説明

ガードル

【課題】骨盤の締めつけによる骨盤の歪みの抑制のほか、下半身を美しく見せるための、下腹の押さえ込みやヒップアップによる身体補正を期待でき、その割りには、穿き心地良好に着用でき、長時間着用しても痛くなりにくガードルを提供する。
【解決手段】前中心部1、左右のウエスト切替部21、22、左右のヒップ切替部31、32、ヒップ被覆部4、左右の大腿被覆部51、52、左右の股被覆部61、62とを縫着接続してなるガードル10。前中心部1は所謂1ウエイ伸縮性の第1及び第2の布1a、1bを主たる伸縮方向を交わらせて重ねて形成し、左右のウエスト切替部21、22及び左右のヒップ切替部31、32は上下方向Yに主たる伸縮性を示す1ウエイ伸縮性の布で形成し、ヒップ被覆部4、大腿被覆部51、52、股被覆部61、62は左右方向及びそれを横切る方向のそれぞの伸縮性を有する布で形成してある。各部を形成する布は通気性を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガードルについては様々なガードルが提案されてきた。
例えば特開2009−114589号公報に記載されているようにヒップアップと同時に内股をスリムにできるもの、特開2009−127367号公報や特開2009−127368号公報に記載されているように骨盤の歪みを矯正できるとともにヒップアップ効果も得られるもの、実用新案登録第31350357号公報に記載されているようにヒップアップと体形補正を実現するもの等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−114589号公報
【特許文献2】特開2009−127367号公報
【特許文献3】特開2009−127368号公報
【特許文献4】実用新案登録第31350357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来タイプのガードルはそれぞれ利点を有しているが、本発明は、様々なガードル使用者の要望に、より幅広く応えられるようにガードルに一層多様性をもたらそうとするものであり、その一環として次のガードルを提供しようとするものである。
【0005】
すなわち、本発明は、骨盤の締めつけによる骨盤の歪みの抑制のほか、下半身を美しく見せるための、下腹の押さえ込みやヒップアップによる身体補正を期待でき、そのような効果を期待できる割りには、穿き心地良好に着用でき、長時間着用しても痛くなりにくガードルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するため、
上下方向に長い前中心部と、
左右のウエスト切替部と、
前記左右のウエスト切替部の下側に配置された左右のヒップ切替部と、
前記左右のヒップ切替部の下側に配置された左右の大腿被覆部と、
前記左右のウエスト切替部と前記左右のヒップ切替部との間に配置されたヒップ被覆部と、
左右の股被覆部とを含んでおり、
前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されており、
前記前中心部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度以上の布で形成されており、
前記左右の各大腿被覆部及び前記ヒップ被覆部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されており、
前記左右の各股被覆部は、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向を横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されており、
前記左右の各ウエスト切替部、前記左右の各ヒップ切替部及び前記左右の各大腿被覆部のそれぞれの、前記前中心部との接続用端縁部が、該前中心部の左右の側端縁部の上部、中部及び下部にそれぞれ接続されているとともに、上下に隣り合う前記左右のウエスト切替部の下端縁部の部分と前記左右のヒップ切替部の上端縁部の部分とが相互接続されており、上下に隣り合う前記左右のヒップ切替部の下端縁部と前記左右の大腿被覆部の上端縁部とが相互接続されており、前記左右のウエスト切替部の前記前中心部との接続用端縁部とは反対側の後ろ側端縁部が相互に接続されており、前記左右のヒップ切替部の前記前中心部との接続用端縁部とは反対側の後ろ側端縁部が相互に接続されており、前記ヒップ被覆部の上端縁部が前記左右のウエスト切替部の下端縁部の該ヒップ被覆部との接続用部分に接続されているとともに該ヒップ被覆部の残りの端縁部が前記左右のヒップ切替部の上端縁部の該ヒップ被覆部との接続用部分に接続されており、前記左右の大腿被覆部は筒状体を形成するように両側端縁部が相互接続されており、
前記左右の股被覆部は、左右方向を横切る、一方の長手方向端縁部が隣り合うように並べられて該隣り合う長手方向端縁部が相互に接続されているとともに、他方の長手方向端縁部が前記左右の大腿被覆部の前記前中心部への接続用端縁部に続く股対応端縁部に接続されており、
前記左右の股被覆部は、さらに、前端縁部が前記前中心部の下端縁部に接続されているとともに後端縁部が前記左右のヒップ切替部の相互に接続される前記後ろ側の側端縁部に続く股対応端縁部に接続されているガードルを提供する。
なお、「伸張に対する弾性復元収縮力の大小」は「同じ長さ伸張させたときの弾性復元収縮力の大小」である。
【0007】
本発明に係るガードルによると、ガードル装着者の骨盤周囲に位置する前記前中心部並びに前記左右のウエスト切替部及び前記左右のヒップ切替部のうち、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されており、前記前中心部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度以上の布で形成されている。
【0008】
従って、それだけガードル着用者の骨盤を周囲からタイトに締め付けることができ、それにより、ガードル装着者の骨盤の歪み発生をそれだけ抑制することができる。
【0009】
前記前中心部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度以上の布で形成されているので、上下方向にも左右方向にも伸張し難く、それだけガードル装着者の下腹の押さえ込み効果を期待できる。
【0010】
前記左右のヒップ切替部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されているので、左右方向には伸縮し難く、また、該左右のヒップ切替部は該左右のヒップ切替部の前記前中心部との接続用端縁部とは反対側の後ろ側(背面側)端縁部が相互に接続されていてガードル装着者のヒップを下方から持ち上げる如く作用するので、これらによりヒップアップ効果を期待できる。
【0011】
このような前中心部による下腹の押さえ込みと左右のヒップ切替部によるヒップアップとにより、ガードル装着者の下半身を美しく見せる身体補正効果を期待できる。
【0012】
一方、前記左右の各大腿被覆部及び前記ヒップ被覆部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布(例えば、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の布)で形成されており、また、前記左右の各股被覆部は、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向を横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布(例えば、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の布)で形成され、さらに、本発明に係るガードルは立体裁断的手法で形成されたパーツを接続して形成されているので、前記のとおりの前中心部による下腹の押さえ込みと左右のヒップ切替部によるヒップアップとにより、ガードル装着者の下半身を美しく見せる身体補正効果を期待できる割りには穿き心地良好であり、長時間着用しても痛くなりにくい。
【0013】
本発明に係るガードルにおいて、前記前中心部を形成している布としては、例えば、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の第1布と、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力が左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の第2布とを重ねて形成されている布を挙げることができる。
【0014】
本発明に係るガードルにおいては、穿き心地を一層良好にするために、前記前中心部、前記左右のウエスト切替部、前記左右のヒップ切替部、前記ヒップ被覆部、前記左右の大腿被覆部及び前記左右の股被覆部のそれぞれを形成している布は通気性を有する布としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によると、骨盤の締めつけによる骨盤の歪みの抑制のほか、下半身を美しく見せるための、下腹の押さえ込みやヒップアップによる身体補正を期待でき、そのような効果を期待できる割りには、穿き心地良好に着用でき、長時間使用しても痛くなりにくガードルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るガードルの正面図である。
【図2】図1のガードルの背面図である。
【図3】図1のガードルをパーツに分解して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るガードルの1例の正面図であり、図2はその背面図であり、図3はガードルをパーツに分解して示す図である。
【0018】
図示のガードル10は、上下方向に長い倒立台形状の前中心部1と、
左ウエスト切替部21及び右ウエスト切替部22と、
左ウエスト切替部21の下側に配置された左ヒップ切替部31及び右ウエスト切替部22の下側に配置された右ヒップ切替部32と、
左のヒップ切替部31の下側に配置された左の大腿被覆部51及び右のヒップ切替部32の下側に配置された右の大腿被覆部52と、
背面側で、左右のウエスト切替部21、22と左右のヒップ切替部31、32との間に配置されたヒップ被覆部4と、
左の股被覆部61及び右の股被覆部62とを後述するように縫着接続してなるものである。
【0019】
左右のウエスト切替部21、22のそれぞれ及び左右のヒップ切替部31、32のそれぞれは、上下方向Yには伸縮性を呈するが左右方向Xには伸縮し難い布で形成されている。さらに言えば、左右のウエスト切替部21、22のそれぞれ及び左右のヒップ切替部31、32のそれぞれは、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されている。
ここで「伸張に対する弾性復元収縮力の大小」は「同じ長さ伸張させたときの弾性復元収縮力の大小」でる。この点は以下同様である。
【0020】
前中心部1は、図3に示すように、上下方向Yに伸縮性を呈するが左右方向Xには伸縮し難い第1布1aと、上下方向Yには伸縮し難いが左右方向Xには伸縮性を呈する第2布1bとを重ねあわせて形成したもので、全体として上下方向Yにも左右方向Xにも伸縮し難いものである。
【0021】
さらに言えば、前中心部1は、左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力が上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、ウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と概ね同程度の第1布1aと、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力が左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、ウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と概ね同程度の第2布1bとを重ねて形成されている。
【0022】
ガードル10では、直交する2方向のうちいずれか一方向に伸縮性をしめすが、他方向では該一方向の伸縮性と比較すると伸縮性が乏しく、該一方向の伸張に対する弾性復元収縮力より該他方向の伸張に対する弾性復元収縮性の方が大きい、所謂ワンウエイ(1way)の布、例えば、一般に肌着やガードルなどに用いられている1wayの布(例えば澤村株式会社製の通気性を有する1wayの布「サテンネット」)を裁断してウエスト切替部21、22やヒップ切替部31、32、さらには前中心部1を形成している布1aや1bとして採用できる。
【0023】
一方、ヒップ被覆部4及び左右の大腿被覆部51、52のそれぞれは、上下方向Yにも左右方向Xにも伸縮性を呈する布で形成されており、左右の股被覆部61、62のそれぞれは左右方向Xにも該左右方向を横切る方向にも伸縮性を呈する布で形成されている。
【0024】
さらに言えば、ヒップ被覆部4及び左右の大腿被覆部51、52のそれぞれは、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともにウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されている。ヒップ被覆部4及び左右の大腿被覆部51、52のそれぞれの、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力は、例えば、ウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力と概ね同程度とすることができる。
【0025】
また、左右の股被覆部61、62は、左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向Xを横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともにウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されている。左右の股被覆部61、62のそれぞれの左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向Xを横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力は、例えば、ウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力と概ね同程度とすることができる。
【0026】
いずれにしても、ガードル10では、直交する2方向のいずれにも同程度の伸縮性をしめし、直交する2方向のいずれについても伸張に対する弾性復元収縮力が概ね同程度である布として、一般に水着等に採用されている所謂ツーウエイ(2way)の布(例えば澤村株式会社製の通気性を有する2wayの布)を裁断して、ヒップ被覆部4、大腿被覆部51、52、股被覆部61、62として採用できる。
【0027】
図1に示すように、左のウエスト切替部21の前中心部1との接続用端部211は前中心部1の左側の端縁部11のうち上部111に縫着接続されており、右のウエスト切替部22の前中心部1との接続用端部221は前中心部1の右側の端縁部12のうち上部121に縫着接続されている。
【0028】
左のヒップ切替部31の前中心部1との接続用端部311は前中心部1の左側の端縁部11のうち中部112に縫着接続されており、右のヒップ切替部32の前中心部1との接続用端部321は前中心部1の右側の端縁部12のうち中部122に縫着接続されている。
【0029】
左の大腿被覆部51の前中心部1との接続用端部511は前中心部1の左側の端縁部11のうち下部113に縫着接続されており、右の大腿被覆部52の前中心部1との接続用端部521は前中心部1の右側の端縁部12のうち下部123に縫着接続されている。
【0030】
図2に示すように、左右のウエスト切替部21、22の、前中心部1との接続用端縁部211、221とは反対側の端縁部212、221は背面側へまわされ、相互に縫着接続されている。
【0031】
また、左右のヒップ切替部31、32の、前中心部1との接続用端縁部311、321とは反対側の端縁部312、322も背面側へまわされ、相互に縫着接続されている。
【0032】
さらに、図1に示すように、左右のウエスト切替部21、22のヒップ切替部31、32に対応する下端縁部214、224の部分と左右のヒップ切替部31、32の上端縁部313、323とが相互に縫着接続されている。
【0033】
ヒップ被覆部4は、このようにして形成される左右のウエスト切替部21、22と左右のヒップ切替部31、32の間の背面側空所に配置され、該ヒップ被覆部の上端縁部41が左右のウエスト切替部21、22の下端縁部214の該ヒップ被覆部対応部分に縫着接続されるとともに、該ヒップ被覆部の下端縁部42が左右のヒップ切替部31、32のヒップ被覆部に対応する上端縁部313’、323’に縫着接続されている。
【0034】
また、図1、図2に示すように、左のヒップ切替部31の左の大腿被覆部51に対応する下端縁部314と該大腿被覆部51の上端縁部515とが相互に縫着接続されるとともに、右のヒップ切替部32の右の大腿被覆部52に対応する下端縁部324と該大腿被覆部52の上端縁部525とが相互に縫着接続されている。
【0035】
左の大腿被覆部51は筒状に曲げられて両側端縁部513と514とが相互に縫着接続されており、右の大腿被覆部52も筒状に曲げられて両側端縁部523と524とが相互に縫着接続されている。
【0036】
ガードル10では、左の大腿被覆部51の側端縁部513の上端部513’は左のヒップ切替部31の背面側端縁部312に続く端縁部312’の下端部3121’に縫着接続されており、右の大腿被覆部52の側端縁部523の上端部523’は右のヒップ切替部32の背面側端縁部322に続く端縁部322’の下端部3221’に縫着接続されている。
【0037】
左右の股被覆部61、62については、左右対称形に裁断形成してあり、左右方向を横切る一方の長手方向端縁部611、621が隣り合うように並べられて相互に縫着接続されているとともに、他方の長手方向端縁部614、624が左右の大腿被覆部51、52の前中心部1への接続用端縁部511、521に続く股対応端縁部512、522に縫着接続されている。
【0038】
さらに、左右の股被覆部61、62の前端縁部612、622が前中心部1の下端縁部14の部分141、142に縫着接続され、後端縁部613、623が左右のヒップ切替部31、32の背面側端縁部312、322に続く股対応端縁部312’、322’の部分に縫着接続されている。
【0039】
以上説明したガードル10によると、ガードル装着者の骨盤周囲に位置する前中心部1並びに左右のウエスト切替部21、22及び左右のヒップ切替部31、32のうち左右のウエスト切替部21、22及び左右のヒップ切替部31、32のそれぞれは、上下方向Yと比較して左右方向Xには伸縮し難く、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されており、前中心部1は、上下方向Yの伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともにウエスト切替部21、22及びヒップ切替部31、32の左右方向Xの伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の布(布1aと1bを重ねた布)で形成されている。
【0040】
従って、それだけガードル着用者の骨盤を周囲からタイトに締め付けることができ、それにより、ガードル装着者の骨盤の歪み発生をそれだけ抑制することができる。
【0041】
また、前中心部1は、2枚重ねの布1a、1bで形成されているとともに上下方向Yにも左右方向Xにも伸縮し難いので、ガードル装着者の下腹の押さえ込み効果を期待できる。
【0042】
左右のヒップ切替部31、32は、上下方向Yと比較して左右方向Xには伸縮し難く、X方向の伸張に対する弾性復元収縮力がY方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、左右のヒップ切替部31、32は背面側端縁部312、322で相互に接続されていてガードル装着者のヒップを下方から持ち上げる如く作用するので、これらによりヒップアップ効果を期待できる。
【0043】
このような前中心部1による下腹の押さえ込みと左右のヒップ切替部31、32によるヒップアップとにより、ガードル装着者の下半身を美しく見せる身体補正効果を期待できる。
【0044】
一方、左右の大腿被覆部51、52及びヒップ被覆部4は、上下方向Yにも左右方向Xにも比較的伸縮し易い布で形成されているとともに左右の股被覆部61、62は、左右方向Xにも該左右方向を横切る方向にも比較的伸縮し易い布で形成されており、さらに、ガードル10は立体裁断的手法で形成されたパーツを縫着接続して形成されているので、前記のとおりの前中心部1による下腹の押さえ込みと左右のヒップ切替部31、32によるヒップアップとにより、ガードル装着者の下半身を美しく見せる身体補正効果を期待できる割りには穿き心地良好であり、長時間着用しても痛くなりにくい。
【0045】
さらに、前中心部1、左右のウエスト切替部21、22、左右のヒップ切替部31、32、ヒップ被覆部4、左右の大腿被覆部51、52及び左右の股被覆部61、62は通気性布で形成されているので、ガードル10はむれにくく、それだけ快適に着用できる。
【0046】
以上図面を参照して説明したガードル10では、前中心部1は布1a及び1bを重ねて形成されているが、さらに多くの布を重ねて形成してもよい。また、左右のウエスト切替部21、22と左右のヒップ切替部31、32の相互の関係では、例えば、ヒップ切替部31、32は1枚布から形成するが、ウエスト切替部21、22を形成している布には複数枚(例えば2枚)の布を重ねて構成したものを採用することで、ウエスト切替部21、22の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力をヒップ切替部31、32の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく設定して、骨盤の締めつけによる骨盤の歪みの抑制を一層効果的に行えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、骨盤の締めつけによる、骨盤の歪みの抑制のほか、下半身を美しく見せるための、下腹の押さえ込みやヒップアップによる身体補正を期待でき、その割りには、穿き心地良好に着用でき、長時間着用しても痛くなりにくガードルを提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 ガードル
1 前中心部
1a、1b 前中心部形成布
Y 上下方向
X 左右方向
11 前中心部の左側端縁部
111、112、113 左側端縁部11の上部、中部、下部
12 前中心部の右側端縁部
121、122、123 右側端縁部12の上部、中部、下部
13 前中心部の上端縁部
14 前中心部の下端縁部
141、142 下端縁部14の部分
21 左のウエスト切替部
22 右のウエスト切替部
211、221 前中心部との接続用端部
212、222 反対側(背面側)の端縁部
213、223 上端縁部
31 左のヒップ切替部
32 右のヒップ切替部
311、321 前中心部との接続用端部
312、322 背面側の端縁部
312’、322’ 端縁部312、322に続く端縁部
3121’、3221’ 端縁部312’,322’の一部
313、323 上端縁部
313’、323’上端縁部313、323に続く上端縁部
314、324 下端縁部
4 ヒップ被覆部
41 上端縁部
42 他の端縁部
51 左の大腿被覆部
52 右の大腿被覆部
511、521 前中心部との接続用端部
512、522 端部511、521に続く端部
513、514、523、524 側端縁部
513’、523’ 端縁部513、523の上端部
515、525 上端縁部
516、526 下端縁部
61 左の股被覆部
62 右の股被覆部
611、621 一側端縁部
614、624 他側端縁部
613、623 前端縁部
612、622 後端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に長い前中心部と、
左右のウエスト切替部と、
前記左右のウエスト切替部の下側に配置された左右のヒップ切替部と、
前記左右のヒップ切替部の下側に配置された左右の大腿被覆部と、
前記左右のウエスト切替部と前記左右のヒップ切替部との間に配置されたヒップ被覆部と、
左右の股被覆部とを含んでおり、
前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力の方が大きい布で形成されており、
前記前中心部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度以上の布で形成されており、
前記左右の各大腿被覆部及び前記ヒップ被覆部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されており、
前記左右の各股被覆部は、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向を横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より小さい布で形成されており、
前記左右の各ウエスト切替部、前記左右の各ヒップ切替部及び前記左右の各大腿被覆部のそれぞれの、前記前中心部との接続用端縁部が、該前中心部の左右の側端縁部の上部、中部及び下部にそれぞれ接続されているとともに、上下に隣り合う前記左右のウエスト切替部の下端縁部の部分と前記左右のヒップ切替部の上端縁部の部分とが相互接続されており、上下に隣り合う前記左右のヒップ切替部の下端縁部と前記左右の大腿被覆部の上端縁部とが相互接続されており、前記左右のウエスト切替部の前記前中心部との接続用端縁部とは反対側の後ろ側端縁部が相互に接続されており、前記左右のヒップ切替部の前記前中心部との接続用端縁部とは反対側の後ろ側端縁部が相互に接続されており、前記ヒップ被覆部の上端縁部が前記左右のウエスト切替部の下端縁部の該ヒップ被覆部との接続用部分に接続されているとともに該ヒップ被覆部の残りの端縁部が前記左右のヒップ切替部の上端縁部の該ヒップ被覆部との接続用部分に接続されており、前記左右の大腿被覆部は筒状体を形成するように両側端縁部が相互接続されており、
前記左右の股被覆部は、左右方向を横切る、一方の長手方向端縁部が隣り合うように並べられて該隣り合う長手方向端縁部が相互に接続されているとともに、他方の長手方向端縁部が前記左右の大腿被覆部の前記前中心部への接続用端縁部に続く股対応端縁部に接続されており、
前記左右の股被覆部は、さらに、前端縁部が前記前中心部の下端縁部に接続されているとともに後端縁部が前記左右のヒップ切替部の相互に接続される前記後ろ側の側端縁部に続く股対応端縁部に接続されていることを特徴とするガードル。
【請求項2】
前記左右の各大腿被覆部及び前記ヒップ被覆部は、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の布で形成されており、
前記左右の各股被覆部は、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力及び該左右方向を横切る方向の伸張に対する弾性復元収縮力が同程度であるとともに前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の布で形成されている請求項1記載のガードル。
【請求項3】
前記前中心部を形成している布は、左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力が上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の第1布と、上下方向の伸張に対する弾性復元収縮力が左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力より大きく、且つ、前記左右の各ウエスト切替部及び前記左右の各ヒップ切替部の左右方向の伸張に対する弾性復元収縮力と同程度の第2布とを重ねて形成されている請求項1又は2記載のガードル。
【請求項4】
前記前中心部、前記左右のウエスト切替部、前記左右のヒップ切替部、前記ヒップ被覆部、前記左右の大腿被覆部及び前記左右の股被覆部のそれぞれを形成している布は通気性を有する布である請求項1、2又は3記載のガードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−140714(P2012−140714A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292468(P2010−292468)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(390018131)株式会社新和 (12)
【Fターム(参考)】