説明

カードコネクタ

【課題】装着されるメモリカードの形状に近づく形状となるように、より小型化を実現すること。
【解決手段】カードコネクタ100は、挿入口101を介して挿入されるメモリカード20を収容する収容部105を備えるハウジング110と、収容部105に収容されるメモリカード20によって開閉するWP検知スイッチ200とを有する。WP検知スイッチ200は、収容部105に収容されるメモリカード20とメモリカードの厚み方向で対向する底板部112に設けられる固定端子230と、底板部112に、メモリカード20の挿入方向に沿って設けられ、且つ、挿入されるメモリカード20の押圧によりメモリカードの20の厚み方向に可動して固定端子230に接触する可動端子210とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板などに実装されて、挿入されるメモリカードを基板に電気的に接続するカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からデジタルカメラなどのデータの記憶媒体として、樹脂製の薄板状の筐体を有するメモリカードが広く用いられており、種々の種類や規格の小型のメモリカードが知られている。最近では、携帯電話用のデータの記憶媒体としてもメモリカードが用いられており、非常に小型のメモリカードも市販されている。
【0003】
メモリカードには、メモリカードへの情報の書き込みを許容し及び禁止するライトプロテクトボタン(以下、「識別片」という)が設けられているものがある。
【0004】
この識別片は、前後に延びるメモリカードの側部に形成された凹部上を側部の長手方向に沿って移動可能に取り付けられ、凹部内でメモリカードに情報を書き込み可能な位置と、メモリカードに情報を書き込むことを禁止する位置に移動する。
【0005】
このようなメモリカードが書き込み可能か否かを検知するため、メモリカードが挿入されるコネクタ本体に、識別片の位置を検知するライトプロテクト検知スイッチを備えるカードコネクタが知られている。
【0006】
このライトプロテクト検知スイッチを備えるカードコネクタとして、本出願人は、特許文献1に示すカードコネクタを出願している。
【0007】
図1は、従来のカードコネクタにおいてシールドカバーを外したハウジングを示す図である。なお、図1は、識別片を備えるメモリカードが挿入されるハウジング3において、識別片が配置されたメモリカードの側部に対向する一側壁部4に沿って配置されたWP検知スイッチ2の拡大図である。
【0008】
図1に示すカードコネクタ1のライトプロテクト検知スイッチ2は、ハウジング3の底面3aにカードメモリカードの挿入方向Aに沿って延在して設けられ、先端側で二股に分岐する可動端子2aと、可動端子2aに接触する固定端子2bと、を有する。
【0009】
可動端子2における一方の分岐片の先端部2cは、メモリカードを収容する収容部4にメモリカードが収容され、且つ、メモリカードの凹部内で識別片が書き込み禁止位置に位置する際に、開放される領域に配置される。このとき、他方の分岐片2dの先端部は、側壁部4の内部空間に配置された固定端子2bの上部に配置される。
【0010】
このライトプロテクト検知スイッチ2では、挿入されるメモリカードによって、一方の分岐片2cの先端部が押圧されると下方に移動し、これに伴い、他方の分岐片2dも下方に移動して、固定端子2bに接触し導通状態となる。
【0011】
このカードコネクタ1では、識別片が書き込み禁止位置に位置するメモリカードが挿入された場合、一方の分岐片2cの先端部は、挿入されるメモリカードによって一方の分岐片の先端部は下方に移動した後、凹部内の開放される領域で復元する。これに伴い、他方の分岐片2dの先端部が固定端子2bと離間して書き込み禁止を検知する。
【0012】
また、カードコネクタに、識別片が書き込み可能位置に位置するメモリカードが挿入された場合、メモリカード装着完了状態でも、一方の分岐片2cの先端部は、識別片により下方に押圧される。これに伴い、他方の分岐片2dの先端部は固定端子2bに接触した状態となり、ライトプロテクト検知スイッチ2は、書き込み禁止を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−10108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年、カードコネクタとしては、小型化が望まれており、特に、カードコネクタ自体の幅を極力小さくして、装着されるメモリカード幅に近づけて装着されるカード形状と略同等の形状にしたいという要望がある。図1に示す従来のカードコネクタと比較して、矢印で示す幅を極力なくして、更に、小型化を図りたいという要望があった。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、装着されるメモリカードの形状に近づく形状となるように、より小型化を実現できるカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のカードコネクタは、挿入口を介して挿入されるメモリカードを収容する収容部を備えるハウジングと、前記収容部に収容されるメモリカードによって開閉するスイッチとを有し、前記スイッチは、前記収容部に収容される前記メモリカードと前記メモリカードの厚み方向で対向する面部に設けられる固定端子と、前記面部に、前記メモリカードの挿入方向に沿って設けられ、且つ、挿入される前記メモリカードの押圧により前記厚み方向に可動して前記固定端子に接触する可動端子と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装着されるメモリカードの形状に近づく形状となるように、より小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のカードコネクタにおけるライトプロテクトスイッチの構造の説明に供する部分拡大図
【図2】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタに装着される一例としてのメモリカードの平面図
【図3】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す斜視図
【図4】同カードコネクタの正面図
【図5】同カードコネクタの背面図
【図6】同カードコネクタの平面図
【図7】同カードコネクタの底面図
【図8】同カードコネクタの左側面図
【図9】同カードコネクタの右側面図
【図10】同カードコネクタのハウジングを示す平面図
【図11】同カードコネクタのライトプロテクト検知スイッチの拡大斜視図
【図12】同カードコネクタにメモリカードが装着される際のライトプロテクトスイッチの機能を示す図
【図13】同カードコネクタにメモリカードが装着される際のライトプロテクトスイッチの機能を示す図
【図14】同カードコネクタにメモリカードが装着される際のライトプロテクトスイッチの機能を示す図
【図15】同カードコネクタにメモリカードが装着される際のライトプロテクトスイッチの機能を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(メモリカード)
まず、本実施の形態のカードコネクタに装着されるメモリカードについて説明する。
図2は本発明の一実施の形態に係るコネクタに装着されるメモリカード20を示す平面図である。
【0021】
図2に示すように、メモリカード20は、内部にIC(図示しない)を収容した樹脂製の薄板状をなす。メモリカード20における一方の面(裏面)の先端部には、ハウジング110(図3参照)の複数のコンタクトピン140とそれぞれ接続する電極(パッド)21が幅方向に複数並べて配設されている。また、メモリカード20の両側部には、一方の面(裏面)の幅が他方の面(表面)の幅よりも狭くなるように、一方の面(裏面)側で長手方向に沿って切り欠かれた段差部22、23が形成されている。つまり、段差部22、23は、カードコネクタ(メモリカードコネクタ)100(図3参照)への挿入方向に沿って延在している。また、メモリカード20には、段差部22が形成された一側部(メモリカード20からみてカードコネクタ100に対する挿入方向を先端側とした右側部)の先端部20aの角部には、誤挿入防止のための面取り部24が形成されている。
【0022】
また、メモリカード20において段差部23が形成された他側部(挿入方向側を先端側とした左側部)には凹部25が形成されている。この凹部25内には、凹部25内の2つの位置で、段差部23の延在方向に沿ってスライド自在な識別片26が設けられている。識別片26は、凹部25内での位置によって、カード書き込み可能及び書き込み禁止を示す識別部として機能する。この識別片26をスライド移動させて凹部25内の先端側の位置に位置させるとメモリカード20への書き込みが可能な状態となる。また、識別片26を凹部25内の後側の位置に移動させると、凹部25において先端側が開放され、メモリカード20への書き込みが禁止された状態となる。図2に示すメモリカード20は、識別片26が凹部25において後端側に位置するため、書き込み禁止状態となっている。
【0023】
なお、本実施の形態のカードコネクタ100に装着されるメモリカード20は、メモリカードへの情報の書き込みを許容し及び禁止する識別片26が設けられたSDカード(登録商標)として説明したが、これに限らず、どのような規格のメモリカードであってもよい。例えば、このメモリカード20としては、PCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、スマートメディア、miniSD(Secure Digital)カード(登録商標)、microSDカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等が挙げられる。また、メモリカード20は、自由にデータの読み書きが行えるものではなく、複写が自由にできないものであってもよい。
【0024】
また、カードコネクタ100(図3参照)に装着されるメモリカードが上記種々の規格のメモリカードである場合、本実施の形態に係るカードコネクタのライトプロテクト(WP)検知スイッチ(後述する)は、メモリカードの挿抜を検出する挿抜検出スイッチとしてもよい。
【0025】
(カードコネクタ)
次に、図3〜図15を用いて本実施の形態のカードコネクタ100について説明する。なお、図3は、カードコネクタ100におけるシールドカバー120を便宜上、透過させた状態で示し、図10は、メモリカード20(図2参照)が装着されていない状態のハウジングを示している。また、本実施の形態におけるカードコネクタ100では、メモリカード20(図2参照)を挿入される挿入口101が開口する側を正面側として説明する。また、カードコネクタ100は、携帯電話機、PDA、携帯型オーディオ、カメラ等の電子機器に配設される。
【0026】
図3に示すカードコネクタ100は、偏平で且つ平面略矩形状であり、挿入されるメモリカード20の形状に対応して形成されている。
【0027】
カードコネクタ100は、図3に示すように、コネクタ本体102と、コネクタ本体102に挿入されるメモリカード20(図2参照)のイジェクト機構130と、コンタクトピン140と、検知スイッチ200とを備える。なお、カードコネクタ100の動作温度は、−25°から90°である。
【0028】
なお、カードコネクタ100は、ここでは、スタンドオフタイプのコネクタであり、図7示すように、コネクタ本体102の下面の四隅から下方に突出する脚部103を有する。また、カードコネクタ100は、左側部100bに、検知スイッチの接触状態を視認する窓部104(図3及び図8参照)が形成されている。
【0029】
コネクタ本体102は、図3に示すように、メモリカードが挿入される挿入口101を有するハウジング110と、このハウジング110を覆うように、ハウジングに組合せられるシールドカバー120とによって構成されている。
【0030】
図3及び図10に示すように、ハウジング110は、絶縁性を有し、矩形状で且つ肉薄の底板部112と、底板部112の両側辺部から立設する両側壁部114、115と、底板部112において背面側の辺部(挿入方向側の端辺部)に沿って立設される後端壁部116とを有する。
【0031】
これら底板部112、側壁部115、側壁部114側のイジェクト機構130、及び、後端壁部116は、挿入口101から挿入されるメモリカード20が挿入される収容部105を画成する。底板部112は、収容部105に収容されるメモリカード20とメモリカード20の厚み方向で対向する面部である。
【0032】
シールドカバー120は、ハウジング110の底板部112と対向する上板部123と、上板部123の両側部から折曲され、ハウジング110の両側壁部114、115を被覆する側板部124、126を有する。シールドカバー120は、板金を打ち抜き、プレス加工等を施すことで形成され、ハウジング110を上方から覆うように取り付けられる。
【0033】
なお、ハウジング110に取り付けられるコンタクトピン140は、検知スイッチ200とともに、ハウジング110を成形する際に、インサート成形によってハウジング110に設けられる。
【0034】
ここでは、コンタクトピン140は、例えば、リン青銅の板金を加工して形成され、メモリカード20が収容部105に収容された際に、メモリカード20(図2参照)の裏面と対向する底板部112に配設されている。
【0035】
コンタクトピン140は、ハウジング110の底板部112の後端側に幅方向に並べて配置されている。これら複数のコンタクトピン140は、メモリカード20(図2参照)の下面先端部に幅方向に複数並べて配設された電極21に対応しており、それぞれ可撓性を有し、底板部112から上方に突出し、上下動する接点部142を有する。これら接点部142が、挿入口101から挿入されるメモリカード20(図2参照)の電極21に押圧されることで、接点部142と電極21とは対応する組同士で接触して、それぞれ電気的に接続される。
【0036】
また、図10に示すように、コンタクトピン140は、接点部142に連続し、カードコネクタ200自体が装着される基板の回路に接続されるリード部144を有する。リード部144は、ハウジング110の後端壁部116から外部に水平に導出して設けられている。ここでは、リード部144は、幅方向に並び、それぞれ後端壁部116から挿入方向で突出して配置されている。
【0037】
ハウジング110の底板部112において側壁部114側の側辺部には、収容部105側に突出するガイドレール(レール部)117が設けられている。また、底板部112において側壁部115側の部分であり、且つ、イジェクト機構130に沿う部分には、ガイドレール117に対向するように、収容部105側の突出するガイドレール118が設けられている。
【0038】
これらガイドレール117、118は、ハウジング110の内側で、両側壁部114、115に沿って延在する。つまり、これらガイドレール117、118は、収容部105に収容されたメモリカード20(図2参照)の厚み範囲内で、段差部23、22にメモリカードの厚み方向で対向して配置される。
【0039】
これらガイドレール117、118は、それぞれの上面で、挿入口101から挿入されるメモリカード20の両側部の段差部22、23を収容部105内へ好適に案内する。これにより、メモリカード20が収容部105に収容された際に、ガイドレール117、118のそれぞれの上面上には、メモリカード20の両側部の段差部22、23が配置される。これらガイドレール117、118に沿ってメモリカード20は、ハウジング110内を、段差部22、23で摺動可能である。
【0040】
ハウジング110の両側壁部114、115のうち右側壁部115側には、イジェクト機構130が配設されている。
【0041】
イジェクト機構130については、従来と同様の構造をしている(例えば、特開平11−135192号公報参照)。すなわち、イジェクト機構130は、メモリカード20(図2参照)を、カードコネクタ100に完全に挿入された挿入完了位置と、その手前の挿入位置で軽く保持するためのハーフロック位置との2箇所の位置で保持できる周知の技術である。このため、ここでは簡単に説明する。
【0042】
イジェクト機構130は、メモリカードをカードコネクタ100から排出することを容易にするために設けられている装置であって、本実施の形態では、コネクタ本体102の右側側壁115に沿って設けられている。
【0043】
イジェクト機構130は、図3、図6及び図10に示すように、スライダ133、バネ134、ハートカム131、連結ピン136、及び、連結ピン押さえ121を備えている。スライダ133は、メモリカード20(図2参照)に当接してハウジング110底面(底板部112)上をメモリカード20の挿抜方向に沿って往復動する。バネ134は、スライダ133を挿入口101側に向けて付勢する。ハートカム131は、スライダ133の往復動を規制する。連結ピン136では、その一端がスライダ133に連結され、自由端である他端がハートカム131に沿ってその周囲を摺動する。連結ピン押さえ121は、シールドカバー120から切り起こされてなる。なお、連結ピン押さえ121は、連結ピン136がハートカム131の周囲に形成される摺動溝137内を確実に移動し得るように連結ピン136を上から押える。
【0044】
このイジェクト機構130の動作を説明する。メモリカード20(図2参照)が挿入口101を介してカードコネクタ100の収容部105内に挿入されると、メモリカード20は、収容部105内に配置されているスライダ133に当接する。そして、メモリカード20は、バネ134に抗してスライダ133と共に移動し、メモリカード20の電極21(図2参照)と収容部105内に配置されるコンタクトピン140の接点部142とが接触する所定位置を若干越えた位置まで押し込まれる。ここで、メモリカード20の押し込み動作が解除されると、スライダ133と一緒に移動していた連結ピン136の自由端が、ハートカム131に沿って若干戻りながらハートカム131の図示しないくぼみ部分に係止される。これによって、メモリカード20は、カードコネクタ100の収容部105内に装着された状態を維持される。
【0045】
メモリカード20をカードコネクタ100から抜くときは、メモリカード20を若干押し込み、連結ピン136の自由端をハートカム131のくぼみ部分から脱出させる。続いて、押し込み動作を解除すると、バネ134の付勢力によりスライダ133が元の位置に戻され、それによりスライダ133に当接しているメモリカード20も収容部105内から排出される。
【0046】
このイジェクト機構130に対向して、ハウジング110における他方の側壁部114側(左側の側壁部114側)には、収容部105に収容されるメモリカード20によって開閉する検知スイッチ200が配設されている。検知スイッチ200は、メモリカード20がカードコネクタ100に挿入されたとき、一対の金属片の接離に基づいて、メモリカードの状態を検出する。
【0047】
本実施の形態の検知スイッチ200は、メモリカードの書き込み可否を検知するライトプロテクト(WP)検知スイッチ200として説明するが、これに限らず、カードの装着を電気的に検知するスイッチとしてもよい。
【0048】
WP検知スイッチ200は、側壁部114側で、メモリカードの挿入方向Aに沿って配置されている。WP検知スイッチ200は、挿入されるメモリカードの一方の面に対向する位置で、収容部105に収容されるメモリカード20の厚み方向で接離する可動端子210と固定端子230とを有する。
【0049】
このWP検知スイッチ200は、側部に形成されたスライド可能な識別片(WPボタン)26を有するメモリカード20がカードコネクタ100に挿入された際に、可動端子210、固定端子230の接離に基づいて、識別片26のスライド位置を検出する。
【0050】
図10及び図11に示すように、可動端子210及び固定端子230は、ガイドレール117の一部を切り欠いた部位に、ガイドレール117の延在方向に沿って配置されている。言い換えれば、底板部112のガイドレール117の配置領域内で接離自在に設けられている。なお、ガイドレール117は、その中央部分に下方に開口する切り欠き部117cが形成され、この切り欠き部117cを挟んで配置された挿入口側レール部117aと、後端側レール部117bとを有する。後端側レール部117bには、挿入口側の端部を切り欠いてなる平坦部が設けられ、この平坦部に固定端子230のパッド部232が配置されている。なお、パッド部232の側方の側壁部114の部位には、窓部104を形成する貫通孔114aが形成されている。
【0051】
可動端子210は、挿入口側レール部117aにおいて挿入方向側の端面から、挿入方向に導出するように基端部側が固定され、固定端子230は、可動端子210の延長線上に配置されている。
【0052】
これら可動端子210及び固定端子230は、可撓性を有し、弾性変形する導電性部材からなり、ここでは帯状の金属板(例えばリン青銅の板金)により形成されている。
【0053】
可動端子210は、底板部112に、メモリカード20の挿入方向に沿って設けられている。可動端子210は、収容部105内に挿入されるメモリカード20の押圧によりメモリカード20の厚み方向に可動して固定端子230に接触する。
【0054】
可動端子210は、底板部112からメモリカード20(図2参照)の挿入方向に沿って延在して設けられ、一端部側が底板部112に支持されるとともに、他端部が自由端である細長の線状又は帯状の弾性変形可能な部材からなる。可動端子210は、他端部と一端部との間に形成され、収容部105内に配置されるカード接触部212と、他端部に形成される接点部214とを有する。
【0055】
具体的には、可動端子210は、長尺の細帯状をなしており、挿入口側レール部117aの端面から切り欠き部117c内を通り、奥側レール部117b上まで延在し、上下方向にスロトーク可能に配置されている。
【0056】
可動端子210は、第1アーム211、カード接触部212、第2アーム213、接点部214、リード部215を有する。
【0057】
可動端子210において切り欠き部117c内に配置された部位の一部は、収容部105内に屈曲されて形成されたカード接触部212として機能する。具体的には、カード先端部212は、挿入口側レール部117aの端面から導出する第1アーム211の先端に形成されている。なお、第1アーム211は、図11に示すように、底板部112に埋設された部位を介して、リード部215に連続している。リード部215は、後端壁部116から挿入方向に突出しており、コンタクトピン140のリード部144とともに並べて配設されている。
【0058】
カード接触部212は、ガイドレール114よりも上方に位置し、カードコネクタ100に挿入されるメモリカード20の挿入領域、つまり、収容部105内に配置されている。このカード接触部212は、挿入口側レール部117aから突出する第1アーム211の先端を屈曲することで形成されている。これにより、カード接触部212は、ハウジング110において、収容部105に挿入されるメモリカード20の側辺部の段差部23と重なる高さ位置若しくは、その位置より高い位置に配置される。
【0059】
また、本実施の形態では、カード接触部212は、挿入されるメモリカード20の側辺部に形成された凹部25(図2参照)と重なる位置に配置される。このようにカード接触部212は、メモリカード20が収容部105に収容された際に、凹部25内に位置するように、可動端子210に形成されている。
【0060】
この可動端子210の先端部には接点部214が形成されている。この接点部214は、固定端子230に対して上方で離間して配置されている。接点部214は、可動端子210においてカード接触部212の先端から延びる細帯状の金属片(第2アーム213)の先端を下方に突出するように折り曲げた形状をなしている。なお、接点部214は、固定端子230に対してメモリカード20の厚み方向で対向配置されている。接点部214は、挿入されるメモリカード20により押圧されたカード接触部212が底板部112側に可動することよって、メモリカード20の厚み方向に可動して固定端子230に接触する。
【0061】
固定端子230は、奥側レール部117bと底板部112との間に水平に埋設されている。ここでは、ハウジング110の底板部112固定端子230では、平坦部で外部に露出するパッド部232が、可動端子210の接点部214と上下方向(メモリカードの厚み方向)で対向している。固定端子230は、パッド部232と、底板部112に埋設された部位を介してパッド部232に接続されたリード部234とを有する。リード部234は、後端壁部116から挿入方向に突出している。
【0062】
このように固定端子230のリード部234は、コンタクトピン140のリード部144、可動端子210のリード部215とともにカードコネクタ100の背面から一様に並べて配設されている。つまり、固定端子230及び可動端子210のリード部(一端部)234、215は、各コンタクトピン140のリード部(一端部)144とともに、底板部(面部)112において挿入方向側の端辺部に沿って立設された後端壁部116を介して外方に一列に並んで突出している。
【0063】
これにより、カードコネクタ100を基板に実装する場合、カードコネクタ100と基板上の回路との接続は、カードコネクタ100の一面側(背面側)から導出されているリード部のみを用いておこなうことができる。つまり、カードコネクタ100では、コネクタの背面側および側面側の双方からリード部が延出されていないため、カードコネクタ100の実装領域を狭くできる。これにより、基板上の回路に実装される部品のレイアウトの自由度を向上させることでできる。
【0064】
WP検知スイッチ200は、例えば、可動端子210をVs、固定端子230をVd、リード部215をVss端、リード部234をVdd端とて構成してもよい。
【0065】
このようにWP検知スイッチ200では、通常時において、可動端子210は、カード接触部を収容部105内に位置させると共に、先端部の接点部214を、固定端子230のパッド部232の上方で離間して位置させている。
【0066】
可動端子210及び固定端子230を備えるWP検知スイッチ200は、カードコネクタ100において、カードコネクタ100の収容部105に装着された状態のメモリカード20の水平投影面積内に設けられている。
【0067】
なお、可動端子210、固定端子230を含むWP検知スイッチ200は、コンタクトピン140等のハウジング110に設けられる金属部品とともに、インサート成形によってハウジング110に一体的に成形されるものである。ここでは、可動端子210及び固定端子230は、複数のコンタクトピン140ととともに金属板を加工することにより形成され、底板部112とインサート成形される。なお、各部同士は、成形後必要に応じて絶縁されるものである。このように可動端子210、固定端子230は、コンタクトピン140とともに底板部112に成形される。このため、可動端子210、固定端子230及びコンタクトピン140を底板部112にセットするだけでよく、可動端子210、固定端子230及びコンタクトピン140の取付作業(詳細には、成形作業)の簡易化を図ることできる。
【0068】
このカードコネクタ100のWP検知スイッチ200の動作について図12から図15を用いて説明する。
【0069】
図12に示すように、カードコネクタ100の挿入口101からメモリカード20が挿入されると、挿入されるメモリカード20は、両側部の段差部23がガイドレール117上の空間部分に挿入される。そして、メモリカード20は、段差部23がガイドレール117上を挿入方向Aに移動する。なお、図示しないが段差部22も、段差部23の動作と同様に、ガイドレール118上の空間部分に挿入されて、ガイドレール118上を挿入方向に移動する。
【0070】
これにより、可動端子210では、挿入されるメモリカード20(ここではメモリカード20の段差部23の下面23a)によって、可動端子210の接触部212における基端側の斜面が挿入方向に押圧される。
【0071】
すると、可動端子210では、接触部212が下方に押圧されて、全体として下方に揺動することとなり、接触部212の先端側の接点部214も下方に移動する。
【0072】
下方に移動する接点部214は、図13に示すように、下方に位置する固定端子230のパッド部232に当接し、更に、カード接触部212が段差部23の下面23aにより押圧されると、更に下方に移動した状態となる。このとき、可動端子210では、上方に突出するように屈曲してなるカード接触部212から先端側の部位の折曲部分が延びる。これにより、接点部214はパッド部232に押圧されつつ、パッド部232上を挿入方向に摺動する。
【0073】
このように、WP検知スイッチ200では、メモリカード20の挿入によって、可動端子210は、その先端部である接点部214で固定端子230に摺動しながら接触する。
【0074】
接触部214は、メモリカード20が収容部105に完全に収容された状態になるまで、段差部22の下方で、段差部23によって下方に押圧される。
【0075】
そして、メモリカード20が収容部105に完全に挿入された(装着状態となった)場合、メモリカード20の凹部25では識別片26は後側に位置しているため、カード接触部212は、凹部25内で開放された前側の位置に位置することとなる。すなわち、カード接触部212は、図14に示すように、メモリカード装着状態において、凹部25内の前側の位置で、段差部23による押圧状態が解除されて復元する。これにより、可動端子210の接点部214は、固定端子230のパッド部232から離間して、元の位置に戻る。
【0076】
このようにWP検知スイッチ200では、装着されるメモリカード20の凹部25の前側が開放されている場合、つまり、識別片26が凹部25内において書き込み禁止位置に有る場合、固定端子230と可動端子210との接触状態は解除される。これによりWP検知スイッチ200では、可動端子210と固定端子230間の導通が遮断されることとなり、カードコネクタ100に装着されたメモリカード20への書き込み禁止であることを検知できる。なお、図14に示すようにメモリカード20をカードコネクタ100に装着した状態では、メモリカード20の電極21と、カードコネクタ100のコンタクトピン140とは接触した状態である。
【0077】
一方、メモリカード20の凹部25内で識別片26が書き込み可能位置にある場合、つまり、凹部25の前側の位置に識別片26が位置する場合、WP検知スイッチ200はその状態を以下のように検知する。
【0078】
図15に示すように、識別片26が書き込み可能な位置にあるメモリカード20がカードコネクタ100に装着されると、カード接触部212は、凹部25内の前側で復元できない。すなわち、カードコネクタ100にメモリカード20が装着された状態において、カード接触部212は、段差部23の下面23aと略同じ高さ位置の下面を有する識別片26によって下方に押圧された状態となり、元の位置に復元できない。これにより、可動端子210は、メモリカード20の下方で、固定端子230に接触した状態となり、書き込み可能であることを電気的に検知する。なお、図15に示すようにメモリカード20をカードコネクタ100に装着した状態では、メモリカード20の電極21と、カードコネクタ100のコンタクトピン140とは接触した状態である。
【0079】
このように、WP検知スイッチ200では、コネクタ本体102に固定された固定端子230に対して、可動端子210が、コネクタ本体102に挿入されるメモリカード20により、メモリカード20の厚み方向に弾性変形する。この変形によって、可動端子210は、固定端子230のパッド部232に接触する。これにより、メモリカード20に対する書き込みを禁止する状態を検知する。
【0080】
本実施の形態のカードコネクタ100では、WP検知スイッチ200は、カードコネクタ100に装着されたメモリカード20の水平投影面積内で接離自在に設けられている。
【0081】
ここでは、WP検知スイッチ200は、カードコネクタ100に装着されたメモリカード20の下方で、可動端子210と固定端子230との接離によって、書き込み可否を検知している。なお、これら可動端子210と固定端子230の接触状態は、窓部104(図8、図11参照)を介してカードコネクタ100の外部から視認できる。
【0082】
これにより、可動端子210と固定端子230とが接触する際の可動領域は、メモリカード20の下方、詳細には段差部23の下方であり、収容部105の側方に確保する必要がない。
【0083】
すなわち、カードコネクタ100では、装着されるメモリカード20によって可動する可動端子210の可動領域を、メモリカード20の厚み方向でストロークするものとし、且つ、メモリカード20において電極21が配設された面と対向する位置に形成している。これにより、WP検知スイッチ200において、可動端子210と固定端子230の可動領域を、コネクタ本体102の幅方向で確保する必要が無く、その分、コネクタ本体102の幅を小さくできる。よって、従来と異なり、カードコネクタ100の幅方向に端子の可動領域を形成することがなく、省スペース化を図ることができる。このように本実施の形態のカードコネクタ100によれば、装着されるメモリカードの形状に近づく形状となるように、より小型化を実現できる。
【0084】
また、WP検知スイッチ200及びコンタクトピン140とハウジング110とがインサート成形により製造される。このため、ハウジング110にWP検知スイッチ200及びコンタクトピン140とハウジング110を手組より端子を組み込む必要がなく、薄肉厚のメモリカードコネクタとすることができる。
【0085】
また、本実施の形態では、WP検知スイッチ200をカードコネクタ100の側壁部分となるハウジングの側壁部114に設けた構成としたが、これに限らず、側壁部115に設けても良い。この場合、側壁部115に設けたイジェクト機構130を、側壁部114に設け、メモリカードもこれに対応する形態に変更するものとする。
【0086】
さらに、本実施の形態では、可動端子210は、ハウジング110の挿入口101側を基端として、メモリカード20の挿入方向に延びる構成としたが、これに限らず、これらを挿入方向に沿って逆の位置に配置してもよい。すなわち、ハウジング110の奥側から挿入口101側に延在する可動端子210と、可動端子210の先端部に形成された接点部214の下方に配置したパッド部232を有する固定端子230とで構成する。
【0087】
なお、本実施の形態におけるWP検知スイッチ200において、可動端子210におけるカード接触部212の位置を、メモリカード20を装着した状態で段差部23により押圧される位置に配置してもよい。このように配置すれば、WP検知スイッチ200は、メモリカード20の挿抜検知スイッチとして機能する。
【0088】
また、本実施の形態のカードコネクタ100は、スタンダードタイプとしたが、これに限らず、リバースタイプのカードコネクタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係るカードコネクタは、装着されるメモリカードの形状に近づく形状となるように、より小型化を実現できる効果を有し、メモリカード、特にSDカード(登録商標)のカードコネクタとして有用である。
【符号の説明】
【0090】
20 メモリカード
21 電極
22、23 段差部
25 凹部
26 識別片
100 カードコネクタ
101 挿入口
102 コネクタ本体
105 収容部
110 ハウジング
116 後端壁部
117、118 ガイドレール
140 コンタクトピン
142、214 接点部
144、215、234 リード部
200 WP検知スイッチ
210 可動端子
212 カード接触部
230 固定端子
232 パッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口を介して挿入されるメモリカードを収容する収容部を備えるハウジングと、
前記収容部に収容されるメモリカードによって開閉するスイッチとを有し、
前記スイッチは、
前記収容部に収容される前記メモリカードと前記メモリカードの厚み方向で対向する面部に設けられる固定端子と、
前記面部に、前記メモリカードの挿入方向に沿って設けられ、且つ、挿入される前記メモリカードの押圧により前記厚み方向に可動して前記固定端子に接触する可動端子と、
を備える、
カードコネクタ。
【請求項2】
前記メモリカードの前記挿入方向に沿う一側部には前記挿入方向に沿って延在する段差部が形成され、
前記ハウジングは、前記収容部に収容された前記メモリカードの厚み範囲内で、前記段差部に前記厚み方向で対向して配置されるレール部を備え、
前記スイッチは、前記レール部の一部を切り欠いた部位に、前記レール部の延在方向に沿って配置されている、
請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記可動端子は、前記面部から前記挿入方向に沿って延在して設けられ、一端部側が前記面部に支持されるとともに他端部が自由端である細長の線状又は帯状の弾性変形可能な部材からなり、
前記他端部と前記一端部との間に形成され、前記収容部内に配置されるカード接触部と、
前記他端部に形成される接点部と、
を有し、
前記接点部は、前記固定端子に対して前記厚み方向で対向配置され、前記カード接触部が、挿入される前記メモリカードにより押圧されて前記面部側に可動することより前記厚み方向に可動して前記固定端子に接触する、
請求項1又は2記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記接点部は、前記カード接触部の可動に伴い前記厚み方向に可動して前記固定端子に摺動する、
請求項3記載のカードコネクタ。
【請求項5】
前記メモリカードは、外面に形成された凹部内の2つの位置間でスライド可能なライトプロテクト検知用の識別片を有し、
前記カード接触部は、前記メモリカードが前記収容部に収容された際に、前記凹部内に位置するように、前記可動端子に形成されている、
請求項3記載のカードコネクタ。
【請求項6】
前記面部には、前記収容部に収容される前記メモリカードに設けられた複数の電極に対応して接触する複数のコンタクトピンが配設されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のカードコネクタ。
【請求項7】
前記固定端子及び前記可動端子の一端部は、各コンタクトピンの一端部とともに、前記面部において挿入方向側の端辺部に沿って立設された後端壁部を介して外方に一列に並んで突出している、
請求項6記載のカードコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記固定端子の側方の部位に、外方に貫通する貫通孔を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−204318(P2012−204318A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70869(P2011−70869)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】