ガラス扉取付用間仕切りの構築方法
【課題】間仕切り板にガラス扉を取り付ける工程を有するガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、工期を削減することが可能なガラス扉取付用間仕切りの構築方法を提供する。
【解決手段】ガラス板11aの上部に固定金型20を取り付けた後、該ガラス板11aを壁Wに隣接させて立設し、該固定金具20を壁Wに留め付けてガラス板11aを固定する。次に、ガラス板11aの壁Wと反対側の側辺に、ヒンジ14を介してガラス扉12を取り付ける。その後、ガラス板11aが床Fに対して垂直になるように固定金型20を微調整する。そして、ガラス板11aの下辺、壁W側の側辺及び上辺をそれぞれ接着剤13により室の床F、該壁W及び天井に接着する。
【解決手段】ガラス板11aの上部に固定金型20を取り付けた後、該ガラス板11aを壁Wに隣接させて立設し、該固定金具20を壁Wに留め付けてガラス板11aを固定する。次に、ガラス板11aの壁Wと反対側の側辺に、ヒンジ14を介してガラス扉12を取り付ける。その後、ガラス板11aが床Fに対して垂直になるように固定金型20を微調整する。そして、ガラス板11aの下辺、壁W側の側辺及び上辺をそれぞれ接着剤13により室の床F、該壁W及び天井に接着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は間仕切りを構築する方法に係り、特にガラス扉付き間仕切りを構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間仕切りを構築する方法として、方形の枠体を天井と床との間に立設し、この枠体に間仕切り板を嵌め込む方法が特開2003−26450号に記載されている。この枠体はビスにより天井及び床に固定される。なお、同号では、間仕切り板としてガラス板を用いている。
【0003】
このような枠体を用いずに、ガラス扉取付用間仕切り板の辺をシーリング剤を兼ねる接着剤によって壁や天井あるいはさらに床に固定する工法が考えられている。
【特許文献1】特開2003−26450号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように接着剤によって間仕切り板を壁や天井等に固定する場合において、間仕切り板の固定後にガラス扉を該間仕切り板にヒンジ留めすることがある。この場合には、該間仕切り板を固定するための接着剤が一日程度経って十分に固化した後でないと、ガラス扉を取り付けることはできない。このため、ガラス扉付き間仕切りを構築する場合には2日掛かりの工事になってしまい、工期及び工賃が余分に要することになる。
【0005】
本発明は、間仕切り板にガラス扉を取り付ける工程を有するガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、工期を削減することが可能なガラス扉取付用間仕切りの構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、室内で間仕切り板を立設し、該間仕切り板の他方の側辺にヒンジを介してガラス扉を取り付けるガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、該間仕切り板の上部を固定金具で壁又は天井に固定し、その後、前記ガラス扉を該間仕切り板にヒンジを介して取り付けることを特徴とする。
【0007】
請求項2のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、請求項1において、前記固定金具は、前記間仕切り板に取り付けられる取付体と、先端側が該取付体に対し螺進可能に係合した可動体と、該可動体の後端に回転自在に取り付けられたフランジとを有しており、該取付体を間仕切り板に固定した後、該可動体を螺進させて該フランジを前記壁又は天井に当接させ、次いで該フランジを該壁又は天井にビス留めすることを特徴とする。
【0008】
請求項3のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、請求項2において、前記取付体は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロックと副ブロックとを有しており、該主ブロックに前記可動体が螺着されており、該軸留め用の軸が間仕切り板の板面と垂直となるように該副ブロックを該間仕切り板に固定し、該可動体の螺進方向が鉛直上方又は前記壁を向いた水平方向となるように該主ブロックの該軸回りの方向を定めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、固定金具によって間仕切り板を壁又は天井に固定しておくので、該間仕切り板にガラス扉をヒンジによって取り付けることができる。従って、接着剤を用いたガラス扉取付用間仕切りに比べて、接着剤の硬化を待たずにガラス扉を取付可能であり、工事期間が短縮される。
【0010】
請求項2のガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、取付体を間仕切り板に固定した後、可動体を螺進させて該可動体のフランジを壁又は天井に当接させてビス留めすることができるので、作業性が良好である。
【0011】
請求項3のガラス扉取付用間仕切りの構築方法によると、主ブロックと副ブロックとが軸回りに回動可能に連結されており、まず副ブロックを間仕切り板に固定した後、主ブロックを正確に鉛直方向又は水平方向に合致させることができ、作業性が良好である。
【0012】
なお、本発明では、間仕切り板として、ガラス板や石膏ボード、FRPパネル、セメント板、金属板など、およそ室の間仕切りとして使用可能な如何なるものでも使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
第1図は実施の形態に係るガラス扉取付用間仕切りの構築方法により構築されたガラス扉付間仕切りの斜視図、第2図はこの間仕切りの構築方法に用いられる固定金具の斜視図、第3図は第2図のIII−III線に沿う断面図、第4図はこの固定金具の分解斜視図である。
【0015】
この実施の形態では、間仕切り10は、ガラス板11a,11b及びガラス扉12からなるガラス間仕切りである。
【0016】
第1図に示すように、この実施の形態の間仕切り10は、室内をバスルーム1と脱衣所2とに仕切る。該バスルーム1内には浴槽3が設置されている。なお、該浴槽3は、図の壁Wと反対側の図示しない壁に沿って設けられた略直方体箱状の浴槽設置部4内に設置されている。該浴槽設置部4は、これらの壁同士を結ぶバスルーム1と脱衣所2との境界よりも該脱衣所2側へ若干張り出すようにして設けられている。
【0017】
このバスルーム1と脱衣所2との境界に沿って、間仕切り10を構成する間仕切り板としての複数枚(この実施の形態では2枚)のガラス板11a,11bが立設され、該ガラス板11a,11b同士の間にガラス扉12が配置されている。
【0018】
該ガラス板11aは、一方の側辺を室の一方の壁Wに突き合わせるようにして室の床F上に立設されている。このガラス板11aは、該床Fからほぼ室の天井(図示略)まで達する高さとなっている。この実施の形態では、該ガラス板11aの下辺、該一方の側辺及び上辺がそれぞれ室の床F、壁W及び天井に対し接着剤13によって接着されている。
【0019】
また、ガラス板11bは、一方(ガラス板11aと反対側)の側辺を前記反対側の壁に突き合わせるようにして浴槽設置部4上に立設されている。このガラス板11bは、該浴槽設置部4の上面からほぼ室の天井まで達する高さとなっている。このガラス板11bも、下辺、該一方の側辺及び上辺がそれぞれ浴槽設置部4の上面、該反対側の壁及び天井に対し接着剤13によって接着されている。このガラス板11bの他方(ガラス板11a側)の側辺は、該浴槽設置部4の壁Wと対向する側面と略一直線状に連なるように延在している。
【0020】
なお、この実施の形態では、該接着剤13はシーリング剤を兼ねるものであり、各ガラス板11a,11bの一連の下辺、該一方の側辺及び上辺の全長にわたって連続して塗工され、これらと室の床F又は浴槽設置部4の上面、各壁及び天井との間をシールしている。
【0021】
この実施の形態では、ガラス板11aの上部が、隣接する壁Wに対し固定金具20によって固定されている。この固定金具20の構成については後で述べる。
【0022】
該ガラス板11aの他方(ガラス板11b側)の側辺に、ヒンジ14を介して前記ガラス扉12が開閉(回動)可能に取り付けられている。符号12aは、このガラス扉12の把手部を示している。図示はしないが、各ガラス板11a,11bのガラス扉12側の側辺、並びに床F及び天井のバスルーム1と脱衣所2との境界部には、それぞれ、ガラス扉12が閉じた状態にあるときに該ガラス扉12の周囲から脱衣所2側へ水が漏れ出すことを防止するための漏水防止部材が設けられている。
【0023】
次に、前記固定金具20の構成について第2〜4図を参照して説明する。
【0024】
この固定金具20は、ガラス板11aに取り付けられる取付体21と、一端(先端)側が該取付体21に対し螺進可能に係合した可動体22と、該可動体22の他端(後端)に回転自在に取り付けられたフランジ23とを有している。
【0025】
この実施の形態では、該取付体21は、軸留めにより連結された主ブロック24と副ブロック25とからなる。符号26は、この主ブロック24と副ブロック25との軸留め用の軸体を示している。該主ブロック24に前記可動体23が螺着されており、副ブロック25がガラス板11aに固定される。
【0026】
該副ブロック25は、この実施の形態では、略円柱形の本体部25aと、該本体部25aの一端(先端)面に対しボルト25bにより固定される押えプレート25cと、該本体部25aの他端(後端)側から該本体部25aの軸心線と直交方向に突設された、主ブロック24との連結片25dとを備えている。該本体部25aの先端面中央には、該ボルト25bが螺じ込まれる雌ねじ孔25eが設けられている。また、該連結片25dには、前記軸体26の挿通孔25fが設けられている。
【0027】
該挿通孔25fは、本体部25aの軸心線と平行方向に穿設されている。なお、軸体26としてボルトを用いる場合、該挿通孔25fは雌ねじ孔であってもよい。
【0028】
この副ブロック25は、該本体部25aと押えプレート25cとの間にガラス板11aを挟むようにして該ガラス板11aに取り付けられる。該本体部25aとガラス板11aとの間及び押えプレート25cとガラス板11aとの間には、それぞれワッシャ状のクッション材27が配置されている。ガラス板11aの副ブロック取付予定領域にはボルト25bの挿通孔11cが穿設されている。該挿通孔11cの内周面には、クッション材よりなるカラー28が装着されている。
【0029】
主ブロック24も、この実施の形態では略円柱形となっている。この主ブロック24の一端側からは、連結片25dを保持するための1対の保持片24a,24aが突設されている。該保持片24a,24aは、連結片25dに対し、前記本体部25aの軸心線方向の一方側及び他方側からそれぞれ対峙するように配置されている。
【0030】
各保持片24aには、該連結片25dの挿通孔25fと重なり合う位置関係にて、軸体26の挿通孔24bが穿設されている。これらの挿通孔24b,25f,24bに該軸体26が挿通されることにより、主ブロック24が副ブロック25に対し該軸体26を回動中心として回動しうるように連結されている。なお、該軸体26の軸線方向は、副ブロック25が取り付けられたガラス板11aの板面と直交方向(該板面の法線方向)となる。
【0031】
該主ブロック24の他端(後端)面には雌ねじ孔24cが設けられている。該雌ねじ孔24cは、主ブロック24と同心状に形成されており、該主ブロック24の先端側へ向って所定の奥行きを有している。
【0032】
可動体22は主ブロック24よりも小径であり、一端(先端)側に該雌ねじ孔24cと螺合する雄ねじ部22aを有している。この雄ねじ部22aを介して、該可動体22が該雌ねじ孔24cの奥側へ向う方向及び該雌ねじ孔24cから突出する方向に螺進可能に係合している。
【0033】
該可動体22の他端(後端)面中央からは、フランジ取り付け用の凸軸22bが突設されている。該凸軸22bの中央には、ボルト螺じ込み用の雌ねじ孔(符号略)が穿設されている。
【0034】
フランジ23の中央には、該凸軸22bが挿通される開口23aが設けられている。この開口23aに凸軸22bを挿通し、該フランジ23の裏側から該凸軸22bの先端に押えプレート22cをボルト22dで固着することにより、フランジ23が可動体22の後端に対し、該可動体22の軸心線回りに回動可能に取り付けられている。なお、フランジ23の裏面側には、この押えプレート22cを受け入れる凹所(符号略)が形成されており、該押えプレート22cがフランジ23の裏面から突出しないようになっている。
【0035】
このフランジ23の該開口23a(可動体22)の周囲には、該フランジ23を壁に固定するためのビス(図示略)の挿通孔23bが設けられている。
【0036】
かかる構成の固定金具20を用いてガラス間仕切り10を構築する場合、まず、ガラス板11aの上部に固定金具20を取り付け、次いでこのガラス板11aを壁Wに隣接させて立設し、固定金型20を壁Wに留め付けて該ガラス板11aを固定する。次に、このガラス板11aの壁Wと反対側の側辺に、ヒンジ14を介してガラス扉12を取り付ける。その後、該ガラス板11aが床Fに対して垂直になるように固定金具20を微調整する。そして、このガラス板11aの下辺、壁W側の側辺及び上辺をそれぞれ接着剤13により室の床F、該壁W及び天井に接着する。
【0037】
固定金具20によりガラス板11aを壁Wに固定するに当っては、まず、予め可動体22を雌ねじ孔24cの奥側へ後退させておき、取付体21の副ブロック25をガラス板11aに取り付ける。この場合、該副ブロック25の本体部25aの先端面を、クッション材27を介してガラス板11aの一方(この実施の形態ではバスルーム1側)の板面に突き合わせるように配置すると共に、これと反対側の板面に、クッション材27を介して押えプレート25cを当て、前記挿通孔11cを介して該押えプレート25cを本体部25aにボルト25b留めする。この際、連結片25dが壁W側を向くようにする。
【0038】
次に、主ブロック24を壁W側に向けて略水平に配置し、フランジ23が壁Wに当接するまで可動体22を該壁W側へ螺進させる。このとき、フランジ23が壁Wに接近するのに伴い、主ブロック24が軸体26回りに回動して正確に水平方向に合致するようになる。フランジ23が壁Wに当接した後、挿通孔23bを介して該フランジ23を壁Wにビス留めする。この結果、ガラス板11aの上部が固定金具20によって壁Wに固定される。
【0039】
このガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、固定金具20によってガラス板11aを壁に固定しておくので、該ガラス板11aにガラス扉12をヒンジ14によって取り付けることができる。従って、接着剤を用いたガラス扉取付用間仕切りに比べて、接着剤の硬化を待たずにガラス扉を取付可能であり、工事期間が短縮される。また、ガラス扉を取り付けた後に該間仕切りを天井及び/又は床に垂直になるように固定することが可能であるため、ガラス扉の重みによって間仕切りがずれることなく整った仕上がりとすることができる。
【0040】
この実施の形態では、取付体21をガラス板11aに固定した後、可動体22を螺進させて該可動体22のフランジ23を壁に当接させてビス留めすることができるので、作業性が良好である。
【0041】
また、この実施の形態では、該取付体21は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロック24と副ブロック25とからなり、まず副ブロック25をガラス板11aに固定した後、主ブロック24を正確に水平方向に合致させることができ、作業性が良好である。
【0042】
なお、ガラス板11bも固定金型20を用いて固定してもよい。
【0043】
上記の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の構成に限定されない。
【0044】
上記実施の形態では、間仕切り板(ガラス板)を固定金具により室の壁に固定しているが、第5図に示すように、天井に固定してもよい。なお、第5図はこのように構成された間仕切りの要部斜視図である。
【0045】
この第5図の実施の形態では、間仕切り板11を天井Rに固定するに当り、まず、間仕切り板11の上部に、連結片25d(第5図では符号略)が天井R側を向くようにして副ブロック25を取り付ける。次に、該間仕切り板11を壁Wに隣接させて立設した後、主ブロック24を天井Rに向けて略垂直に配置し、フランジ23が該天井Rに当接するまで可動体22を螺進させる。このとき、主ブロック24が軸体26(第5図では符号略)回りに回動して正確に垂直方向に合致するようになる。その後、該フランジ23を天井Rにビス留めして間仕切り板11を固定する。
【0046】
本発明では、間仕切り板として、ガラス板以外にも、石膏ボードやFRPパネル、セメント板、金属板など、およそ室の間仕切りとして使用可能な如何なるものでも使用することができる。
【0047】
間仕切りは、バスルームの2面以上を囲むように構築されてもよい。
【0048】
本発明は、バスルーム以外の種々の室の間仕切りの構築にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態に係る間仕切りの構築方法により構築された間仕切りの斜視図である。
【図2】図1の間仕切りの構築方法に用いられる固定金具の斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】固定金具の分解斜視図である。
【図5】間仕切り板を室の天井に固定した構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 バスルーム
2 脱衣所
10 間仕切り
11 間仕切り板
11a,11b ガラス板
12 ガラス扉
13 接着剤
14 ヒンジ
20 固定金具
21 取付体
22 可動体
23 フランジ
24 主ブロック
25 副ブロック
26 軸体
【技術分野】
【0001】
本発明は間仕切りを構築する方法に係り、特にガラス扉付き間仕切りを構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間仕切りを構築する方法として、方形の枠体を天井と床との間に立設し、この枠体に間仕切り板を嵌め込む方法が特開2003−26450号に記載されている。この枠体はビスにより天井及び床に固定される。なお、同号では、間仕切り板としてガラス板を用いている。
【0003】
このような枠体を用いずに、ガラス扉取付用間仕切り板の辺をシーリング剤を兼ねる接着剤によって壁や天井あるいはさらに床に固定する工法が考えられている。
【特許文献1】特開2003−26450号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように接着剤によって間仕切り板を壁や天井等に固定する場合において、間仕切り板の固定後にガラス扉を該間仕切り板にヒンジ留めすることがある。この場合には、該間仕切り板を固定するための接着剤が一日程度経って十分に固化した後でないと、ガラス扉を取り付けることはできない。このため、ガラス扉付き間仕切りを構築する場合には2日掛かりの工事になってしまい、工期及び工賃が余分に要することになる。
【0005】
本発明は、間仕切り板にガラス扉を取り付ける工程を有するガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、工期を削減することが可能なガラス扉取付用間仕切りの構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、室内で間仕切り板を立設し、該間仕切り板の他方の側辺にヒンジを介してガラス扉を取り付けるガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、該間仕切り板の上部を固定金具で壁又は天井に固定し、その後、前記ガラス扉を該間仕切り板にヒンジを介して取り付けることを特徴とする。
【0007】
請求項2のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、請求項1において、前記固定金具は、前記間仕切り板に取り付けられる取付体と、先端側が該取付体に対し螺進可能に係合した可動体と、該可動体の後端に回転自在に取り付けられたフランジとを有しており、該取付体を間仕切り板に固定した後、該可動体を螺進させて該フランジを前記壁又は天井に当接させ、次いで該フランジを該壁又は天井にビス留めすることを特徴とする。
【0008】
請求項3のガラス扉取付用間仕切りの構築方法は、請求項2において、前記取付体は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロックと副ブロックとを有しており、該主ブロックに前記可動体が螺着されており、該軸留め用の軸が間仕切り板の板面と垂直となるように該副ブロックを該間仕切り板に固定し、該可動体の螺進方向が鉛直上方又は前記壁を向いた水平方向となるように該主ブロックの該軸回りの方向を定めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、固定金具によって間仕切り板を壁又は天井に固定しておくので、該間仕切り板にガラス扉をヒンジによって取り付けることができる。従って、接着剤を用いたガラス扉取付用間仕切りに比べて、接着剤の硬化を待たずにガラス扉を取付可能であり、工事期間が短縮される。
【0010】
請求項2のガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、取付体を間仕切り板に固定した後、可動体を螺進させて該可動体のフランジを壁又は天井に当接させてビス留めすることができるので、作業性が良好である。
【0011】
請求項3のガラス扉取付用間仕切りの構築方法によると、主ブロックと副ブロックとが軸回りに回動可能に連結されており、まず副ブロックを間仕切り板に固定した後、主ブロックを正確に鉛直方向又は水平方向に合致させることができ、作業性が良好である。
【0012】
なお、本発明では、間仕切り板として、ガラス板や石膏ボード、FRPパネル、セメント板、金属板など、およそ室の間仕切りとして使用可能な如何なるものでも使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
第1図は実施の形態に係るガラス扉取付用間仕切りの構築方法により構築されたガラス扉付間仕切りの斜視図、第2図はこの間仕切りの構築方法に用いられる固定金具の斜視図、第3図は第2図のIII−III線に沿う断面図、第4図はこの固定金具の分解斜視図である。
【0015】
この実施の形態では、間仕切り10は、ガラス板11a,11b及びガラス扉12からなるガラス間仕切りである。
【0016】
第1図に示すように、この実施の形態の間仕切り10は、室内をバスルーム1と脱衣所2とに仕切る。該バスルーム1内には浴槽3が設置されている。なお、該浴槽3は、図の壁Wと反対側の図示しない壁に沿って設けられた略直方体箱状の浴槽設置部4内に設置されている。該浴槽設置部4は、これらの壁同士を結ぶバスルーム1と脱衣所2との境界よりも該脱衣所2側へ若干張り出すようにして設けられている。
【0017】
このバスルーム1と脱衣所2との境界に沿って、間仕切り10を構成する間仕切り板としての複数枚(この実施の形態では2枚)のガラス板11a,11bが立設され、該ガラス板11a,11b同士の間にガラス扉12が配置されている。
【0018】
該ガラス板11aは、一方の側辺を室の一方の壁Wに突き合わせるようにして室の床F上に立設されている。このガラス板11aは、該床Fからほぼ室の天井(図示略)まで達する高さとなっている。この実施の形態では、該ガラス板11aの下辺、該一方の側辺及び上辺がそれぞれ室の床F、壁W及び天井に対し接着剤13によって接着されている。
【0019】
また、ガラス板11bは、一方(ガラス板11aと反対側)の側辺を前記反対側の壁に突き合わせるようにして浴槽設置部4上に立設されている。このガラス板11bは、該浴槽設置部4の上面からほぼ室の天井まで達する高さとなっている。このガラス板11bも、下辺、該一方の側辺及び上辺がそれぞれ浴槽設置部4の上面、該反対側の壁及び天井に対し接着剤13によって接着されている。このガラス板11bの他方(ガラス板11a側)の側辺は、該浴槽設置部4の壁Wと対向する側面と略一直線状に連なるように延在している。
【0020】
なお、この実施の形態では、該接着剤13はシーリング剤を兼ねるものであり、各ガラス板11a,11bの一連の下辺、該一方の側辺及び上辺の全長にわたって連続して塗工され、これらと室の床F又は浴槽設置部4の上面、各壁及び天井との間をシールしている。
【0021】
この実施の形態では、ガラス板11aの上部が、隣接する壁Wに対し固定金具20によって固定されている。この固定金具20の構成については後で述べる。
【0022】
該ガラス板11aの他方(ガラス板11b側)の側辺に、ヒンジ14を介して前記ガラス扉12が開閉(回動)可能に取り付けられている。符号12aは、このガラス扉12の把手部を示している。図示はしないが、各ガラス板11a,11bのガラス扉12側の側辺、並びに床F及び天井のバスルーム1と脱衣所2との境界部には、それぞれ、ガラス扉12が閉じた状態にあるときに該ガラス扉12の周囲から脱衣所2側へ水が漏れ出すことを防止するための漏水防止部材が設けられている。
【0023】
次に、前記固定金具20の構成について第2〜4図を参照して説明する。
【0024】
この固定金具20は、ガラス板11aに取り付けられる取付体21と、一端(先端)側が該取付体21に対し螺進可能に係合した可動体22と、該可動体22の他端(後端)に回転自在に取り付けられたフランジ23とを有している。
【0025】
この実施の形態では、該取付体21は、軸留めにより連結された主ブロック24と副ブロック25とからなる。符号26は、この主ブロック24と副ブロック25との軸留め用の軸体を示している。該主ブロック24に前記可動体23が螺着されており、副ブロック25がガラス板11aに固定される。
【0026】
該副ブロック25は、この実施の形態では、略円柱形の本体部25aと、該本体部25aの一端(先端)面に対しボルト25bにより固定される押えプレート25cと、該本体部25aの他端(後端)側から該本体部25aの軸心線と直交方向に突設された、主ブロック24との連結片25dとを備えている。該本体部25aの先端面中央には、該ボルト25bが螺じ込まれる雌ねじ孔25eが設けられている。また、該連結片25dには、前記軸体26の挿通孔25fが設けられている。
【0027】
該挿通孔25fは、本体部25aの軸心線と平行方向に穿設されている。なお、軸体26としてボルトを用いる場合、該挿通孔25fは雌ねじ孔であってもよい。
【0028】
この副ブロック25は、該本体部25aと押えプレート25cとの間にガラス板11aを挟むようにして該ガラス板11aに取り付けられる。該本体部25aとガラス板11aとの間及び押えプレート25cとガラス板11aとの間には、それぞれワッシャ状のクッション材27が配置されている。ガラス板11aの副ブロック取付予定領域にはボルト25bの挿通孔11cが穿設されている。該挿通孔11cの内周面には、クッション材よりなるカラー28が装着されている。
【0029】
主ブロック24も、この実施の形態では略円柱形となっている。この主ブロック24の一端側からは、連結片25dを保持するための1対の保持片24a,24aが突設されている。該保持片24a,24aは、連結片25dに対し、前記本体部25aの軸心線方向の一方側及び他方側からそれぞれ対峙するように配置されている。
【0030】
各保持片24aには、該連結片25dの挿通孔25fと重なり合う位置関係にて、軸体26の挿通孔24bが穿設されている。これらの挿通孔24b,25f,24bに該軸体26が挿通されることにより、主ブロック24が副ブロック25に対し該軸体26を回動中心として回動しうるように連結されている。なお、該軸体26の軸線方向は、副ブロック25が取り付けられたガラス板11aの板面と直交方向(該板面の法線方向)となる。
【0031】
該主ブロック24の他端(後端)面には雌ねじ孔24cが設けられている。該雌ねじ孔24cは、主ブロック24と同心状に形成されており、該主ブロック24の先端側へ向って所定の奥行きを有している。
【0032】
可動体22は主ブロック24よりも小径であり、一端(先端)側に該雌ねじ孔24cと螺合する雄ねじ部22aを有している。この雄ねじ部22aを介して、該可動体22が該雌ねじ孔24cの奥側へ向う方向及び該雌ねじ孔24cから突出する方向に螺進可能に係合している。
【0033】
該可動体22の他端(後端)面中央からは、フランジ取り付け用の凸軸22bが突設されている。該凸軸22bの中央には、ボルト螺じ込み用の雌ねじ孔(符号略)が穿設されている。
【0034】
フランジ23の中央には、該凸軸22bが挿通される開口23aが設けられている。この開口23aに凸軸22bを挿通し、該フランジ23の裏側から該凸軸22bの先端に押えプレート22cをボルト22dで固着することにより、フランジ23が可動体22の後端に対し、該可動体22の軸心線回りに回動可能に取り付けられている。なお、フランジ23の裏面側には、この押えプレート22cを受け入れる凹所(符号略)が形成されており、該押えプレート22cがフランジ23の裏面から突出しないようになっている。
【0035】
このフランジ23の該開口23a(可動体22)の周囲には、該フランジ23を壁に固定するためのビス(図示略)の挿通孔23bが設けられている。
【0036】
かかる構成の固定金具20を用いてガラス間仕切り10を構築する場合、まず、ガラス板11aの上部に固定金具20を取り付け、次いでこのガラス板11aを壁Wに隣接させて立設し、固定金型20を壁Wに留め付けて該ガラス板11aを固定する。次に、このガラス板11aの壁Wと反対側の側辺に、ヒンジ14を介してガラス扉12を取り付ける。その後、該ガラス板11aが床Fに対して垂直になるように固定金具20を微調整する。そして、このガラス板11aの下辺、壁W側の側辺及び上辺をそれぞれ接着剤13により室の床F、該壁W及び天井に接着する。
【0037】
固定金具20によりガラス板11aを壁Wに固定するに当っては、まず、予め可動体22を雌ねじ孔24cの奥側へ後退させておき、取付体21の副ブロック25をガラス板11aに取り付ける。この場合、該副ブロック25の本体部25aの先端面を、クッション材27を介してガラス板11aの一方(この実施の形態ではバスルーム1側)の板面に突き合わせるように配置すると共に、これと反対側の板面に、クッション材27を介して押えプレート25cを当て、前記挿通孔11cを介して該押えプレート25cを本体部25aにボルト25b留めする。この際、連結片25dが壁W側を向くようにする。
【0038】
次に、主ブロック24を壁W側に向けて略水平に配置し、フランジ23が壁Wに当接するまで可動体22を該壁W側へ螺進させる。このとき、フランジ23が壁Wに接近するのに伴い、主ブロック24が軸体26回りに回動して正確に水平方向に合致するようになる。フランジ23が壁Wに当接した後、挿通孔23bを介して該フランジ23を壁Wにビス留めする。この結果、ガラス板11aの上部が固定金具20によって壁Wに固定される。
【0039】
このガラス扉取付用間仕切りの構築方法にあっては、固定金具20によってガラス板11aを壁に固定しておくので、該ガラス板11aにガラス扉12をヒンジ14によって取り付けることができる。従って、接着剤を用いたガラス扉取付用間仕切りに比べて、接着剤の硬化を待たずにガラス扉を取付可能であり、工事期間が短縮される。また、ガラス扉を取り付けた後に該間仕切りを天井及び/又は床に垂直になるように固定することが可能であるため、ガラス扉の重みによって間仕切りがずれることなく整った仕上がりとすることができる。
【0040】
この実施の形態では、取付体21をガラス板11aに固定した後、可動体22を螺進させて該可動体22のフランジ23を壁に当接させてビス留めすることができるので、作業性が良好である。
【0041】
また、この実施の形態では、該取付体21は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロック24と副ブロック25とからなり、まず副ブロック25をガラス板11aに固定した後、主ブロック24を正確に水平方向に合致させることができ、作業性が良好である。
【0042】
なお、ガラス板11bも固定金型20を用いて固定してもよい。
【0043】
上記の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の構成に限定されない。
【0044】
上記実施の形態では、間仕切り板(ガラス板)を固定金具により室の壁に固定しているが、第5図に示すように、天井に固定してもよい。なお、第5図はこのように構成された間仕切りの要部斜視図である。
【0045】
この第5図の実施の形態では、間仕切り板11を天井Rに固定するに当り、まず、間仕切り板11の上部に、連結片25d(第5図では符号略)が天井R側を向くようにして副ブロック25を取り付ける。次に、該間仕切り板11を壁Wに隣接させて立設した後、主ブロック24を天井Rに向けて略垂直に配置し、フランジ23が該天井Rに当接するまで可動体22を螺進させる。このとき、主ブロック24が軸体26(第5図では符号略)回りに回動して正確に垂直方向に合致するようになる。その後、該フランジ23を天井Rにビス留めして間仕切り板11を固定する。
【0046】
本発明では、間仕切り板として、ガラス板以外にも、石膏ボードやFRPパネル、セメント板、金属板など、およそ室の間仕切りとして使用可能な如何なるものでも使用することができる。
【0047】
間仕切りは、バスルームの2面以上を囲むように構築されてもよい。
【0048】
本発明は、バスルーム以外の種々の室の間仕切りの構築にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態に係る間仕切りの構築方法により構築された間仕切りの斜視図である。
【図2】図1の間仕切りの構築方法に用いられる固定金具の斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】固定金具の分解斜視図である。
【図5】間仕切り板を室の天井に固定した構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 バスルーム
2 脱衣所
10 間仕切り
11 間仕切り板
11a,11b ガラス板
12 ガラス扉
13 接着剤
14 ヒンジ
20 固定金具
21 取付体
22 可動体
23 フランジ
24 主ブロック
25 副ブロック
26 軸体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内で間仕切り板を立設し、該間仕切り板の他方の側辺にヒンジを介してガラス扉を取り付けるガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、
該間仕切り板の上部を固定金具で壁又は天井に固定し、
その後、前記ガラス扉を該間仕切り板にヒンジを介して取り付けることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【請求項2】
請求項1において、前記固定金具は、前記間仕切り板に取り付けられる取付体と、
先端側が該取付体に対し螺進可能に係合した可動体と、
該可動体の後端に回転自在に取り付けられたフランジとを有しており、
該取付体を間仕切り板に固定した後、該可動体を螺進させて該フランジを前記壁又は天井に当接させ、
次いで該フランジを該壁又は天井にビス留めすることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【請求項3】
請求項2において、前記取付体は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロックと副ブロックとを有しており、
該主ブロックに前記可動体が螺着されており、該軸留め用の軸が間仕切り板の板面と垂直となるように該副ブロックを該間仕切り板に固定し、該可動体の螺進方向が鉛直上方又は前記壁を向いた水平方向となるように該主ブロックの該軸回りの方向を定めることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【請求項1】
室内で間仕切り板を立設し、該間仕切り板の他方の側辺にヒンジを介してガラス扉を取り付けるガラス扉取付用間仕切りの構築方法において、
該間仕切り板の上部を固定金具で壁又は天井に固定し、
その後、前記ガラス扉を該間仕切り板にヒンジを介して取り付けることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【請求項2】
請求項1において、前記固定金具は、前記間仕切り板に取り付けられる取付体と、
先端側が該取付体に対し螺進可能に係合した可動体と、
該可動体の後端に回転自在に取り付けられたフランジとを有しており、
該取付体を間仕切り板に固定した後、該可動体を螺進させて該フランジを前記壁又は天井に当接させ、
次いで該フランジを該壁又は天井にビス留めすることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【請求項3】
請求項2において、前記取付体は、軸留めにより回動可能に連結された主ブロックと副ブロックとを有しており、
該主ブロックに前記可動体が螺着されており、該軸留め用の軸が間仕切り板の板面と垂直となるように該副ブロックを該間仕切り板に固定し、該可動体の螺進方向が鉛直上方又は前記壁を向いた水平方向となるように該主ブロックの該軸回りの方向を定めることを特徴とするガラス扉取付用間仕切りの構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2006−316583(P2006−316583A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142862(P2005−142862)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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