説明

カメラ装置及びその取り付け構造

【課題】透光部材により仕切られた一方の空間から他方の空間に横切るように配線する必要がなく、前記透光部材を介した撮影により得られる映像が当該透光部材の汚れによって見難くなってしまうことを防止することのできる「カメラ装置」及びその「カメラ装置の取付け構造」を提供することである。
【解決手段】レンズ31〜34及び撮像素子21を有し、レンズ31〜34を介して撮像素子21面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置50であって、レンズ31〜34を含むレンズユニット30と、撮像素子21を含む素子ユニット20とが別体であり、レンズユニット30と素子ユニット20とが、透光部材81に、その透光部材81を挟んで、レンズユニット30のレンズ31〜34及び透光部材81を介して素子ユニット20の撮像素子21面に像が形成されるように、取付け固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置及びその取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1記載の車両用視認装置が知られている。この車両用視認装置では、テレビカメラ(カメラ装置)が車室内においてリアウィンドウに対向するように設けられ、プリズムを用いて車両後方下部を前記テレビカメラがリアウィンドウを介して撮影することができるようになっている。そして、テレビカメラから延びる電源線や画像信号線が車室内の電源やテレビモニタ装置に接続されており、電源供給を受けるテレビカメラの撮影により得られる車両後方下部の映像がテレビモニタ装置に映し出される。このような車両視認装置によれば、運転者は、通常視認できない車両後方下部をテレビモニタ装置に映し出される映像によって視認することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−30326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の車両用視認装置に用いられるテレビカメラ(カメラ装置)は、車室内に設けられるので、電源線や画像信号線等のケーブルを車外から車室内に引き入れる必要がなく、その配線を容易に行うことができる。しかしながら、前記テレビカメラは、車室内側からリアウィンドウを通して車両後方下部を撮影する構造となっているため、リアウィンドウの車室内側の面(内側面)が、車室内と外気との温度差等により曇ってしまったり、汚れてしまったりすると、テレビモニタ装置に映し出される車両後方下部の映像が見難いものとなってしまう。このように、カメラ装置が車両のリアウィンドウ等のような透光部材の一方側からその透光部材を通して撮影する場合、当該透光部材が曇ったり、汚れたりすると、得られる映像が見難いものとなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、透光部材により仕切られた一方の空間から他方の空間に横切るように配線する必要がなく、前記透光部材を介した撮影により得られる映像が当該透光部材の汚れによって見難くなってしまうことを防止することのできるカメラ装置及びそのカメラ装置の取付け構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカメラ装置は、一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置であって、前記一または複数のレンズを含むレンズユニットと、前記撮像素子を含む素子ユニットとが別体であり、前記レンズユニットと前記素子ユニットとが、透光部材に、当該透光部材を挟んで、前記レンズユニットの前記一または複数のレンズ及び前記透光部材を介して前記素子ユニットの前記撮像素子面に像が形成されるように、取付け固定される構造となる。
【0007】
また、本発明に係るカメラ装置の取付け構造は、一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置の取付け構造であって、前記一または複数のレンズを含むレンズユニットが透光部材の一方の面に第1取付け部材によって取付け固定され、前記撮像素子を含み、前記レンズユニットと別体となる素子ユニットが、前記透光部材の他方の面に、前記レンズユニットと対向して、前記レンズユニットの前記一または複数のレンズ及び前記透光部材を介して前記素子ユニットの前記撮像素子面に像が形成されるように、第2取付け部材によって取付け固定される構成となる。
【0008】
これらの構成により、別体となるレンズユニットと素子ユニットとが、透光部材を挟んで、前記レンズユニットの一または複数のレンズ及び前記透光部材を介して前記素子ユニットの撮像素子に像が形成されるように、前記透光部材に取付け固定されるようになるので、素子ユニットの撮像素子から出力される信号のための配線を透光部材にて仕切られる一方の空間から他方の空間に横切ることなく、当該素子ユニット側の空間だけで引き回すことができる。また、透光部材のレンズユニットと素子ユニットとによって挟まれる僅かな部分は汚れ難いので、レンズユニットの一または複数のレンズ及び透光部材を介して素子ユニットの撮像素子に形成される像が透光部材の汚れの影響を受け難いものとなり得る。
【0009】
本発明に係るカメラ装置の取付け構造において、前記第1取付け部材は、接着によって前記レンズユニットを前記透光部材の前記一方の面に取付け固定する第1接着部材を有する構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、第1接着部材が接着によってレンズユニットを透光部材の一方の面に取付け固定するので、比較的容易にレンズユニットを透光部材の一方の面に取付け固定させることができる。
【0011】
また、本発明に係るカメラ装置の取付け構造において、前記レンズユニットは、第1シール部材を介して前記第1取付け部材により前記透光部材の前記一方の面に取付け固定される構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、レンズユニットが、第1シール部材を介して第1取付け部材によって透光部材の一方の面に取付け固定されるので、レンズユニットを透光部材の一方の面に隙間なく取付け固定することができる。
【0013】
更に、本発明に係るカメラ装置の取付け構造において、前記第2取付け部材は、接着によって前記素子ユニットを前記透光部材の前記他方の面に取付け固定する第2接着部材を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、第2接着部材が接着によって素子ユニットを透光部材の他方の面に取付け固定するので、比較的容易に素子ユニットを透光部材の他方の面に取付け固定させることができる。
【0015】
また、本発明に係るカメラ装置の取付け構造において、前記素子ユニットは、第2シール部材を介して前記第2取付け部材により前記透光部材の前記他方の面に取付け固定される構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、素子ユニットが、第2シール部材を介して第2取付け部材によって透光部材の他方の面に取付け固定されるので、素子ユニットを透光部材の他方の面に隙間なく取付け固定することができる。
【0017】
更に、本発明に係るカメラ装置の取付け構造において、前記透光部材は、車両のガラス窓である構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、車両のガラス窓の車室外側の面にレンズユニットを取付け固定し、該レンズユニットと別体となる素子ユニットを当該ガラス窓の車室内側の面に取付け固定することができるので、素子ユニットの撮像素子から出力される信号のための配線を車室の外側と内側を横切ることなく、車室内だけで引き回すことができる。また、車両のガラス窓のレンズユニットと素子ユニットとによって挟まれる僅かな部分は汚れ難いので、レンズユニットの一または複数のレンズ及び当該ガラス窓を介して素子ユニットの撮像素子に形成される像がガラス窓の汚れの影響を受け難いものとなり得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るカメラ装置及びカメラ装置の取り付け構造によれば、素子ユニットの撮像素子から出力される信号のための配線を透光部材にて仕切られる一方の空間から他方の空間に横切ることなく、当該素子ユニット側の空間だけで引き回すことができ、また、レンズユニットの一または複数のレンズ及び透光部材を介して素子ユニットの撮像素子に形成される像が透光部材の汚れの影響を受け難いものとなり得るので、透光部材により仕切られた一方の空間から他方の空間に横切るように配線する必要がなく、透光部材を介した撮影により得られる映像が当該透光部材の汚れによって見難くなってしまうことを防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態に係るカメラ装置と該カメラ装置が接続される車載機器とを示すブロック図である。
【図2】図1に示すカメラ装置における素子ユニットの基本回路構成を示すブロック図である。
【図3A】図1に示すカメラ装置のレンズユニットの構造を示す断面図である。
【図3B】図1に示すカメラ装置の素子ユニットの構造を示す断面図である。
【図4】車両のリアウィンドウへのカメラ装置の取付け例を示す図である。
【図5】カメラ装置の取付け構造の第1の例を示す断面図である。
【図6】カメラ装置の取付け構造の第2の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の一形態に係るカメラ装置及びカメラ装置が接続される車載機器は、図1に示すように構成される。
【0023】
図1において、カメラ装置50と車載機器100とが信号ケーブル19によって接続されている。車載機器100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有しており、CDやDVD等のディスク媒体から音楽や映像を再生するAVユニット及び車両ナビゲーション処理を行うナビゲーションユニット18が接続されている。更に、処理ユニット11には、AVユニット17にて利用される情報、ナビゲーションユニット18にて利用される情報(地図情報、施設情報等)、及び各種情報を記憶するための記憶部14(例えば、ハードディスク)、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等からなる操作部12、及び車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0024】
カメラ装置50は、後述するように別体となる素子ユニット20とレンズユニット30とによって構成され、素子ユニット20から延びる信号ケーブル19が、車載機器100の処理ユニット11に接続されている。処理ユニット11は、信号ケーブル19を介してカメラ装置50の素子ユニット20からの映像信号を入力し、該映像信号に基づいて表示部13にカメラ装置50による撮影画像を表示させる。
【0025】
カメラ装置50における素子ユニット20の基本的な回路構成は、図2に示すようになっている。素子ユニット20は、CMOSあるいはCCDで構成された2次元の撮像素子21、信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)22及び電源回路23を有している。電源回路23は、車室内を通る電源ライン24に接続されており、電源ライン24から1次直流電圧を入力して所定の2次直流電圧を出力する。撮像素子21は、電源回路23から出力される直流電圧が印加されることよって動作可能となり、レンズユニット30を介して撮像面に形成される像に対応した信号を出力する。DSP22は、撮像素子21と同様に電源回路23から出力される直流電圧が印加されることによって動作可能となり、撮像素子21からの信号を処理して撮像素子21の撮像面に形成される像を表すデジタルの映像信号を出力する。DSP22から出力される映像信号は、信号ケーブル19を通して車載機器100の処理ユニット11(図1参照)に供給される。
【0026】
レンズユニット30の具体的な構造は、図3Aに示すようになっている。
【0027】
図3Aにおいて、レンズユニット30は、樹脂等で形成されたケース35内に4枚のレンズ31、32、33、34で構成されるレンズ群が納められた構造となっている。それぞれの光軸が合致してケース35の中心を通るように4枚のレンズ31、32、33、34が順次配列されており、最外側でケース35から露出するレンズ31は魚眼レンズである。ケース35の最外側のレンズ31(魚眼レンズ)が露出する面と逆側の面が取付け面35aとなっている。ケース35には、取付け面35aにて開口して最内側のレンズ34が露出するように錘状の孔部35bが形成されている。
【0028】
素子ユニット20の具体的な構造は、図3Bに示すようになっている。
【0029】
図3Bにおいて、素子ユニット20は、樹脂等で形成されたケース25内に、撮像素子21と、前述したDSP22及び電源回路23(図2参照)とともに他の回路素子を含む回路基板27とが納められた構造となっている。ケース25の取付け面25aの近傍に撮像素子21が配置されるように、当該撮像素子21が支持部材26に固定支持されている。ケース25には、支持部材26によって固定支持された撮像素子21の撮像面に対向し、取付け面25aにて開口する孔部25bが形成されている。ケース25の取付け面25aと逆側の所定部位にはコネクタ28が装着されており、コネクタ28に接続されたワイヤハーネス29に含まれた信号ケーブル19及び電源ライン24が回路基板27の所定の端子(信号出力端子、電源入力端子:図示略)に接続されている。撮像素子21がDSP22及び電源回路23と電気的に接続されるように(図2参照)、撮像素子21から延びる信号線及び電源線(図示略)が回路素子27の所定端子(図示略)に接続されている。
【0030】
上述したように別体となる素子ユニット20とレンズユニット30とからなるカメラ装置50は、例えば、図4に示すように、車両80のリアウィンドウ81(ガラス窓:透光部材)にレンズユニット30を外側にして取り付けられる。次に、このカメラ装置50の具体的な取付け構造について説明する。
【0031】
カメラ装置50は、例えば、図5に示すようにリアウィンドウ81に取り付けられる(カメラ装置50の取付け構造の第1の例)。
【0032】
図5において、リアウィンドウ81の車室内側と逆側となる外側面に、両面に接着層の形成された第1両面接着シート41(第1取付け部材:第1接着部材)によりレンズユニット30が取付け固定される。具体的には、レンズユニット30のケース35の取付け面35aと略同一の平面形状であって、ケース35の孔部35bに対応する部位に孔41aの形成された第1両面接着シート41を、ケース35の取付け面35aとリアウィンドウ81の外側面との間に挟み込むことにより、ケース35(レンズユニット30)がリアウィンドウ81の外側面に接着固定される。
【0033】
また、リアウィンドウ81の車室内側となる内側面に、両面に接着層の形成された第2両面接着シート42(第2取付け部材:第2接着部材)により素子ユニット20が取付け固定される。具体的には、素子ユニット20のケース25の取付け面25aと略同一の平面形状であって、ケース25の孔部25bに対応する部位に孔42aの形成された第2両面接着シート42を、ケース25の取付け面25aとリアウィンドウ81の内側面との間に挟み込むことにより、ケース25(素子ユニット20)がリアウィンドウ81の内側面に接着固定される。レンズユニット30におけるケース35の取付け面35aの外周縁での外径寸法と、素子ユニット20におけるケース25の取付け面25aの外周縁での外径寸法とは同じに設定されている。このため、レンズユニット30のケース35の取付け面35aと素子ユニット20のケース25の取付け面25aとがずれないように、素子ユニット20のケース25を既に接着固定されたレンズユニット30のケース35に対して位置決めしつつリアウィンドウ81の内側面に上記のように接着固定することにより、レンズユニット30のレンズ群(レンズ31、32、33、34)の光軸が素子ユニット20の撮像素子21の撮像面の略中心にセットされるようになる。これにより、レンズユニット30のレンズ群及びリアウィンドウ81(透光部材)を介して当該レンズ群の視野範囲内の物体の像が素子ユニット20の撮像素子21の撮像面に形成され得る。
【0034】
なお、このようにレンズユニット30と素子ユニット20とが別体となるカメラ装置50における諸条件(焦点距離、絞り、F値、被写界深度等)は、車両80のガラス窓(リアウィンドウ81等)等の透光部材がレンズユニット30と素子ユニット20との間に挟まれることが考慮されたものとなっている。
【0035】
上述したように車両80のリアウィンドウ81に取付けられたカメラ装置50は、車両の80の後方を撮影する。その際、素子ユニット20から出力される映像信号が信号ケーブル19を介して車載機器100の処理ユニット11に供給される。処理ユニット11は、カメラ装置50から供給される映像信号に基づいて表示部13に車両80の後方の映像を表示させる。このようにして表示部13に車両80の後方の映像が映し出されるので、運転者は、通常視認し難い車両80の後方の状態を視認することができるようになる。その結果、車両80の後進運転がよりし易くなる。
【0036】
また、前述したようにしてリアウィンドウ81に取付けられるカメラ装置50及びその取付け構造によれば、リアウィンドウ81の外側面にレンズユニット30(ケース35)が第1両面接着シート41によって接着固定され、このレンズユニット30と別体となる素子ユニット20(ケース25)が、レンズユニット30及びリアウィンドウ81を介して撮像素子21の撮像面に像が形成されるように、リアウィンドウ81の内側面に第2両面接着シート42によって接着固定されるので、素子ユニット20の撮像素子21からの信号に基づいた映像信号を車載機器100(処理ユニット11)に伝送するための信号ケーブル19や素子ユニット20に電源供給を行うための電源ライン24を車室内だけで引き回すことができる。また、リアウィンドウ81のレンズユニット30と素子ユニット20とによって挟まれる僅かな部分は、車室内と車外との温度差が大きくても、外気に直接接していないので、結露し難く、また、汚れ(結露あと等)も付き難い。このように、素子ユニット20から延びる信号ケーブル19や電源ライン24を車室外から車室内に横切ることなく素子ユニット20が設けられる車室内だけで引き回すことができ、また、レンズユニット30のレンズ群(レンズ31、32、33、34)及びリアウィンドウ81を介して素子ユニット20の撮像素子21の撮像面に形成される像がリアウィンドウ81の汚れ(結露等)の影響を受け難いものとなるので、カメラ装置50のためのワイヤハーネス29の引き回しが容易になるとともに、車載機器100の表示部13に映し出される映像がリアウィンドウ81の汚れによって見難くなってしまうことを防止することができる。
【0037】
カメラ装置50は、例えば、図6に示すようにしてもリアウィンドウ81に取り付けることができる(カメラ装置50の第2の取付け構造)。なお、図6において、図5と同じ部材については同じ参照番号が付されている。この取付け構造は、シール部材が用いられる点で、前述した取付け構造(図5参照)と異なる。
【0038】
図6において、レンズユニット30のケース35の取付け面35aにシリコン等の樹脂にて形成された第1シール部材43が接着固定されている。第1シール部材43は、レンズユニット30のケース35の取付け面35aと略同一の平面形状であって、ケース35の孔部35に対応した部位に孔43aが形成されている。そして、この第1シール部材43と一体となったケース35が、前述した例(図5参照)と同様にして、第1両面接着テープ41により車両80のリアウィンドウ81の外側面に接着固定される。
【0039】
また、素子ユニット20のケース25の取付け面25aにもシリコン等の樹脂にて形成された第2シール部材44が接着固定されている。第2シール部材44は、素子ユニット20のケース25の取付け面25aと略同一の平面形状であって、ケース25の孔部25bに対応した部位に孔44aが形成されている。そして、この第2シール部材44と一体となったケース25が、前述した例(図5参照)と同様にして、第2両面接着テープ42により車両80のリアウィンドウ81の内側面に接着固定されている。
【0040】
このようなカメラ装置50及びその取付け構造によれば、前述したもの(図5参照)と同様に、素子ユニット20から延びる信号ケーブル19や電源ライン24を車室外から車室内に横切ることなく素子ユニット20が設けられる車室内だけで引き回すことができ、また、レンズユニット30のレンズ群(レンズ31、32、33、34)及びリアウィンドウ81を介して素子ユニットの撮像素子21の撮像面に形成される像がリアウィンドウ81の汚れ(結露等)の影響を受け難いものとなるので、カメラ装置50のためのワイヤハーネス29の引き回しが容易になるとともに、車載機器100の表示部13に映し出される映像がリアウィンドウ81の汚れによって見難くなってしまうことを防止することができる。更に、レンズユニット30が第1シール部材43を介してリアウィンドウ81の外側面に取付け固定されるとともに、素子ユニット20が第2シール部材44を介してリアウィンドウ81の内側面に取付け固定されるので、それら第1シール部材43及び第2シール部材44により、レンズユニット30及び素子ユニット20をリアウィンドウ81に隙間なく取り付けることができるようになる。その結果、防滴性、耐湿性、防塵性等を向上させることができるようになる。
【0041】
なお、前述したカメラ装置50の2つの取付け構造の例(図5、図6参照)では、取付け部材として両面接着シート(第1両面接着シート41、第2両面接着シート42)を用いてレンズユニット30及び素子ユニット20をリアウィンドウ81に取り付けるものであったが、これに限定されず、他の取付け部材、例えば、吸着盤や、シート状の磁石等を利用して、レンズユニット30や素子ユニット20をリアウィンドウ81に取り付けることも可能である。
【0042】
図6に示すカメラ装置50の取付け構造(第2の例)では、レンズユニット30及び素子ユニット20の双方がシール部材(第1シール部材43、第2シール部材44)を介してリアウィンドウ81に取付けられるものであったが、いずれ一方、例えば、車室外のレンズユニット30だけがシール部材を介してリアウィンドウ81に取り付けられるようにしてもよい。
【0043】
また、カメラ装置50を車両80のリアウィンドウ81に取り付ける例(図4参照)について説明したが、車両80の他のガラス窓、更に、例えば、住宅のガラス窓等の他の透光部材にも、同様の構造にてカメラ50を取り付けることができる。
【0044】
前述したカメラ装置50の取付け構造の2つの例(図5及び図6)では、レンズユニット30及び素子ユニット20それぞれのケース35、25を直接またはシール材を介してリアウィンドウ81に接着固定するものであったが、ケース35やケース25をブラケットに固定し、そのブラケットをリアウィンドウ81に接着等によって取付け固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上、説明したように、本発明に係るカメラ装置及びその取付け構造によれば、透光部材により仕切られた一方の空間から他方の空間に横切るように配線する必要がなく、前記透光部材を介した撮影により得られる映像が当該透光部材の汚れによって見難くなってしまうことを防止することができるという効果を有し、一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置及びその取付け構造として有用である。
【符号の説明】
【0046】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 AVユニット
18 ナビゲーションユニット
19 ケーブル
20 素子ユニット
21 撮像素子
22 DSP
23 電源回路
24 電源ライン
25、35 ケース
25a、35a 取付け面
25b、35b 孔部
26 支持部材
27 回路基板
28 コネクタ
29 ワイヤハーネス
30 レンズユニット
31、32、33、34 レンズ
41 第1両面接着シート(第1取付け部材:第1接着部材)
41a 孔
42 第2両面接着シート(第2取付け部材:第2接着部材)
42a 孔
43 第1シール部材
44 第2シール部材
50 カメラ装置
80 車両
81 リアウィンドウ
100 車載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置であって、
前記一または複数のレンズを含むレンズユニットと、前記撮像素子を含む素子ユニットとが別体であり、
前記レンズユニットと前記素子ユニットとが、透光部材に、当該透光部材を挟んで、前記レンズユニットの前記一または複数のレンズ及び前記透光部材を介して前記素子ユニットの前記撮像素子面に像が形成されるように、取付け固定されるカメラ装置。
【請求項2】
一または複数のレンズ及び撮像素子を有し、前記一または複数のレンズを介して前記撮像素子面に形成される像を表す信号を出力するカメラ装置の取付け構造であって、
前記一または複数のレンズを含むレンズユニットが透光部材の一方の面に第1取付け部材によって取付け固定され、
前記撮像素子を含み、前記レンズユニットと別体となる素子ユニットが、前記透光部材の他方の面に、前記レンズユニットと対向して、前記レンズユニットの前記一または複数のレンズ及び前記透光部材を介して前記素子ユニットの前記撮像素子面に像が形成されるように、第2取付け部材によって取付け固定されるカメラ装置の取付け構造。
【請求項3】
前記第1取付け部材は、接着によって前記レンズユニットを前記透光部材の前記一方の面に取付け固定する第1接着部材を有する請求項2記載のカメラ装置の取付け構造。
【請求項4】
前記レンズユニットは、第1シール部材を介して前記第1取付け部材により前記透光部材の前記一方の面に取付け固定される請求項2または3記載のカメラの取付け構造。
【請求項5】
前記第2取付け部材は、接着によって前記素子ユニットを前記透光部材の前記他方の面に取付け固定する第2接着部材を有する請求項2乃至4のいずれかに記載のカメラ装置の取付け構造。
【請求項6】
前記素子ユニットは、第2シール部材を介して前記第2取付け部材により前記透光部材の前記他方の面に取付け固定される請求項2乃至5のいずれかに記載のカメラ装置の取り受け構造。
【請求項7】
前記透光部材は、車両のガラス窓である請求項2乃至6のいずれかに記載のカメラ装置の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−248983(P2012−248983A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117693(P2011−117693)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】