説明

キャビネット

【課題】引出体の寸法形状の大小に関わらず、引出体の係合解除を簡便に行うことができるキャビネットを提供すること。
【解決手段】引出体13の側板13b外面に、引出位置においてキャビネットの本体2所定箇所に係合して踏み台付き引出体11の引き出し方向の移動を規制する係合位置と、この係合位置から退避した係合解除位置と、の間で移動自在に設けられ、係合位置から係合解除位置までの移動操作が可能な係合レバー16と、係合解除位置まで移動操作した係合レバー16をこの係合解除位置にて保持するための保持手段17と、を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面が開口する箱状に形成された引出体と、この引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置とこの収納位置から本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で移動自在に設けられたキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキャビネットは、キャビネット本体の左右両側板内面にそれぞれ設置された固定レールと、引出体の左右両側板外面にそれぞれ設置された摺動レールと、により引出体が移動自在に設けられているとともに、引出体が引出された状態を保持するロック機構と、このロック機構を解除するロック解除機構とが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−298433号公報(第4頁、第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、操作者が引出体に設けられたロック解除機構を押圧操作し、この押圧操作をした状態で引出体を押込み操作する必要があった。特に、引出体の寸法形状が大きくなるに従い、ロック解除機構の押圧操作と引出体の押込み操作との同時操作が困難になっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、引出体の寸法形状の大小に関わらず、引出体の係合解除を簡便に行うことができるキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキャビネットは、
上面が開口する箱状に形成された引出体と、該引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置と該収納位置から前記本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で移動自在に設けられたキャビネットであって、
前記引出体の外側面に、前記引出位置において前記キャビネットの本体所定箇所に係合して前記踏み台付き引出体の引き出し方向の移動を規制する係合位置と、該係合位置から退避した係合解除位置と、の間で移動自在に設けられ、前記係合位置から前記係合解除位置までの移動操作が可能な係合レバーと、
前記係合解除位置まで移動操作した前記係合レバーを該係合解除位置にて保持するための保持手段と、
を少なくとも備えることを特徴としている。
この特徴によれば、引出体を収納位置から引き出して使用する際には、引出位置において係合レバーを係合位置まで移動して本体所定箇所に係合することで、引き出し方向への移動が規制される。収納する際には、係合レバーを移動操作して保持手段に保持させておくことができるため、引出体の寸法形状が大きい場合でも、係合レバーを確実に係合解除位置に保持した状態で収納することができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のキャビネットは、請求項1に記載のキャビネットであって、
前記本体側に設けられ、前記踏み台付き引出体を収納する際に前記係合レバーに当接して前記保持手段による保持状態を解除し、前記係合レバーを前記係合位置と前記係合解除位置との間の係合待機位置まで移動させる保持状態解除部材を更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、引出体を収納位置に収納することで、係合解除位置に保持された係合レバーは保持状態解除部材により係合待機位置まで移動するため、次回引き出すときに係合レバーが保持手段により保持されたままで係合が行われないといった事態を回避できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のキャビネットは、請求項1または2に記載のキャビネットであって、
前記踏み台付き引出体は、前記キャビネットの本体に固定される固定レールと、該固定レールに対して摺動自在に設けられ、前記引出体の側板に取り付けられる摺動レールと、により移動自在に設けられており、
前記係合レバーは、前記係合待機位置において前記固定レールの上部に載置されるとともに、前記係合位置において前記摺動レールの上部に載置され、前記キャビネットの本体所定箇所である前記固定レールの前端に係合することを特徴としている。
この特徴によれば、引出体を引き出し方向に移動自在に支持する固定レール及び摺動レールを利用して係合レバーを係合位置において係合させることができるため、キャビネット本体側に被係合部等を別個に設けなくて済む。
【0009】
本発明の請求項4に記載のキャビネットは、請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、移動自在に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右幅方向にスペースをとらずに済むため、収納本体の左右幅方向の収納スペースが小さくなることを防止できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のキャビネットは、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、前後幅方向にわたり延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、係合レバーの移動操作を引出体の前方側で簡便に行うことができる。
【0011】
本発明の請求項6に記載のキャビネットは、請求項2ないし5のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記保持手段はマグネットであり、前記係合レバーを磁力により保持可能であるとともに、前記保持状態解除部材は、前記係合レバーに当接可能に設けられた解除ピンであることを特徴としている。
この特徴によれば、係合レバーの保持及び保持解除を簡単な機構で行うことができる。
【0012】
本発明の請求項7に記載のキャビネットは、請求項1ないし6のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記係合レバーは、前記引出体の左右側板に一対に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、引出体の左右側板に一対に設けられた係合レバーにより、引出体の左右幅寸法が大きい場合であっても、引出体を左右方向に安定して本体所定箇所に係合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例におけるキッチン台の全体像を示す斜視図である。図2(a)は、キッチン台の上面図であり、(b)は、キッチン台の背面図であり、(c)は、右側面図である。図3(a)、はキッチン台の本体に収納された踏み台付き引出体を示す右側面図であり、(b)は、キッチン台の本体から引出された踏み台付き引出体を示す背面図である。図4(a)は、収納位置と引出位置との間における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(b)は、引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、収納位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。図5は、踏み台の開閉状況を示す側面図である。
【0015】
図1及び図2に示されるように、本実施例におけるキャビネットとしてのキッチン台1は、いわゆるアイランド型のキッチン台であって、各種の収納部を備えた本体2と、本体2の上面に載置された天板3とから主として構成されている。図1紙面左上側、図2(a)紙面上側が、キッチン台1の正面である。以下、キッチン台1の右側とはキッチン台1の正面側に立って右側のことであり、キッチン台1の左側とはキッチン台1の正面側に立って左側のことであり、キッチン台1の背面側とはキッチン台1を挟んで正面側と対向する側のことであるものとする。
【0016】
キッチン台1の天板3には、左側の側面との角部に調理部としてのコンロ4が設けられているとともに、右側の側面との角部にシンク5が設けられている。コンロ4の背面側には、水分等の飛散防止用のパネル6が天板3から立設されている。また、正面側に立って中央側は調理部として調理台7が設けられ、この調理台7に連続して、背面側も調理部としての調理台8が設けられている。更に、キッチン台1の全周に沿って、側面には収納部としての開き戸9若しくは図示しない引出しが適宜設けられ、右側の側面には備え付けの食器洗浄機10が設けられている。
【0017】
キッチン台1は、基本的には、主調理者が正面側に立って調理を行うように出来ているが、調理者がキッチン台1の全周に沿って行動出来るように成っており、すなわちキッチン台1の正面側のみでなく、左右両側面若しくは背面側を利用しての調理が可能となる。このような形態のキッチン台1においては、調理者が複数である場合でもキッチン台1の全周を利用した調理が可能である。
【0018】
次に、キッチン台1には、キッチン台1が載置された床面に対し所定高さ有する踏み台付き引出体11、21が設けられている。踏み台付き引出体11を出し入れするための出入口19が、キッチン台1の正面とは異なる右側の側面に、すなわちキッチン台1の正面に設けられた上キャビネット(図示略)に対し略90度向きを変えた右側の側面における下部において設けられている。そして、この出入口19に踏み台付き引出体11が嵌挿され、本体2の内部に収納された収納位置と、この収納位置から外方、すなわち右側外方に向けて十分に引き出された引出位置との間で移動自在に設けられている。同様に、踏み台付き引出体21を出し入れするための出入口29が、キッチン台1の背面側における下部において設けられており、この出入口29に踏み台付き引出体21が嵌挿され、上記と同様の収納位置と引出位置との間で移動自在に設けられている。
【0019】
このように出入口19、29が、例えば主調理者が対峙するキッチン台1の本体2の正面とは異なる方向を向く側面及び/または背面に設けられていることで、主調理者の行動を妨げることなく、子供等の副調理者が踏み台を利用して主調理者とともに調理作業を行うことができる。
【0020】
また、キッチン台1の天板3における本体2の正面と側面との角部には、シンク5及びコンロ4が設けられており、出入口19が、本体2の側面におけるシンク5及びコンロ4との対向位置下方に配設されていることで、主調理者はシンク5またはコンロ4を本体2の正面側から利用しているときでも、子供等の副調理者は踏み台付き引出体11を利用して、同じシンク5またはコンロ4を本体2の側面側、つまり主調理者とは別の方向から利用することができるため、主調理者の行動を妨げることがない。
【0021】
更に、キッチン台1の天板3にシンク5及びコンロ4が設けられており、出入口29が、本体2の背面におけるコンロ4との対向位置下方に配設されていることで、主調理者はシンク5またはコンロ4を本体2の正面側から利用しているときでも、子供等の副調理者は踏み台付き引出体21を利用して、同じシンク5またはコンロ4を本体2の背面側、つまり主調理者とは別の方向から利用することができるため、主調理者の行動を妨げることがない。
【0022】
踏み台付き引出体11は、調理者などが上面に載上可能な踏み台12と、この踏み台12の下方において物品を収納可能な収納部13aを有する箱状の引出体13と、から構成されている。同様に、踏み台付き引出体21は、調理者などが上面に載上可能な踏み台22と、この踏み台22の下方において物品を収納可能な収納部を有する箱状の引出体23と、から構成されている。
【0023】
以下、踏み台付き引出体11、21は同様の構造を有しているため、踏み台付き引出体11の構造について説明し、踏み台付き引出体21の構造については説明を省略する。
【0024】
踏み台付き引出体11の引出体13は上方に開口した箱状に形成され、この開口を開閉可能に、踏み台12が引出体13にヒンジ部24及び連結部材25により連結されており、踏み台12と引出体13とは、収納位置と引出位置との間を一体に移動するようになっている。
【0025】
このように、踏み台付き引出体11が、上面に載上可能な踏み台12と、物品を収納可能な収納部13aを有する引出体13と、から構成されていることで、踏み台12の下方の空間も収納部13aとして有効利用できる。
【0026】
次に、図3(a)、(b)に示されるように、踏み台付き引出体11の移動について説明すると、先ず、本体2の出入口19と連通する内部における踏み台付き引出体11の収納空間を構成する左右の側板2a、2aの内面には、側面視コ字状に形成された固定レール14が、前後方向に沿ってそれぞれ固着されている。そして引出体13を構成する左右の側板13b外面に、摺動レール15が前後方向に沿ってそれぞれ固着されるとともに、固定レール14のコ字状の開口に前後方向にそれぞれ嵌挿されている。また、引出体13の底板下面には、左右方向及び前後方向に所定に離間した4箇所に、キャスタ26が設けられている。そして、踏み台付き引出体11を収納位置に押込み若しくは引出すことで、踏み台付き引出体11の摺動レール15が固定レール14に沿って摺動し、踏み台付き引出体11が本体2に対しスムーズに移動自在となる。
【0027】
次に、踏み台付き引出体11の引出位置におけるロック機構について説明する。
【0028】
先ず、引出体13の左右両側板13b、13b外面に沿って、摺動レール15よりも上方箇所に、係合レバー16、16がそれぞれ前後方向に設けられている。尚、左右両側板13b、13b外面にそれぞれ設けられている係合レバー16、16及び附属するその他の部材は、同じ構造を有しているため、以下、一方側の係合レバー16に関する構造について説明し、他方側の係合レバー16の説明は省略する。
【0029】
係合レバー16は、より具体的には、磁性を有する金属から主として成るとともに、後方部が斜下方に向かったテーパ部16aに形成されており、側板13b前方部において枢支された回動部16bを中心に、左右方向の仮想の回動軸周りに所定角度回動可能に設けられている。また、係合レバー16の略中央側の適所には、上下方向に延びる開口部16dが形成されており、この開口部16dに、引出体13の側板13bに固着された突起部13cが嵌挿されている。このようにすることで、開口部16dに嵌挿された突起部13cが、係合レバー16の回動の際におけるガイドとして機能する。
【0030】
また、引出体13の側板13b外面における係合レバー16の上方側の適所に、保持手段としてのマグネット17が、磁気を備えた磁気面を下方に向けて、固定に取付けられている。更に、本体2内部の側板2aにおける後方側の適所には、保持状態解除部材としての解除ピン18が、内方の引出体13側に向かって突設され、後述のように係合レバー16のテーパ部16aに当接可能に設けられている。
【0031】
次に、図4(a)に示されるように、踏み台付き引出体11の係合について説明すると、踏み台付き引出体11が、キッチン台1の本体2に収納された収納位置と、本体2から十分に引出された引出位置との間に位置している場合、踏み台付き引出体11は、係合レバー16の後端部が固定レール14の上面に当接した位置、すなわち係合待機位置で、前後方向に移動自在と成っている。
【0032】
次に、図4(b)に示されるように、踏み台付き引出体11が、引出位置に位置した場合、固定レール14の上面に当接していた係合レバー16の後端部16cが、固定レール14の上面から外れて自重により下方に回動し、摺動レール15の上面に当接するとともに後端部16cが固定レール14の前端部14aと係合する位置、すなわち上記した係合待機位置よりも下方の係合位置に移動する(図示点線部参照)。この係合位置においては、引出体13の側板13bに枢支された係合レバー16の後端部16cが、キッチン台1の本体2の側板2aに固着された固定レール14の前端部14aと係合することで、踏み台付き引出体11の後方への引き出し方向の移動が規制される。
【0033】
このように、踏み台付き引出体11を引き出し方向に移動自在に支持する固定レール14及び摺動レール15を利用して係合レバー16を係合位置において係合させることができるため、キッチン台1の本体2側に被係合部等を別個に設けなくて済む。
【0034】
また、係合レバー16は、引出体13の左右側板13bの外面に沿ってそれぞれ上下移動自在に設けられていることで、左右幅方向に特段のスペースをとらずに済むため、本体2の左右幅方向の収納スペースが小さくなることを防止できる。
【0035】
尚、固定レール14の前端部所定箇所に図示しない係止部が突設されているとともに、摺動レール15の後端部所定箇所に図示しない突出部が設けられており、上記した踏み台の引出位置において、固定レール14の前記係止部と摺動レール15の前記突出部とが当接することで、踏み台付き引出体11が本体2から抜け出すことを防止している。
【0036】
次いで、図4(b)に示されるように、踏み台付き引出体11の係合解除について説明すると、上述した係合位置にある左右の係合レバー16を、上方に向けて回動して上方移動操作し、係合レバー16の上面をマグネット17の下方を向く磁気面に当接させ、磁力により保持することで、左右の係合レバー16を上記した係合位置及び係合待機位置よりも上方であって係合レバー16の後端部16cと固定レール14の前端部14aとの係合が解除された係合解除位置に保持する。このように、係合レバー16が係合解除位置に位置することで、踏み台付き引出体11は、引き出し方向に本体2に対して前後移動自在となる。
【0037】
このように、係合レバー16は、引出体13の左右側板13bの外面に沿ってそれぞれ前後幅方向にわたり延設されていることで、係合レバー16を保持する上方移動操作を引出体13の前方側で簡便に行うことができる。
【0038】
次に、図4(c)に示されるように、踏み台付き引出体11を収納位置に向けて押し込むに従い、係合レバー16のテーパ部16aが、本体2に固着された解除ピン18と当接して漸次下方に押圧され、係合レバー16はマグネット17から離れて自重により下方に回動し、係合レバー16の後端部16cが再び固定レール14の上面に当接した係合待機位置に戻る。すなわち、係合レバー16の保持状態が解除され、踏み台付き引出体11は、係合レバー16が係合待機位置にいる状態で前後方向に移動自在と成る。
【0039】
上述したように、踏み台付き引出体11を収納位置から引き出して使用する際には、引出位置において係合レバー16が自重により係合待機位置から下方の係合位置まで移動して本体所定箇所に係合することで、引き出し方向への移動が規制される。踏み台付き引出体11を収納する際には、左右の係合レバー16それぞれを別々に上方移動操作して保持手段としてのマグネット17に保持させておくことができるため、踏み台付き引出体11の形状寸法が大きい場合でも、左右の係合レバー16を確実に係合解除位置に保持した状態で収納することができる。
【0040】
また、踏み台付き引出体11を収納位置に収納することで、係合解除位置に保持された係合レバー16は保持状態解除部材としての解除ピン18により係合待機位置まで自重により移動するため、次回引き出すときに係合レバー16が保持手段により保持されたままで係合が行われないといった事態を回避できる。
【0041】
また、係合レバー16は自重により係合待機位置から係合位置まで移動するため、簡単な機構で移動規制を行うことができる。
【0042】
また、このように、保持手段はマグネット17であり、係合レバー16を磁力により保持可能であるとともに、保持状態解除部材は係合レバー16に当接可能に設けられた解除ピン18であることで、係合レバー16の保持及び保持解除を簡単な機構で行うことができる。
【0043】
更に、引出体13の左右側板13bに一対に設けられた係合レバー16により、踏み台付き引出体11の左右幅寸法が大きい場合であっても、踏み台付き引出体11を左右方向に安定して本体所定箇所に係合させることができる。
【0044】
次に、図5に示されるように、踏み台付き引出体11の踏み台12の開閉構造について説明すると、踏み台12は、後端部においてヒンジ部24により引出体13と連結されており、左右方向の仮想の回動軸回りに回動することで、引出体13の上部開口を開閉可能に成っている。また、ヒンジ部24とは別に、踏み台12と引出体13とを連結する調節式の連結部材25が設けられており、この連結部材25により、踏み台12が引出体13の上部開口を所定角度で開放した状態を保持できる。
【0045】
尚、踏み台の開閉構造については、必ずしも本実施例に限定されるものではなく、例えば、踏み台がスライド式に移動して引出体の上部開口を開閉するものであってもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、上記実施例では、キッチン台1は、アイランド型のキッチン台であって、天板にシンク5や調理部としてコンロ4が設けられているが、キッチン台の型や、シンクまたは調理部の配置については、必ずしも本実施例に限られず、例えばI型やL型のキッチン台であってもよいし、また、天板にシンクまたは調理部のみが設けられたキッチン台であっても構わない。
【0048】
また、上記実施例では、キッチン台1の右側の側面及び背面の2箇所において踏み台付き引出体11、21の出入口19、29が設けられているが、出入口の設けられる位置は、キッチン台の正面とは異なる側面若しくは背面の少なくともいずれか一方であれば、具体的な設置位置や数量は、必ずしも本実施例に限られない。
【0049】
また、上記実施例では、係合レバー16は、引出体13の前方部において枢支された回動部16bを中心に、左右方向の仮想の回動軸回りに回動可能であって、係合待機位置、係合位置、及び係合解除位置に移動可能に設けられているが、係合レバーは、例えば前後方向の回動軸回りに回動可能であって、係合待機位置、係合位置、及び係合解除位置に移動可能に設けられていてもよい。
【0050】
更に、上記実施例では、係合レバー16は、固定レール14の前端部14aと係合しているが、係合位置は、固定レールの前端部に限られず、例えばキャビネット本体の側板、天板、仕切板、底板などの木口や、キャビネット本体に別段に設けられた係合用部品であってもよい。
【0051】
また、上記実施例では、係合レバー16は、回動部16bに枢支されており、係合位置と係合解除位置との間を回動自在に設けられているが、例えば、係合レバーは、上下方向にスライド移動することで、係合位置と係合解除位置との間を移動自在に設けられていてもよい。また、上記実施例では、係合レバー16は、引出体13の左右側板13bに一対に設けられているが、例えば、係合レバーは引出体の左右いずれか一方の側板のみに設けられていてもよい。
【0052】
更に、上記実施例では、キャビネットとしてキッチン台1が示されているが、キャビネットは、必ずしもキッチン台に限られず、例えば、棚板を備えた陳列棚であっても構わない。
【0053】
また、上記実施例では、保持手段としてマグネット17が示され、保持状態解除手段として解除ピン18が示されているが、例えば、保持手段としてバネ等の弾性体で略水平方向に付勢されたテーパ部材が設けられるとともに、該テーパ部材に係止可能な鉤部材が係合レバーに突設されており、係合レバーが上方移動するに従い、前記鉤部材が前記テーパ部材を反付勢方向に押し戻しつつテーパ部材の上方に入り込み、前記テーパ部材が再び前記弾性体により付勢されて前記鉤部材が係止されることで、係合レバーが保持されてもよい。また、保持状態解除手段として、前記テーパ部材と当接可能な解除面を有する解除面体がキャビネット側に設けられ、引出体をキャビネットの本体に押し込むことで前記テーパ部材が前記解除面体と当接することにより、テーパ部材が反付勢方向に押し戻されて、前記鉤部材の係止が外れ、係合レバーの保持状態が解除されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例におけるキッチン台の全体像を示す斜視図である。
【図2】(a)は、キッチン台の上面図であり、(b)は、キッチン台の背面図であり、(c)は、右側面図である。
【図3】(a)、はキッチン台の本体に収納された踏み台付き引出体を示す右側面図であり、(b)は、キッチン台の本体から引出された踏み台付き引出体を示す背面図である。
【図4】(a)は、収納位置と引出位置との間における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(b)は、引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、収納位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。
【図5】踏み台の開閉状況を示す側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 キッチン台(キャビネット)
2 本体
3 天板
4 コンロ
5 シンク
7 調理台
8 調理台
11 踏み台付き引出体
12 踏み台
13 引出体
13a 収納部
13b 側板
14 固定レール
15 摺動レール
16 係合レバー
17 マグネット(保持手段)
18 解除ピン(保持状態解除手段)
19 出入口
21 踏み台付き引出体
22 踏み台
23 引出体
24 ヒンジ部
29 出入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口する箱状に形成された引出体と、該引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置と該収納位置から前記本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で移動自在に設けられたキャビネットであって、
前記引出体の外側面に、前記引出位置において前記キャビネットの本体所定箇所に係合して前記踏み台付き引出体の引き出し方向の移動を規制する係合位置と、該係合位置から退避した係合解除位置と、の間で移動自在に設けられ、前記係合位置から前記係合解除位置までの移動操作が可能な係合レバーと、
前記係合解除位置まで移動操作した前記係合レバーを該係合解除位置にて保持するための保持手段と、
を少なくとも備えることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記本体側に設けられ、前記踏み台付き引出体を収納する際に前記係合レバーに当接して前記保持手段による保持状態を解除し、前記係合レバーを前記係合位置と前記係合解除位置との間の係合待機位置まで移動させる保持状態解除部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記踏み台付き引出体は、前記キャビネットの本体に固定される固定レールと、該固定レールに対して摺動自在に設けられ、前記引出体の側板に取り付けられる摺動レールと、により移動自在に設けられており、
前記係合レバーは、前記係合待機位置において前記固定レールの上部に載置されるとともに、前記係合位置において前記摺動レールの上部に載置され、前記キャビネットの本体所定箇所である前記固定レールの前端に係合することを特徴とする請求項1または2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、移動自在に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、前後幅方向にわたり延設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項6】
前記保持手段はマグネットであり、前記係合レバーを磁力により保持可能であるとともに、前記保持状態解除部材は、前記係合レバーに当接可能に設けられた解除ピンであることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項7】
前記係合レバーは、前記引出体の左右側板に一対に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のキャビネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate