説明

カメラのアクセサリシュー装置

【課題】 カメラに対してアクセサリシューを装着する際における汎用性及び融通性を高めるとともに、アクセサリシューの取付位置(取付角度)の容易な変更を可能にし、更に多機能性(多様性),携帯性及び利便性を高める。
【解決手段】 カメラCに対して着脱可能に構成し、かつアクセサリシュー2を支持してなるアクセサリシュー支持体部3を備えるカメラのアクセサリシュー装置1(1a,1b,1c)であって、アクセサリシュー2を支持し、かつカメラCにおけるレンズ部CLの先端に設けた被着脱部CLjに着脱する着脱部4を有するリング状のアクセサリシュー支持体部3を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに対して着脱可能に構成し、かつアクセサリシューを支持してなるアクセサリシュー支持体部を備えるカメラのアクセサリシュー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラボディの上面には、各種アクセサリを着脱できるアクセサリシューを装備しており、このアクセサリシューには、必要に応じてストロボやVCメータ等のカメラに付属する各種アクセサリを装着することができる。
【0003】
一方、カメラボディに予め装備されているアクセサリシューは、その位置がカメラボディの上面に固定されるとともに、ストロボを内蔵するタイプなどによってはアクセサリシューを装備しないカメラも存在する。このため、従来、カメラに対して別途のアクセサリシューを外付けできるようにしたアタッチメントも提案されており、例えば、実開平5−15028号公報には、長円形の板体から成り、カメラの底面に螺合される螺子の挿通される長孔と、発光装置の基部に螺合される螺子の挿通される切欠とが設けられたブラケットが開示されている。
【特許文献1】実開平5−15028号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のブラケット(アクセサリシュー装置)は、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、ストロボの取付位置を動かすことを目的とすることから用途が限定されてしまう。即ち、VCメータ(露出計)等のように、撮影者から見易くかつ操作し易い位置となるカメラボディのファインダ近くに配する必要のあるアクセサリにとっては利用できないか、或いは利用できたとしても使いにくくなるなど、汎用性及び融通性に難がある。
【0006】
第二に、基本的にはアクセサリシューの機能に留まり、それ以外の機能は備えていないため、多機能性(多様性)に劣るとともに、他方、カメラに対しては一つの付属品が増えることになるため、携帯性に劣るなど、総合的な観点からは必ずしもカメラの利便性向上に寄与するとは言い難い。
【0007】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したアクセサリシュー装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するため、カメラCに対して着脱可能に構成し、かつアクセサリシュー2を支持してなるアクセサリシュー支持体部3を備えるカメラのアクセサリシュー装置1(1a,1b,1c)を構成するに際して、アクセサリシュー2を支持し、かつカメラCにおけるレンズ部CLの先端に設けた被着脱部CLjに着脱する着脱部4を有するリング状のアクセサリシュー支持体部3を具備してなることを特徴とする。
【0009】
この場合、発明の好適な態様により、被着脱部CLj及び着脱部4は、バヨネット式のマウント機構11により構成することができる。また、被着脱部CLj及び着脱部4は、嵌め込み式(又はネジ込み式)のマウント機構12により構成するとともに、被着脱部CLjを周方向の任意角度で着脱部4に固定可能な固定機構13を備えて構成することもできる。さらに、アクセサリシュー支持体部3は、レンズ部CLに着脱するフード14に兼用させることができるとともに、レンズ部CLに着脱するフィルタ15に兼用させることもできる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有する本発明に係るアクセサリシュー装置1(1a,1b,1c)によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0011】
(1) アクセサリシュー2を支持し、かつカメラCにおけるレンズ部CLの先端に設けた被着脱部CLjに着脱する着脱部4を有するリング状のアクセサリシュー支持体部3を備えるため、例えば、アクセサリシューを装備しないカメラであっても、アクセサリシューを装備したカメラに類する位置、即ち、カメラCに対する左右中央の上面位置付近に装備できるため、VCメータ等のアクセサリであっても撮影者から見易くかつ操作し易い位置に装備できるなど、汎用性及び融通性に優れる。
【0012】
(2) 好適な態様により、被着脱部CLj及び着脱部4を、バヨネット式のマウント機構11により構成すれば、レンズ部CLの周方向における複数の噛み合わせ位置に対応して取付位置を容易に変更できるため、例えば、ストロボの取付位置(取付角度)に対しても必要に応じて最適な位置(角度)を選択できる。
【0013】
(3) 好適な態様により、被着脱部CLj及び着脱部4を、嵌め込み式(又はネジ込み式)のマウント機構12により構成するとともに、被着脱部CLjを周方向の任意角度で着脱部4に固定可能な固定機構13を備えて構成すれば、例えば、ストロボの取付位置(取付角度)を任意の位置(角度)に選定できる。
【0014】
(4) 好適な態様により、アクセサリシュー支持体部3を、レンズ部CLに着脱するフード14又はフィルタ15に兼用させれば、フード14又はフィルタ15にアクセサリシュー2を含ませることができるため、多機能性(多様性)を高めることができるとともに、カメラCに対して別途の追加付属品が不要となるため、携帯性の向上、更には利便性向上に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係るアクセサリシュー装置1の構成について、図1〜図6を参照して説明する。
【0017】
アクセサリシュー装置1は、図1及び図2に示すように、リング状のアクセサリシュー支持体部3と、このアクセサリシュー支持体部3に固定したアクセサリシュー2を備える。アクセサリシュー支持体部3は、図4及び図5に示すカメラCにおけるレンズ部CLに着脱するフード14を兼用する。したがって、アクセサリシュー支持体部3の基本的な構成はフードとして構成、即ち、所定幅の軸方向長さを有する筒形のフード本体部14mと、このフード本体部14mの後端に設けた着脱部4をプラスチック等により一体成形して構成する。
【0018】
この場合、レンズ部CLの先端には被着脱部CLjを有し、この被着脱部CLjに対してアクセサリシュー支持体部3の着脱部4が着脱する。被着脱部CLj及び着脱部4は、バヨネット式のマウント機構11により構成する。したがって、着脱部4は、図2に示すように、周方向に沿って90〔゜〕間隔おきに四つの噛合部21a,21b,21c,21dを有し、この噛合部21a…をレンズ部CLの被着脱部CLjに設けた不図示の被噛合部に噛み合わせて装着できるとともに、噛み合わせを解除することにより離脱できる。例示のマウント機構11は、四つの異なる角度、即ち、0〔゜〕(上),90〔゜〕(右),180〔゜〕(下),270〔゜〕(左)の角度により装着可能である。このようなバヨネット式のマウント機構11を用いることにより、レンズ部CLの周方向における複数の噛み合わせ位置に対応して取付位置を容易に変更でき、例えば、ストロボの取付位置(取付角度)に対しても必要に応じて最適な位置(角度)を選択できる利点がある。
【0019】
さらに、フード本体部14mの周面上には、アクセサリシュー2を取付けるアクセサリシュー取付部22を一体形成する。この場合、アクセサリシュー取付部22は、フード本体部14mの周面上に、盛上部を一体形成し、この盛上部の先端面にアクセサリシュー2を載せる取付面22fを形成する。この取付面22fは、アクセサリシュー2に対してほぼ同じ形状の平坦面により形成する。これにより、アクセサリシュー取付部22上にアクセサリシュー2を載置し、ネジ止め等により取付けることができる。
【0020】
次に、本実施形態に係るアクセサリシュー装置1の使用方法について、図1〜図6を参照して説明する。
【0021】
図中、Cは、カメラボディ部CMとレンズ部CLを備えるカメラであり、銀塩フィルムを使用するフィルム式カメラを示す。このカメラCには、一般的なスチルカメラと同様に、シャッタスピード設定ダイヤル31,レリーズボタン32,フィルム巻上レバー33等を備えているが、露出を自動で設定するオートモード機能やアクセサリシューは装備していない。なお、レンズ部CLには交換レンズを用いることが望ましいが、非交換レンズであってもよい。交換レンズは、バヨネット式のレンズマウントによりカメラボディ部CMに着脱する。交換レンズ又は非交換レンズのいずれの場合であっても、レンズ部CLの先端には、バヨネット式のマウント機構11を構成する被着脱部CLjを有する。
【0022】
今、このカメラCにアクセサリAとして、図1に示すVCメータ(露出計)Acを装着する場合を想定する。なお、例示のVCメータAcは、絞り優先又はシャッタスピード優先のどちらでも使用でき、測光ボタン35を押し、絞り値用ダイヤル36又はシャッタスピード用ダイヤル37のいずれかを回せば、表示部38に適正状態を表示させることができる。このVCメータAcの底面には、アクセサリシュー2に対するシュー着脱部39を備えている。
【0023】
そして、カメラCに、本実施形態に係るアクセサリシュー装置1を装着するには、まず、レンズ部CLの被着脱部CLjにアクセサリシュー支持体部3の着脱部4を噛み合わして装着する。この際、図4及び図5に示すように、アクセサリシュー2が上位置となるように噛み合わせ位置(角度)を選択する。これにより、レンズ部CLにはフード14が装着されると同時にアクセサリシュー2も装備される。このように、アクセサリシュー支持体部3は、フード14を兼用するため、フード14にアクセサリシュー2が含まれることになり、多機能性(多様性)が高められるとともに、ブラケット等のようなカメラCにとっての別途の追加付属品は不要となり、携帯性の向上、更には利便性向上が図られる。
【0024】
一方、図3及び図5に示すように、アクセサリシュー2に、VCメータAcの底面に備えるシュー着脱部39を差し込めば、VCメータAcをカメラCに取付けることができる。図4がVCメータAcを取付けたカメラCの外観正面図を示す。
【0025】
このように、アクセサリシュー装置1は、アクセサリシュー2を支持し、かつカメラCにおけるレンズ部CLの被着脱部CLjに着脱する着脱部4を有するアクセサリシュー支持体部3を備えるため、例えば、アクセサリシューを装備しないカメラであっても、アクセサリシューを装備したカメラに類する位置、即ち、カメラCに対する左右中央の上面位置付近に装備でき、もって、VCメータAc等のアクセサリAであっても撮影者から見易くかつ操作し易い位置に装備させることができるなど、汎用性及び融通性に優れる。
【0026】
しかも、アクセサリシュー装置1は、レンズ部CLの周方向における四つの噛み合わせ位置、即ち、四つの異なる角度(0〔゜〕(上),90〔゜〕(右),180〔゜〕(下),270〔゜〕(左))に取付位置(取付角度)を容易に変更することができ、例えば、図6に示すように、カメラCを縦置にして撮影する際には、アクセサリシュー装置1を、図4に示す上位置(0〔゜〕)から図6に示す右位置(90〔゜〕)に変更すれば、ストロボSの位置をレンズ部CLの真上に配することができるなど、必要に応じて最適な位置(角度)を選択することができる。
【0027】
次に、本発明の変更実施形態に係るアクセサリシュー装置1a,1b,1cについて、図7及び図8を参照して説明する。
【0028】
図1〜図6に示したアクセサリシュー装置1は、アクセサリシュー支持体部3をフード14に兼用させた例を示したが、図7に示すアクセサリシュー装置1aは、いわばレンズ部CLに着脱する着脱部4のみによりアクセサリシュー支持体部3を構成したものであり、アクセサリシュー支持体部3は他の機能部品に兼用させない例を示す。また、図7に示すアクセサリシュー装置1bは、アクセサリシュー装置1aに対して、さらにフィルタ部15fを追加し、アクセサリシュー支持体部3をレンズ部CLに着脱するフィルタ15に兼用させたものである。この場合、着脱部4のみにより構成したアクセサリシュー支持体部3の内側にフィルタ部15fを取付けることによりフィルタ15を構成できる。このように、アクセサリシュー支持体部3をフィルタ15に兼用させれば、フィルタ15にアクセサリシュー2が含まれるため、図1〜図6に示した実施形態と同様に、多機能性(多様性)が高められるとともに、ブラケット等のようなカメラCにとっての別途の追加付属品は不要となり、携帯性の向上、更には利便性向上が図られる。なお、図7において、図1〜図6と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0029】
また、図1〜図6に示したアクセサリシュー装置1は、被着脱部CLj及び着脱部4を、バヨネット式のマウント機構11により構成した例を示したが、図8に示すアクセサリシュー装置1cは、被着脱部CLj及び着脱部4を、嵌め込み式のマウント機構12により構成するとともに、被着脱部CLjを周方向の任意角度で着脱部4に固定可能な固定機構13を備えて構成したものである。嵌め込み式は、被着脱部CLjに、円筒形の嵌合突部を設けるとともに、着脱部4に、当該嵌合突部が挿入(嵌合)する嵌合溝部41を設けて構成できる。この嵌合溝部41は、図8に示すように、フード本体部14mの後端に一体に設けた外筒部41oと内筒部41i間に形成される隙間(溝)を用いる。固定機構13には、外筒部41oに螺合した固定用ネジ13sを用いることができる。図8は嵌め込み式のマウント機構12を例示したが、被着脱部CLj及び着脱部4をネジ込み式に構成してもよく、被着脱部CLj及び着脱部4にネジ部を設ける他は、基本的には嵌め込み式と同様に構成できる。このような嵌め込み式又はネジ込み式のマウント機構12を用いれば、例えば、ストロボの取付位置(取付角度)を任意の位置(角度)に選定できる。なお、図8において、図1〜図6と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0030】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0031】
例えば、アクセサリシュー支持体部3に、二以上のアクセサリシュー2…を支持する形態により構成してもよい。また、アクセサリシューを装備しないカメラCを例示したが、アクセサリシューを装備したカメラにアクセサリシュー2を追加する態様であっても勿論よい。さらに、カメラCとして、フィルム式カメラを例示したが、デジタルカメラやビデオカメラ等の各種カメラにも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るアクセサリシュー装置及びVCメータの前斜視図、
【図2】同アクセサリシュー装置の後斜視図、
【図3】同アクセサリシュー装置及びVCメータの正面図、
【図4】同アクセサリシュー装置及びVCメータを装着した状態を示すカメラの外観正面図、
【図5】同アクセサリシュー装置及びVCメータをカメラに装着する際における説明用側面図、
【図6】同アクセサリシュー装置及びストロボを装着する際の態様を示すカメラの外観正面図、
【図7】本発明の変更実施形態に係るアクセサリシュー装置の一部破断側面図、
【図8】本発明の他の変更実施形態に係るアクセサリシュー装置の後斜視図、
【符号の説明】
【0033】
1:アクセサリシュー装置,1a:アクセサリシュー装置,1b:アクセサリシュー装置,1c:アクセサリシュー装置,2:アクセサリシュー,3:アクセサリシュー支持体部,4:着脱部,11:マウント機構,12:マウント機構,13:固定機構,14:フード,15:フィルタ,C:カメラ,CL:レンズ部,CLj:被着脱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラに対して着脱可能に構成し、かつアクセサリシューを支持してなるアクセサリシュー支持体部を備えるカメラのアクセサリシュー装置において、前記アクセサリシューを支持し、かつ前記カメラにおけるレンズ部の先端に設けた被着脱部に着脱する着脱部を有するリング状のアクセサリシュー支持体部を具備してなることを特徴とするカメラのアクセサリシュー装置。
【請求項2】
前記被着脱部及び前記着脱部は、バヨネット式のマウント機構により構成することを特徴とする請求項1記載のカメラのアクセサリシュー装置。
【請求項3】
前記被着脱部及び前記着脱部は、嵌め込み式又はネジ込み式のマウント機構により構成するとともに、前記被着脱部を周方向の任意角度で前記着脱部に固定可能な固定機構を備えることを特徴とする請求項1記載のカメラのアクセサリシュー装置。
【請求項4】
前記アクセサリシュー支持体部は、前記レンズ部に着脱するフードを兼用することを特徴とする請求項1,2又は3記載のカメラのアクセサリシュー装置。
【請求項5】
前記アクセサリシュー支持体部は、前記レンズ部に着脱するフィルタを兼用することを特徴とする請求項1,2又は3記載のカメラのアクセサリシュー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−112019(P2008−112019A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295310(P2006−295310)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(391044915)株式会社コシナ (37)
【Fターム(参考)】