説明

カメラ、測位装置およびカメラシステム

【課題】測位するカメラの消費電力を低減する。
【解決手段】カメラ10は、遮光部材によって撮影光学系Lが遮光されているか否かを検出する検出手段118と、自己位置を示す情報を取得する測位手段114,108と、検出手段118によって遮光が検出されなくなると測位手段114,108へ測位を指示する制御手段108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、測位装置およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星からの信号を受信し、受信信号に基づいて位置情報を演算するカメラが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−56386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では周期的に測位を行うため、消費電力がかさむという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明によるカメラは、遮光部材によって撮影光学系が遮光されているか否かを検出する検出手段と、自己位置を示す情報を取得する測位手段と、検出手段によって遮光が検出されなくなると測位手段へ測位を指示する制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項1に記載のカメラにおいて、検出手段、測位手段および制御手段は、メインスイッチオフ時も動作可能に構成されていることが好ましい。
(3)請求項1または請求項2に記載のカメラにおいて、測位手段は衛星からの信号に基づいて自己位置を演算し、制御手段は、前回の測位から所定時間以上経過している場合にのみ測位手段へ測位を指示することが好ましい。
(4)請求項1または請求項2に記載のカメラにおいて、測位手段は、衛星の第1の情報と第2の情報とから自己位置を演算し、カメラが所定時間内に取得した第1の情報を持っていないとき、検出手段によって遮光が検出されなくなると、第1の情報を取得することが好ましい。
(5)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のカメラにおいて、制御手段は、メインスイッチオン時はレリーズ操作部材が操作されるまで測位の指示を止めることが好ましい。
(6)請求項5に記載のカメラにおいて、制御手段は、メインスイッチオン時にレリーズ操作部材が半押し操作されると測位手段へ測位を指示することが好ましい。
(7)請求項6に記載のカメラにおいて、制御手段は、レリーズ操作部材が継続して半押し操作されている間は測位手段へ測位を繰り返し指示することが好ましい。
(8)請求項6に記載のカメラはさらに、カメラの振れを検出するセンサを備えてもよい。この場合の制御手段は、センサの検出信号が所定値以上の場合に測位手段へ測位を指示することをが好ましい。
(9)請求項6または請求項7に記載のカメラにおいて、制御手段は、レリーズ操作部材が全押し操作された時点の前後で自己位置を示す情報をそれぞれ取得するように測位手段を制御することが好ましい。
(10)請求項9に記載のカメラにおいて、制御手段は、全押し操作された時点の前後で取得された2つの自己位置を内挿して全押し操作された時点に対応する自己位置を算出することが好ましい。
(11)請求項10に記載のカメラにおいて、制御手段は、全押し操作された時点の前後で取得された2つの自己位置の間隔が所定距離以上の場合に全押し操作された時点に対応する自己位置を算出することが好ましい。
(12)本発明によるカメラシステムは、自己位置を示す情報を取得する測位装置と、遮光部材によって撮影光学系が遮光されているか否かを検出する検出手段、および検出手段によって遮光が検出されなくなると測位装置へ測位を指示する制御手段を備えるカメラとを有することを特徴とする。
(13)本発明による測位装置は、自己位置を示す情報を取得する測位手段と、カメラに装着されているか否かを検出する検出手段と、検出手段によって非装着が検出されると測位手段へ測位を指示する制御手段とを備えることを特徴とする。
(14)請求項13に記載の測位装置において、制御手段は、検出手段によって非装着が検出されている間は測位手段へ測位を繰り返し指示することが好ましい。
(15)請求項13または請求項14に記載の測位装置において、制御手段は、検出手段によって装着が検出されると測位手段へ測位終了を指示することが好ましい。
(16)請求項13〜請求項15のいずれか一項に記載の測位装置はさらに、測位手段で取得された自己位置を記憶する記憶手段を備えてもよい。この場合の制御手段は、測位手段が取得した複数の自己位置を含む履歴情報を記憶手段に記憶させることが好ましい。
(17)請求項16に記載の測位装置において、制御手段は、検出手段によって装着が検出されると記憶手段に記憶されている履歴情報をカメラへ送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラ、測位装置およびカメラシステムの消費電力を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態による電子カメラ10を説明する図である。図1において、ネットワークにパーソナルコンピュータ(以下PCと呼ぶ)11、アクセスポイント13Aおよび13Bがそれぞれ接続されている。電子カメラ10は、内蔵または当該カメラと接続されているGPS装置を用いて撮影位置を示す測位情報を取得する。
【0008】
PC11は、電子カメラ10のユーザ宅などに配置される。アクセスポイント13Aおよび13Bは、通信事業者などによって各地の交通ターミナル、施設等に設けられた無線アクセス端末である。電子カメラ10が通信機能を有する場合、電子カメラ10はアクセスポイント13Aを介してPC11へアクセス可能である。ユーザが移動した場合の電子カメラ10aは、アクセスポイント13Bを介してPC11へアクセス可能である。
【0009】
電子カメラ10は、GPS衛星30Aおよび30Bからの信号を受信し、受信信号にのせられている情報を当該カメラ内に保存可能に構成されている。電子カメラ10はさらに、上記受信信号にのせられている情報を、アクセスポイント13A(または13B)を介してPC11へ送ることが可能に構成されている。この場合のPC11は、電子カメラ10から送信された情報をPC11内に保存するほか、電子カメラ10からの要求に応じて保存した情報を電子カメラ10へ送信可能に構成されている。
【0010】
図2は、電子カメラ10の要部構成を例示するブロック図である。図2において、タイミングジェネレータ(TG)105は、メインCPU108から送出される指示に応じて、タイミング信号をドライバ104、AFE(Analog Front End)回路102、A/D変換回路103および画像処理回路106へ供給する。ドライバ104は、撮像素子101で必要とされる駆動信号を供給する。
【0011】
撮影レンズLは、撮像素子101の撮像面に被写体像を結像させる。撮像素子101は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDイメージセンサなどによって構成され、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。測光素子118は、撮影レンズLを通過した光束の一部を受光し、受光量に応じた光電変換信号をメインCPU108へ出力する。
【0012】
AFE回路102は、撮像素子101から出力される光電変換信号に対するアナログ処理(ゲインコントロールなど)を行う。A/D変換回路103は、アナログ処理後の撮像信号をディジタル信号に変換する。
【0013】
メインCPU108は、各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。画像処理回路106は、たとえばASICとして構成され、A/D変換回路103から入力されるディジタル画像信号に対する画像処理を行う。画像処理には、たとえば、輪郭強調や色温度調整(ホワイトバランス調整)処理、画像信号に対するフォーマット変換処理が含まれる。
【0014】
画像圧縮回路107は、画像処理回路106による処理後の画像信号に対して、JPEG方式で所定の圧縮比率の画像圧縮処理を行う。表示画像作成回路110は、撮像画像を液晶モニタ111に表示させるための表示データを作成する。液晶モニタ111は、表示画像作成回路110から入力される表示データによる再生画像を表示する。表示画像作成回路110は画像表示用データの他、メッセージやメニューなどを表示するためのデータの作成も行う。これにより、液晶モニタ111に画像以外の情報も表示される。
【0015】
記録媒体150は、電子カメラ10に対して着脱可能なメモリカードなどで構成される。記録媒体150には、メインCPU108からの指示によって撮影画像のデータ、およびその撮影情報を含む画像ファイルが記録される。記録媒体150に記録された画像ファイルは、メインCPU108からの指示によって読み出しが可能である。
【0016】
バッファメモリ109は、画像処理前後および画像処理途中のデータを一時的に格納する他、記録媒体150へ記録する前の画像ファイルを格納したり、記録媒体150から読み出した画像ファイルを格納したりするワークメモリとして使用される。
【0017】
操作部材113は、レリーズボタンなどの電子カメラ10の操作ボタン類に対応し、各ボタンの押下操作に対応する操作信号をメインCPU108へ出力する。無線インターフェイス116は、メインCPU108からの指示により外部機器(アクセスポイント13A、13Bに備えられる端末等)との間で無線LAN通信、赤外線通信、携帯電話回線および光通信などのいずれかの通信方式によってデータを送受信する。外部インターフェイス112は、メインCPU108からの指示により外部機器(パーソナルコンピュータやクレードル等)との間で不図示のケーブルを介してデータを送受信する。
【0018】
GPS装置114は、メインCPU108からの指示に応じてGPS衛星30A、30Bからの電波を受信し、受信信号をメインCPU108へ出力する。なお、図1においてはGPS衛星2つのみを図示し、他は省略している。メインCPU108は、GPS装置114による受信信号に基づいて所定の演算を行い、電子カメラ10の測位情報(緯度、経度、高度)を検出する。
【0019】
方位センサ115は、メインCPU108からの指示に応じて地磁気を検出し、検出した地磁気に基づいて電子カメラ10が向いている方向、すなわち、撮影レンズLの光軸が向いている方位を求め、求めた方位を示す信号をメインCPU108へ出力する。方位センサ115によって検出される方位は、電子カメラ10による撮影方位に対応する。方位センサ115の配設位置は、撮影レンズLの鏡筒(不図示)の先端部(被写体側)である。
【0020】
上記電子カメラ10は、撮影時に取得した画像データに、測位情報、方位情報および当該撮影画像に関する情報などを含む付加情報を付加した画像ファイルを生成するように構成されている。具体的には、JPEG形式の画像データを画像データ部に格納し、付加情報を付加情報部に格納したExif形式の画像ファイルを生成する。
【0021】
本発明は、電子カメラ10がGPS装置114を用いて測位情報を得るタイミングに関するので、図3に例示するフローチャートを参照してメインCPU108が行う処理の流れを説明する。図3による処理を行うプログラムは、電子カメラ10に不図示の電池が装填され、メインCPU108が通電されると起動する。
【0022】
図3のステップS11において、メインCPU108はレンズキャップ脱か否かを判定する。メインCPU108は、測光素子118から受光信号が入力された場合にステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、受光信号が入力されない場合にはステップS11を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。なお、測光素子118およびメインCPU108は、電子カメラ10に不図示の電池が装填されていれば、後述する電源オン処理が行われていない状態でも待機電力で動作可能に構成されている。
【0023】
ステップS12において、メインCPU108は、測位情報の取得についてホットスタートが可能か否かを判定する。メインCPU108は、ホットスタートが可能な場合にステップS12を肯定判定してステップS13へ進む。メインCPU108は、ホットスタートが不能の場合にはステップS12を否定判定し、ステップS33へ進む。
【0024】
ここで、ホットスタートについて説明する。GPS装置114は、GPS衛星30A(30B)からの送信信号からアルマナックデータおよびエフェリメスデータをそれぞれ取得する。アルマナックデータは全てのGPS衛星(24機)の軌道に関する情報を含み、エフェリメスデータは、衛星ごとの位置情報と時刻情報とを含む。メインCPU108は、アルマナックデータに基づいて測位に用いる4機の衛星を選択し、選択した4機の衛星からそれぞれ送信される信号に基づいて自己位置を演算する。
【0025】
測位を繰り返し行う場合、衛星の位置情報および軌道情報を保存しておけば次回の測位時に保存情報を用いることができる。しかしながら、上記衛星の位置情報は所定時間(たとえば4時間)が経過すると新たな位置情報が必要とされ、上記軌道情報は所定期間(たとえば2週間)が経過すると新たな軌道情報が必要とされる。したがって、前回測定から測定間隔が開いた場合は保存情報を用いることができないため、衛星の位置情報および軌道情報の少なくとも一方を新たに取得する必要がある。
【0026】
一般に、測位時にアルマナックデータおよびエフェリメスデータのそれぞれを新たに取得する必要がある状態は「コールド」、測位時にエフェリメスデータのみを新たに取得する必要がある状態は「ウォーム」、測位時にアルマナックデータおよびエフェリメスデータを新たに取得しなくてもよい状態は「ホット」と呼ばれる。メインCPU108は、電子カメラ10がこれら3つの状態のいずれに該当するかによってGPS装置114で新たに取得するデータを異ならせる。新たなデータを取得しなくてよい場合はそのデータの取得に要する時間を省略できるため、測位時間は、(「コールド」からのスタート時)>(「ウォーム」からのスタート時)>(「ホット」からのスタート時)の関係を有する。
【0027】
図3のステップS33へ進む場合は、「コールド」または「ウォーム」状態である。メインCPU108は、ステップS33においてGPS装置114へ通電を行って測位開始を指示してステップS13へ進む。これにより、GPS装置114はコールドスタートまたはウォームスタートによってデータ取得を開始する。メインCPU108は、演算結果である測位情報をメインCPU108内の不揮発性メモリに保存する(新たにアルマナックデータ、エフェリメスデータを取得した場合は取得データも保存する)と、GPS装置114への通電を解除する。
【0028】
ステップS13において、メインCPU108はメインスイッチ(不図示)がオン操作されたか否かを判定する。メインCPU108は、メインスイッチからのオン操作信号が入力された場合にステップS13を肯定判定してステップS14へ進み、メインスイッチからのオン操作信号が入力されない場合にはステップS13を否定判定し、ステップS11へ戻る。
【0029】
ステップS14において、メインCPU108は所定の電源オン処理を行ってステップS15へ進む。これにより、カメラ内の各部に通電が開始され、電子カメラ10は撮影待機状態になる。ステップS15において、メインCPU108は半押し操作されたか否かを判定する。メインCPU108は、レリーズボタン(不図示)の半押し操作を示す信号が入力された場合にステップS15を肯定判定してステップS16へ進み、半押し操作を示す信号が入力されない場合にはステップS15を否定判定し、ステップS31へ進む。
【0030】
ステップS16において、メインCPU108はGPS装置114へ測位開始を指示してステップS17へ進む。これにより、GPS装置114はホットスタートによりデータ取得を開始する。メインCPU108は、測位情報(新たにアルマナックデータ、エフェリメスデータを取得した場合は取得データも含む)をメインCPU108内の不揮発性メモリに保存する。
【0031】
ステップS17において、メインCPU108は自動露出演算(AE)および自動焦点調節(AF)を行ってステップS18へ進む。ステップS18において、メインCPU108は全押し操作されたか否かを判定する。メインCPU108は、レリーズボタン(不図示)の全押し操作を示す信号が入力された場合にステップS18を肯定判定してステップS19へ進み、全押し操作を示す信号が入力されない場合にはステップS18を否定判定し、ステップS30へ進む。
【0032】
ステップS19において、メインCPU108は自動露出演算(AE)および自動焦点調節(AF)を行ってステップS20へ進む。ステップS20において、メインCPU108は、撮影処理を行ってステップS21へ進む。ステップS21において、メインCPU108は、記録媒体150に撮影画像のファイルを記録してステップS22へ進む。
【0033】
ステップS22において、メインCPU108はメインスイッチ(不図示)がオフ操作されたか否かを判定する。メインCPU108は、メインスイッチからオフ操作を示す信号が入力された場合にステップS22を肯定判定してステップS23へ進み、メインスイッチからオフ操作を示す信号が入力されない場合にはステップS22を否定判定し、ステップS27へ進む。
【0034】
ステップS23において、メインCPU108は測位中か否かを判定する。メインCPU108は、GPS装置114が衛星電波を受信中またはメインCPU108自身が測位情報を演算中の場合はステップS23を肯定判定し、当該処理を繰り返す。メインCPU108は、GPS装置114が衛星電波を受信終了しており、メインCPU108自身も測位情報を演算終了した場合はステップS23を否定判定し、ステップS24へ進む。
【0035】
ステップS24において、メインCPU108はマッピング処理を行ってステップS25へ進む。マッピング処理については後述する。ステップS25において、メインCPU108は、測位情報を記録媒体150に記録してステップS26へ進む。ステップS26において、メインCPU108は所定の電源オフ処理を行ってステップS11へ戻る。これにより、待機電力が供給される一部のブロックを除いてカメラ内の各部への通電が解除される。
【0036】
ステップS22を否定判定して進むステップS27において、メインCPU108は測位中か否かを判定する。メインCPU108は、GPS装置114が衛星電波を受信中またはメインCPU108自身が測位情報を演算中の場合はステップS27を肯定判定し、当該処理を繰り返す。メインCPU108は、GPS装置114が衛星電波を受信終了しており、メインCPU108自身も測位情報を演算終了した場合はステップS27を否定判定し、ステップS28へ進む。
【0037】
ステップS28において、メインCPU108はマッピング処理を行ってステップS29へ進む。マッピング処理については後述する。ステップS29において、メインCPU108は、測位情報を記録媒体150に記録してステップS15へ戻る。
【0038】
ステップS18を否定判定して進むステップS30において、メインCPU108は半押し操作が継続されているか否かを判定する。メインCPU108は、レリーズボタン(不図示)の半押し操作を示す信号が入力されている場合、ステップS30を肯定判定してステップS16へ戻る。メインCPU108は、半押し操作を示す信号が入力されていない場合はステップS30を否定判定する。否定判定したメインCPU108は、GPS装置114が衛星電波の受信を終了し、かつメインCPU108自身も測位情報の演算を終了した場合はステップS31へ進む。
【0039】
ステップS31において、メインCPU108はメインスイッチ(不図示)がオフ操作されたか否かを判定する。メインCPU108は、メインスイッチからのオフ操作信号が入力された場合にステップS31を肯定判定してステップS32へ進み、メインスイッチからのオフ操作信号が入力されない場合にはステップS31を否定判定し、ステップS15へ戻る。
【0040】
ステップS32において、メインCPU108は所定の電源オフ処理を行ってステップS11へ戻る。これにより、待機電力が供給される一部のブロックを除いてカメラ内の各部への通電が解除される。
【0041】
なお、画像記録(S21)および測位情報記録(S25、S29)をそれぞれ行う代わりに、画像データおよび測位情報などを含む画像ファイルをバッファメモリ109内に生成した上で、生成した画像ファイルを記録媒体109へ記録してもよい。
【0042】
ステップS24およびステップS28で行うマッピング処理について説明する。本実施形態では、レリーズボタン(不図示)の半押し操作が継続された場合、電子カメラ10が測位処理を連続して繰り返す(ステップS15→S16→S17→S18→S30→S16)。図4は、この場合のデータ受信(GPS装置114)期間と演算(メインCPU108)期間を説明するタイムチャートである。電子カメラ10は、時刻thにおいてレリーズボタン(不図示)の半押し操作信号を検出すると測位を開始する。時刻t1において測位情報P1を取得し、時刻t2において測位情報P2を取得する。同様に、時刻t4において測位情報P4を取得する。
【0043】
メインCPU108が時刻tsにおいてレリーズボタン(不図示)の全押し操作信号を検出した場合、電子カメラ10は撮影処理(ステップS20)へ進む一方で実行中のデータ受信を継続し、その受信データを用いて測位情報P4を取得するまで測位を続ける。この結果、電子カメラ10は撮影指示操作(時刻ts)の前後で測位情報をそれぞれ取得する(P3およびP4)。
【0044】
メインCPU108は、これら2つの測位情報(本例ではP3およびP4)の差が直線距離に換算して所定の判定閾値(たとえば20m)以下の場合、P3を当該撮影画像の撮影位置(測位情報)とする。メインCPU108は、2つの測位情報の差が直線距離換算で上記判定閾値を超える場合、P3、t3、P4およびt4を用いた内挿演算によって算出される位置P(3-4)を、時刻tsにおける撮影画像の撮影位置(測位情報)とする。判定閾値は、あらかじめ電子カメラ10にプリセットしておく構成にするとよい。
【0045】
撮影指示操作のタイミングtsを挟んで取得した複数の測位情報を内挿して得た値P(3-4)を撮影位置とみなす場合、この旨を液晶モニタ111に表示するとよい。メインCPU108は表示画像作成回路110へ指示を送り、たとえば「撮影みなし位置を算出しました」というメッセージを表示させる。
【0046】
以上説明した第一の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)電子カメラ10は、撮影レンズLのキャップが外されたことを検出した場合にのみ測位の処理へ進むように測位を行う機会を制限したので(ステップS11)、制限しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。
【0047】
(2)電子カメラ10は、「ホット」状態では測位の処理へ進まずに測位を行う機会を制限したので(ステップS12)、制限しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。反対に、「コールド」および「ウォーム」状態では測位の処理へ進めて測位の機会を増やしたので(ステップS12)、僅かな位置変化も検出することができ、測位精度が向上する。また、「ホット」状態でない場合に測位を行うことにより、「ホット」状態にすることができる。
【0048】
(3)上記(1)および(2)をメインスイッチオフ時に行うようにしたので、メインスイッチがオン操作される前に「ホット」状態にする可能性を高めることができる。
【0049】
(4)電子カメラ10は、メインスイッチオン時にレリーズボタンが半押し操作された場合にのみ測位の処理へ進むように測位を行う機会を制限したので(ステップS15)、制限しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。
【0050】
(5)電子カメラ10は、レリーズボタンの半押し操作が継続される場合には測位を繰り返すようにしたので(ステップS30)、最新の測位情報を得ることができる。
【0051】
(6)電子カメラ10は、レリーズボタンが全押し操作された時刻tsにおいて実行中のデータ受信を継続し、その受信データを用いて測位情報を取得するまで測位を続けるようにしたので、撮影指示操作の前後で測位情報をそれぞれ取得できる。撮影指示操作の前後2つの測位情報を比較すれば、撮影時点で電子カメラ10が移動中か否かを判定できる。
【0052】
(7)撮影指示操作の前後2つの測位情報の間隔が判定閾値(本例では20m)を超える場合、2つの測位情報およびその時刻情報を用いた内挿演算によって算出される位置を時刻tsにおける撮影画像の撮影位置(測位情報)としたので、移動中の電子カメラ10が時刻tsにおいて撮影したであろう地点を求めることができる。
【0053】
(変形例1)
以上の説明では、レンズキャップの装着有無を検出するセンサとして測光素子118を用いる例を説明した。この代わりに、レンズキャップ検出用に専用のセンサを設けるように構成してもよい。
【0054】
(変形例2)
GPS装置114を電子カメラ10に内蔵する例を説明したが、図5に例示するように、アクセサリシュー119に装着する筐体内にGPS装置用の回路部材および方位センサを収容し、カメラに対して着脱自在に構成してもよい。図5のカメラシステムによれば、電子カメラ10Bのアクセサリシュー119に、GPS装置50が装着されている。この場合の電子カメラ10BのCPUは、アクセサリシュー119の端子を介してGPS装置50内のCPUと通信を試みることにより、GPS装置50の装着有無を判定する。電子カメラ10BのCPUは、所定の情報をGPS装置50から取得できればGPS装置50の装着を判定し、所定の情報がGPS装置50から得られない場合にはGPS装置50の非装着を判定する。GPS装置50の装着を判定した場合、電子カメラ10BのCPUは図3の処理を行い、GPS装置50の非装着を判定した場合は図3の処理を行わない。
【0055】
(変形例3)
レンズキャップが外されており、かつホットスタートができない状態で測位を行うようにした(ステップS34)が、測位を所定時間(たとえば1分間)ごとに繰り返すようにしてもよい。この場合には、レンズキャップが外されていれば「ホット」状態か否かにかかわらず1分間隔で測位を繰り返す。
【0056】
上記1分間隔で測位を繰り返している状態でメインスイッチがオン操作された場合には、測位を繰り返す間隔を異ならせてもよい。たとえば、メインスイッチがオン操作される前は1分間隔で繰り返した測位間隔を、メインスイッチがオン操作された後は30秒間隔で繰り返す。撮影操作される可能性が高い場合ほど測位間隔を短くすることで、より新しい取得データを保存しておくことができる。なお、レリーズボタン(不図示)の半押し操作が継続された場合に測位処理を連続して繰り返す点は、上述した第一の実施形態と同様である。
【0057】
(変形例4)
図3においてステップS13およびステップS14をステップS11の前においてもよい。この場合には、電源オン処理後にレンズキャップが外されているか否かの判定を行う。電源オン処理後であっても、撮影レンズのキャップが外されたことを検出した場合にのみ測位の処理へ進むように測位を行う機会を制限するので、制限しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。
【0058】
(変形例5)
電子カメラ10が手振れなどの揺れの影響を抑える防振機構を具備する場合、振れ検出用のセンサ(たとえばジャイロセンサ)からの検出信号を、測位するか否かの判定に用いてもよい。この場合のメインCPU108は、レリーズボタン(不図示)の半押し操作が継続されている場合であって、ジャイロセンサからの検出信号が所定の判定閾値を超えた場合に測位処理を指示する。これにより、ジャイロセンサからの検出信号が上記判定閾値を継続して超えていれば連続して測位を繰り返し、ジャイロセンサからの検出信号が上記判定閾値を超えない場合には、レリーズボタン(不図示)の半押し操作が継続されていても測位を行わない。変形例5によれば、ジャイロセンサからの検出信号が上記判定閾値を超えない場合には、測位の機会を制限して測位に伴う電力消費を抑えることができる。一方、ジャイロセンサによる検出値が高い場合はユーザが撮影場所を移動するなどして電子カメラ10が振れる可能性が高いので、測位を行って最新の測位情報を取得することができる。
【0059】
(変形例6)
電子カメラ10に測位情報のロック機能を具備してもよい。操作部材113を構成する測位情報ロックスイッチがオン操作された場合、メインCPU108は、測位情報のロックが解除されるまで新たな測位を行わず、測位情報ロックスイッチがオン操作される前の直近に取得済みの測位情報を用いる。なお、測位情報ロックスイッチがオン操作された時点で実行中のデータ受信を継続し、その受信データを用いて測位情報を取得するまで測位を続けることにより、最新の取得情報を測位情報とする構成にしても構わない。測位情報ロックスイッチは、AE/AFロックボタンと兼用させてもよい。
【0060】
(変形例7)
パノラマ撮影やブラケティング撮影など一連の撮影を行う場合、一連の撮影画像の測位情報を揃えるとよい。この場合のメインCPU108は、たとえば1コマ目の撮影指示操作(時刻ts)の前に取得した測位情報を、一連の撮影画像を構成する全てのコマの撮影位置(測位情報)とする。
【0061】
(変形例8)
上述したアルマナックデータおよびエフェリメスデータは、電子カメラ10以外の外部機器、たとえばPC11(図1)に保存しておいてもよい。たとえば、電子カメラ10内に保存したアルマナックデータおよびエフェリメスデータが消失すると、GPS装置114は「コールド」状態になる。この場合の電子カメラ10は、上述した所定時間内に取得してPC11に保存しておいたアルマナックデータおよびエフェリメスデータをアクセスポイント13A(13B)を介して取得すれば、GPS装置114を「ホット」状態にすることができる。
【0062】
(変形例9)
レンズバリアを開閉させる機構を具備してレンズキャップを用いないタイプのカメラの場合、ステップS11においてレンズキャップの装着有無を検出する代わりに、レンズバリアの開閉状態(または開閉指示)を検出する構成にしてもよい。レンズバリア開がレンズキャップ脱に対応し、レンズバリア閉がレンズキャップ装着に対応する。なお、レンズバリアの開閉状態を検出するセンサは、上記測光素子118を用いればよい。
【0063】
(変形例10)
一眼レフタイプのカメラのようにレンズ交換可能なカメラの場合、ステップS11においてレンズキャップの装着有無を検出する代わりに、ボディキャップ(レンズマウントに装着するキャップ)の装着有無を検出してもよい。なお、ボディキャップの装着有無を検出するセンサは、上記測光素子118を用いればよい。
【0064】
(変形例11)
レンズキャップやボディキャップの有無検出、レンズバリアの開閉検出に代えて、観察光学系への入射光量の変化を検出する構成にしてもよい。観察光学系は、光学ファインダーでも電子ビューファインダーでもよい。この場合のカメラは、カメラ内の接眼レンズ近傍に受光センサを備え、この受光センサによる検出信号に応じてステップS11の肯定/否定判定を行う。受光センサは、測光素子118と同様に待機電力で動作可能に構成されている。カメラのCPUは、受光センサからの信号が所定の判定閾値より小さい場合にステップS11を肯定判定し、受光センサからの信号値が所定の判定閾値以上であればステップS11を否定判定する。これにより、ユーザがファインダーを覗いた場合にステップS12へ進むことができる。
【0065】
(変形例12)
また、ズーム環の操作信号を検出した場合や、絞り環の操作信号を検出した場合、カメラストラップを止めている部材にかかる負荷変化が検出された場合に、それぞれの検出信号に応じてステップS11の肯定/否定判定を行ってもよい。これにより、ユーザが撮影のためにカメラ操作を行った場合やカメラをホールディングした場合にステップS12へ進むことができる。
【0066】
(変形例13)
GPS装置114で取得されたデータを用いて取得した測位結果(GPS装置114が新たにアルマナックデータ、エフェリメスデータを取得した場合は取得データも含む)および時刻情報を、測位履歴情報として撮影画像ファイルに保存するようにしてもよい。この場合の電子カメラ10は、次に示す3態様の測位履歴情報のうち、あらかじめ指示されている態様の処理を行う。変形例13によれば、測位履歴情報を残しておくことで、撮影位置を履歴情報内に含まれる他の撮影位置に後から修正(補正)することができる。
【0067】
<態様1>
電子カメラ10は、半押し操作信号を検出した時刻thから、全押し操作信号を検出した時刻tsまでに取得した測位結果および時刻情報を測位履歴情報として撮影画像ファイルに保存する。
【0068】
<態様2>
電子カメラ10は、レンズキャップ脱を判定した(ステップS11を肯定判定)時刻から、全押し操作信号を検出した時刻tsまでに取得した測位結果および時刻情報を測位履歴情報として撮影画像ファイルに保存する。
【0069】
<態様3>
電子カメラ10は、レンズキャップ脱を判定した(ステップS11を肯定判定)時刻から、半押し操作信号を検出した時刻thまでに取得した測位結果および時刻情報を測位履歴情報として撮影画像ファイルに保存する。
【0070】
(第二の実施形態)
レンズキャップを兼ねた筐体内にGPS装置用の回路部材および方位センサを収容し、カメラに対して着脱自在に構成してもよい。図6(a)は正面図であり、電子カメラ10Bのレンズ鏡筒20にGPS装置60が装着されている。図6(b)は側面図である。GPS装置60にはカラビナ61が接続されている。GPS装置60がレンズ鏡筒20から外されている場合、ユーザの衣服や携行物などにカラビナ61によって吊り下げ可能である。
【0071】
図7は、GPS装置60の要部構成を例示するブロック図である。図7において、CPU608は、各ブロックから出力される信号を入力して所定の処理を行う。フラッシュメモリ609は、後述する履歴情報を格納する。
【0072】
操作部材613は、GPS装置60の操作ボタン類に対応し、各ボタンの押下操作に対応する操作信号をCPU608へ出力する。検出センサ618は、GPS装置60がレンズ鏡筒20(図6(b))に装着されているか否かを検出し、検出信号をCPU608へ送信する。外部インターフェイス612は、CPU608からの指示により電子カメラ10Bとの間でレンズ鏡筒20内の信号ラインを介して通信を行う。
【0073】
GPSユニット614は、CPU608からの指示に応じてGPS衛星30A、30B(図1)からの電波を受信し、受信信号をCPU608へ出力する。CPU608は、GPSユニット614による受信信号に基づいて所定の演算を行い、GPS装置60の測位情報(緯度、経度、高度)を検出する。
【0074】
方位センサ615は、CPU608からの指示に応じて地磁気を検出し、検出した地磁気に基づいてGPS装置60が向いている方向を求め、求めた方位を示す信号をCPU608へ出力する。
【0075】
上記GPS装置60は、測位情報を取得すると、当該測位情報、方位情報およびその時刻情報などを履歴情報としてフラッシュメモリ609に保存するように構成されている。保存した情報は、GPS装置60がレンズ鏡筒20に装着された場合に電子カメラ10Bへ送信する。
【0076】
GPS装置60は二次電池が装填され、GPS装置60がレンズ鏡筒20に装着された状態で電子カメラ10Bから供給される電流で当該二次電池を充電するように構成されている。なお、一次電池を用いる構成にしてもよい。その場合は電子カメラ10BからGPS装置60へ電流供給するラインが不要になる。
【0077】
図8に例示するフローチャートを参照してCPU608が行う処理の流れを説明する。図8による処理を行うプログラムは、GPS装置60に上記電池が装填され、CPU608が通電されると起動する。
【0078】
図8のステップS81において、CPU608はレンズ鏡筒20(図6(b))に装着されているか否かを判定する。CPU608は、検出センサ618から装着を示す信号が入力されない場合にステップS81を否定判定してステップS82へ進み、装着を示す信号が入力された場合にはステップS81を肯定判定し、当該判定処理を繰り返す。なお、検出センサ618およびCPU608は、GPS装置60に不図示の電池が装填されていれば、いわゆる待機電力で動作可能に構成されている。
【0079】
ステップS82において、CPU608はGPSユニット614へ測位開始を指示してステップS83へ進む。これにより、GPSユニット614はデータ取得を開始する。ステップS83において、CPU608は、GPSユニット614で取得されたデータを用いて取得した測位結果(GPSユニット614が新たにアルマナックデータ、エフェリメスデータを取得した場合は取得データも含む)および時刻情報を、測位履歴情報としてフラッシュメモリ609に保存し、ステップS84へ進む。
【0080】
ステップS84において、CPU608はレンズ鏡筒20に装着されているか否かを判定する。CPU608は、検出センサ618から装着を示す信号が入力されない場合にステップS84を否定判定してステップS82へ戻り、装着を示す信号が入力された場合にはステップS84を肯定判定し、ステップS85へ進む。ステップS82へ戻る場合は、あらかじめ定められている所定間隔(たとえば1分)ごとに測位を繰り返す。
【0081】
ステップS85において、CPU608はGPSユニット614へ測位終了を指示してステップS86へ進む。これにより、GPS装置60は実行中のデータ受信を継続し、その受信データを用いて測位情報を取得するまで測位を続けてから測位を終了する。
【0082】
ステップS86において、CPU608は電子カメラ10Bとの間で通信を開始し、電子カメラ10Bからの要求に応じてフラッシュメモリ609内の測位履歴情報を電子カメラ10Bへ送信する。CPU608は、フラッシュメモリ609内に保存されている未送信の履歴情報を送信し終えるとステップS81へ戻る。
【0083】
GPS装置60から測位履歴情報を受信した電子カメラ10Bは、GPS装置60が装着されていない期間に撮影して記録媒体150に記録している画像ファイルについて、測位履歴情報とのマッピング処理を行う。電子カメラ10Bは、次に示す3態様のマッピング処理のうち、あらかじめ指示されている態様の処理を行う。
<態様1>
電子カメラ10Bは、GPS装置60が装着されていない期間に撮影した撮影画像のそれぞれについて、撮影画像の撮影日時に対応する時刻に取得された測位情報を測位履歴情報から抽出し、抽出した測位情報を当該撮影画像の撮影位置(測位情報)とする。
<態様2>
電子カメラ10Bは、GPS装置60が装着されていない期間に撮影された撮影画像の全てについて、最も古い測位情報を測位履歴情報から抽出し、抽出した測位情報を全撮影画像の撮影位置(測位情報)とする。
<態様3>
電子カメラ10Bは、GPS装置60が装着されていない期間に撮影された撮影画像の全てについて、最も新しい測位情報を測位履歴情報から抽出し、抽出した測位情報を全撮影画像の撮影位置(測位情報)とする。
【0084】
なお、GPS装置60は、操作部材613を構成する測位スイッチ(不図示)からの操作信号を受けた場合にも測位を開始するように構成されている。たとえば、三脚に固定した電子カメラ10Bのレンズ鏡筒20にGPS装置60を装着した状態で測位スイッチが操作されると、GPS装置60が測位を開始する。この場合のGPS装置60は、取得した測位情報と方位センサ615で取得した方位情報とを電子カメラ10Bへリアルタイムに送信する。電子カメラ10Bは、GPS装置60から受信した測位情報および方位情報を、受信時刻に対して前後所定時間内に撮影した画像の撮影位置情報とする。
【0085】
以上説明した第二の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)GPS装置60は、電子カメラ10Bから外されたことを検出した場合にのみ測位の処理へ進むように測位を行う機会を制限したので(ステップS81)、制限しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。
【0086】
(2)GPS装置60は、電子カメラ10Bから外されている間は測位を繰り返すようにしたので(ステップS84)、最新の測位情報を得ることができる。
【0087】
(3)GPS装置60は、電子カメラ10Bに装着されたことを検出した場合に測位を終了したので(ステップS85)、終了しない場合に比べて測位に伴う電力消費を抑えることができる。
【0088】
(4)GPS装置60は、測位を繰り返すことによって取得した複数の測位情報および時刻情報を測位履歴情報としてフラッシュメモリ609に保存した。GPS装置60は電子カメラ10Bに対して非装着時にカラビナ61によって吊され、電子カメラ10Bを持つユーザとともに移動している可能性が高い。測位履歴情報を有することにより、ユーザが撮影している時間帯を含む測位情報を残しておくことができる。
【0089】
(5)GPS装置60は、電子カメラ10Bに装着されたことを検出した場合に、フラッシュメモリ609に保存している測位履歴情報を電子カメラ10Bへ送信するようにした。これにより、GPS装置60が非装着の期間に電子カメラ10Bが撮影して記録媒体150に記録している画像ファイルについて、電子カメラ10B側において測位履歴情報とのマッピング処理を行うことができる。
【0090】
(変形例14)
GPS装置60は、アルマナックデータおよびエフェリメスデータを電子カメラ10Bから取得してもよい。たとえば、GPS装置60内に保存したアルマナックデータおよびエフェリメスデータが消失すると、GPSユニット614は「コールド」状態になる。この場合のGPS装置60は、電子カメラ10Bのレンズ鏡筒20に装着されてる間にアルマナックデータおよびエフェリメスデータを電子カメラ10Bから取得すれば、GPSユニット614を「ホット」状態にすることができる。
【0091】
(変形例15)
自己位置を取得する方法として、無線通信用のアクセスポイントの位置情報を用いてもよい(いわゆるWiFi(商標)測位)。たとえば、GPS衛星からの信号を受信できない建物内の場合、図9に例示する位置情報提供システムを構成するとよい。図9において、部屋ごとに無線アクセスポイント13A、13B…が配設され、構内ネットワークに管理サーバ14、アクセスポイント13Aおよび13Bがそれぞれ接続されている。
【0092】
管理サーバ14は管理室などに配置される。管理サーバ14は、アクセスポイント13Aおよび13Bの設置位置情報などを管理する。電子カメラ10が通信機能を有する場合、電子カメラ10はアクセスポイント13A(13B)を介して管理サーバ14へアクセス可能である。位置情報提供システムは、電子カメラ10が存在する部屋の位置情報を当該電子カメラ10へ提供する。
【0093】
電子カメラ10の無線インターフェイス116がアクセスポイント13Aからの信号を受信した場合、電子カメラ10はA室内に存在し、無線インターフェイス116がアクセスポイント13Bからの信号を受信した場合、電子カメラ10cはB室内に存在する。管理サーバ14は、通信に用いられたアクセスポイント13A(13B)の管理情報を用いて部屋番号などを特定し、特定した部屋の位置情報を電子カメラ10へ送信する。
【0094】
変形例15の電子カメラ10の場合、図3における測位指示(ステップS33、ステップS16)のタイミングで管理サーバ14へアクセスし、位置情報を取得するようにアクセスを行う機会を制限すれば、制限しない場合に比べて位置情報の取得に伴う電力消費を抑えることができる。
【0095】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。第一の実施形態および第二の実施形態、ならびに変形例1〜変形例15の構成は、それぞれを適宜組み合わせて構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第一の実施形態による電子カメラを説明する図である。
【図2】電子カメラの要部構成を例示するブロック図である。
【図3】メインCPUが行う測位処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】データ受信期間と演算期間を説明するタイムチャートである。
【図5】アクセサリシューに装着するタイプの測位装置を例示する図である。
【図6】レンズキャップを兼ねた筐体内に収容したタイプの測位装置を例示する図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図である
【図7】第二の実施形態によるGPS装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図8】CPUが行う測位処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】位置情報提供システムを説明する図である。
【符号の説明】
【0097】
10、10B、10c…電子カメラ
11…PC
13A、13B…アクセスポイント
20…レンズ鏡筒
30A、30B…GPS衛星
50、60、114…GPS装置
108…メインCPU
118…測光センサ
119…アクセサリシュー
608…CPU
609…フラッシュメモリ
614…GPSユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光部材によって撮影光学系が遮光されているか否かを検出する検出手段と、
自己位置を示す情報を取得する測位手段と、
前記検出手段によって前記遮光が検出されなくなると前記測位手段へ測位を指示する制御手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記検出手段、測位手段および前記制御手段は、メインスイッチオフ時も動作可能に構成されていることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカメラにおいて、
前記測位手段は衛星からの信号に基づいて自己位置を演算し、
前記制御手段は、前回の測位から所定時間以上経過している場合にのみ前記測位手段へ測位を指示することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のカメラにおいて、
前記測位手段は、衛星の第1の情報と第2の情報とから自己位置を演算し、
前記カメラが所定時間内に取得した前記第1の情報を持っていないとき、前記検出手段によって前記遮光が検出されなくなると、前記第1の情報を取得することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、メインスイッチオン時はレリーズ操作部材が操作されるまで前記測位の指示を止めることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、メインスイッチオン時にレリーズ操作部材が半押し操作されると前記測位手段へ測位を指示することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、前記レリーズ操作部材が継続して半押し操作されている間は前記測位手段へ測位を繰り返し指示することを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項6に記載のカメラにおいて、
カメラの振れを検出するセンサを備え、
前記制御手段は、前記センサの検出信号が所定値以上の場合に前記測位手段へ測位を指示することを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、前記レリーズ操作部材が全押し操作された時点の前後で前記自己位置を示す情報をそれぞれ取得するように前記測位手段を制御することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、前記全押し操作された時点の前後で取得された2つの前記自己位置を内挿して前記全押し操作された時点に対応する自己位置を算出することを特徴とするカメラ。
【請求項11】
請求項10に記載のカメラにおいて、
前記制御手段は、前記全押し操作された時点の前後で取得された2つの前記自己位置の間隔が所定距離以上の場合に前記全押し操作された時点に対応する自己位置を算出することを特徴とするカメラ。
【請求項12】
自己位置を示す情報を取得する測位装置と、
遮光部材によって撮影光学系が遮光されているか否かを検出する検出手段、および前記検出手段によって前記遮光が検出されなくなると前記測位装置へ測位を指示する制御手段を備えるカメラとを有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項13】
自己位置を示す情報を取得する測位手段と、
カメラに装着されているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段によって非装着が検出されると前記測位手段へ測位を指示する制御手段とを備えることを特徴とする測位装置。
【請求項14】
請求項13に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記検出手段によって前記非装着が検出されている間は前記測位手段へ測位を繰り返し指示することを特徴とする測位装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記検出手段によって装着が検出されると前記測位手段へ測位終了を指示することを特徴とする測位装置。
【請求項16】
請求項13〜請求項15のいずれか一項に記載の測位装置において、
前記測位手段で取得された自己位置を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記測位手段が取得した複数の自己位置を含む履歴情報を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする測位装置。
【請求項17】
請求項16に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記検出手段によって装着が検出されると前記記憶手段に記憶されている前記履歴情報を前記カメラへ送信することを特徴とする測位装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−257034(P2008−257034A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100501(P2007−100501)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】