説明

キャリッジ係止装置及び画像読取装置

【課題】手動で係止部材の係合や係脱を行わずとも、キャリッジを自動的に係止及び係止解除可能なキャリッジ係止装置及び該キャリッジ係止装置を備える画像読取装置が望まれていた。
【解決手段】所定の方向に移動可能に配設されるキャリッジと、該キャリッジを係止する係止部材と、キャリッジを駆動すべく、該キャリッジに駆動源からの動力を伝達する動力伝達部と、係止部材によるキャリッジの係止を解除するための解除部材とを備えるキャリッジ係止装置において、動力伝達部は、更に解除部材に動力を伝達し、解除部材は、伝達された動力に基づいて、係止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリッジを係止するキャリッジ係止装置及び該キャリッジ係止装置が搭載される画像読取装置に関し、特に、キャリッジを自動的に係止及び係止解除可能なキャリッジ係止装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部としての読取センサに、シート原稿を自動的に供給する自動原稿供給部が搭載されたスキャナやファクシミリ装置、複合機等の画像読取装置が知られている。このような画像読取装置では、自動原稿供給部により供給されたシート原稿の画像を、読取センサが読み取って、画像データを取得する。
【0003】
また、上記した画像読取装置において、本等の冊子原稿を載置可能な原稿台を設けて利用する場合がある。下記特許文献1には、読取センサを搭載するキャリッジが原稿台に沿って走行可能に装備される画像読取装置の技術が開示されている。
【0004】
この種の画像読取装置には、従来、装置本体を移動させる際に、装置内部でキャリッジが移動しないようにすべく、キャリッジを係止するための係止部材を有するキャリッジ係止装置が設けられる。
【特許文献1】特開平10−229477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のキャリッジ係止装置では、ユーザが手動で係止部材を係合或いは係脱しなければならず、面倒であった。また、ユーザが、係止部材の係合を忘れて、画像読取装置本体を移動させてしまった場合や、係脱を忘れてキャリッジを走行させてしまった場合、振動や衝撃により、読取センサに破損や精度低下が生じるという問題があった。更に、係止部材を係脱して読取処理を実行中に、ユーザが誤って係止部材を係合してしまった場合、読取センサに不具合が生じる虞があった。
【0006】
したがって、ユーザが手動で係止部材の係合や係脱を行わずとも、キャリッジを自動的に係止及び係止解除可能なキャリッジ係止装置及び該キャリッジ係止装置を備える画像読取装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
【0008】
〈構成1〉
本発明に係るキャリッジ係止装置は、所定の方向に移動可能に配設されるキャリッジと、該キャリッジを係止する係止部材と、キャリッジを駆動すべく、該キャリッジに駆動源からの動力を伝達する動力伝達部と、係止部材によるキャリッジの係止を解除するための解除部材とを備え、動力伝達部は、更に解除部材に動力を伝達し、解除部材は、伝達された動力に基づいて、係止を解除することを特徴とする。
【0009】
〈構成2〉
本発明に係る画像読取装置は、所定の方向に移動可能に配設され、原稿の画像を読み取るための画像読取部が搭載されるキャリッジと、該キャリッジを係止する係止部材と、キャリッジを駆動すべく、該キャリッジに駆動源からの動力を伝達する動力伝達部と、係止部材によるキャリッジの係止を解除するための解除部材とを備え、動力伝達部は、更に前記解除部材に動力を伝達し、解除部材は、伝達された動力に基づいて、係止を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャリッジ係止装置及び画像読取装置によれば、係止部材によりキャリッジが係止され、キャリッジの移動が防止されると共に、動力伝達部によるキャリッジの駆動時に、動力伝達部から解除部材に動力が伝達され、キャリッジの係止が自動的に解除される。したがって、キャリッジに搭載される画像読取部の破損や精度低下が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳細に説明する。ここでは、本発明を、キャリッジ係止装置が搭載されるスキャナに適用した場合を例に、説明を行う。
【実施例1】
【0012】
図3は、本発明に係るスキャナの概略構成図である。
図3(a)は、スキャナの側面図であり、図2(3)は、スキャナの正面図である。
本実施例のスキャナ10は、画像読取装置として、読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0013】
スキャナ10は、図3(a)及び図3(b)に示されるように、フラットベットユニット11と、スキャナカバー12と、ADF(自動原稿供給部)ユニット13とを備えている。
【0014】
フラットベットユニット11には、図3(b)に示されるように、読取原稿を載置するための原稿台としてのフラットベット14が設けられる。本実施例では、フラットベット14には、不定型の読取原稿を載置可能である。フラットベット14の上面は、開閉可能なスキャナカバー12により覆われており、ユーザは、このスキャナカバー12を開けて、読取原稿を、読取面が下向きになるように、フラットベット14上に載置する。
【0015】
フラットベット14の下方には、可動式のキャリッジ15が備えられる。キャリッジ15は、後述するロックレバーによるロック時に、図3(b)に示されるホームポジションに係止され、ロック解除時に、フラットベット14に沿って走行可能となる。
【0016】
キャリッジ15には、図3(b)に示されるように、光源16と、複数のミラー17と、レンズ18と、読取センサ19とが搭載され、画像読取部を形成している。
【0017】
光源16は、例えば蛍光灯からなり、読取原稿の読取面に、光を照射する。ミラー17及びレンズ18は、縮小光学系を形成し、読取原稿からの反射光に基づいて、読取原稿の縮小画像を、読取センサ19に結像する。読取センサ19は、例えばCCDユニット等からなり、結像された縮小画像を光電変換して、画像データを取得する。
【0018】
ここで、フラットベット14に載置された読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する流れを、簡単に説明する。
【0019】
キャリッジ15は、ホームポジションから、図3(b)に矢印Aで示される副走査方向に、一定速度で走行する。この走行に伴い、キャリッジ15に搭載される読取センサ19が、フラットベット14上に載置された読取原稿の画像を、副走査方向に垂直な主走査方向のライン毎に、順次読み取って、読取原稿の全体に対応する画像データを取得する。画像データの取得が完了すると、キャリッジ15は、ホームポジションに戻って静止する。
【0020】
ADFユニット13は、図3(a)及び図3(b)に示されるように、スキャナカバー12の上方に設けられる。ADFユニット13には、図3(b)に示されるように、シート状の読取原稿20を載置するための原稿トレイ21が設けられている。このADFユニット13は、原稿トレイ21上に載置された複数枚の読取原稿20を1枚ずつ順に、スキャナカバー12に設けられた溝12aを経由して反転させ、スキャナカバー12の上面まで搬送する機能を有する。
【0021】
なお、スキャナカバー12の溝12aは、読取センサ19による読取原稿20の読み取りを可能とすべく、キャリッジ15のホームポジションの上側に、光源16からの光が読取原稿20に照射される位置に設けられる。
【0022】
ADFユニット13の原稿トレイ21には、読取原稿20の有無を検知するための原稿有無センサ22が配設されている。
【0023】
原稿トレイ21に載置された複数枚の読取原稿20は、ADFローラ23により1枚ずつ分離される。分離された各読取原稿20は、搬送ローラ24により、ADFユニット13の内部を原稿走行ルート25に沿って搬送され、スキャナカバー12の溝12aを経由して反転した後、排出ローラ26により、スキャナカバー12上に排出される。
【0024】
また、ADFユニット13内の原稿走行ルート25上には、図3(b)に示されるように、読取原稿20の通過を検知するための通過検知センサ27が配置されている。
【0025】
ここで、ADFユニット13により搬送された読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する流れを、簡単に説明する。
【0026】
ADFユニット13による各読取原稿20の搬送中、キャリッジ15は、図3(b)に示されるように、ホームポジションに静止している。そして、読取原稿20が通過検知センサ27上を通過すると、通過検知センサ27からの検知信号に基づき、溝12aの下側に位置する光源16が点灯する。そして、読取センサ19が、静止した状態のまま、読取原稿20の画像をライン毎に読み取って、画像データを取得する。
【0027】
また、スキャナ10のフラットベットユニット11の内部には、キャリッジ15を係止するためのキャリッジ係止装置が配設されている。
【0028】
ここで、本実施例のキャリッジ係止装置の詳細な構成について、説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るキャリッジ係止装置の構成図であり、図2は、本発明の実施例1に係るキャリッジ係止装置の部分構成図である。
【0029】
なお、図1(a)は、キャリッジ15のロック時に対応する図であり、図2は、キャリッジ係止装置41の矢印B(図1(a))方向からの矢視図である。また、図1(b)は、キャリッジ15のロック解除時に対応する図であり、図1(c)は、キャリッジ15の再ロック時に対応する図である。
【0030】
キャリッジ係止装置41の内部には、プーリ28が、主走査方向の両端に1対ずつ設けられている。図1(a)乃至図1(c)には、片側のプーリ28のみが示される。プーリ28は、プーリシャフト29の片側端部に取り付けられ、駆動源としてのモータ(不図示)から供給される動力に基づき駆動され、プーリシャフト29と共に回転する。プーリシャフト29の他端部には、アイドルギヤ30が取り付けられ、プーリ28及びプーリシャフト29と共に回転を行う。
【0031】
また、プーリ28には、ベルト31が巻き掛けられている。このベルト31は、フラットベット14に沿って平行に、副走査方向に張架される。また、ベルト31には、読取センサ19が搭載されたキャリッジ15が、取付部15bを介して取り付けられる。ベルト31は、キャリッジ15を支持し、プーリ28の回転に伴い、フラットベット14の下方を、キャリッジ15と共に副走査方向に走行する。即ち、プーリ28及びベルト31は、読取センサ19が搭載されたキャリッジ15に、モータからの動力を伝達して、該キャリッジ15を駆動する動力伝達部としての機能を有する。
【0032】
なお、本実施例では、モータはプーリ28を駆動するが、ベルト31を駆動する構成をとることも可能である。この場合、ベルト31の駆動に伴い、プーリ28、プーリシャフト29及びアイドルギヤ30が回転を行う。
【0033】
キャリッジ15は、図1(a)に示されるように、被係止部として、切り欠き形状の溝部15aを有する。キャリッジ15の溝部15aには、図1(a)に示されるホームポジションでの静止時に、係止部材としてのロックレバー32の突起32aが係合する。
【0034】
ロックレバー32は、キャリッジ係止装置41の筐体(以下、装置筐体と記す)に固定される回動軸32bを有し、該回動軸32bの周りに回動可能に取り付けられる。ロックレバー32の片側端部には、爪形状の突起32aがキャリッジ15方向へ突出し、該突起32aが、キャリッジ15の溝部15aに係合して、キャリッジ15を移動不可能に係止、即ちロックする。
【0035】
ロックレバー32の周囲には、ロックレバー32の位置を規制するためのストッパ33及びストッパ34が、装置筐体と一体に形成されている。ストッパ33は、図1(a)に示されるキャリッジ15のロック時、ロックレバー32の位置を規制する。また、ストッパ34は、図1(b)に示されるロック解除時、ロックレバー32の位置を規制する。
【0036】
ロックレバー32の周囲には、更に、略L字形状のスプリング35が、中央部分をロックレバー32の回動軸32bに掛けて配設されている。このスプリング35は、装置筐体に形成されたストッパ36に、一方の端部を支持されると共に、他方の端部をロックレバー32に固定される。スプリング35は、付勢部材として、図1(a)に矢印Cで示されるように、ロックレバー32をキャリッジ15方向へ常時付勢する。
【0037】
フラットベットユニット11のロックレバー32及びプーリ28間には、図1(a)に示されるように、解除部材としてのカム37が設けられている。カム37は、図2に示されるように、プーリシャフト29と比較して短いカムシャフト38の端部に取り付けられている。また、カムシャフト38の他端部には、図2に示されるように、アイドルギヤ30に歯合するカム駆動ギヤ39が取り付けられている。カム駆動ギヤ39は、アイドルギヤ30の回転に伴い従動回転する。即ち、プーリ28、プーリシャフト29及びアイドルギヤ30は、動力伝達部として、モータからの動力を解除部材としてのカム37に伝達する。
【0038】
また、カムシャフト38は、トルクリミッタ機能を有し、動力遮断部として、カム駆動ギヤ39を介してアイドルギヤ30に伝達される動力により生じるトルクが所定閾値を超えると、回転を停止する。
【0039】
また、カム37の周囲には、カム37の位置を規制するためのストッパ40が、装置筐体と一体に形成されている。ストッパ40は、図1(a)に示されるように、ロックレバー32のカム側端部32cと、カム37の当接部37aとの当接状態を保持すべく、カム37の位置を規制する。
【0040】
次に、本実施例のスキャナ10及びキャリッジ係止装置41の動作について、説明する。
【0041】
スキャナ10の電源投入前及び電源が投入された後、フラットベット14上に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されるまで、即ちスキャナ10の待機状態において、モータ(不図示)からプーリ28への動力供給は停止されている。このとき、プーリ28及びベルト31は静止し、キャリッジ15は、図1(a)に示されるように、ホームポジションに静止している。
【0042】
このホームポジションでの静止時、キャリッジ15の溝部15aには、ロックレバー32の突起32aが係合している。この状態で、ロックレバー32は、スプリング35に付勢され、ストッパ33に当接した状態で、キャリッジ15を移動不可能にロックしている(図1(a))。
【0043】
この待機状態において、例えば、ADFユニット13の原稿トレイ21に読取原稿が載置され、画像読取処理が開始されると、スキャナ10は、図3(b)に示されるように、キャリッジ15をホームポジションで静止させたまま、ADFユニット13に各読取原稿を搬送させる。そして、キャリッジ15に搭載された読取センサ19が、静止したまま、各読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。この画像読取処理の実行中、キャリッジ係止装置41では、キャリッジ15が、待機状態と同様に、ホームポジションにおいてロックレバー32により移動不可能にロックされている(図1(a))。
【0044】
また、待機状態において、例えば、フラットベット14に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されると、スキャナ10は、モータによるプーリ28への動力供給を開始する。プーリ28は、モータからの動力に基づいて、逆時計方向(矢印D)に回転する(図1(b))。
【0045】
プーリ28が回転を開始すると、プーリシャフト29及びアイドルギヤ30が、プーリ28と共に回転を行う。そして、カム駆動ギヤ39が、歯合するアイドルギヤ30から動力を伝達され、アイドルギヤ30と逆方向の回転を開始する。このカム駆動ギヤ39の回転に伴い、カムシャフト38及びカム37が、プーリ28と逆方向、即ち時計方向(矢印E)に回転する(図1(b))。
【0046】
カム37が回転すると、カム37の当接部37aが、図1(b)に示されるように、ロックレバー32のカム側端部32cを押圧する。この押圧力に基づき、ロックレバー32は、矢印Fで示されるように、スプリング35からの付勢力の抗して、回動軸32bの周りに回動する。これにより、ロックレバー32の突起32aは、キャリッジ15の溝部15aから係脱し、キャリッジ係止装置41は、ロックレバー32によるキャリッジ15のロックを解除する(図1(b))。
【0047】
ベルト31は、プーリ28の回転に伴い、副走査方向に走行する。そして、ロックレバー32によりロックが解除されたキャリッジ15が、ベルト31と共に、副走査方向(矢印A)への走行を開始する(図1(b))。
【0048】
そして、キャリッジ15に搭載された読取センサ19が、ホームポジションから副走査方向に一定速度で走行しながら、フラットベット14上の読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0049】
なお、ロックレバー32は、図1(b)に示されるように、ストッパ34に当接すると、カム37からの押圧力に抗して回動を停止する。このとき、カム37が回転不可能となるため、カムシャフト38には所定閾値を超えるトルクが生じる。これにより、カムシャフト38のトルクリミッタ機能が作動し、カムシャフト38は回転を停止する。カム駆動ギヤ39は、矢印Eで示される回転を継続する。
【0050】
読取原稿の画像の読み取りが完了すると、スキャナ10は、モータによるプーリ28への動力供給を停止する。これにより、プーリ28の回転が停止すると共に、プーリシャフト29、アイドルギヤ30及びカム駆動ギヤ39の回転が停止し、ベルト31及びキャリッジ15の走行が停止する。また、カムシャフト38のトルクリミッタ機能の作動は解除される。
【0051】
続いて、スキャナ10は、プーリ28を逆回転させるべく、モータによるプーリ28への動力供給を行う。プーリ28は、時計方向(矢印D´)に回転し、ベルト31及びキャリッジ15が、矢印A´方向に走行する(図1(c))。
【0052】
また、プーリシャフト29及びアイドルギヤ30が、プーリ28と共に回転を行い、カム駆動ギヤ39が、歯合するアイドルギヤ30からの動力伝達に伴い、回転する。これにより、カムシャフト38及びカム37が、逆時計方向(矢印E´)に回転する(図1(c))。
【0053】
カム37の回転に伴い、当接部37aからロックレバー32のカム側端部32cに付与される押圧力は減少する。そして、ロックレバー32は、スプリング35の付勢力に基づいて、回動軸32bの周りに回動する。
【0054】
カム37が、図1(c)に示されるように、ストッパ40に当接して回転不可能となると、カムシャフト38のトルクリミッタ機能が作動し、カムシャフト38は回転を停止する。このカム37及びカムシャフト38の回転停止時、ロックレバー32は、カム側端部32cをカム37の当接部37aに当接した状態で、ストッパ33に位置を保持され、回動を停止する。
【0055】
カム37及びカムシャフト38の回転が停止された後も、プーリ28の回転は継続する。ベルト31及びキャリッジ15は、矢印A´方向への走行を継続し、キャリッジ15がホームポジションに近づくと、図1(c)に示されるように、キャリッジ15がロックレバー32の突起32aに衝突する。
【0056】
キャリッジ15は、突起32aとの衝突後も走行を継続する。ロックレバー32は、突起32aをキャリッジ15に押圧され、スプリング35からの付勢力に抗して、矢印F方向に回動する(図1(c))。その後、キャリッジ15の溝部15aが、突起32aの位置に達すると、ロックレバー32は、スプリング35からの付勢力に基づき矢印Fの逆方向に回動し、突起32aが溝部15aに入り込んで係合する。
【0057】
キャリッジ15がホームポジションに達すると、スキャナ10は、モータによるプーリ28への動力供給を停止する。これにより、プーリ28の回転が停止し、プーリシャフト29、アイドルギヤ30及びカム駆動ギヤ39の回転が停止すると共に、ベルト31及びキャリッジ15の走行が停止する。キャリッジ係止装置41において、ロックが解除されていたキャリッジ15は、ホームポジションで静止し、ロックレバー32により移動不可能に再ロックされる(図1(a))。また、カムシャフト38のトルクリミッタ機能の作動は解除される。
【0058】
以上のように、本実施例のキャリッジ係止装置は、スキャナにおける電源投入の有無にかかわらず、キャリッジの非駆動時には、キャリッジを常にロックして、移動不可能に保持するので、スキャナ本体を移動させた場合も、キャリッジが移動して発生する読取センサの破損や精度低下を防止できる。また、ユーザが操作せずとも、キャリッジの駆動時には、自動的にロックを解除すると共に、駆動終了時には、自動的に再ロックするので、ロック解除や再ロックを忘れて、読取センサに機械的衝撃を及ぼす危険性を回避できる。
【実施例2】
【0059】
図4は、本発明の実施例2に係るキャリッジ係止装置の構成図であり、図5は、本発明の実施例2に係るキャリッジ係止装置の部分構成図である。
本実施例のキャリッジ係止装置50は、キャリッジ15を係止する係止部材としてのロックレバー51の形状及び動作が、実施例1とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1と同一の構成については同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
【0060】
図4(a)は、キャリッジ15のロック時に対応する図であり、図5は、図4(a)に示される矢印B方向からの矢視図である。また、図4(b)は、キャリッジ15のロック解除時に対応する図であり、図4(c)は、キャリッジ15の再ロック時に対応する図である。
【0061】
ロックレバー51は、図4(a)乃至図4(c)に示されるように、楕円形状の孔からなる2つのガイド51bを有する。これらのガイド51bには、キャリッジ係止装置50の装置筐体と一体に形成されるストッパ55が、それぞれ係合して、ロックレバー51を移動可能に保持する。
【0062】
ロックレバー51のキャリッジ15側端部には、爪形状の突起51aがキャリッジ15方向へ突出し、該突起51aが、図4(a)に示されるように、キャリッジ15の溝部15aに係合して、キャリッジ15を移動不可能にロックする。このとき、各ガイド51bに係合するストッパ55が、ガイド51bの内壁に当接して、ロックレバー51の位置を規制する(図4(a))。
【0063】
また、ロックレバー51の他方の端部には、図4(a)乃至図4(c)に示されるように、ラック形状部51dが設けられる。
【0064】
ロックレバー51の周囲には、ロックレバー51の位置を規制するためのストッパ56が、装置筐体と一体に形成されている。ストッパ56は、図4(b)に示されるキャリッジ15のロック解除時、ロックレバー51の位置を規制する。
【0065】
ストッパ56及びロックレバー51間には、更に、スプリング57が配設されている。このスプリング57は、自然長と比較して縮んだ状態で、一方の端部をストッパ56に、他方の端部をロックレバー51の溝部51cに、それぞれ固定される。スプリング57は、付勢部材として、図4(a)に矢印Gで示されるように、ロックレバー51をキャリッジ15方向へ常時付勢する。
【0066】
キャリッジ係止装置50には、更に、プーリ52が設けられている。プーリ52は、図5に示されるように、プーリシャフト53の片側端部に取り付けられ、駆動源としてのモータ(不図示)から供給される動力に基づき駆動され、回転する。プーリシャフト53の他端部には、図5に示されるように、解除部材としてのアイドルギヤ54が取り付けられ、動力伝達部としてのプーリシャフト53と共に、回転を行う。
【0067】
このプーリ52には、ベルト31が巻き掛けられている。ベルト31は、キャリッジ15を支持し、プーリ52の回転に伴い、キャリッジ15と共に副走査方向に走行する。即ち、プーリ52及びベルト31は、動力伝達部として、キャリッジ15にモータからの動力を伝達して、該キャリッジ15を駆動する。
【0068】
なお、本実施例では、モータはプーリ52を駆動するが、ベルト31を駆動する構成をとることも可能である。
【0069】
プーリシャフト53は、動力遮断部として、トルクが所定閾値を超えると回転を停止するトルクリミッタ機能を有する。
【0070】
アイドルギヤ54には、図5に示されるように、ロックレバー51のラック形状部51dが歯合している。プーリ52及びプーリシャフト53と共に、アイドルギヤ54が回転を行うと、ロックレバー51は、該アイドルギヤ54から当接部としてのラック形状部51dを介して動力を伝達され、キャリッジ15との接離方向に移動する。
【0071】
次に、本実施例のキャリッジ係止装置50と該キャリッジ係止装置50が搭載されるスキャナの動作について、説明する。
【0072】
スキャナの待機状態において、モータ(不図示)からプーリ52への動力供給は停止されている。このとき、プーリ52及びベルト31は静止し、キャリッジ15は、図4(a)に示されるように、ホームポジションに静止している。
【0073】
このホームポジションでの静止時、キャリッジ15の溝部15aには、ロックレバー51の突起51aが係合している。ロックレバー51は、スプリング57に付勢され、ストッパ55がガイド51bの内壁に当接した状態で、キャリッジ15を移動不可能にロックしている(図4(a))。
【0074】
この待機状態において、フラットベット14に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されると、スキャナは、モータによるプーリ52への動力供給を開始する。プーリ52は、モータからの動力に基づいて、逆時計方向(矢印D)に回転する(図4(b))。
【0075】
プーリ52が回転を開始すると、プーリシャフト53及びアイドルギヤ54が、プーリ52と共に回転を行う。そして、ロックレバー51のラック形状部51dが、歯合するアイドルギヤ54から動力を伝達されると、ロックレバー51は、スプリング57からの付勢力に抗して、矢印H方向、即ちキャリッジ15との離間方向に移動する。この移動に伴い、ロックレバー51の突起51aは、キャリッジ15の溝部15aから係脱し、ロックレバー51によるキャリッジ15のロックが解除される(図4(b))。
【0076】
ベルト31は、プーリ52の回転に伴い、図4(b)に示されるように、副走査方向に走行する。そして、ロックレバー51によるロックが解除されたキャリッジ15が、ベルト31と共に、副走査方向(矢印A)への走行を開始する。
【0077】
キャリッジ15に搭載された読取センサ19(図3)は、ホームポジションから副走査方向に一定速度で走行しながら、フラットベット14上の読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0078】
ロックレバー51は、ストッパ56に当接すると、アイドルギヤ54から伝達される動力に抗して、矢印H方向への移動を停止する(図4(b))。このとき、プーリシャフト53には所定閾値を超えるトルクが生じ、トルクリミッタ機能が作動する。これにより、プーリシャフト53及びアイドルギヤ54は回転を停止する。プーリ52は回転を継続し、ベルト31は副走査方向への走行を継続する。
【0079】
読取原稿の画像の読み取りが完了すると、スキャナは、モータによるプーリ52への動力供給を停止する。これにより、プーリ52の回転が停止すると共に、ベルト31及びキャリッジ15の走行が停止する。また、プーリシャフト53のトルクリミッタ機能の作動は解除される。
【0080】
続いて、スキャナは、プーリ52を逆回転させるべく、モータによるプーリ52への動力供給を行う。プーリ52は、時計方向(矢印D´)に回転し、ベルト31及びキャリッジ15が、矢印A´方向に走行する(図4(c))。
【0081】
また、プーリシャフト53及びアイドルギヤ54が、プーリ52と共に回転を行い、ロックレバー51のラック形状部51dが、歯合するアイドルギヤ54から動力を伝達されると、ロックレバー51は、図4(c)に示される矢印Hの逆方向、即ちキャリッジ方向に移動する。
【0082】
ガイド51bの内壁がストッパ55に当接すると、ロックレバー51は移動不可能となり停止する。これに伴い、プーリシャフト53のトルクリミッタ機能が作動し、プーリシャフト53及びアイドルギヤ54は回転を停止する。プーリ52は回転を継続し、ベルト31及びキャリッジ15は、矢印A´方向への走行を継続する。
【0083】
キャリッジ15がホームポジションに近づいて、図4(c)に示されるように、ロックレバー51の突起51aに衝突すると、ロックレバー51は、キャリッジ15からの押圧力に基づいて、矢印H方向に移動する。その後、キャリッジ15の溝部15aが、突起51aの位置に達すると、ロックレバー51は、スプリング57からの弾性力に基づいて、矢印Hの逆方向に移動し、突起51aが溝部15aに入り込んで係合する。
【0084】
キャリッジ15がホームポジションに達すると、スキャナは、モータによるプーリ52への動力供給を停止する。これにより、プーリ52の回転が停止し、ベルト31及びキャリッジ15の走行が停止する。キャリッジ15は、ホームポジションで静止し、ロックレバー51により移動不可能にロックされる(図4(a))。また、プーリシャフト53のトルクリミッタ機能の作動は解除される。
【0085】
以上のように、本実施例のキャリッジ係止装置は、プーリ及びロックレバー間に、カム等を設けずとも、キャリッジのロック及びロック解除が可能となるので、装置作成に要するコストや手間を抑制できる。また、ロックレバーにラック形状部を設け、該ラック形状部をアイドルギヤと噛み合わせることにより、プーリからの回転力を直線方向の動力に変換可能となるので、ロックレバーによるロック及びロック解除動作を、より確実な直線運動で実施可能となる。
【実施例3】
【0086】
図6は、本発明の実施例3に係るキャリッジ係止装置の構成図(その1)であり、図7は、本発明の実施例3に係るキャリッジ係止装置の構成図(その2)である。
本実施例のキャリッジ係止装置60は、1対のロックレバー66及び67を設けると共に、ベルト62に突起62aを設ける構成が、実施例1とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1或いは実施例2と同一の構成については同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
【0087】
図6(a)は、キャリッジ61のロック時に対応する図であり、図6(b)は、キャリッジ61のロック解除時に対応する図である。また、図7(a)及び図7(b)は、キャリッジ61の再ロック時に対応する図である。
【0088】
キャリッジ61は、被係止部としての溝部61aを有し、取付部61bを介してベルト62に取り付けられる。
【0089】
ベルト62は、図6(a)及び図6(b)に示されるように、アイドルローラ63、64及び65に巻き掛けられ、図示せぬ駆動源としてのモータから供給される動力に基づいて、キャリッジ61と共に、フラットベット14の下方を副走査方向に走行する。即ち、ベルト62は、動力伝達部として、キャリッジ61に動力を伝達して駆動する。
【0090】
ベルト62の表面には、突起62aが設けられる。この突起62aは、キャリッジ61のロック時、図6(a)に示されるように、アイドルローラ64及びロックレバー67間に位置する。
【0091】
また、本実施例のキャリッジ係止装置60には、上述したように、2つのロックレバー、即ちロックレバー66及びロックレバー67が、設けられる。
【0092】
ロックレバー66は、キャリッジ61を係止する係止部材として、キャリッジ係止装置60の装置筐体に固定される回動軸68に回動可能に取り付けられる。このロックレバー66の片側端部には、爪形状の突起66aが、キャリッジ61の溝部61a方向へ突出して設けられる。この突起66aは、溝部61aに係合して、キャリッジ61を移動不可能にロックする。
【0093】
ロックレバー66の周囲には、ロックレバー66の位置を規制するためのストッパ69が、装置筐体と一体に形成されている。ストッパ69は、図6(a)に示されるキャリッジ61のロック時、ロックレバー66に当接して、位置を規制する。
【0094】
ロックレバー67は、ロックレバー66によるキャリッジ61の係止を解除するための解除部材として、ロックレバー66と同一の回動軸68に回動可能に取り付けられる。ロックレバー67は、ロックレバー66及びアイドルローラ64間に位置し、ロックレバー66によるキャリッジ61のロック時、図6(a)に示されるように、側面部がロックレバー66に当接すると共に、先端部67aがベルト62に当接する。
【0095】
回動軸68には、更に、略L字形状のスプリング70とスプリング71とが、中央部分を掛けて配設されている。
【0096】
スプリング70は、フラットベットユニットの筐体に形成されたストッパ72に、一方の端部を支持されると共に、他方の端部をロックレバー66に固定される。このスプリング70は、付勢部材として、図6(a)に矢印Iで示されるように、ロックレバー66をキャリッジ61及びロックレバー67方向へ常時付勢する。
【0097】
スプリング71は、フラットベットユニットの筐体に形成されたストッパ73に、一方の端部を支持されると共に、他方の端部をロックレバー67に固定される。このスプリング71は、ロックレバー67をロックレバー66方向へ常時付勢する。
【0098】
次に、本実施例のキャリッジ係止装置60と該キャリッジ係止装置60が搭載されるスキャナの動作について、説明する。
【0099】
スキャナの待機状態において、モータ(不図示)からベルト62への動力供給は停止されている。このとき、キャリッジ61は、図6(a)に示されるように、ホームポジションに静止している。
【0100】
このホームポジションでの静止時、キャリッジ61の溝部61aには、ロックレバー66の突起66aが係合している。このとき、ロックレバー66は、スプリング70に付勢され、ストッパ69に当接した状態で、キャリッジ61を移動不可能にロックしている(図6(a))。
【0101】
この待機状態において、フラットベット14に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されると、スキャナは、モータによるベルト62への動力供給を開始する。ベルト62は、モータからの動力に基づいて、矢印Jで示されるように、走行を開始する(図6(b))。アイドルローラ63及び64は、ベルト62の走行に伴い、逆時計方向に従動回転し、アイドルローラ65は、時計方向に従動回転する(図6(b))。
【0102】
そして、ベルト62の突起62aが、ロックレバー67の先端部67aに衝突すると、ロックレバー67は、該突起62aに押圧され、当接するロックレバー66と共に、矢印K方向に回動する(図6(b))。ロックレバー66は、スプリング70からの付勢力に抗して回動し、突起66aがキャリッジ61の溝部61aから係脱する。これにより、ロックレバー66によるキャリッジ61のロックが解除される(図6(b))。
【0103】
ロックが解除されたキャリッジ61は、ベルト62と共に副走査方向(矢印A)に走行する。キャリッジ61に搭載された読取センサは、ホームポジションから副走査方向に一定速度で走行しながら、フラットベット14上の読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0104】
ベルト62が更に走行し、突起62aがロックレバー67から離間すると、ロックレバー67及びロックレバー66は、突起62aからの押圧力から解放される。ロックレバー66は、スプリング70からの付勢力に基づき、当接するロックレバー67を押圧して、ストッパ69に当接するまで、矢印Kの逆方向に回動する(図6(b))。これにより、ロックレバー66及びロックレバー67は、ロック解除前の位置に戻る。
【0105】
読取原稿の画像の読み取りが完了し、モータによるベルト62への動力供給が停止されると、ベルト62及びキャリッジ61の走行が停止する。その後、スキャナは、ベルト62を逆向きに走行させるべく、モータによるベルト62への動力供給を行う。ベルト62は、図7(a)に示されるように、矢印J´方向に走行し、キャリッジ61は、矢印A´方向に走行する。また、アイドルローラ63、64及び65が、ベルト62の走行に伴い、従動回転する。
【0106】
キャリッジ61がホームポジションに近づくと、図7(a)に示されるように、キャリッジ61がロックレバー66の突起66aに衝突する。ロックレバー66は、走行するキャリッジ61に突起66aを押圧され、スプリング70からの付勢力に抗して、矢印K方向に回動する(図7(a))。その後、キャリッジ61の溝部61aが、突起66aの位置に達すると、ロックレバー66は、スプリング70からの付勢力に基づき矢印Kの逆方向に回動し、突起66aが溝部61aに入り込んで係合する。
【0107】
また、ベルト62の走行に伴い、突起62aがロックレバー67の先端部67aに衝突すると、ロックレバー67は、図7(b)に示されるように、スプリング71からの付勢力に抗して、時計方向、即ちロックレバー66からの離間方向に回動する。その後、突起62aがロックレバー67から離間すると、ロックレバー67は、スプリング71からの付勢力に基づき、逆時計方向に回動し、側面部がロックレバー67に当接して停止する(図6(a))。
【0108】
キャリッジ61がホームポジションに達すると、スキャナ10は、モータによるベルト62への動力供給を停止する。これにより、ベルト62及びキャリッジ61の走行が停止する。キャリッジ61は、ロックレバー66により移動不可能に再ロックされる(図6(a))。
【0109】
以上のように、本実施例のスキャナは、係止部材としてのロックレバーに加え、解除部材としてのロックレバーが設けられると共に、ベルト表面に突起が形成されることにより、トルクリミッタ機構を設けずとも、各ロックレバーへの動力の伝達を適時に遮断可能となる。したがって、安定した使用が可能となる。
【実施例4】
【0110】
図8は、本発明の実施例4に係るキャリッジ係止装置の部構成図である。
本実施例のキャリッジ係止装置80は、切り欠き形状を持たないキャリッジ81を、2つのロックレバー82及び83により係止する構成が、実施例1、実施例2及び実施例3とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1乃至実施例3と同一の構成について同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
【0111】
図8(a)は、キャリッジ81のロック時に対応する図であり、図8(b)は、キャリッジ81のロック解除時に対応する図である。また、図8(c)は、キャリッジ81の再ロック時に対応する図である。
【0112】
キャリッジ81は、取付部81bを介してベルト84に取り付けられる。
【0113】
ベルト84は、プーリ85に巻き掛けられ、図示せぬモータから供給される動力に基づいて、キャリッジ81と共に、フラットベット14の下方を副走査方向に走行する。即ち、ベルト84は、動力伝達部として、キャリッジ81に動力を伝達して駆動する。
【0114】
プーリ85は、ベルト84から動力を伝達されて回転する。また、プーリ85は、実施例1及び実施例2と同様に、プーリシャフト86の片側端部に取り付けられている。プーリシャフト86の他端部には、アイドルギヤ87が取り付けられ、プーリシャフト86と共に回転を行う。
【0115】
アイドルギヤ87には、キャリッジ81のロック時、図8(a)に示されるように、ロックレバー82のラック形状部82dが歯合している。
【0116】
ロックレバー82は、本実施例では略L字形状からなり、上述したように、アイドルギヤ87側の端部に、ラック形状のラック形状部82dが設けられる。また、ロックレバー82は、図8(a)乃至図8(c)に示されるように、楕円形状の孔からなるガイド82bを有する。このガイド82bには、キャリッジ係止装置80の装置筐体と一体に形成されるストッパ88が係合し、ロックレバー82を、プーリ85との接離方向へ移動可能に支持する。
【0117】
更に、ロックレバー82の角部分には、溝形状の係合部82cが設けられる。この係合部82cには、図8(a)に示されるように、ソレノイド89の可動鉄心89aが係合される。
【0118】
ソレノイド89及びロックレバー82間には、スプリング90が、自然長と比較して縮んだ状態で、片側端部をロックレバー82に、他方の端部をソレノイド89にそれぞれ固定される。可動鉄心89aは、図8(a)に示されるように、スプリング90を貫通して、ロックレバー82の係合部82cに係合する。
【0119】
スプリング90は、付勢部材として、ロックレバー82を、アイドルギヤ87への近接方向、即ち図8(a)に示される矢印L方向に、常時付勢する。ロックレバー82は、図8(a)に示されるキャリッジ81のロック時、このスプリング90からの付勢力に基づいて、ラック形状部82dをアイドルギヤ87に歯合させ、該アイドルギヤ87を回転不可能に保持する。
【0120】
また、ロックレバー82のキャリッジ81側の端部には、図8(a)乃至図8(c)に示されるように、爪形状の突起82aがロックレバー83方向へ突出して設けられる。
【0121】
更に、ロックレバー82の周囲には、図8(a)乃至図8(c)に示されるように、1対のストッパ91a及び91bが、装置筐体と一体に形成されている。これらのストッパ91a及び91bは、ロックレバー82の位置を規制する。
【0122】
ロックレバー83は、本実施例では、図8(a)乃至図8(c)に示されるように、ロックレバー82の突起82aとベルト84との間に位置し、爪形状の突起83aがロックレバー82方向へ突出して形成されている。また、ロックレバー83は、楕円形状の孔からなるガイド83bを有する。このガイド83bには、装置筐体と一体に形成されるストッパ92が係合し、ロックレバー83を、キャリッジ81との接離方向へ移動可能に支持する。
【0123】
ロックレバー83には、また、溝形状の係合部83cが設けられる。この係合部83cには、図8(a)に示されるように、スプリング93が、自然長と比較して縮んだ状態で、片側端部を固定されている。スプリング93の他方の端部は、装置筐体と一体に形成されるストッパ94に固定されている。スプリング93は、付勢部材として、ロックレバー83を、キャリッジ81への近接方向、即ち図8(a)に示される矢印M方向に、常時付勢する。ロックレバー83のキャリッジ側端部83dは、図8(a)に示されるキャリッジ81のロック時、キャリッジ81の側面に当接する。
【0124】
更に、ロックレバー83の周囲には、図8(a)乃至図8(c)に示されるように、ストッパ95及び96が、装置筐体と一体に形成されている。これらのストッパ95及び96は、ロックレバー83の位置を規制する。
【0125】
次に、本実施例のキャリッジ係止装置80と該キャリッジ係止装置80が搭載されるスキャナの動作について、説明する。
【0126】
スキャナの待機状態において、モータ(不図示)からベルト84への動力供給は停止されている。このとき、キャリッジ81は、図8(a)に示されるように、ホームポジションに静止している。
【0127】
キャリッジ81のホームポジションでの静止時、ロックレバー82は、スプリング90により付勢され、ラック形状部82dがアイドルギヤ87に歯合した状態で、アイドルギヤ87、プーリシャフト86及びプーリ85を回転不可能に固定、即ちロックしている(図8(a))。また、ロックレバー83は、突起83aがロックレバー82の突起82aと係合し、スプリング93からの付勢力に抗して、移動不可能に固定、即ちロックされる(図8(a))。
【0128】
即ち、本実施例のキャリッジ係止装置80は、ロックレバー82によりアイドルギヤ87をロックすることにより、ベルト84及びキャリッジ81を移動不可能にロックしている。
【0129】
この待機状態において、フラットベット14に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されると、スキャナは、まずソレノイド89への通電を開始する。この通電に伴い、ソレノイド89の可動鉄心89aにソレノイド89内部への吸引力が作用する。可動鉄心89aは、この吸引力に基づいて、ロックレバー82と共に、矢印L´方向に移動する(図8(b))。ロックレバー82のラック形状部82dは、アイドルギヤ87から離間して、アイドルギヤ87のロックが解除される(図8(b))。
【0130】
また、スキャナは、モータによるベルト84の動力供給を開始する。ベルト84は、モータからの動力に基づいて、走行を開始する。ベルト84の走行に伴い、プーリ85及びプーリシャフト86と、ロックが解除されたアイドルギヤ87と、プーリ85及びプーリシャフト86とが、反時計方向に従動回転する(図8(b))。
【0131】
キャリッジ81は、ベルト84と共に、副走査方向(矢印A)に走行する(図8(b))。キャリッジ81に搭載された読取センサは、ホームポジションから副走査方向に一定速度で走行しながら、フラットベット14上の読取原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0132】
ロックレバー83は、ソレノイド89への通電開始及びキャリッジ81の走行に伴い、突起83aが、突起82aから係脱する。即ち、ロックレバー82によるロックレバー83のロックが解除される。そして、ロックレバー83は、スプリング93からの付勢力に基づいて、矢印M方向に移動して、ストッパ92がガイド83bの係合部83c側の内壁に当接すると、該ストッパ92により保持されて停止する。このとき、ロックレバー83の突起83aの先端部は、ロックレバー82の突起82aの先端部に当接している(図8(b))。
【0133】
続いて、スキャナは、ソレノイド89への通電を停止する。このとき、ソレノイド89の可動鉄心89aに作用していた吸引力は取り除かれるが、ロックレバー82は、突起82aがロックレバー83の突起83aと当接した状態で、位置を固定されている。
【0134】
読取原稿の画像の読み取りが完了し、モータによるベルト84への動力供給が停止されると、ベルト84及びキャリッジ81の走行と、プーリ85、プーリシャフト86及びアイドルギヤ87の回転とが停止する。その後、スキャナは、ベルト84を逆向きに走行させるべく、モータによるベルト84への動力供給を行う。これにより、ベルト84は、キャリッジ81と共に、矢印A´方向に走行する(図8(c))。また、プーリ85、プーリシャフト86及びアイドルギヤ87が、ベルト84の走行に伴い、時計方向に従動回転する(図8(c))。
【0135】
キャリッジ81がホームポジションに近づくと、図8(c)に示されるように、キャリッジ81がロックレバー83のキャリッジ側端部83dに衝突する。ロックレバー83は、走行するキャリッジ81に押圧され、スプリング93からの付勢力に抗して、矢印M´方向に移動する(図8(c))。
【0136】
ロックレバー83の移動に伴い、ロックレバー83の突起83aと、ロックレバー82の突起82aとの当接状態が解除されると、ロックレバー82は、スプリング90からの付勢力に基づき、矢印Lで示されるように、アイドルギヤ87方向へ移動する。また、ロックレバー83は、キャリッジ81に押圧されて、ストッパ92がガイド83bのキャリッジ81側の内壁に当接するまで、スプリング93からの付勢力に抗して移動を継続する。
【0137】
そして、ロックレバー82のラック形状部82dが、アイドルギヤ87に歯合すると、アイドルギヤ87は、回転不可能に再ロックされる(図8(a))。これにより、プーリシャフト86及びプーリ85の回転が停止し、ベルト84の走行も停止する。また、ロックレバー83は、ストッパ92により保持され、突起83aがロックレバー82の突起82aと係合した状態で、ロックレバー82により再ロックされる(図8(a))。スキャナは、モータによるベルト84への動力供給を停止し、キャリッジ81は、ホームポジションで静止する(図8(a))。
【0138】
以上のように、本実施例のキャリッジ係止装置は、ロックレバーに設けられたラック形状部を、アイドルギヤに噛み合わせることにより、プーリ及びベルトをロック可能となるので、キャリッジを直接ロックせずとも、移動不可能に保持できる。また、ロックレバーの駆動にソレノイドを使用するので、キャリッジの走行とモータ動作とのタイムラグをなくすことが可能となる。
【0139】
なお、本実施例のキャリッジ係止装置において、キャリッジに被係止部としての溝部を設け、該溝部にロックレバーの突起を係合させて、キャリッジを直接ロックすることも可能である。以下に、その一例を示す。
【0140】
図9は、本発明に係るキャリッジ係止装置の変形例を示す構成図である。
図9(a)は、キャリッジ101のロック時に対応する図であり、図9(b)は、キャリッジ101のロック解除時に対応する図である。また、図9(c)は、キャリッジ101の再ロック時に対応する図である。
【0141】
キャリッジ係止装置100において、キャリッジ101は、溝部101aを有し、取付部101bを介してベルト84に取り付けられる。
【0142】
ロックレバー102は、アイドルギヤ87側の端部に、ラック形状部102dが設けられ、アイドルギヤ87に歯合して該アイドルギヤ87をロック可能なラック形状部102dが設けられる。また、ロックレバー102は、ストッパ88が係合するガイド部102bを有する。
【0143】
更に、ロックレバー102には、溝形状の係合部102cが設けられ、ソレノイド89の可動鉄心89aが係合される。
【0144】
ソレノイド89及びロックレバー102間には、ロックレバー102をアイドルギヤ87への近接方向に常時付勢するスプリング90が配設される。
【0145】
ロックレバー102には、また、ロックレバー83の突起83aと係合して、該ロックレバー83をロックする爪形状の突起102aが、ロックレバー83方向へ突出して設けられる。
【0146】
更に、ロックレバー102のキャリッジ101側の端部には、爪形状の突起102eが設けられる。この突起102eは、キャリッジ101のホームポジションでの静止時に、キャリッジ101の溝部101aに係合して、該キャリッジ101を移動不可能にロックする。
【0147】
次に、変形例のキャリッジ係止装置100及び該キャリッジ係止装置100が搭載されるスキャナの動作について、実施例4と異なる部分についてのみ、説明を行う。
【0148】
スキャナの待機状態において、キャリッジ101は、図9(a)に示されるように、ホームポジションに静止している。このとき、ロックレバー102は、ラック形状部102dがアイドルギヤ87に歯合した状態で、アイドルギヤ87、プーリシャフト86及びプーリ85をロックしている(図9(a))。また、ロックレバー83は、突起83aがロックレバー102の突起102aと係合して、ロックされる(図9(a))。
【0149】
この待機状態において、フラットベット14に載置された読取原稿の画像読取処理が開始されると、スキャナは、まずソレノイド89への通電を開始する。この通電に伴い、ソレノイド89の可動鉄心89aが、ロックレバー102と共に、アイドルギヤ87からの離間方向へ移動する(図9(b))。これにより、ロックレバー102のラック形状部102dがアイドルギヤ87から離間して、アイドルギヤ87のロックが解除される(図9(b))。
【0150】
また、スキャナは、モータによるベルト84の動力供給を開始する。ベルト84は走行を開始し、プーリ85、プーリシャフト86及びアイドルギヤ87が、反時計方向に従動回転する(図9(b))。
【0151】
ロックレバー102の突起102eは、ソレノイド89への通電に伴い、キャリッジ101の溝部101aから係脱する。これにより、キャリッジ101のロックが解除される。そして、ベルト84の走行に伴い、キャリッジ101は副走査方向(矢印A)に走行し、ロックレバー102の突起102eから離間する(図9(b))。
【0152】
また、ロックレバー83の突起83aがロックレバー102の突起102aから係脱した後、ソレノイド89への通電が停止され、各ロックレバー83及び102は、突起83a及び突起102aの各先端部が当接した状態で、位置を固定される(図9(b))。
【0153】
読取原稿の画像の読み取りが完了し、ベルト84がキャリッジ101と共に、矢印A´方向に走行を開始すると、プーリ85、プーリシャフト86及びアイドルギヤ87が、時計方向に従動回転する(図9(c))。
【0154】
そして、キャリッジ101がホームポジションに近づくと、図9(c)に示されるように、キャリッジ101がロックレバー83のキャリッジ側端部83dに衝突し、ロックレバー83は、スプリング93からの付勢力に抗して、キャリッジ101と共に移動する。
【0155】
ロックレバー83の移動に伴い、ロックレバー83の突起83aとロックレバー102の突起102aとの当接状態は解除される。そして、ロックレバー102は、スプリング90から付勢力に基づき、アイドルギヤ87方向へ移動して、突起102eが、キャリッジ101の溝部101aに係合すると共に、ラック形状部102dが、アイドルギヤ87に歯合して、アイドルギヤ87を再ロックする(図9(a))。更に、突起102aが、ロックレバー83の突起83aと係合して、ロックレバー83を再ロックする(図9(a))。スキャナは、モータによるベルト84への動力供給を停止し、キャリッジ101は、ホームポジションでロックレバー102に再ロックされる(図9(a))。
【0156】
以上のように、実施例4のキャリッジ係止装置において、キャリッジ及びロックレバーの形状を一部変更することにより、ロックレバーによりキャリッジを直接ロック可能となるので、更に確実に読取センサの破損や精度低下の発生を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
上記した各実施例では、本発明に係る画像読取装置を、スキャナに適用した場合を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリンタやファクシミリ装置、プリンタ機部及びスキャナ部を備える複合機等に適用することも可能である。また、本発明に係るキャリッジ係止装置を、インクジェットプリンタやドットインパクトプリンタに搭載されるキャリッジ部分に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の実施例1に係るキャリッジ係止装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係るキャリッジ係止装置の部分構成図である。
【図3】本発明に係るスキャナの概略構成図である。
【図4】本発明の実施例2に係るキャリッジ係止装置の構成図である。
【図5】本発明の実施例2に係るキャリッジ係止装置の部分構成図である。
【図6】本発明の実施例3に係るキャリッジ係止装置の構成図(その1)である。
【図7】本発明の実施例3に係るキャリッジ係止装置の構成図(その2)である。
【図8】本発明の実施例4に係るキャリッジ係止装置の構成図である。
【図9】本発明に係るキャリッジ係止装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0159】
10 スキャナ
11 フラットベットユニット
12 スキャナカバー
13 ADFユニット
14 フラットベット
15 キャリッジ
19 読取センサ
28 プーリ
29 プーリシャフト
30 アイドルギヤ
31 ベルト
32 ロックレバー
33、34、36、40 ストッパ
35 スプリング
37 カム
38 カムシャフト
39 カム駆動ギヤ
41 キャリッジ係止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に移動可能に配設されるキャリッジと、
該キャリッジを係止する係止部材と、
前記キャリッジを駆動すべく、該キャリッジに駆動源からの動力を伝達する動力伝達部と、
前記係止部材による前記キャリッジの係止を解除するための解除部材と、
を備え、
前記動力伝達部は、更に前記解除部材に前記動力を伝達し、
前記解除部材は、伝達された前記動力に基づいて、前記係止を解除する
ことを特徴とするキャリッジ係止装置。
【請求項2】
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記係止部材を前記被係止部から係脱させて、前記係止を解除する
ことを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項3】
前記被係止部は、前記キャリッジに形成された溝部からなることを特徴とする請求項2記載のキャリッジ係止装置。
【請求項4】
前記係止部材は、爪形状の突起からなる係止部を有し、該係止部を前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止することを特徴とする請求項2記載のキャリッジ係止装置。
【請求項5】
前記係止部材を回動可能に支持する支持部を更に備え、
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記動力伝達部からの前記動力を、前記係止部材への押圧力に変換して、該押圧力を前記係止部材に付与し、
前記押圧力を付与されると、前記係止部材は、該押圧力に基づき回動し、前記被係止部から係脱する
ことを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項6】
前記係止部材を前記キャリッジとの接離方向へ移動可能に支持する支持部を更に備え、
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記動力伝達部からの前記動力を、前記係止部材の前記キャリッジとの離間方向への動力に変換して、該動力を前記係止部材に付与し、
前記動力を付与されると、前記係止部材は、該動力に基づき前記キャリッジとの離間方向へ移動して、前記被係止部から係脱する
ことを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項7】
前記動力伝達部は、前記解除部材との当接部を有し、該当接部を介して、前記解除部材への前記動力の伝達を行うことを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項8】
前記当接部は、ラック形状を有することを特徴とする請求項7記載のキャリッジ係止装置。
【請求項9】
前記解除部材は、前記係止部材により前記動力伝達部から前記キャリッジへの前記動力の伝達を解除させて、解除動作を実行することを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項10】
前記動力伝達部は、ギヤ部を有し、前記係止部材は、ラック形状部を有し、前記解除部材は、前記ラック形状部を前記ギヤ部に歯合させて、前記解除動作を実行することを特徴とする請求項9記載のキャリッジ係止装置。
【請求項11】
前記動力伝達部により前記解除部材に伝達される前記動力が所定閾値を超えると、該動力の伝達を遮断する動力遮断部を更に備えることを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項12】
前記動力伝達部は、回転力を前記解除部材に伝達し、前記動力遮断部は、前記回転力が所定閾値を超えると、該回転力の伝達を遮断するトルクリミッタ機構部からなることを特徴とする請求項11記載のキャリッジ係止装置。
【請求項13】
前記係止部材を前記キャリッジ方向へ付勢する付勢部材を更に備え、
前記動力伝達部による前記動力の伝達が停止されると、前記係止部材は、前記付勢部材からの前記付勢に基づいて、前記キャリッジを係止する
ことを特徴とする請求項1記載のキャリッジ係止装置。
【請求項14】
前記付勢部材は、弾性力に基づき前記係止部材を付勢するスプリングからなることを特徴とする請求項13記載のキャリッジ係止装置。
【請求項15】
所定の方向に移動可能に配設され、原稿の画像を読み取るための画像読取部が搭載されるキャリッジと、
該キャリッジを係止する係止部材と、
前記キャリッジを駆動すべく、該キャリッジに駆動源からの動力を伝達する動力伝達部と、
前記係止部材による前記キャリッジの係止を解除するための解除部材と、
を備え、
前記動力伝達部は、更に前記解除部材に前記動力を伝達し、
前記解除部材は、伝達された前記動力に基づいて、前記係止を解除する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項16】
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記係止部材を前記被係止部から係脱させて、前記係止を解除する
ことを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記被係止部は、前記キャリッジに形成された溝部からなることを特徴とする請求項16記載の画像読取装置。
【請求項18】
前記係止部材は、爪形状の突起からなる係止部を有し、該係止部を前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止することを特徴とする請求項16記載の画像読取装置。
【請求項19】
前記係止部材を前記キャリッジとの接離方向へ移動可能に支持する支持部を更に備え、
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記動力伝達部からの前記動力を、前記係止部材の前記キャリッジとの離間方向への動力に変換して、該動力を前記係止部材に付与し、
前記動力を付与されると、前記係止部材は、該動力に基づき前記キャリッジとの離間方向へ移動して、前記被係止部から係脱する
ことを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項20】
前記係止部材を回動可能に支持する支持部を更に備え、
前記キャリッジは、被係止部を有し、
前記係止部材は、前記被係止部に係合して、前記キャリッジを係止し、
前記解除部材は、前記動力伝達部からの前記動力を、前記係止部材への押圧力に変換して、該押圧力を前記係止部材に付与し、
前記押圧力を付与されると、前記係止部材は、該押圧力に基づき回動し、前記被係止部から係脱する
ことを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項21】
前記動力伝達部は、前記解除部材との当接部を有し、該当接部を介して、前記解除部材への前記動力の伝達を行うことを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項22】
前記当接部は、ラック形状を有することを特徴とする請求項21記載の画像読取装置。
【請求項23】
前記解除部材は、前記係止部材により前記動力伝達部から前記キャリッジへの前記動力の伝達を解除させて、解除動作を実行することを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項24】
前記動力伝達部は、ギヤ部を有し、前記係止部材は、ラック形状部を有し、前記解除部材は、前記ラック形状部を前記ギヤ部に歯合させて、前記解除動作を実行することを特徴とする請求項23記載の画像読取装置。
【請求項25】
前記動力伝達部により前記解除部材に伝達される前記動力が所定閾値を超えると、該動力の伝達を遮断する動力遮断部を更に備えることを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項26】
前記動力伝達部は、回転力を前記解除部材に伝達し、前記動力遮断部は、前記回転力が所定閾値を超えると、該回転力の伝達を遮断するトルクリミッタ機構部からなることを特徴とする請求項25記載の画像読取装置。
【請求項27】
前記係止部材を前記キャリッジ方向へ付勢する付勢部材を更に備え、
前記動力伝達部による前記動力の伝達が停止されると、前記係止部材は、前記付勢部材からの前記付勢に基づいて、前記キャリッジを係止する
ことを特徴とする請求項15記載の画像読取装置。
【請求項28】
前記付勢部材は、弾性力に基づき前記係止部材を付勢するスプリングからなることを特徴とする請求項27記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54616(P2010−54616A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217092(P2008−217092)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】