説明

カーボンランプヒータの取付装置、ヒータユニット及びこれを備えた加熱調理器

【課題】カーボンランプヒータの取付けが容易であると共に、ヒータ線と外部電源回路とを確実に接続できるカーボンランプヒータの取付装置と、その取付装置にヒータがセットされたヒータユニットと、そのヒータユニットを備えた加熱調理器を提供する。
【解決手段】ガラス管8の端部に絶縁碍子9が設けられ、絶縁碍子9からヒータ端子10が突出されたカーボンランプヒータ11の取付装置12において、取付装置12の本体側に、ヒータ端子10と電気的に接続する接続受具19が設けられ、接続受具19は、ヒータ端子10を挿入可能な接続孔22が形成された受け部23と、接続孔22に設けられた受け端子24と、ヒータ端子10を受け端子24に挟圧保持する保持手段25とを備えたことを特徴とするカーボンランプヒータ11の取付装置12である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器や保温器等の電気機器の加熱源として使用されるヒータのヒータ端子を、電気機器に電気的に接続するための取付装置と、この取付装置にヒータがセットされたヒータユニットと、さらにヒータユニットを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンランプヒータは、炭素系材料の発熱体が石英ガラス管内に封入された構造で、発熱体の端部からガラス管外へ導出されたヒータ線が外部電源回路に接続されて、発熱体へ電源が供給される。その接続は、ヒータの端部からリード線を引き出し、これを外部電源回路と接続するリード線タイプと、ヒータの端部からヒータ端子を突出させ、これを電源回路のプラグの端子に嵌合接続するソケットタイプとがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−98135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、リード線タイプの場合、カーボンランプヒータのメンテナンス時に、ヒータの取り替え作業が面倒になる。また、ソケットタイプの場合、端子棒をプラグの穴に差し込むことによって外部電源回路と接続するので、メンテナンス時のヒータの取り替え作業は簡単ではあるが、このようなソケットタイプでは、長期の使用によりプラグと端子棒との嵌合がゆるんで、端子棒にぐらつきが発生する可能性があり、接触不良や発熱などの心配がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑み、カーボンランプヒータの取付けが容易であると共に、ヒータ線と外部電源回路とを確実に接続できるカーボンランプヒータの取付装置と、その取付装置にヒータがセットされたヒータユニットと、そのヒータユニットを備えた加熱調理器の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、ガラス管端部に絶縁碍子が設けられ、絶縁碍子からヒータ端子が突出されたカーボンランプヒータの取付装置において、取付装置の本体側に、ヒータ端子と電気的に接続する接続受具が設けられ、接続受具は、ヒータ端子を挿入可能な接続孔が形成された受け部と、接続孔に設けられた受け端子と、ヒータ端子を受け端子に挟圧保持する保持手段とを備えたことを特徴とするカーボンランプヒータの取付装置である。
【0006】
受け部の接続孔にヒータ端子を挿入し、ヒータ端子と接続孔内の受け端子とを接触させ、保持手段で挟圧保持することにより、確実にヒータ端子と受け端子とを接続することができる。また、溶接などの作業も不要であるため、接続作業が容易である。
【0007】
保持手段は、接続孔を含む受け部が複数に分割されて分割受け部とされ、接続孔が拡縮自在に構成され、接続孔を縮径側に締め付ける締付部が設けられた構成とすることができる。
【0008】
また、締付部として、分割受け部を背面側から接続孔縮径側に押圧する手段、具体的にはネジを設けることができる。
【0009】
カーボンランプヒータは、ガラス管の両端側にヒータ端子を備えてもよいし、ガラス管の一端側に一対のヒータ端子を備え、ガラス管の他端側が封止された片側端子接続型としてもよい。片側端子接続型の場合は、ガラス管の他端封止部を受け具に係合載置するとよい。
【0010】
また、カーボンランプヒータは、これに限定されるものではないが、内側ガラス管及び外側ガラス管からなる内外二重構造のガラス管と、内側ガラス管内に配置された発熱体と、発熱体に沿ってその一側に配置され、発熱体からの発熱を反射させる反射板とを備え、反射板が発熱体への電源供給回路の一部を構成するよう発熱体と電気的に接続された構成とすることができる。
【0011】
このように、ガラス管端部に絶縁碍子が設けられ、絶縁碍子からヒータ端子が突出されたカーボンランプヒータと、ヒータ端子を外部電源回路に電気的に接続する取付装置とからなるヒータユニットを、加熱調理器などの電気機器に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によると、受け部の接続孔にヒータ端子を挿入して、ヒータ端子と接続孔内の受け端子とを接触させ、保持手段によって挟圧保持すればよいので、溶接などの作業が不要となり、接続作業が容易である。また、保持手段によって挟圧保持することにより、確実にヒータ端子と受け端子とを接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る加熱調理器の斜視図、図2は同じく加熱調理器の分解斜視図、図3は本発明に係るヒータユニットを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図、図4は本発明に係るカーボンランプヒータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は左側面図、図5は本発明に係る接続受具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0014】
本実施形態における加熱調理器1は、図1及び図2に示すように、上面が開口した箱状の筐体2と、筐体2の上面開口に載置され、開口3aを有する受け板3と、受け板3の開口3aに着脱自在に搭載される加熱プレートや加熱鍋などの加熱体4と、筐体2内に形成され、ヒータユニット6を支持するヒータユニット支持部5と、加熱手段としての複数のヒータユニット6と、ヒータユニット6よりも下方に配され、筐体2の前面から引き出し自在なドレンパン7と、ドレンパン7よりも下方に設けられた操作ユニット(図示せず)とを備えている。
【0015】
加熱体4は、加熱プレートや調理鍋から構成される。加熱プレートは、例えば、たこ焼きプレート、大判焼きプレート、お好み焼きプレート、鉄板焼きプレート、シュウマイや餃子焼き等を調理する蓋付きプレート、焼きおにぎり、焼き芋、みたらしを調理するプレートが例示できる。調理鍋としては、麺類をゆでる調理鍋やおでんを調理保温するおでん鍋が例示できる。図1及び図2には、たこ焼きプレート4を例示している。
【0016】
ヒータユニット支持部5は、長板状に形成され、筐体2の内部上方位置に、左右の側壁2a間に差し渡して設けられている。ヒータユニット支持部5は、筐体2の前後に一対設けられ、ヒータユニット6の両端を支持する。
【0017】
ヒータユニット6は、前後のヒータユニット支持部5に水平に架け渡して設けられ、左右方向に複数並んで配置される。図3に示すように、ヒータユニット6は、透明なガラス管8の端部に絶縁碍子9が設けられ、絶縁碍子9からヒータ端子10が突出されたカーボンランプヒータ11と、ヒータ端子10を電気機器に電気的に接続する取付装置12とを備える。
【0018】
カーボンランプヒータ11は、図4に示すように、ガラス管8の一端側に、絶縁碍子9から突出した一対のヒータ端子10を備え、ガラス管8の他端側が封止された片側端子接続型である。具体的には、カーボンランプヒータ11は、内側ガラス管8a及び外側ガラス管8bからなる内外二重構造のガラス管8を有し、内側ガラス管8a内に、遠赤外線の放射率の高い炭素系材料からなる長尺薄板状の発熱体13が封入される。発熱体13の両端は接続金具14に挟持され、接続金具14から内側ガラス管8a外へリード線15、15が引き出される。また、発熱体13に沿って、内側ガラス管8aと外側ガラス管8bとの間に、導電性の反射板16が設けられる。反射板16は、発熱体13の一側に配置され、発熱体13からの輻射熱を反射させる。
【0019】
発熱体13から引き出されたリード線15、15のうち、絶縁碍子側のリード線15は、ヒータ端子10に接続される。封止側のリード線15は、別のリード線17を介して、反射板16の封止側の端部に接続される。そして、反射板16の絶縁碍子側の端部に、別のリード線18が接続され、さらにヒータ端子10に接続される。このように、反射板16が発熱体13への電源供給回路の一部を構成するように、反射板16と発熱体13とが電気的に接続されている。
【0020】
取付装置12は、図3に示すように、ヒータ端子10と電気的に接続する接続受具19と、ガラス管8の他端封止部11aが係合載置される受け凹部20a付きの受け具20とを備える。接続受具19は後方のヒータユニット支持部5に固定され、受け具20は前方のヒータユニット支持部5に固定される。なお、接続受具19及び受け具20の取付位置が前後逆でもよい。
【0021】
接続受具19は、図3及び図5に示すように、金属製のケース21と、ケース21内に収容され、ヒータ端子10を挿入可能な接続孔22が形成された受け部23と、接続孔22に設けられた受け端子24と、ヒータ端子10を受け端子24に挟圧保持する保持手段25とを備える。受け端子24は、加熱調理器1の本体の電極(図示せず)に接続されている。
【0022】
ケース21は、断面コの字状の上ケース26及び下ケース27から構成され、互いの凹側が向きあうようにして、下ケース27の上に上ケース26が嵌合される。上ケース26は、天板26a及び左右の側板26bとから構成される。天板27aにネジ孔が設けられ、その内壁面にはネジ溝が形成される。下ケース27は、底板27a及び左右の側板27bとから構成され、底板27aが後方へ延長されて、その延長部分に固定孔が設けられる。この固定孔を用いてヒータユニット支持部5にネジ28で固定される。
【0023】
受け部23は、絶縁碍子製で直方体形状であり、接続孔22の中間位置を境にして上下に分割されて、上方分割受け部23a及び下方分割受け部23bとされる。すなわち、上方分割受け部23aと下方分割受け部23bとの各対向面に、接続孔22の一部が形成される。この上方分割受け部23aと下方分割受け部23bとの間隔を調整することにより、接続孔22が拡縮自在に構成される。
【0024】
受け端子24は上下に分割され、上方受け端子24aが上方分割受け部23aの接続孔22に固定され、下方受け端子24bが下方分割受け部23bの接続孔22に固定される。また、受け端子にはばね性がもたされており、ヒータ端子10の保持をより確実なものとできる。なお、受け部23を、接続孔22の境にして上下に分割したが、これに限定されるものではなく、左右に分割するようにしてもよい。これに合わせて、受け端子24も左右に分割すればよい。
【0025】
保持手段25は、接続孔22を縮径側に締め付ける締付部29を有する。締付部29として、上方分割受け部23aを背面側(上方側)から接続孔22縮径側(下方側)に押圧するネジ29aと、上方分割受け部23aの上面に載置される押さえ板29bとから構成される。ネジ29aは、上ケース26のネジ孔に螺合される。ネジ29aを羅進させることにより、押さえ板29bを介して上方分割受け部23aを下方分割受け部23b側へ押圧する。押圧を進めることにより、接続孔22を縮径することができる。反対に、ネジ29aを緩めることにより、接続孔22を拡径することができる。
【0026】
受け具20は、図3に示すように、上端に受け凹部20aを有し、カーボンランプヒータ11の他端封止部11aを載置することができる。なお、これに限定されるものではなく、凹部の代わりに孔を形成し、そこにカーボンランプヒータ11の他端封止部11aを挿入して保持させるようにしてもよい。
【0027】
上記構成において、筐体2内にカーボンランプヒータ11を取り付ける際には、他端封止部11aを受具の凹部20aに載置し、カーボンランプヒータ11のヒータ端子10を、受け部の接続孔22内に挿入する。そして、ネジ29aを締め付け操作して羅進させることにより、押さえ板29bを介して上方分割受け部23aを下方分割受け部23b側へ押圧し、接続孔22を縮径させて、ヒータ端子10を受け端子24に適当な圧力で挟圧保持することができる。
【0028】
また、カーボンランプヒータ11を取り外す際には、ネジ29aを緩めて後退させることにより、上方分割受け部23aの下方分割受け部23b側への押圧を緩め、接続孔22を拡径し、接続孔22からヒータ端子10を抜き取ればよい。
【0029】
このように、ネジ29aの操作だけで簡単にカーボンランプヒータ11を着脱できるので、専門的な技術をもたない者でも簡単に加熱調理器1への組み込みを行うことができる。また、ネジ29aの操作によってその挟圧の力を調節しながら、ヒータ端子10を受け端子24に挟圧保持するので、その接続の安定性が高い。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では、ヒータユニット6を加熱体4の下方側に設け、加熱体4を下方から加熱したが、ヒータユニット6を加熱体4の上方側に設けてもよい。その場合、ヒータユニット6を180°回転させて設置するようにすればよい。
【0031】
また、上記実施形態では、片側端子接続型のカーボンランプヒータを用いたが、ガラス管の両端側にヒータ端子を備えたカーボンランプヒータを用いてもよい。その場合、取付装置12は、ヒータ端子10と電気的に接続する接続受具19を、ガラス管8の両端に設け、受け具20を省略する構成とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る加熱調理器の斜視図
【図2】同じく加熱調理器の分解斜視図
【図3】本発明に係るヒータユニットを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図
【図4】本発明に係るカーボンランプヒータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は左側面図
【図5】本発明に係る接続受具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図
【符号の説明】
【0033】
1 加熱調理器
2 筐体
3 受け板
4 加熱体
5 ヒータユニット支持部
6 ヒータユニット
7 ドレンパン
8 ガラス管
8a 内側ガラス管
8b 外側ガラス管
9 絶縁碍子
10 ヒータ端子
11 カーボンランプヒータ
11a 他端封止部
12 取付装置
13 発熱体
16 反射板
19 接続受具
20 受け具
21 ケース
22 接続孔
23 受け部
23a 上方分割受け部
23b 下方分割受け部
24 受け端子
25 保持手段
26 上ケース
27 下ケース
28 ネジ
29 締付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管端部に絶縁碍子が設けられ、該絶縁碍子からヒータ端子が突出されたカーボンランプヒータの取付装置において、前記取付装置の本体側に、ヒータ端子と電気的に接続する接続受具が設けられ、
該接続受具は、ヒータ端子を挿入可能な接続孔が形成された受け部と、前記接続孔に設けられた受け端子と、前記ヒータ端子を前記受け端子に挟圧保持する保持手段とを備えたことを特徴とするカーボンランプヒータの取付装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記接続孔を含む受け部が複数に分割されて分割受け部とされ、前記接続孔が拡縮自在に構成され、前記接続孔を縮径側に締め付ける締付部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のカーボンランプヒータの取付装置。
【請求項3】
前記締付部は、前記分割受け部を背面側から前記接続孔縮径側に押圧するネジが設けられたことを特徴とする請求項2に記載のカーボンランプヒータの取付装置。
【請求項4】
前記カーボンランプヒータは、ガラス管の一端側に一対のヒータ端子を備え、ガラス管の他端側が封止された片側端子接続型であって、前記ガラス管の他端封止部が受け具に係合載置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンランプヒータの取付装置。
【請求項5】
前記カーボンランプヒータは、内側ガラス管及び外側ガラス管からなる内外二重構造のガラス管と、内側ガラス管内に配置された発熱体と、該発熱体に沿ってその一側に配置され、発熱体からの発熱を反射させる反射板とを備え、該反射板が発熱体への電源供給回路の一部を構成するよう前記発熱体と電気的に接続されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンランプヒータの取付装置。
【請求項6】
ガラス管端部に絶縁碍子が設けられ、該絶縁碍子からヒータ端子が突出されたカーボンランプヒータと、前記ヒータ端子を外部電源回路に電気的に接続する請求項1〜5のいずれかに記載の取付装置とを備えたことを特徴とするヒータユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のヒータユニットを備えたことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−49893(P2010−49893A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212223(P2008−212223)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(595001402)株式会社シルクインダストリー (3)
【出願人】(595127610)イサオ電機株式会社 (5)
【Fターム(参考)】