説明

グラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体

【課題】グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体を提供する。
【解決手段】本発明のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、グラフェン構造体及びカーボンナノチューブ構造体からなる。前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔を有し、分子間力で長軸方向の端と端が接続された複数のカーボンナノチューブからなる。前記カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比は1:1000〜1:10である。前記グラフェン構造体は、前記複数の微孔を被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラフェンとは、六角形に並び網目状の面構造をした炭素原子が、層状に集まった結晶のことであり、優れた電気的特性及び熱的性質を有する。電子の室温でのその電子移動度は、15000cm−1−1であり、最大の熱伝導率が3000Wm−1−1である。カーボンナノチューブとは、基本的には一様な平面のグラファイトを丸めて円筒状にしたような構造体である。その長さは、数ミクロンから数ミリメートルであり、その直径は数ナノメートルから数十ナノメートルである。カーボンナノチューブは、優れた機械的、電気的および化学的特性を持つ。グラフェン及びカーボンナノチューブは、膜状構造体を形成することができる。
【0003】
しかしながら、前記グラフェン又はカーボンナノチューブのみからなる膜状構造体には欠点が存在する。グラフェンは、高い導電性を有するが、グラフェンのみでグラフェン膜状構造体を製造する場合、その層数を精確に制御することができない。且つグラフェン膜状構造体における複数のフィルムのサイズ及び形状も異なる。グラフェン膜状構造体を製造する工程においては、グラフェン膜状構造体における複数のフィルムは、相互に積層または脱離する現象がある。これにより、前記グラフェン膜状構造体の光透過率は減少し、その表面抵抗は増加する。カーボンナノチューブ膜状構造体は、複数のカーボンナノチューブからなるネットワーク構造体である。前記複数のカーボンナノチューブの間には間隙が存在するので、カーボンナノチューブのみで膜状構造体を製造する場合、その光透過率は増加し、その導電性は減少する。グラフェンとカーボンナノチューブとの構造及び性能は、相補性を有するので、グラフェン及びカーボンナノチューブからなる複合体の研究は、発展する傾向にある。
【0004】
グラフェン及びカーボンナノチューブからなる複合体の製造方法として、液相法でグラフェン断片及びカーボンナノチューブ粉体を、分散溶液の中で超音波処理して、グラフェン‐カーボンナノチューブネットワーク構造体を形成する第一ステップと、複数のポリマー微粒子を前記分散溶液の中に添加した後、再度超音波処理することによって前記複数のポリマー微粒子の表面にグラフェン‐カーボンナノチューブネットワーク構造体が被覆されて、混合物を形成する第二ステップと、前記分散溶液を除去した後、前記混合物を金型中に置いて熱及び圧力を与えることにより、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体を形成する第三ステップと、を含むことが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第101734650号明細書
【特許文献2】米国特許第2008248235号明細書
【特許文献3】特開2004−107196号公報
【特許文献4】特開2006−161563号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記方法で形成されたグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、グラフェンシートを含まず、複数のグラフェン断片で分散しているので、その強靭性及び導電性が低下する。前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、前記複数のカーボンナノチューブは、ランダムに分散しているので、該グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体の光透過率を低下させ、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体の応用が制限される。
【0008】
従って、本発明は、前記課題を解決するために、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体を提供する。前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体の光透過性、強靭性及び導電性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、グラフェン構造体及びカーボンナノチューブ構造体からなる。前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔を有し、分子間力で端と端が接続された複数のカーボンナノチューブからなる。前記カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比は1:1000〜1:10である。前記グラフェン構造体は、前記カーボンナノチューブ構造体における複数の微孔を被覆する。
【0010】
本発明のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、グラフェン構造体及びカーボンナノチューブ構造体からなる。前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブワイヤからなるネットワーク構造体である。前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔を有する。前記グラフェン構造体は、前記カーボンナノチューブ構造体の一つの表面に設置され、前記カーボンナノチューブ構造体で支持され、前記カーボンナノチューブ構造体における複数の微孔を被覆する。
【0011】
前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に平行する複数の第一カーボンナノチューブワイヤ及び相互に平行する複数の第二カーボンナノチューブワイヤからなる。前記複数の第一カーボンナノチューブワイヤと前記複数の第二カーボンナノチューブワイヤとは、相互に交叉して編んでネットワーク構造体を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
従来の技術と比べて、本発明のグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体は、優れた導電性、強靭性及び光透過性を有する、少なくとも一つのグラフェンシート及び少なくとも一つのカーボンナノチューブ構造体を含むので、前記グラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体は、優れた導電性、強靭性及び光透過性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係るグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係るグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体において、グラフェン構造体のグラフェンを示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体において、カーボンナノチューブ構造体のカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図3中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係るグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体において、少なくとも二枚の積層されたカーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例1に係るグラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例1に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、処理されたカーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ構造体を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、レーザーで処理されたカーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例1に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、アルコールで処理されたカーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の実施例1に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体に利用されたカーボンナノチューブフィルムの製造方法を示す図である。
【図11】本発明の実施例2に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、複数のカーボンナノチューブワイヤからなるカーボンナノチューブ構造体を示す図である。
【図12】本発明の実施例2に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、カーボンナノチューブ構造体に利用された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施例2に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、カーボンナノチューブ構造体に利用されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】本発明に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体を示す図である。
【図15】本発明に係るグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10は、カーボンナノチューブ構造体100及び該カーボンナノチューブ構造体100の一つの表面に設置されたグラフェン構造体110を含む。前記カーボンナノチューブ構造体100は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム106からなる。前記カーボンナノチューブフィルム106は、複数の配向して配列されたカーボンナノチューブからなる。前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブフィルム106の表面に平行している。前記複数のカーボンナノチューブの延伸方向に沿って、隣接する二つのカーボンナノチューブは、分子間力で端と端が接続されている。前記カーボンナノチューブフィルム106は、複数の帯状の隙間を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体100には、複数の微孔102が形成されている。
【0016】
前記グラフェン構造体110は、一定の面積を有する二次元の一体構造体である。ここで、一体構造体とは、前記グラフェン構造体110が、平面上で連続性を有するものであることを表す。前記グラフェン構造体110は、前記カーボンナノチューブ構造体100の一つの表面に設置されて一体となり、前記カーボンナノチューブ構造体100における複数の微孔102を被覆する。前記グラフェン構造体110の面積が前記カーボンナノチューブ構造体100より小さい場合、該グラフェン構造体110は、前記カーボンナノチューブ構造体100における一部の微孔を被覆する。前記グラフェン構造体110は、1〜5層のグラフェンからなるが、1層のグラフェンからなることが好ましい。前記グラフェン構造体110の厚さは、0.34nm〜10nmである。前記グラフェン構造体110が複数のグラフェンシートからなる場合、前記複数のグラフェンシートは、並列して接続して、大きな面積のグラフェン構造体110を形成するか、または、重ね合わせて、積層されたグラフェン構造体110を形成する。図2を参照すると、前記グラフェン構造体110におけるグラフェンは、1原子の厚さのsp結合炭素原子のシートであり、炭素原子とその結合からできた蜂の巣のような六角形格子構造をとっている。
【0017】
単層のグラフェンの透光率は、97.7%に達するので、該単層グラフェンからなるグラフェン構造体110は、良好な透光性を有する。前記グラフェン構造体110は、非常に薄いので、その熱容量が小さい。例えば、単層グラフェンの熱容量は、5.57×10−4J/K・molである。前記グラフェン構造体110は、自立構造を有するものである。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記グラフェン構造体110を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記グラフェン構造体110を対向する両側から支持して、前記グラフェン構造体110の構造を変化させずに、前記グラフェン構造体110を懸架させることができることを意味する。前記グラフェン構造体110の寸法は、1cm以上である。ここで、前記グラフェン構造体110の寸法は、前記グラフェン構造体110の一点から他点までの距離が最大となる時の距離である。前記グラフェン構造体110の正投影の面積は、1cm以上である。前記グラフェン構造体110の寸法は、実際の応用に応じて選択する。本実施例において、前記グラフェン構造体110は、単層のグラフェンからなり、その形状は、辺長が4cmの正方形である。
【0018】
前記カーボンナノチューブ構造体100は、少なくとも一つの前記カーボンナノチューブフィルム106からなる平面構造である。図3を参照すると、前記カーボンナノチューブフィルム106では、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルム106は、優れた電気伝導性を有する。図3を参照すると、前記複数のカーボンナノチューブの配列方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルム106は、複数の帯状の隙間を有するので、該カーボンナノチューブフィルム106は、良好な透光性を有する。ここで、前記複数の帯状の隙間は、隣接する二つのカーボンナノチューブの間の隙間である。単一の前記隙間の幅は、1μm〜10μmである。図5を参照すると、本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体100は、二枚の積層された前記カーボンナノチューブフィルム106からなる。隣接する前記カーボンナノチューブフィルム106におけるカーボンナノチューブ同士は90°で交差して、複数の微孔102が形成される。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体100は、良好な透光性を有する。単一の前記微孔102の寸法は、1μm〜10μmである。
【0019】
前記カーボンナノチューブ構造体100の厚さは、10μm〜2mmである。前記カーボンナノチューブ構造体100における複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブの一種または多種である。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。該カーボンナノチューブ構造体100の単位面積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。
【0020】
図6を参照すると、本実施例のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10は、前記カーボンナノチューブ構造体100及び該カーボンナノチューブ構造体100の一つの表面に被覆された前記グラフェン構造体110からなる。前記カーボンナノチューブ構造体100は、一枚のカーボンナノチューブフィルム106からなる。前記グラフェン構造体110は、良好な透光性を有し、且つ前記カーボンナノチューブ構造体100は、複数の微孔を有するので、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10も、良好な透光性を有する。更に、前記カーボンナノチューブ構造体100及び前記グラフェ構造体110は、低い単位面積あたりの熱容量を有するので、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10は、低い単位面積あたりの熱容量も有する。
【0021】
図7を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体100は、処理されたカーボンナノチューブフィルム106からなることもできる。前記カーボンナノチューブフィルム106を、有機溶剤またはレーザーで処理することにより、前記カーボンナノチューブフィルム106の帯状の隙間を広げ、、前記カーボンナノチューブ構造体100における複数の微孔102の寸法を大きくすることができる。前記複数の微孔102の寸法は、実際の応用に応じて選択することができ、例えば、10μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μmまたは1000μmである。好ましくは、前記複数の微孔102の寸法は、200μm〜600μmである。
【0022】
前記カーボンナノチューブフィルム106は、レーザーで処理することができる。図8を参照すると、レーザーで処理することによって、一部の前記カーボンナノチューブフィルム106は焼灼され、または、一部の複数のカーボンナノチューブは収縮される。これにより、前記カーボンナノチューブフィルム106において、複数のカーボンナノチューブ帯状構造体104に形成される。
【0023】
図9を参照すると、有機溶剤で前記カーボンナノチューブフィルム106を処理することにより、前記カーボンナノチューブフィルム106の前記帯状の隙間を広げることもできる。
【0024】
前記有機溶剤またはレーザーで処理した前記カーボンナノチューブフィルム106において、前記複数の微孔102の寸法が大きい場合、前記カーボンナノチューブ構造体100の一つの表面に被覆されたグラフェン構造体110は、空気と接触する面積が大きくなる。これにより、未処理のカーボンナノチューブフィルム106と比べると、有機溶剤またはレーザーで処理した前記カーボンナノチューブフィルム106の単位面積当たりの熱容量は低くなる。
【0025】
前記有機溶剤またはレーザーで処理されたカーボンナノチューブフィルム106において、複数の平行して配列された複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比が小さい。前記カーボンナノチューブ帯状構造体104の幅は、200nm〜10μmである。前記カーボンナノチューブ帯状構造体104における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、分子間力で端と端が接続され、その複数の帯状の隙間の幅は、10μm〜1000μmであるが、100μm〜500μmであることが好ましい。図8のカーボンナノチューブ構造体100では、レーザーで処理された、複数のカーボンナノチューブ帯状構造体104を有する二つのカーボンナノチューブフィルム106が相互に積み重なって、カーボンナノチューブ構造体100を形成している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルム106におけるカーボンナノチューブ同士の成す角度αは0°〜90°である。本実施例において、前記角度αは90°である。
【0026】
前記有機溶剤またはレーザーで処理した前記カーボンナノチューブフィルム106において、前記複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比が小さいので、該カーボンナノチューブフィルム106からなるカーボンナノチューブ構造体100も、複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比が小さくなる。該カーボンナノチューブ構造体100における複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積の比は1:1000〜1:10であるが、1:100〜1:10であることが好ましい。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体100を含む前記グラフェン−カーボンナノチューブ複合構造体10は、前記グラフェン構造体110の大部分は、前記カーボンナノチューブ構造体100の微孔102を被覆するので、直接空気と接触することができる。前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10を熱音響装置に利用する場合、熱音響効果を高めることができる。
【0027】
前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10の製造方法は、前記カーボンナノチューブ構造体100を提供する第一ステップと、前記グラフェン構造体110を提供し、該グラフェン構造体110を前記カーボンナノチューブ構造体100の一つの表面に被覆する第二ステップと、を含む。
【0028】
前記第一ステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体100は、一枚または複数枚の積層された前記カーボンナノチューブフィルム106からなる。図10を参照すると、本実施例において、前記カーボンナノチューブフィルム106は、ドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルム106の製造方法は、超配列カーボンナノチューブアレイ116(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)を提供するステップa11と、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばして、前記カーボンナノチューブフィルム106を得るステップa12と、を含む。
【0029】
前記テップa11において、前記超配列カーボンナノチューブアレイ116の製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該カーボンナノチューブアレイ116は、互いに平行し、基材に垂直に生長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合っている。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであり、その直径は0.5nm〜50nmに設定される。本実施例において、前記カーボンナノチューブの長さは、100〜900μmである。
【0030】
前記ステップa12において、前記カーボンナノチューブフィルム106は複数のカーボンナノチューブからなり、隣接する前記カーボンナノチューブの間に間隙がある。前記カーボンナノチューブフィルム106において、前記複数のカーボンナノチューブは、それぞれ前記複数のカーボンナノチューブフィルム106の表面に平行に配列され、相互に平行に配列されている。前記カーボンナノチューブフィルム106を引き伸ばす工程は、前記超配列カーボンナノチューブアレイ116における一定の幅を有するカーボンナノチューブセグメント112を選択するサブステップa121と、所定の速度で前記カーボンナノチューブセグメント112を引き出し、複数のカーボンナノチューブセグメント112からなる連続のカーボンナノチューブフィルム106を形成するサブステップa122と、を含む。
【0031】
前記サブステップa121において、接着テープ、プライヤー、ピンセットなどの工具を利用して、前記超配列カーボンナノチューブアレイ116から前記一定の幅を有するカーボンナノチューブセグメント112を選択する。前記カーボンナノチューブセグメント112は複数の相互に平行に配列されているカーボンナノチューブを含む。前記サブテップa122において、任意の方向に沿って、前記カーボンナノチューブセグメントを引き出すことができる。
【0032】
具体的に、前記複数のカーボンナノチューブセグメント112を引き出す工程において、前記複数のカーボンナノチューブセグメント112がそれぞれ基材から脱離すると、分子間力で前記カーボンナノチューブセグメント112が端と端で接合され、連続のカーボンナノチューブフィルム106が形成される。前記カーボンナノチューブフィルム106は、自立構造を有する。該カーボンナノチューブフィルム106は一定の幅を有して、均一に配列されている。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献2に掲載されている。
【0033】
前記カーボンナノチューブフィルム106において、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長軸方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブからなる。図3及び図4を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長手方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さは同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅、厚さ、均一性及び形状は変更することができる。
【0034】
更に、前記ステップa12で得られた前記カーボンナノチューブフィルム106は、有機溶剤またはレーザーで処理することもできる。前記カーボンナノチューブフィルム106をレーザーによって処理する方法は、前記カーボンナノチューブアレイ116(図10を参照)から、前記カーボンナノチューブフィルム106を引き伸ばすステップS1と、前記カーボンナノチューブフィルム106を一つの支持体に固定するステップS2と、レーザーによって、前記カーボンナノチューブフィルム106における複数のカーボンナノチューブの配列方向に沿って、該カーボンナノチューブフィルム106を焼灼して、複数のカーボンナノチューブ帯状構造体104を形成するステップS3と、を含む。
【0035】
前記ステップS3において、レーザーのパワー、波長及びその移動速度を制御することによって、前記カーボンナノチューブフィルム106の一部を焼灼した後、該カーボンナノチューブフィルム106に複数のカーボンナノチューブ帯状構造体104を形成することができる。
【0036】
前記カーボンナノチューブフィルム106を有機溶剤によって処理する方法は、ドロッパーで有機溶剤を前記カーボンナノチューブフィルム106の表面に滴下し、該有機溶剤で前記カーボンナノチューブフィルム106を浸漬させる。又は、全て前記カーボンナノチューブフィルム106を有機溶剤の中に入れて浸漬させる。前記有機溶剤で処理することにより、前記有機溶剤の表面張力によって、隣接する配列されたカーボンナノチューブの間の間隙がなくなり、前記複数のカーボンナノチューブは複数の間隔で分散されたカーボンナノチューブ帯状構造体104に形成される。これにより、前記カーボンナノチューブフィルム106における複数の微孔102の寸法が大きくなる。前記有機溶剤は、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのいずれか一種の揮発性有機溶剤である。本実施例において、前記有機溶剤は、エタノールである。該有機溶剤は、前記カーボンナノチューブフィルム106に対して良好な濡れ性を有する。
【0037】
前記カーボンナノチューブ構造体100が少なくとも二枚の積層された前記カーボンナノチューブフィルム106からなる場合、その製造方法は、一枚のカーボンナノチューブフィルム106(ここで、第一カーボンナノチューブフィルムと定義される)の少なくとも二つの辺を一つのフレーム(図示せず)に固定して、該第一カーボンナノチューブフィルムの他の部分を懸架させるステップa131と、もう一枚のカーボンナノチューブフィルム106(ここで、第二カーボンナノチューブフィルムと定義される)を前記第一カーボンナノチューブフィルムに被覆させるステップa132と、を含む。前記第一カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが第一方向に沿って配列しているが、前記第二カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが第二方向に沿って配列している。且つ前記第一方向と前記第二方向とは0°〜90°(0°は含まず)の角度をなす。前記の製造方法によって、積層された複数のカーボンナノチューブフィルム106からなる前記カーボンナノチューブ構造体100が前記フレームに固定される。各々の前記カーボンナノチューブフィルム106におけるカーボンナノチューブは、異なる方向に沿って配列していることができる。
【0038】
図5を参照すると、前記カーボンナノチューブフィルム106は大きい比表面積を有し、高い接着性を有するので、前記積層された複数のカーボンナノチューブフィルム106は、分子間力で相互に緊密に結合され、安定なカーボンナノチューブ構造体100を形成することができる。前記カーボンナノチューブ構造体100における前記カーボンナノチューブフィルム106の枚数は制限されない。本実施例において、前記カーボンナノチューブフィルムの枚数は2〜4枚である。隣接する前記カーボンナノチューブフィルム106におけるカーボンナノチューブが90°で交差する。
【0039】
更に、前記カーボンナノチューブ構造体100が少なくとも二枚の積層された、レーザーで処理されたカーボンナノチューブフィルム106からなる場合、該カーボンナノチューブ構造体100をさらに有機溶剤で処理することにより、前記カーボンナノチューブ構造体100の複数の微孔102を広げ、隣接する前記カーボンナノチューブフィルム106を緊密に結合させることができる。前記有機溶剤は、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのいずれか一種の揮発性有機溶剤である。本実施例において、前記有機溶剤は、エタノールである。該有機溶剤は、前記カーボンナノチューブ構造体100に対して良好な濡れ性を有する。具体的には、ドロッパーで有機溶剤を前記カーボンナノチューブ構造体100の表面に滴下し、該有機溶剤で前記カーボンナノチューブ構造体100を浸漬させる。又は、全て前記カーボンナノチューブ構造体100を有機溶剤の中に入れて浸漬させる。図9を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体100が少なくとも二枚の積層されたドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる場合、前記有機溶剤で処理することにより、前記有機溶剤の表面張力によって、隣接する配列されたカーボンナノチューブの間の間隙がなくなり、前記複数のカーボンナノチューブは複数の間隔で分散されたカーボンナノチューブ帯状構造体104に形成される。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体100における複数の微孔102の寸法が大きくなる。前記カーボンナノチューブ構造体100における微孔102の寸法は、10μm〜1000μmであり、200μm〜600μmであることが好ましい。本実施例において、前記複数のカーボンナノチューブ帯状構造体104は、90°で相互に交差している。前記カーボンナノチューブ構造体100を有機溶剤によって処理することにより、その接着性を低くさせることができる。前記カーボンナノチューブ構造体100における前記カーボンナノチューブフィルム106の枚数が多くなるほど、前記カーボンナノチューブ構造体100における微孔102の寸法はより小さくなる。従って、前記カーボンナノチューブ構造体100における前記カーボンナノチューブフィルムの枚数を調整することによって、要望の寸法の微孔102を得ることができる。
【0040】
前記第二ステップにおいて、前記グラフェン構造体110の製造方法は、化学気相成長法、塗布法又は機械的剥離法であることができる。本実施例において、前記グラフェン構造体110は、化学気相成長法によって金属膜からなる基板の表面に生成する。詳しくは、グラフェン構造体110の製造方法は、金属膜からなる基板を提供するステップa151と、前記基板を反応室内に設置して、高温で炭素ガスを反応室に導入して、前記基板の一つの表面にグラフェンを成長するステップa152と、前記グラフェン有する金属膜を室温まで冷却して、前記基板の一つの表面に前記グラフェン構造体110を形成するステップa153と、を含む。
【0041】
前記ステップa151において、前記基板は、銅箔またはニッケル箔からなり、その寸法及び形状は、前記反応室の寸法及び形状に対応する。前記基板の厚さは、12.5μm〜50μmである。本実施例において、前記基板は、銅箔からなり、その厚さは、12.5μm〜50μmであるが、25μmであることが好ましい。
【0042】
前記ステップa152において、前記反応室は、直径が1インチの石英管である。前記ステップa152において、まず、前記反応室内において、水素雰囲気中で前記基板を還元アニールする。前記水素の流量が2sccmであり、前記アニール温度は、1000℃であり、アニール時間は1時間である。次に、流量が25sccmのメタンガスを反応室に導入することによって、前記基板に炭素原子が堆積されてグラフェンが形成される。この場合、反応室内の圧力を500ミリトルに維持する。前記グラフェンの成長時間は、10〜60分間であるが、30分間であることが好ましい。
【0043】
前記ステップa153において、前記グラフェンを有する金属膜は、室温まで冷却する前に、前記反応室に水素及びガスメタンを導入している。本実施例において、前記冷却する工程において、前記反応室に流量が25sccmのメタンガス及び流量が2sccmの水素を導入して、反応室内の圧力を500ミリトルに維持する。前記金属膜を1時間冷却した後、前記反応室から取り出し、該金属膜の一つの表面に前記グラフェン構造体110が形成される。
【0044】
前記炭素ガスは、アセチレン、メタン、エタンまたはエチレンなどのガスである。シールドガスは、アルゴン及び窒素ガスのような不活性気体である。前記グラフェンの堆積温度は、800℃〜1000℃である。本実施例において、前記グラフェン構造体110の製造方法は、化学気相成長法であるので、該グラフェン構造体110は、大きな面積を有することができる。従って、前記グラフェン構造体110は、大きな面積を有する前記カーボンナノチューブ構造体100と結合して、大きな面積を有するグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10が形成されることができる。
【0045】
前記カーボンナノチューブ構造体100を、前記基板一つの表面に形成されたグラフェン構造体110の、前記基板に隣接する表面とは反対の表面に被覆した後、機械力を加えることによって、一体とする。腐蝕液で前記カーボンナノチューブ構造体100及びグラフェン構造体110を支持する基板を腐蝕して除去することにより、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10を得ることができる。
【0046】
(実施例2)
実施例1のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10と比べると、本実施例の前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体20におけるカーボンナノチューブ構造体200は、少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤからなる。図11を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体200は、複数のカーボンナノチューブワイヤ206からなる。詳しくは、一部の前記カーボンナノチューブワイヤ206は第一カーボンナノチューブワイヤと定義されるが、もう一部の前記カーボンナノチューブワイヤ206は第二カーボンナノチューブワイヤと定義される。複数の前記第一カーボンナノチューブワイヤ同士は相互に平行し、複数の前記第二カーボンナノチューブワイヤ同士もまた相互に平行する。前記複数の第一カーボンナノチューブワイヤと前記複数の第二カーボンナノチューブワイヤとを交叉して編んでネットワーク構造体を形成する。前記カーボンナノチューブ構造体200には、複数の微孔202が形成される。隣接する二つの第一カーボンナノチューブワイヤ及び隣接する二つの第二カーボンナノチューブワイヤの距離は、10μm〜1000μmであるが、100μm〜500μmであることが好ましい。前記複数の微孔202の寸法は、10μm〜1000μmであるが、100μm〜500μmであることが好ましい。
【0047】
前記複数の第一カーボンナノチューブワイヤ及び前記複数の第二カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はねじれ状カーボンナノチューブワイヤであることができる。図12を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤである場合、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)からなる。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、100nm〜100μmである。
【0048】
図13を参照すると、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長手方向に沿う対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。好ましくは、前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。前記カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献3及び特許文献4に掲載されている。
【0049】
前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体20における複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比は1:1000〜1:10であるが、1:100〜1:10であることが好ましい。前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体20における前記カーボンナノチューブ構造体200は、少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤからなるので、前記複数の微孔202の寸法及び形状は容易に制御できる。
【0050】
実施例1の前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体10の製造方法と比べると、その異なる点は、実施例1の前記カーボンナノチューブアレイ116の幅を1μm〜10μmに制御することによって、本実施例の前記第一カーボンナノチューブワイヤ206または第二カーボンナノチューブワイヤ208を得ることができる。前記複数の第一カーボンナノチューブワイヤ206と前記複数の第二カーボンナノチューブワイヤ208とは相互に交叉して編んでネットワーク構造体のカーボンナノチューブ構造体200に形成される。
【0051】
さらに、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、相互に積み重なって設置された複数の前記グラフェン構造体及び複数の前記カーボンナノチューブ構造体100または複数の前記カーボンナノチューブ構造体200からなることもできる。例えば、図14を参照すると、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体30は、カーボンナノチューブ構造体300と、該カーボンナノチューブ構造体300の二つの対向する表面に被覆した二つのグラフェン構造体310と、を含む。図15を参照すると、グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体40は、グラフェン構造体310と、該グラフェン構造体310の二つの対向する表面に被覆した二つのカーボンナノチューブ構造体300と、を含む。
【0052】
本発明のグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、次の優れた点がある。第一に、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体において、前記グラフェン構造体の一部は、前記カーボンナノチューブ構造体の前記複数の微孔に対して懸架されるので、該グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体は、優れた光透過性を有する。第二に、前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが配向して配置されているので、良好な導電性を有する。従って、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体もまた、良好な導電性を有する。第三に、前記カーボンナノチューブ構造体及び前記グラフェン構造体は、優れた機械強度及び強靭性を有するので、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体もまた、優れた機械強度及び強靭性を有する。第四に、単位面積あたり低い熱容量を有する前記グラフェン構造体の一部分が、前記カーボンナノチューブ構造体の複数の微孔に対して懸架され、周辺の空気と接触するので、前記グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体もまた、単位面積あたりの低い熱容量を有する。
【符号の説明】
【0053】
10、20,30、40 グラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体
100、200,300 カーボンナノチューブ構造体
102、202 微孔
104 カーボンナノチューブ帯状構造体
106 カーボンナノチューブフィルム
110、210、310 グラフェ構造体
116 カーボンナノチューブアレイ
143a カーボンナノチューブフィルム
143b、112 カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
206 カーボンナノチューブワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン構造体及びカーボンナノチューブ構造体からなるグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体であり、
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔を有し、分子間力で長軸方向の端と端が接続された複数のカーボンナノチューブからなり、
前記カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブの面積と前記複数の微孔の面積との比が1:1000〜1:10であり、
前記グラフェン構造体は、前記複数の微孔を被覆していることを特徴とするグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体。
【請求項2】
グラフェン構造体及びカーボンナノチューブ構造体からなるグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体であり、
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブワイヤからなるネットワーク構造体であり、
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔を有し、
前記グラフェン構造体は、前記カーボンナノチューブ構造体の一つの表面に設置され、前記複数の微孔を被覆していることを特徴とするグラフェン‐カーボンナノチューブ複合構造体。

【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−206924(P2012−206924A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190483(P2011−190483)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】