説明

キッチン用情報端末及びシステムキッチン

【課題】構成部分を有効に活用し、構成を複雑化することなく、製作コストが安価にして使用時に発生する湯気等の熱気の悪影響を有効に回避するキッチン用情報端末及びシステムキッチンを提供する。
【解決手段】キッチン用情報端末のモニター22の後背部を傾斜平坦面又は凸状面をもって覆う気流偏向フード28を取り付け、該フードの上部に排気口26を設けて該排気口と連結した排気ダクト27を設け、前記排気ダクト側から吸気手段を介して前記排気口に吸引力を作用させることにより、モニター22の下方に発生した水蒸気を含む熱気を前記フードの底部外面に沿って排気口26から排気ダクト27に流入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン用情報端末及びこれを用いたシステムキッチンの改良に関し、詳しくは、当該キッチン使用時に発生した湯気等を含む熱気による悪影響を有効に回避するキッチン用情報端末及びシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホームオートメーションが普及するに伴って、キッチン用情報端末を利用する際、その利用者である主婦等が頻繁に居合わせる台所であって、特に、図17に示すように、システムキッチン1のウォールユニット(食器棚)7の底面部又はキッチンの天井部に、当該情報端末8のモニター又はディスプレイ、代表的に、タッチパネル付き液晶ディスプレイ9を垂直状に吊り下げて取り付けたキッチン用情報端末付きシステムキッチンが知られている。なお、図17において、数字符号の2はフロアキャビネット、4はレンジ、5はシンク及び6は蛇口である。
【0003】
前記従来形式のキッチン用情報端末付きシステムキッチン1においては、料理人がキッチン用情報端末8のタッチパネル付き液晶モニター画面9をタッチパネルにより入力操作してインターネット等を通して料理情報を見ながら料理をするとか、玄関に取り付けるとともに当該情報端末のバスラインと接続されたTVカメラ(図示しない)を介して来客者を確認することが可能な利便性の高いものとされる。
【0004】
ところで、前記従来形式のキッチン用情報端末付きシステムキッチン1においては、システムキッチンの使用時、キッチンの天井又はウォールユニット(食器棚)の底部に吊り下げられたモニター9は、その下方から、例えば、キッチンカウンターに載置された湯沸しポット10とか、煮物鍋(図示しない)等から立ち昇る湯気11等を含む熱気に曝されると、該モニター9の表面が水蒸気で曇って画像の映りが悪くなるおそれがある。また、熱気によりモニター9の構成部品(液晶素子等)が高温となって早急に劣化するおそれがあるという問題点があった。
【0005】
前記問題点に対して、下記の特許文献1に開示されるように、キッチン用情報端末のモニター又はCRT7を、専用のキャビネット本体6内に収納し、該キャビネット本体6におけるCRT7の直下部に該キャビネットの前面から背面に達するように吸気用ダクト8を設けるとともにキャビネットの背面に吸気用ファン10を設け、該ファン10により、調理にともない発生して上昇する蒸気を含む熱気を、CRT7の画面に達する前にキャビネットの前面に設けた前記ダクト8の吸気孔6cからキャビネット本体6の背面に設けた該ダクト8の排気孔6dを流通させ、吸気用ダクト8内に配置したフィルタ9a、9bを介して前記熱気を冷却清浄化した後、キャビネットの背面側外部から再びキャビネット本体6内に取り込んでCRT7の上方のキャビネットの前面に設けた排気孔6fから外部に排気するようにして使用時に発生した熱気の悪影響を回避することが図られている。
【特許文献1】特開平2−219380号公報(第4頁右欄、第1図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示されるキッチン用情報端末においては、使用時に発生した熱気の悪影響を解消するにあたり、基本的に、特殊構造の吸気用ダクト8、専用の空気循環用ファン10及びCRT7を収納するキャビネット本体6を用いて当該CRT7の下方部から立ち昇る湯気等を含む熱気を冷却清浄化する空気循環系統を構築する必要があり、このため、キッチン用情報端末ばかりでなく、システムキッチン全体も大型かつ複雑となり、製作コストも非常に高価なものとなるので即座に採用し難い。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものであり、汎用のシステムキッチンに具備される構成部分を有効に活用し、前記先行技術(特許文献1に開示の技術的事項)におけるように、特殊構造の吸気用ダクト、特別仕様のキャビネット本体、専用の空気循環用ファン等を必要とせず、キッチン用情報端末及びシステムキッチン全体を複雑化することなく、製作コストが安価にして使用時に発生する湯気等を含む熱気の悪影響を有効に回避するキッチン用情報端末及びシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、モニターを有し、キッチンに吊り下げて使用するキッチン用情報端末であって、前記モニターの後背部を該モニターの下端部から上方部にかけて傾斜平坦面又は凸状面をもって覆うようにした気流偏向フードと、前記気流偏向フードの途中位置に該気流偏向フードに沿って上昇してきた気体を排出する排気口とを備えたことを特徴とするキッチン用情報端末である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記気流偏向フードの下端部に、モニター前面の下端部より前方に張り出す庇部を設けたことを特徴とする請求項1記載のキッチン用情報端末である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記モニターの下端部近傍に湿度センサを配置するとともに該湿度センサの検出信号に基づいて、前記排気口に接続された外部排気装置に排気指令信号を送出する排気信号送信器を設けたことを特徴とする請求項2記載のキッチン用情報端末である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記排気信号送信器は無線信号を送信し、回動機構により送信方向を可変としたことを特徴とする請求項3記載のキッチン用情報端末である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、モニターを有し、キッチンに吊り下げて使用するキッチン用情報端末であって、前記モニターの後背部を該モニターの下端部から上方部にかけて傾斜平坦面又は凸状面をもって覆うようにした気流偏向フードと、前記気流偏向フードの途中位置に該気流偏向フードに沿って上昇してきた気体を排出する排気口とを備えたキッチン用情報端末と、前記排気口に連結するとともにレンジフードと連結した排気ダクトと、前記モニターの下端部近傍に配置された湿度センサと、前記湿度センサの検出信号に基づいて前記レンジフードの吸気作用を指令する排気信号送信器と、前記排気信号送信器からの無線信号を受信する受信器と、前記排気信号送信器と前記受信器間で無線信号を反射させる反射面を有するキッチンカウンターとを備え、前記排気信号送信器の信号送信方向は前記キッチンカウンターに向けられていることを特徴とするシステムキッチンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載のキッチン用情報端末によれば、キッチン用情報端末の下方部において湯気等を含む蒸気が生じたときにも、該蒸気は前記モニターの下端部から該モニターの後背部に設けた気流偏向フードの底部外面に沿って該気流偏向フードの上部に設けた排気口の導かれ、例えば排気ダクトから外部に排出されるので、蒸気がモニターの表示画面側に導かれず、モニター画面が蒸気で曇ることを防止することができる。また、モニター画面のタッチパネルの誤動作を有効に低減することができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載のキッチン用情報端末によれば、庇部によりモニター画面の下方から立ち昇る蒸気との接触を低減し、したがって、前記請求項1の発明による効果をより高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【0015】
本発明の請求項3に記載のキッチン用情報端末によれば、モニターの下方部での蒸気等を含む熱気の発生を検知して排気口への空気の流入を制御することができるという優れた効果を奏し得る。
【0016】
本発明の請求項4に記載のキッチン用情報端末によれば、キッチンカウンター等を用いることで無線信号の反射を利用して信号受信の信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項5に記載のシステムキッチンによれば、排気信号送信器と受信器との位置関係にかかわらず、排気信号送信角度、無線信号のキッチンカウンターでの反射回数等を調整することで、的確に受信器に信号を伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例のキッチン用情報端末の側面図を示し、図2は正面図を、図3は底面図を示す。また、図4は図1〜図3に示されたキッチン用情報端末を用いたシステムキッチンの構成例を示す。
【0020】
キッチン用情報端末18は、収納ケース25、表示装置としての液晶モニター22、気流偏向フード28等から構成されており、液晶モニター22は収納ケース25または気流偏向フード28に固定されている。液晶モニター22は、タッチパネルを具備したタッチパネル付き液晶ディスプレイを用いて構成される。
【0021】
収納ケース25は、磁気シールド及び電気絶縁性の部材で形成されており、この中には図5に示すようなキッチン情報端末を動作させる制御回路や処理回路等が配置されている。収納ケース25によって種々の電気的、磁気的及び熱的障害から遮断され、当該ケース25に収納した状態で当該システムキッチン20のウォールユニット(食器棚)の底面部即ち当該キッチンの天井部16における取り付け位置に、ビス等の固定部材を用いて固定される。収納ケース25に固定された液晶モニター22は、収納ケース25が固定されると垂直状に吊り下がった状態となる。
【0022】
気流偏向フード28は、例えば、鉄板、ブリキ板材、ステンレス板材をプレス加工して湾曲形状に成形されたもので、液晶モニター22の後背部を全幅にわたって覆うとともに液晶モニター22の前面下端部24から前記天井部16に至り凸状湾曲面を有する。なお、気流偏向フード28は、例えば、耐熱性強化プラスチック樹脂材を用いてプラスチック成形したものであっても良い。また、気流偏向フード28は、凸状湾曲形に形成したものに限らず、平板体をモニター画面22の前面下端部24から前記天井部16に至り傾斜させて取り付けることができる。また、前記気流偏向フード28の凸状湾曲形外面に耐熱性塗料を塗装して耐熱性を強化することができる。
【0023】
気流偏向フード28の底部外面31と、前記収納ケース25の外面と、前記気流偏向フード28の底部外面31と対向するシステムキッチンの背後壁面部17とで気流迂回流路30が形成される。気流迂回流路30は、図1に示すように、概略、底面部が凸状湾曲面とされるとともに両側部外面32が対称的な扇形となっている。また、前記気流偏向フード28の底部外面31の上端部と、該底部外面31と対向する当該システムキッチンの背後壁面17の上端部とで挟まれた天井部16における領域に、収納ケース25の一部がくり貫かれて貫通した短冊状の排気口26が形成されている。
【0024】
気流偏向フード28は、垂直状に取り付けられた液晶モニター22の下端部の下方から立ち昇る湯気等を含んだ熱気が液晶モニター22の表示画面側(前面)と接触しないように気流迂回流路30の方向に蒸気等を誘導する役割を果す。また、気流偏向フード28に凹部を形成しないようにして結露が生じ難いようにしている。一方、気流偏向フードの前面下端部24は、垂直に支持された液晶モニター22の下部位置の表示面(前面)よりも前に張り出した形状にし、液晶モニター22の上部に行くにしたがって表示面に近づくように傾斜を気流偏向フード28の側部外面32に設けて、庇部29を形成している。
【0025】
これは、液晶モニター22の下方向から湯気11等の蒸気が発生しても、庇部29の張り出しによって、液晶モニター22の表示面側への侵入を防ぐとともに、側部外面32の傾斜により表示面を見やすく、かつ操作しやすいようにするためである。
【0026】
以上のようなキッチン用情報端末18をシステムキッチンに取り付けた構成例を示すのが図4であり、レンジフード14における換気扇13の下方部分に穴が開けられて排気ダクト27と接続され、排気ダクト27の他端はキッチン情報端末18の排気口26に連結される。換気扇13を起動すると、レンジフード14の内部に作用する吸引力が排気ダクト27を介して排気口26に作用し、図1に白抜き矢印で示すように、前記液晶モニター画面22の下端部の下方の空気が排気口26に向けて吸引され、排気ダクト27、レンジフード14を流通して大気中に排気される。
【0027】
したがって、湯沸しポット10等がキッチン用情報端末18の真下に置かれていたとしても、湯沸しポットからの蒸気は庇部29の効果もあって液晶モニター22の表示面側には侵入せずに、気流迂回流路30の方向に流れて排気口26から、排気ダクト27、レンジフード14を通り大気中に排気される。
【0028】
また、レンジフード14の赤外線遠隔操作器、いわゆる、赤外線リモートスイッチ34が、例えばガスオーブンを収納したフロアキャビネットの前面等に取り付けた壁掛けフック等に取り付けられている。
【0029】
収納ケース25に格納されたキッチン用情報端末18の本体部は、図5に示すように、マイクロコンピュータを用いて形成したものであり、制御部又は中央演算処理回路(CPU)41に、タッチパネル入力処理回路及び映像信号処理回路42を介して前記タッチパネル付き液晶ディスプレイ又はモニター22が接続され、インターホン回路43を介して玄関又は住宅の門扉に取り付けられたTVカメラ及び呼出器が接続され、電話回路44を介してインターネットにアクセス可能とされ、音声信号処理回路45を介して複数のマイクロフォン47、スピーカ48と接続可能とされる。
【0030】
このキッチン用情報端末18の記憶装置(メモリー)46には、当該キッチン用情報端末の操作プログラム(OS)が格納される。また、湿度センサ35、赤外線リモコン信号送信器36、赤外線レンジフード操作信号受信器37及び排気口開閉弁制御回路(装置)51が接続される。
【0031】
前記湿度センサ35として、例えば、市販の電気抵抗検出型センサ素子が用いられ、該湿度センサ35は、前記気流偏向フード28の底部外面31における先端部、すなわち、前記液晶モニター画面22の下端部の下方直近部における雰囲気の湿度が検出される。
【0032】
このようにして前記液晶モニター画面22の下端部の下方のキッチンカウンターに載置された、例えば、湯沸しポット10から立ち昇る湯気11等を含んだ熱気に曝されることによる影響度を検知することができる。湿度センサ35による検出結果がキッチン用情報端末18の制御部(CPU)41に入力され、該制御部41において予め定めた基準値を超えたかどうかが判定される。前記湿度センサ35による検出値が基準値を超えたとき、前記キッチン用情報端末18の制御部(CPU)41から赤外線リモコン信号送信器36にレンジフード換気扇の指令起動指令が送出される。
【0033】
赤外線リモコン信号送信器36はキッチン用情報端末の排気口26から蒸気等を排気させるための排気信号送信器としての役割を有し、換気扇起動指令を受けると、レンジフード14の操作パネル(図示しない)に配置された赤外線レンジフード操作信号受信器37に向けて赤外線換気扇起動指令信号38を送信する。前記赤外線リモコン信号送信器36は、図6に示すように、例えば収納ケース25の外側面であって、前記赤外線レンジフード操作信号受信器37が固定される高さ位置と略同じ高さ位置に固定される。
【0034】
また、赤外線リモコン信号送信器36の信号送信部と赤外線レンジフード操作信号受信器37の信号受信部とは同一の直線上に存在するように調整される。前記赤外線レンジフード操作信号受信器37がレンジフード操作信号を受けると、換気扇15の起動スイッチ(図示しない)をONとし、換気扇13を起動し、前記排気ダクト27を介して排気口26に吸引力を作用する。
【0035】
前記赤外線リモコン信号送信器36の信号発信部を、例えば、公知のユニバーサルジョイントを介して取付け、該発信部からの赤外線信号の送信方向、特に、垂直面内での回転角度を自在に調整可能とする。また、キッチンカウンターの表面及びウォールユニット底面部16を白色鏡面として、赤外線信号が実質的に無損失で正規反射可能とする。
【0036】
リモコン信号受信器37は、赤外線レンジフード遠隔操作器34からの信号を受信しなければならないので、通常、受信部を下方向にして取り付けられているので、鉛直方向上方向の信号は精度良く受信できるが、横方向からの信号については受信できない恐れが生じる。
【0037】
そこで、図7及び図8に示すように、キッチンカウンターと、ウォールユニットの底面部で1回〜複数回反射可能とすることにより、赤外線リモコン信号送信器36の送信部と赤外線レンジフード操作信号受信器37の受信部間の通信を的確に行えるようになる。
【0038】
次に、前記排気口26に開閉弁(排気口開閉弁機構部)を設け、前記湿度センサ35の検出値に応じて前記開閉弁の開度を制御して、上述の排気動作を行わせることを特徴とするキッチン用情報端末について説明する。
【0039】
前記排気ダクト27の先端部、即ち、排気口26の開口に近い内部に、図9(閉状態)及び図10(開状態)に示す、該排気口26を開閉する弁機構部(弁装置)53が設けられる。この弁機構部53は、概略、弁本体55と回転軸56とステッピングモータ58とにより構成される。弁本体55は、プラスチック材料を用いて排気口26と略同じ形状寸法の長方形の板状体とされ、その長手方向中心線に沿って回転軸56が取り付けられている。回転軸56の両端部が前記排気口26の両側(短辺)縁部に固定された軸受(図示しない)を介して回転自在に支持されるとともに、回転軸56の一端部がステッピングモータ58の出力軸と連結されている。弁機構部53は、前記キッチン用情報端末18の制御部41と接続された排気口開閉弁制御回路51により駆動制御される。
【0040】
なお、前記弁本体55は、プラスチック材料により、例えば、前記回転軸56をインサート成形法により一体成形したものに限らず、金属、好ましくは、アルミニューム等の軽金属を用いて形成したものであってもよい。
【0041】
前記排気口開閉弁制御回路51は、前記湿度センサ35からキッチン用情報端末18の制御部41を介して湿度検出信号を受け、該湿度検出値が予め定められた基準値を超えたどうかを判定する。湿度検出値が基準値を下回るときには、回転軸56は回転停止状態とされ、弁本体55は、図9(B)に示すように、前記排気口26の開口平面と平行とされ、前記弁本体56における回転軸56の両側の弁翼部が排気口26を閉鎖し、当該弁機構部53は閉状態とされる。
【0042】
一方、湿度検出値が基準値を超えたと判定されると、弁制御回路51はステッピングモータ58に駆動指令信号を送る。これと同時に、前記制御部41は、前記赤外線リモコン信号送信器36に換気扇起動指令信号38の送信を指令し、前述したように、前記赤外線レンジフード操作信号受信器37を介して換気扇13が起動し、該換気扇13による吸引力が排気ダクト27を介して排気口26に作用状態とされる。
【0043】
前記排気流ステッピングモータ58は弁制御回路51からの駆動指令信号を受けると、該駆動指令信号に応じて回転軸56を回転駆動し、図10(B)に示すように、弁本体55は水平状態(閉状態)から90°回転して排気口26を開放し、当該弁機構部53は開状態とされる。このとき、前記換気扇13による吸引力が排気口26に作用することとなり、図10(B)中、白抜き矢印で示されるように、前記モニター画面22の下方部から排気口26に向かって気流が形成される。なお、本実施例においては、前記ステッピングモータ58は、弁制御回路51からの駆動指令信号により所定の回転角(90°)を回転駆動されるようにしたものであるが、これに代えて、前記湿度検出値と基準値との偏差に応じた角度を回転駆動し、このようにして、前記湿度検出値に応じて当該弁機構部53の開閉弁の開度を制御するようにしてよい。
【0044】
前記弁機構部53は、図11(閉状態)及び図12(開状態)(第2実施例)、図13(閉状態)及び図14(開状態)(第3実施例)、図15(閉状態)及び図16(開状態)(第4実施例)に示すように変形することができる。これらの弁機構部の変形例において、図9(閉状態)及び図10(開状態)に記載のものの構成部分と等価な部分には、同一の数字符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。なお、第4実施例においては、弁機構部のみならず、前記気流偏向フード28の気流を導く形状が凸状湾曲面に代えて平坦面とされる。
【0045】
第2実施例の弁機構部61は、図11及び図12に示すように、概略、2つの回転軸62、回転軸67、ステッピングモータ63、シート部材64及び紐66により構成される。回転軸62は、ステッピングモータ63の出力軸と連結されて回転駆動軸を形成する一方、回転軸67は、その両端がそれぞれ軸受け(図示しない)に支持されて回転自在とされる。
【0046】
前記シート部材64は、耐熱耐水性の高い、例えば、塩化ビニール樹脂シートとか、防炎耐水性の高い布を用いて、前記排気口26の開口寸法よりも若干大きくかつその開口形状(長方形)と略同形に裁断して形成される。前記排気口26の形状寸法に見合わせて略長方形(短冊状)に形成されたシート部材64の一端(長辺)が一方の回転軸(本実施例では自由回転軸)67に固定され、該回転軸67に巻付けられる。前記シート部材64の他端(長辺)の中央部に紐66が結び付けられ、該紐66の他端が他方の回転軸62(回転駆動軸)の中央部に結び付けられるとともに該回転軸62に巻き付けられる。
【0047】
前記回転軸62の両端が、図11(A)及び図12(A)に示すように、排気口26の開口縁部(長辺)に固定された図示しない軸受けに取り付けられる一方、前記回転軸67の両端が前記一対の軸受け(図示しない)に装着される。前記回転軸67には、図示しないばね部材を用いて、公知のロールカーテンの自動巻き戻し方式と同様の方法で、常時、巻戻し回転力をもって付勢される。
【0048】
前記湿度センサ35による湿度検出値が基準値を下回るとき、前記排気口開閉弁制御部51からステッピングモータ63に作動指令信号が送られ、該ステッピングモータ63は回転駆動され、前記巻戻し回転力に抗して所定の回転角度を回転し、前記シート部材64の一端に結ばれた紐66を回転軸62に巻き付けながら該シート部材64を回転軸67から巻き戻し、該シート部材64は、図11(A)に示すように、排気口26を完全に覆って排気口26を閉鎖し、すなわち、当該弁機構部61が閉状態とされる。
【0049】
一方、前記湿度センサ35による湿度検出値が前記基準値を超えたとき、前記排気口開閉制御部51からステッピングモータ63に逆回転作動指令が送られ、該ステッピングモータ63が前述した場合と逆方向に、前記巻戻し回転力で助勢されながら所定の回転角度を回転し、前記シート部材64を回転軸67に巻取り、図12(A)に示すように、排気口26の上部には紐66のみが横断する状態とされ、該排気口26は開放され、すなわち、当該弁機構部61は開状態とされる。これと同時に、前記弁機構部53におけると同様にして、前記レンジフード14の換気扇13が起動し、排気ダクト27を介して排気口26に吸引力が作用し、図12(B)中、白抜き矢印で示されるように、前記モニター画面22の下方部から排気口26に向かって気流迂回流路30が形成される。
【0050】
第3実施例の弁機構部71は、図13及び図14に示すように、概略、2つの回転軸72、回転軸77、ステッピングモータ73、開口75を設けたシート部材74により構成される。回転軸72と回転軸77は、前記弁機構部61におけると同様、それぞれ前記排気口26の両側(長辺)縁部に、図示しない軸受けを介して、互いに平行に配置される。一方の回転軸72は、前記ステッピングモータ73の出力軸と連結される。
【0051】
前記シート部材74は、前記弁機構部61におけると同様、耐熱耐水性の高い不織布又は布を用いて形成され、前記回転軸72と回転軸77に、図13(B)及び図14(B)に示すように張設され、いわゆる、エンドレスベルトを形成している。図14(A)、図14(B)に示すように、エンドレスベルトを形成するシート部材74の上側の走行部分と下側の走行部分には、前記排気口26の開口形状と略同形(長方形)同寸法の開口75が設けられ、上側の開口75及び下側の開口75は、それらの中心線が、図14(B)に示すように、前記排気口26の中心線と一致する位置で、互いに完全に重なり合うようにされる。
【0052】
前記湿度センサ35による湿度検出値が基準値を下回るときには、前記排気口開閉弁制御部51からステッピングモータ73に作動指令信号が送られ、該ステッピングモータ73は回転駆動され、前記シート部材74の2つの開口75が、図13(B)に示すように、排気口26の上方位置から完全に離脱するとともに前記2つの開口75は全く重なり合わない状態とされ、シート部材74の上側走行部分と下側走行部分とで排気口26を閉鎖し、すなわち、当該弁機構部71は閉状態とされる。
【0053】
一方、前記湿度センサ35による湿度検出値が前記基準値を超えたとき、前記排気口開閉制御部51からステッピングモータ73に逆回転作動指令が送られ、該ステッピングモータ73が前述した場合と逆方向に所定の回転角度を回転し、前記シート部材74の2つの開口75が、前述したように、下方の排気口26と重なり合う位置に移動され、図14(A)及び図14(B)に示すように、排気口26は開放され、すなわち、当該弁機構部71は開状態とされる。これと同時に、前記弁機構部53及び弁機構部61におけると同様にして、前記レンジフード14の換気扇13が起動し、排気ダクト27を介して排気口26に吸引力が作用し、図14(B)中、白抜き矢印で示されるように、前記モニター画面22の下方部から排気口26に向かって気流迂回流路30が形成される。
【0054】
前記第4実施例の弁機構部81は、図15及び図16に示すように、概略、第1回転軸82、第1モータ83、第2回転軸87、第2モータ88、シート部材84及び紐86により構成される。第1回転軸82は、第1モータ83の出力軸と連結されて第1回転駆動軸を形成する一方、第2回転軸87は、第2モータ88の出力軸と連結されて第2回転駆動軸を形成する。
【0055】
前記第1回転軸82の両端は、図15(A)及び図15(B)に示すように、前記排気ダクト27の先端部、即ち、排気口26の開口に近い内部に、図示しない軸受けを介して回転可能に取り付けられる。一方、前記第2回転軸87の両端は、図15(A)及び図15(B)に示すように、前記モニター画面22の前面下端部24の下部に、図示しない軸受けを介して回転可能に取り付けられる。前記モニター画面22の下端面部に湿度センサ35が取り付けられる。
【0056】
前記シート部材84は、耐熱耐水性の高い、例えば、塩化ビニール樹脂等の不織布とか、防炎耐水性の高い布を用いて、モニター画面22の幅寸法よりも若干大きくかつ該モニター画面22の前面下端部24と排気口26とを結ぶ傾斜面を完全に覆うことができる長さ寸法に裁断して形成される。前記シート部材84の一端部が第1回転軸82に固定される一方、該シート部材84の他端の中央部に紐86が結び付けられるとともに該紐86の他端が第2回転軸87の中央部に結び付けられる。なお、前記1本の紐86に代え、2本又はそれ以上の複数本の紐(図示しない)を用いて前記シート部材84の他端と第2回転軸87とを連結するようにしてもよい。
【0057】
前記湿度センサ35による湿度検出値が基準値を下回るときには、前記排気口開閉弁制御部51から第1モータ83に作動指令信号が送られ、第1モータ63は前記作動指令信号に基づいて所定回転数を回転駆動され、これに応じて第1回転軸82が回転してシート部材84を巻取る。シート部材84の第1回転軸82への巻取りが終了したとき、第1回転軸82に巻き取られたシート部材84により形成された巻取りロール85は、図15(B)に示すように、排気口26を完全に閉鎖し、すなわち、当該弁機構部81は閉状態とされる。このとき、排気口26を閉鎖している巻取りロール85の末端、すなわち、シート部材84の他端と第2回転軸87間は前記紐86により連結された状態とされる。
【0058】
一方、前記湿度センサ35による湿度検出値が前記基準値を超えたとき、前記排気口開閉制御部51から第2モータ88に逆回転駆動指令が送られ、該第2モータ88が前述した場合と逆方向に所定の回転数を回転し、第2回転軸87に前記紐86を巻取り、引き続き、該紐86の一端と結ばれた前記シート部材64が第1回転軸82から巻返されるにつれて第1回転軸83に巻付いたシート部材84により形成される巻取りロール85が細り、シート部材84の巻返しが終了する。
【0059】
すなわち、第1モータ83が回転を停止したとき、図16(B)に示すように、排気口26の開口断面には第1回転軸の太さ分だけが残り、その他の領域が解放されるので、当該弁機構部81は開状態とされる。これと同時に、前述した弁機構部の第1実施例53、第2実施例61及び第3実施例71におけると同様にして、前記レンジフード14の換気扇13が起動し、排気ダクト27を介して排気口26に吸引力が作用し、図16(B)中、白抜き矢印で示されるように、前記モニター画面22の下方部から排気口26に向かって気流迂回流路30が形成される。
【0060】
前記弁機構部81が開状態とされるとき、第2回転軸87には第1回転軸82から巻解されたシート部材84が巻き取られて第2回転軸87の巻取りロール89が太り、図16(B)に示すように、該巻取りロール89が前記モニター画面22の下端部前方に張り出し、前述した庇部29と同様に機能する。
【0061】
これは、モニターの下端部に沿って水平に延びるように設けた第1回転軸と、前記排気口内に設けられ前記第1回転軸と平行かつ水平に延びるように設けた第2回転軸と、前記第1回転軸と第2回転軸間に巻取りかつ巻戻し可能に張設したシート部材とを有し、前記第2回転軸に前記シート部材を巻取った際、該第2回転軸に巻回されたシート部材により前記排気口を閉鎖する一方、前記シート部材を第2回転軸から第1回転軸へ巻戻した際、前記排気口を開放するように前記開閉弁を形成するとともに、前記第1回転軸と第2回転軸間に渡された前記シート部材により前記気流偏向フードを形成したことを特徴とし、前述の排気動作を行うキッチン用情報端末である。
【0062】
このような構成にすると、使用部材を低減させて全体を軽量化することができ、また、開閉弁の本体部をシート部材としたから当該弁機構部の解体が簡単であり、保守点検を容易かつ迅速に行うことができる。
【0063】
以上のように、湿度センサ35を用いて蒸気等を感知したときに、排気口26の開閉弁(開閉弁機構部)を開くようにし、蒸気等を感知しない場合は排気口を閉めておくようにすると、キッチン用情報端末のモニターの下方部での水蒸気の発生に同期させて排気口の開閉を行えるので、キッチン用情報端末の表示装置(モニター)は蒸気から保護されるとともに、レンジフード本体のみ排気使用したい場合には排気効率を下げることがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のキッチン用情報端末の構成を示す側面図である。
【図2】本発明のキッチン用情報端末の構成を示す正面図である。
【図3】本発明のキッチン用情報端末の構成を示す底面図である。
【図4】本発明のキッチン用情報端末を用いたシステムキッチンの構成例である。
【図5】前記キッチン用情報端末のブロック図である。
【図6】システムキッチンにおける排気信号送信の概念説明図である。
【図7】システムキッチンにおける排気信号を1回反射させて送信する形態の概念説明図である。
【図8】システムキッチンにおける排気信号を複数回反射させて送信する形態の概念図である。
【図9】キッチン用情報端末の排気口における開閉弁機構部の第1実施例の閉状態における状態説明図である。
【図10】前記第1実施例の開状態における排気口部分の状態説明図である。
【図11】キッチン用情報端末の排気口開閉弁機構部の第2実施例の閉状態における状態説明図である。
【図12】前記排気口開閉弁機構部の第2実施例の開状態における状態説明図である。
【図13】キッチン用情報端末の排気口開閉弁機構部の第3実施例の閉状態における状態説明図である。
【図14】前記排気口開閉弁機構部の第3実施例の開状態における状態説明図である。
【図15】キッチン用情報端末の排気口開閉弁機構部の第4実施例の閉状態における状態説明図である。
【図16】前記排気口開閉弁機構部の第4実施例の開状態における状態説明図である。
【図17】従来形式のキッチン用情報端末を備えたシステムキッチンの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 従来形式のシステムキッチン
4 レンジ
5 シンク
7 ウォールユニット(食器棚)
8 キッチン用情報端末
9 タッチパネル付き液晶モニター
10 湯沸しポット
11 湯気
13 換気扇
14 レンジフード
16 天井部(ウォールユニット底面部)
17 システムキッチンの背後壁面部
18 キッチン用情報端末
20 本発明のシステムキッチン
22 液晶モニター(液晶ディスプレイ)
23 モニターの背後部
24 モニターの前面下端部
25 キッチン用情報端末本体部の収納ケース
26 排気口
27 排気ダクト
28 気流偏向フード
29 庇部
30 気流迂回流路
31 底部外面
32 側部外面
34 赤外線レンジフード遠隔操作器
35 湿度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニターを有し、キッチンに吊り下げて使用するキッチン用情報端末であって、前記モニターの後背部を該モニターの下端部から上方部にかけて傾斜平坦面又は凸状面をもって覆うようにした気流偏向フードと、前記気流偏向フードの途中位置に該気流偏向フードに沿って上昇してきた気体を排出する排気口とを備えたことを特徴とするキッチン用情報端末。
【請求項2】
前記気流偏向フードの下端部に、モニター前面の下端部より前方に張り出す庇部を設けたことを特徴とする請求項1記載のキッチン用情報端末。
【請求項3】
前記モニターの下端部近傍に湿度センサを配置するとともに該湿度センサの検出信号に基づいて、前記排気口に接続された外部排気装置に排気指令信号を送出する排気信号送信器を設けたことを特徴とする請求項2記載のキッチン用情報端末。
【請求項4】
前記排気信号送信器は無線信号を送信し、回動機構により送信方向を可変としたことを特徴とする請求項3記載のキッチン用情報端末。
【請求項5】
モニターを有し、キッチンに吊り下げて使用するキッチン用情報端末であって、前記モニターの後背部を該モニターの下端部から上方部にかけて傾斜平坦面又は凸状面をもって覆うようにした気流偏向フードと、前記気流偏向フードの途中位置に該気流偏向フードに沿って上昇してきた気体を排出する排気口とを備えたキッチン用情報端末と、前記排気口に連結するとともにレンジフードと連結した排気ダクトと、前記モニターの下端部近傍に配置された湿度センサと、前記湿度センサの検出信号に基づいて前記レンジフードの吸気作用を指令する排気信号送信器と、前記排気信号送信器からの無線信号を受信する受信器と、前記排気信号送信器と前記受信器間で無線信号を反射させる反射面を有するキッチンカウンターとを備え、前記排気信号送信器の信号送信方向は前記キッチンカウンターに向けられていることを特徴とするシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−204375(P2006−204375A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17395(P2005−17395)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】