説明

カドミウム含有水田土壌の浄化方法

【課題】カドミウム含有水田土壌を効率良く浄化する方法の提供。
【解決手段】カドミウム含有水田土壌を薬剤水溶液で洗浄してカドミウムを抽出し、静置により土壌と上澄水に分離し、抽出されたカドミウムを上澄水として排出し、更に水で希釈洗浄する原位置浄化方法において、カドミウムを含有する洗浄排水を洗浄対象水田の一部に集め、当該位置で、排水を中和又はアルカリ処理し、カドミウムを集積することを特徴とするカドミウム含有水田土壌の浄化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カドミウム含有水田土壌を、効率良く浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本での現行の農用地土壌汚染防止法では、「カドミウム(Cd)含量1mg/kg以上の玄米を産出する」地域が土壌汚染対策地域に指定され、土壌改良の事業対象とされている。一方、0.4〜1mg/kgの米に関しては、食用米として市場に流通しないよう規制されているが、当該濃度の米を産出する地域は基本的に改良対象地域に指定されていない。一方、CODEX(WHOとFAOによる合同食品規格委員会)において、農作物中のCd濃度の基準値が討
議され、2006年7月、米について0.4mg/kgという案が採択された(非特許文献1)。従って、今後CODEX基準値が日本国内で批准され、土壌改良事業の指定地域が0.4mg/kgの米を産出する地域に変更された場合、日本国内で相当の面積がCd汚染農用地として指定され、修復が求められる可能性がある。また、平均的な日本人のCd摂取量の約50%は米に由来しており、食の安全の観点からCd汚染水田の修復は日本を中心に世界規模で望まれる。
【0003】
現行の土壌改良事業では主に客土法が採用されているが、高額の費用を要するのみならず、近年は客土に使用する山土も採取が困難な状況にある。客土では大量の排土処理と水田土壌に適するよう土壌肥沃度を高める必要があり、物理的またコスト的に効率の良い土壌浄化法が求められている。
【0004】
重金属汚染土壌の修復法には、客土のほか、固形化処理(solidification)、熱処理(thermal treatment)、電気的修復(electroreclamation;電気泳動法等)、植物による抽出(phytoextraction)、植物を用いた蒸散(phytovolatilization)、土壌洗浄(soil washing,soil flushing)などがある(非特許文献2、非特許文献3)。洗浄法による土壌修復は多くの企業で研究が進められているが、その多くは工場跡地などを対象として、汚染土壌を処理場に搬入して浄化するものであり、重金属濃度の高い粘土画分を分取して汚染土壌の減量化、低濃度化を図る事例が多く(非特許文献4)、水田現場に適用するには問題が残る。
【0005】
また、種々の薬剤を用いて、重金属含有土壌から重金属を溶出させて除去することにより、汚染土壌を浄化する方法が検討されている。例えば、薬剤として、カルシウム塩、有機酸、無機酸及びアミノカルボン酸から選ばれる1種以上の水溶液を用いて洗浄する方法(特許文献1)や、土壌pH(H2O)以下において加水分解により水酸イオンを配位して金属水酸化物を生成する金属塩化合物を用いて洗浄する方法(特許文献2)などが提案されている。
これら化学的土壌洗浄法は、汚染土壌に洗浄資材を加え、液状で混合して重金属を浸出除去し、浄化システムで処理する修復技術である。化学的手法であるため除去効率が高く、短期間で修復可能という長所を有する。
【0006】
しかして、このような薬剤水溶液や水を用いて土壌を洗浄する方法においては、重金属を含む多量の廃液が発生するが、その処理のため、排水処理装置や脱水装置が必要となる。このような装置の設置には多大な費用がかかり、コスト高になるという問題がある。また、浄化対象土壌の場所によっては、排水処理装置等の設備が設置できない場合も生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】CODEX., 2005 : Report of the 37th session of the CODEX committee on food additives and contaminants. Codex alimentarius commission, Alinorm 05/28/12, 1-189.
【非特許文献2】Vangronsveld, J., Cunningham, S.D., 1998 : Introduction to the concepts, In: Vangronsveld, J., Cunningham,S.D. (Eds.), Metal-Contaminated Soils. Springer, Berlin, pp. 1-15.
【非特許文献3】Calmano, W., Mangold, S., Stichnothe, H., Thoming, J., 2001 : Clean-Up and Assessmentof Metal Contaminated Soils, In: Stegmann, R., Brunner,G., Calmano, W., Matz, G. (Eds.), Treatment of Contaminated Soil. Springer, Berlin, pp. 471-490.
【非特許文献4】熊本進誠:洗浄法による重金属類汚染土壌の浄化技術,土壌における難分解性有機化合物・重金属汚染の浄化技術,257-275,NTS,2002年
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−283743号公報
【特許文献2】特開2005−169381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、カドミウム含有水田土壌を、効率良く浄化する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、種々検討した結果、カドミウムを含有する洗浄排水を洗浄対象水田の一部(集積田)に集め、当該位置で、排水を中和又はアルカリ処理すれば、排水処理装置や脱水装置を設置する必要がないため、コストが低減され、水田土壌を効率良く浄化できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、カドミウム含有水田土壌を薬剤水溶液で洗浄してカドミウムを抽出し、静置により土壌と上澄水に分離し、抽出されたカドミウムを上澄水として排出し、更に水で希釈洗浄する原位置浄化方法において、カドミウムを含有する洗浄排水を洗浄対象水田の一部に集め、当該位置で、排水を中和又はアルカリ処理し、カドミウムを集積することを特徴とするカドミウム含有水田土壌の浄化方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排水処理装置や脱水装置を設置する必要がないため、コストが低減され、カドミウム含有水田土壌を効率良く浄化することができる。また、排水処理装置等の設備を設置できない場所にある水田でも、浄化することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で浄化対象となるカドミウム含有水田土壌は、カドミウム濃度が0.1〜10ppmの水田土壌であり、このような水田土壌の原位置での浄化に好適である。
【0014】
本発明で用いる薬剤としては、重金属含有土壌の洗浄に用いられるものであれば特に制限されないが、例えばカルシウム塩、有機酸、無機酸、アミノカルボン酸が挙げられる。カルシウム塩としては、例えば塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、ヨウ化カルシウム等が挙げられ;有機酸としては、クエン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、酪酸、リンゴ酸、イタコン酸、グルコン酸、プロピオン酸等が挙げられ;無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
【0015】
アミノカルボン酸としては、カドミウムとともに錯体を形成するものであり、例えばアラニン、グルタミン酸、グリシン、システイン等のアミノ酸や、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)4酢酸(EGTA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン4酢酸(DCTA)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、2−ヒドロキシエチルジアミン3酢酸(HEDTA)、ニトリロ3酢酸(NTA)、グルタミン酸二酢酸4ソーダ、アスパラギン酸二酢酸4ソーダ(ASDA)、メチルグリシン二酢酸3ソーダ(MGDA)、S,S−エチレンジアミンコハク酸(EDDS4H)、S,S−エチレンジアミンジコハク酸3ソーダ(EDDS3Na)が挙げられる。これらのうち、特に生分解性キレート剤であるグルタミン酸二酢酸4ソーダ、アスパラギン酸二酢酸4ソーダ(ASDA)、メチルグリシン二酢酸3ソーダ(MGDA)、S,S−エチレンジアミンコハク酸(EDDS4H)、S,S−エチレンジアミンジコハク酸3ソーダ(EDDS3Na)が好ましい。
【0016】
また、薬剤として、土壌pH(H2O)以下において加水分解により水酸イオンを配位して金属水酸化物を生成する金属塩化合物を用いることもできる。浄化対象土壌のpHは、概ねpH9以下であり、このpH以下において、水酸イオンが金属塩に配位して、金属水酸化物を生成するものである。
【0017】
かかる金属塩化合物としては、例えば塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、ポリ硫酸鉄等の鉄塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩;塩化マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等のマンガン塩;塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト等のコバルト塩;塩化銅、硝酸銅、硫酸銅等の銅塩などが挙げられる。
【0018】
これらの薬剤のうち、特に塩化カルシウム、塩化第二鉄、塩酸が好ましい。
また、薬剤は1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、薬剤水溶液の濃度は、5mM〜1M、特に10mM〜0.1Mであるのが、薬剤コストの低減、水洗回数の低減、洗浄廃液処理の負荷低減の点で好ましい。
【0019】
本発明においては、まず、カドミウム含有水田土壌に、薬剤水溶液を施用し、土壌と水溶液を混合撹拌して洗浄した後、静置して土壌中のカドミウムを抽出する。
【0020】
洗浄に用いる薬剤水溶液の量は、浄化対象土壌の1.3〜3質量倍、特に1.5〜2質量倍であるのが、カドミウムの抽出効率及び排水によるカドミウム及び洗浄薬剤の除去効率が高まるので好ましい。
【0021】
本発明において、薬剤水溶液で洗浄するとは、土壌と水溶液を直接混合する以外に、土壌に薬剤と水を別々に加えて混合して洗浄する方法、水を含む土壌に薬剤を混合して洗浄する方法も含まれる。水溶液の濃度や使用量が、前記の範囲内になるように用いれば良い。
【0022】
原位置で、薬剤と水を別々に加えて土壌洗浄する場合、例えば、固形、粉状の薬剤であれば、肥料散布機、薬剤散布機、またはこれらを装着したトラクター等により散布することができる。また、液体の薬剤であれば、ポンプ等で直接施用することができる。水は、通常導水する方法や、ポンプ等により、決定した固液比に相当する量を入れる。
【0023】
また、薬剤を水溶液として加えて土壌洗浄する場合には、例えば、タンクを用いて薬剤を水に溶解し、所定の濃度になるよう混合した後、ポンプを用いて施用でき、また、所定濃度より高濃度の溶液を調製して施用した後、ポンプを用いて施用できるほか、所定濃度要理高濃度の溶液を調製して施用した後、所定濃度になるよう水を加えても良く、更に、予め湛水した水田に施用しても良い。また、導水時に連続的に薬剤を投入できる装置により施用しても良い。
【0024】
土壌と薬剤水溶液を混合撹拌するには、例えばロータリー等の作業機を装着したトラクター等を用いて行なうことができる。
【0025】
静置により土壌粒子を沈降させた後、土壌と上澄水に分離し、抽出されたカドミウムを上澄水として排水する。上澄水を除去するには、通常水田で落水する時開く排水口を開けて排水し、一時的にピットに貯留し、その後ポンプで廃水処理設備に入れても良いし、そのままポンプで水田から排水しても良い。
【0026】
このように処理することにより、土壌は薬剤水溶液で洗浄され、土壌中のカドミウムは水溶液中に溶出する。水溶液による洗浄は、少なくとも1回、好ましくは1〜3回行われる。
【0027】
薬剤水溶液で洗浄された土壌には、カドミウムが溶解した水溶液の一部が残存するため、次に土壌を水で希釈洗浄して、これを除去する。
水による洗浄は、薬剤水溶液による洗浄と同様に行えば良く、用いる水の量なども、薬剤水溶液の場合と同様であるのが好ましい。
【0028】
また、水による洗浄は、溶出するカドミウム及び薬剤濃度が水稲の生育に影響を及ぼさないレベルまで繰返し行うのが好ましい。
【0029】
本発明においては、薬剤水溶液及び水洗浄により排出された、カドミウムを含有する洗浄排水を、浄化対象水田の一部(集積田)に集める。集積田は、浄化対象水田の端に設置するのが好ましく、特に、道路に接する端側に設置するのが、カドミウムを集積した後に行う集積田土壌の排土・客土の施工性の点から好ましい。
【0030】
集積田に集められた洗浄排水は、当該位置で中和又はアルカリ処理を行う。中和又はアルカリ処理は、pH5.8〜8.6、特にpH7〜8.6で行うのが、カドミウムの不溶化効果及びpHの排水基準適応において中和再処理の必要がなく好ましい。
中和又はアルカリ処理は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、石灰質資材等、水溶液がアルカリ性を呈するものであれば特に制限されずに用いることができる。これらのうち、散布作業の安全性、コスト、環境負荷の点から、特に石灰質資材が好ましい。石灰質資材としては、例えば、炭酸カルシウム、苦土炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、生石灰、苦土生石灰、消石灰、苦土消石灰、副産石灰、貝化石石灰、混合石灰等が挙げられ、特に、消石灰が、少ない施用量で中和又はアルカリ処理ができるので好ましい。また、石灰質資材は、粉状品、粒状品等の何れでも用いることができる。
これらのアルカリ資材等を添加し、土壌をスラリー攪拌することにより、中和又はアルカリ処理を行うことができる。土壌の攪拌は、土壌洗浄の場合と同様に行うことができる。
【0031】
中和又はアルカリ処理の際には、当該土壌(集積田)に吸着資材を混合して行うのが、排水中のカドミウムが吸着されやすいので好ましい。
吸着資材としては、地力増進法で指定される土壌改良資材のうち、陽イオン交換容量が大きい泥炭、ゼオライト、腐植酸質資材、バーミキュライト、ベントナイト、けいそう土焼成品等を用いることができる。また、鹿沼土、ドロマイト、含鉄資材、マンガン資材、及びアルミナ資材等の資材を用いることもできる。吸着資材としては、特に、鹿沼土、ドロマイト、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、含鉄資材、マンガン資材、アルミナ資材が好ましい。
吸着資材は、集積田土壌乾土の1〜20質量%、特に5〜15質量%施用するのが好ましい。
【0032】
集積田での排水処理は、水田の畦畔に波板を耕盤まで打ち込むなどして設置し、耕盤から水深30cm〜50cmが湛水可能な構造とする。次に、吸着資材を集積田に施用し、ロータリーを装着したトラクターなどで混合攪拌する。更に、土壌洗浄により生じたカドミウムを含む洗浄排水を、耕盤から水深30cm〜50cmになるよう、集積田に導水する。
これに、中和又はアルカリ処理剤を施用し、ロータリーを装着したトラクターなどで混合攪拌し、中和又はアルカリ処理を行う。中和又はアルカリ処理されたカドミウム及び洗浄排水中に含まれる鉄等の重金属は、中和又はアルカリ処理により水酸化物となり、沈殿を生じる。
【0033】
集積田では、このような中和又はアルカリ処理後、さらに静置することにより、カドミウムを含む沈殿は土壌粒子とともに沈降し、清澄でカドミウムを含まない処理排水が、田面水として得られる。この処理水は、排水基準に適合するものであるので、そのまま排水することができるが、更にpH調整処理、バッグフィルター、砂ろ過等によるろ過工程を経て、排水することもできる。
更に、集積田以外の浄化対象水田土壌を洗浄し、洗浄排水を集積田に繰り返し洗浄排水を導入するが、2回目以降は吸着資材の施用は必要なく、中和又はアルカリ処理、静置、沈降処理を経て、繰り返し排水処理を行い、集積田に排水中のカドミウムを集積させる。
【0034】
最後に、カドミウムを高濃度に集積した集積田土壌のみ、掘削して排土除去するとともに、カドミウムに汚染されていない土壌を客土することにより、浄化対象水田の全ての土壌を効率良く低コストで浄化することができる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0036】
実施例1
カドミウム含有風乾水田土壌2000gを、5000mLタンクに秤量し、20mM塩化第二鉄溶液4000mLを添加し、スリーワンモーターで1時間攪拌した後静置し、上澄み液を回収した。これを「土壌洗浄排水」とした。「土壌洗浄排水」は、pH3.3、カドミウム濃度:1.55mg/Lであった。
カドミウム含有風乾水田土壌50gを200mLビーカーに秤量し、「土壌洗浄排水」100mLを添加し、水酸化ナトリウム水溶液を数段階で添加した。さらに10分間マグネティックスターラーで攪拌した後、静置して土壌を沈降させ、上澄み水を回収し、pH及びカドミウム濃度を測定した。なお、水酸化ナトリウム水溶液を用いず、カドミウム含有風乾水田土壌と土壌洗浄排水のみを同様に処理した場合を比較として示す。これらの結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例2
風乾水田土壌50gを200mLビーカーに数個秤量し、実施例1で調製した「土壌洗浄排水」を100mLづつ加えた。それぞれのビーカーに、各種アルカリ資材を50〜250mg添加した。10分間振とう攪拌し、静置して土壌を沈降させ、上澄み水のpH及びカドミウム濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例3
風乾水田土壌50gを200mLビーカーに数個秤量し、ベントナイトを2.5g(風乾水田土壌に対して5質量%)添加し、ガラス棒で攪拌混合した。これに、実施例1で調製した「土壌洗浄排水」を100mLづつ加え、水酸化ナトリウム水溶液を適量加えながら、10分間振とう攪拌し、pH7又はpH8に調整した。この後、静置して土壌を沈降させ、上澄み水のカドミウム濃度を測定した。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カドミウム含有水田土壌を薬剤水溶液で洗浄してカドミウムを抽出し、静置により土壌と上澄水に分離し、抽出されたカドミウムを上澄水として排出し、更に水で希釈洗浄する原位置浄化方法において、カドミウムを含有する洗浄排水を洗浄対象水田の一部に集め、当該位置で、排水を中和又はアルカリ処理し、カドミウムを集積することを特徴とするカドミウム含有水田土壌の浄化方法。
【請求項2】
中和又はアルカリ処理が、pH5.8〜8.6で行われる請求項1記載の浄化方法。
【請求項3】
中和又はアルカリ処理が、石灰質資材で行われる請求項1又は2記載の浄化方法。
【請求項4】
石灰質資材が、炭酸カルシウム、苦土炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、生石灰、苦土生石灰、消石灰、苦土消石灰、副産石灰、貝化石石灰、及び混合石灰から選ばれるものである請求項3記載の浄化方法。
【請求項5】
カドミウムを集積する水田土壌に、鹿沼土、ドロマイト、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、含鉄資材、マンガン資材、及びアルミナ資材から選ばれる吸着資材を施用する請求項1〜4のいずれか1項記載の浄化方法。
【請求項6】
吸着資材の施用量が、カドミウムを集積する水田土壌乾土の1〜20質量%である請求項5記載の浄化方法。
【請求項7】
カドミウムを集積した水田土壌を排土除去し、カドミウムに汚染されていない土壌を客土する請求項1〜6のいずれか1項記載の浄化方法。

【公開番号】特開2010−179198(P2010−179198A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22555(P2009−22555)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(501245414)独立行政法人農業環境技術研究所 (60)
【Fターム(参考)】