説明

ガス処理ユニット及びガス処理システム

【課題】防爆エリアであっても適切にガスを処理することができるガス処理ユニット及びガス処理システムを提供する。
【解決手段】ガス処理ユニット10(20)は、防爆エリアに設置されるものである。ガス処理ユニット10(20)は、脱臭スクラバー11(脱臭槽21)及びエアーエジェクター12(22)を備える。脱臭スクラバー11(脱臭槽21)は、処理対象のガスから除去対象成分を除去するための処理空間11a(21a)を内部に画成するとともに、導入口及び排気口を有する。エアーエジェクター12(22)は、脱臭スクラバー11(脱臭槽21)の導入口に接続され、圧縮空気を用いて処理対象のガスを処理空間へ導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、ガス処理ユニット及びガス処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一種のガス処理システムが記載されている。特許文献1に記載されたガス処理システムは、湿式ガス処理装置及び乾式ガス処理装置を備えており、プラントから排出される排ガス中に含まれる除去対象成分を除去するものである。ガス処理システムの吸排気系には、ブロア及びファンが用いられる。また、湿式ガス処理装置の水循環系にはポンプが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−36513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のガス処理システムにあっては、吸排気及び水循環に電力駆動する機器を利用する必要がある。このため、可燃性ガスを処理するという用途には適さない。当技術分野においては、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができるガス処理ユニット及びガス処理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係るガス処理ユニットは、防爆エリアで用いられるものである。ガス処理ユニットは、処理本体部及び送風部を備える。処理本体部は、処理対象のガスから除去対象成分を除去するための処理空間を内部に画成する。処理本体部は、処理空間へ処理対象のガスを導入する導入口及び処理空間からガスを排気する排気口を有する。送風部は、処理本体部の導入口に接続され、圧縮空気を用いて処理対象のガスを処理空間へ導入する。
【0006】
このガス処理ユニットでは、送風部の駆動源を圧縮空気とすることにより、電気を利用しないで送風を行うことができる。従って、火花等が発生することを回避することが可能となる。よって、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができる。
【0007】
一実施形態においては、送風部は、圧縮空気の供給口、処理対象のガスの吸引口及び排出口を有する本体部を備えてもよい。本体部に導入された圧縮空気によって本体部内部の圧力を低減させて吸引口から処理対象のガスを吸引し、排出口から処理対象のガスを排出してもよい。このように構成することで、圧縮空気を駆動源とすることができる。
【0008】
一実施形態においては、処理空間へ処理溶液を散布する散布部と、圧縮空気を用いて前記散布部へ前記処理溶液を供給するダイヤフラムポンプとをさらに備えてもよい。このように、湿式のガス処理装置であってもよい。また、ダイヤフラムポンプを用いることで、電気を利用しないで水を供給することができる。従って、火花等が発生することを回避することが可能となる。よって、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができる。
【0009】
また、本発明の別の側面に係るガス処理システムは、ガス処理ユニットを複数有し、防爆エリアで用いられるものである。ガス処理ユニットは、処理本体部及び送風部を備える。処理本体部は、処理対象のガスから除去対象成分を除去するための処理空間を内部に画成する。処理本体部は、処理空間へ処理対象のガスを導入する導入口及び処理空間からガスを排気する排気口を有する。送風部は、処理本体部の導入口に接続され、圧縮空気を用いて処理対象のガスを処理空間へ導入する。さらに、一方のガス処理ユニットの排気口と、他方のガス処理ユニットの導入口とが連結管によって接続されている。
【0010】
このガス処理システムでは、送風部の駆動源を圧縮空気とすることにより、電気を利用しないで送風を行うことができる。従って、火花等が発生することを回避することが可能となる。よって、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができる。さらに、ガス処理ユニット同士を連結することができるので、ガス処理ユニットを用途に応じて用意して組み合わせることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の種々の側面及び実施形態によれば、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができるガス処理ユニット及びガス処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係るガス処理システムの概要図である。
【図2】一実施形態に係る湿式ガス処理ユニットの正面図である。
【図3】図2に示す湿式ガス処理ユニットの右側面図である。
【図4】図2に示す湿式ガス処理ユニットの左側面図である。
【図5】図2に示す湿式ガス処理ユニットの平面図である。
【図6】一実施形態に係る乾式ガス処理ユニットの側面図である。
【図7】図6に示す乾式ガス処理ユニットの平面図である。
【図8】一実施形態に係る他の乾式ガス処理ユニットの側面図である。
【図9】図8に示す乾式ガス処理ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0014】
図1は、一実施形態に係るガス処理システムの一例を示す構成図である。本実施形態に係るガス処理システムは、精油所等のプラントにおける防爆エリアで好適に採用される。精油所における防爆エリアとは、可燃性ガスを取り扱うエリアである。
【0015】
図1に示すように、ガス処理システムは、2つのガス処理ユニット10,20を備えている。ガス処理ユニット10,20は、処理対象のガスに対して脱臭処理を行う。ここで、脱臭処理とは、ガスに含まれる臭気成分(除去対象成分)を取り除く処理である。なお、以下では、タンク30をガス発生源として説明する。また、ここではタンク30がベンゼンを貯留するタンクであるとする。ガス処理ユニット10は、タンク30にフレキシブルダクト40を介して接続されている。また、ガス処理ユニット20は、ガス処理ユニット10にフレキシブルダクト(連結管)41を介して接続されている。すなわち、タンク30の下流側に、ガス処理ユニット10,20が順に連結された状態で配置されている。このため、タンク30で発生したガスは、ガス処理ユニット10へ供給されて処理された後、ガス処理ユニット20で処理され、系外へ放出される。
【0016】
また、ガス処理ユニット10,20は、圧縮空気が導入可能に構成されている。例えば、ガス処理ユニット10は、エア配管52を介してコンプレッサ39に接続されている。コンプレッサ39は、圧縮空気を発生させる機能を有する。なお、コンプレッサ39は、防爆エリア外に配置されるものであるが、説明の便宜上、同一の図面上に図示している。また、ガス処理ユニット20は、エア配管52,53を介してコンプレッサ39に接続されている。ガス処理ユニット10,20は、コンプレッサ39から供給される圧縮空気を駆動源として駆動する。
【0017】
ガス処理ユニット10の詳細構成を説明する。図2は、ガス処理ユニット10の正面図である。図3は、ガス処理ユニット10の右側面図である。図4は、ガス処理ユニット10の左側面図である。図5は、ガス処理ユニット10の平面図である。
【0018】
図1〜5に示すように、ガス処理ユニット10は、ベース盤10a上に脱臭スクラバー(処理本体部)11及びエアーエジェクター(送風部)12を備えている。脱臭スクラバー11は、円柱状を呈し、例えばステンレスで構成されている。脱臭スクラバー11は、処理対象のガスから臭気成分を除去するための処理空間11aを内部に画成している。脱臭スクラバー11の下部側には、処理空間11aへガスを導入する導入口11bが設けられている。また、脱臭スクラバー11の上部側には、処理空間11aからガスを排気する排気口11cを有する。すなわち、脱臭スクラバー11へ導入されたガスは、下から上に向けて処理空間11a内を移動する。
【0019】
エアーエジェクター12は、脱臭スクラバー11とフレキシブルダクト40との間に配置される。エアーエジェクター12は、吸引口12b及び排出口12cを有する筒状の本体部を備えている。吸引口12bは、フレキシブルダクト40に接続され、排出口12cは、脱臭スクラバー11の導入口11bに接続される。本体部には、圧縮空気の供給口12aが設けられており、エア配管54が接続されている。これにより、圧縮空気がエア配管52,54を介して本体部へ供給され、本体部内部の圧力を低減させ、吸引口12bから処理対象のガスを吸引し、排出口12cから処理対象のガスを排出する。このように、エアーエジェクター12は、圧縮空気を利用して、処理空間11aへガスを導入する。なお、供給口12a側には、圧縮空気を調整するバルブ104がエア配管54に設けられており、当該バルブ104の上流側に元圧力を測定する圧力計106、当該バルブ104の下流側に供給圧力を測定する圧力計102が設けられている。圧力計102の指示値に基づいて、エアーエジェクター12の駆動用圧縮空気の流量制御を行なってもよい。
【0020】
また、脱臭スクラバー11は、スプレーノズル(散布部)60,61を備えている。スプレーノズル60,61は、処理空間11aに配置される。例えば、導入口11bより上方で、かつ、排気口11cより下方に配置される。スプレーノズル60,61は、微細孔を有する管状部材であり、処理溶液を霧状にして処理空間11a内に散布する。処理溶液は、臭気成分を吸着する成分を含む溶液である。例えば、炭化水素油である灯油、軽油等の吸着材が溶解された水である。スプレーノズル60,61から散布された処理溶液は、処理空間11aの下部に貯留される。なお、貯留された処理溶液は、液面計14により液面が監視される。液面計14の測定結果に基づいて、不要な処理溶液は配管15から排出される。
【0021】
スプレーノズル60,61には、水配管63を介してダイヤフラムポンプ13が接続されている。ダイヤフラムポンプ13は、脱臭スクラバー11の下部に貯留された処理溶液を、水配管64を介して吸引し、スプレーノズル60,61へ供給する。すなわち、ダイヤフラムポンプ13は、循環させた処理溶液をスプレーノズル60,61へ供給する。
【0022】
ダイヤフラムポンプ13には、エア配管55を介して圧縮空気が供給される。圧縮空気がダイヤフラムポンプ13の空気室へ供給されるとダイヤフラムが移動して、液室に圧力変動をもたらす。これにより、処理溶液の吸引と吐出とが行われ、スプレーノズル60,61へ処理溶液が供給される。なお、ダイヤフラムポンプ13の吐出側には、流量計及び脈動防止用のアキュムレータが配置されてもよい。また、エア配管55には、フィルター、レギュレータ及びルブリケータが配置されてもよい。
【0023】
また、処理空間11aにおいて、スプレーノズル60,61よりも上方側には、デミスター62が配置されており、上昇気流に伴って上昇した霧状の液滴が回収される。また、脱臭スクラバー11の上端側には、配管11dとボール弁とが設けられており、この配管11dに設けられたボール弁を開とすることにより、脱臭スクラバー11から系外へガスを放出可能に構成されている。配管11dを備えることにより、後述するように脱臭スクラバー11の単独運転が実現する。
【0024】
また、ガス処理ユニット10には、静電気対策としてアース100が設置されている。接地抵抗としては、例えば100Ω以下で使用される。このように構成することで、例えば、静電気を発生しやすい炭化水素油を処理溶液として利用することができる。また、フレキシブルダクト40は、静電気対策としてアース付きダクトを採用してもよい。
【0025】
以上、ガス処理ユニット10は、圧縮空気を利用したエアーエジェクター12を用いて脱臭スクラバー11へガスが供給されるとともに、圧縮空気を利用したダイヤフラムポンプ13によって脱臭スクラバー11へ処理溶液が供給されて、脱臭処理がなされる。すなわち、電気を利用しないで送風及び給水を行うことができる。従って、火花等が発生することを回避することが可能となる。よって、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができる。さらに、ガス処理ユニット10の電源を確保するための仮設電源工事も不要となる。ガス処理ユニット10によって脱臭されたガスは、フレキシブルダクト41を介してガス処理ユニット20へ供給される。なお、脱臭スクラバー11は、処理溶液を噴霧するスプレータイプのスクラバーを例に説明したが、特に限定されるものではない。例えば、処理溶液を放出する多孔が形成されたトレイを内部に複数段配置したトレイタイプのスクラバー、又は、吸着材等を内部に充填した充填物タイプのスクラバーを使用してもよい。
【0026】
次に、ガス処理ユニット20の詳細構成を説明する。図6は、ガス処理ユニット20の側面図である。図7は、ガス処理ユニット10の平面図である。図1,6,7に示すように、ガス処理ユニット20は、ベース盤20a上に脱臭槽(処理本体部)21及びエアーエジェクター(送風部)22を備えている。脱臭槽21は、円柱状を呈し、例えばステンレスで構成されている。脱臭槽21は、処理対象のガスから臭気成分を除去するための処理空間21aを内部に画成している。脱臭槽21の下部側には、処理空間21aへガスを導入する導入口21bが設けられている。また、脱臭槽21の上部側には、処理空間21aからガスを排気する排気口21cを有する。ガス処理ユニット10における脱臭スクラバー11の排気口11cと、ガス処理ユニット20における脱臭槽21の導入口21bとがフレキシブルダクト41を介して接続されている。すなわち、ガス処理ユニット10から脱臭槽21へ導入されたガスは、下から上に向けて処理空間21a内を移動する。
【0027】
エアーエジェクター22は、脱臭槽21とフレキシブルダクト41との間に配置される。エアーエジェクター22は、吸引口22b及び排出口22cを有する筒状の本体部を備えている。吸引口22bは、フレキシブルダクト41に接続され、排出口22cは、脱臭槽21の導入口21bに接続される。本体部には、圧縮空気の導入口22aが設けられており、エア配管53が接続されている。これにより、圧縮空気がエア配管52,53を介して本体部へ供給され、本体部内部の圧力を低減させ、吸引口22bから処理対象のガスを吸引し、排出口22cから処理対象のガスを排出する。このように、エアーエジェクター22は、圧縮空気を利用して、処理空間21aへガスを導入する。供給口22a側には、圧縮空気を調整するバルブ105がエア配管53に設けられており、当該バルブ105の下流側に供給圧力を測定する圧力計103が設けられている。圧力計103の指示値に基づいて、エアーエジェクター22の駆動用圧縮空気の流量制御を行なってもよい。
【0028】
脱臭槽21の内部には、供給されたガスを攪拌させるための略円錐状の分散板21dが設けられている。また、分散板21dの上方には、臭気成分を吸着させる吸着材21eが充填されている。ここではベンゼンを吸着させるためのシリカゲルが充填されている。また、脱臭槽21の排気口21cには、配管42が接続されており、配管42の端部には金属等からなる網状のアレスターが配置されている。
【0029】
以上、ガス処理ユニット20は、圧縮空気を利用したエアーエジェクター22を用いて脱臭槽21へガスが供給されて、脱臭処理がなされる。脱臭されたガスは、配管42を介して系外へ放出される。すなわち、電気を利用しないで送風を行うことができる。従って、火花等が発生することを回避することが可能となる。よって、防爆エリアであっても適切にガスを処理することができる。さらに、ガス処理ユニット20の電源を確保するための仮設電源工事も不要となる。
【0030】
また、ガス処理ユニット20には、静電気対策としてアース101が設置されている。接地抵抗としては、例えば100Ω以下で使用される。また、フレキシブルダクト41は、静電気対策としてアース付きダクトを採用してもよい。
【0031】
上述した構成を有するガス処理システム1によって脱臭処理が適切に行われる。例えば、ベンゼンを貯留させたタンク30を開放する際に、タンク30にガス処理ユニット10,20を連結して運転することにより、ベンゼンを除去した空気を系外へ放出することができる。なお、脱臭槽21の配管42にベンゼン濃度を計測するセンサを備え、当該センサ値によってベンゼン濃度が所定値以下で一定となった場合には、脱臭作業を終了としてもよい。
【0032】
上記実施形態では、ベンゼンを貯留したタンク30を開放する際の脱臭処理を説明したが、他の原料が貯留されたタンクを開放する際の脱臭処理に用いられてもよい。例えば、原油が貯留されていた別のタンクを開放する際には、フレキシブルダクト40をタンク30から取り外して、当該タンクに接続し、ガス処理システム1を動作させればよい。この場合、脱臭スクラバー11の配管11dに設けられたボール弁を開とすることにより、脱臭スクラバー11で処理した空気が系外へ排出される。このように、原油タンクを開放する際には、ボール弁を開とすることにより、ガス処理ユニット10のみを単独で動作させて脱臭処理を行うことができる。また、脱臭成分によっては、ダイヤフラムポンプ13へ圧縮空気を供給するエア配管55の弁を閉とすることで、ガス処理ユニット20のみを単独で動作させて脱臭処理を行うことも可能である。このように、ガス処理システム1では、脱臭スクラバー11と脱臭層21とを分離して構成し、連結運転及び単独運転可能に構成されている。さらに、脱臭スクラバー11を分割可能に構成したり、図6に示すように脱臭槽21の配管42に吊り治具42dを設けたりすることで、可搬性を向上させてもよい。
【0033】
さらに、ガス処理システム1は、ガス処理ユニット同士を連結することができるので、3以上のガス処理ユニットを連結してもよいし、ガス処理ユニットを使用目的や用途に応じて用意して組み合わせてもよい。例えば、硫化水素等を脱臭するための酸化亜鉛や活性炭を充填材として有するガス処理ユニットを含んでガス処理システム1を構成してもよい。図8,9は、臭気成分を吸着させる吸着材91eとして酸化亜鉛が充填されたガス処理ユニット90を説明する概要図である。図8は、ガス処理ユニット90の側面図である。図9は、ガス処理ユニット90の平面図である。図8,9に示すように、ガス処理ユニット90は、ベース盤90a上に脱臭槽(処理本体部)91及びエアーエジェクター(送風部)92を備えている。脱臭槽91は、円柱状を呈し、例えばステンレスで構成されている。脱臭槽91は、処理対象のガスから臭気成分を除去するための処理空間91aを内部に画成している。脱臭槽91の下部側には、処理空間91aへガスを導入する導入口91bが設けられている。また、脱臭槽91の上部側には、処理空間91aからガスを排気する排気口91cを有する。すなわち、脱臭槽91へ導入されたガスは、下から上に向けて処理空間91a内を移動する。
【0034】
エアーエジェクター92は、吸引口92b及び排出口92cを有する筒状の本体部を備えている。排出口92cは、脱臭槽91の導入口91bに接続される。本体部には、圧縮空気の供給口が設けられており、エア配管が接続される。これにより、圧縮空気がエア配管を介して本体部へ供給され、本体部内部の圧力を低減させ、吸引口92bから処理対象のガスを吸引し、排出口92cから処理対象のガスを排出する。このように、エアーエジェクター92は、圧縮空気を利用して、処理空間21aへガスを導入する。
【0035】
脱臭槽91の内部には、供給されたガスを攪拌させるための略円錐状の分散板91dが設けられている。また、分散板91dの上方には、臭気成分を吸着させる吸着材91eが充填されている。ここでは硫化水素を吸着させるための酸化亜鉛が充填されている。また、脱臭槽91の排気口91cには、配管72が接続されている。配管72の端部に、金属等からなる網状のアレスターを配置してもよい。可搬性を向上させるべく吊り治具72dを設けてもよい。
【0036】
以上、ガス処理ユニット90は、圧縮空気を利用したエアーエジェクター92を用いて脱臭槽91へガスが供給されて、脱臭処理がなされる。脱臭されたガスは、配管72を介して系外へ放出される。上述したガス処理ユニット90は、ガス処理ユニット10の下流側へ連結してもよいし、単独でタンク等に連結してもよい。
【0037】
また、上述したタンクの解放時以外においても、脱臭処理が必要な場合がある。例えば、製油所のシャットダウン作業時においては、タンクや装置内の可燃性流体を系外(例えばオイルキャッチャー等)へ排出してスチーミング作業を行う。この作業時に硫化水素が排出される。この場合、ガス処理ユニット10,20を連結したガス処理システム1を採用し、ガス処理ユニット20のみを単独運転させて硫化水素を吸着させてもよいし、ガス処理ユニット20のみを連結して運転することで硫化水素を吸着させてもよい。また、硫化水素の吸着には、活性炭を用いることも可能であり、好ましくは酸化亜鉛が用いられる。このため、酸化亜鉛が充填されたガス処理ユニット90をガス処理システム1に含ませて単独運転させることで硫化水素を適切に吸着させてもよいし、ガス処理ユニット90のみを連結して運転することで硫化水素を吸着させてもよい。
【0038】
さらに、上述したガス処理システム1の弁、センサ類その他構成機器を制御部に接続し、制御部がセンサ類の出力値(指示値)に基づいてガス処理システム1の動作を制御してもよい。なお、制御部は、CPU、ROM及びRAM等を備える通常のコンピュータとして構成される。
【符号の説明】
【0039】
1…ガス処理システム、10,20,90…ガス処理ユニット、11…脱臭スクラバー(本体処理部)、11a,21a,91a…処理空間、11b…導入口、11c…排気口、12,22,92…エアーエジェクター(送風部)、13…ダイヤフラムポンプ、60,61…スプレーノズル(散布部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防爆エリアで用いられるガス処理ユニットであって、
処理対象のガスから除去対象成分を除去するための処理空間を内部に画成し、前記処理空間へ処理対象のガスを導入する導入口及び前記処理空間からガスを排気する排気口を有する処理本体部と、
前記導入口に接続され、圧縮空気を用いて処理対象のガスを前記処理空間へ導入する送風部と、
を備えるガス処理ユニット。
【請求項2】
前記送風部は、圧縮空気の供給口、処理対象のガスの吸引口及び排出口を有する本体部を備え、前記本体部に導入された圧縮空気によって前記本体部内部の圧力を低減させて前記吸引口から処理対象のガスを吸引し、前記排出口から処理対象のガスを排出する請求項1に記載のガス処理ユニット。
【請求項3】
前記処理空間へ処理溶液を散布する散布部と、
圧縮空気を用いて前記散布部へ前記処理溶液を供給するダイヤフラムポンプと、
をさらに備える請求項1又は2に記載のガス処理ユニット。
【請求項4】
ガス処理ユニットを複数有し、防爆エリアで用いられるガス処理システムであって、
前記ガス処理ユニットは、
処理対象のガスから除去対象成分を除去するための処理空間を内部に画成し、前記処理空間へ処理対象のガスを導入する導入口及び前記処理空間からガスを排気する排気口を有する処理本体部と、
前記導入口に接続され、圧縮空気を用いて処理対象のガスを前記処理空間へ導入する送風部と、
を備え、
一方の前記ガス処理ユニットの前記排気口と、他方の前記ガス処理ユニットの前記導入口とが連結管によって接続されているガス処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22565(P2013−22565A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162432(P2011−162432)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】