説明

カード型電子装置

【課題】 電子部品を収容する空間の高さをより高く確保する。
【解決手段】 プリント配線板2の下面に配設された電子部品3と、電子部品3を覆うようにプリント配線板2の下面側に設けられたケース4と、ケース4から露出したプリント配線板2の下面に設けられたコンタクト部5と、を備え、プリント配線板2の上面からケース4の下面までの距離が第1の所定値に設定され、コンタクト部5からケースの下面までの距離が第2の所定値に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品を内蔵したカード型(薄型、小型)のカード型電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、SD(Secure Digital)カードは、メモリチップなどの電子部品を内蔵したもので、その外形寸法が規格化されている。例えば、図3に示すように、樹脂・プラスチック製のケース101の厚みH1が2.1mmと規定され、ケース101の底板101b上にプリント配線板102が配設され、このプリント配線板102の上面にメモリチップなどの電子部品103が搭載されている。さらに、プリント配線板102の下面に配設されたコンタクト部104からケース101の底板101bの下面までのオフセットH2は、0.7mmと規定されている。
【0003】
そして、ケース101の天板101aの厚みが0.3mm程度、底板101bの厚みが0.7mm程度に設定され、また、プリント配線板102の厚みが0.4mm程度に設定されている。この結果、電子部品103を収容する収容空間の高さ・厚みH31は、最大0.7mmとなっている。
【0004】
一方、近年、SDカードの応用製品としてSDIO(Secure Digital Input/Output)カードなどが開発、製品化され、メモリチップ以外のいろいろな電子部品が内蔵・搭載されるようになっている。しかしながら、このような電子部品のなかには、その厚みが0.7mmを超えるものもあり、このため、これらの電子部品を内蔵できるように、収容空間の高さをより高くしたSDカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このSDカードは、図4に示すように、ケース111の天板111aの下面にプリント配線板112を配設し、プリント配線板112の下面に電子部品113を搭載して、電子部品113の下方にケース111の底板111bを配置する。また、プリント配線板112に配設されたサブプリント配線板115にコンタクト部114が設けられている。
【0006】
そして、ケース111の厚みH1が2.1mm、オフセットH2が0.7mmと規定され、ケース111の天板111aと底板111bの厚みが0.3mm程度、プリント配線板112の厚みが0.4mm程度に設定されている。これにより、電子部品113を収容する収容空間の高さ・厚みH32が、最大1.1mm確保されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−038266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、SDカードなどのカード型電子装置は、今後増々高機能化、高付加価値化することが予測され、内蔵される電子部品も多種多様となってくる、と考えられる。そして、このような場合に、従来のカード型電子装置では、収容空間が小さく・低く、多種多様な電子部品を内蔵できなくなるおそれがある。つまり、収容空間が小さいために、内蔵できる電子部品が限られ、カード型電子装置の適用・応用範囲が制限されるおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、電子部品の収容空間の高さをより高く確保することができるカード型電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、プリント配線板の下面に配設された電子部品と、前記電子部品を覆うように前記プリント配線板の下面側に設けられたケースと、前記ケースから露出した前記プリント配線板の下面に設けられ、外部と接続するコンタクト部と、を備え、前記プリント配線板の上面から前記ケースの下面までの距離が第1の所定値に設定され、前記コンタクト部から前記ケースの下面までの距離が第2の所定値に設定されている、ことを特徴とするカード型電子装置である。
【0011】
この発明によれば、上面側(一方の面側)にプリント配線板が配置され、下面側(他方の面側)にケースが配置され、プリント配線板とケースとの間である収容空間に、電子部品が配設、収容されたカード型電子装置となる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカード型電子装置において、前記ケース内から延びて前記プリント配線板の下面に当接する支持柱が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、上面側にプリント配線板が配置され、下面側にケースが配置され、このプリント配線板とケースとの間が電子部品の収容空間となるため、収容空間の高さをより高く確保することができる。つまり、本発明のケースが従来(図4、特許文献1)のケースの底板に相当し、プリント配線板が従来のケースの天板を兼ねるため、従来のケースの天板の厚みだけ、収容空間の高さを高くすることができる。
【0014】
また、ケースの天板が不要なため、ケースの材料費、金型費用などを削減して、カード型電子装置の製作費用を低減することができる。しかも、プリント配線板の上面からケースの下面までの距離、つまりカード型電子装置の厚みが第1の所定値(厚みの規定値)に設定され、コンタクト部からケースの下面までの距離、つまりオフセットが第2の所定値(オフセットの規定値)に設定されているため、SDメモリカードなどの規格をクリアすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、プリント配線板の下面に当接する支持柱がケースに設けられているため、プリント配線板が支持柱を介してケースによって支えられる。このため、プリント配線板が外部に露出していても、プリント配線板が補強され、カード型電子装置全体の剛性、強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態に係わるSDカードを示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態におけるプリント配線板とケースとの他の接合例を示す拡大断面図である。
【図3】従来のSDカードを示す断面図である。
【図4】収容空間を高くした従来のSDカードを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に係わるSDカード(カード型電子装置)1を示す断面図である。このSDカード1は、メモリチップなどの電子部品3を内蔵したカード型の電子装置で、主として、プリント配線板2と、電子部品3と、ケース4と、コンタクト部5とを備えている。
【0019】
プリント配線板2は、主として図中下面(一方の面)のみに配線回路がプリントされた回路基板で、その厚みは、0.4mmに設定されている。また、このプリント配線板2は、弾性率、強度、剛性、硬度が高い材料で構成され、SDカード1全体として必要な強度規定・規格を満たすようになっている。さらに、プリント配線板2の上面には、配線が極力少なくなるように、あるいは微細な配線がないように回路構成され、しかも、厚いレジストコートが施されている。このようなプリント配線板2の下面の一端部側に、サブプリント配線板6が配設され、このサブプリント配線板6以外のプリント配線板2の下面に、メモリチップなどの電子部品3が配設されている。
【0020】
ケース4は、樹脂・プラスチック製で、弾性率、強度、剛性が高い材料で構成され、SDカード1全体として必要な強度規定・規格を満たすようになっている。このケース4は、電子部品3を覆うようにプリント配線板2の下面側に配設されている。すなわち、サブプリント配線板6を除いて、すべての電子部品3の下面および側面を覆うように底板4aと側壁4bとが形成され、側壁4bのプリント配線板2側の端面が、接着剤によってプリント配線板2の下面に接合されている。ここで、ケース4の底板4aの厚みは、0.3mmに設定されている。
【0021】
また、ケース4内には、複数の支持柱41が形成されている。この支持柱41は、ケース4の底板4aの上面から延び、プリント配線板2の下面に当接するようにその高さが設定されている。そして、このような支持柱41が、プリント配線板2全面を支持、補強できるように、複数の電子部品3と電子部品3との間に形成されている。
【0022】
さらに、サブプリント配線板6が配設されたプリント配線板2の端縁側には、側壁4bと連結したサブ側壁4cが形成され、このサブ側壁4cによってサブプリント配線板6の外周が覆われている。つまり、サブプリント配線板6の下面(後述するコンタクト部5)のみが、ケース4から露出した状態となっている。
【0023】
このように配設されたサブプリント配線板6の下面に、コンタクト部5が配設されている。このコンタクト部5は、外部と接続するための端子であり、SDカード1を外部の電子機器のスロットに挿入した際に、コンタクト部5を介して外部の電子機器とSDカード1とが接続されるようになっている。
【0024】
このようなSDカード1の外形寸法は、規格に沿うように設定されている。具体的には、この実施の形態では、平面上(プリント配線板2およびケース4)の幅が24mm、長さが32mmで、プリント配線板2の上面からケース4の底板4aの下面までの距離である厚みH1が、2.1mm(第1の所定値)に設定されている。また、コンタクト部5の下面からケース4の底板4aの下面までの距離であるオフセットH2が、0.7mm(第2の所定値)に設定されている。そして、このような外形寸法と、プリント配線板2およびケース底板4aの厚みとから、電子部品3を収容する収容空間の高さ・厚みH3が、1.4mmとなっている。
【0025】
このようなSDカード1によれば、上面側にプリント配線板2が配置され、下面側にケース4が配置され、このプリント配線板2とケース4との間が電子部品3の収容空間となっているため、収容空間の高さH3をより高く確保することができる。つまり、プリント配線板2が従来(図4、特許文献1)のケースの天板を兼ね、ケース天板が不要なため、ケース天板の厚みだけ収容空間の高さを高くすることができる。この結果、上記のように、最大1.4mmの高さを有する電子部品3を収容することができ、内蔵・搭載可能な電子部品3の選択肢が広がることで、より高機能・高付加価値なSDカード1を提供することが可能となる。
【0026】
また、ケースの天板が不要なため、ケース4の材料費、金型費用などを削減して、SDカード1の製作費用を低減することができる。特に、金型費用は高額であるため、金型費用を削減できることで、少量生産時におけるコストを著しく軽減することができる。
【0027】
一方、プリント配線板2の下面に当接する支持柱41がケース4に設けられているため、プリント配線板2が支持柱41を介してケース4によって支えられ、ケース天板を有さずプリント配線板2の上面が外部に露出していても、プリント配線板2が補強される。さらに、プリント配線板2およびケース4自体が、弾性率、強度、剛性が高い材料で構成されているため、SDカード1全体として必要な剛性、強度などを確保することができる。
【0028】
また、プリント配線板2の上面には、配線が極力少なくなるように(ベタグラウンドに)、あるいは微細な配線がないように回路構成され、しかも、厚いレジストコートが施されている。このため、プリント配線板2の上面が外部に露出していても、人による接触や電子機器への挿入などによって、プリント配線板2の上面の回路パターンなどが損傷することが防止される。
【0029】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ケース4の側壁4bの端面が平坦面で、この平坦面がプリント配線板2の下面に当接した状態で接合されているが、接合強度を高めるために、図2に示すようにして接合してもよい。すなわち、ケース4の側壁4bの端面に、L字状の段差4dを形成し、この段差4dに接着剤を介してプリント配線板2の周縁部2aの側面と下面とを接合してもよい。
【0030】
また、プリント配線板2の上面を保護したり、プリント配線板2の強度、剛性などを高めるために、熱硬化性または紫外線硬化性を有する保護フィルムをプリント配線板2の上面に貼り付けてもよい。なお、この明細書では、配置関係をより明確にするために図1、2に示すような上下関係で表現、説明しているが、これらの図、表現と上下関係を逆にした(反転した)もの、つまり、下から順にプリント配線板2、電子部品3、ケース4を配設したものも、この発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 SDカード(カード型電子装置)
2 プリント配線板
3 電子部品
4 ケース
41 支持柱
5 コンタクト部
6 サブプリント配線板
H1 SDカードの厚み
H2 オフセット
H3 収容空間の高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の下面に配設された電子部品と、
前記電子部品を覆うように前記プリント配線板の下面側に設けられたケースと、
前記ケースから露出した前記プリント配線板の下面に設けられ、外部と接続するコンタクト部と、を備え、
前記プリント配線板の上面から前記ケースの下面までの距離が第1の所定値に設定され、前記コンタクト部から前記ケースの下面までの距離が第2の所定値に設定されている、ことを特徴とするカード型電子装置。
【請求項2】
前記ケース内から延びて前記プリント配線板の下面に当接する支持柱が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のカード型電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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