カメラの測距装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカメラの測距装置に関し、特に測距用光を投光し、被写体からの反射信号光により被写体距離を求めるカメラの測距装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクティブAF(オートフォーカス)方式を採用した測距装置が種々開発されている。そして、従来のAF装置は、一般にファインダ画面内中央部のみしか測距することができなかった。したがって、画面内の中央部でなく左右の何れかに寄って人物が存在するようなシーンでは、ファインダ画面内の中央のポイントに主要被写体が存在しないため、人物はピントがぼやけた状態になっていた。
【0003】そこで、例えば画面内の3ポイントを測距可能とすることにより、人物にピント合わせができるようにしたカメラ(多点AFカメラ)も発売されている。図18は、このようなカメラの測距装置の構成を示したブロック図である。
【0004】赤外発光ダイオード(IRED)1a、1b、1cは、それぞれドライバ2a、2b、2cによって順次発光されるもので、投光レンズ3によって図示されない被写体に対して集光投光される。各IRED1a、1b、1cに基く被写体からの反射信号光は、受光レンズ4を介して光位置検出素子(PSD)5a、5b、5cにそれぞれ入射される。ここで、投光レンズ3と受光レンズ4は、所定の基線長Sだけ離れて配置されているので、反射信号光の入射位置は、三角測距の原理により、被写体距離に応じて変化する。
【0005】処理回路6a、6b、6cは、各々PSD5a、5b、5cの出力から上記反射信号光の入射位置を検出するための回路である。また、ワンチップマイクロコンピュータ等で構成される演算制御回路(CPU)7は、上記ドライバ2a、2b、2c及び処理回路6a、6b、6cを制御するものである。そして、CPU7は、処理回路6a、6b、6cの出力から、各ポイントの測距結果を算出し、その結果に従ってピント合わせ部8によりカメラの撮影レンズ(図示せず)のピント合わせ制御を行う。このピント合わせ距離としては、各測距結果のうち、最も距離の近いもの等を選択、採用すればよい。
【0006】このような装置は、例えば特開昭62−223734号公報等に開示されている。また、特開昭59−107332号公報には、投受光素子を含めたAFユニットを回動させて、複数の測距ポイントを測距する装置が開示されている。更に、特開昭60−60511号公報には、IREDを順次発光させて、1つのPSDで受光する測距装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図18に示されたような技術では、測距ポイントが増加すればするほど、投光素子やそのドライバ等の部品が増加するという課題を有していた。
【0008】また、特開昭59−107332号公報による装置では、AFユニットを回動させるための機構系が必要となり、装置の大型化を招くものであった。更に、特開昭60−60511号公報の測距装置では、測距後の処理が難しいうえ、複雑な回路を必要としていた。
【0009】この発明は上記課題に鑑みてなされたもので、部品が増加等による装置の大型化を招くことなく、処理が難しくなく複雑な回路を必要とせずに、コストアップさせることなく画面内の多くのポイントを測距可能なカメラの測距装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能なカメラの測距装置に於いて、上記複数領域に同時に測距用光を投光する投光手段と、上記複数領域毎に分割配置され、上記測距用光の上記複数領域からの反射光を受光する複数の受光素子と、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択を行うスイッチ手段と、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離を演算する演算手段と、を具備し、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射することを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】この発明のカメラの測距装置にあっては、画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能であり、上記複数領域に同時に測距用光が投光手段より投光される。そして、上記測距用光の上記複数領域からの反射光が、上記複数領域毎に分割配置された複数の受光素子で受光される。上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択がスイッチ手段で行われる。演算手段では、上記各受光素子出力に基いて上記複数領域の距離が演算される。そして、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射する。
【0015】また、この発明は、画面内の複数領域を測距可能なカメラの測距装置に於いて、投光手段により上記複数領域に同時に測距用光が投光され、上記複数領域毎に分割配置された受光素子にて、上記測距用光の上記複数領域からの反射光が受光される。また、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択がスイッチ手段で行われる。そして、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離が演算手段で演算される。
【0016】
【0017】
【0018】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1(a)は、この発明の第1の実施例に係るカメラの測距装置の概念を示すブロック構成図である。IRED9はドライバ10によって図示されない被写体に対して発光されるもので、投光レンズ3及び受光レンズ4との基線長Sと直交する方向に細長く延出された形状となっている。被写体からの反射信号光は、受光レンズ4を介してPSD11a、11b、11cにそれぞれ入射される。PSD11a、11b、11cの出力は、処理回路6a、6b、6cを介してワンチップマイクロコンピュータ等で構成されるCPU7に供給される。このCPU7は、上記ドライバ10及び処理回路6a、6b、6cを制御すると共に、ピント合わせ部8によりカメラの撮影レンズ(図示せず)のピント合わせ制御を行う。
【0019】このような構成に於いて、CPU7の制御により、ドライバ10を介して電流が流し込まれてIRED9が発光する。このIRED9は、上述したように基線長Sに対して直交方向に延出された形状であるので、投光レンズ3を介して被写体に投光された投光パターンは、図1(b)に示されるように、画面横方向に延出された長方形状となる。この投光パターンの被写体からの反射光は、受光レンズ4を介してPSD11a、11b、11cに入射される。各PSD11a、11b、11cの観測するエリア13a、13b、13cは、投光パターン12に対して、図の斜線部12a、12b、12cで示されるような関係となる。
【0020】したがって、CPU7は、PSD11a、11b、11cに接続された処理回路6a、6b、6cの出力から、投光パターン12と観測エリア13a、13b、13cの重なる観測ポイント12a、12b、12cの部分に存在する被写体までの距離を演算することが可能となる。これにより、図2に画面14で示されるようなシーンであっても、観測ポイント12cによって人物15の距離検出が可能となる。
【0021】上述したように、CPU7が観測ポイント12a、12b、12cの測距結果のうち最も近い距離を選択し、ピント合わせ部8を制御してその距離に対してピント合わせを行えば、人物15に対してピントの合った写真の撮影が可能となる。
【0022】このように構成された測距装置を用いれば、図18に示される従来の測距装置に対してドライバが1つで済み、単純化されているにもかかわらず、同様の効果が得られることがわかる。
【0023】図3は、この発明の第2の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。上述した第1の実施例では、IRED9の光が分割されて利用されているため、1つ1つのPSDに入射する信号光量は減少している。この第2の実施例では、この信号光量の減少を考慮し、IREDがモータによって基線長と直交する方向に走査可能としており、分割されたPSDの1つ1つに信号光のほとんどが有効に入射するような測距用光を投光するようにしている。
【0024】すなわち、2次元的にIREDを走査する機構について説明すると、IRED16はIREDドライバ10を介してCPU7により駆動制御されるもので、その前方には投光レンズ13が配置されている。上記IRED16は可動部17に一体的に取付けられているもので、モータ(M)ドライバ18により駆動されるモータ19及び送りねじ20によって、ガイドレール21に沿って図示x方向にスライドする。また接片22a、22bから成るスイッチ22は、上記可動部材17、すなわちIRED16の初期位置を検出するスイッチである。
【0025】したがって、この初期位置からモータ19が所定回転ずつ回転すれば、IRED16は所定の位置ずつスライドし、同期してIREDドライバ10を制御すれば、等間隔での投光が可能となる。このとき、投光パターンは、図3(b)中に23で示されるようになる。
【0026】この例では、投光パターン23は23a〜23fの6つであり、受光レンズ4を介してこれを受光するPSDも24a〜24fの6つが設けられている。したがって、これらPSD24a〜24fの出力は、処理回路25a〜25fを介してCPU7に供給される。
【0027】そして、測距用光を投光パターン23aの方向に投光したとき、処理回路25aを用いてPSD24aの出力から信号光入射位置を検出すれば、投光パターン23aの方向に存在する被写体距離を検出することが可能となる。
【0028】次に、このように構成された測距装置の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートは、CPU7が制御している。先ず、ステップS1にて、モータ19を逆転させてスイッチ22がオンする位置までIRED16(可動部材17)を移動させて、スライド位置を初期化する。このとき、IRED16と投光レンズ3の主点がなす角と、PSD24aと受光レンズ4の主点がなす角とが一致するように設計されているものとする。そして、ステップS2にて、IRED16を発光する。PSDは24aを用いるため、処理回路25aの出力結果を採用して測距を行う。
【0029】次に、ステップS3にて、Mドライバ18を介してモータ19を所定時間通電し、モータ19を所定量回転させる。モータ19の回転により送りねじ20が回転し、可動部材17がガイドレール21に沿ってスライドすると、IRED16の発光するポイントが図示矢印x方向に変化する。これにより、IRED16と投光レンズ3との相対位置が変わるため、測距用光の投光される方向が変化する。この状態で、ステップS4にてIRED16を発光させる。このとき、IRED16のと投射した光線の方向は、受光レンズ4を介してPSD24bが見つめる方向と一致しているので、PSD24bを用いて測距を行う。つまり、処理回路は25bを用いる。
【0030】次に、ステップS5にて投光パターンを変更し、続いてステップS6にてIRED16を発光し、PSD24c、処理回路25cを用いて測距を行う。このように、各ポイントの測距を繰返す。こうして、ステップS12までのフローチャートにより、投光パターン23a〜23fの各ポイントに存在する被写体の測距を行う。
【0031】そして、ステップS13では、これらの測距結果のうち、最も近い距離を選択する。次いで、ステップS14にて、その最至近距離に対してピント合わせを行う。これによって、例えば図2に示されるように、画面14の中央部に被写体が存在しない場合にも、正しく人物15にピントを合わせることが可能となる。
【0032】図5は、このような構成の測距装置を搭載したカメラの外観図である。同図に於いて、カメラ本体26の前面の略中央部には、撮影レンズ27が配置されている。そして、この撮影レンズ27の近傍に、ファインダ28、投光レンズ3及び受光レンズ4が図示の如く配置されている。また、カメラ本体26の上面には、レリーズ釦29が設けられている。
【0033】このように、投受光レンズ3及び4がカメラ本体26の前面上下に配置されることにより、ファインダ28の横方向への測距ポイントを増やすことができる。ここで、図3に示された測距装置の効果について、図6乃至図8を参照して説明する。
【0034】レーザ光線は、目に対する安全問題があり、カメラの測距用光としては制約が大きいため、このような測距装置では用いられず、光源としては発光ダイオード(LED)を用いる。しかしながら、LEDはレーザとは異なり、投光した光線のスポット性が劣り、幅広い強度分布を有している。したがって、図6(a)に示されるように、投光レンズ3を介して投光されたLED30による主たる投光スポット31が、人物15から外れた場合でも、スポット31の周辺にある弱い光強度の部分(有害光)が人物15に投射され、これが受光レンズ4を介して受光素子24に入射することがある。
【0035】このようなシーンでは、スポット31の部分に人物15は存在しない。したがって、こうした有害光が受光素子24に入射してそのまま測距を行うと、CPU7は各ポイントの測距結果を正しく判定することができなくなる。
【0036】同実施例のように、細かくPSDを分割せずに幅の広いPSDを用いて測距を行うと、図6(b)に示されるように、PSD24に有害光スポットが入射される。すると、あたかも正しいスポット31が入射した場合と同様の測距結果が生じてしまう。このような問題は、図7(a)に示されるようなシーンで顕著になる。
【0037】図7(a)に於いて、人物15にスポット31aが正しく投射されていても、その周辺に存在する有害光32aが、背景のガラスから戻ってきて、図7(b)に示されるように、PSD24上でクロストークを起こす。すなわち、スポット31aの位置が人物15の正しい距離を示しても、有害光32aのうち、ガラスに反射した部分34が、PSD24上の人物とは無関係の距離に対応する部分に入射するので、結局、正しい人物の測距結果を得ることができない。
【0038】一方、背景のガラスの距離を正しく判定することができるかどうかということについて、今度はスポット31bの周囲に広がる有害光32bの一部35が人物15にかかり、これもクロストークにより誤測距となる。そこで、PSD24を、図6(c)に示されるように分割し、LED30の投光位置に従って切換えるようにする。すると、有害光32は選択されたPSD24cには入射しないので、クロストークによる影響を防止することができる。
【0039】このように、同実施例によれば、マルチAF時のクロストークによる精度劣化を防止することができる。次に、図8を参照して、測距ポイントのばらつき防止について説明する。
【0040】図3のスイッチ22の精度や、モータ19の停止精度によっては、投光スポットのファインダ28内での位置はばらつき、図8(a)に示されるようにピッチpが不均一となる。これは、投光素子が可動であるためであり、固定の受光素子側を等しいピッチで分割し、切換えて用いれば、図8(b)に示されるように、多少の投光のピッチのばらつきがあっても均一なピッチにての測距結果が可能となる。
【0041】この工夫は、例えば画面14の中央部に設けられたスポット測距用のターゲット14aを用いる場合にも効果的である。こうした工夫がなければ、撮影者が如何に被写体をターゲット内に於いて撮影しようとしても、クロストーク等の影響もあって、異なったものにピントが合ってしまう可能性があった。
【0042】次に、この発明の第3の実施例について説明する。図9は、この発明の第3の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、この第3の実施例は、IRED16及びその走査機構は、図3の第2の実施例と同様である。しかしながら、PSD24a〜24fの列は、図3とは異なり、PSD24aと24d、PSD24bと24e、PSD24cと24fとが、それぞれ共通の処理回路に接続されており、単純化が図られた構成となっている。
【0043】この処理回路は、以下のように構成されている。すなわち、PSD24aと24d、PSD24bと24e、PSD24cと24fは、それぞれプリアンプ36a及び37a、36b及び37b、36c及び37cに接続されている。そして、これらプリアンプ36a及び37a、36b及び37b、36c及び37cは、圧縮ダイオード38及び39を介してバッファ40及び41、更に定電流源42と共に差動演算回路を構成しているNPNトランジスタ42及び44に接続されている。
【0044】プリアンプ36a、37aは、PSD24a、24dの出力電流を低入力インピーダンスで吸取り増幅するアンプであり、増幅した出力電流i1 、i2 を圧縮ダイオード38、39に流し込む。各圧縮ダイオード38、39の出力電圧は、バッファ40、41を介して対のトランジスタ43、44のベースに供給される。上記トランジスタ43、44は、そのエミッタがIp の電流を流す定電流源42に接続されている。また、トランジスタ43のコレクタと電源Vccの間には、積分コンデンサ45が接続されている。
【0045】これらトランジスタ43、44と圧縮ダイオード38、39の特性はそろえられており、積分コンデンサジ45に流れる電流IINT は、(1)式のように表すことができる。
【0046】
【数1】
【0047】一方、このi1 /(i1 +i2 )は、PSD上の信号光入射位置に比例するので、上記(1)式は被写体距離Lを用いて(2)式のように表すことができる。
【0048】
【数2】
ここで、Sは基線長、fJ は受光レンズの焦点距離を表している。
【0049】したがって、IRED16の発光に先立って積分コンデンサ45の両端電圧を、スイッチ46で初期化した後、このスイッチ46をオフしてIRED16の発光に同期して定電流源42を所定時間オンすれば、積分コンデンサ45には、被写体距離Lに比例した電圧が生じる。
【0050】そして、CPU7は、この電圧信号を、内蔵のA/D変換器でA/D変換して読込み、上記(2)式に従って距離Lを演算する。次に、このような構成の測距装置の測距シーケンスを、図10のタイムチャートを参照して説明する。
【0051】IRED16の位置は、図9に示されるように、モータ19と送りねじ20によって走査されていくが、可動部材17がその位置を変える都度、IRED16がIREDドライバ10によって駆動され、同期して図10に示されるt0 の時間だけ積分動作が行われる。積分動作が終了すると、上述したように、CPU7による積分結果の読込みがなされる。また、IRED16の発光に先立ってスイッチ46がオン→オフを繰返し、積分コンデンサ45を初期化していく。
【0052】このような動作を繰返しながら、IRED16はa、b、c、d、e、fの各ポイントの測距を行うが、その都度プリアンプの切換えがなされる。上述したように、プリアンプ36a、37aは、PSD24a、24dの両端の電極を共通に接続しているので、a、dのポイントの測距時に信号を増幅するように選択される。また、プリアンプ36b、37bは、PSD24b、24eの両端の電極を共通に接続しているので、b、eのポイントの測距に際して選択され、そして、プリアンプ36c、37cは、PSD24c、24fの両端の電極を共通に接続しているので、c、fのポイントの測距に際して選択される。
【0053】更に、非選択時は、PSDの受光面に入射した信号光電流を抜取り、尚且つ次段に伝えないようにするために、各プリアンプは図11に示されるように構成されている。
【0054】図11に於いて、オペアンプ47は、PSDの出力と増幅用トランジスタ48のベースを負側入力に、基準電圧Vref を正側入力にそれぞれ接続している。また、オペアンプ47の出力は、バッファ49を介して上記トランジスタ48を制御するべくエミッタに接続されている。また、バッファ49の入力端とトランジスタ48のベースの間にはバッファ50が接続されており、上記バッファ49の出力端にはスイッチ51が接続されている。尚、52はインバ―タである。
【0055】これにより、スイッチ51のオフ時は、PSDからの出力電流は、トランジスタ48によりhfe倍され、i1 に電流増幅される。これが、上述した測距時に選択された状態である。一方、スイッチ51がオンすると、トランジスタ48のエミッタ端子がプルアップされるため、プリアンプに電流増幅機能はなくなる。しかしながら、スイッチ51のオン時に、選択信号によってバッファ50がオンするので、PSDの出力電流は低入力インピーダンスで引抜かれる。
【0056】この機能を用いてPSD上に発生した光電流は、プリアンプ非選択時もプリアンプに吸取られ、PSD上で他の受光面の出力とクロストークを起こすことがないように構成されている。
【0057】ここで、PSD24cを例にとって説明する。図6(c)で説明した、主たる測距用光スポット31がPSD24cに入射している状態では、図6(a)に示された有害光成分32がPSD24cに隣接するPSD24bまたは24dに入射している可能性がある。しかしながら、PSD24bはプリアンプ36b、37bに接続され、一方PSD24dはプリアンプ36a、37aに接続されている。それ故、これらのPSDに入射した各々の有害光による光電流は、図9で説明したように、各プリアンプに増幅されることなく吸取られる。したがって、有害光と主たる信号光スポットは、PSD上でクロストークを起こすことなく、選択されたプリアンプ36c、37cによって信号光電流のみが増幅されて圧縮され、演算結果が積分コンデンサ45によって積分される。このとき、同時にPSD24fがイネーブル状態になっているが、PSD24と24fは、その間に2つのPSDを挟んでいるので、ここにまで有害光が入射することはない。
【0058】このように、第3の実施例によれば、図3の第2の実施例のように、6つの処理回路を有することなく、3対のプリアンプによる構成で同等の効果を得ることができる。
【0059】このように、同実施例では、より単純な構成で、クロストークに強い、高精度の多点AFのカメラの測距装置を得ることが可能となる。次に、この発明の第4の実施例について説明する。
【0060】図12は、この発明の第4の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図であり、図3及び図9の測距装置とは異なり、走査機構を廃した構成となっている。図12に於いて、投光レンズ3の後方に配置された3つのIRED53a、53b、53cは、それぞれドライバ54a、54b、54cを介してCPU7により駆動制御される。上記IRED53a、53b、53cは、例えば正方形状の中央部のIRED53bを挟んで、横方向に延出した長方形状のIRED53a及び53cを配置した構成となっている。
【0061】一方、受光側は、受光レンズ4の後方に、3つ以上、この場合7つのPSD55a〜55gのうちの幾つかの素子を共通接続して配置している。そして、これらPSD55a〜55gの出力は、処理回路56a、56b、56cを介してCPU7に供給される。このCPU7は、上記ドライバ54a〜54c、処理回路56a〜56cとピント合わせ部8を制御している。
【0062】このように、3つのドライバ及び3つの処理回路を有した構成は、図18の従来例と同様であるが、図13(b)に示されるように、各ドライバと各処理回路の選択の仕方を変えることにより、測距ポイントを変更可能なようにしている。この原理については、既に図1の説明で述べている。これにより、第4の実施例では、図13(a)及び(b)に示されるように、57a〜57gの合計7ポイントの測距が可能となっている。
【0063】ここで、IRED53bと53dを更に分割すれば、最高で9ポイントまで測距可能である。ここでは、IREDの光量を考慮したうえで、8割以上の被写体が存在すると考えられる中央部のIREDは、分割せずに光量を重視して精度を向上させるようにしている。
【0064】画面中央部測距用のIRED53bの選択時、処理回路56aの選択により、PSD55d以外にPSD55a、55gもイネーブル状態となっている。しかしながら、受光レンズ4の光軸から離れた位置にPSD55a、55gが配置されているため、これらのPSDに入射する光の量は少なくなるので(cos4乗則)、重要な画面中央部の測距に際しての悪影響は、他のPSDが接続されているときよりは少ないと考えられる。
【0065】次に、この発明の第5の実施例について説明する。図14は、図12の第4の実施例に於ける中央重視の考え方を更に進めたもので、第5の実施例の構成を示すブロック図である。すなわち、中央測距用のIRED53b及び投光レンズ3aと、周辺部測距用の細長い形状のIRED53a、53c及び投光レンズ3bとは、完全に別の投光系となっている。その他の構成は、図12の測距装置と同様である。尚、第5の実施例による画面14上の測距ポイントは、図15に示されるようになる。
【0066】このように構成することにより、主要被写体の存在確率の高い画面中央部の測距は、鋭いスポットで確実な測距が可能となる。一般に、測距用の投光スポットは、小さいほうが正確な測距を行う場合に有利であるが、同実施例のように幅の広い測距用光を投射したい場合は、よりスポットの広がる測距系が好ましい。中央部のスポットを小さくし、且つ周辺部のスポットを、より広い範囲を測距するために広がるようにしたい場合は、投光レンズを同実施例のように別の投光系とする方が設計上便利である。
【0067】図16(a)は、一般的な測距装置の投光レンズ系を示したものである。同図に於いて、fT1は投光レンズ3aの焦点距離であり、IRED53bの発光径をd1 とすると、距離Lに於ける投光スポット径d2 は、(3)式のように考えることができる。
【0068】
【数3】
投光スポット径は、なるべく小さいほうが良いので、d1 は小さく、fT1はなるべく長いほうが好ましいことがわかる。
【0069】しかしながら、むやみにfT1を長くすると、レンズのFナンバ(FNo)が大きくなり、投光光量が減少してしまう。そのため、同時に投光レンズ径も大きくする必要があり、結果として装置の大型化を招きやすいものであった。
【0070】図16(b)は、第5の実施例による、幅の広い投光パターンを形成するための投光レンズ径を示したものである。この投光パターンは、なるべく画面内の広い範囲に広げたいものであるから、(4)式から投光レンズ3bの焦点距離fT2は、なるべく小さくしてIREDの発光部の長さW2 をなるべく大きくしたいことがわかる。
【0071】
【数4】
W2 は、あまり大きくすると、素子が大型化してコストアップにつながってしまう。そのため、fT2は小さめにする方が好ましく、図16(a)に示される場合とは正反対であることがわかる。このfT2を小さくすれば、レンズ径が小さくてもFNoを小さくすることができ、信号光量の点でも有利になることがわかる。例えば、θを6°付近にとると、(5)式のようになる。
【0072】
【数5】
ここで、W2 =0.6mmとすると、fT2=6mmとなる。
【0073】一方、投光パターンの縦方向は、3mで10cm位におさえるとすると、上記(3)式を利用して、d1 =(6/3000)・100=600/3000=0.2mmとすればよいことがわかる。
【0074】したがって、図14の投光レンズ3aが、従来の測距装置と同様にfT1=16mm,φ=12mm程度の大きさが必要であるのに対して、投光レンズ3bはfT2=φ=6mmで設計することにより、より明るいFNoで幅の広い投光が可能となることがわかる。この幅広の投光は、1度の投光で3箇所分の光を出力するので、1個のPSD当たりの光のエネルギーは少なくなるものの、主要被写体の8割以上は画面中央部に存在して、その他の被写体はそれ程遠い距離に存在しないと考えれば、同実施例に示されたような測距装置は十分に多点AFの効果を得ることができる。
【0075】図17は、この発明の第6の実施例に係るカメラの測距装置の投受光系を示した図である。上述した第1乃至第5の実施例では、投受光レンズ3、4は、カメラの縦方向に並設していたが、この第6の実施例は両方のレンズをカメラの横方向に並設したものである。図17(a)に於いて、投光レンズ3の後方に、斜め方向に延出されたIRED58が配置されている。そして、受光レンズ4の後方には、例えば階段状に3つに配列されたPSD列59が設けられている。
【0076】上記IRED58から発せられて図示されない被写体より反射される反射信号光は、同一距離の被写体からは、図17(b)に示されるように、PSD59a、59b、59cに入射される。そして、その受光面と重なる部分が測距ポイントとなるため、ファインダ60の中で各測距ポイントを想定すると、図17(c)に示されるようになる。尚、ここでは、ドライバ、処理回路等の説明は省略したが、これらの構成は図1に準ずるものとする。このように、第6の実施例によれば、投受光レンズの配置が縦配置に制限されることなく、カメラのレイアウトに自由度を得ることができる。
【0077】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、部品が増加等による装置の大型化を招くことなく、処理が難しくなく複雑な回路を必要とせずに、コストアップさせることなく画面内の多くのポイントを測距可能なカメラの測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の第1の実施例に係るカメラの測距装置の概念を示すブロック構成図、(b)は同図(a)のIREDから被写体に投光された投光パターンを示した図である。
【図2】画面の中央部のポイントに主要被写体が存在しないシーンの例を示した図である。
【図3】(a)はこの発明の第2の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図、(b)は同図(a)のIREDから被写体に投光された投光パターンを示した図である。
【図4】第2の実施例のカメラの測距装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示された構成の測距装置を搭載したカメラの外観図である。
【図6】投光スポットと有害光スポットとの関係を説明する図である。
【図7】投光スポットと有害光スポットとの関係を説明する図である。
【図8】測距ポイントのばらつき防止について説明する図である。
【図9】この発明の第3の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施例のカメラの測距装置の測距シーケンスを説明するタイムチャートである。
【図11】図10の各プリアンプの構成を示す回路図である。
【図12】この発明の第4の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図13】(a)は第4の実施例による画面14上の測距ポイントを示した図、(b)は図12の各ドライバ及び各処理回路と測距ポイントとの関係を表した図である。
【図14】この発明の第5の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第5の実施例による画面14上の測距ポイントを示した図である。
【図16】(a)は一般的な測距装置の投光レンズ系を示した図、(b)は第5の実施例による、幅の広い投光パターンを形成するための投光レンズ径を示した図である。
【図17】この発明の第6の実施例に係るカメラの測距装置の投受光系を示した図である。
【図18】従来のカメラの測距装置の構成例を示したブロック図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、9、16…赤外発光ダイオード(IRED)、2a、2b、2c、10…IREDドライバ、3…投光レンズ、4…受光レンズ、5a、5b、5c、11a、11b、11c、24a、24b、24c、24d、24e、24f…光位置検出素子(PSD)、6a、6b、6c、25a、25b、25c、25d、25e、25f…処理回路、7…CPU、8…ピント合わせ部、17…可動部材、18…モータ(M)ドライバ、19…モータ、20…送りねじ、21…ガイドレール、22a、22b…接片、22…スイッチ。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカメラの測距装置に関し、特に測距用光を投光し、被写体からの反射信号光により被写体距離を求めるカメラの測距装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクティブAF(オートフォーカス)方式を採用した測距装置が種々開発されている。そして、従来のAF装置は、一般にファインダ画面内中央部のみしか測距することができなかった。したがって、画面内の中央部でなく左右の何れかに寄って人物が存在するようなシーンでは、ファインダ画面内の中央のポイントに主要被写体が存在しないため、人物はピントがぼやけた状態になっていた。
【0003】そこで、例えば画面内の3ポイントを測距可能とすることにより、人物にピント合わせができるようにしたカメラ(多点AFカメラ)も発売されている。図18は、このようなカメラの測距装置の構成を示したブロック図である。
【0004】赤外発光ダイオード(IRED)1a、1b、1cは、それぞれドライバ2a、2b、2cによって順次発光されるもので、投光レンズ3によって図示されない被写体に対して集光投光される。各IRED1a、1b、1cに基く被写体からの反射信号光は、受光レンズ4を介して光位置検出素子(PSD)5a、5b、5cにそれぞれ入射される。ここで、投光レンズ3と受光レンズ4は、所定の基線長Sだけ離れて配置されているので、反射信号光の入射位置は、三角測距の原理により、被写体距離に応じて変化する。
【0005】処理回路6a、6b、6cは、各々PSD5a、5b、5cの出力から上記反射信号光の入射位置を検出するための回路である。また、ワンチップマイクロコンピュータ等で構成される演算制御回路(CPU)7は、上記ドライバ2a、2b、2c及び処理回路6a、6b、6cを制御するものである。そして、CPU7は、処理回路6a、6b、6cの出力から、各ポイントの測距結果を算出し、その結果に従ってピント合わせ部8によりカメラの撮影レンズ(図示せず)のピント合わせ制御を行う。このピント合わせ距離としては、各測距結果のうち、最も距離の近いもの等を選択、採用すればよい。
【0006】このような装置は、例えば特開昭62−223734号公報等に開示されている。また、特開昭59−107332号公報には、投受光素子を含めたAFユニットを回動させて、複数の測距ポイントを測距する装置が開示されている。更に、特開昭60−60511号公報には、IREDを順次発光させて、1つのPSDで受光する測距装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図18に示されたような技術では、測距ポイントが増加すればするほど、投光素子やそのドライバ等の部品が増加するという課題を有していた。
【0008】また、特開昭59−107332号公報による装置では、AFユニットを回動させるための機構系が必要となり、装置の大型化を招くものであった。更に、特開昭60−60511号公報の測距装置では、測距後の処理が難しいうえ、複雑な回路を必要としていた。
【0009】この発明は上記課題に鑑みてなされたもので、部品が増加等による装置の大型化を招くことなく、処理が難しくなく複雑な回路を必要とせずに、コストアップさせることなく画面内の多くのポイントを測距可能なカメラの測距装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能なカメラの測距装置に於いて、上記複数領域に同時に測距用光を投光する投光手段と、上記複数領域毎に分割配置され、上記測距用光の上記複数領域からの反射光を受光する複数の受光素子と、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択を行うスイッチ手段と、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離を演算する演算手段と、を具備し、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射することを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】この発明のカメラの測距装置にあっては、画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能であり、上記複数領域に同時に測距用光が投光手段より投光される。そして、上記測距用光の上記複数領域からの反射光が、上記複数領域毎に分割配置された複数の受光素子で受光される。上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択がスイッチ手段で行われる。演算手段では、上記各受光素子出力に基いて上記複数領域の距離が演算される。そして、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射する。
【0015】また、この発明は、画面内の複数領域を測距可能なカメラの測距装置に於いて、投光手段により上記複数領域に同時に測距用光が投光され、上記複数領域毎に分割配置された受光素子にて、上記測距用光の上記複数領域からの反射光が受光される。また、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択がスイッチ手段で行われる。そして、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離が演算手段で演算される。
【0016】
【0017】
【0018】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1(a)は、この発明の第1の実施例に係るカメラの測距装置の概念を示すブロック構成図である。IRED9はドライバ10によって図示されない被写体に対して発光されるもので、投光レンズ3及び受光レンズ4との基線長Sと直交する方向に細長く延出された形状となっている。被写体からの反射信号光は、受光レンズ4を介してPSD11a、11b、11cにそれぞれ入射される。PSD11a、11b、11cの出力は、処理回路6a、6b、6cを介してワンチップマイクロコンピュータ等で構成されるCPU7に供給される。このCPU7は、上記ドライバ10及び処理回路6a、6b、6cを制御すると共に、ピント合わせ部8によりカメラの撮影レンズ(図示せず)のピント合わせ制御を行う。
【0019】このような構成に於いて、CPU7の制御により、ドライバ10を介して電流が流し込まれてIRED9が発光する。このIRED9は、上述したように基線長Sに対して直交方向に延出された形状であるので、投光レンズ3を介して被写体に投光された投光パターンは、図1(b)に示されるように、画面横方向に延出された長方形状となる。この投光パターンの被写体からの反射光は、受光レンズ4を介してPSD11a、11b、11cに入射される。各PSD11a、11b、11cの観測するエリア13a、13b、13cは、投光パターン12に対して、図の斜線部12a、12b、12cで示されるような関係となる。
【0020】したがって、CPU7は、PSD11a、11b、11cに接続された処理回路6a、6b、6cの出力から、投光パターン12と観測エリア13a、13b、13cの重なる観測ポイント12a、12b、12cの部分に存在する被写体までの距離を演算することが可能となる。これにより、図2に画面14で示されるようなシーンであっても、観測ポイント12cによって人物15の距離検出が可能となる。
【0021】上述したように、CPU7が観測ポイント12a、12b、12cの測距結果のうち最も近い距離を選択し、ピント合わせ部8を制御してその距離に対してピント合わせを行えば、人物15に対してピントの合った写真の撮影が可能となる。
【0022】このように構成された測距装置を用いれば、図18に示される従来の測距装置に対してドライバが1つで済み、単純化されているにもかかわらず、同様の効果が得られることがわかる。
【0023】図3は、この発明の第2の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。上述した第1の実施例では、IRED9の光が分割されて利用されているため、1つ1つのPSDに入射する信号光量は減少している。この第2の実施例では、この信号光量の減少を考慮し、IREDがモータによって基線長と直交する方向に走査可能としており、分割されたPSDの1つ1つに信号光のほとんどが有効に入射するような測距用光を投光するようにしている。
【0024】すなわち、2次元的にIREDを走査する機構について説明すると、IRED16はIREDドライバ10を介してCPU7により駆動制御されるもので、その前方には投光レンズ13が配置されている。上記IRED16は可動部17に一体的に取付けられているもので、モータ(M)ドライバ18により駆動されるモータ19及び送りねじ20によって、ガイドレール21に沿って図示x方向にスライドする。また接片22a、22bから成るスイッチ22は、上記可動部材17、すなわちIRED16の初期位置を検出するスイッチである。
【0025】したがって、この初期位置からモータ19が所定回転ずつ回転すれば、IRED16は所定の位置ずつスライドし、同期してIREDドライバ10を制御すれば、等間隔での投光が可能となる。このとき、投光パターンは、図3(b)中に23で示されるようになる。
【0026】この例では、投光パターン23は23a〜23fの6つであり、受光レンズ4を介してこれを受光するPSDも24a〜24fの6つが設けられている。したがって、これらPSD24a〜24fの出力は、処理回路25a〜25fを介してCPU7に供給される。
【0027】そして、測距用光を投光パターン23aの方向に投光したとき、処理回路25aを用いてPSD24aの出力から信号光入射位置を検出すれば、投光パターン23aの方向に存在する被写体距離を検出することが可能となる。
【0028】次に、このように構成された測距装置の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートは、CPU7が制御している。先ず、ステップS1にて、モータ19を逆転させてスイッチ22がオンする位置までIRED16(可動部材17)を移動させて、スライド位置を初期化する。このとき、IRED16と投光レンズ3の主点がなす角と、PSD24aと受光レンズ4の主点がなす角とが一致するように設計されているものとする。そして、ステップS2にて、IRED16を発光する。PSDは24aを用いるため、処理回路25aの出力結果を採用して測距を行う。
【0029】次に、ステップS3にて、Mドライバ18を介してモータ19を所定時間通電し、モータ19を所定量回転させる。モータ19の回転により送りねじ20が回転し、可動部材17がガイドレール21に沿ってスライドすると、IRED16の発光するポイントが図示矢印x方向に変化する。これにより、IRED16と投光レンズ3との相対位置が変わるため、測距用光の投光される方向が変化する。この状態で、ステップS4にてIRED16を発光させる。このとき、IRED16のと投射した光線の方向は、受光レンズ4を介してPSD24bが見つめる方向と一致しているので、PSD24bを用いて測距を行う。つまり、処理回路は25bを用いる。
【0030】次に、ステップS5にて投光パターンを変更し、続いてステップS6にてIRED16を発光し、PSD24c、処理回路25cを用いて測距を行う。このように、各ポイントの測距を繰返す。こうして、ステップS12までのフローチャートにより、投光パターン23a〜23fの各ポイントに存在する被写体の測距を行う。
【0031】そして、ステップS13では、これらの測距結果のうち、最も近い距離を選択する。次いで、ステップS14にて、その最至近距離に対してピント合わせを行う。これによって、例えば図2に示されるように、画面14の中央部に被写体が存在しない場合にも、正しく人物15にピントを合わせることが可能となる。
【0032】図5は、このような構成の測距装置を搭載したカメラの外観図である。同図に於いて、カメラ本体26の前面の略中央部には、撮影レンズ27が配置されている。そして、この撮影レンズ27の近傍に、ファインダ28、投光レンズ3及び受光レンズ4が図示の如く配置されている。また、カメラ本体26の上面には、レリーズ釦29が設けられている。
【0033】このように、投受光レンズ3及び4がカメラ本体26の前面上下に配置されることにより、ファインダ28の横方向への測距ポイントを増やすことができる。ここで、図3に示された測距装置の効果について、図6乃至図8を参照して説明する。
【0034】レーザ光線は、目に対する安全問題があり、カメラの測距用光としては制約が大きいため、このような測距装置では用いられず、光源としては発光ダイオード(LED)を用いる。しかしながら、LEDはレーザとは異なり、投光した光線のスポット性が劣り、幅広い強度分布を有している。したがって、図6(a)に示されるように、投光レンズ3を介して投光されたLED30による主たる投光スポット31が、人物15から外れた場合でも、スポット31の周辺にある弱い光強度の部分(有害光)が人物15に投射され、これが受光レンズ4を介して受光素子24に入射することがある。
【0035】このようなシーンでは、スポット31の部分に人物15は存在しない。したがって、こうした有害光が受光素子24に入射してそのまま測距を行うと、CPU7は各ポイントの測距結果を正しく判定することができなくなる。
【0036】同実施例のように、細かくPSDを分割せずに幅の広いPSDを用いて測距を行うと、図6(b)に示されるように、PSD24に有害光スポットが入射される。すると、あたかも正しいスポット31が入射した場合と同様の測距結果が生じてしまう。このような問題は、図7(a)に示されるようなシーンで顕著になる。
【0037】図7(a)に於いて、人物15にスポット31aが正しく投射されていても、その周辺に存在する有害光32aが、背景のガラスから戻ってきて、図7(b)に示されるように、PSD24上でクロストークを起こす。すなわち、スポット31aの位置が人物15の正しい距離を示しても、有害光32aのうち、ガラスに反射した部分34が、PSD24上の人物とは無関係の距離に対応する部分に入射するので、結局、正しい人物の測距結果を得ることができない。
【0038】一方、背景のガラスの距離を正しく判定することができるかどうかということについて、今度はスポット31bの周囲に広がる有害光32bの一部35が人物15にかかり、これもクロストークにより誤測距となる。そこで、PSD24を、図6(c)に示されるように分割し、LED30の投光位置に従って切換えるようにする。すると、有害光32は選択されたPSD24cには入射しないので、クロストークによる影響を防止することができる。
【0039】このように、同実施例によれば、マルチAF時のクロストークによる精度劣化を防止することができる。次に、図8を参照して、測距ポイントのばらつき防止について説明する。
【0040】図3のスイッチ22の精度や、モータ19の停止精度によっては、投光スポットのファインダ28内での位置はばらつき、図8(a)に示されるようにピッチpが不均一となる。これは、投光素子が可動であるためであり、固定の受光素子側を等しいピッチで分割し、切換えて用いれば、図8(b)に示されるように、多少の投光のピッチのばらつきがあっても均一なピッチにての測距結果が可能となる。
【0041】この工夫は、例えば画面14の中央部に設けられたスポット測距用のターゲット14aを用いる場合にも効果的である。こうした工夫がなければ、撮影者が如何に被写体をターゲット内に於いて撮影しようとしても、クロストーク等の影響もあって、異なったものにピントが合ってしまう可能性があった。
【0042】次に、この発明の第3の実施例について説明する。図9は、この発明の第3の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、この第3の実施例は、IRED16及びその走査機構は、図3の第2の実施例と同様である。しかしながら、PSD24a〜24fの列は、図3とは異なり、PSD24aと24d、PSD24bと24e、PSD24cと24fとが、それぞれ共通の処理回路に接続されており、単純化が図られた構成となっている。
【0043】この処理回路は、以下のように構成されている。すなわち、PSD24aと24d、PSD24bと24e、PSD24cと24fは、それぞれプリアンプ36a及び37a、36b及び37b、36c及び37cに接続されている。そして、これらプリアンプ36a及び37a、36b及び37b、36c及び37cは、圧縮ダイオード38及び39を介してバッファ40及び41、更に定電流源42と共に差動演算回路を構成しているNPNトランジスタ42及び44に接続されている。
【0044】プリアンプ36a、37aは、PSD24a、24dの出力電流を低入力インピーダンスで吸取り増幅するアンプであり、増幅した出力電流i1 、i2 を圧縮ダイオード38、39に流し込む。各圧縮ダイオード38、39の出力電圧は、バッファ40、41を介して対のトランジスタ43、44のベースに供給される。上記トランジスタ43、44は、そのエミッタがIp の電流を流す定電流源42に接続されている。また、トランジスタ43のコレクタと電源Vccの間には、積分コンデンサ45が接続されている。
【0045】これらトランジスタ43、44と圧縮ダイオード38、39の特性はそろえられており、積分コンデンサジ45に流れる電流IINT は、(1)式のように表すことができる。
【0046】
【数1】
【0047】一方、このi1 /(i1 +i2 )は、PSD上の信号光入射位置に比例するので、上記(1)式は被写体距離Lを用いて(2)式のように表すことができる。
【0048】
【数2】
ここで、Sは基線長、fJ は受光レンズの焦点距離を表している。
【0049】したがって、IRED16の発光に先立って積分コンデンサ45の両端電圧を、スイッチ46で初期化した後、このスイッチ46をオフしてIRED16の発光に同期して定電流源42を所定時間オンすれば、積分コンデンサ45には、被写体距離Lに比例した電圧が生じる。
【0050】そして、CPU7は、この電圧信号を、内蔵のA/D変換器でA/D変換して読込み、上記(2)式に従って距離Lを演算する。次に、このような構成の測距装置の測距シーケンスを、図10のタイムチャートを参照して説明する。
【0051】IRED16の位置は、図9に示されるように、モータ19と送りねじ20によって走査されていくが、可動部材17がその位置を変える都度、IRED16がIREDドライバ10によって駆動され、同期して図10に示されるt0 の時間だけ積分動作が行われる。積分動作が終了すると、上述したように、CPU7による積分結果の読込みがなされる。また、IRED16の発光に先立ってスイッチ46がオン→オフを繰返し、積分コンデンサ45を初期化していく。
【0052】このような動作を繰返しながら、IRED16はa、b、c、d、e、fの各ポイントの測距を行うが、その都度プリアンプの切換えがなされる。上述したように、プリアンプ36a、37aは、PSD24a、24dの両端の電極を共通に接続しているので、a、dのポイントの測距時に信号を増幅するように選択される。また、プリアンプ36b、37bは、PSD24b、24eの両端の電極を共通に接続しているので、b、eのポイントの測距に際して選択され、そして、プリアンプ36c、37cは、PSD24c、24fの両端の電極を共通に接続しているので、c、fのポイントの測距に際して選択される。
【0053】更に、非選択時は、PSDの受光面に入射した信号光電流を抜取り、尚且つ次段に伝えないようにするために、各プリアンプは図11に示されるように構成されている。
【0054】図11に於いて、オペアンプ47は、PSDの出力と増幅用トランジスタ48のベースを負側入力に、基準電圧Vref を正側入力にそれぞれ接続している。また、オペアンプ47の出力は、バッファ49を介して上記トランジスタ48を制御するべくエミッタに接続されている。また、バッファ49の入力端とトランジスタ48のベースの間にはバッファ50が接続されており、上記バッファ49の出力端にはスイッチ51が接続されている。尚、52はインバ―タである。
【0055】これにより、スイッチ51のオフ時は、PSDからの出力電流は、トランジスタ48によりhfe倍され、i1 に電流増幅される。これが、上述した測距時に選択された状態である。一方、スイッチ51がオンすると、トランジスタ48のエミッタ端子がプルアップされるため、プリアンプに電流増幅機能はなくなる。しかしながら、スイッチ51のオン時に、選択信号によってバッファ50がオンするので、PSDの出力電流は低入力インピーダンスで引抜かれる。
【0056】この機能を用いてPSD上に発生した光電流は、プリアンプ非選択時もプリアンプに吸取られ、PSD上で他の受光面の出力とクロストークを起こすことがないように構成されている。
【0057】ここで、PSD24cを例にとって説明する。図6(c)で説明した、主たる測距用光スポット31がPSD24cに入射している状態では、図6(a)に示された有害光成分32がPSD24cに隣接するPSD24bまたは24dに入射している可能性がある。しかしながら、PSD24bはプリアンプ36b、37bに接続され、一方PSD24dはプリアンプ36a、37aに接続されている。それ故、これらのPSDに入射した各々の有害光による光電流は、図9で説明したように、各プリアンプに増幅されることなく吸取られる。したがって、有害光と主たる信号光スポットは、PSD上でクロストークを起こすことなく、選択されたプリアンプ36c、37cによって信号光電流のみが増幅されて圧縮され、演算結果が積分コンデンサ45によって積分される。このとき、同時にPSD24fがイネーブル状態になっているが、PSD24と24fは、その間に2つのPSDを挟んでいるので、ここにまで有害光が入射することはない。
【0058】このように、第3の実施例によれば、図3の第2の実施例のように、6つの処理回路を有することなく、3対のプリアンプによる構成で同等の効果を得ることができる。
【0059】このように、同実施例では、より単純な構成で、クロストークに強い、高精度の多点AFのカメラの測距装置を得ることが可能となる。次に、この発明の第4の実施例について説明する。
【0060】図12は、この発明の第4の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図であり、図3及び図9の測距装置とは異なり、走査機構を廃した構成となっている。図12に於いて、投光レンズ3の後方に配置された3つのIRED53a、53b、53cは、それぞれドライバ54a、54b、54cを介してCPU7により駆動制御される。上記IRED53a、53b、53cは、例えば正方形状の中央部のIRED53bを挟んで、横方向に延出した長方形状のIRED53a及び53cを配置した構成となっている。
【0061】一方、受光側は、受光レンズ4の後方に、3つ以上、この場合7つのPSD55a〜55gのうちの幾つかの素子を共通接続して配置している。そして、これらPSD55a〜55gの出力は、処理回路56a、56b、56cを介してCPU7に供給される。このCPU7は、上記ドライバ54a〜54c、処理回路56a〜56cとピント合わせ部8を制御している。
【0062】このように、3つのドライバ及び3つの処理回路を有した構成は、図18の従来例と同様であるが、図13(b)に示されるように、各ドライバと各処理回路の選択の仕方を変えることにより、測距ポイントを変更可能なようにしている。この原理については、既に図1の説明で述べている。これにより、第4の実施例では、図13(a)及び(b)に示されるように、57a〜57gの合計7ポイントの測距が可能となっている。
【0063】ここで、IRED53bと53dを更に分割すれば、最高で9ポイントまで測距可能である。ここでは、IREDの光量を考慮したうえで、8割以上の被写体が存在すると考えられる中央部のIREDは、分割せずに光量を重視して精度を向上させるようにしている。
【0064】画面中央部測距用のIRED53bの選択時、処理回路56aの選択により、PSD55d以外にPSD55a、55gもイネーブル状態となっている。しかしながら、受光レンズ4の光軸から離れた位置にPSD55a、55gが配置されているため、これらのPSDに入射する光の量は少なくなるので(cos4乗則)、重要な画面中央部の測距に際しての悪影響は、他のPSDが接続されているときよりは少ないと考えられる。
【0065】次に、この発明の第5の実施例について説明する。図14は、図12の第4の実施例に於ける中央重視の考え方を更に進めたもので、第5の実施例の構成を示すブロック図である。すなわち、中央測距用のIRED53b及び投光レンズ3aと、周辺部測距用の細長い形状のIRED53a、53c及び投光レンズ3bとは、完全に別の投光系となっている。その他の構成は、図12の測距装置と同様である。尚、第5の実施例による画面14上の測距ポイントは、図15に示されるようになる。
【0066】このように構成することにより、主要被写体の存在確率の高い画面中央部の測距は、鋭いスポットで確実な測距が可能となる。一般に、測距用の投光スポットは、小さいほうが正確な測距を行う場合に有利であるが、同実施例のように幅の広い測距用光を投射したい場合は、よりスポットの広がる測距系が好ましい。中央部のスポットを小さくし、且つ周辺部のスポットを、より広い範囲を測距するために広がるようにしたい場合は、投光レンズを同実施例のように別の投光系とする方が設計上便利である。
【0067】図16(a)は、一般的な測距装置の投光レンズ系を示したものである。同図に於いて、fT1は投光レンズ3aの焦点距離であり、IRED53bの発光径をd1 とすると、距離Lに於ける投光スポット径d2 は、(3)式のように考えることができる。
【0068】
【数3】
投光スポット径は、なるべく小さいほうが良いので、d1 は小さく、fT1はなるべく長いほうが好ましいことがわかる。
【0069】しかしながら、むやみにfT1を長くすると、レンズのFナンバ(FNo)が大きくなり、投光光量が減少してしまう。そのため、同時に投光レンズ径も大きくする必要があり、結果として装置の大型化を招きやすいものであった。
【0070】図16(b)は、第5の実施例による、幅の広い投光パターンを形成するための投光レンズ径を示したものである。この投光パターンは、なるべく画面内の広い範囲に広げたいものであるから、(4)式から投光レンズ3bの焦点距離fT2は、なるべく小さくしてIREDの発光部の長さW2 をなるべく大きくしたいことがわかる。
【0071】
【数4】
W2 は、あまり大きくすると、素子が大型化してコストアップにつながってしまう。そのため、fT2は小さめにする方が好ましく、図16(a)に示される場合とは正反対であることがわかる。このfT2を小さくすれば、レンズ径が小さくてもFNoを小さくすることができ、信号光量の点でも有利になることがわかる。例えば、θを6°付近にとると、(5)式のようになる。
【0072】
【数5】
ここで、W2 =0.6mmとすると、fT2=6mmとなる。
【0073】一方、投光パターンの縦方向は、3mで10cm位におさえるとすると、上記(3)式を利用して、d1 =(6/3000)・100=600/3000=0.2mmとすればよいことがわかる。
【0074】したがって、図14の投光レンズ3aが、従来の測距装置と同様にfT1=16mm,φ=12mm程度の大きさが必要であるのに対して、投光レンズ3bはfT2=φ=6mmで設計することにより、より明るいFNoで幅の広い投光が可能となることがわかる。この幅広の投光は、1度の投光で3箇所分の光を出力するので、1個のPSD当たりの光のエネルギーは少なくなるものの、主要被写体の8割以上は画面中央部に存在して、その他の被写体はそれ程遠い距離に存在しないと考えれば、同実施例に示されたような測距装置は十分に多点AFの効果を得ることができる。
【0075】図17は、この発明の第6の実施例に係るカメラの測距装置の投受光系を示した図である。上述した第1乃至第5の実施例では、投受光レンズ3、4は、カメラの縦方向に並設していたが、この第6の実施例は両方のレンズをカメラの横方向に並設したものである。図17(a)に於いて、投光レンズ3の後方に、斜め方向に延出されたIRED58が配置されている。そして、受光レンズ4の後方には、例えば階段状に3つに配列されたPSD列59が設けられている。
【0076】上記IRED58から発せられて図示されない被写体より反射される反射信号光は、同一距離の被写体からは、図17(b)に示されるように、PSD59a、59b、59cに入射される。そして、その受光面と重なる部分が測距ポイントとなるため、ファインダ60の中で各測距ポイントを想定すると、図17(c)に示されるようになる。尚、ここでは、ドライバ、処理回路等の説明は省略したが、これらの構成は図1に準ずるものとする。このように、第6の実施例によれば、投受光レンズの配置が縦配置に制限されることなく、カメラのレイアウトに自由度を得ることができる。
【0077】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、部品が増加等による装置の大型化を招くことなく、処理が難しくなく複雑な回路を必要とせずに、コストアップさせることなく画面内の多くのポイントを測距可能なカメラの測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の第1の実施例に係るカメラの測距装置の概念を示すブロック構成図、(b)は同図(a)のIREDから被写体に投光された投光パターンを示した図である。
【図2】画面の中央部のポイントに主要被写体が存在しないシーンの例を示した図である。
【図3】(a)はこの発明の第2の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図、(b)は同図(a)のIREDから被写体に投光された投光パターンを示した図である。
【図4】第2の実施例のカメラの測距装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示された構成の測距装置を搭載したカメラの外観図である。
【図6】投光スポットと有害光スポットとの関係を説明する図である。
【図7】投光スポットと有害光スポットとの関係を説明する図である。
【図8】測距ポイントのばらつき防止について説明する図である。
【図9】この発明の第3の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施例のカメラの測距装置の測距シーケンスを説明するタイムチャートである。
【図11】図10の各プリアンプの構成を示す回路図である。
【図12】この発明の第4の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図13】(a)は第4の実施例による画面14上の測距ポイントを示した図、(b)は図12の各ドライバ及び各処理回路と測距ポイントとの関係を表した図である。
【図14】この発明の第5の実施例に係るカメラの測距装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第5の実施例による画面14上の測距ポイントを示した図である。
【図16】(a)は一般的な測距装置の投光レンズ系を示した図、(b)は第5の実施例による、幅の広い投光パターンを形成するための投光レンズ径を示した図である。
【図17】この発明の第6の実施例に係るカメラの測距装置の投受光系を示した図である。
【図18】従来のカメラの測距装置の構成例を示したブロック図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、9、16…赤外発光ダイオード(IRED)、2a、2b、2c、10…IREDドライバ、3…投光レンズ、4…受光レンズ、5a、5b、5c、11a、11b、11c、24a、24b、24c、24d、24e、24f…光位置検出素子(PSD)、6a、6b、6c、25a、25b、25c、25d、25e、25f…処理回路、7…CPU、8…ピント合わせ部、17…可動部材、18…モータ(M)ドライバ、19…モータ、20…送りねじ、21…ガイドレール、22a、22b…接片、22…スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能なカメラの測距装置に於いて、上記複数領域に同時に測距用光を投光する投光手段と、上記複数領域毎に分割配置され、上記測距用光の上記複数領域からの反射光を受光する複数の受光素子と、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択を行うスイッチ手段と、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離を演算する演算手段と、を具備し、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射することを特徴とするカメラの測距装置。
【請求項1】 画面内の中央部及び周辺部を含む複数領域について測距可能なカメラの測距装置に於いて、上記複数領域に同時に測距用光を投光する投光手段と、上記複数領域毎に分割配置され、上記測距用光の上記複数領域からの反射光を受光する複数の受光素子と、上記測距用光の投光に同期して、順番に上記各領域の受光素子の選択及び非選択を行うスイッチ手段と、上記各受光素子出力に基いて、上記複数領域の距離を演算する演算手段と、を具備し、上記投光手段は、上記複数の受光素子よりも少ない投光素子で構成されており、上記中央部以外の周辺部については、複数の領域を含むように基線長方向に延出した形状の測距用光を投射することを特徴とするカメラの測距装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図15】
【図16】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図15】
【図16】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【特許番号】特許第3450379号(P3450379)
【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【発行日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−197306
【出願日】平成5年8月9日(1993.8.9)
【公開番号】特開平7−55461
【公開日】平成7年3月3日(1995.3.3)
【審査請求日】平成12年7月26日(2000.7.26)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 平2−272526(JP,A)
【文献】特開 平4−365272(JP,A)
【文献】特開 昭62−14015(JP,A)
【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【発行日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成5年8月9日(1993.8.9)
【公開番号】特開平7−55461
【公開日】平成7年3月3日(1995.3.3)
【審査請求日】平成12年7月26日(2000.7.26)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 平2−272526(JP,A)
【文献】特開 平4−365272(JP,A)
【文献】特開 昭62−14015(JP,A)
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