説明

ケーブル布設済み保護管補修方法

【課題】保護管を、ケーブルが布設されたままの状態で補修することができる保護管補修方法を得る。
【解決手段】保護管22の一方の開口部側で管状補修材1を構成する一方の分割部材2内へケーブル25を入れた後、該分割部材2の分割面へ他の分割部材3の分割面を結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を保護管内22へ一方の開口部から挿入し、この後、また、前記方法で次の管状補修材1を形成し、該管状補修材1の一方の開口端部を、先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続してから該管状補修材1を保護管22内へ挿入して先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル25を通した状態で管状補修材1を保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されている管の補修方法として、埋設管の内面に筒状ライニング材を固定して補修する方法が知られている。この方法は、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂或いは常温硬化性樹脂を含浸または塗布した可撓性のある材料で形成された筒状ライニング材を管路の内部に配置し、この筒状ライニング材を水圧或いは空気圧等で膨らませて管路の内面に押し付け、この筒状ライニング材内に、高温の温水、蒸気を通し、或いは紫外線を照射することにより、硬化性樹脂を硬化させてライニングするものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−4853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の如き埋設管の補修方法は、管の内部に遮るものが無ければ適用できるが、ケーブルが管の内部に布設されているような場合、ケーブルが邪魔になって適用することができないといった問題があった。例えば、従来より、電力線や電話線等のケーブルを地中に埋設された保護管内に収容して布設することが広く行われているが、かかる保護管の補修には上記埋設管の補修方法は適用することができず、適用しようとすれば、前記保護管からケーブルを取り除かなければならず、非常に面倒な作業を強いられる。
【0004】
本発明の目的は、内部にケーブルが布設されている保護管を、ケーブルが布設されたままの状態で補修することができるケーブル布設済み保護管補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法であって、前記管状補修材は、軸方向に分割された2つの分割部材で構成され、2つの分割部材には、分割面に、2つの分割部材の分割面同士を結合して管状補修材を形成する結合手段と、軸方向両端部に、前記結合手段により2つの分割部材が結合されて形成された管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、保護管の一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面には、多数の突起が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の、前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面に形成された突起は、分割部材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の、前記管状補修材を構成する一方の分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合する際、及び分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する分割部材の分割面及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記管状補修材に併せて可撓管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修する請求項1,2,3又は4に記載のケーブル布設済み保護管補修方法であって、前記可撓管状補修材は、軸方向に分割された2つの分割部材で構成され、2つの分割部材は軸方向に可撓構造を有し、該2つの分割部材の分割面に、2つの分割部材の分割面同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、軸方向両端部に、前記結合手段により2つの分割部材が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部と前記管状補修材の開口端部を接続する接続手段とを備えた構造となっており、前記可撓管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、軸方向に分割された2つの分割部材の分割面同士を結合手段により結合して形成される管状補修材であって、形成された管状補修材の開口端部同士が接続手段により接続されるように構成された管状補修材が用いられ、保護管の一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、保護管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなくケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、請求項1に記載の、前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面には、多数の突起が形成されているので、保護管の内周面と、保護管内へ挿入した管状補修材との接触面積が小さくなり、管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材を保護管内へ挿入し保護管の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0012】
請求項3に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、請求項2に記載の、前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面に形成された突起が、分割部材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであると、保護管の内周面と、保護管内へ挿入した管状補修材との接触面積が小さくなり、管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材を保護管内へ挿入し保護管の他方の開口部側へ容易に移動させることができるとともに、2つの分割部材の表面に形成されたリブが、管状補修材の周方向及び/又は軸方向の強度を向上させることになり、その分2つの分割部材の肉厚を薄くすることができ、管状補修材の軽量化と材料費の削減を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、請求項1,2又は3に記載の、前記管状補修材を構成する一方の分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合する際、及び分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する分割部材の分割面及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布するようにしたので、管状補修材を構成する2つの分割部材の結合された分割面の間及び接続された管状補修材の間からの水漏れを防止することができる。
【0014】
請求項5に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、前記請求項1,2,3又は4に記載の管状補修材に併せて、可撓管状補修材が用いられて、内部にケーブルが布設されている保護管を補修するものであって、前記可撓管状補修材は、軸方向に分割された2つの分割部材で構成され、2つの分割部材は軸方向に可撓構造を有し、該2つの分割部材の分割面に、2つの分割部材の分割面同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、軸方向両端部に、前記結合手段により2つの分割部材が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部と前記管状補修材の開口端部を接続する接続手段とを備えた構造となっており、前記可撓管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置する方法をとるので、保護管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなくケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができ、そして、保護管内へ管状補修材及び可撓管状補修材を挿入し移動させる際に、保護管に曲線部分があっても、管状補修材の間に配置された可撓管状補修材が保護管の曲線部分に応じて曲がり、保護管内における管状補修材及び可撓管状補修材の円滑な移動を可能にすることができ、保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って管状補修材及び可撓管状補修材を確実に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法を実施するための最良の形態の一例を説明する。
【0016】
図1乃至図4は本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の一例を示すものであり、図1は管状補修材の斜視図、図2は図1に示す管状補修材を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図、図3は図1に示す管状補修材を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図、図4は図1のA−A線拡大断面図である。
【0017】
本例の管状補修材1は、軸方向に半割状態で2分割された2つの分割部材2,3で構成されている。2つの分割部材2,3には、分割面4,5に、2つの分割部材2,3の分割面4,5同士を結合して管状補修材1を形成する結合手段6と、軸方向両端部に、前記結合手段6により2つの分割部材2,3が結合されて形成された1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段7とを備えた構造となっている。
【0018】
前記管状補修材1を構成する2つの分割部材2,3は、プラスチック、金属等で形成されるが、本例ではプラスチックで形成されている。また、前記2つの分割部材2,3の分割面4,5同士を結合して管状補修材1を形成する結合手段6にあっては、本例では、一方の分割部材2の分割面4の長手方向に形成された嵌合溝部8と、他方の分割部材3の分割面5に形成され、前記嵌合溝部8に嵌合する突条部9とから構成されているが、これに限定されるものではない。前記結合手段6を構成する本例の前記嵌合溝部8は溝開口部より溝奥部が幅広となっており、また突条部9は前記嵌合溝部8の溝形に合わせて頭部が嵌合溝部8の溝開口部より幅広となっており、嵌合溝部8内へ突条部9をプラスチックの材質変形を利用して押し込み嵌合して結合するようになっている。
【0019】
また、前記結合手段6により2つの分割部材2,3が結合されて形成された1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段7にあっても、特に限定されるものではない。本例では、接続手段7は、管状補修材1の一方の開口端部側に大径内周部10が形成され、他方の開口部側に前記大径内周部10内に挿入可能な小径外周部11が形成され、前記大径内周部10の内周面には、開口端部から軸方向に伸びる直進溝12と直進溝12の先端から周方向に曲がる交差溝13とからなる鍵状の係止溝部14が、周方向に所定の間隔で複数形成されており、また、小径外周部11の外周面には、前記係止溝部14に対応する位置に、係止溝部14に係止可能な係止突部15が形成された構成となっている(図1、図2、図3参照)。
【0020】
そして、1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部との接続にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部10の内周面に形成されている係止溝部14に他の管状補修材1の小径外周部11の外周面に形成されている係止突部15を一致させて、1つの管状補修材1の大径内周部10内に他の管状補修材1の小径外周部11を挿入し、係止溝部14の直進溝12内を進んだ係止突部15が交差溝13に達したら、他の管状補修材1を交差溝13に沿って回転させることにより、係止突部15が交差溝13内に入り、係止突部15が交差溝13に係止して、1つの管状補修材1から他の管状補修材1の抜け止めが図られ、1つの管状補修材1と他の管状補修材1の接続が完了するようになっている。
【0021】
前記接続手段7を構成する管状補修材1の大径内周部10と小径外周部11にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部10内に他の管状補修材1の小径外周部11を挿入したとき、大径内周部10と小径外周部11との間に多少の遊びがあり、また、管状補修材1の係止溝部14と係止突部15にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部10の内周面に形成されている係止溝部14に他の管状補修材1の小径外周部11の外周面に形成されている係止突部15を係止させたとき、係止溝部14と係止突部15との間に多少の遊びがあることが好ましい。
【0022】
このようにすると、接続手段7で接続された管状補修材1間の接続部位での曲がりが可能となり、後述する保護管内へ管状補修材1挿入し移動させる際に、保護管に曲線部分があっても、保護管に曲線部分に応じて接続された管状補修材1間の接続部位で曲がり、保護管内における管状補修材1の円滑な移動を可能にすることができものとなる。
【0023】
また、本例では、前記管状補修材1を構成する2つの分割部材2,3の表面に、多数の突起16が形成されている。前記突起16は分割部材2,3の周方向及び軸方向に形成されたリブ17,18となっている。周方向のリブ17と軸方向のリブ18にあっては、周方向のリブ17よりも軸方向のリブ18の方が高くなるように形成されている(図4参照)。本例では、突起16が周方向のリブ17と軸方向のリブ18となっているが、周方向のリブ17と軸方向のリブ18のいずれか一方であってもよい。
【0024】
図5は、前記1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段7の他例を示すものであって、管状補修材1を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図である。本例の接続手段7は、管状補修材1の一方の開口端部側に形成された大径内周部10の内周面に雌ねじ19が形成され、他方の開口部側に形成された小径外周部11の外周面に、前記雌ねじ19に螺合する雄ねじ20が形成されている。そして、1つの管状補修材1の大径内周部10の内周面に形成されている雌ねじ19に他の管状補修材1の小径外周部11の外周面に形成されている雄ねじ20を螺合させることにより、1つの管状補修材1へ他の管状補修材1が接続されるようになっている。
【0025】
図6は、軸方向に半割状態で2分割された2つの分割部材2,3で構成され管状補修材1の他例を示すもので、本例の管状補修材1は、2つの分割部材2,3のうち、一方の分割部材2が他方の分割部材3よりも周方向に長く、即ち、断面略C字状に形成されている。前記の2つの分割部材2,3の分割面4,5同士を結合して管状補修材1を形成する結合手段6にあっては、本例では、一方の分割部材2の分割面4の長手方向に形成された嵌合溝部8と、他方の分割部材3の分割面5に形成され、前記嵌合溝部8に嵌合する突条部9とから構成されている。そして、本例では、前記断面略C字状に形成されている分割部材2は、弾性材料で形成されており、分割部材2,3の分割面4,5同士の結合は、断面略C字状に形成されている分割部材2を、その分割面4,4間を押し広げてその間に前記分割部材3を入れ、押し広げた分割部材2の復元力により分割部材2の分割面4に形成された嵌合溝部8に分割部材3の分割面5に形成された突条部9を嵌合させて2つの分割部材2,3の分割面4,5同士を結合して管状補修材1を形成するようになっている。
【0026】
図7は、表面に突起16が形成された管状補修材1の他例を示すもので、本例では、略半球状に形成された突起16が分割部材2,3の表面に所定間隔で多数突設されている。
【0027】
次に、上記のように構成された管状補修材1を使用して保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法を、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例として図8乃至図10により説明する。
【0028】
図8は地中に埋設している保護管の一方の開口部側で管状補修材1を構成する一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材2の分割面4へ他の分割部材3の分割面5を結合手段6により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を前記保護管内へ一方の開口部から挿入する工程を示す縦断面図、図9は保護管内に挿入した管状補修材1を、図8と同様にして形成した次の管状補修材1の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図、図10は図9と同様にして保護管内に順次管状補修材1を挿入して、管状補修材1を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図である。
【0029】
図に示すように、地面21の地中に、内部にケーブル25が布設されている保護管22が所定間隔で垂直に立設するマンホール23a,23bで区切られた状態で埋設されている。
【0030】
このような保護管22を補修するにあたり、図8に示すように、先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状補修材1を構成する一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材2の分割面4へ他の分割部材3の分割面5を結合手段6により結合して、内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を形成し、該内部にケーブル25を通した管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0031】
前記内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を形成するにあたり、分割部材2と分割部材3とを結合する前記結合手段6が、一方の分割部材2の分割面4の長手方向に形成された嵌合溝部8と、他方の分割部材3の分割面5に形成され、前記嵌合溝部8に嵌合する突条部9とで構成されていると、一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、一方の分割部材2の分割面4に形成された嵌合溝部8へ他方の分割部材3の分割面5に形成された突条部9を押し込み嵌合するといった簡単な作業で、内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を容易に形成することができる。
【0032】
また、前記のようにして管状補修材1を形成する際に、結合する分割部材2,3の分割面4,5にシーリング剤を塗布することが好ましい。分割部材2,3の分割面4,5にシーリング剤を塗布することにより、管状補修材1を構成する2つの分割部材2,3の結合された分割面4,5の間からの水漏れを防止することができる。
【0033】
次に、前記と同様にして形成した内部にケーブル25を通した状態の次の管状補修材1を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段7により接続してから前記保護管22内へ挿入して前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させる(図9)。前記先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ次の管状補修材1の開口端部を接続手段7により接続する際も、接続する管状補修材1の開口端部にシーリング剤を塗布することが好ましい。先の管状補修材1の開口端部と次の管状補修材1の開口端部にシーリング剤を塗布することにより、接続された管状補修材1,1の間からの水漏れを防止することができる。
【0034】
前記保護管22の一方の開口部から挿入した管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させるには、保護管22の一方の開口部側から管状補修材1を人力或いはジャッキ等機械的手段で押圧し、或いは保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1を引っ張って行うが、特に限定されない。また、保護管22内における管状補修材1の移動を容易にするため、必要に応じて保護管22の内周面に滑剤を塗布してもよい。
【0035】
また、前記管状補修材1を構成する2つの分割部材2,3の表面には、多数の突起16が形成されているとよい。管状補修材1を構成する2つの分割部材2,3の表面に多数の突起16が形成されていると、保護管22の内周面と、保護管内22へ挿入した管状補修材1との接触面積が小さくなり、管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材1を保護管22内へ挿入し保護管22の他方の開口部側へ容易に移動させることができるものとなる。
【0036】
本例では、前記突起16が分割部材2,3の周方向及び軸方向に形成されたリブ17,18となっているので、リブ17,18により管状補修材1の周方向及び軸方向の強度を向上させることができるとともに、周方向のリブ17よりも軸方向のリブ18の方が高くなるように形成されているので、管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さく、管状補修材1を保護管22内へ挿入し保護管22の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0037】
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル25を通した状態で前記管状補修材1をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部から次のマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。そして、保護管22内に配置した管状補修材1を適宜の固定手段24により保護管22に固定する。固定手段24としては、保護管22と管状補修材1との間に、例えば、エポキシ樹脂やモルタル等を注入して固定する。このようにして内部にケーブル25が布設されている保護管22の補修が終了する(図10)。
【0038】
このようにすることにより、内部にケーブル25が布設されている保護管22の補修を、ケーブル25に邪魔されることなく、ケーブル25が布設されたままの状態でケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0039】
上記のケーブル布設済み保護管補修方法において、保護管22内に挿入した管状補修材1の移動を、人力或いはジャッキ等機械的手段で押圧し、或いは引っ張って行うようにしているが、保護管22内における管状補修材1の移動をより一層容易にするものとして、先端部を円錐形状とする管状ガイド体を使用するとよい。
【0040】
図11乃至図13は管状ガイド体の一例を示すものであり、図11は管状ガイド体の斜視図、図12は図11に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図、図13は図11に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図である。
【0041】
本例の管状ガイド体26は、管状補修材1と同径の本体部26aの先端部に、先端方向に向かって縮径となる円錐部26bを有する形状となっており、軸方向に半割状態で2分割された2つの分割部材27,28で構成されている。前記2つの分割部材27,28には、分割面29,30に、2つの分割部材27,28の分割面29,30同士を結合して管状ガイド体26を形成する結合手段31と、前記結合手段31により2つの分割部材27,28が結合されて形成された管状ガイド体26の後部開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段32とを備えた構造となっている。
【0042】
前記2つの分割部材27,28の分割面29,30同士を結合して管状ガイド体26を形成する結合手段31にあっては、本例では、一方の分割部材27の分割面29の長手方向に形成された嵌合溝部33と、他方の分割部材28の分割面30に形成され、前記嵌合溝部33に嵌合する突条部34とから構成されているが、これに限定されるものではない。前記結合手段31を構成する本例の前記嵌合溝部33は溝開口部より溝奥部が幅広となっており、また突条部34は前記嵌合溝部33の溝形の合わせて頭部が嵌合溝部33の溝開口部より幅広となっており、嵌合溝部33内へ突条部34を、分割部材27,28の材質変形を利用して押し込み嵌合して結合するようになっている。
【0043】
また、前記結合手段31により2つの分割部材27,28が結合されて形成された管状ガイド体26の後部開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段32にあっては、管状補修材1に備えた接続手段7を構成する、前記小径外周部11の外周面に形成された係止突部15を係止させる係止溝部35により構成されている。
【0044】
即ち、管状ガイド体26の後部開口端部側に、管状補修材1の大径内周部10と同径の大径内周部36が形成され、該大径内周部36の内周面には、管状補修材1の大径内周部10に形成された直進溝12と交差溝13とからなる鍵状の係止溝部14と同じ構成の直進溝37と交差溝38とからなる鍵状をもって前記係止溝部35が設けられている。
【0045】
また、管状ガイド体26の本体部26aの先端部に有する円錐部26bには、紐通し穴39が設けられており、牽引用紐40を連結できるようになっている(図11、図12、図13参照)。
【0046】
前記の管状ガイド体26は、次のようにして使用される。先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状ガイド体26を構成する一方の分割部材27の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材27の分割面29へ他の分割部材28の分割面30を結合手段31により結合して、内部にケーブル25を通した状態の管状ガイド体26を形成する。
【0047】
次に、管状補修材1を構成する一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材2の分割面4へ他の分割部材3の分割面5を結合手段6により結合して、小径外周部11を前記保護管22内へ挿入する方向に向け内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を形成し、該管状補修材1の小径外周部11側の開口端部と前記管状ガイド体26の後部開口端部とを接続手段32で接続し、この状態で管状ガイド体26を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0048】
この後は、前記第1例で示した工程に従って順次内部にケーブル25を通した状態の次の管状補修材1を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段7により接続してから前記保護管22内へ挿入して前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブル25を通した状態で前記管状補修材1をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部から次のマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。
【0049】
このように、管状ガイド体26を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入すると、保護管22に曲線部分があっても、管状ガイド体26の先端部に有する円錐部26bが保護管22の曲線部分に応じて管状ガイド体26に接続されている管状補修材1を曲がり方向にガイドするので、保護管22内における管状補修材1の移動を一層容易にすることができものとなる。
【0050】
前記保護管22内に挿入した管状補修材1を、保護管22の他方の開口部側から引っ張って移動させる場合、図14に示すように、管状ガイド体26の円錐部26bに設けられた紐通し穴39に牽引用紐40を連結し、図15に示すように、保護管22の他方の開口部側から前記牽引用紐40を引っ張って移動させることができる。
【0051】
図16乃至図18は、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で、前記管状補修材に併せて使用する可撓管状補修材の一例を示すものであり、図16は可撓管状補修材の斜視図、図17は図16に示す可撓管状補修材を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図、図18は図16に示す可撓管状補修材を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図である。
【0052】
本例の可撓管状補修材41は、軸方向に半割状態で2分割された2つの分割部材42,43で構成されている。2つの分割部材42,43は軸方向に可撓構造を有している。可撓構造として、本例では、2つの分割部材42,43に、周方向に向かう凹溝と凸条が軸方向に交互に形成されており、2つの分割部材42,43の分割面44,45を重ね合わせたとき、蛇腹部46が形成され、蛇腹部46をもって軸方向に可撓性を保有させた構造としている。
【0053】
また、前記2つの分割部材42,43には、分割面44,45に、2つの分割部材42,43の分割面44,45同士を結合して可撓管状補修材41を形成する結合手段47と、軸方向両端部に、前記結合手段47により2つの分割部材42,43が結合されて形成された可撓管状補修材41の開口端部と前記第1例で用いた管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段48とを備えた構造となっている。
【0054】
前記2つの分割部材42,43の分割面44,45同士を結合して可撓管状補修材41を形成する結合手段47にあっては、本例では、一方の分割部材42の分割面44の長手方向に形成された嵌合溝部49と、他方の分割部材43の分割面45に形成され、前記嵌合溝部49に嵌合する突条部50とから構成されているが、これに限定されるものではない。前記結合手段47を構成する本例の前記嵌合溝部49は溝開口部より溝奥部が幅広となっており、また突条部50は前記嵌合溝部49の溝形の合わせて頭部が嵌合溝部49の溝開口部より幅広となっており、嵌合溝部49内へ突条部50を、分割部材42,43の材質変形を利用して押し込み嵌合して結合するようになっている。
【0055】
また、前記結合手段47により2つの分割部材42,43が結合されて形成された可撓管状補修材41の開口端部と管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段48にあっては、管状補修材1に備えた接続手段7と同じ構成となっていり、可撓管状補修材41の開口端部と管状補修材1の開口端部とが接続できるようになっている。
【0056】
即ち、本例の接続手段48も、可撓管状補修材41の一方の開口端部側に、管状補修材1の大径内周部10と同径の大径内周部51が形成され、他方の開口部側に前記管状補修材1の大径内周部10内に挿入可能な小径外周部52が形成され、前記大径内周部51の内周面には、管状補修材1の大径内周部10に形成された直進溝12と交差溝13とからなる鍵状の係止溝部14と同じ構成の直進溝53と交差溝54とからなる鍵状の係止溝部55が形成され、小径外周部52の外周面には、前記管状補修材1の係止溝部14に係止可能な係止突部56が形成された構成となっている(図16、図17、図18参照)。
【0057】
次に、上記のように構成された可撓管状補修材41を第1例で使用した管状補修材1に併せて使用して保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法を、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例として図19乃至図21により説明する。
【0058】
図19は地中に埋設している保護管内へケーブルを入れた管状補修材1を挿入した後、可撓管状補修材41を構成する一方の分割部材42の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れ、該分割部材42の分割面44へ他の分割部材43の分割面45を結合手段47により結合して可撓管状補修材41を形成し、該可撓管状補修材41を前記保護管内へ挿入する工程を示す縦断面図、図20は保護管内に挿入した管状補修材1を、図19で形成した可撓管状補修材41の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図、図21は保護管内に順次管状補修材1と可撓管状補修材41を交互に挿入して、管状補修材1と可撓管状補修材41を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図である。
【0059】
図に示すように、地面21の地中に、内部にケーブル25が布設されている保護管22が所定間隔で垂直に立設するマンホール23a,23bで区切られた状態で埋設されている。
【0060】
このような保護管22を補修するにあたり、先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、前記第1例と全く同様にして、管状補修材1を構成する一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材2の分割面4へ他の分割部材3の分割面5を結合手段6により結合して、内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を形成し、該内部にケーブル25を通した管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0061】
次に、前記可撓管状補修材41を構成する一方の分割部材42の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材42の分割面44へ他の分割部材43の分割面45を結合手段47により結合して可撓管状補修材41を形成し、該可撓管状補修材41を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段48により接続してから前記保護管22内へ挿入する(図19)。そして、保護管22内へ挿入した可撓管状補修材41により前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させる(図20)。
【0062】
次に、前記保護管22内へ挿入した可撓管状補修材41の開口端部に、前記と同様にして形成した新たな管状補修材1の一方の開口端部を接続手段7により接続し、可撓管状補修材41を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル25を通した状態で前記管状補修材1及び可撓管状補修材41を保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置する。
【0063】
前記保護管22内に交互に配置した管状補修材1と可撓管状補修材41は、本例では、1個宛交互に配置しているが、例えば、管状補修材1が2個、可撓管状補修材41が1個といった状態で交互に配置してもよい。
【0064】
前記のようにして保護管22内に配置した管状補修材1と可撓管状補修材41を、適宜の固定手段24により保護管22に固定する。固定手段24としては、保護管22と管状補修材1及び可撓管状補修材41との間に、例えば、エポキシ樹脂やモルタル等を注入して固定する。このようにして内部にケーブル25が布設されている保護管22の補修が終了する(図21)。
【0065】
なお、前記可撓管状補修材41を形成する際に、結合する分割部材42,43の分割面44,45にシーリング剤を塗布すると、可撓管状補修材41を構成する2つの分割部材42,43の分割面44,45の間からの水漏れを防止することができ、また、管状補修材1の開口端部と可撓管状補修材41の開口端部を接続する際も、管状補修材1の開口端部と可撓管状補修材41の開口端部にシーリング剤を塗布すると、接続された管状補修材1と可撓管状補修材41の間からの水漏れを防止することができる。
【0066】
また、前記保護管22の一方の開口部から挿入した管状補修材1と可撓管状補修材41を保護管22の他方の開口部側へ移動させるには、前記第1例と同様に、保護管22の一方の開口部側から管状補修材1と可撓管状補修材41を人力或いはジャッキ等機械的手段で押圧し、或いは保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1と可撓管状補修材41を引っ張って行うが、特に限定されない。また、保護管22内における管状補修材1の移動を容易にするため、必要に応じて保護管22の内周面に滑剤を塗布してもよい。
【0067】
このようにすることにより、内部にケーブル25が布設されている保護管22の補修を、ケーブル25に邪魔されることなく、ケーブル25が布設されたままの状態でケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができ、そして、保護管22内へ管状補修材1及び可撓管状補修材41を挿入し移動させる際に、保護管22に曲線部分があっても、管状補修材1の間に配置された可撓管状補修材41が保護管22の曲線部分に応じて曲がり、保護管22内における管状補修材1及び可撓管状補修材41の円滑な移動を可能にすることができ、保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って管状補修材1及び可撓管状補修材41を確実に配置することができる。
【0068】
上記のケーブル布設済み保護管補修方法において、保護管22内に挿入した管状補修材1と可撓管状補修材41を、人力或いはジャッキ等機械的手段で押圧し、或いは管状補修材1と可撓管状補修材41を挿入した保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1と可撓管状補修材41を引っ張って保護管22内を移動させるが、保護管22内における管状補修材1と可撓管状補修材41の移動をより一層容易にするものとして、前記第1例と同様に、先端部を円錐形状とする管状ガイド体を使用するとよい。
【0069】
本例においても、第1例と同様の、図11乃至図13に示す管状ガイド体26が使用される。
【0070】
本例において、前記の管状ガイド体26は、次のようにして使用される。先ず、第1例と同様に、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状ガイド体26を構成する一方の分割部材27の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材27の分割面29へ他の分割部材28の分割面30を結合手段31により結合して、内部にケーブル25を通した状態の管状ガイド体26を形成する。
【0071】
次に、管状補修材1を構成する一方の分割部材2の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材2の分割面4へ他の分割部材3の分割面5を結合手段6により結合して、小径外周部11を前記保護管22内へ挿入する方向に向け内部にケーブル25を通した状態の管状補修材1を形成し、該管状補修材1の小径外周部11側の開口端部と前記管状ガイド体26の後部開口端部とを接続手段33で接続し、この状態で管状ガイド体26を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0072】
次に、前記可撓管状補修材41を構成する一方の分割部材42の内部へ分割開口部から前記ケーブル25を入れた後、該分割部材42の分割面44へ他の分割部材43の分割面45を結合手段47により結合して可撓管状補修材41を形成し、該可撓管状補修材41を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段48により接続してから前記保護管22内へ挿入する。
【0073】
この後は、前記第2例で示した工程に従って順次内部にケーブル25を通した状態の次の管状補修材1と可撓管状補修材41を前記保護管22内へ交互に挿入して、前記先の管状補修材1及び可撓管状補修材41を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブル25を通した状態で前記管状補修材1及び可撓管状補修材41をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部から次のマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。
【0074】
このように、管状ガイド体26を先頭にして管状補修材1と可撓管状補修材41を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入すると、保護管22に曲線部分があっても、管状ガイド体26の先端部に有する円錐部26bが保護管22の曲線部分に応じて管状ガイド体26に接続されている管状補修材1と可撓管状補修材41を曲がり方向にガイドするので、保護管22内における管状補修材1及び可撓管状補修材41の移動を一層容易にすることができものとなる。
【0075】
前記保護管22内に挿入した管状補修材1と可撓管状補修材41を、保護管22の他方の開口部側から引っ張って移動させる場合、図14に示すように、管状ガイド体26の円錐部26bに設けられた紐通し穴39に牽引用紐40を連結し、第1例と同様に、図22に示すように、保護管22の他方の開口部側から前記牽引用紐40を引っ張って移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す管状補修材を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図。
【図3】図1に示す管状補修材を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図。
【図4】図1のA−A線拡大断面図。
【図5】図1に示す管状補修材の接続手段の他例であって、管状補修材を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図。
【図6】図1は管状補修材の他例を示す断面図。
【図7】表面に突起が形成された管状補修材の他例を示す平面図。
【図8】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例で、地中に埋設している保護管の一方の開口部側で管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入する工程を示す縦断面図。
【図9】保護管内に挿入した管状補修材を、次の管状補修材の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図。
【図10】保護管内に順次管状補修材を挿入して、管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図。
【図11】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状ガイド体の一例を示す斜視図。
【図12】図11に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図。
【図13】図11に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図。
【図14】管状ガイド体に牽引用紐を連結した状態を示す斜視図。
【図15】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例で、管状ガイド体を使用し、管状補修材を挿入した保護管の他方の開口部側から牽引用紐を引っ張って移動させる状態を示す説明図。
【図16】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で、前記管状補修材に併せて使用する可撓管状補修材の一例を示す斜視図。
【図17】図16に示す可撓管状補修材を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図。
【図18】図16に示す可撓管状補修材を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図。
【図19】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例で、地中に埋設している保護管内へケーブルを入れた管状補修材を挿入した後、可撓管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れ、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入する工程を示す縦断面図。
【図20】保護管内に挿入した管状補修材を、可撓管状補修材の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図。
【図21】保護管内に順次管状補修材と可撓管状補修材を交互に挿入して、管状補修材と可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図。
【図22】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例で、管状ガイド体を使用し、管状補修材を挿入した保護管の他方の開口部側から牽引用紐を引っ張って移動させる状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0077】
1 管状補修材
2 分割部材
3 分割部材
4 分割面
5 分割面
6 結合手段
7 接続手段
8 嵌合溝部
9 突条部
10 大径内周部
11 小径外周部
12 直進溝
13 交差溝
14 係止溝部
15 係止突部
16 突起
17 リブ
18 リブ
19 雌ねじ
20 雄ねじ
21 地面
22 保護管
23a,23b マンホール
24 固定手段
25 ケーブル
26 管状ガイド体
26a 本体部
26b 円錐部
27 分割部材
28 分割部材
29 分割面
30 分割面
31 結合手段
32 接続手段
33 嵌合溝部
34 突条部
35 係止溝部
36 大径内周部
37 直進溝
38 交差溝
39 紐通し穴
40 牽引用紐
41 可撓管状補修材
42 分割部材
43 分割部材
44 分割面
45 分割面
46 蛇腹部
47 結合手段
48 接続手段
49 嵌合溝部
50 突条部
51 大径内周部
52 小径外周部
53 直進溝
54 交差溝
55 係止溝部
56 係止突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法であって、
前記管状補修材は、軸方向に分割された2つの分割部材で構成され、2つの分割部材には、分割面に、2つの分割部材の分割面同士を結合して管状補修材を形成する結合手段と、軸方向両端部に、前記結合手段により2つの分割部材が結合されて形成された管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、
保護管の一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、
この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【請求項2】
前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面には、多数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項3】
前記管状補修材を構成する2つの分割部材の表面に形成された突起は、分割部材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであることを特徴とする請求項2に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項4】
前記管状補修材を構成する一方の分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合する際、及び分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する分割部材の分割面及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布することを特徴とする請求項1,2又は3に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項5】
前記管状補修材に併せて可撓管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修する請求項1,2,3又は4に記載のケーブル布設済み保護管補修方法であって、
前記可撓管状補修材は、軸方向に分割された2つの分割部材で構成され、2つの分割部材は軸方向に可撓構造を有し、該2つの分割部材の分割面に、2つの分割部材の分割面同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、軸方向両端部に、前記結合手段により2つの分割部材が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部と前記管状補修材の開口端部を接続する接続手段とを備えた構造となっており、
前記可撓管状補修材を構成する一方の分割部材の内部へ分割開口部から前記ケーブルを入れた後、該分割部材の分割面へ他の分割部材の分割面を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置することを特徴とするケーブル布設済み保護管補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−124794(P2007−124794A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313260(P2005−313260)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(302059953)株式会社メーシック (24)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(000116873)旭テック株式会社 (144)
【Fターム(参考)】