説明

カメラの電子ビュ−ファィンダ

【目的】 被写界光の色温度を問わず、フルダイナミックレンジでLCD板を表示駆動させると共に、設定した色温度に対応させたバック照明により画像表示させて、カメラに記録される映像情報と同じ色温度の画像や任意に設定した色温度の画像を一定の階調で表示させることができるカメラ用電子ビュ−ファィンダの開発を目的とする。
【構成】 CCD素子35が出力する映像情報PSを透明画像として表示する画像表示板21と、この表示板21の後方より照明する照明装置23とを備える。照明装置23の照明光の色温度を被写界光の色温度に、またはマニアル設定された色温度に設定する色温度設定手段を備え、また、画像表示板21を被写界光の色温度にかかわらずフルダイナミックレンジで駆動させる画像表示駆動手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビデオカメラ、電子スチルカメラなどのカメラに利用するところの電子ビュ−ファィンダに関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオカメラや電子スチルカメラには、撮影する被写体を観察するため、電子ビュ−ファィンダを備えたものが多い。
【0003】図4はこの電子ビュ−ファィンダの原理構成図を示し、11は映像情報を透明画像として表示する液晶表示板(以下、LCD板という)、12はLCD板11の後方に配置された冷陰極蛍光灯等の光源(照明装置)、13は反射鏡、14は接眼レンズである。
【0004】LCD板11には、撮像素子であるCCD素子が出力する被写体の映像情報を入力させて画像表示させる。そして、LCD板11の画像表示が、バックライトとなっている光源12の光により照明され、接眼レンズ14より観察できる構成となっている。
【0005】このような電子ビュ−ファィンダは、撮影範囲やピント状態などの観察の他に、一旦カメラに記録した映像情報の再生画像を観察できるように構成されたものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した電子ビュ−ファィンダは、光源12が常に一定の条件で点灯される関係で、その光の色温度も常に一定となる。なお、通常は光源12として昼光色のものが用いられている。
【0007】このため、一定の色温度のバック照明によってLCD板11の画像を観察することになり、色温度の低い被写界光(自然光、人工光)の情景撮影の場合には、その情景画像を充分に表示させることができないという問題がある。
【0008】これは、LCD板11の表示がCRTディスプレイなどに比べてダイナミックレンジが狭いことに原因する。具体的には、被写界光のホワイトバランスが正常な場合(色温度が比較的に高いとき)は、LCD板11のB(青色)、G(緑色)、R(赤色)の要素が、例えば、64階調で表示するが、ホワイトバランスが正常でない場合(色温度が低いとき)には、例えば、B要素の表示が32階調で表示するようになり、階調の乏しい画像表示となる。
【0009】本発明は上記した実情にかんがみ、被写界光の色温度を問わず、フルダイナミックレンジでLCD板を表示駆動させると共に、被写界光の色温度に対応させたバック照明により画像表示させるようにして、カメラに記録される画像情報と同じ色温度の画像を観察できるようにし、また、一定の階調の画像表示を可能とした電子ビュ−ファィンダを開発することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するため、本発明では第1の発明として、撮像素子が出力する映像情報を透明画像として表示する画像表示板と、この表示板の後方より照明する照明装置とを備えるカメラの電子ビュ−ファィンダにおいて、照明装置の照明光の色温度を設定する色温度設定手段を備えたことを特徴とする電子ビュ−ファィンダを提案する。
【0011】第2の発明は、第1の発明に対して、画像表示板を液晶表示板で構成すると共に、この液晶表示板を被写界光の色温度にかかわらずフルダイナミックレンジで駆動させる画像表示駆動手段を備えたことを特徴とする電子ビュ−ファィンダを提案する。
【0012】
【作用】第1の発明の電子ビュ−ファィンダは、照明装置が設定された色温度の光で照明するため、画像表示板の画像が被写界光の色温度、或いはその他の色温度で表示する。この結果、撮影者が任意に設定した色温度のファィンダの画像表示によって撮影像を観察することができる。
【0013】第2の発明の電子ビュ−ファィンダは、液晶表示板がフルダイナミックレンジで画像表示する。このため、被写界光の色温度の高い低いに関係なく、一定の階調で画像表示する。
【0014】
【実施例】次に、本発明の一実施例について図面に沿って説明する。図1は電子ビュ−ファィンダの構成図で、21はカラ−のLCD板、22はLCD板21の背後に設けた拡散板、23は拡散板22を通してLCD板21を照明する光源(照明装置)、24は接眼レンズである。
【0015】光源23は、B(青色)、G(緑色)、R(赤色)の各色光で発光する多数の発光ダイオ−ド(LED)25B、25G、25R・・・・・・を色別に均等配分してプリント配線基板26に設けた構成としてある。このように構成した光源23は、各色光が拡散板22で混合されてLCD板21を照明する。
【0016】光源23については、図2に示した如く、B、G、Rの各色光を発光するチップ状のLED27B、27G、27R・・・・をプリント配線基板28に配設する構成としてもよい。
【0017】図3は上記した電子ビュ−ファィンダの回路例を示すブロック図である。この図において、29はLED25B、25G、25R・・・・を発光させるための電源回路、30はLED25B、25G、25R・・・・の電流配分を決め、LCD板21の照明光の色温度を調整する色温度調整回路である。
【0018】また、31はホワイトバランス用のセンサで、このセンサ31は、被写界光を直接受光して色温度を測定する入射光式とするか、或いは、被写体からの反射光を受光して色温度を測定する反射光式の構成とすることができる。
【0019】センサ31が出力するセンサ信号WSは、増幅器32で増幅して画像表示駆動回路33に送られる他、切換スイッチSW1(端子b)を介して色温度調整回路30に、切換スイッチSW2(端子a)を介して映像情報処理回路34に各々送られる。
【0020】35は撮像素子として設けたCCD素子で、これは被写体光を受光して映像情報PSを出力する。この映像情報PSは増幅器36で増幅してから映像情報処理回路34と映像表示駆動回路33とに送られる。
【0021】映像情報処理回路34は、映像情報PSを処理して映像記録信号MSを出力し、この信号MSを所定の記録媒体(例えば、ビデオテ−プ、磁気ディスク)などに記録させるように送り出す。
【0022】画像表示駆動回路33は、入力した映像情報PSをセンサ信号WSに対応して補正処理し、その補正処理信号を駆動信号ASとして出力する。つまり、センサ信号WSで補正された駆動信号ASによって、LCD板21が被写界光の色温度にかかわらず常にフルダイナミックレンジで画像表示する構成となっている。
【0023】37は標準の色温度信号RSを発生する標準色温度回路で、この色温度信号RSを切換スイッチSW1(端子a)を介して色温度調整回路30に、切換スイッチSW2(端子b)を介して画像情報処理回路34に各々送るようになっている。
【0024】その他、38は色温度を手動設定するマニアル色温度設定回路で、その温度信号MTSは、切換スイッチSW1(端子c)を介して色温度調整回路30に、切換スイッチSW2(端子c)を介して映像情報処理回路34に送られる。
【0025】上記した電子ビュ−ファィンダ回路は、切換スイッチSW1、SW2を図示実線のように端子aに投入すると標準モ−ドで動作する。この場合、ホワイトバランスに関するセンサ信号WSが映像情報処理回路34に入力するから、映像情報PSが被写界光の色温度によって調整され、標準的な色温度に変換された映像記録信号MSが出力される。
【0026】また、標準の色温度信号RSが色温度調整回路30に入力し、この調整回路30が標準の色温度の照明光となるようにLED25B、25G、25R・・・・・を発光させる。
【0027】したがって、LCD板21が駆動信号ASを入力しフルダイナミックレンジで画像表示するから、接眼レンズ24を覗くことによってこの画像表示が標準の色温度で観察することができる。
【0028】切換スイッチSW1、SW2を図示点線のように端子bに投入すると実測モ−ドで動作する。この場合は、映像情報処理回路34が標準の色温度信号RSを入力するから、被写界光の色温度が低いときは、映像情報PSが被写界光の色温度のまま映像記録信号MSとして出力される。
【0029】また、このときは、センサ信号WSが色温度調整回路30に入力するので、この調整回路30が被写界光の色温度に応じてLED25B、25G、25R・・・・・を発光させるように動作する。
【0030】つまり、光源23の照明光が被写界光の色温度と同様の色温度となり、LCD板21がその色温度で画像表示する。この場合、被写界光の色温度が低いときでも、LCD板21がフルダイナミックレンジで画像表示するため、B、G、Rの各要素が共にフルレンジの動作をする。この結果、接眼レンズ24を覗くことにより、記録媒体に記録される画像と同じ色温度の画像が一定の階調の画像として観察することができる。
【0031】切換スイッチSW1、SW2を端子cに投入するとマニアルモ−ドで動作する。この場合、マニアル色温度の出力信号MTSが色温度調整回路30に入力し、この調整回路30が設定された色温度にしたがって光源23の照明光の色温度を決める。また、出力信号MTSが映像情報処理回路34に入力するので、設定された色温度によって処理された映像記録信号MSが出力される。
【0032】なお、マニアル動作モ−ドでは、切換スイッチSW1のみを端子cに投入し、切換スイッチSW2は端子aまたは端子bに投入させるようにしてもよい。上記のようにマニアル動作モ−ドとすれば、撮影者の好む色温度でファィンダの画像表示ができる。
【0033】以上、本発明の一実施例について説明したが、LCD板21はホトクロミック表示板などに置き換えることができる。また、光源23は色温度を変えることができる照明光源であれば、LEDに限らず蛍光灯などを使用して構成してもよく、また、センサ31のセンサ信号WSはCCD素子35の映像情報PSを電気処理して出力させるようにすることができる。
【0034】
【発明の効果】上記した通り、本発明に係る電子ビュ−ファィンダは、映像情報を透明画像として表示する画像表示板が自動、手動的に設定された色温度の光によって照明され、また、画像表示板がフルダイナミックレンジで画像表示するので、カメラに記録される画像情報と同じ色温度の画像や手動設定した色温度の画像がファィンダによって観察でき、また、被写界光のホワイトバランスが正常でない場合でも、一定の階調の画像がファィンダによって観察できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示した電子ビュ−ファィンダの構成図である。
【図2】上記した電子ビュ−ファィンダに備えた光源の他の実施例を示した部分的な斜視図である。
【図3】上記した電子ビュ−ファィンダの回路例を示したブロック図である。
【図4】従来例として示した電子ビュ−ファィンダの原理構成図である。
【符号の説明】
21 LCD板
22 拡散板
23 光源
24 接眼レンズ
25B、25G、25R LED
29 電源回路
30 色温度調整回路
31 センサ
33 画像表示駆動回路
34 映像情報処理回路
35 CCD素子
37 標準色温度回路
38 マニアル色温度設定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像素子が出力する映像情報を透明画像として表示する画像表示板と、この表示板の後方より照明する照明装置とを備えるカメラの電子ビュ−ファィンダにおいて、照明装置の照明光の色温度を設定する色温度設定手段を備えたことを特徴とする電子ビュ−ファィンダ。
【請求項2】 画像表示板を液晶表示板で構成すると共に、この液晶表示板を被写界光の色温度にかかわらずフルダイナミックレンジで駆動させる画像表示駆動手段を備えたことを特徴とする請求項(1)記載の電子ビュ−ファィンダ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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