説明

カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法

【課題】車両を降車して、乗車希望者と乗換えを希望する降車希望者が、乗車希望者と時間又は場所の調整をして、車両利用のマッチングをすることができるカーシェアリングシステムを提供する。
【解決手段】 降車希望者端末10と乗車希望者端末20から、降車及び乗車を希望する場所と時間の入力を受付け、降車予定時刻において、降車場所の所定の範囲で、乗車希望者27が存在するか否かを、受信した乗車場所と乗車予定時刻に基づいて検索し、乗車希望者27が存在しない場合は、降車場所の範囲を拡大して、乗車希望者27が存在するか否かを、受信した乗車場所と乗車予定時刻に基づいて再検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法に関し、特に、情報通信技術を活用して、顧客がカーシェアリングを効率的に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、環境問題に対しての意識が向上していることから、社会に優しい車や、社会に優しい交通システムが望まれている。特に、CO2排出量の削減の観点から、カーシェアリングが注目されている。カーシェアリングは、一般的には、レンタカーよりも、短時間でかつ短距離で車両を利用するサービスである。例えば、カーシェアリングは、商店街周辺や市役所周辺など、コミュニティの一定地域で利用される。すなわち、カーシェアリングは、地域性のある狭い領域で行われることで、車両の利用効率とCO2の削減効果を高めることが可能である。また、このカーシェアリングを行うための車両は、電気自動車やハイブリッド自動車であることで、さらに、削減効果を高めることが可能である。
【0003】
このカーシェアリングを効率的に実行するために、車両の乗車を希望する乗車希望者と車両を運転する者とのスケジュールを調整して、カーシェアリングを行う方法が知られている(例えば、特許文献1)。また、特許文献2では、1台の車両を複数の者で共有するため、車両の利用をサーバに予約してカーシェアリングを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−182146号公報
【特許文献2】特開2002−342878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2では、現在、運転中の者(降車希望者)が、車両を乗り捨てるために、乗車希望者とマッチングを行うものではない。現在、降車希望者が車両を乗り捨てるにあたっては、予め定められた車両置場であるカーステーションに乗り捨てるのが一般的である。しかし、車両の乗換えを、このカーステーションのみならず、所定の安全な場所で、乗車希望者と降車希望者が乗り換われれば、降車希望者および乗車希望者の利便性が向上し、カーシェアリングの利用が活発になると考えられる。
【0006】
さらに、乗車希望者が希望する乗車場所と乗車時間を、降車希望者が希望する降車場所と降車時刻に厳密に一致させることは、難しい場合も多く、乗車希望者と降車希望者に、希望する時間又は場所とは、多少ずれた範囲で調整をしてもらう必要がある。
【0007】
そこで、本発明では、車両を降車して、乗車希望者と乗換えを希望する降車希望者が、乗車希望者と時間又は場所の調整をして、車両利用のマッチングをすることができるカーシェアリングシステム及びカーシェアリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の入力装置は、以下のような解決手段を備える。
(1) 乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信する乗車希望者端末データ受信手段と、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する降車希望者端末データ受信手段と、
受信された前記降車予定時刻において、前記降車場所の所定の範囲で、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて検索する乗車希望者検索手段と、
前記乗車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて再検索する再検索手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、カーシェアリングサーバは、乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信し、降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する。そして、受信された降車予定時刻において、降車場所の所定の範囲で、乗車希望者が存在するか否かを、受信した乗車場所と乗車予定時刻に基づいて検索する。ここで、乗車希望者が存在しない場合は、降車場所の所定の範囲を拡大して、乗車希望者が存在するか否かを、受信した乗車場所と乗車予定時刻に基づいて再検索する。したがって、車両を降車して、乗車希望者と乗換えを希望する降車希望者が、乗車希望者と時間又は場所の調整をして、車両利用のマッチングをすることができる。
【0010】
(2) 上記カーシェアリングサーバは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記乗車希望者検索手段及び前記再検索手段が検索した結果、前記乗車希望者が存在したと判断した場合には、当該乗車希望者の数を、前記降車場所の周辺の地図に表示するデータを前記降車希望者端末に送信するデータ送信手段を備えることを特徴とする。
【0011】
したがって、降車希望者が指定した降車場所の周辺の地図に、乗車希望者の数をあわせて表示することが可能である。
【0012】
(3) 上記カーシェアリングサーバは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記乗車希望者検索手段及び前記再検索手段は、前記車両の蓄電量を参照して、前記降車場所の所定の範囲で、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて検索することを特徴とする。
【0013】
したがって、車両の蓄電量に基づいて、乗車場所を決定することが可能である。
【0014】
(4) 上記カーシェアリングサーバは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記降車希望者端末データ受信手段は、前記車両の走行経路を受信し、前記再検索手段においても、前記乗車希望者が存在しないと判断した場合には、受信した走行経路上に、所定の降車場所を提案することを特徴とする。
【0015】
したがって、降車希望者に、車両の走行経路上の乗車場所を希望する乗車希望者を提案することが可能である。
【0016】
(5) 上記カーシェアリングシステムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車両の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信する乗車希望者端末データ受信手段と、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する降車希望者端末データ受信手段と、
受信した前記乗車予定時刻において、前記乗車場所の所定の範囲で、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて検索する降車希望者検索手段と、
前記降車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて再検索する再検索手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
すなわち、カーシェアリングサーバは、乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信し、降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する。そして、受信した乗車予定時刻において、乗車場所の所定の範囲で、降車希望者が存在するか否かを、受信した降車場所と降車予定時刻に基づいて検索する。ここで、降車希望者が存在しない場合は、降車場所の所定の範囲を拡大して、降車希望者が存在するか否かを、受信した降車場所と降車予定時刻に基づいて再検索する。したがって、車両を利用する乗車希望者が、降車して、乗換えを希望する降車希望者と時間又は場所の調整をして、車両利用のマッチングをすることができる。
【0018】
(6) 上記カーシェアリングシステムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記降車希望者検索手段及び前記再検索手段が検索した結果、前記降車希望者が存在したと判断した場合には、当該降車希望者の車両数を、前記降車場所の周辺の地図に表示するデータを前記乗車希望者端末に送信する地図送信手段を備えることを特徴とする。
【0019】
したがって、乗車希望者が指定した乗車場所の周辺の地図に、降車希望者の車両数をあわせて表示することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両を降車して、乗車希望者と乗換えを希望する降車希望者が、乗車希望者と時間又は場所の調整をして、車両利用のマッチングをすることができるカーシェアリングシステム及びカーシェアリング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態であるカーシェアリングシステム全体を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態であるカーシェアリングシステムを構成する乗車希望者端末20、降車希望者端末10、カーシェアリングサーバ100の機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の好適な実施形態であるカーマッチング処理(降車希望者側)を示すフローチャートである。
【図4】本発明の好適な実施形態である降車希望者端末10に表示される画面イメージを示す図である。
【図5】本発明の好適な実施形態である検索範囲テーブルを示すフローチャートである。
【図6】本発明の好適な実施形態であるカーマッチング処理(乗車希望者側)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の好適な実施形態である乗車希望者端末20に表示される画面イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ図番号を付している。
【0023】
[カーシェアリングシステムの全体構成]
図1は、カーシェアリングシステム1の全体構成を示す図である。カーシェアリングシステム1は、降車希望者17a、17b(以下、降車希望者17)が運転する車両50a、50b(以下、車両50)と、車両50に搭載された降車希望者端末10a、10b(以下、降車希望者端末10)と、公衆回線網3と、カーシェアリングサーバ100と、乗車希望者27a、27b(以下、乗車希望者27)が使用する乗車希望者端末20a、20b(以下、乗車希望者端末20)と、を含む。図1では、降車希望者端末10、乗車希望者端末20を二つずつのみ記載しているが、多数の降車希望者端末10、乗車希望者端末20とカーシェアリングサーバ100と通信可能に接続されていることが望ましい。
【0024】
なお、本実施例において、カーシェアリングシステム1で適用する車両50は、自動車であることを前提として、説明するが、自転車、自動二輪車等であってもよい。
【0025】
降車希望者端末10、乗車希望者端末20、カーシェアリングサーバ100は、互いに公衆回線網3を介して、有線、無線を問わず、通信可能に接続されている。
【0026】
図2に基づいて、カーシェアリングシステム1の構成要素について説明する。
【0027】
降車希望者端末10は、車両50を使用し、所定の場所で車両50の降車を希望する降車希望者17が使用する端末である。降車希望者端末10は、車両に搭載された端末であって、カー・ナビゲーション・システムであってよい。すなわち、降車希望者端末10は、制御部11、データ記憶部12、データ通信部13、タッチパネル部14,GPS部15を備えれば、車載の任意の装置でよい。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部13として、公衆回線網3に接続された無線対応通信デバイスを備え、データ記憶部12として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれか又は双方を備える。さらに、タッチパネル部14として、画像を表示する液晶モニタ等の表示部を備え、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルや音声入力等の入力部を備える。
【0029】
GPS部15は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することが可能な装置であって、制御部11との恊働により、GPS衛星までの距離を算出することで、地球上の車両の位置情報(緯度、経度)を算出することが可能な装置である。
【0030】
データ記憶部12には、カー・ナビゲーション・システムを搭載する場合は、車両を目的地へ誘導する地図データが記憶されている。
【0031】
乗車希望者端末20は、所定の場所で車両50の乗車を希望する乗車希望者27が使用する端末である。乗車希望者端末20は、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、電子書籍端末、スレート端末等であってもよい。乗車希望者端末20は、制御部21、データ記憶部22、データ通信部23、タッチパネル部24を備えれば、任意の通信端末であってよい。さらに、GPS部25を備えることが望ましい。
【0032】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部23として、無線対応通信デバイスを備え、データ記憶部22として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれか又は双方を備える。さらに、タッチパネル部24として、画像を表示する液晶モニタ等の表示部を備え、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルや音声入力等の入力部を備える。
【0033】
GPS部25は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することが可能な装置であって、制御部21との恊働により、GPS衛星までの距離を算出することで、地球上の位置情報(緯度、経度)を算出することが可能な装置である。
【0034】
カーシェアリングサーバ100は、乗車希望者端末20と降車希望者端末10の乗車予定時刻(降車予定時刻)、乗車場所(降車場所)を調整するサーバである。カーシェアリングサーバ100は、制御部101、データ通信部103、会員IDデータベース104、地図データベース105を備える。
【0035】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。データ通信部103は、公衆回線網3と通信可能に接続される通信デバイスを備える。
【0036】
会員IDデータベース104は、カーシェアリングシステム1に登録されている会員の会員IDが記憶されているデータベースである。会員IDは、降車希望者端末10、乗車希望者端末20から送受信され、送受信された会員IDが、カーシェアリングシステム1にて利用可能であるか否かを会員IDデータベース104が判断する。
【0037】
地図データベース105は、車両50が走行する地図データが記憶され、降車希望者端末10、乗車希望者端末20から受信した時刻及び場所から、地図データ上の所定の場所を検索する。
【0038】
制御部101は、適宜、会員IDデータベース104、地図データベース105にアクセスして、後述する各処理を実行する。
【0039】
カーシェアリングサーバ100は、これらのハードウェアの協働により、乗車希望者端末データ受信手段、降車希望者端末データ受信手段、乗車希望者検索手段、再検索手段、降車希望者検索手段、データ送信手段を実現する。
【0040】
[カーマッチング処理(降車希望者側)]
次に、図3を参照して、降車希望者端末10、カーシェアリングサーバ100、乗車希望者端末20が実行するカーマッチング処理について説明する。カーマッチング処理は、降車希望者のための処理と、図6にて説明するように、乗車希望者のための処理がある。
【0041】
最初に、乗車希望者端末20は、乗車希望者27の入力操作に応じて、乗車場所と乗車予定時刻をカーシェアリングサーバ100に送信する(ステップS01)。例えば、乗車希望者端末20に、地図を表示し、この地図上の乗車を希望する乗車場所に、乗車を希望する時刻である乗車予定時刻の入力を乗車希望者27から受付けてもよい。
【0042】
カーシェアリングサーバ100は、乗車希望者端末20から受信した乗車場所と乗車予定時刻を記憶する(ステップS02)。
【0043】
一方、降車希望者端末10では、降車希望者17から車両50の行き先である目的地の入力を受付ける(ステップS03)。降車希望者端末10は、目的地からこの車両50の降車場所と降車予定時刻を決定し、決定した降車場所と降車予定時刻を、カーシェアリングサーバ100へ送信する(ステップS04)。図示しないが、カーシェアリングサーバ100は、送信された降車場所と降車予定時刻を受信し、記憶する。
【0044】
なお、カーシェアリングサーバ100は、降車希望者端末10から目的地までの走行経路のデータを受信して、記憶してもよい。
【0045】
次に、カーシェアリングサーバ100は、受信した降車予定時刻において、降車場所の所定の範囲で、乗車希望者が存在するか否かを、受信した乗車場所と乗車予定時刻に基づいて検索する(ステップS05)。最初の検索では、カーシェアリングサーバ100は、図5に示す検索範囲テーブルを参照して、第一検索範囲で検索を行う。
【0046】
検索範囲テーブルは、乗車希望者27又は降車希望者17を検索する際の範囲を決定するテーブルであって、カーシェアリングサーバ100に記憶されたテーブルである。詳細は後述するが、一回目の検索である第一検索、二回目の検索である第二検索と、検索回数に応じて検索範囲が変化する。検索範囲テーブルは、この検索回数と検索範囲が対応付けられているテーブルである。
【0047】
図4を参照して説明する。図4は、降車希望者端末10に表示される画面イメージ図である。降車希望者端末10が、降車場所として地点Aを決定し、この降車予定時刻が14時50分であるとする。第一検索において、検索範囲テーブルを参照すると、検索範囲が30メートルであり、地点Aを中心として、この30メートルを半径とした円の範囲に、乗車希望者27がいるか否かを検索する。
【0048】
図4では、検索がされなかったため(ステップS06:「NO」)、ステップS07に処理を移す。ステップS07において、カーシェアリングサーバ100は、検索範囲拡大処理として、第二検索を行うため、検索範囲テーブルを参照し、次の拡大された円の半径を決定する。
【0049】
そして、ステップS05に戻り、乗車希望者の再検索を行う。この例では、第二検索として半径を200メートルとして検索すると、乗車希望者の地点41と地点42が検索される(ステップS06:「YES」)。カーシェアリングサーバ100は、この検索された地点41及び地点42の乗車予定時刻と、乗車場所を降車希望者端末10に送信する(ステップS08)。
【0050】
降車希望者端末10は、この乗車場所と乗車予定時刻を受信して、降車希望者17から、この乗車場所と乗車予定時刻で承諾するか否かの操作を受付ける(ステップS09)。
【0051】
例えば、降車希望者端末10には、図4の画面イメージが表示される。ここでは、車両50が目的地A地点までの経路が表示され、地点Aに14時50分に到着することを示す。なお、第一検索範囲、第二検索範囲の各円は、実施例の説明のため示されており、降車希望者端末10に表示させなくてもよい。
【0052】
地点41、地点42は、乗車希望者27の乗車場所と、乗車予定時刻とで少なくとも構成され、同じ乗車場所で乗車を希望する乗車希望者27の人数を含んでよい。例えば、地点42は、3人の乗車希望者27がこの地図上の地点で15:05前後に乗車を希望していることを示す。
【0053】
降車希望者17は、ここで、地点41又は地点42のいずれかを選択操作して、乗車場所と乗車予定時刻を承諾した場合(ステップS09:「YES」)は、マッチング成立として、カーシェアリングサーバ100に通知する(ステップS11)。
【0054】
降車希望者17は、地点41又は地点42のいずれにおいても乗車場所と乗車予定時刻を承諾できない場合(ステップS09:NO」)は、マッチング不成立として、カーシェアリングサーバ100に通知する(ステップS10)。これに応じて、カーシェアリングサーバ100は、再度、検索範囲拡大処理(ステップS07)を実行する。例えば、検索範囲テーブルを参照して、第三検索として、1kmの半径での再検索を行う(ステップS05)。
【0055】
ステップS12において、カーシェアリングサーバ100は、承諾された乗車予定時刻、乗車場所で時刻、場所を決定し、決定したことを乗車希望者端末20、降車希望者端末10に送信する(ステップS13)。これに応じて、乗車希望者端末20及び降車希望者端末10は、決定した場所及び時刻を表示する(ステップS14及びS15)。
【0056】
なお、車両50が、所定の燃料を消費する自動車、例えば、ガゾリン等の燃料を消費して走行するガソリン自動車や、水素を燃料とする燃料電池車、電気を消費して走行する電気自動車である場合には、この燃料や蓄電量に応じて、降車希望者17が希望する降車場所を、強制的に、燃料を補充するステーション(ガソリンであればガソリンスタンド)や蓄電池の充電ステーション(以下、「補充ステーション」)に設定してもよい。すなわち、乗車希望者27が補充ステーションを乗車場所としている場合に、車両50の充電量を参照して、この補充ステーションを降車場所と設定してもよい。例えば、車両50の蓄電量が所定の割合以下(例えば、30%以下)となった場合や、目的地に到達すると、車両50の蓄電量が所定の割合以下となると算出される場合に、充電ステーションに降車場所を設定する。
【0057】
同様に、車両50の蓄電量が少ない場合に、走行距離が短い場所を降車場所として設定してもよい。すなわち、乗車希望者27が、走行距離が短い場所を乗車場所としている場合に、車両50の充電量を参照して、この乗車場所を降車場所と設定してもよい。
【0058】
なお、検索範囲テーブルは、上述では目的地を中心とした円の範囲を拡大することで検索範囲を拡大したが、これ以外にも、例えば、目的地から離れたところであって、目的地までの走行経路の延長線上で、検索範囲を拡大させてもよい。
【0059】
[カーマッチング処理(乗車希望者側)]
次に、図6を参照して、乗車希望者端末20、カーシェアリングサーバ100、降車希望者端末10が実行するカーマッチング処理について説明する。
【0060】
最初に、降車希望者端末10は、降車希望者17の入力操作に応じて、降車場所と降車予定時刻をカーシェアリングサーバ100に送信する(ステップS20)。例えば、降車希望者端末10に、地図を表示し、この地図上の降車を希望する降車場所に、降車を希望する時刻である降車予定時刻の入力を降車希望者17から受付けてもよい。
【0061】
カーシェアリングサーバ100は、降車希望者端末10から受信した降車場所と降車予定時刻を記憶する(ステップS21)。
【0062】
一方、乗車希望者端末20では、乗車希望者27から乗車場所、乗車予定時刻の入力を受付ける(ステップS22)。乗車希望者端末20は、乗車予定時刻と乗車場所を、カーシェアリングサーバ100へ送信する(ステップS23)。図示しないが、カーシェアリングサーバ100は、送信された乗車予定時刻と乗車場所を受信し、記憶する。
【0063】
次に、カーシェアリングサーバ100は、受信した乗車予定時刻において、乗車場所の所定の範囲で、降車希望者が存在するか否かを、受信した降車場所と降車予定時刻に基づいて検索する(ステップS24)。最初の検索では、カーシェアリングサーバ100は、図5に示す検索範囲テーブルを参照して、第一検索範囲で検索を行う。
【0064】
図7を参照して説明する。図7は、乗車希望者端末20に表示される画面イメージ図である。乗車希望者端末20が、乗車場所として地点Bを決定し、この乗車予定時刻が15時00分であるとする。第一検索において、検索範囲テーブルを参照すると、検索範囲が30メートルであり、地点Bを中心として、この30メートルを半径とした円の範囲に、降車希望者17がいるか否かを検索する。
【0065】
図7の例では、検索がされなかったため(ステップS25:「NO」)、ステップS26に処理を移す。ステップS26において、カーシェアリングサーバ100は、検索範囲拡大処理として、第二検索を行うため、検索範囲テーブルを参照し、次の拡大された円の半径を決定する。
【0066】
そして、ステップS24に戻り、降車希望者の再検索を行う。この例では、第二検索として半径を200メートルとして検索すると、乗車希望者の地点61が検索される(ステップS25:「YES」)。カーシェアリングサーバ100は、この検索された地点61の降車場所と降車予定時刻を乗車希望者端末20に送信する(ステップS27)。
【0067】
乗車希望者端末20は、この降車場所と降車予定時刻を受信して、乗車希望者27から、この降車場所と降車予定時刻で承諾するか否かの操作を受付ける(ステップS28)。
【0068】
例えば、乗車希望者端末20には、図7の画面イメージが表示される。ここでは、乗車希望者27は、地点Bに15時00分に乗車希望することを入力している。なお、第一検索範囲、第二検索範囲、第三検索範囲の各円は、実施例の説明のため示されており、乗車希望者端末20に表示させなくてもよい。
【0069】
地点60,61、62は、降車希望者17の降車場所と、降車予定時刻とで少なくとも構成され、同じ降車場所で降車を希望する降車希望者17の車両数を含んでよい。例えば、地点62は、4台の車両がこの地図上の地点で15:00前後に降車を希望していることを示す。
【0070】
乗車希望者27は、ここで、地点61を選択操作して、降車場所と降車予定時刻を承諾した場合(ステップS28:「YES」)は、マッチング成立として、カーシェアリングサーバ100に通知する(ステップS31)。
【0071】
乗車希望者27は、地点61の降車場所と降車予定時刻を承諾できない場合(ステップS28:「NO」)は、マッチング不成立として、カーシェアリングサーバ100に通知する(ステップS29)。これに応じて、カーシェアリングサーバ100は、再度、検索範囲拡大処理(ステップS26)を実行する。例えば、検索範囲テーブルを参照して、第三検索として、1kmの半径での再検索を行う(ステップS24)。このようにして、図7に示す、地点60,地点62が検索される。
【0072】
ステップS31において、カーシェアリングサーバ100は、承諾された降車予定時刻、降車場所で時刻、場所を決定し、決定したことを降車希望者端末10、乗車希望者端末20に送信する(ステップS32)。これに応じて、降車希望者端末10及び乗車希望者端末20は、決定した場所及び時刻を表示する(ステップS33及びS34)。
【0073】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、サーバ、装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0074】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0075】
1 カーシェアリングシステム
3 公衆回線網
10 降車希望者端末
20 乗車希望者端末
100 カーシェアリングサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車両の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信する乗車希望者端末データ受信手段と、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する降車希望者端末データ受信手段と、
受信した前記降車予定時刻において、前記降車場所の所定の範囲で、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて検索する乗車希望者検索手段と、
前記乗車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて再検索する再検索手段と、
を備えるカーシェアリングサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者検索手段及び前記再検索手段が検索した結果、前記乗車希望者が存在したと判断した場合には、当該乗車希望者の数を、前記降車場所の周辺の地図に表示するデータを前記降車希望者端末に送信するデータ送信手段を備えるカーシェアリングサーバ。
【請求項3】
請求項1に記載のカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者検索手段及び前記再検索手段は、前記車両の蓄電量を参照して、前記降車場所の所定の範囲で、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて検索するカーシェアリングサーバ。
【請求項4】
請求項1に記載のカーシェアリングサーバであって、
前記降車希望者端末データ受信手段は、前記車両の走行経路を受信し、
前記再検索手段においても、前記乗車希望者が存在しないと判断した場合には、受信した走行経路上に、所定の降車場所を提案するカーシェアリングサーバ。
【請求項5】
乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車両の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバであって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信する乗車希望者端末データ受信手段と、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信する降車希望者端末データ受信手段と、
受信した前記乗車予定時刻において、前記乗車場所の所定の範囲で、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて検索する降車希望者検索手段と、
前記降車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて再検索する再検索手段と、
を備えるカーシェアリングサーバ。
【請求項6】
請求項5に記載のカーシェアリングサーバであって、
前記降車希望者検索手段及び前記再検索手段が検索した結果、前記降車希望者が存在したと判断した場合には、当該降車希望者の車両数を、前記降車場所の周辺の地図に表示するデータを前記乗車希望者端末に送信する地図送信手段を備えるカーシェアリングサーバ。
【請求項7】
乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車両の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバが実行する方法であって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信するステップと、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信するステップと、
受信した前記降車予定時刻において、前記降車場所の所定の範囲で、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて検索するステップと、
前記乗車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記乗車希望者が存在するか否かを、受信した前記乗車場所と前記乗車予定時刻に基づいて再検索するステップと、
を備えるカーシェアリング方法。
【請求項8】
乗車希望者が利用する乗車希望者端末及び降車希望者が利用する降車希望者端末と互いに通信可能に接続され、前記降車希望者が利用する車両の利用のマッチングを行うカーシェアリングサーバが実行する方法であって、
前記乗車希望者端末から乗車場所と乗車予定時刻のデータを受信するステップと、
前記降車希望者端末から降車場所と降車予定時刻のデータを受信するステップと、
受信した前記乗車予定時刻において、前記乗車場所の所定の範囲で、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて検索するステップと、
前記降車希望者が存在しない場合は、前記降車場所の所定の範囲を拡大して、前記降車希望者が存在するか否かを、受信した前記降車場所と前記降車予定時刻に基づいて再検索するステップと、
を備えるカーシェアリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215920(P2012−215920A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78866(P2011−78866)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】