説明

グリーン建築

【課題】建物内の二酸化炭素/酸素濃度を維持できる建物構造及び方法を提供する。
【解決手段】グリーン建築には、植物が生長する少なくとも一つの植物成長領域と、
前記植物成長領域を照らす少なくとも一つの照明装置と、周りの熱を受け取る熱ポンプが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグリーン建築(Green Building)に関し、より詳しくは、建物内の二酸化炭素/酸素濃度を維持できる建物構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市化や工業化により、生態系の汚染や破壊が引き起こされている。二酸化炭素(CO2)排出は汚染源の一つであり、もしその濃度を適切に保持できなければ、長時間建築物内で生活し、働く人々に危害や不適切なことが引き起こされかねない。きれいな空気中の二酸化炭素の体積濃度は約0.036‐0.039%である。もし二酸化炭素濃度が上昇したり、相対的に酸素(O2)濃度が減少したりする場合、血圧の上昇や、呼吸困難が引き起こされる。
【0003】
室外で成長する植物の光合成作用により、酸素が提供される。しかし、室外の空気は室内のよりもひどく汚染されている可能性がある。さらに、植物は大量の水による灌漑が必要であるが、大部分の灌漑水は蒸発してしまい、無駄になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、建物内の二酸化炭素/酸素濃度を調節する効果的な方法が欠如しているといった問題があった。このため、二酸化炭素/酸素濃度を維持させる新しい建築構造と方法が必要である。
【0005】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、建物内や、連結された建築物内の二酸化炭素/酸素濃度を維持させる独立自給のグリーン建築を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るグリーン建築は
植物を生長させる少なくとも一つの植物成長領域と、
植物成長領域を照らす少なくとも一つの照明装置と、
周りの熱を受け取る熱ポンプと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、グリーン建築は植物を生長させる少なくとも一つの植物成長領域と、少なくとも一つの照明装置と、熱ポンプを含む。照明装置は植物成長領域を照らす。熱ポンプは周りの熱を受け取る。実施形態において、植物が光合成作用を行うのに必要な二酸化炭素は連結された建築物を通して、外部から提供され、かつ、植物が光合成作用を行った後に発生する酸素はグリーン建築から連結された建築物へと流れ、グリーン建築と連結された建築物両側の二酸化炭素/酸素濃度の均衡が保たれる。別の実施形態では、グリーン建築は独立自給であり、このため、植物が光合成を行うのに必要な二酸化炭素は内部から提供され、かつ、植物が光合成作用を行った後に発生する酸素はグリーン建築内で流動させられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るグリーン建築のブロック図である。
【図2】本発明の別の実施形態に係る独立自給グリーン建築のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るグリーン建築は、図1の本発明の実施形態に係るグリーン建築のブロック図で示されている。グリーン建築1は例えば、住宅、オフィス、或いは工業建築物といった一般建築2に連結されている。
【0010】
本実施形態では、グリーン建築1は少なくとも一つの植物成長領域10を含む。その成長している植物は四つの炭素(C4)植物であるが、これに限られるわけではない。このC4植物は二酸化炭素を固着させ、四つの炭素原子を有する固着物を形成させる。光合成作用に必要な二酸化炭素は内部か、外部から提供される。例えば、必要な二酸化炭素は気体導管100により、連結された一般建築2から提供される。実施形態では、一般建築2の人口密度はグリーン建築1の人口密度より大きく、このため、その排出される二酸化炭素の濃度はグリーン建築1の二酸化炭素濃度より大きい。よって、二酸化炭素は気体導管100により、一般建築2からグリーン建築1へと流れ、両側の濃度の均衡が保たれる。一方、光合成作用によって放出された酸素は反対の方向に流れ、つまり、気体導管100により、グリーン建築1から一般建築2へと流れる。別の実施形態では気体導管102内の気体流動は正確に制御可能であり、例えば、気体バルブにより制御させられる。さらに、二酸化炭素と酸素は二つの気体導管によって別々に伝送させ、制御させることも可能である。
【0011】
別の実施形態では、必要とされる二酸化炭素は気体導管102によって連結された火力発電工場11から提供される。火力発電工場11はグリーン建築1から酸素を獲得し、気体導管102は二酸化炭素をグリーン建築1へ排出させる。気体導管102内の気体流動は正確に制御可能であり、例えば、気体バルブにより制御させられる。
【0012】
水(H2O)は光合成作用を行うために必要な別の要素である。水槽13内の水は制御され、光合成作用を行うために必要な水として提供され、第一水道管202を通して植物成長領域10へと提供される。本実施形態では、必要とされる水は内部や、外部から提供される。実施形態では、エアコンディショナー12はグリーン建築1内の設備や人から発生される熱を取り除き、グリーン建築1内の温度を下げ、かつ、除湿(つまり、水を取り除く)することにより、グリーン建築1内の湿気を下げる。取り除かれた水は第二水道管200によって、水槽13に蓄えられる。
【0013】
別の実施形態では、熱ポンプ14を使用し、熱はある位置から別の位置へと伝送させられる。例えば、熱ポンプ14は導熱管300によって、例えば、発光ダイオード(LED)から発生される熱といった、照明装置からの熱を受け取り、この発光ダイオード15は植物成長領域10を照らすために用いられる。本実施形態では発光ダイオード15を例として用いているが、例えば、有機発光ダイオード(OLED)といった、その他照明装置も適用可能である。これ以外に、熱ポンプも水を発生させ、これは水道管204を通して、水槽13に蓄えられる。熱ポンプ14は導熱管302によってエアコンディショナー12から発生される熱を受け取り、或いは、導熱管304は一般建築2の熱ポンプ24の熱を受け取る。さらに、熱ポンプ14はグリーン建築1内の設備や人から発生される熱を受け取る。一般的にいえば、熱ポンプ14は直接、或いは間接的に周りの熱を受け取り、例えば、直接発光ダイオード15から熱を受け取ったり、或いは、間接的にエアコンディショナー12から熱を受け取ったりする。これ以外に、熱ポンプ14は受け取った熱を発生した水に対して用い、加熱を行い、温水をつくる。さらに、熱ポンプ14は受け取った熱を導熱管306によって、設備(例えば、温水器16)中の水に対して加熱を行い、料理や、入浴用に用いられる。また、熱ポンプ14は温水器16と一体となっていてもよい。
【0014】
別の実施形態では、水槽13は水道管206によって、一般建築2の水槽23から水を受け取り、あるいは、水をこの水槽23へと送り出す。
【0015】
実施形態では、太陽エネルギー電池17は太陽光を電力に変え、導線400、402、404によって、それぞれ前記のエアコンディショナー12、熱ポンプ14、発光ダイオード15へと提供される。
【0016】
本実施形態によれば、一般建築2の二酸化炭素/酸素濃度は正常に維持される。二酸化炭素/酸素濃度が維持される以外に、植物そのものも商品となりえる。グリーン建築1内の植物灌漑水や設備によって発生される熱も循環して再利用される。
【0017】
図2は本発明の別の実施形態による独立自給のグリーン建築3のブロック図である。本実施形態の独立自給のグリーン建築3は先の実施形態のグリーン建築1と類似しているが、異なる点は、独立自給のグリーン建築3は人が生活している場所に普遍的に用いられることである。言い換えるならば、独立自給のグリーン建築3は一般建築にも、グリーン建築にもなりえ、連結された他の建築物を必要としない。図1と図2の相同な部材には相同な符号が使用されており、その機能や構造の関連する説明は省略する。
【0018】
本実施形態では、独立自給のグリーン建築3の一部分(例えば、ある階層部分)は一般建築として用いられ、人が生活する場所であり、独立自給のグリーン建築3の別の部分(例えば、別の階層部分)はグリーン建築であり、これは少なくとも一つの植物成長領域10を含み、植物が植えられる。
【0019】
光合成作用に必要な二酸化炭素は独立自給のグリーン建築3内の人によって排出される二酸化炭素によって提供される。一方、光合成作用によって発生される酸素は人に提供され、サプライチェーンが形成される。光合成作用に必要な水はエアコンディショナー12と、或いは熱ポンプ14から提供され、しばらくは水槽13に蓄えられる。熱ポンプ14は植物成長領域10を照らす発光ダイオード15Aから発生される熱や、一般建築を照らす発光ダイオード15Bから発生される熱を受け取る。本実施形態では、発光ダイオード15Aや15Bが例示されているが、例えば、有機発光ダイオード(OLED)といった、その他の照明装置に取り換えることも可能である。さらに、エアコンディショナー12や熱ポンプ14は設備や人から発せられる熱を取り除く。
【0020】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0021】
1 グリーン建築
10 植物成長領域
11 火力発電工場
12 エアコンディショナー
13 水槽
14 熱ポンプ
15 発光ダイオード
15A 発光ダイオード
15B 発光ダイオード
16 温水器
17 太陽エネルギー電池
100 気体導管
102 気体導管
2 一般建築
23 水槽
24 熱ポンプ
200 第二水道管
202 第一水道管
204 水道管
206 水道管
3 独立自給グリーン建築
300 導熱管
302 導熱管
304 導熱管
306 導熱管
400 導線
402 導線
404 導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーン建築であって、
植物を生長させる少なくとも一つの植物成長領域と、
前記植物成長領域を照らす少なくとも一つの照明装置と、
周りの熱を受け取る熱ポンプと、
を含むことを特徴とする、グリーン建築。
【請求項2】
前記の植物は二酸化炭素を固着し、四つの炭素原子を有する固着物を形成させるC4植物であることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項3】
前記の植物が光合成を行うために必要な二酸化炭素は内部に提供されることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項4】
前記の植物が光合成を行うために必要な二酸化炭素は気体導管を通じて連結された建物から外部へ提供されることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項5】
さらに二酸化炭素の前記気体導管内での流動を制御させる気体バルブを含むことを特徴とする、請求項4に記載のグリーン建築。
【請求項6】
前記の連結建築物は住宅、オフィス、或いは、工業建築物であることを特徴とする、請求項4に記載のグリーン建築。
【請求項7】
前記の植物が光合成作用を行った後に発生する酸素は前記グリーン建築内を流動することを特徴とする、請求項4に記載のグリーン建築。
【請求項8】
前記の植物が光合成作用を行った後に発生する酸素は前記気体導管によって、前記グリーン建築から前記連結建築物に向かって流れ、前記グリーン建築と前記連結された建築物の両側の二酸化炭素/酸素濃度の均衡が保たれることを特徴とする、請求項4に記載のグリーン建築。
【請求項9】
更に酸素の前記気体導管内での流動を制御させる気体バルブを含むことを特徴とする、請求項8に記載のグリーン建築。
【請求項10】
前記の気体導管はそれぞれ二酸化炭素と酸素を送る2つの導管を含むことを特徴とする、請求項8に記載のグリーン建築。
【請求項11】
前記の植物が光合成作用を行うために必要な二酸化炭素は気体導管を通して外部にある火力発電工場から提供され、かつ、前記植物が光合成作用を行った後に発生する酸素は前記気体導管を通して前記連結火力発電工場へと提供されることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項12】
前記の照明装置は発光ダイオードや、有機発光ダイオードであることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項13】
さらに第一水道管を通して前記植物へ提供させるための水を蓄える水槽を含むことを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項14】
さらにエアコンディショナーを含み、取り除かれた水は第二水道管を通じて前記水槽へ蓄えられることを特徴とする、請求項13に記載のグリーン建築。
【請求項15】
前記の熱ポンプはさらに水を発生させ、受け取った熱により、温水を形成させることを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。
【請求項16】
さらに導熱管によって前記熱ポンプによって伝えられる熱を受け取る温水器を含むことを特徴とする、請求項15に記載のグリーン建築。
【請求項17】
前記の熱ポンプと前記温水器は一体となっていることを特徴とする、請求項16に記載のグリーン建築。
【請求項18】
さらに太陽光を電力に変換させ、前記グリーン建築内部に少なくとも1つ設けられる太陽エネルギー電池を含むことを特徴とする、請求項1に記載のグリーン建築。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−217732(P2011−217732A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30016(P2011−30016)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(509176156)佶益投資股▲ふん▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】