説明

ガス混合装置、合成ガス製造装置、ガス混合方法及び合成ガス製造方法

【課題】簡素な装置構成にて可燃性ガスと、助燃性ガスとを速やかに混合することの可能なガス混合装置及びこの装置を利用した合成ガス製造装置等を提供する。
【解決手段】内管21と外管22とからなる二重管内の各流路より可燃性ガス及び助燃性ガスを供給してこれらを混合するガス混合装置において、第1の案内部材23は、内管21の一端側のガス流出口から流出したガスを外方に案内し、第2の案内部材24は外管22の内周壁に沿って環状に設けられると共に、その内周部が外周部よりも上流側に位置し、かつその内周部が第1の案内部材23の外周部よりも中央側に位置している。また第3の案内部材25は、前記第2の案内部材24で囲まれる領域に対向するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばメタン等を含む可燃性ガスと、酸素含有ガス等の助燃性ガスとを混合する技術及びこのガス混合技術を利用して合成ガスを製造する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、石油、石炭等化石燃料の大量消費に起因する地球環境問題や将来の石油資源の枯渇問題が取り上げられていることから、天然ガス等から製造されるクリーンな燃料であるGTL(炭化水素液体燃料)やDME(ジメチルエーテル)が注目されている。GTLやDMEを製造する原料ガスは合成ガスと呼ばれ、一酸化炭素と水素とを含んでいる。
【0003】
このような合成ガスを製造する手法としては、天然ガス等をスチームにより改質するスチーム改質法(SMR)、無触媒下で酸素を用いる部分酸化法(POX)、あるいは酸素バーナーを用いた酸化反応とスチーム改質反応とを同一反応器内で行うオートサーマルリフォーミング法(ATR法)等が従来より知られている。本件出願人は、これら従来法と比較して装置構成が簡素であり、反応中におけるすすの発生や炭素析出等の問題の少ない接触部分酸化法(CPO法:Catalytic Partial Oxidation)を採用した合成ガスの新たな製造プロセスを開発している。
【0004】
CPO法は、天然ガス等より分離された炭化水素ガスと、酸素含有ガスとを触媒の存在下で接触させることにより、炭化水素ガスを部分酸化して合成ガスを得る手法である。このCPO法においては炭化水素ガスと酸素含有ガスとを混合容器内で予め十分に混合し、且つ、燃焼反応を進行させずに触媒層へと供給する必要がある。しかしながら炭化水素ガスは可燃性のガスであり、酸素含有ガスは助燃性のガスであって互いに反応して燃焼反応が進行するところ、これらのガスが十分混合されていない状態においては、燃焼速度が最も大きくなる化学量論比となっている領域が散在する。このため、例えば配管摩擦や触媒層からの逆火等を原因とする着火エネルギーの供給によって混合中のガスに急激な燃焼反応が引き起こされてしまうおそれがある。従って、両ガスはできるだけ速やかに混合し、燃焼速度が大きくなる領域をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0005】
このようなガス混合装置に関し、本件出願人は例えばガス混合装置内にセラミックボールなどを充填して当該混合容器内に狭隘なガス流路を形成し、このガス流路を流れる混合ガスの流速が当該混合ガスの燃焼速度より大きくなるようにすることにより急激な燃焼反応の進行を抑えたガス混合装置を開発した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−29680号公報:0022段落、0028段落〜0030段落、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで特許文献1に記載されているガス混合装置は装置内に充填物を詰め込んだ構造となっており、比較的構造が複雑である。そこで本発明者はこの種のガス混合装置についての更なる小型化、軽量化や装置構造の簡略化の余地があると考え、鋭意検討を進めてきた。
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、簡素な装置構成にて可燃性ガスと、助燃性ガスとを速やかに混合することの可能なガス混合装置及びこの装置を利用した合成ガス製造装置、並びにガス混合方法及びこの方法を利用した合成ガス製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るガス混合装置は、一端側の開口部であるガス流出口より可燃性のガス及び助燃性ガスの一方のガスを供給するための内管と、
この内管を囲むように配置され、前記内管のガス流出口よりも下流側に延び出し、当該内管との間の空間が可燃性のガス及び助燃性ガスの他方のガスの流路をなす外管と、
前記内管のガス流出口から流出したガスを外方側に案内するために、当該ガス流出口の下流側の前記外管内に設けられ、前記内管の内径よりも大きい第1の案内部材と、
この第1の案内部材の下流側において前記外管の内壁に沿って環状に設けられ、その内周部が外周部よりも上流側に位置しかつその内周部が前記第1の案内部材の外周部よりも中央側に位置している第2の案内部材と、
前記外管における前記第2の案内部材の下流側において、当該第2の案内部材により案内されたガスを外方側に案内するために設けられた第3の案内部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに前記ガス混合装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記第1の案内部材の外周部には上流側に突出する突起部が周方向に沿って設けられていること。
(b)前記第2の案内部材の上流側の面は、外周部から内周部に向かって傾斜する傾斜面として形成されていること。
【0011】
また他の発明に係る合成ガス製造装置は、前記外管にメタンを主成分とする可燃性ガスが供給され、前記内管に助燃性ガスである酸素含有ガスが供給される前記の各ガス混合装置と、
このガス混合装置の下流に設けられ、メタンを酸素により部分酸化して、水素と一酸化炭素とを主成分とする合成ガスを得るための触媒層を有するガス処理部と、
このガス処理部より合成ガスを抜き出すための抜出部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
次にさらに他の発明に係るガス混合方法は、一端側に開口部であるガス流出口を備えた内管の当該ガス流出口より可燃性のガス及び助燃性ガスの一方のガスを供給する工程と、
前記内管と、この内管を囲むように配置され、当該内管のガス流出口よりも下流側に延び出している外管と、の間の空間より可燃性のガス及び助燃性ガスの他方のガスを供給する工程と、
前記ガス流出口の下流側の前記外管内に設けられ、前記内管の内径よりも大きい第1の案内部材により、前記内管のガス流出口から流出したガスを外方側に案内する工程と、
前記第1の案内部材の下流側において前記外管の内壁に沿って環状に設けられ、その内周部が外周部よりも上流側に位置しかつその内周部が前記第1の案内部材の外周部よりも中央側に位置している第2の案内部材により、前記第1の案内部材により外方側へ案内されたガスを前記内周部の内側に形成された空間に案内する工程と、
前記外管における前記第2の案内部材の下流側に設けられた第3の案内部材により、当該第2の案内部材により案内されたガスを外方側に案内する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
ここで前記ガス混合方法は、以下の特徴を備えていてもよい。
(c)前記内管と前記外管との間を流れるガスの流速に対する前記内管を流れるガスの流速の比が、1.3以上、14以下であること。
【0014】
さらにまた他の発明に係る合成ガス製造方法は、前記外管にメタンを主成分とする可燃性ガスが供給され、前記内管に助燃性ガスである酸素含有ガスが供給される前述のガス混合方法によりガスを混合する工程と、
この混合されたガスに含まれているメタンを、触媒層を用いて酸素により部分酸化して、水素と一酸化炭素とを主成分とする合成ガスを得る工程と、
この合成ガスを抜き出す工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内管と外管とからなる二重管内の各流路より可燃性ガス及び助燃性ガスを供給してこれらを混合するガス混合装置において、内管の一端側のガス流出口から流出したガスを外方に案内する第1の案内部材と、外管の内周壁に沿って環状に設けられると共に、その内周部が外周部よりも上流側に位置し、かつその内周部が第1の案内部材の外周部よりも中央側に位置している第2の案内部材と、この第2の案内部材で囲まれる領域に対向するように設けられた第3の案内部材と、を備えている。これにより可燃性ガスや助燃性ガスが交差、蛇行、逆流しながら下流へと流れていき、このように流れを乱すことにより3個の案内部材をガスの流れ方向に配置しただけの簡素な構成にて、2種類のガスを十分に混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係るガス混合装置を適用した合成ガス製造装置の縦断面図である。
【図2】前記合成ガス製造装置内に、実施の形態に係るガス混合装置が設けられたガス混合部の横断平面図である。
【図3】前記合成ガス製造装置内におけるガス混合装置の配置パターンを示す説明図である。
【図4】前記ガス混合装置の構成を示す斜視図である。
【図5】前記ガス混合装置の縦断側面図である。
【図6】前記ガス混合装置の作用を示す説明図である。
【図7】第2の実施の形態に係るガス混合装置の構成を示す縦断側面図である。
【図8】前記第2の実施の形態に係るガス混合装置の作用を示す説明図である。
【図9】他の変形例に係るガス混合装置の構成例を示す説明図である。
【図10】変形例に係るガス混合装置の構成例を示す説明図である。
【図11】実施例に係るシミュレーション結果を示す第1の説明図である。
【図12】実施例に係るシミュレーション結果を示す第2の説明図である。
【図13】比較例に係るシミュレーション結果を示す第3の説明図である。
【図14】比較例に係るシミュレーション結果を示す第4の説明図である。
【図15】助燃性ガスと可燃性ガスとの最適な流速比の範囲を示す説明図である。
【図16】実施例に係るシミュレーション結果を示す第5の説明図である。
【図17】比較例に係るシミュレーション結果を示す第6の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、メタンを含んだ可燃性ガスを酸素含有ガスからなる助燃性ガスにより部分酸化させて水素と一酸化炭素とを主成分とする合成ガスを得るための合成ガス製造装置に、本発明に係るガス混合装置を適用した実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る合成ガス製造装置1の概略構成を示す縦断側面図であり、図2は当該合成ガス製造装置1をA−A’方向から矢視した横断平面図である。
【0018】
図1に示すように合成ガス製造装置1は例えば円筒形状の反応器11として構成され、当該反応器11は、例えば反応器11の上端部に設けられ、図示しない供給配管より助燃性ガスを受け入れるための助燃性ガス導入ノズル12と、例えば反応器11の上部側側壁面に設けられ、図示しない供給配管より可燃性ガスを受け入れるための可燃性ガス導入ノズル13と、例えば反応器11の下端部に設けられ、反応器11内で合成された合成ガスを抜き出すための合成ガス抜き出しノズル14とを備えている。
【0019】
反応器11内には、助燃性ガス導入ノズル12から供給された助燃性ガスを拡散させる空間である助燃性ガス拡散部121と、可燃性ガス導入ノズル13から供給された可燃性ガスを拡散させるための空間である可燃性ガス拡散部131と、これら助燃性ガスと可燃性ガスとの混合ガスの反応(本例ではメタンの部分酸化反応)を進行させるための触媒層15とが上部側からこの順に設けられている。助燃性ガス拡散部121と可燃性ガス拡散部131とは、後述する内管21を固定する内管固定板122によって区画され、可燃性ガス拡散部131と触媒層15の充填領域とは、後述の外管22を固定する外管固定板132によって区画されている。
【0020】
ここで可燃性ガス導入ノズル13から可燃性ガス拡散部131に導入される可燃性ガスは、メタンを主成分とする天然ガス、また助燃性ガス導入ノズル12から助燃性ガス拡散部121に導入される助燃性ガスは、例えば80%以上の酸素を含む酸素含有ガスであり、可燃性ガスより供給されるメタンに対する酸素のモル比([O]/[CH])が例えば0.2〜0.8の範囲の例えば0.6となるように供給される。また、助燃性ガスはスチームを含んでおり、可燃性ガスより供給されるメタンに対するスチームのモル比([HO]/[CH])が例えば0.2〜0.8の範囲の例えば0.6となるように供給される。
【0021】
さらに可燃性ガス拡散部131内には、本実施の形態に係るガス混合装置2の群が配置されている。図2に示すように、反応器11は、例えば図3に示す正三角形からなる多数のブロックにその横断面が分割され、これら各ブロックの頂点にガス混合装置2が配置されている。そしてこれら各ガス混合装置2内にて可燃性ガスと助燃性ガスとの混合が行われる。既述のように助燃性ガス拡散部121、可燃性ガス拡散部131及び触媒層15の充填領域は互いに区画されていることから、可燃性ガス拡散部131に導入された可燃性ガス及び助燃性ガス拡散部121に導入された助燃性ガスは必ずガス混合装置2を通って混合され、混合ガスの状態で触媒層15に供給されることになる。なお便宜上、図2においてはガス混合装置2の記載を一部省略して表示してあるが、実際には、ガス混合装置2は反応器11の横断面内の全体に配置されている。
【0022】
触媒層15は、ガス混合装置2の下流側にて当該ガス混合装置2内で混合された後のガスを処理するガス処理部としての役割を果たす。触媒層15には、例えばペレット状に焼成されたアルミナ表面に白金等の金属を分散担持させた触媒が充填されており、これらの触媒が図示しないサポート部材により支持されている。触媒層15内では、例えば以下の(1)式に示した完全酸化反応、(2)式に示した水蒸気改質反応及び(3)式に示した逆シフト反応を同時に進行させることにより接触部分酸化を実行し、合成ガスを製造するガス処理を行う。
CH+2O→CO+2HO …(1)
CH+HO→CO+3H …(2)
CO+HO→CO+H …(3)
【0023】
合成ガス製造装置1は以上に説明した構成を備えており、触媒層15には可燃性ガスと助燃性ガスとが均一に混合された状態の混合ガスが供給される。しかしながら背景技術にて説明したように、可燃性ガスと助燃性ガスとが混合された直後の混合ガスには燃焼反応が進行しやすい領域が存在することから、これらのガスをできるだけ迅速に混合してから触媒層15へと供給する必要がある。そこで本実施の形態に係る合成ガス製造装置1に多数設けられたガス混合装置2は、比較的簡素な構成にてこれらのガスの均一な混合を迅速に行う機能を備えている。以下、図4〜図6を参照しながら、本実施の形態に係るガス混合装置2の詳細な構成について説明する。
【0024】
可燃性ガス拡散部131内に多数設けられた各ガス混合装置2は、互いにほぼ同様の構成を有しており、例えば図4に示すように上下方向に伸びる円管(後述の外管22)内に形成されている。詳細にはガス混合装置2は、助燃性ガスを通流させるための内管21と、この内管21の周囲に配置されて二重管を構成し、可燃性ガスを通流させると共に、2つのガスの混合空間3をなす外管22と、この混合空間3内に配置され、2つのガスの混合を促進するための第1の案内部材である第1の円板23、第2の案内部材であるリング板24並びに第3の案内部材である第2の円板25と、を備えている。
【0025】
外管22は、例えば直径が数cm〜数十cm、長さが数十cm〜百数十cmの円管であり、図1に示すようにその上端部は可燃性ガス拡散部131内に開口している。一方、外管22の下端部は可燃性ガス拡散部131と触媒層15の充填領域とを区画する外管固定板132に固定され、この外管固定板132に固定された位置にて触媒層15の充填領域に向けて開口している。ここで外管22の上端部側にも、外管22の固定板を設ける構造としてもよいが、その場合には触媒層15が高温となることによる外管22の伸びなどを考慮して、上端側の固定板は例えば上下方向に可動な構造とするとよい。
【0026】
内管21は、例えば外管22よりも数cm〜十数cm程度小さな直径を有する円管であり、外管22内に軸方向に挿入されて二重管を構成している。図1に示すように内管21の上部側は外管22の上端部よりも上方側へ伸び出して可燃性ガス拡散部131内を貫通し、助燃性ガス拡散部121と可燃性ガス拡散部131とを区画する内管固定板122にその上端部が固定されていると共に、当該上端部は助燃性ガス拡散部121内に開口している。一方内管21の下部側は、例えば外管22の上端から8割〜9割程度の高さ位置まで下方側に延伸されており、その下端部は当該外管22内に開口して助燃性ガスの流出口311を形成している。
【0027】
このように内管21と外管22との二重管構造を採用することにより、内管21内の空間(以下、助燃性ガス流路31という)を通流する助燃性ガスと、内管21と外管22との間の筒状の空間(以下、可燃性ガス流路32という)を通流する可燃性ガスとを別々に供給することができる。そして外管22内に開口する助燃性ガス流出口311よりも下方側の外管22内の空間がこれら可燃性ガスと助燃性ガスとの混合空間3となっている。この場合には、可燃性ガス流路32からの可燃性ガス流出口321も、前述の助燃性ガス流出口311と同じ高さ位置に設けられていることになる。
【0028】
混合空間3は、外管22の下端側の例えば十数cm〜数十cmの領域に形成された空間であり、当該混合空間3内には第1の円板23、リング板24、第2の円板25が上流側からこの順に設けられている。図4、図5に示すように、第1の円板23は例えば内管21の内径よりも大きく、且つ、外管22の内径よりも小さな径を有する例えば円盤状の部材であり、助燃性ガス流出口311よりも例えば数cm〜十数cm下流側の位置に、当該流出口311との間に隙間を空けて配置されている。また本例では第1の円板23は、その板面が内管21の中心軸とほぼ直交するように配置されている。
【0029】
さらに、第1の円板23は真下から見ると、例えば内管21の開口部全体を覆う位置(第1の円板23の外周部の位置が内管21の内周面よりも外側となる位置)に配置されており、これにより第1の円板23の上流側、即ち助燃性ガス流出口311から流出した助燃性ガスの流れが、当該流れの方向と交差する、外方側(外管22の内壁方向)へと案内されるようになっている。本例では第1の円板23は、例えば図4に示すように支持棒231を介して内管21の下端部に固定されている。
【0030】
第1の円板23から例えば数cm〜十数cm下流側の位置には、上流側から下流側に向けて末広がりに広がるテーパ形状の外周面を有し、その内周部が外周部よりも上流側に位置する円環形状の部材であるリング板24が配置されている。リング板24は例えば上端から下端までの高さが数cm〜十数cm程度に形成され、下端側の外周部にて外管22の内面に固定される一方、上端側は既述の第1の円板23に向かって開口する例えば円形の開口部241を備えている。
【0031】
この開口部241は、例えば図5、図6に示すように既述の第1の円板23の径と同じか、これよりも小さな開口径を有しており、リング板24を真下から見ると当該開口部241の全体が第1の円板23で覆われた状態となる位置関係(リング板24の内周部の位置が第1の円板23の外周部よりも中央側となる位置)にてこれら第1の円板23及びリング板24が配置されている。また本例ではリング板24は板材から構成されているので、当該リング板24の内周面についても上端側から下端側へ向けて末広がりに広がる面を有している。
【0032】
リング板24の下流側、例えば数cm〜十数cm下方側の位置には、例えば既述の第1の円板23と同様に構成された円盤状の第2の円板25が配置されており、当該第2の円板25についてもリング板24を通過した混合ガスの流れ方向が、当該流れ方向と交差する方向へと外側に案内されるように、前記リング板24で囲まれる領域に対向するように配置されている。本例では第2の円板25は、例えば図4に示すように支持棒251を介して外管22の内壁面に固定されている。
【0033】
これら第1の円板23、リング板24及び第2の円板25の設けられている混合空間3は、第2の円板25より例えば数cm〜十数cm下方の位置にて触媒層15に向けて開口している。そしてこの外管22の開口端よりも例えば十数cm〜数十cm下方側の位置には、多数の分散孔262を備えた分散板26が設けられており、外管22の下端部から流出した混合ガスを各分散孔262にて分散させ、触媒層15の充填領域に向けて均一に供給できるようになっている。図中、261は分散板26を外管22の下端部にて支持するための支持棒である。
【0034】
ここで内管21の内径及び外径や、外管22の内径、反応器11内におけるガス混合装置2の設置台数は、各々助燃性ガス導入ノズル12、可燃性ガス導入ノズル13から供給される可燃性ガス及び助燃性ガスのトータルの供給量に対して、各流路31、32内を流れる可燃性ガスの流速に対する助燃性ガスの流速の比「助燃性ガス流速/可燃性ガス流速[-]」が例えば1.3〜14の範囲内、好ましくは2.5〜14の範囲内となるように設計されている。本例では、各ガスの入口から混合空間3へとガスが流出する出口にかけて各流路31、32の流れ方向に直交する横断面積が一定となっている例を示しているが、例えばこの横断面積が変化する場合には、各ガスの流速は混合空間3へ向けてガスが流出する出口における流速を採用するとよい。
【0035】
本実施の形態に係る合成ガス製造装置1に設けられた各ガス混合装置2は、以上に説明した構成を備えており、可燃性ガスと助燃性ガスとを迅速に混合し、且つ、燃焼速度の大きな混合状態となる領域を比較的小さく抑えることができる。以下、実施の形態に係る合成ガス製造装置1及びガス混合装置2の作用について説明する。
【0036】
今、例えば前段のガス改質装置よりメタンを主成分とする可燃性ガスが可燃性ガス導入ノズル13を介して合成ガス製造装置1内に導入されると、可燃性ガスは可燃性ガス拡散部131内に広がり、当該可燃性ガス拡散部131内に開口する外管22の上端部を介して可燃性ガス流路32へと分散して流れ込んでいく。一方、助燃性ガス導入ノズル12より導入された助燃性ガスは、助燃性ガス拡散部121内に広がり、当該助燃性ガス拡散部121内に開口する内管21(助燃性ガス流路31)へと分散して流れ込む。
【0037】
各ガス混合装置2内においては、図6の縦断側面図に模式的に示すように、助燃性ガス流路31内を通流した助燃性ガス(図中、破線の矢印で示してある)は助燃性ガス流出口311より混合空間3内に流入し、また可燃性ガス流路32を通流した可燃性ガス(図中、実線の矢印で示してある)は、円環形状の可燃性ガス流出口321より混合空間3内に流入する。
【0038】
混合空間3内に流入した助燃性ガスは、助燃性ガス流出口311の下方側に設けられた第1の円板23により、その流れ方向と交差する方向、即ち第1の円板23の外側へ向けて案内される。一方、混合空間3内に流入した可燃性ガスは、外管22の内壁に沿って混合空間3内を流下し、第1の円板23にて案内された助燃性ガスはこの可燃性ガスの流れに交差するように合流し、ここで両ガスの混合が進行する。
【0039】
また、可燃性ガスと助燃性ガスとの混合が進行する当該領域においては、第1の円板23が混合空間3内の中央部に配置された状態となっていることから、これらのガスは第1の円板23の外周部と外管22の内壁面との間に形成される円環状の狭い流路を通流することとなり、このときガスの流速が上昇する。そして当該円環状の流路を通過すると、再びガス流速が低下し、リング板24の開口部241に流入するときに再度ガス流速が上昇することになる。またリング板24のテーパ形状をなす外周面に衝突したガスは、当該外周面にて、一旦その流れが上流側へ向けて逆流するように案内された後、リング板24の開口部241内へと流れ込む。
【0040】
このとき両ガスには、ガス流速が上昇→低下→上昇を繰り返し、またガスが第1の円板23の外周部の外方を通った後、リング板24の開口部241内へ流れ込んで、大きく流れ方向が蛇行し、さらにはこの蛇行したガスの流れ方向と交差する方向から、リング板24のテーパ面にて逆流させたガスが合流するといったように、流動状態が激しく変化する。そしてこのような流動状態の変化により、局所的な渦ができるなどして両ガスの混合が促進される。
【0041】
このとき、後述する実施例にシミュレーション結果に示すように、例えば第1の円板23とリング板24との中間の高さ位置にて、外管22を横断する方向に混合空間3内の可燃性ガス及び助燃性ガスの混合状態を見ると、外管22の中心軸側では2つのガスの混合が進行する一方、外管22の内壁面近傍では、まだ混合されていない可燃性ガスが残っている。しかしながら図6においては、図示の便宜上、混合ガスの流れのみを白抜きの矢印で示してある。
【0042】
混合ガスの流れの説明に戻ると、リング板24の下方には第2の円板25が設けられているので、リング板24を通過した混合ガスは、再びこの第2の円板25によってリング板24を通過した後の流れ方向とは交差する円板25の外側方向に案内された後、第2の円板25の側周部の外方を通過することになる。そしてこの際にも、ガス流速の低下→上昇→低下及びガスの流れの蛇行が繰り返され、2つのガスの混合が進行する。
【0043】
ここで例えばメタンと酸素との燃焼反応は、下記の(4)式に基づいて進行し、これらの分子のモル比が(4)式に示す化学量論比で混合されている場合に燃焼速度が最も大きくなる。
CH+2O→CO+2HO …(4)
そこでこの種のガス混合装置では、両ガスの混合をできるだけ迅速に進行させて燃焼反応の化学量論比から外れたモル比の混合状態とすることが好ましい。
【0044】
この点、本実施の形態に係るガス混合装置2は、例えばテーパ面を備えたリング板24に替えて、外周部と内周部の高さ位置が同じで、テーパ面を有していないリング板を2枚の円板23、24の間に配置した場合と比較して、両ガスが燃焼反応の化学量論比とほぼ一致した混合状態となる領域を小さくできることが、後述するシミュレーションの結果から確認されている。
【0045】
このようにして混合空間3を通過し、ほぼ均一な状態となった混合ガスは、外管22の下端の開口部から下方へ向けて流出し、当該開口部の下方に設けられた分散板26の各分散孔262を通って分散され、反応器11の横断面内で混合ガスの濃度が均一な状態で触媒層15へ向けて供給される。
【0046】
ここで例えば混合ガスにおける可燃性ガスと助燃性ガスとの混合の程度を示す指標として、単位体積を有する領域内の両ガスの混合度を下記の(5)式にて定義する。
混合度={(酸素モル分率最大値/酸素モル分率最小値)−1}
×100/2 [%] …(5)
この混合度は、完全混合の状態に近づくほど小さな値となって0%に近づく。
【0047】
ここでガス混合装置2から触媒層15へと供給される混合ガスは例えば200℃程度の温度である一方、触媒層15の温度は1,400℃にもなっている。そして仮にこのような高温の混合ガスが逆流してもガス混合装置2側での燃焼反応が進行しないように、ガス混合装置2(外管22)から流出する混合ガスは燃焼しにくい状態、即ち、十分に混合されて燃焼反応の化学量論比から外れた状態となっていることが好ましい。この点、接触部分酸化法による合成ガスの製造の場合には混合度は10%以下、好ましくは5%以下であることが要求される。
【0048】
本発明者らは、ガス混合装置2から流出する混合ガスの混合度を決定する要因として、混合空間3内に可燃性ガス及び助燃性ガスが流出する際の流速の比「助燃性ガス流速/可燃性ガス流速[-]」が大きく影響することを見出した。そして後述の実施例に示すように、ガス混合装置2の出口において混合度を10%以下とするためには、流速比を1.3以上、混合度を5%以下とするためには流速比を2.5以上とするとよいことをシミュレーションの結果から特定した。
【0049】
また、この流速比が大きくなるほど、ガス混合装置2出口の混合度は0%の完全混合の状態に近づけることができるが、流速比が大きくなり過ぎるとリング板24のテーパ面における逆流が大きくなって、当該逆流した流れが例えば可燃性ガス流路321側に流れ込んでしまう。このような逆流が発生すると、逆流したガスが流れ込んだ可燃性ガス流路321内にて、燃焼速度が最も大きくなる化学量論比の混合状態が発生してしまうおそれが高くなるため好ましくない。このような検討の結果から、可燃性ガスと助燃性ガスとの流速比は、既述のように1.3〜14の範囲内、好ましくは2.5〜14の範囲内となるようにガス混合装置2を設計し、また運転を行うことが好適であるといえる。
【0050】
以上に説明した過程を経て合成ガス製造装置1内に多数設置されたガス混合装置2を通過し、均一な濃度となった混合ガスは、触媒層15に供給される。そして触媒層15内では既述の(1)式に示されるように部分酸化反応が進行し、合成ガスが生成され、得られた合成ガスを合成ガス抜き出しノズル14より抜き出す。ここで混合ガスの大部分は触媒層15の入口に近い領域にて反応が起こるため、当該入口付近の温度が最も高く例えば1,400℃となり、これより下流側では例えば1,000℃〜1,100℃となっている。
【0051】
本実施の形態に係るガス混合装置2よれば以下の効果がある。内管21と外管22とからなる二重管内の各流路31、32より可燃性ガス及び助燃性ガスを供給してこれらを混合するガス混合装置2において、内管21の一端側の助燃性ガス流出口311から流出したガスを外方に案内する第1の円板23と、外管22の内周壁に沿って環状に設けられると共に、その内周部が外周部よりも上流側に位置し、かつその内周部が第1の円板23の外周部よりも中央側に位置しているリング板24と、このリング板24で囲まれる領域に対向するように設けられた第2の円板25と、を備えている。これにより可燃性ガスや助燃性ガスが交差、蛇行、逆流しながら下流へとながれていき、このように流れを乱すことにより3個の案内部材(第1、第2の円板23、25及びリング板24)をガスの流れ方向に配置しただけの簡素な構成にて、2種類のガスを十分に混合することができる。
【0052】
特に、第2の案内部材であるリング板24が内周部が外周部よりも上流側に位置し、かつその内周部が第1の円板23の外周部よりも中央側に位置していることにより、当該外周面に向けて流れてきたガスの流れを一旦逆流させることができる。これによりこのリング板を平板で構成した場合と比較して、両ガスの混合状態が燃焼反応の化学量論比とほぼ一致している領域を小さくして、燃焼反応が進みにくくなるようにすることができる。
【0053】
各種の案内部材(円板23、25、リング板24)において、ガスの流れを逆流させる方向に案内する手段は、上述の実施の形態に示したようにリング板24の外周面にテーパ面を形成する場合のみに限定されない。例えば図7、図8に示すガス混合装置2aのように、第1の円板23の周縁部に当該第1の円板23の表面を流れるガスを一旦堰き止める突起部232を設けてもよい。突起部232を設けることにより、当該突起部232にて堰き止められたガスは、内管21からの助燃性ガスの流出方向とは逆の方向に一旦逆流した後、第1の円板23の側周部の外方へと案内されることから、この逆流の過程においても混合が促進される。
【0054】
さらに図8、図7に示した突起部232を備えた第1の円板23に替えて、例えば図9(a)に示すように第1の円板23aを下方側から上方側へ向かって末広がりに広がるテーパ状の内周面を備えた逆円錐形状に構成し、ここで助燃性ガスを内管21からの流出方向とは逆の方向に一旦逆流させてもよい。また図9(b)に示すように第1の円板23bをお椀形状に形成して同様の作用を得てもよい。
【0055】
また例えば第2の案内部材であるリング板において、その内周部が外周部よりも上流側に位置させるための構成は、図5に示したようにリング板24を下流側に向けて末広がりのテーパ形状に形成する場合に限定されない。例えば図10(a)に示すリング板24aのようにテーパ面を湾曲させてもよいし、図10(b)に示すリング板24bのように水平な案内部材の開口部241の周縁に沿って突起部を設けてもよい。
【0056】
以上に説明した各実施の形態及びその変形例では、内管21側に助燃性ガスを通流させ、内管21と外管22との間の空間に可燃性ガスを通流させる構成とした。実際においても、安全上の観点などから各ガスは上述の各流路から混合空間3へと供給セル場合が好適であると考えられるが、特別な理由で内管21側に可燃性ガスを通流させ、内管21と外管22との間の空間に助燃性ガスを通流させて混合空間3へと供給する場合も本発明に含まれることは勿論である。
【実施例】
【0057】
(シミュレーション1)
CFD(Computational Fluid Dynamics)のシミュレーションモデルを図5、図7に示した各ガス混合装置2、2aの実寸サイズに対応させて作成し、装置2、2a内における助燃性ガスと可燃性ガスとの混合状態を他のタイプのガス混合装置と比較した。
【0058】
A.シミュレーション条件
(実施例1−1)
図5に示すガス混合装置2のモデルを作成し、ガス混合状態のシミュレーションを行った。シミュレーション条件は以下の通りである。
可燃性ガス:天然ガス、混合空間3への流入速度7.17m/s
助燃性ガス:100%の酸素、混合空間3への流入速度26.46m/s
流速比:3.69
(実施例1−2)
図7に示すガス混合装置2aモデルを作成し、ガス混合状態のシミュレーションを行った。シミュレーション条件は(実施例1−1)と同様とした。
(比較例1−1)
第1の円板23のみを備えた(リング板24、第2の円板25を設けていない)ガス混合装置のモデルを作成し、ガス混合状態のシミュレーションを行った。シミュレーション条件は(実施例1−1)と同様とした。
(比較例1−2)
第1、第2の円板23、25に加え、水平なリング板を備えたガス混合装置のモデルを作成し、ガス混合状態のシミュレーションを行った。シミュレーション条件は(実施例1−1)と同様とした。
【0059】
B.シミュレーション結果
各実施例のシミュレーション結果を図11、図12に示し、各比較例の結果を図13、図14に示す。これらの図は、酸素ガスが0vol%〜100vol%の濃度範囲を5vol%毎に色分けし、ガス混合装置内の酸素ガス濃度を対応する色で表示したカラーのアウトプット図面をグレイスケールに変換したものである。
(実施例1−1、1−2)のいずれにおいても、分散板26における混合度は2.7%であり、5%以下の状態となっていて、良好な混合状態が得られた。また(実施例1−1)では、酸素と天然ガスの混合割合が燃焼反応の化学量論比となっており、燃焼反応の速い領域が観察された。しかしながら後述の(比較例1−2)と比較してこの領域の面積は小さくなっており、リング板24の内周部が外周部よりも上流側となるように構成し、一旦、流れを逆流させることの効果が現れているといえる。
【0060】
一方、(実施例1−2)では燃焼反応の速い領域が殆ど観察されず、ガスの混合が各実施例、比較例の中で最も迅速に進行した。この点で、リング板24にテーパ面を設けることに加え、第1の円板23に突起部232を設けることでガスの混合がより促進されるといえる。
【0061】
これらの実施例と比較して(比較例1−1)では、分散板26における混合度が450%であり上述の実施例に比較して混合状態が十分でない。また外管22の管壁に沿って天然ガスがほぼ100%の状態のまま分散板26側まで流れ出してきてしまっており、このようなガスを触媒層15に供給することは好ましくない。
【0062】
一方、(比較例1−2)では分散板26における混合度は3.6%と、上述の各実施例と比較して混合状態はよくなかった。また燃焼反応の速い領域の面積が(実施例1−1)と比較して大きく、この点においても実施例のように、リング板24の外周面をテーパ形状とするなど、リング板24の内周部を外周部よりも上流側に位置させることが好ましいといえる。
【0063】
(シミュレーション2)
図5のガス混合装置2に相当する(実施例1−1)のシミュレーションモデルを用いて、可燃性ガスと助燃性ガスとの流速比を変化させ、分散板26における混合度及び、ガス混合装置2内の流動状態について確認した。
【0064】
A.シミュレーション条件
各実施例及び比較例に係る各ガス出口311、321における助燃性ガス及び可燃性ガスの流速、並びに両ガスの流速比を(表1)に示す。流速比は(比較例2−1、2−2)→(実施例2−1〜2−7)→(比較例2−3、2−4)の順に大きくなっている。なお、(表1)に記載の各数値は実際の計算結果を小数点以下第1位で四捨五入してあるため、これらの値に基づいて流速比を計算してもその計算結果が(表1)に記載の流速比と厳密に一致しない場合がある。
(表1)

【0065】
B.シミュレーション結果
各実施例、比較例につきシミュレーションを行い、分散板26の位置における混合度を計算した結果を図15に示す。図中、横軸は可燃性ガスに対する助燃性ガスの流速比の値を示し、縦軸は混合度を示している。また、各実施例は白抜きの四角(□)、各比較例は黒塗りのひし形(◆)でプロットしてある。
【0066】
図15に示したシミュレーション結果によれば、両ガスの混合度は流速比の増加に伴って反比例するように低下するカーブを描いており、流速比が1.3以上の場合に、混合度が10%以下となり、良好な混合状態が得られている。そして流速比がおよそ2.5以上の場合には混合度が5%以下となり、さらに好ましい混合状態が得られることがわかった。
【0067】
このように、可燃性ガスに対する助燃性ガスの流速比を大きくすることで、より良好な今後状態が得られるが、流速比を上げていくと、例えば図16に示す(実施例2−7)のシミュレーション結果のように、リング板24における逆流の程度が次第に大きくなっていく。そして、図17に示す(比較例2−3)のシミュレーション結果では、この逆流が可燃性ガス流路32まで流れ込んでしまっている。このような状態は逆流したガスによって燃焼速度が最も大きくなる化学量論比の混合状態が発生してしまうおそれが高くなる点で好ましくないため、可燃性ガス流路32への逆流が確認されていない(実施例2−7)を好適な流動状態が得られる流速比の最大値とした。以上のことから、可燃性ガスと助燃性ガスとの流速比は、1.3〜14の範囲内、好ましくは2.5〜14の範囲内とすることが好適であるといえる。
【符号の説明】
【0068】
1 合成ガス製造装置
11 反応器
15 触媒層
2、2a ガス混合装置
21 内管
22 外管
23 第1の円板
232 突起部
24、24a、24b
リング板
25 第2の円板
3 混合空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側の開口部であるガス流出口より可燃性のガス及び助燃性ガスの一方のガスを供給するための内管と、
この内管を囲むように配置され、前記内管のガス流出口よりも下流側に延び出し、当該内管との間の空間が可燃性のガス及び助燃性ガスの他方のガスの流路をなす外管と、
前記内管のガス流出口から流出したガスを外方側に案内するために、当該ガス流出口の下流側の前記外管内に設けられ、前記内管の内径よりも大きい第1の案内部材と、
この第1の案内部材の下流側において前記外管の内壁に沿って環状に設けられ、その内周部が外周部よりも上流側に位置しかつその内周部が前記第1の案内部材の外周部よりも中央側に位置している第2の案内部材と、
前記外管における前記第2の案内部材の下流側において、当該第2の案内部材により案内されたガスを外方側に案内するために設けられた第3の案内部材と、を備えたことを特徴とするガス混合装置。
【請求項2】
前記第1の案内部材の外周部には上流側に突出する突起部が周方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス混合装置。
【請求項3】
前記第2の案内部材の上流側の面は、外周部から内周部に向かって傾斜する傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス混合装置。
【請求項4】
前記外管にメタンを主成分とする可燃性ガスが供給され、前記内管に助燃性ガスである酸素含有ガスが供給される請求項1ないし3のいずれか一つに記載のガス混合装置と、
このガス混合装置の下流に設けられ、メタンを酸素により部分酸化して、水素と一酸化炭素とを主成分とする合成ガスを得るための触媒層を有するガス処理部と、
このガス処理部より合成ガスを抜き出すための抜出部と、を備えたことを特徴とする合成ガス製造装置。
【請求項5】
一端側に開口部であるガス流出口を備えた内管の当該ガス流出口より可燃性のガス及び助燃性ガスの一方のガスを供給する工程と、
前記内管と、この内管を囲むように配置され、当該内管のガス流出口よりも下流側に延び出している外管と、の間の空間より可燃性のガス及び助燃性ガスの他方のガスを供給する工程と、
前記ガス流出口の下流側の前記外管内に設けられ、前記内管の内径よりも大きい第1の案内部材により、前記内管のガス流出口から流出したガスを外方側に案内する工程と、
前記第1の案内部材の下流側において前記外管の内壁に沿って環状に設けられ、その内周部が外周部よりも上流側に位置しかつその内周部が前記第1の案内部材の外周部よりも中央側に位置している第2の案内部材により、前記第1の案内部材により外方側へ案内されたガスを前記内周部の内側に形成された空間に案内する工程と、
前記外管における前記第2の案内部材の下流側に設けられた第3の案内部材により、当該第2の案内部材により案内されたガスを外方側に案内する工程と、を含むことを特徴とするガス混合方法。
【請求項6】
前記内管と前記外管との間を流れるガスの流速に対する前記内管を流れるガスの流速の比が、1.3以上、14以下であることを特徴とする請求項5に記載のガス混合方法。
【請求項7】
前記外管にメタンを主成分とする可燃性ガスが供給され、前記内管に助燃性ガスである酸素含有ガスが供給される請求項5または6に記載のガス混合方法によりガスを混合する工程と、
この混合されたガスに含まれているメタンを、触媒層を用いて酸素により部分酸化して、水素と一酸化炭素とを主成分とする合成ガスを得る工程と、
この合成ガスを抜き出す工程と、を含むことを特徴とする合成ガス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−235413(P2010−235413A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87125(P2009−87125)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度石油天然ガス・金属鉱物資源機構「石油・天然ガス開発利用促進型特別研究」共同研究、産業技術力強化法19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004411)日揮株式会社 (94)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】