ケミカルフィルタ及びクリーンルーム
【課題】低湿度の空気に対してもこの空気に含まれる汚染物質を効果的に吸着除去することが可能なケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームを提供する。
【解決手段】通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体21を備え、この吸着体21で清浄化した空気27を供給するためのケミカルフィルタ6において、清浄化した空気27を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、この加工した保護対象物を吸着体21として備える。また、吸着体21及び/又は吸着体21に供給する空気28を冷却する冷却装置22を備える。
【解決手段】通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体21を備え、この吸着体21で清浄化した空気27を供給するためのケミカルフィルタ6において、清浄化した空気27を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、この加工した保護対象物を吸着体21として備える。また、吸着体21及び/又は吸着体21に供給する空気28を冷却する冷却装置22を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体や液晶デバイスの生産・開発用クリーンルームでは、各種の分子状・ガス状汚染物質の室内空気中濃度を低減させる必要がある。特に、クリーンルームの構成材料、室内装置、使用薬品等から室内に拡散するDBPやDOP等の樹脂用可塑剤、BHTなどの酸化防止剤、リン酸エステル類などの難燃材、低分子環状シロキサン類は、シリコンウエハや液晶パネル用ガラス基板(保護対象物)の表面に吸着しやすく、リーク電流の増大や絶縁耐圧の低下など電気的特性に悪影響を及ぼすため、空気中から除去することが求められている。
【0003】
そして、これらの分子状・ガス状汚染物質を除去するために、活性炭などの吸着剤を備えたケミカルフィルタで空気をろ過してクリーンルーム内への給気を行うようにしている。しかしながら、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤に用いた場合には、シリコンウエハやガラス基板に吸着しにくい物質も除去対象の汚染物質とともに吸着除去される。このため、吸着剤の性能が早期に低下し、頻繁に吸着剤の交換が必要になって、ランニングコストの増大を招くという問題があった。
【0004】
これに対し、本願の発明者らは、シリコンウエハやガラス基板の半導体(保護対象物)を微細化し、このチップをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)として用いることを提案している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そして、このケミカルフィルタにおいては、汚染物質を含む空気が通過するとともに、シリコンウエハやガラス基板に悪影響を及ぼす汚染物質のみが選択的に吸着剤に吸着して除去される。これにより、クリーンルームの空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着剤の性能が早期に低下することを防止できる。
【特許文献1】特開2004−84971号公報
【特許文献2】特開2005−118744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、フラットパネルディスプレイの技術動向から、有機ELの普及が期待されている。また、携帯機器類の普及により高性能な電池類の開発が急ピッチで進められている。そして、これら有機ELや高性能電池類などの製造には、分子状・ガス状汚染物質を除去することに加えて、低湿度に制御されたクリーンルームが必要になる。
【0006】
このようにクリーンルームを低湿度に制御する場合には、低湿度の空気がケミカルフィルタを通過することで、吸着剤の表面水分量が減少し、汚染物質の除去効果が低下するおそれがある。すなわち、シリコンウエハやガラス基板を微細化してなる吸着剤への汚染物質の吸着現象は、吸着剤の表面の水分(吸着水)が一種のバインダーとして機能することにより生じるため、低湿度の空気が通過し、吸着剤の表面から吸着水が奪われることで、吸着剤の性能(汚染物質の除去効果)が低下するおそれが生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、低湿度の空気に対してもこの空気に含まれる汚染物質を効果的に吸着除去することが可能なケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明のケミカルフィルタは、通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体を備え、該吸着体で清浄化した空気を供給するためのケミカルフィルタであって、前記清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、前記汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、該加工した保護対象物を前記吸着体として備えるとともに、前記吸着体及び/又は前記吸着体に供給する空気を冷却する冷却装置を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明においては、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用(開発)されるシリコンウエハやガラス基板などの保護対象物を加工し、この加工した保護対象物を吸着体として用いている。これにより、汚染物質を含む空気が通過するとともに、悪影響を及ぼす汚染物質のみを選択的に吸着体に吸着して除去することができ、クリーンルームなどの空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着体の性能が早期に低下することを防止できる。
【0011】
また、吸着体への汚染物質の吸着現象は、発熱現象であり、低温にするほど吸着体への汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大する。このため、冷却装置で吸着体及び/又は吸着体に供給する空気を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になる。
【0012】
さらに、このとき、吸着体に供給する空気が低湿度である場合においても、冷却装置で吸着体及び/又はこの吸着体に供給する空気を冷却して、ケミカルフィルタを通過する空気を露点付近まで冷却させることによって、吸着体の表面から吸着水が奪われることを防止でき、吸着体の性能(汚染物質の除去効果)を確保することが可能になる。また、このように低湿度の空気を冷却装置で露点付近まで冷却させることにより、この低湿度の空気中の水分が微量ながらケミカルフィルタ内で結露する。このため、ケミカルフィルタが水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0013】
また、本発明のケミカルフィルタにおいては、前記吸着体に供給する空気及び/又は前記通過する空気の温度及び湿度を計測する温湿度センサーと、該温湿度センサーの計測結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する制御装置とを備えていることが望ましい。
【0014】
この発明においては、温湿度センサーの計測結果に基づいて制御装置により冷却装置の駆動、すなわち、吸着体及び/又はこの吸着体に供給する空気の温度ひいてはケミカルフィルタを通過する空気の温度が制御される。これにより、空気中から保護対象物に悪影響を及ぼす汚染物質を確実に且つ高精度で除去することが可能になる。
【0015】
本発明のクリーンルームは、上記のケミカルフィルタを備えて構成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、上記のケミカルフィルタを備えて構成されていることにより、このクリーンルームを低湿度で制御する場合においても、空気中の汚染物質の濃度を確実に低減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のケミカルフィルタ及びクリーンルームによれば、ケミカルフィルタが、加工した保護対象物を吸着体として備えていることにより、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)に用いた場合と比較し、シリコンウエハやガラス基板などの保護対象物に吸着しやすい汚染物質を選択的に除去することが可能になる。これにより、吸着体の性能が早期に低下することがなく、ランニングコストを低減することが可能になる。
【0018】
また、ケミカルフィルタが冷却装置を備えていることにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になるとともに、吸着体に供給する空気が低湿度である場合においても、吸着体の表面から吸着水が奪われることを防止でき、汚染物質の除去効果を確保することが可能になる。さらに、ケミカルフィルタが水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームについて説明する。本実施形態は、例えば半導体や液晶デバイスの生産・開発用クリーンルームの空気環境を所定の清浄度で保持するためのケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームに関するものである。
【0020】
本実施形態のクリーンルーム1(1a)は、図1に示すように、空調機2の駆動とともに外気3が中性能フィルタ4を介して空調機2に吸入され、さらに、この外気3が空調機2からULPA、HEPA等の第1高性能フィルタ5、ケミカルフィルタ6、第2高性能フィルタ7で順にろ過され、清浄化した空気が供給されるように構成されている。また、クリーンルーム1a(1)から一部の空気が排気8されるとともに、このクリーンルーム1a(1)内の多くの空気が送風機9の駆動とともに循環空気10として給気側に返還されており、この循環空気10が第3高性能フィルタ11を介して浄化されて新しく吸入された外気3に合流するように構成されている。
【0021】
一方、本実施形態のケミカルフィルタ6は、図1に示すように、第2高性能フィルタ7に付属した状態で設けられ、図2に示すように、ケーシング20と吸着体21と冷却装置22と制御装置23と温湿度センサー24(温度センサー24a、24b、湿度センサー24c、24d)とを備えて構成されている。
【0022】
ケーシング20は、例えば金属などの熱伝導性に優れた材料を用いて形成されており、第1高性能フィルタ5に繋がるダクト(空調機側ダクト25)が一端側に、第2高性能フィルタ7に繋がるダクト(クリーンルーム側ダクト26)が他端側に、互いに連通して接続されている。
【0023】
吸着体21は、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用される保護対象物を加工したものであり、すなわち、本実施形態では、クリーンルーム1a(1)内で生産あるいは使用されるシリコンウエハやガラス基板等を板状に加工したり、破砕加工するなどして微細化したものであり、ケーシング20の内部に適度な隙間を形成した状態で充填されている。なお、この吸着体21は、吸着性能が比表面積に比例するため、微細に加工するほどに優れた吸着性能を発揮することになるが、あまり細かすぎると前記隙間を通過する空気の圧力損失が増加してエネルギー負荷が大きくなる。このため、吸着体21は、0.1mm〜3mm程度の粒径で形成されていることが望ましい。
【0024】
冷却装置22は、例えばペルチェ素子などを用いて形成され、ケーシング20を囲繞するように設けられている。また、冷却装置22は、その冷却装置用電源22aが例えばパソコンなどの制御装置23に繋げられ、この制御装置23によって駆動が制御されている。さらに、温度センサー24a、24bと湿度センサー24c、24dの一対の温湿度センサー24が空調機側ダクト25内とケーシング20内とにそれぞれ配設されるとともに、制御装置23に繋げられている。
【0025】
ついで、上記構成からなるケミカルフィルタ6及びこれを備えたクリーンルーム1の作用及び効果について説明する。
【0026】
本実施形態のクリーンルーム1においては、空調機2の駆動により外気3が中性能フィルタ4を介して空調機2に吸入され、この外気3が第1高性能フィルタ5でろ過されるとともに、送風機9の駆動によりクリーンルーム1a(1)から返還された循環空気10が合流し、空調機側ダクト25を通じてケミカルフィルタ6に供給される。
【0027】
このとき、ケミカルフィルタ6の吸着体21が、クリーンルーム1a(1)内で生産あるいは使用されるシリコンウエハやガラス基板等の細片であるため、この吸着体21に供給される分子状・ガス状汚染物質を含んだ空気28が吸着体21の前記隙間を通過するとともに、シリコンウエハやガラス基板に吸着する汚染物質のみが選択的に吸着される。これにより、シリコンウエハやガラス基板に吸着して悪影響を及ぼす汚染物質が確実に吸着除去され、悪影響を及ぼすことのない他の物質が吸着体21に吸着することがないため、吸着体21の性能が早期に低下することがない。
【0028】
また、本実施形態においては、空調機側ダクト25を流通する空気(吸着体21に供給する空気)と、吸着体21の隙間を通過する空気(ケミカルフィルタ6を通過する空気)のそれぞれの温度と湿度が温湿度センサー24で計測されている。さらに、これら温湿度センサー24の計測結果に基づいて制御装置23により冷却装置22の駆動が制御され、冷却装置22によってケーシング20ひいては吸着体21、さらに吸着体21の隙間を通過する空気が所定の温度に冷却される。そして、吸着体21への汚染物質の吸着現象は、低温であるほどに吸着速度及び吸着量が増大するため、冷却装置22で吸着体21を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能が高められ、確実に汚染物質が除去されることになる。
【0029】
さらに、このように温湿度センサー24の計測結果に基づき、制御装置23により冷却装置22の駆動(吸着体21の温度、ケミカルフィルタ6を通過する空気の温度)が制御されることにより、シリコンウエハやガラス基板等に吸着して悪影響を及ぼす汚染物質が確実に且つ高精度で空気中から除去される。そして、このようにケミカルフィルタ6を通過した空気が第2高性能フィルタ7でろ過され、高精度で清浄化した空気がクリーンルーム1a(1)に供給される。
【0030】
一方、例えば、空調機により、あるいは第1高性能フィルタ5とケミカルフィルタ6の間に設けた図示せぬ湿度調整装置により、空気の湿度を調整して、クリーンルーム1a(1)を低湿度に制御する場合には、例えば露点が−40℃、23℃における相対湿度が1%以下の超低湿度の空気28がケミカルフィルタ6を通過することになり、吸着体21の表面水分量が減少し、汚染物質の除去効果が低下するおそれが生じる。
【0031】
これに対し、本実施形態においては、吸着体21に供給される低湿度の空気28の温度及び湿度が温湿度センサー24で計測されているため、この温湿度センサー24の計測結果に基づいて、制御装置23がケミカルフィルタ6を通過する空気を露点付近まで冷却させるように冷却装置22の駆動を制御する。そして、このように冷却装置22で露点付近まで冷却された空気がケーシング20内(吸着体21の隙間)を通過すると、この空気が超低湿度である場合においても吸着体21の表面に微量な結露水による被膜が形成される。これにより、吸着体21の表面から吸着水が奪われることがなく、この結露水をバインダーとして汚染物質の吸着除去が促進され、吸着体21の性能(汚染物質の除去効果)が確保される。また、このように低湿度の空気28中の水分が微量ながらケミカルフィルタ6(ケーシング20)内で結露することによって、ケミカルフィルタ6が水分トラップとしても機能することになり、クリーンルーム1a(1)の低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0032】
ここで、一般室内では、湿度の変化が大きいため、このように空気を露点近傍まで冷却すると、場合によっては大量の結露水が発生し不具合が生じるおそれもあるが、本実施形態においては、温湿度センサー24で空気の温度及び湿度を計測し、この計測結果に基づき、制御装置23によって冷却装置22の駆動ひいては空気の冷却温度が制御されている。また、クリーンルーム1a(1)では、本来均一な温湿度制御が実施されていることから、結露を生じさせる露点の制御が比較的容易に行える。このため、吸着体21の表面に汚染物質の吸着を阻害するほど大量の結露水が発生することはなく、確実に吸着体21によって汚染物質が選択的に吸着除去される。
【0033】
したがって、本実施形態のケミカルフィルタ6及びこれを備えたクリーンルーム1においては、ケミカルフィルタ6が、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用(開発)されるシリコンウエハやガラス基板(保護対象物)を加工し、この加工した保護対象物を吸着体21として備えていることにより、汚染物質を含む空気28が通過するとともに、悪影響を及ぼす汚染物質のみを選択的に吸着体21に吸着して除去することができ、クリーンルーム1の空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着体21の性能が早期に低下することを防止できる。これにより、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)に用いた場合と比較し、吸着体21を頻繁に交換する必要がなく、ランニングコストを低減することが可能になる。
【0034】
また、冷却装置22で吸着体21を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になる。
【0035】
さらに、吸着体21に供給する空気28が低湿度である場合においても、冷却装置21で吸着体21を冷却して、ケミカルフィルタ6を通過する空気を露点付近まで冷却させることによって、吸着体21の表面から吸着水が奪われることを防止でき、吸着体21の性能を確保することが可能になる。また、このように低湿度の空気を冷却装置22で露点付近まで冷却させることにより、この低湿度の空気中の水分が微量ながらケミカルフィルタ6内で結露する。このため、ケミカルフィルタ6が水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0036】
また、温湿度センサー24の計測結果に基づいて制御装置23により冷却装置22の駆動、すなわち、吸着体21及び/又はこの吸着体21に供給する空気8の温度ひいてはケミカルフィルタ6を通過する空気の温度が制御されることにより、空気中から保護対象物に悪影響を及ぼす汚染物質を確実に且つ高精度で除去することが可能になる。
【0037】
以上、本発明に係るケミカルフィルタ及びこれを用いたクリーンルームの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、冷却装置22がケーシング20を囲繞するように設けられ、この冷却装置22によって吸着体21を冷却することにより、ケミカルフィルタ6を通過する空気を冷却するものとしたが、空調機側ダクト25(吸着体21に対して空気の流通方向上流側)に冷却装置22を設け、吸着体21に供給する空気28を予め冷却するように構成してもよい。この場合においても、ケミカルフィルタ6を通過する空気が冷却されているため、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
また、必ずしも吸着体21をケーシング20内に充填してケミカルフィルタ6を構成することに限定しなくてもよく、例えば高性能フィルタ(第2高性能フィルタ7)に接着剤を用いて吸着体21を一体に固着してケミカルフィルタを構成するなどしてもよい。
【0039】
また、例えば吸着体21と光触媒を混合してケーシング20内に収容したり、光触媒を固定化した吸着体21をケーシング20内に充填するようにしてもよく、この場合には、照明器具から適宜光を照射することにより、吸着体21に吸着された汚染物質を分解除去することが可能になり、吸着体21の寿命を長期化してランニングコストをさらに低減することが可能になるとともに、ケミカルフィルタ6の維持管理の効率化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るクリーンルームを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るケミカルフィルタを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 クリーンルーム
1a クリーンルーム
2 空調機
3 外気
4 中性能フィルタ
5 第1高性能フィルタ
6 ケミカルフィルタ
7 第2高性能フィルタ
8 排気
9 送風機
10 循環空気
11 第3高性能フィルタ
20 ケーシング
21 吸着体
22 冷却装置
22a 冷却装置用電源
23 制御装置
24 温湿度センサー
25 空調機側ダクト
26 クリーンルーム側ダクト
27 清浄化した空気
28 吸着体に供給する空気
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体や液晶デバイスの生産・開発用クリーンルームでは、各種の分子状・ガス状汚染物質の室内空気中濃度を低減させる必要がある。特に、クリーンルームの構成材料、室内装置、使用薬品等から室内に拡散するDBPやDOP等の樹脂用可塑剤、BHTなどの酸化防止剤、リン酸エステル類などの難燃材、低分子環状シロキサン類は、シリコンウエハや液晶パネル用ガラス基板(保護対象物)の表面に吸着しやすく、リーク電流の増大や絶縁耐圧の低下など電気的特性に悪影響を及ぼすため、空気中から除去することが求められている。
【0003】
そして、これらの分子状・ガス状汚染物質を除去するために、活性炭などの吸着剤を備えたケミカルフィルタで空気をろ過してクリーンルーム内への給気を行うようにしている。しかしながら、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤に用いた場合には、シリコンウエハやガラス基板に吸着しにくい物質も除去対象の汚染物質とともに吸着除去される。このため、吸着剤の性能が早期に低下し、頻繁に吸着剤の交換が必要になって、ランニングコストの増大を招くという問題があった。
【0004】
これに対し、本願の発明者らは、シリコンウエハやガラス基板の半導体(保護対象物)を微細化し、このチップをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)として用いることを提案している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そして、このケミカルフィルタにおいては、汚染物質を含む空気が通過するとともに、シリコンウエハやガラス基板に悪影響を及ぼす汚染物質のみが選択的に吸着剤に吸着して除去される。これにより、クリーンルームの空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着剤の性能が早期に低下することを防止できる。
【特許文献1】特開2004−84971号公報
【特許文献2】特開2005−118744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、フラットパネルディスプレイの技術動向から、有機ELの普及が期待されている。また、携帯機器類の普及により高性能な電池類の開発が急ピッチで進められている。そして、これら有機ELや高性能電池類などの製造には、分子状・ガス状汚染物質を除去することに加えて、低湿度に制御されたクリーンルームが必要になる。
【0006】
このようにクリーンルームを低湿度に制御する場合には、低湿度の空気がケミカルフィルタを通過することで、吸着剤の表面水分量が減少し、汚染物質の除去効果が低下するおそれがある。すなわち、シリコンウエハやガラス基板を微細化してなる吸着剤への汚染物質の吸着現象は、吸着剤の表面の水分(吸着水)が一種のバインダーとして機能することにより生じるため、低湿度の空気が通過し、吸着剤の表面から吸着水が奪われることで、吸着剤の性能(汚染物質の除去効果)が低下するおそれが生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、低湿度の空気に対してもこの空気に含まれる汚染物質を効果的に吸着除去することが可能なケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明のケミカルフィルタは、通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体を備え、該吸着体で清浄化した空気を供給するためのケミカルフィルタであって、前記清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、前記汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、該加工した保護対象物を前記吸着体として備えるとともに、前記吸着体及び/又は前記吸着体に供給する空気を冷却する冷却装置を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明においては、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用(開発)されるシリコンウエハやガラス基板などの保護対象物を加工し、この加工した保護対象物を吸着体として用いている。これにより、汚染物質を含む空気が通過するとともに、悪影響を及ぼす汚染物質のみを選択的に吸着体に吸着して除去することができ、クリーンルームなどの空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着体の性能が早期に低下することを防止できる。
【0011】
また、吸着体への汚染物質の吸着現象は、発熱現象であり、低温にするほど吸着体への汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大する。このため、冷却装置で吸着体及び/又は吸着体に供給する空気を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になる。
【0012】
さらに、このとき、吸着体に供給する空気が低湿度である場合においても、冷却装置で吸着体及び/又はこの吸着体に供給する空気を冷却して、ケミカルフィルタを通過する空気を露点付近まで冷却させることによって、吸着体の表面から吸着水が奪われることを防止でき、吸着体の性能(汚染物質の除去効果)を確保することが可能になる。また、このように低湿度の空気を冷却装置で露点付近まで冷却させることにより、この低湿度の空気中の水分が微量ながらケミカルフィルタ内で結露する。このため、ケミカルフィルタが水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0013】
また、本発明のケミカルフィルタにおいては、前記吸着体に供給する空気及び/又は前記通過する空気の温度及び湿度を計測する温湿度センサーと、該温湿度センサーの計測結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する制御装置とを備えていることが望ましい。
【0014】
この発明においては、温湿度センサーの計測結果に基づいて制御装置により冷却装置の駆動、すなわち、吸着体及び/又はこの吸着体に供給する空気の温度ひいてはケミカルフィルタを通過する空気の温度が制御される。これにより、空気中から保護対象物に悪影響を及ぼす汚染物質を確実に且つ高精度で除去することが可能になる。
【0015】
本発明のクリーンルームは、上記のケミカルフィルタを備えて構成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、上記のケミカルフィルタを備えて構成されていることにより、このクリーンルームを低湿度で制御する場合においても、空気中の汚染物質の濃度を確実に低減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のケミカルフィルタ及びクリーンルームによれば、ケミカルフィルタが、加工した保護対象物を吸着体として備えていることにより、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)に用いた場合と比較し、シリコンウエハやガラス基板などの保護対象物に吸着しやすい汚染物質を選択的に除去することが可能になる。これにより、吸着体の性能が早期に低下することがなく、ランニングコストを低減することが可能になる。
【0018】
また、ケミカルフィルタが冷却装置を備えていることにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になるとともに、吸着体に供給する空気が低湿度である場合においても、吸着体の表面から吸着水が奪われることを防止でき、汚染物質の除去効果を確保することが可能になる。さらに、ケミカルフィルタが水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームについて説明する。本実施形態は、例えば半導体や液晶デバイスの生産・開発用クリーンルームの空気環境を所定の清浄度で保持するためのケミカルフィルタ及びこれを備えたクリーンルームに関するものである。
【0020】
本実施形態のクリーンルーム1(1a)は、図1に示すように、空調機2の駆動とともに外気3が中性能フィルタ4を介して空調機2に吸入され、さらに、この外気3が空調機2からULPA、HEPA等の第1高性能フィルタ5、ケミカルフィルタ6、第2高性能フィルタ7で順にろ過され、清浄化した空気が供給されるように構成されている。また、クリーンルーム1a(1)から一部の空気が排気8されるとともに、このクリーンルーム1a(1)内の多くの空気が送風機9の駆動とともに循環空気10として給気側に返還されており、この循環空気10が第3高性能フィルタ11を介して浄化されて新しく吸入された外気3に合流するように構成されている。
【0021】
一方、本実施形態のケミカルフィルタ6は、図1に示すように、第2高性能フィルタ7に付属した状態で設けられ、図2に示すように、ケーシング20と吸着体21と冷却装置22と制御装置23と温湿度センサー24(温度センサー24a、24b、湿度センサー24c、24d)とを備えて構成されている。
【0022】
ケーシング20は、例えば金属などの熱伝導性に優れた材料を用いて形成されており、第1高性能フィルタ5に繋がるダクト(空調機側ダクト25)が一端側に、第2高性能フィルタ7に繋がるダクト(クリーンルーム側ダクト26)が他端側に、互いに連通して接続されている。
【0023】
吸着体21は、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用される保護対象物を加工したものであり、すなわち、本実施形態では、クリーンルーム1a(1)内で生産あるいは使用されるシリコンウエハやガラス基板等を板状に加工したり、破砕加工するなどして微細化したものであり、ケーシング20の内部に適度な隙間を形成した状態で充填されている。なお、この吸着体21は、吸着性能が比表面積に比例するため、微細に加工するほどに優れた吸着性能を発揮することになるが、あまり細かすぎると前記隙間を通過する空気の圧力損失が増加してエネルギー負荷が大きくなる。このため、吸着体21は、0.1mm〜3mm程度の粒径で形成されていることが望ましい。
【0024】
冷却装置22は、例えばペルチェ素子などを用いて形成され、ケーシング20を囲繞するように設けられている。また、冷却装置22は、その冷却装置用電源22aが例えばパソコンなどの制御装置23に繋げられ、この制御装置23によって駆動が制御されている。さらに、温度センサー24a、24bと湿度センサー24c、24dの一対の温湿度センサー24が空調機側ダクト25内とケーシング20内とにそれぞれ配設されるとともに、制御装置23に繋げられている。
【0025】
ついで、上記構成からなるケミカルフィルタ6及びこれを備えたクリーンルーム1の作用及び効果について説明する。
【0026】
本実施形態のクリーンルーム1においては、空調機2の駆動により外気3が中性能フィルタ4を介して空調機2に吸入され、この外気3が第1高性能フィルタ5でろ過されるとともに、送風機9の駆動によりクリーンルーム1a(1)から返還された循環空気10が合流し、空調機側ダクト25を通じてケミカルフィルタ6に供給される。
【0027】
このとき、ケミカルフィルタ6の吸着体21が、クリーンルーム1a(1)内で生産あるいは使用されるシリコンウエハやガラス基板等の細片であるため、この吸着体21に供給される分子状・ガス状汚染物質を含んだ空気28が吸着体21の前記隙間を通過するとともに、シリコンウエハやガラス基板に吸着する汚染物質のみが選択的に吸着される。これにより、シリコンウエハやガラス基板に吸着して悪影響を及ぼす汚染物質が確実に吸着除去され、悪影響を及ぼすことのない他の物質が吸着体21に吸着することがないため、吸着体21の性能が早期に低下することがない。
【0028】
また、本実施形態においては、空調機側ダクト25を流通する空気(吸着体21に供給する空気)と、吸着体21の隙間を通過する空気(ケミカルフィルタ6を通過する空気)のそれぞれの温度と湿度が温湿度センサー24で計測されている。さらに、これら温湿度センサー24の計測結果に基づいて制御装置23により冷却装置22の駆動が制御され、冷却装置22によってケーシング20ひいては吸着体21、さらに吸着体21の隙間を通過する空気が所定の温度に冷却される。そして、吸着体21への汚染物質の吸着現象は、低温であるほどに吸着速度及び吸着量が増大するため、冷却装置22で吸着体21を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能が高められ、確実に汚染物質が除去されることになる。
【0029】
さらに、このように温湿度センサー24の計測結果に基づき、制御装置23により冷却装置22の駆動(吸着体21の温度、ケミカルフィルタ6を通過する空気の温度)が制御されることにより、シリコンウエハやガラス基板等に吸着して悪影響を及ぼす汚染物質が確実に且つ高精度で空気中から除去される。そして、このようにケミカルフィルタ6を通過した空気が第2高性能フィルタ7でろ過され、高精度で清浄化した空気がクリーンルーム1a(1)に供給される。
【0030】
一方、例えば、空調機により、あるいは第1高性能フィルタ5とケミカルフィルタ6の間に設けた図示せぬ湿度調整装置により、空気の湿度を調整して、クリーンルーム1a(1)を低湿度に制御する場合には、例えば露点が−40℃、23℃における相対湿度が1%以下の超低湿度の空気28がケミカルフィルタ6を通過することになり、吸着体21の表面水分量が減少し、汚染物質の除去効果が低下するおそれが生じる。
【0031】
これに対し、本実施形態においては、吸着体21に供給される低湿度の空気28の温度及び湿度が温湿度センサー24で計測されているため、この温湿度センサー24の計測結果に基づいて、制御装置23がケミカルフィルタ6を通過する空気を露点付近まで冷却させるように冷却装置22の駆動を制御する。そして、このように冷却装置22で露点付近まで冷却された空気がケーシング20内(吸着体21の隙間)を通過すると、この空気が超低湿度である場合においても吸着体21の表面に微量な結露水による被膜が形成される。これにより、吸着体21の表面から吸着水が奪われることがなく、この結露水をバインダーとして汚染物質の吸着除去が促進され、吸着体21の性能(汚染物質の除去効果)が確保される。また、このように低湿度の空気28中の水分が微量ながらケミカルフィルタ6(ケーシング20)内で結露することによって、ケミカルフィルタ6が水分トラップとしても機能することになり、クリーンルーム1a(1)の低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0032】
ここで、一般室内では、湿度の変化が大きいため、このように空気を露点近傍まで冷却すると、場合によっては大量の結露水が発生し不具合が生じるおそれもあるが、本実施形態においては、温湿度センサー24で空気の温度及び湿度を計測し、この計測結果に基づき、制御装置23によって冷却装置22の駆動ひいては空気の冷却温度が制御されている。また、クリーンルーム1a(1)では、本来均一な温湿度制御が実施されていることから、結露を生じさせる露点の制御が比較的容易に行える。このため、吸着体21の表面に汚染物質の吸着を阻害するほど大量の結露水が発生することはなく、確実に吸着体21によって汚染物質が選択的に吸着除去される。
【0033】
したがって、本実施形態のケミカルフィルタ6及びこれを備えたクリーンルーム1においては、ケミカルフィルタ6が、清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用(開発)されるシリコンウエハやガラス基板(保護対象物)を加工し、この加工した保護対象物を吸着体21として備えていることにより、汚染物質を含む空気28が通過するとともに、悪影響を及ぼす汚染物質のみを選択的に吸着体21に吸着して除去することができ、クリーンルーム1の空気中の汚染物質の濃度を低減させつつ、吸着体21の性能が早期に低下することを防止できる。これにより、活性炭などをケミカルフィルタの吸着剤(吸着体)に用いた場合と比較し、吸着体21を頻繁に交換する必要がなく、ランニングコストを低減することが可能になる。
【0034】
また、冷却装置22で吸着体21を冷却することにより、汚染物質の吸着速度及び吸着量が増大し、吸着性能を高め、確実に汚染物質を除去することが可能になる。
【0035】
さらに、吸着体21に供給する空気28が低湿度である場合においても、冷却装置21で吸着体21を冷却して、ケミカルフィルタ6を通過する空気を露点付近まで冷却させることによって、吸着体21の表面から吸着水が奪われることを防止でき、吸着体21の性能を確保することが可能になる。また、このように低湿度の空気を冷却装置22で露点付近まで冷却させることにより、この低湿度の空気中の水分が微量ながらケミカルフィルタ6内で結露する。このため、ケミカルフィルタ6が水分トラップとしても機能し、低湿度の空気環境の維持にも有効となる。
【0036】
また、温湿度センサー24の計測結果に基づいて制御装置23により冷却装置22の駆動、すなわち、吸着体21及び/又はこの吸着体21に供給する空気8の温度ひいてはケミカルフィルタ6を通過する空気の温度が制御されることにより、空気中から保護対象物に悪影響を及ぼす汚染物質を確実に且つ高精度で除去することが可能になる。
【0037】
以上、本発明に係るケミカルフィルタ及びこれを用いたクリーンルームの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、冷却装置22がケーシング20を囲繞するように設けられ、この冷却装置22によって吸着体21を冷却することにより、ケミカルフィルタ6を通過する空気を冷却するものとしたが、空調機側ダクト25(吸着体21に対して空気の流通方向上流側)に冷却装置22を設け、吸着体21に供給する空気28を予め冷却するように構成してもよい。この場合においても、ケミカルフィルタ6を通過する空気が冷却されているため、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
また、必ずしも吸着体21をケーシング20内に充填してケミカルフィルタ6を構成することに限定しなくてもよく、例えば高性能フィルタ(第2高性能フィルタ7)に接着剤を用いて吸着体21を一体に固着してケミカルフィルタを構成するなどしてもよい。
【0039】
また、例えば吸着体21と光触媒を混合してケーシング20内に収容したり、光触媒を固定化した吸着体21をケーシング20内に充填するようにしてもよく、この場合には、照明器具から適宜光を照射することにより、吸着体21に吸着された汚染物質を分解除去することが可能になり、吸着体21の寿命を長期化してランニングコストをさらに低減することが可能になるとともに、ケミカルフィルタ6の維持管理の効率化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るクリーンルームを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るケミカルフィルタを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 クリーンルーム
1a クリーンルーム
2 空調機
3 外気
4 中性能フィルタ
5 第1高性能フィルタ
6 ケミカルフィルタ
7 第2高性能フィルタ
8 排気
9 送風機
10 循環空気
11 第3高性能フィルタ
20 ケーシング
21 吸着体
22 冷却装置
22a 冷却装置用電源
23 制御装置
24 温湿度センサー
25 空調機側ダクト
26 クリーンルーム側ダクト
27 清浄化した空気
28 吸着体に供給する空気
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体を備え、該吸着体で清浄化した空気を供給するためのケミカルフィルタであって、
前記清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、前記汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、該加工した保護対象物を前記吸着体として備えるとともに、
前記吸着体及び/又は前記吸着体に供給する空気を冷却する冷却装置を備えていることを特徴とするケミカルフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のケミカルフィルタにおいて、
前記吸着体に供給する空気及び/又は前記通過する空気の温度及び湿度を計測する温湿度センサーと、該温湿度センサーの計測結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する制御装置とを備えていることを特徴とするケミカルフィルタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のケミカルフィルタを備えて構成されていることを特徴とするクリーンルーム。
【請求項1】
通過する空気に含まれた汚染物質を吸着除去する吸着体を備え、該吸着体で清浄化した空気を供給するためのケミカルフィルタであって、
前記清浄化した空気を供給する空気環境下で生産あるいは使用され、前記汚染物質が吸着することにより悪影響が生じる保護対象物を加工し、該加工した保護対象物を前記吸着体として備えるとともに、
前記吸着体及び/又は前記吸着体に供給する空気を冷却する冷却装置を備えていることを特徴とするケミカルフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のケミカルフィルタにおいて、
前記吸着体に供給する空気及び/又は前記通過する空気の温度及び湿度を計測する温湿度センサーと、該温湿度センサーの計測結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する制御装置とを備えていることを特徴とするケミカルフィルタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のケミカルフィルタを備えて構成されていることを特徴とするクリーンルーム。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2009−291675(P2009−291675A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145365(P2008−145365)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]