説明

クランプ装置

【課題】検出機構を位置を移動させることなく、クランプアームの作動角度を簡便且つ効率的に所望量に調整する。
【解決手段】クランプ装置10におけるクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構24は、ボディ16の側面に装着されたスイッチホルダ114の内部に傾動自在に設けられた傾動プレート116と、ピストンロッド54と共に変位し、該傾動プレート116に対して略直交方向に変位するスライドロッド126とを有し、前記ピストン52の変位作用下に前記スライドロッド126が傾動プレート116を押圧して傾動させることにより、第2検出スイッチ120によって検知され、クランプ装置10がアンクランプ状態にあることが確認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンの変位作用下に所定角度回動するクランプアームを介してワークをクランプすることが可能なクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車等の構成部品を溶接する際、その構成部品をクランプするためにクランプ装置が用いられる。このクランプ装置は、本体部と、該本体部に連結されたシリンダ部と、該シリンダ部の駆動作用下に本体部内に設けられたトグルリンク機構を介して所定角度回動するクランプアームとを有する。そして、シリンダ部に供給される圧力流体によってシリンダ部のピストン及びピストンロッドを軸線方向へと変位させることにより、前記ピストンロッドに接続されたトグルリンク機構を介してクランプアームがピストンの変位量に基づいた作動角度で回動し、ワークをクランプ可能なクランプ状態と、前記クランプ状態が解除されたアンクランプ状態とを切換えている。
【0003】
一方、上述したクランプ装置では、クランプアームの作動角度を、例えば、使用状況等に応じて任意に調整したいという要望があり、前記クランプアームの作動角度を調整可能な角度調整機構を有するクランプ装置が知られている。
【0004】
このようなクランプ装置の角度調整機構としては、例えば、特許文献1に開示されているように、ピストンが連結されるピストンロッドに別のサブロッドを螺合させ、前記サブロッドに対してトグルリンク機構を接続している。そして、サブロッドをピストンロッドに対して螺回させることによってピストンロッド及びサブロッドの長さを自在に調整し、前記ピストンロッドの変位に基づいて回動するクランプアームの作動角度を調整している。
【0005】
また、特許文献2に開示されたクランプ装置の角度調整機構では、上述した特許文献1におけるサブロッドの外周面に等間隔離間した複数の溝部を形成し、前記サブロッドをピストンロッドに沿って変位させてピストンロッド及びサブロッドの長さを調整した後に、前記ピストンロッドに係合された係止リングを前記溝部に係合させてピストンロッドとサブロッドとの変位を規制し、該ピストンロッド及びサブロッドを一体的に固定している。
【0006】
さらに、特許文献3に開示されたクランプ装置の角度調整機構では、ピストンに連結されるピストンロッドの外周面にねじが刻設され、該ピストンロッドのねじが、トグルリンク機構に接続された筒体の内部に螺合される構成とし、ボディの外部に露呈したロッドねじ部を螺回させることにより該ピストンロッド及び筒体の全体的な長さを調整可能としている。
【0007】
さらにまた、特許文献4のクランプ装置の角度調整機構では、シリンダ部の内部にヘッドカバーが変位自在に設けられ、前記ヘッドカバーを介してアンクランプ時にピストンの変位を規制可能な構成としている。そして、ヘッドカバーをシリンダ部に沿って自在に変位させて調整ボルトでその位置を固定することによりピストンの変位量を規制し、該ピストンの変位作用下に回動するクランプアームの作動角度を調整している。
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願第9712535号明細書
【特許文献2】米国特許第6557841号明細書
【特許文献3】米国特許第6612557号明細書
【特許文献4】独国特許発明第19824579号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した特許文献1及び2に開示されたクランプ装置の角度調整機構では、クランプアームの作動角度を調整する際に、シリンダ部内に設けられたサブロッド又は筒体とピストンロッドとを螺回又は係止リングで係止させる必要がある。そのため、クランクアームの角度調整を行う場合には、クランプ装置を一旦分解して調整作業を行う必要があり、角度調整作業が非常に煩雑となる。また、クランプアームの作動角度を確認しながら調整作業を行うことができないという問題もある。さらに、特許文献2に係るクランプ装置では、サブロッドは、溝部のある位置のみでしかピストンロッドに対して係止させることができないため、前記ピストンロッド及びサブロッドを任意の長さに設定することができず、その結果、クランプアームの作動角度の調整範囲が限定されてしまうこととなる。
【0010】
また、特許文献3に開示されたクランプ装置の角度調整機構では、クランクアームの角度を外部から調整可能な構成としているが、前記ロッドねじ部の回転を規制する手段を何ら備えていないため、前記ロッドねじ部で調整を行なった後に、該ロッドねじ部が誤って回転して調整された設定角度が変わってしまうことが懸念される。
【0011】
一方、特許文献4に開示されたクランプ装置では、クランプアームの作動角度を検出するスイッチがヘッドカバーに装着されているため、前記ヘッドカバーを変位させた際に、前記スイッチが一体的に変位することとなり、それに伴って、該スイッチに接続されるリード線が移動することとなる。そのため、リード線の長さを予め長めに設定しておく必要があり煩雑である。
【0012】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、検出機構を位置を移動させることなく、前記クランプアームの作動角度を簡便且つ効率的に所望量に調整することが可能なクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、シリンダ部における直線運動をトグル機構によって回動運動に変換してクランプアームによりワークをクランプするクランプ装置において、
本体部と、
前記本体部に連結され、圧力流体による押圧作用下に軸線方向に沿って変位するピストンを有するシリンダ部と、
前記シリンダ部に変位自在に設けられ、前記ピストンの変位を規制して該ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構と、
前記ピストンのストローク変位量に基づいて前記ワークのクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構と、
を備え、
前記調整機構の少なくとも一部が、前記シリンダ部の外部に露呈し、該調整機構によって調整された前記ピストンのストローク変位量に基づいて前記クランプアームの作動角度が調整されることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構をシリンダ部に対して変位自在に設け、該調整機構の一部を外部に露呈させている。そして、調整機構を変位させてピストンの変位量を調整することにより、該ピストンの変位に伴って回動変位するクランプアームの作動角度を調整することができると共に、クランプアームによるワークのクランプ・アンクランプ状態が検出機構によって検出される。
【0015】
従って、調整機構を、少なくともその一部が外部に露呈するようにシリンダ部に設けているため、クランプ装置の外部から前記調整機構でピストンの変位量を自在に調整することができる。その結果、クランプアームの作動角度を調整する際に、従来の角度調整機構を有するクランプ装置のように、その都度、該クランプ装置を分解するという煩雑な作業が不要となり、前記作動角度の調整作業を簡便且つ効率的に行うことができる。また、クランプアームの作動角度を確認しながら調整作業を行うことが可能である。
【0016】
さらに、ピストンのストローク変位量は、調整機構によって自在に調整することが可能であるため、前記ピストンの変位に基づいて回動するクランプアームの作動角度が所望量に調整可能となる。
【0017】
さらに、ピストンの変位量が調整機構によって自在に調整された場合でも、検出機構によって確実に検出することが可能であり、前記ピストンのストローク変位量が変更させた場合でも、前記ワークのクランプ・アンクランプ状態を確実に確認することができる。
【0018】
さらに、調整機構は、ピストンと対向し、且つ、該ピストンに対して接近・離間する方向に変位自在な調整ボルトからなり、前記ピストンを前記調整ボルトに当接させることにより変位を規制させるとよい。これにより、調整ボルトをピストンに対して接近・離間する方向へと変位させることにより、該調整ボルトに当接して変位が規制される前記ピストンの変位量を自在に調整することができる。そのため、ピストンのストローク変位に伴って回動動作するクランプアームの作動角度を自在に調整することが可能となる。
【0019】
さらにまた、調整ボルトに、該調整ボルトの軸線方向への変位を規制するロックナットを螺合させることにより、前記調整ボルトによってピストンの変位量の調整が完了した後に、前記ロックナットによって前記調整ボルトのさらなる変位を防止することができる。その結果、調整ボルトが誤って変位してしまうことがなく、該調整ボルトを介して調整されたクランプアームの作動角度が確実且つ好適に維持される。
【0020】
またさらに、検出機構には、ピストンに連結されたピストンロッドの内部に変位自在に設けられ、前記ピストンロッドと共に変位し、且つ、弾発部材による弾発作用下に前記調整機構側に向かって付勢される第1ロッドと、
前記第1ロッドと略直交し、前記ピストンロッドに内部に変位自在に挿通されると共に、前記第1ロッドに対して係合される第2ロッドと、
前記第1ロッドと略平行に設けられ、前記第2ロッドの変位作用下に押圧されることにより固定された一端部を支点として傾動変位する検出プレートと、
前記検出プレートに隣接し、該検出プレートの傾動変位を検出するセンサと、
を備えるとよい。
【0021】
これにより、ピストンが調整機構側に向かって変位した際に、第1ロッドが弾発部材の弾発力に抗して第2ロッド側に向かって変位し、前記第2ロッドが前記第1ロッドとの係合作用下に検出プレート側へと変位する。そして、検出プレートが一端部を支点として傾動変位することにより、前記傾動変位がセンサによって検出されるため、前記ピストンの変位に基づいて回動変位するクランプアームのアンクランプ状態を前記センサによって確認することが可能となる。
【0022】
また、第1ロッドは、第2ロッドに臨んで所定角度で傾斜した第1傾斜部を備え、前記第2ロッドには、前記第1ロッドに臨んで所定角度で傾斜し、且つ、前記第1傾斜部に当接する第2傾斜部を備え、前記第1及び第2傾斜部を介して前記第1ロッドの変位方向を略直交させて前記第2ロッドへと伝達させるとよい。これにより、第1ロッドが第2ロッド側に向かって変位した際に、前記第1ロッドの第1傾斜部を介して第2傾斜部が押圧され、該第1ロッドの変位方向が略直交方向へと変換されて第2ロッドが変位することとなる。そのため、第1ロッドの変位作用下に該第1ロッドと略平行に設けられた検出プレートを第2ロッドによって好適に押圧して傾動変位させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0024】
すなわち、ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構を、少なくともその一部が外部に露呈するようにシリンダ部に設けているため、クランプ装置の外部から前記ピストンの変位量を自在に調整することができ、該ピストンの変位に伴って回動するクランクアームの作動角度の調整を簡便且つ効率的に行うことができる。また、ピストンのストローク変位量を自在に調整することができるため、クランプアームを所望の作動角度に調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係るクランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0026】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るクランプ装置を示す。
【0027】
このクランプ装置10は、図1〜図3に示されるように、第1及び第2ケーシング12、14から扁平状に形成されるボディ(本体部)16と、該ボディ16の下端部に連結されるシリンダ部18と、前記ボディ16から外部へと突出した矩形状の軸受部20に連結されるアーム(クランプアーム)22と、前記ボディ16の側部に設けられ、前記アーム22によるワーク(図示せず)のクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構24とを備える。
【0028】
ボディ16の側面には、図示しない取付用ねじを螺入してクランプ装置10を他の部材に取り付ける複数の取付孔26と、図示しない位置決めピンが挿入されて前記クランプ装置10を取り付ける際に位置決めがなされる複数の位置決め孔28が形成されている。
【0029】
シリンダ部18は、中空状に形成され、その内部にシリンダ室30(図3参照)を有するシリンダチューブ32と、該シリンダチューブ32の一端部に連結されて前記シリンダ室30を閉塞するエンドブロック34とを含む。なお、シリンダチューブ32及びエンドブロック34の四隅角部には軸線方向に沿った貫通孔(図示せず)が形成され、前記貫通孔にそれぞれ連結ボルト35(図1及び図2参照)が挿通されて締め付けられることによって前記エンドブロック34及びシリンダチューブ32がボディ16に対して一体的に連結される。
【0030】
エンドブロック34の側面には、圧力流体(例えば、圧縮空気)が導入・導出される一組の第1流体出入ポート36a、36bが形成され、前記第1流体出入ポート36a、36bは、連通路38を通じてそれぞれ前記シリンダ室30と連通している(図3参照)。この第1流体出入ポート36a、36bは、エンドブロック34の軸線に対して略対称となるように該エンドブロック34の側面に対向して配置される。なお、一組の第1流体出入ポート36a、36bは、そのいずれか一方のみが選択的に使用され、例えば、使用されない他方の第1流体出入ポート36bはプラグ40によって閉塞される(図3参照)。
【0031】
また、エンドブロック34の略中央部には、軸線方向に沿って貫通したねじ孔42を介してアーム22の回動角度(作動角度)を調整可能な調整ボルト(調整機構)44が螺入され、前記調整ボルト44の外周にはロックナット46が螺合されている。この調整ボルト44は、その螺回作用下にシリンダチューブ32の軸線方向(矢印A1、A2方向)に沿って変位すると共に、ロックナット46を螺回してエンドブロック34の端面に当接させることにより前記調整ボルト44の変位が規制される。
【0032】
また、シリンダ室30に臨む調整ボルト44の一端部には、例えば、ウレタンゴム等のゴム製材料によって形成された円筒状のダンパ部材48が装着され、前記ダンパ部材48の略中央部にはストッパピン50が嵌入されている。なお、ストッパピン50の端面は、ダンパ部材48の端面に対して若干だけ窪むように設けられている。
【0033】
シリンダチューブ32の内部には、シリンダ室30に沿って変位自在なピストン52が設けられ、該ピストン52の中央部にピストンロッド54の一端部が連結されて一体的に変位する。ピストン52の外周面には、環状溝を介して一組のピストンパッキン56とシールリング58がそれぞれ装着されている。この場合、ピストン52がボディ16から離間する方向(矢印A1方向)に変位して調整ボルト44に設けられたダンパ部材48に当接することにより、該ピストン52の変位が変位終端位置(下限位置)で規制されると共に、前記ピストン52が当接した際に生じる衝撃が前記ダンパ部材48によって緩衝される。
【0034】
この際、調整ボルト44を螺回させてエンドブロック34に対して軸線方向(矢印A1、A2方向)へと変位させることにより、ダンパ部材48を介して前記調整ボルト44に当接するピストン52の軸線方向への変位量(ストローク量)を任意に調整することができる。すなわち、調整ボルト44は、ピストン52の変位量を調整可能な変位調整機構として機能する。
【0035】
ボディ16を構成する第1ケーシング12と第2ケーシング14は非対称形状からなり、前記第1ケーシング12と第2ケーシング14とが一体的に組み付けられる。
【0036】
第1ケーシング12の下端部には、略水平方向に向かって突出し、且つ、ロッドカバーとして機能する突出部60が一体的に形成される(図1参照)。なお、第2ケーシング14の長手寸法は、第1ケーシング12と比較して前記突出部60の厚さ寸法の分だけ短く形成されている。
【0037】
また、この突出部60を含む第1ケーシング12の下端部には、圧力流体(例えば、圧縮空気)が導入・導出される一組の第2流体出入ポート62a、62bが形成される。第2流体出入ポート62a、62bは連通路64を通じて前記シリンダ室30と連通し、第1ケーシング12の軸線に対して略対称となるように対向して配置される。なお、第2流体出入ポート62a、62bは、第1流体出入ポート36a、36bと同様に、そのいずれか一方のみが選択的に使用され、使用されない他方の第2流体出入ポート62bはプラグ40によって閉塞される。
【0038】
第1ケーシング12及び第2ケーシング14の内壁面には、それぞれ軸線方向に沿ってガイド溝66が対向するように形成され、連結ブロック68を介して前記ピストンロッド54の他端部に連結されたナックルジョイント70が前記ガイド溝66に沿って摺動自在に設けられる。すなわち、ナックルジョイント70は、ボディ16の内部をガイド溝66に沿って直線状に案内される。
【0039】
ナックルジョイント70は、所定間隔離間して略平行に分岐した二股部を有するナックルブロック72と、前記二股部に形成された孔部に挿通されるナックルピン74とから構成され、ピストンロッド54の直線運動をアーム22の回動運動へと変換するトグルリンク機構76が設けられる。
【0040】
また、ナックルブロック72の二股部には、上方に向かって突出した一組のリリース用突起部78a、78bが設けられ、該リリース用突起部78a、78bは、アーム22によってワークをクランプした際に、第1及び第2ケーシング12、14の上部に形成された略長方形状の開孔80から所定長だけそれぞれ突出するように設けられる(図1参照)。
【0041】
一方、ナックルブロック72の下端部には、連結ブロック68の端部に設けられた突起部82に係合する断面T字状の係合溝84が形成され、前記突起部82と係合溝84との係合作用下に前記連結ブロック68を介してピストンロッド54とナックルブロック72とが連結される。
【0042】
トグルリンク機構76は、ナックルピン74を介してナックルジョイント70の二股部の間に連結されるリンクプレート86と、第1及び第2ケーシング12、14に形成された開口部88にそれぞれ回動自在に軸支される支持レバー90とを有する。
【0043】
リンクプレート86は、前記ナックルジョイント70と支持レバー90との間に介装され、前記ナックルジョイント70と支持レバー90とをリンクする機能を営む。このリンクプレート86には、所定間隔離間した一組の孔部が形成され、一方の孔部に軸支されるナックルピン74及びナックルジョイント70を介してピストンロッド54の他端部に連結され、他方の孔部に軸支されるリンクピン91を介して支持レバー90に連結される。
【0044】
支持レバー90は、リンクピン91が軸支される二股状の支持部92と、ピストンロッド54の軸線と略直交する方向に突出し、開口部88を介してボディ16の外部に露呈する一組の軸受部20と、前記支持部92と軸受部20との間にそれぞれ設けられ、前記ボディ16の開口部88にそれぞれ嵌合する一組の円周部94と、該円周部94の側面に対して僅かだけ軸受部20側に突出した一組の円弧状突起部96とを有する。なお、軸受部20には、図示しないワークをクランプするアーム22が着脱自在に装着される(図1中、二点鎖線形状参照)。
【0045】
この支持レバー90は、アーム22と一体的に回動自在に設けられると共に、該支持レバー90に形成された円弧状突起部96は、ボディ16に固定された一組のプレート(図示せず)に当接することにより該アーム22の回動を停止させるストッパとして機能する。
【0046】
すなわち、ピストンロッド54の直線運動は、ナックルジョイント70及びリンクプレート86を介して支持レバー90へと伝達され、該支持レバー90がボディ16の開口部88に支持された円周部94を中心として所定角度だけ回動変位する(図3中、矢印C1、C2方向)。これにより、支持レバー90に装着されたアーム22が回動することとなる。
【0047】
一方、第1ケーシング12及び第2ケーシング14の側面には、支持レバー90の軸受部20が挿通される開口部88に臨むようにカバー部材98が装着され、前記カバー部材98には前記軸受部20が挿通される挿通孔100が開口している。この挿通孔100には、例えば、ゴム等の弾性体がライニングされたシール部材102が装着され、支持レバー90の円周部94を前記シール部材102によってシールすることにより、カバー部材98の内部にスパッタや水等が進入することが阻止される。
【0048】
さらに、第1及び第2ケーシング12、14の内部には、トグルリンク機構76の近傍となる上部側の凹部にガイドローラ104が回転自在に設けられる。このガイドローラ104は、ピン部材106を介して回転自在に軸支され、該ガイドローラ104の内部には、その周方向に沿って複数のニードルベアリング108が装着されている。すなわち、ニードルベアリング108の転動作用下にガイドローラ104が円滑に回動するように設けられる。そして、トグルリンク機構76を構成するリンクプレート86の回動作用下にその湾曲面が接触することによってガイドローラ104が回転変位する。
【0049】
さらに、ボディ16の頂部には、リリース用突起部78a、78bをカバーするトップカバー110が回動自在に設けられ、該トップカバー110は、例えば、ステンレス等の金属製材料から形成される。そして、リリース用突起部78a、78bを操作する際には、トップカバー110をボディ16に対して回動変位させて該リリース用突起部78a、78bを外部に露呈させると共に、該リリース用突起部78a、78bの操作を行わない場合には、開孔80から突出するリリース用突起部78a、78bを含む頂部が前記トップカバー110によって全体的に包被される。
【0050】
検出機構24は、図3〜図5に示されるように、ねじ部材112を介してボディ16の外壁面に装着されるスイッチホルダ114と、該スイッチホルダ114の内部に設けられ、所定角度だけ傾動自在に設けられる傾動プレート(検出プレート)116と、該傾動プレート116の傾動変位に基づいてアーム22の回動量を検知する一組の第1及び第2検出スイッチ(センサ)118、120と、前記第1及び第2検出スイッチ118、120からの検出信号を外部に出力するコネクタ部122と、ピストンロッド54の内部に変位自在に挿通されるプッシュロッド(第1ロッド)124と、前記プッシュロッド124の変位作用下に略水平方向に変位し、前記傾動プレート116を押圧するスライドロッド(第2ロッド)126とを含む。
【0051】
傾動プレート116は、ピストンロッド54と略平行に配設された略一定厚さの板ばねからなり、その一端部116aが上方となるように配設され、該一端部116aから鉛直下方向(矢印A1方向)に向かって延在し、スイッチホルダ114に支持された一端部116a側を支点として他端部116b側がボディ16から離間する方向(矢印B1方向)に所定角度だけ傾動自在に設けられる。
【0052】
この傾動プレート116の一端部116aは、ボディ16から離間する方向(矢印B1方向)に向かってL字状に折曲され、ボルトによってスイッチホルダ114に連結される。一方、傾動プレート116の他端部116bは、該一端部116aと反対方向となるように前記ボディ16側(矢印B2方向)に向かって折曲されている。
【0053】
また、傾動プレート116は、その他端部116b側がボディ16から離間する方向(矢印B1方向)へと傾動した際、該一端部116aを支点として他端部116bが鉛直下方向(矢印A1方向)へと向かい、ピストンロッド54と略平行に復帰するように付勢する弾発力を有し、この弾発力によって前記傾動プレート116は鉛直方向に沿って保持される。
【0054】
傾動プレート116の他端部116bには、隣接配置された第2検出スイッチ120側に臨んで検出端128が形成される。この検出端128は、第2検出スイッチ120の側面と略平行となるように前記他端部116bに対して略直角に折曲されて形成される。また、検出端128は、傾動プレート116が傾動していない状態で第2検出スイッチ120の側面と対向せずにボディ16側(矢印B2方向)へと離間して配置される(図4参照)。すなわち、傾動プレート116が傾動していない場合には、検出端128が第2検出スイッチ120によって検出されることがない。
【0055】
また、傾動プレート116の長さは、ピストンの軸線方向に沿った最大変位量(最大ストローク距離)より長く形成される。これにより、ピストン52と共に変位するスライドロッド126を、常に前記傾動プレート116と対向させることができる。
【0056】
第1及び第2検出スイッチ118、120は、例えば、金属検出体の接近作用下に生じるインピーダンス変化を利用して該金属検出体の位置を検知可能な近接スイッチからなり、スイッチホルダ114の内部に鉛直方向に沿って所定間隔離間して配置される。
【0057】
詳細には、第1及び第2検出スイッチ118、120は、図5に示されるように、傾動プレート116の側部に所定間隔離間して略平行に設けられ、前記第1検出スイッチ118が、前記傾動プレート116における一端部116aの近傍となる位置に配置され、前記第2検出スイッチ120が、前記傾動プレート116における他端部116bの近傍となる位置に配置されている。
【0058】
すなわち、検出機構24を構成するスライドロッド126が変位し、その端部が第1検出スイッチ118へと接近することにより、該第1検出スイッチ118によって前記スライドロッド126が検出されると共に、前記スライドロッド126の変位によって傾動プレート116が押圧されて傾動し、その検出端128が第2検出スイッチ120に近接することにより該第2検出スイッチ120によって前記傾動プレート116が検出されることとなる。
【0059】
また、第1及び第2検出スイッチ118、120は、図示しないリード線を介してコネクタ部122にそれぞれ接続され、前記第1及び第2検出スイッチ118、120からの検出信号が、それぞれコネクタ部122を通じて図示しない外部機器(例えば、コントローラ等)へと出力される。これにより、この外部機器において前記検出信号に基づいた所望の制御がなされる。
【0060】
プッシュロッド124は、ピストンロッド54及び連結ブロック68の中央部に軸線方向に沿って形成された第1ロッド孔130に挿通され、前記第1ロッド孔130は、エンドブロック34側(矢印A1方向)となる一端部が開口している。この第1ロッド孔130の一端部には、筒状の軸受132が装着され、プッシュロッド124を軸線方向に沿って変位自在に支持すると共に、該軸受132の内周面に装着されたシール部材134を介してシリンダ室30と連通した第1ロッド孔130の気密が保持される。すなわち、シリンダ室30に供給された圧力流体が、第1ロッド孔130へと流通してボディ16の内部へと漏出することがない。
【0061】
このプッシュロッド124は、略同一直径の軸体からなり、調整ボルト44に臨む一端部側に、半径内方向に縮径して突出した凸部136を有し、他端部側にはスライドロッド126と係合される第1傾斜部138を有する。
【0062】
この凸部136は、ピストン52と共にプッシュロッド124が変位し、調整ボルト44のストッパピン50に当接可能に形成されると共に、前記第1傾斜部138は、プッシュロッド124の軸線に対して所定角度(例えば、45°)で傾斜し、且つ、スライドロッド126側(矢印B1方向)に臨むように形成される。
【0063】
また、プッシュロッド124は、第1ロッド孔130に装着されたブッシュ140によって軸線方向に沿って案内され、該プッシュロッド124の外周面に係合されたスプリング座142と連結ブロック68の端面との間にリターンスプリング144が介装されている。このリターンスプリング144の弾発力によって前記プッシュロッド124が調整ボルト44側(矢印A1方向)に向かって常に付勢されると共に、前記スプリング座142が第1ロッド孔130の段部に係合されることにより、プッシュロッド124の調整ボルト44側(矢印A1方向)への変位が規制される。そのため、スプリング座142がストッパとして機能し、プッシュロッド124がピストンロッド54の外部へと脱落することが防止される。
【0064】
さらに、プッシュロッド124は、リターンスプリング144の弾発作用下に凸部136がピストン52及びピストンロッド54の下端面より若干だけ突出するように設けられ(図3及び4参照)、前記ピストン52の変位作用下に前記凸部136がストッパピン50に当接することにより、前記リターンスプリング144の弾発力に抗してボディ16側(矢印A2方向)へと押し上げられる(図6参照)。
【0065】
スライドロッド126は、例えば、断面略非円形状に形成され、その一部が第1ロッド孔130と略直交した連結ブロック68の第2ロッド孔146に変位自在に挿通され、該ピストンロッド54と共に変位する。なお、第2ロッド孔146は、連結ブロック68の軸線と直交した略水平方向に延在し、スライドロッド126の断面形状に対応した形状に形成される。これにより、スライドロッド126は、第2ロッド孔146に対する回転方向への変位が規制され、該スライドロッド126の軸線方向(矢印B1、B2方向)にのみ変位可能となる。
【0066】
この第2ロッド孔146に挿入されるスライドロッド126の一端部には、プッシュロッド124の第1傾斜部138に対して係合される第2傾斜部148を有し、前記第2傾斜部148は、スライドロッド126の軸線に対して所定角度(例えば、45°)で傾斜し、且つ、プッシュロッド124側(矢印B2方向)に臨むように形成される。すなわち、第2傾斜部148は、プッシュロッド124の第1傾斜部138に対して当接するように係合され、例えば、前記プッシュロッド124がボディ16側(矢印A2方向)に向かって変位した場合に、該第1傾斜部138に対して第2傾斜部148がスライド変位し、その係合作用下にスライドロッド126がピストンロッド54から離間する方向(矢印B1方向)へと変位する。すなわち、プッシュロッド124が、ピストンロッド54に対して相対変位する。詳細には、プッシュロッド124は、ピストンロッド54と共に変位し、且つ、凸部136がストッパピン50に当接した場合に、前記ピストンロッド54に対して相対変位する。
【0067】
換言すれば、第1及び第2傾斜部138、148は、プッシュロッド124の鉛直方向(矢印A1、A2方向)への変位と、スライドロッド126の水平方向(矢印B1、B2方向)への変位へと相互に変換可能な変換機構として機能する。
【0068】
スライドロッド126の他端部は、ボディ16の側面に形成された長溝150(図4参照)を介して所定長だけスイッチホルダ114の内部に挿入される。なお、スライドロッド126は、ピストン52の変位作用下に長溝150に沿って変位する。また、スライドロッド126の他端部には、該スライドロッド126の軸線と略直交方向に支持されたピン152を介してローラ154が回転自在に装着され、前記ローラ154は常に傾動プレート116の側面に当接している。すなわち、スライドロッド126の他端部は、ローラ154を介して常に傾動プレート116に当接している。
【0069】
これにより、傾動プレート116との当接作用下に常にスライドロッド126が前記傾動プレート116の弾発力によってピストンロッド54側(矢印B2方向)へと押圧されている。
【0070】
さらに、スライドロッド126の他端部は、ローラ154を介して傾動プレート116に当接しているため、前記スライドロッド126がピストンロッド54の変位作用下に該傾動プレート116に沿って変位する際、前記ローラ154を回転させながら変位することとなる。そのため、スライドロッド126と傾動プレート116との間の接触抵抗が軽減され、前記スライドロッド126を円滑に変位させることができると共に、傾動プレート116を常に好適に押圧することができる。
【0071】
このように、検出機構24を構成するスライドロッド126は、ピストン52がボディ16側(矢印A2方向)に向かって変位した際に、ピストンロッド54及び連結ブロック68と共に上方へと変位し、ローラ154の保持された他端部が、スイッチホルダ114の上部側に配置された第1検出スイッチ118に近接することによって検知される。一方、ピストン52が前記ボディ16から離間する方向(矢印A1方向)へと変位した場合には、プッシュロッド124が調整ボルト44のストッパピン50との当接作用下に前記ボディ16側(矢印A2方向)へと押し上げられ、それに伴って、前記プッシュロッド124と係合されたスライドロッド126が傾動プレート116側(矢印B1方向)に向かって変位することにより、該傾動プレート116を傾動させて検出端128が第2検出スイッチ120に近接して検知される。
【0072】
本発明の実施の形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0073】
先ず、図示しない固定手段を介してクランプ装置10を所定位置に固定すると共に、圧力流体供給源に接続された図示しないチューブ等を第1及び第2流体出入ポート36a、36b、62a、62bにそれぞれ接続する。なお、図3及び図4は、クランプ状態のクランプ装置10を示し、図6及び図7はアンクランプ状態のクランプ装置10を示すものであり、以下、図3のクランプ状態を初期状態として説明する。
【0074】
図3に示される初期状態のクランプ装置10において、図示しない圧力流体供給源から第2流体出入ポート62aへと圧力流体を供給し、該圧力流体が連通路64を介してシリンダ室30へと導入される。このシリンダ室30に導入された圧力流体の作用下にピストン52がボディ16から離間する方向(矢印A1方向)に向かって押圧され、該ピストン52が前記シリンダ室30に沿って下降する。そして、ピストン52及びピストンロッド54の変位作用下にナックルブロック72がガイド溝66の案内作用下に摺動変位する。この際、連結ブロック68に挿通されたスライドロッド126は、その端部に設けられたローラ154を傾動プレート116に当接させた状態のままでピストン52及びピストンロッド54と共に下方へと変位する。
【0075】
このピストン52の直線運動は、ピストンロッド54及びナックルジョイント70を介してトグルリンク機構76へと伝達され、前記トグルリンク機構76を構成する支持レバー90の回動作用下にアーム22の回動運動へと変換される。すなわち、ピストン52の直線運動によって、ピストンロッド54に連結された連結ロッドに係合したナックルジョイント70及びリンクプレート86を下方(矢印A1方向)に向かって引張する力が作用する。
【0076】
そして、リンクプレート86に対する引張力は、ナックルピン74を支点として該リンクプレート86を所定角度回動させると共に、該リンクプレート86のリンク作用下に支持レバー90を反時計回り(矢印C1方向)に回動させる。なお、支持レバー90の軸受部20を支点としてアーム22が所定角度回動することにより、該支持レバー90と一体的に円弧状突起部96が所定角度だけ回動する。
【0077】
このようにしてアーム22が回動している際、リンクプレート86の湾曲面がガイドローラ104に接触し、前記湾曲面と接触した状態を保持しながら該ガイドローラ104がピン部材106を中心として時計回りに回転する。そして、アーム22がワーク(図示せず)から離間する方向(矢印C1方向)へと回動し、ピストン52がエンドブロック34に螺合された調整ボルト44のダンパ部材48に当接することにより、前記ピストン52のさらなる変位が規制され、ピストンロッド54及びトグルリンク機構76を介した該アーム22の回動変位が停止する(図6参照)。その結果、クランプ装置10は、図6に示されるように、アーム22がクランプ状態から反時計回り(矢印C1方向)に所定角度θ1だけ回動したアンクランプ状態となる。
【0078】
この際、ピストン52がダンパ部材48に当接するのに伴って、ピストンロッド54に挿通されたプッシュロッド124の凸部136がストッパピン50に当接し、該プッシュロッド124がリターンスプリング144の弾発力に抗してボディ16側(矢印A2方向)へと変位する。そして、プッシュロッド124の第1傾斜部138に係合されたスライドロッド126の第2傾斜部148が、該第1傾斜部138との当接作用下にスライド変位することによって、前記スライドロッド126が検出機構24側へと押圧され、第2ロッド孔146に沿って前記スライドロッド126がボディ16から離間する方向へと略水平に変位する。
【0079】
これにより、スライドロッド126のローラ154によって、前記傾動プレート116の他端部116bがボディ16から離間する方向(矢印B1方向)へと押圧されて傾動し、前記傾動プレート116の検出端128が第2検出スイッチ120へと接近して検知される(図7参照)。その結果、検出機構24を介してアーム22が所定角度だけ回動変位したアンクランプ状態となったことが検知される。すなわち、傾動プレート116の傾動作用下に検出端128を第2検出スイッチ120によって検出することにより、アーム22のアンクランプ状態が確認される。
【0080】
一方、図6に示すアンクランプ状態において、図示しない切換弁の切換作用下に第1流体出入ポート36aに圧力流体を供給することによりピストン52がボディ16側(矢印A2方向)に向かって変位する。そして、このピストン52と共にピストンロッド54がボディ16側に向かって変位することにより、トグルリンク機構76を構成するリンクプレート86を介して支持レバー90が前記とは逆方向(矢印C2方向)に回動し、それに伴って、アーム22が図示しないワーク側に向かって回動する。この際、連結ブロック68に挿通されたスライドロッド126は、その端部に設けられたローラ154を傾動プレート116に当接させた状態のままで、ピストン52及びピストンロッド54と共に上方へと変位する。
【0081】
また、検出機構24を構成するプッシュロッド124は、ピストン52がボディ16側に向かって変位することにより、前記プッシュロッド124の凸部136がストッパピン50から離間し、リターンスプリング144の弾発力によって再びエンドブロック34側(矢印A1方向)へと変位する。それに伴って、プッシュロッド124の第1傾斜部138に係合されたスライドロッド126が、傾動プレート116による弾発力によってボディ16側(矢印B2方向)へと押圧され、第2ロッド孔146に沿って変位する。なお、スライドロッド126は、第2傾斜部148をプッシュロッド124の第1傾斜部138に対して当接させたままの状態で該プッシュロッド124と一体的に変位する。
【0082】
すなわち、プッシュロッド124が鉛直方向に変位すると共に、スライドロッド126が水平方向に変位することとなる。
【0083】
この際、スライドロッド126がボディ16側へと変位することにより、該スライドロッド126によって押圧されていた傾動プレート116がその弾発作用下に他端部116b側が前記ボディ16側に向かって徐々に傾動し、一端部116aに対して他端部116b側が鉛直下方向(矢印A1方向)に位置した状態へと復帰する。
【0084】
さらに、アーム22が時計回り(矢印C2方向)に回動し、円弧状突起部96がボデイに固定されたプレート(図示せず)に当接することにより、該アーム22の回動動作が停止する。その結果、アーム22によってワークがクランプされるクランプ状態となる(図3参照)。なお、アーム22が回動動作を停止してクランプ状態となった後、ピストン52及びピストンロッド54は若干だけさらに上昇し、ピストン52がボディ16の内壁面に当接することにより、ピストン52及びピストンロッド54が停止する。
【0085】
また、スライドロッド126の端部が、ピストン52の上方への変位作用下に第1検出スイッチ118と対向する位置へと到達することにより、前記第1検出スイッチ118によって前記スライドロッド126の端部が検出され、検出機構24によってアーム22がクランプ状態となったことが検知される。
【0086】
なお、この場合、ナックルブロック72の上部に形成された一組のリリース用突起部78a、78bは、ボデイの開孔80を通じて所定長だけ上方へと突出した状態となる。従って、作業者は、トップカバー110を持ち上げて前記リリース用突起部78a、78bを外部に露呈させ、例えば、図示しないプラスチックハンマ等によって叩いて該リリース用突起部78a、78bを下方側(矢印A1方向)へと変位させることにより、クランプ装置10におけるクランプ状態を解除してアンクランプ状態へと復帰させることができる。
【0087】
次に、上述したクランプ装置10において、調整ボルト44によってアーム22の回動角度を調整する場合について図8を参照しながら簡単に説明する。なお、この図8に示すクランプ装置10はアンクランプ状態を示す。
【0088】
このクランプ装置10は、調整ボルト44を螺回してボディ16側(矢印A2方向)に向かって所定長だけ変位させている。そして、第2流体出入ポート62aに対して圧力流体を供給し、ピストン52が圧力流体による押圧作用下にボディ16から離間する方向(矢印A1方向)へと変位する。この際、調整ボルト44は、図6に示される調整ボルト44の位置よりピストン52側(矢印A2方向)に突出して接近しているため、前記ピストン52の変位がシリンダチューブ32の略中央部近傍で規制される。そのため、このピストン52の変位作用下にトグルリンク機構76を介して回動変位するアーム22の回動角度θ2が小さくなる(θ2<θ1)。
【0089】
このように、調整ボルト44を変位させてピストン52に対する離間距離を変更することにより、前記ピストン52の変位作用下に回動変位するアーム22が回動角度を調整することが可能となる。なお、前記とは反対に、調整ボルト44とピストン52との離間距離を大きく設定することにより、アーム22の回動角度を大きく確保することができる。
【0090】
以上のように、本実施の形態では、シリンダ部18を構成するエンドブロック34には、ピストン52に臨むように調整ボルト44が螺合され、前記調整ボルト44を螺回させて該ピストン52に接近・離間させるように軸線方向(矢印A1、A2方向)に変位させることにより、前記調整ボルト44に当接して規制されるピストン52の変位量を自在に調整することができる。これにより、ピストン52の変位作用下にピストンロッド54、ナックルジョイント70及びトグルリンク機構76を介して回動変位するアーム22の回動角度を所望量に設定することが可能となる。
【0091】
このように、エンドブロック34の外部に突出した調整ボルト44を螺回させるという簡便な作業で、クランプ装置10を分解することなく該クランプ装置10の外部からアーム22の回動角度を簡便且つ効率的に調整することができる。
【0092】
また、アーム22の回動角度を作業者が確認しながら調整作業を行うことが可能である。
【0093】
さらに、調整ボルト44を介してアーム22の回動角度が調整された後に、調整ボルト44の外周面に螺合されたロックボルトをエンドブロック34に当接させることにより、前記調整ボルト44のさらなる螺回を規制することができる。その結果、調整ボルト44が誤って変位してしまうことが防止され、アーム22の回動角度が調整された状態で確実に保持される。
【0094】
さらにまた、検出機構24を構成するスイッチホルダ114に、ピストンロッド54と略平行に傾動プレート116を設け、該傾動プレート116は前記スイッチホルダ114に支持された一端部116aを支点として他端部116b側が傾動自在としている。
【0095】
またさらに、傾動プレート116の一端部116a及び他端部116b近傍に、近接スイッチからなる第1及び第2検出スイッチ118、120をそれぞれ配置し、ピストン52がボディ16側(矢印A2方向)に変位した際に、スライドロッド126の端部が、傾動プレート116に当接した状態で第1検出スイッチ118に対して接近することにより検知され、前記ピストン52がボディ16から離間する方向へと変位した変位終端位置では、前記スライドロッド126がプッシュロッド124による押圧作用下に前記傾動プレート116側(矢印B1方向)へと変位し、該傾動プレート116が傾動することによりその検出端128が第2検出スイッチ120に接近して検知される。
【0096】
このように、ピストン52が上方へと変位した場合に、第1検出スイッチ118によって検知することにより、クランプ装置10がクランプ状態にあることを確認することができ、一方、ピストン52が下方へと変位した場合には、第2検出スイッチ120によって検知することにより、前記クランプ装置10がアンクランプ状態にあることを確認することができる。すなわち、スライドロッド126の変位作用下に傾動プレート116を自在に傾動させることにより、ピストン52の軸線方向に沿った変位量にかかわらずクランプ装置10のクランプ・アンクランプ状態を検出機構24によって確実且つ簡便に検知することができる。
【0097】
換言すれば、上述した検出機構24は、調整ボルト44によって調整されたアーム22の回動角度にかかわらずクランプ装置10のクランプ・アンクランプ状態を検出可能であり、且つ、前記回動角度の変更に応じて、その都度、調整又は交換作業を行う必要がなく、単一の検出機構24で前記クランプ・アンクランプ状態の検出を行うことができる。
【0098】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係るクランプ装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示すクランプ装置の正面図である。
【図3】図1に示すクランプ装置の一部省略縦断面図である。
【図4】図3のクランプ装置における検出機構近傍を示す拡大断面図である。
【図5】検出機構を構成するスイッチホルダをボディ側から見た検出機構の拡大正面図である。
【図6】図3に示すクランプ装置においてアームが所定角度だけ回動したアンクランプ状態を示す一部省略縦断面図である。
【図7】図6のクランプ装置における検出機構近傍を示す拡大断面図である。
【図8】図6に示すクランプ装置に対して調整ボルトによってアームの回動角度が調整された状態を示す一部省略縦断面図である。
【符号の説明】
【0100】
10…クランプ装置 12…第1ケーシング
14…第2ケーシング 16…ボディ
18…シリンダ部 20…軸受部
22…アーム 24…検出機構
30…シリンダ室 32…シリンダチューブ
34…エンドブロック 36a、36b…第1流体出入ポート
44…調整ボルト 50…ストッパピン
52…ピストン 54…ピストンロッド
62a、62b…第2流体出入ポート 68…連結ブロック
70…ナックルジョイント 76…トグルリンク機構
78a、78b…リリース用突起部 98…カバー部材
104…ガイドローラ 110…トップカバー
114…スイッチホルダ 116…傾動プレート
118…第1検出スイッチ 120…第2検出スイッチ
122…コネクタ部 124…プッシュロッド
126…スライドロッド 128…検出端
136…凸部 138…第1傾斜部
144…リターンスプリング 148…第2傾斜部
154…ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部における直線運動をトグル機構によって回動運動に変換してクランプアームによりワークをクランプするクランプ装置において、
本体部と、
前記本体部に連結され、圧力流体による押圧作用下に軸線方向に沿って変位するピストンを有するシリンダ部と、
前記シリンダ部に変位自在に設けられ、前記ピストンの変位を規制して該ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構と、
前記ピストンのストローク変位量に基づいて前記ワークのクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構と、
を備え、
前記調整機構の少なくとも一部が、前記シリンダ部の外部に露呈し、該調整機構によって調整された前記ピストンのストローク変位量に基づいて前記クランプアームの作動角度が調整されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1記載のクランプ装置において、
前記調整機構は、前記ピストンと対向し、且つ、該ピストンに対して接近・離間する方向に変位自在な調整ボルトからなり、前記ピストンが前記調整ボルトに当接することにより変位が規制されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のクランプ装置において、
前記調整ボルトには、該調整ボルトの軸線方向への変位を規制するロックナットが螺合されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置において、
前記検出機構は、前記ピストンに連結されたピストンロッドの内部に変位自在に設けられ、前記ピストンロッドと共に変位し、且つ、弾発部材による弾発作用下に前記調整機構側に向かって付勢される第1ロッドと、
前記第1ロッドと略直交し、前記ピストンロッドに内部に変位自在に挿通されると共に、前記第1ロッドに対して係合される第2ロッドと、
前記第1ロッドと略平行に設けられ、前記第2ロッドの端部が当接すると共に該第2ロッドの変位作用下に押圧されることにより固定された一端部を支点として傾動変位する検出プレートと、
前記検出プレートに隣接し、該検出プレートの傾動変位を検出するセンサと、
を備えることを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項4記載のクランプ装置において、
前記第1ロッドは、前記第2ロッドに臨んで所定角度で傾斜した第1傾斜部を備え、前記第2ロッドには、前記第1ロッドに臨んで所定角度で傾斜し、且つ、前記第1傾斜部に当接する第2傾斜部を備え、前記第1及び第2傾斜部を介して前記第1ロッドの変位方向が略直交して前記第2ロッドへと伝達されることを特徴とするクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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