説明

キャビネット

【課題】引出体の上方に位置する踏み台の開閉動作を要することなく、収納物の出し入れが簡便に出来る踏み台付き引出体が設けられたキャビネットを提供すること。
【解決手段】踏み台12に設けられた係止部12aと、引出体13における係止部12aよりも外方側に設けられた被係止部13cと、を備え、踏み台12を外方に向けて引出すことにより、引出体13の被係止部13cが踏み台12の係止部12aに係止され、引出体13と踏み台12とが一体に外方に移動し、引出体13を外方に向けて引出すことにより、引出体13の被係止部13cが踏み台12の係止部12aから離間し、引出体13が単独で外方に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面が開口する箱状に形成された引出体と、この引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置とこの収納位置から前記本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で内外方向に移動自在に設けられたキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキャビネットにおける踏み台付き引出体は、引出体の上面開口を開閉する踏み台が、引出体に連結された構造で、本体に対し内外方向に移動自在に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−103951号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、踏み台の後端部が引出体の後端部にヒンジによって連結され、踏み台が引出体に対し回動可能になっており、踏み台付き引出体を引出位置まで引出した際には、引出体の上面開口が踏み台で被覆されて開放されていないため、引出体の内部に物品を収納するために踏み台を開閉操作する手間があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、引出体の上方に位置する踏み台の開閉動作を要することなく、収納物の出し入れが簡便に出来る踏み台付き引出体が設けられたキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキャビネットは、
上面が開口する箱状に形成された引出体と、該引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置と該収納位置から前記本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で内外方向に移動自在に設けられたキャビネットであって、
前記踏み台に設けられた係止部と、
前記引出体における前記係止部よりも外方側に設けられた被係止部と、
を備え、
前記踏み台を外方に向けて引出すことにより、前記引出体の被係止部に前記踏み台の係止部が係止され、前記引出体と前記踏み台とが一体に外方に移動し、
前記引出体を外方に向けて引出すことにより、前記引出体の被係止部が前記踏み台の係止部から離間し、前記引出体のみが単独で外方に移動することを特徴としている。
この特徴によれば、踏み台を外方に引出すだけで、常に踏み台と引出体とが一体に引出されることで、引出位置において踏み台にかかる荷重が下方の引出体により支持されるため、引出位置における踏み台の安定性が向上する。また、引出体を外方に引出すときには該引出体のみが単独で移動し、これにより引出位置において引出体の上面開口が開放されるため、踏み台の開閉動作を要することなく収納物の出し入れが出来る。
【0007】
本発明の請求項2に記載のキャビネットは、請求項1に記載のキャビネットであって、
前記収納位置において、前記踏み台と前記引出体との間に隙間が形成されるとともに、前記引出位置において、前記収納位置から引出された踏み台が引出体の上面に載置されることを特徴としている。
この特徴によれば、引出体の引出とともに踏み台が引出されることを防止できるとともに、踏み台と引出体との摺接により傷がつくことを回避できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のキャビネットは、請求項1または2に記載のキャビネットであって、
前記係止部は、前記踏み台の後端部から下方に向かって突設され、前記被係止部は、前記引出体の後端部に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、踏み台の後部側から下方に向かって延設する簡便な構成で、係止部を設けることが出来るばかりか、係止部が踏み台の後端部に位置しているとともに、被係止部が引出体の後端部に位置しているので、踏み台若しくは引出体を引出しても、係止部や被係止部が邪魔になることがない。
【0009】
本発明の請求項4に記載のキャビネットは、請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記踏み台は、下端が床面上に接地される脚部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、踏み台に掛かる荷重を、引出体に加えて補助的に支持することが出来る。
【0010】
本発明の請求項5に記載のキャビネットは、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記引出体の外側面に、前記引出位置において前記キャビネットの本体所定箇所に係合して前記踏み台付き引出体の引き出し方向の移動を規制する係合位置と、該係合位置から退避した係合解除位置と、の間で移動自在に設けられ、前記係合位置から前記係合解除位置までの移動操作が可能な係合レバーを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、引出体の側板外面に設けられた係合レバーを係合位置に移動することで、踏み台付き引出体の引き出し方向の移動が規制され、踏み台を安全に使用できるばかりか、係合レバーを移動操作するだけで容易に係合位置若しくは係合解除位置に切替できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載のキャビネットは、請求項5に記載のキャビネットであって、
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、前後幅方向にわたり延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、係合レバーの移動操作を踏み台の前方側から簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1におけるキッチン台の全体像を示す斜視図である。図2(a)は、キッチン台の上面図であり、(b)は、キッチン台の背面図であり、(c)は、右側面図である。図3(a)は、はキッチン台の本体に収納された踏み台付き引出体を示す右側面図であり、(b)は、キッチン台の本体から引出された踏み台付き引出体を示す背面図である。図4(a)は、踏み台を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(b)は、(a)と同じく引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、引出体を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。図5(a)は、係合レバーの係合状況を示す拡大斜視図であり、(b)は、係合レバーを示す拡大断面図である。
【0014】
図1及び図2に示されるように、本実施例におけるキャビネットとしてのキッチン台1は、いわゆるアイランド型のキッチン台であって、各種の収納部を備えた本体2と、本体2の上面に載置された天板3とから主として構成されている。図1紙面左上側、図2(a)紙面上側が、キッチン台1の正面である。以下、キッチン台1の右側とはキッチン台1の正面側に立って右側のことであり、キッチン台1の左側とはキッチン台1の正面側に立って左側のことであり、キッチン台1の背面側とはキッチン台1を挟んで正面側と対向する側のことであるものとする。
【0015】
キッチン台1の天板3には、左側の側面との角部に調理部としてのコンロ4が設けられているとともに、右側の側面との角部にシンク5が設けられている。コンロ4の背面側には、水分等の飛散防止用のパネル6が天板3から立設されている。また、正面側に立って中央側は調理部として調理台7が設けられ、この調理台7に連続して、背面側も調理部としての調理台8が設けられている。更に、キッチン台1の全周に沿って、側面には収納部としての開き戸9若しくは図示しない引出しが適宜設けられ、右側の側面には備え付けの食器洗浄機10が設けられている。
【0016】
キッチン台1は、基本的には、主調理者が正面側に立って調理を行うように出来ているが、調理者がキッチン台1の全周に沿って行動出来るように成っており、すなわちキッチン台1の正面側のみでなく、左右両側面若しくは背面側を利用しての調理が可能となる。このような形態のキッチン台1においては、調理者が複数である場合でもキッチン台1の全周を利用した調理が可能である。
【0017】
次に、キッチン台1には、キッチン台1が載置された床面上に踏み台付き引出体11、21が設けられている。踏み台付き引出体11を出し入れするための出入口19が、キッチン台1の正面とは異なる右側の側面に、すなわちキッチン台1の正面に設けられた上キャビネット(図示略)に対し略90度向きを変えた右側の側面における下部において設けられている。そして、この出入口19に踏み台付き引出体11が嵌挿され、本体2の内部に収納された収納位置と、この収納位置から外方、すなわち右側外方に向けて十分に引き出された引出位置との間で移動自在に設けられている。同様に、踏み台付き引出体21を出し入れするための出入口29が、キッチン台1の背面側における下部に設けられており、この出入口29に踏み台付き引出体21が嵌挿され、上記と同様の収納位置と引出位置との間で移動自在に設けられている。
【0018】
このように出入口19、29が、例えば主調理者が対峙するキッチン台1の本体2の正面とは異なる方向を向く側面及び/または背面に設けられていることで、主調理者の行動を妨げることなく、子供等の副調理者が踏み台を利用して主調理者とともに調理作業を行うことができる。
【0019】
また、図1に示されるように、キッチン台1の天板3における本体2の正面と側面との角部には、シンク5及びコンロ4が設けられており、出入口19が、本体2の側面におけるシンク5及びコンロ4との対向位置下方に配設されていることで、主調理者はシンク5またはコンロ4を本体2の正面側から利用しているときでも、子供等の副調理者は踏み台付き引出体11を利用して、同じシンク5またはコンロ4を本体2の側面側、つまり主調理者とは別の方向から利用することができるため、主調理者の行動を妨げることがない。
【0020】
同様に、出入口29が、本体2の背面におけるコンロ4との対向位置下方に配設されていることで、主調理者はシンク5またはコンロ4を本体2の正面側から利用しているときでも、子供等の副調理者は踏み台付き引出体21を利用して、同じシンク5またはコンロ4を本体2の背面側、つまり主調理者とは別の方向から利用することができるため、主調理者の行動を妨げることがない。
【0021】
踏み台付き引出体11は、調理者などが上面に載上可能な踏み台12と、この踏み台12の下方において物品を収納可能な収納部13aを有する箱状の引出体13と、から構成されている。同様に、踏み台付き引出体21は、調理者などが上面に載上可能な踏み台22と、この踏み台22の下方において物品を収納可能な収納部を有する箱状の引出体23と、から構成されている。
【0022】
以下、踏み台付き引出体11、21は同様の構造を有しているため、踏み台付き引出体11の構造について説明し、踏み台付き引出体21の構造については説明を省略する。
【0023】
図3(a)、(b)に示されるように、踏み台付き引出体11の引出体13は上方に開口した箱状に形成され、この開口を開閉可能に、踏み台12が引出体13の上方に位置している。このように、踏み台付き引出体11が、上面に載上可能な踏み台12と、物品を収納可能な収納部13aを有する引出体13と、から構成されていることで、踏み台12の下方の空間も収納部13aとして有効利用できる。
【0024】
また、踏み台12における後端部から係止部12aが下方に向かって鉤状に延設されているとともに、引出体13における係止部12aよりも外方側、すなわち前方側に位置する後端面に、被係止部13cが設けられており、詳細については後述するが、この係止部12aと被係止部13cとが係止することで、踏み台12と引出体13とは、収納位置と引出位置との間を一体に移動可能になっている。
【0025】
踏み台付き引出体11の左右両側方に位置する本体2の側板2a、2a内面には、前後方向に延びる溝部27、27が形成されており、この溝部27は、収納位置から引出位置に向かって、すなわち後方から前方に向かって略水平方向に形成された水平部27aと、更に前端に向かって若干下方に傾斜して形成された傾斜部27bとから成っている。この溝部27、27内に、踏み台12の左右両側面の後部側に枢支されたキャスタ12d、12dが、回転可能に所定数嵌合されていることにより、踏み台12は、溝部27、27に沿って前後方向にスムーズに移動可能である。
【0026】
踏み台12下面における左右両側端部の所定箇所には、凸部12cが下方に向けて突設されているとともに、引出体13の側板13b上面の所定箇所には、上方に向けて開口した凹部13eが、凸部12cに嵌合可能に設けられている。
【0027】
次に、図3(a)、(b)に示されるように、踏み台付き引出体11の移動について概略を説明すると、先ず、本体2の出入口19と連通する内部における踏み台付き引出体11の収納空間を構成する左右の側板2a、2aの内面には、側面視コ字状に形成された固定レール14が、前後方向に沿ってそれぞれ固着されている。そして引出体13を構成する左右の側板13b外面に、摺動レール15が前後方向に沿ってそれぞれ固着され、この摺動レール15は、固定レール14のコ字状の開口に前後方向にそれぞれ嵌挿されている。また、引出体13の底板下面には、左右方向及び前後方向に所定に離間した4箇所に、床面上を転がるキャスタ26が設けられている。そして、踏み台付き引出体11を収納位置に押込み若しくは引出すことで、踏み台付き引出体11の摺動レール15が固定レール14に沿って摺動し、踏み台付き引出体11が本体2に対しスムーズに移動自在となる。
【0028】
次に、図4(a)に示されるように、踏み台12を引出した場合の踏み台付き引出体11の移動について、詳しく説明すると、キッチン台1の使用者が、踏み台12の前面に設けられた把手部12bを外方に向けて引出すことにより、引出体13の被係止部13cが踏み台12の係止部12aに係止され、引出体13と踏み台12とが一体に外方に移動することになる。
【0029】
踏み台付き引出体11を引出す場合に、踏み台12の左右側面に枢支されたキャスタ12dが溝部27の水平部27aに位置しているときには、この溝部27によって、踏み台12の下面及び凸部12cと、引出体13の上面とはわずかに離間した状態である。このようにすることで、引出体13を前後に引出自在となっている。そして、図4(b)に示されるように、踏み台付き引出体11を引出位置まで引出すとともに、踏み台12が溝部27の傾斜部27bに沿って下方に移動して、踏み台12が溝部27から完全に外れ、踏み台12下面の凸部12cが、引出体13上面の凹部13eに嵌合されることで、踏み台付き引出体11の引出位置において、踏み台12が、引出体13上面に所定に載置されることになる。
【0030】
次に、図4(c)に示されるように、引出体13を引出した場合の踏み台付き引出体11の移動について、詳しく説明すると、キッチン台1の使用者が、引出体13の把手部13dを外方に向けて引出すことにより、引出体13の被係止部13cが踏み台12の係止部12aから離間し、引出体13のみが単独で外方に移動することになる。
【0031】
このようにすることで、踏み台12を外方に引出すだけで、常に踏み台12と引出体13とが一体に引出されることで、引出位置において踏み台12の使用の際に踏み台12に掛かる荷重が、踏み台12の下方に位置する箱状の引出体13により支持されるため、引出位置における踏み台12の安定性が向上する。すなわち、踏み台12が溝部27から外れ、床面上を移動自在な引出体13に載置されるため、踏み台12にかかる荷重により溝部27を破損することなく引出体13を介して床面で支持できる。また、引出体13を外方に引出すときには、引出体13のみが単独で移動し、これにより引出体13の上面開口が開放されるため、引出体13の上方に位置する踏み台12の開閉動作を要することなく、収納物の出し入れが簡便に出来る。
【0032】
また、このように、収納位置において、踏み台12と引出体13との間に隙間が形成されるとともに、引出位置において、収納位置から引出された踏み台12が引出体13の上面に載置されることで、引出体13の引出とともに踏み台12が引出されることを防止できるとともに、踏み台12と引出体13との摺接により傷がつくことを回避できる。
【0033】
更に、踏み台12の後部側から下方に向かって延設する簡便な構成で、係止部12aを設けることが出来るばかりか、係止部12aが踏み台12の後端部に位置しているとともに、被係止部13cが引出体13の後端部に位置しているので、踏み台12若しくは引出体13を引出しても、係止部12aや被係止部13cが邪魔になることがない。
【0034】
次に、踏み台付き引出体11の引出位置におけるロック機構について説明する。
【0035】
先ず、引出体13の左右両側板13b、13b外面に沿って、摺動レール15よりも上方箇所に、係合レバー16、16がそれぞれ前後方向に設けられている。尚、左右両側板13b、13b外面にそれぞれ設けられている係合レバー16、16及び附属するその他の部材は、同じ構造を有しているため、以下、一方側の係合レバー16に関する構造について説明し、他方側の係合レバー16の説明は省略する。
【0036】
係合レバー16は、より具体的には、両方の端部が中央部に対して略直角に屈曲して形成されており、更に、両方の先端が引出体13の側板13bに取付けられた回動支持部13f、13fにより枢支され、前後方向に形成された仮想の回動軸周りに回動可能に設けられている。すなわち、係合レバー16は、中央部が引出体13の側板13b外面に沿って位置する係合解除位置と、中央部が左右外方に向かって突出する係合位置との間を回動するように成っている。
【0037】
次に、図4(a)に示されるように、踏み台付き引出体11の係合について説明すると、踏み台付き引出体11が、キッチン台1の本体2に収納された収納位置と、本体2から十分に引出された引出位置との間に位置している場合、踏み台付き引出体11は、係合レバー16が上方に回動された係合解除位置に位置することで、キッチン台1の本体2の側板2aに当接することなく、前後方向に移動自在と成っている(図5(b)点線部参照)。
【0038】
次に、図5(a)、(b)に示されるように、踏み台付き引出体11が、引出位置に位置した場合、係合レバー16を下方に回動操作することで、上記した係合解除位置から係合位置に移動する。この係合位置においては、係合レバー16の中央部が、キッチン台1の本体2の側板2a前端と係合することで、踏み台付き引出体11の後方への引き出し方向の移動が規制される。
【0039】
このように、引出体13の側板13b外面に設けられた係合レバー16を係合位置に移動することで、踏み台付き引出体11の引き出し方向の移動が規制され、踏み台12を安全に使用できるばかりか、係合レバー16を移動操作するだけで容易に係合位置若しくは係合解除位置に切替できる。
【0040】
また、このように、踏み台付き引出体11の左右側方に位置するキッチン台1の本体2の側板2aを利用して、係合レバー16を係合位置において係合させることができるため、キッチン台1の本体2側に被係合部等を別個に設けなくて済む。
【0041】
尚、固定レール14の前端部所定箇所に図示しない係止部が突設されているとともに、摺動レール15の後端部所定箇所に図示しない突出部が設けられており、上記した踏み台の引出位置において、固定レール14の前記係止部と摺動レール15の前記突出部とが当接することで、踏み台付き引出体11が本体2から抜け出すことを防止している。
【0042】
次いで、踏み台付き引出体11の係合解除について説明すると、上述した係合位置にある左右の係合レバー16を、上方に向けて回動して上方移動操作することで、左右の係合レバー16を上記した係合解除位置に位置させる。このようにすることで、踏み台付き引出体11は、引き出し方向に本体2に対して前後移動自在となる。
【0043】
このように、係合レバー16は、引出体13の左右側板13bの外面に沿ってそれぞれ前後幅方向にわたり延設されていることで、係合レバー16の上方移動操作を引出体13の前方側で簡便に行うことができる。
【0044】
尚、本実施例の係合レバー16は、図示しない保持手段により上記した係合解除位置に保持されるように成っているが、前記保持手段は、例えばマグネットからなり磁力を利用するものであってもよい。更に尚、前記保持手段による係合レバーの保持状態を解除する保持状態解除手段が、別段に設けられていてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明すると、図6(a)は、実施例2における踏み台付き引出体を示した正面図であり、(b)は、踏み台を引出したときの引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、引出体を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。尚、上述した実施例1と重複する構成については説明を省略する。
【0046】
図6(a)に示されるように、本実施例における踏み台付き引出体31の踏み台32は、左右両端側に、それぞれ下方に向かって延びる脚部32e、32eを備えており、引出体33を跨ぐように正面視略コ字状に形成されている。また、脚部32eの下端には、滑り止め用ゴム35が下方に突設され、床面上に接地されるように成っている。
【0047】
次に、図6(b)に示されるように、踏み台32を引出した場合の踏み台付き引出体31の移動について、詳しく説明すると、キッチン台1の使用者が、踏み台32の前面に設けられた把手部32bを外方に向けて引出すことにより、引出体33の被係止部33cが踏み台32の係止部32aに係止され、引出体33と踏み台32とが一体に外方に移動することになる。
【0048】
踏み台付き引出体31を引出位置まで引出すとともに、踏み台32の左右側面に枢支されたキャスタ32dが、溝部27の水平部27aから傾斜部27bに沿って下方に移動し、踏み台付き引出体11の引出位置において、踏み台12が、引出体13上面に所定に載置され、且つ、脚部32eの下端に突設された滑り止め用ゴム35が床面に当接することになる。
【0049】
このようにすることで、踏み台32の左右両端側から下方に延びる脚部32e、32eにより、踏み台32に掛かる荷重を、引出体33に加えて補助的に支持することが出来る。尚、引出体33を用いずに、踏み台32に掛かる荷重を踏み台32の脚部32e、32eのみにより支持するようにしてもよい。
【0050】
次に、図6(c)に示されるように、引出体33を引出した場合の踏み台付き引出体31の移動について、詳しく説明すると、キッチン台1の使用者が、引出体33の把手部33dを外方に向けて引出すことにより、引出体33の被係止部33cが踏み台32の係止部32aから離間し、引出体33のみが単独で外方に移動することになる。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0052】
例えば、上記実施例では、キッチン台1は、アイランド型のキッチン台であって、天板にシンク5や調理部としてコンロ4が設けられているが、キッチン台の型や、シンクまたは調理部の配置については、必ずしも本実施例に限られず、例えばI型やL型のキッチン台であってもよいし、また、天板にシンクまたは調理部のみが設けられたキッチン台であっても構わない。
【0053】
また、上記実施例では、係合レバー16は、引出体13の側板13bに沿って形成された前後方向の仮想の回動軸回りに回動可能に設けられているが、例えば係合レバーは、引出体の前方部において枢支された回動部を中心に、左右方向の仮想の回動軸回りに回動可能であってもよい。
【0054】
更に、上記実施例では、係合レバー16は、キッチン台1の本体2の側板2a前端部と係合しているが、係合位置は、例えば固定レールの前端部であってもよいし、キャビネット本体の天板、仕切板、底板などの木口や、キャビネット本体に別段に設けられた係合用部品であってもよい。
【0055】
また、上記実施例では、係合レバー16は、回動支持部13fに枢支されており、係合位置と係合解除位置との間を回動自在に設けられているが、例えば、係合レバーは、上下方向にスライド移動することで、係合位置と係合解除位置との間を移動自在に設けられていてもよい。また、上記実施例では、係合レバー16は、引出体13の左右側板13bに一対に設けられているが、例えば、係合レバーは引出体の左右いずれか一方の側板のみに設けられていてもよい。
【0056】
更に、上記実施例では、キャビネットとしてキッチン台1が示されているが、キャビネットは、必ずしもキッチン台に限られず、例えば、棚板を備えた陳列棚であっても構わない。
【0057】
また、上記実施例では、係止部が踏み台の後端部に設けられているとともに、被係止部が引出体の後端部に設けられているが、例えば、係止部が、踏み台下面の前方部所定箇所から下方に延びているとともに、該係止部よりも外方側、すなわち前方側に位置する被係止部が、引出体の前板背面の上部所定箇所に形成されていてもよい。また例えば、係止部が、踏み台下面の側方部所定箇所から下方に延びているとともに、該係止部よりも外方側、すなわち前方側に位置する被係止部が、引出体の前板背面の側部所定箇所に形成されていてもよい。この場合において、前記係止部は、踏み台の左右両側方部及び後方部に亘って連続して設けられるとともに、前記被係止部は、引出体の前板背面の側部所定箇所及び引出体の後端部に設けられていてもよい。更に例えば、踏み台の後端部に設けられた係止部と、引出体の後端部に設けられた被係止部とが、いわゆるプッシュキャッチ式に係止されており、踏み台を引出すことで踏み台と引出体とが一体に引出され、引出体を一旦内方に向かって押し込むことで、係止部と被係止部との係止が外れて、引出体のみが単独で引出されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1におけるキッチン台の全体像を示す斜視図である。
【図2】(a)は、キッチン台の上面図であり、(b)は、キッチン台の背面図であり、(c)は、右側面図である。
【図3】(a)は、はキッチン台の本体に収納された踏み台付き引出体を示す右側面図であり、(b)は、キッチン台の本体から引出された踏み台付き引出体を示す背面図である。
【図4】(a)は、踏み台を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(b)は、(a)と同じく引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、引出体を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。
【図5】(a)は、係合レバーの係合状況を示す拡大斜視図であり、(b)は、係合レバーを示す拡大断面図である。
【図6】(a)は、実施例2における踏み台付き引出体を示した正面図であり、(b)は、踏み台を引出したときの引出位置における踏み台付き引出体を示す拡大側面図であり、(c)は、引出体を引出したときの踏み台付き引出体を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 キッチン台(キャビネット)
2 本体
3 天板
4 コンロ
5 シンク
7 調理台
8 調理台
11 踏み台付き引出体
12 踏み台
12a 係止部
12b 把手部
12c 凸部
12d キャスタ
13 引出体
13a 収納部
13b 側板
13c 被係止部
13d 把手部
13e 凹部
13f 回動支持部
14 固定レール
15 摺動レール
16 係合レバー
19 出入口
27 溝部
27a 水平部
27b 傾斜部
31 踏み台付き引出体
32 踏み台
32e 脚部
33 引出体
35 滑り止め用ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口する箱状に形成された引出体と、該引出体の上面開口を開閉自在とする踏み台と、からなる踏み台付き引出体が、本体の内部に収納された収納位置と該収納位置から前記本体の外方に向けて引き出された引出位置との間で内外方向に移動自在に設けられたキャビネットであって、
前記踏み台に設けられた係止部と、
前記引出体における前記係止部よりも外方側に設けられた被係止部と、
を備え、
前記踏み台を外方に向けて引出すことにより、前記引出体の被係止部に前記踏み台の係止部が係止され、前記引出体と前記踏み台とが一体に外方に移動し、
前記引出体を外方に向けて引出すことにより、前記引出体の被係止部が前記踏み台の係止部から離間し、前記引出体のみが単独で外方に移動することを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記収納位置において、前記踏み台と前記引出体との間に隙間が形成されるとともに、前記引出位置において、前記収納位置から引出された踏み台が引出体の上面に載置されることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記係止部は、前記踏み台の後端部から下方に向かって突設され、前記被係止部は、前記引出体の後端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記踏み台は、下端が床面上に接地される脚部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
前記引出体の外側面に、前記引出位置において前記キャビネットの本体所定箇所に係合して前記踏み台付き引出体の引き出し方向の移動を規制する係合位置と、該係合位置から退避した係合解除位置と、の間で移動自在に設けられ、前記係合位置から前記係合解除位置までの移動操作が可能な係合レバーを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項6】
前記係合レバーは、前記引出体の側板の外面に沿って、前後幅方向にわたり延設されていることを特徴とする請求項5に記載のキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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