者は、自分の好み若しくは用途に合った使用が可能となる。更に、キャンバス80の生地の境目は、使用者の任意の位置に設定することは、モータ31による巻取り量を変えれば可能となる。また、図11に示すように第2巻取部60が巻取り動作を継続すると、キャンバス80は最初の生地とは異なる生地のみとすることも可能である。図9〜図11までの動作の際は、モータ31が巻取り動作を行わない限り、アーム50には常に反時計方向、即ち、アーム50の回動角度が大きくなる方向に付勢力が働き、係止ピン73によるストッパ機構70の係止位置から移動することは無いため、円滑な開動作が行われる。開状態から閉状態への動作は、上記した第1巻取部30の巻取り力と第2巻取部60の巻取り方向への付勢力及びアーム50の付勢力との力関係により、キャンバス80が第2巻取部60から第1巻取部30へ巻き取られ、その後にアーム50が移動することによって行われる。
【0032】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2に係わるオーニング装置1の構成について図12〜図15を参照して説明する。図12は、アーム50にストッパ機構70を含むオーニング装置1の閉状態の斜視図を示し、図13は図12に示されたオーニング装置1の開状態の斜視図を示している。図14は図12に示すオーニング装置1の上方にカバー部100が取付けられた斜視図を示し、図15は図13に示すオーニング装置1にカバー部100が取付けられた斜視図を示している。
【0033】
図12、図13に示すように、実施例2の構成は実施例1の構成と同様であり同じ構成については説明を割愛する。第1実施例と異なる点はアーム50に窓部20との接合部が任意の角度で曲げられた屈曲部51を設けたことが主に異なる。このような構成とすることで、キャンバス80が閉状態から開状態になった際に屈曲部51が窓部20と当接するため、アーム50は設定された角度で係止される。従って、オーニング装置1は、予め設定した角度でアーム50を係止するため、ストッパ機構70の簡素化を行うことができる。また、この第2巻取部60は、支持枠64を介さずに軸部62の両端をアーム50に接合している。なお、このアーム50は、プレート部材71に取付けられた回転軸93によって窓部20に対して回動自在に取付けられている。
【0034】
図14、図15では、オーニング装置1には、窓部20にカバー部100が取付けられている。このカバー部100は、第1巻取部30及び支持体40が収納されている第1カバー部101と、第2巻取部60が収納されている第2カバー部102とで構成されている。この第1カバー部101は、上面が第一巻取部の全体を覆うベースカバー103と、ベースカバー103の側面を覆う側壁カバー104とで構成されている。ベースカバー103は、屈曲している両端に側壁カバー104を嵌合することによって、窓部20に取付けることが可能となる。更に、ベースカバー103は、窓部20と対向側に開口部105を設けており、この開口部105に第2カバー102を収納する。また、側壁カバー104は、窓部20に取付けられた支持体40を覆うような形状となっている。また、第2カバー部102は、第2巻取部60に固定されており、開状態時にはアーム50が回動すると同時に移動し、閉状態時には、ベースカバー103の開口部105へ介装される。これにより、第1巻取部30と第2巻取部60とキャンバス80は、カバー部100に収納される。これにより、オーニング装置1の外観の美観を高め意匠性を高めることができ、風雨による水やゴミによって引き起こされるモータ31の故障等を軽減することが可能となる。
【0035】
以上、実施例1と実施例2の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示す態様に変更してもよい。
【0036】
・第1巻取部30の駆動機構であるモータ31は、ギア機構によって巻取り及び巻戻しを行う構造としても良い。この際、ギア機構の巻取り力は、第2巻取部60の巻取り力とアーム50の付勢力よりも大きな力になるようにする。
【0037】
・第2巻取部60が、電動での巻取り構造としても良い。この様な構成としても、オーニング装置1は第1巻取部30の開閉動作と同時に第2巻取部60の巻取り動作を制御することで、キャンバス80を張った状態で保持しつつ生地の調整を行うことが可能となる。
【0038】
・第1カバー部101と第2カバー部102の間にシール構造を形成しても良い。これにより、オーニング装置1は、風雨による水やゴミによって引き起こされるモータ31の故障等の軽減効果を増すことが可能となる。
【0039】
・実施例2に記載されたカバー部100は、実施例1のオーニング装置1に取付けられていても良い。この場合、実施例2と取付ける構造は同様であるため、取付け後に得られる効果も同様に外観の美観を高め、モータ31の故障等を軽減することが可能である。
【0040】
・実施例1及び実施例2のアーム50の回転軸93を有するストッパ機構70若しくはプレート部材71には、挟み込みを防止するカバーを取り付けると良い。アーム50の回転軸93は窓部20に近く、使用者がアーム50とストッパ機構70若しくはプレート部材71の間に指等を挟まれるおそれがあるため、カバーを取付けることで防止することが可能となる。
【0041】
・実施例1、実施例2ではアーム50が上下方向に窓部20に対して回動するようにしたが、アームを途中で分割するか、若しくは、く字状にして左右のアーウを内側に折りたたむ形状として、窓部20の左右方向にそれぞれのアームを取付け、左右両側の折りたたまれたアームをスプリングの付勢力を利用して窓部20から外側に所定量だけ突出させることにより、アーム間に設けられたキャンバス80が実施例1に示す第1巻取部30るいは第2巻取部60により、十分に張られた構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 オーニング装置
20 窓部
30 第1巻取部
31 モータ(駆動機構)
50 アーム
51 屈曲部
60 第2巻取部
70 ストッパ機構
72 係止孔
73 係止ピン
80 キャンバス
90 付勢機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部の上部に取り付けられる第1巻取部と、
該第1巻取部を巻取り及び巻戻し可能に回動させる駆動機構と、
前記窓部に一端が回動自在に取り付けられるアームと、
該アームの他端に取り付けられ、一定の回転方向に付勢力が働いている第2巻取部と、
前記第1巻取部及び前記第2巻取部との間に配設されるキャンバスと、
前記アームが前記第一巻取部側の前記窓部に対して角度を広げる方向へ付勢力が働き前記アームと前記窓部の間に設けられる付勢機構と、
前記アームを付勢力に抗して所定角度で係止するストッパ機構とを備え、
前期キャンバスの開動作は、前記駆動機構によって前記第1巻取部を巻戻し、前記アームの他端に取り付けられた前記第2巻取部が、前記アームの付勢力によって該アームと共に前記窓部に対して回動し、ストッパ機構によって任意の位置で係止されて前記キャンバスを開き、前記第1巻取部を巻戻し及び前記第2巻取部の巻取りによって前記キャンバスの生地を調整し、
該キャンバスの閉動作は、前記アームの付勢力及び前記第2巻取部の巻取る力よりも大きな力で、前記駆動機構によって前記第1巻取部の巻取りを行うことで前記キャンバスを閉じることを特徴とするオーニング装置。
【請求項2】
前記第1巻取部の前記駆動機構は、モータ若しくはギア機構を用いて巻取り及び巻戻しを行うことを特徴とする請求項1に記載のオーニング装置。
【請求項3】
前記キャンバスは、複数の柄パターン若しくは複数の異なる生地を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーニング装置。
【請求項4】
前記ストッパ機構は、前記窓部及び前記アームの一端との間に配設され、複数の係止孔が設けられ、前記係止孔にピンを挿入することで前記アームの付勢力方向を係止することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のオーニング装置。
【請求項5】
窓部の上部に取り付けられる第1巻取部と、
該第1巻取部を巻取り及び巻戻し可能に回動させる駆動機構と、
前記窓部に一端が回動自在に取り付けられるアームと、
該アームの他端に取り付けられ、一定の回転方向に付勢力が働いている第2巻取部と、
前記第1巻取部及び前記第2巻取部との間に配設されるキャンバスと、
前記アームが前記第一巻取部側の前記窓部に対して角度を広げる方向へ付勢力が働き前記アームと前記窓部の間に設けられる付勢機構と、
前記アームには全開時に前記窓部と当接し、前記アームを付勢方向で係止する屈曲部とを備え、
前記キャンバスの開動作は、前記駆動機構によって前記第1巻取部を巻戻し、前記アームの他端に取り付けられた前記第2巻取部が、前記アームの付勢力によって該アームと共に前記窓部に対して回動し、前記屈曲部によって任意の位置で係止されて前記キャンバスを開き、前記第1巻取部を巻戻し及び前記第2巻取部の巻取りによって前記キャンバスの生地を調整し、
該キャンバスの閉動作は、前記アームの付勢力及び前記第2巻取部の巻取る力よりも大きな力で、前記駆動機構によって前記第1巻取部の巻取りを行うことで前記キャンバスを閉じることを特徴とするオーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−94407(P2011−94407A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250254(P2009−250254)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】