説明

ケーブル布設済み保護管補修方法

【課題】ケーブルが布設されたままの状態で補修することができる保護管補修方法を得る。
【解決手段】弾性基材2の湾曲方向の両端部間から湾曲内部へケーブル21を入れた後、弾性基材2の湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を保護管22内へ一方の開口部から挿入し、この後、前記方法で次の管状補修材1を形成し、該管状補修材1の一方の開口端部を、先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続してから該管状補修材1を前記保護管22内へ挿入して先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル21を通した状態で管状補修材1を保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されている管の補修方法として、埋設管の内面に筒状ライニング材を固定して補修する方法が知られている。この方法は、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂或いは常温硬化性樹脂を含浸または塗布した可撓性のある材料で形成された筒状ライニング材を管路の内部に配置し、この筒状ライニング材を水圧或いは空気圧等で膨らませて管路の内面に押し付け、この筒状ライニング材内に、高温の温水、蒸気を通し、或いは紫外線を照射することにより、硬化性樹脂を硬化させてライニングするものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−4853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の如き埋設管の補修方法は、管の内部に遮るものが無ければ適用できるが、ケーブルが管の内部に布設されているような場合、ケーブルが邪魔になって適用することができないといった問題があった。例えば、従来より、電力線や電話線等のケーブルを地中に埋設された保護管内に収容して布設することが広く行われているが、かかる保護管の補修には上記埋設管の補修方法は適用することができず、適用しようとすれば、前記保護管からケーブルを取り除かなければならず、非常に面倒な作業を強いられる。
【0004】
本発明の目的は、内部にケーブルが布設されている保護管を、ケーブルが布設されたままの状態で補修することができるケーブル布設済み保護管補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法であって、前記管状補修材は、円周方向に湾曲した弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段と、前記結合手段により湾曲方向の端部同士が結合されて形成された管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、管状補修材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合する際、及び弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記管状補修材に併せて可撓管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修する請求項1,2,3又は4に記載のケーブル布設済み保護管補修方法であって、前記可撓管状補修材は、円周方向に湾曲した弾性基材で構成され、軸方向に可撓構造を有し、弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、前記結合手段により湾曲方向の端部同士が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の保護管補修方法によれば、円周方向に湾曲した弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して形成される管状補修材であって、形成された管状補修材の開口端部同士が接続手段により接続されるように構成された管状補修材が用いられ、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、保護管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなくケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の保護管補修方法によれば、請求項1に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されているので、保護管の内周面と、保護管内へ挿入した管状補修材との接触面積が小さくなり、管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材を保護管内へ挿入し保護管の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0012】
請求項3に記載の保護管補修方法によれば、請求項2に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、管状補修材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであるので、保護管の内周面と、保護管内へ挿入した管状補修材との接触面積が小さくなり、管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材を保護管内へ挿入し保護管の他方の開口部側へ容易に移動させることができるとともに、弾性基材の表面に形成されたリブが、管状補修材の周方向及び/又は軸方向の強度を向上させることになり、その分弾性基材の肉厚を薄くすることができ、管状補修材の軽量化と材料費の削減を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の保護管補修方法によれば、請求項1,2又は3に記載の、前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合する際、及び弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布するようにしたので、管状補修材を構成する弾性基材の結合された端部間及び接続された管状補修材の間からの水漏れを防止することができる。
【0014】
請求項5に記載のケーブル布設済み保護管補修方法によれば、前記請求項1,2,3又は4に記載の管状補修材に併せて、可撓管状補修材が用いられて、内部にケーブルが布設されている保護管を補修するものであって、前記可撓管状補修材は、円周方向に湾曲した弾性基材で構成され、軸方向に可撓構造を有し、弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、前記結合手段により湾曲方向の端部同士が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置する方法をとるので、保護管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなくケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができ、そして、保護管内へ管状補修材及び可撓管状補修材を挿入し移動させる際に、保護管に曲線部分があっても、管状補修材の間に配置された可撓管状補修材が保護管の曲線部分に応じて曲がり、保護管内における管状補修材及び可撓管状補修材の円滑な移動を可能にすることができ、保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って管状補修材及び可撓管状補修材を確実に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法を実施するための最良の形態の一例を説明する。
【0016】
図1乃至図4は本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の一例を示すものであり、図1は管状補修材の斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3は図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図、図4は図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の内周面を示す展開図ある。
【0017】
本例の管状補修材1は、円周方向に湾曲した弾性基材2で構成されている。この弾性基材2は、湾曲方向の端部3,4同士を結合して管状補修材1を形成する結合手段5と、前記結合手段5により湾曲方向の端部3,4同士が結合されて形成された1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段6とを備えた構造となっている。
【0018】
前記管状補修材1を構成する弾性基材2は、プラスチック、金属等で形成されている。この前記弾性基材2にあっては、本例では、湾曲方向の端部3,4が開いた状態、即ち、断面略C字状に形成されており(図3)、径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成している。前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5にあっては、本例では、一方の端部3の表面側に軸方向に沿って形成された係止突起7と、他方の端部4の裏面側に軸方向に沿って形成され前記係止突起7に半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止する係止突起8とから構成されている。そして、略C字状に形成された弾性基材2の湾曲方向の端部3,4を径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部3,4に形成された係止突起7と係止突起8を半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止させると、縮径させた弾性基材2の拡径方向への復元力により係止突起7と係止突起8とがしっかりと噛み合い弾性基材2の湾曲方向の端部3,4が結合して管状補修材1が形成されるようになっている。
【0019】
前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5は、前記構成に限定されるものでないことはもちろんである。
【0020】
また、前記結合手段5により弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士が結合されて形成された1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段6にあっても、特に限定されるものではない。
【0021】
本例では、接続手段6は、管状補修材1の一方の開口端部側に大径内周部9が形成され、他方の開口部側に前記大径内周部9内に挿入可能な小径外周部10が形成され、前記大径内周部9の内周面には、開口端部から軸方向に伸びる直進溝11と、直進溝11の先端から周方向に曲がる交差溝12とからなる鍵状の係止溝部13が、周方向に所定の間隔で複数形成されており、また、小径外周部10の外周面には、前記係止溝部13に対応する位置に、係止溝部13に係止可能な係止突部14が形成された構成となっている(図1、図4参照)。
【0022】
そして、1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部との接続にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部9の内周面に形成されている係止溝部13に他の管状補修材1の小径外周部10の外周面に形成されている係止突部14を一致させて、1つの管状補修材1の大径内周部9内に他の管状補修材1の小径外周部10を挿入し、係止溝部13の直進溝11内を進んだ係止突部14が交差溝12に達したら、他の管状補修材1を交差溝12に沿って回転させることにより、係止突部14が交差溝12内に入り、係止突部14が交差溝12に係止して、1つの管状補修材1から他の管状補修材1の抜け止めが図られ、1つの管状補修材1と他の管状補修材1の接続が完了するようになっている。
【0023】
前記接続手段6を構成する管状補修材1の大径内周部9と小径外周部10にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部9内に他の管状補修材1の小径外周部10を挿入したとき、大径内周部9と小径外周部10との間に多少の遊びがあり、また、管状補修材1の係止溝部13と係止突部14にあっては、1つの管状補修材1の大径内周部9の内周面に形成されている係止溝部13に他の管状補修材1の小径外周部10の外周面に形成されている係止突部14を係止させたとき、係止溝部13と係止突部14との間に多少の遊びがあることが好ましい。
【0024】
このようにすると、接続手段6で接続された管状補修材1間の接続部位での曲がりが可能となり、後述する保護管内へ管状補修材1を挿入し移動させる際に、保護管に曲線部分があっても、保護管に曲線部分に応じて接続された管状補修材1間の接続部位で曲がり、保護管内における管状補修材1の円滑な移動を可能にすることができものとなる。
【0025】
また、本例では、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の表面に、多数の突起15が形成されている。前記突起15は管状補修材1の周方向及び軸方向に形成されたリブ16,17となっている。周方向のリブ16と軸方向のリブ17にあっては、周方向のリブ16よりも軸方向のリブ17の方が高くなるように形成されている(図2参照)。本例では、突起15が周方向のリブ16と軸方向のリブ17となっているが、周方向のリブ16と軸方向のリブ17のいずれか一方であってもよい。
【0026】
図5は弾性基材2の表面に形成される突起15の他例を示す管状補修材の平面図であり、同図に示すように、略半球状に形成された突起15が弾性基材2の表面に所定間隔で多数突設されているものであってもよい。
【0027】
図6乃至図8は本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の他例を示すものであり、図6は本例の管状補修材の斜視図、図7は図6のB−B線拡大断面図、図8は図6に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図ある。
【0028】
本例の管状補修材1も、前記図1乃至図4に示す管状補修材と同様に、円周方向に湾曲した弾性基材2で構成されている。この弾性基材2は、湾曲方向の端部3,4同士を結合して管状補修材1を形成する結合手段5と、前記結合手段5により湾曲方向の端部3,4同士が結合されて形成された1つの管状補修材1の開口端部と他の管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段6とを備えた構造となっている。
【0029】
前記管状補修材1を構成する弾性基材2は、プラスチック、金属等で形成されている。この前記弾性基材2にあっては、本例では、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、即ち、半径方向に重なり合った状態に形成されており(図8)、径方向の弾発力に抗して拡径させ、湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成している。前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5にあっては、本例では、一方の端部3の端面に軸方向に沿って形成された係合突条18と、他方の端部4の端面に軸方向に沿って形成され前記係合突条18が係合する係合溝19とから構成されている。そして、半径方向に重なり合った弾性基材2の湾曲方向の端部3,4を径方向の弾発力に抗して拡径させ、湾曲方向の端部3の端面に形成された係合突条18を端部4の端面に形成された係合溝19に係合させると、拡径させた弾性基材2の縮径方向への復元力により係合突条18が係合溝19にしっかりと係合し、弾性基材2の湾曲方向の端部3,4が結合して管状補修材1が形成されるようになっている。
【0030】
その他の構成にあっては、前記図1乃至図4に示す管状補修材と同様の構成になっている。
【0031】
次に、上記のように構成された管状補修材1を使用して保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法を、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例として図9乃至図11により説明する。
【0032】
図9は地中に埋設している保護管の一方の開口部側で、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ、弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を前記保護管内へ一方の開口部から挿入する工程を示す縦断面図、図10は保護管内に挿入した管状補修材1を、図9と同様にして形成した次の管状補修材1の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図、図11は図10と同様にして保護管内に順次管状補修材1を挿入して、管状補修材1を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図である。
【0033】
図に示すように、地面20の地中に、内部にケーブル21が布設されている保護管22が所定間隔で垂直に立設するマンホール23a,23bで区切られた状態で埋設されている。
【0034】
このような保護管22を補修するにあたり、図9に示すように、先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ、弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0035】
前記のようにして管状補修材1を形成する際に、結合する弾性基材2の湾曲方向の端部3,4にシーリング剤を塗布することが好ましい。弾性基材2の湾曲方向の端部3,4にシーリング剤を塗布することにより、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲方向の端部3,4の間からの水漏れを防止することができる。
【0036】
次に、前記と同様にして形成した内部にケーブル21を通した状態の次の管状補修材1を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段7により接続してから前記保護管22内へ挿入して前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させる(図10)。前記先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ次の管状補修材1の開口端部を接続手段6により接続する際も、接続する管状補修材1の開口端部にシーリング剤を塗布することが好ましい。先の管状補修材1の開口端部と次の管状補修材1の開口端部にシーリング剤を塗布することにより、接続された管状補修材1,1の間からの水漏れを防止することができる。
【0037】
前記保護管22の一方の開口部から挿入した前記管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させるには、保護管22の一方の開口部側から、管状補修材1を人力或いはジャッキ等の機械的手段で押圧し、或いは保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1を引っ張って行うが、特に限定されない。また、保護管22内における管状補修材1の移動を容易にするため、必要に応じて保護管22の内周面に滑剤を塗布してもよい。
【0038】
また、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の表面には、多数の突起15が形成されているとよい。管状補修材1を構成する弾性基材2の表面に多数の突起15が形成されていると、保護管22の内周面と、保護管22内へ挿入した管状補修材1との接触面積が小さくなり、管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、管状補修材1を保護管22内へ挿入し保護管22の他方の開口部側へ容易に移動させることができるものとなる。
【0039】
本例では、前記突起15が管状補修材1の周方向及び軸方向に形成されたリブ16,17となっているので、リブ16,17により管状補修材1の周方向及び軸方向の強度を向上させることができるとともに、周方向のリブ16よりも軸方向のリブ18の方が高くなるように形成されているので、管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さく、管状補修材1を保護管22内へ挿入し保護管22の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0040】
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル21を通した状態で前記管状補修材1をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部から次のマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。そして、保護管22内に配置した管状補修材1を適宜の固定手段24により保護管22に固定する。固定手段24としては、保護管22と管状補修材1との間に、例えば、エポキシ樹脂やモルタル等を注入して固定する。このようにして内部にケーブル21が布設されている保護管22の補修が終了する(図11)。
【0041】
このようにすることにより、内部にケーブル21が布設されている保護管22の補修を、ケーブル21に邪魔されることなく、ケーブル21が布設されたままの状態でケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0042】
上記のケーブル布設済み保護管補修方法において、保護管22内に挿入した管状補修材1の移動を、人力或いはジャッキ等の機械的手段で押圧し、或いは引っ張って行うようにしているが、保護管22内における管状補修材1の移動をより一層容易にするものとして、先端部を円錐形状とする管状ガイド体を使用するとよい。
【0043】
図12、図13は、管状ガイド体の一例を示すものであり、図12は管状ガイド体の斜視図、図13は図12に示す管状ガイド体を構成する弾性基材の拡大断面図である。
【0044】
本例の管状ガイド体25は、管状補修材1と同径の本体部25aの先端部に、先端に向かって縮径となる円錐部25bを有する形状となっており、円周方向に湾曲した弾性基材26で構成されている。この弾性基材26は、湾曲方向の端部27,28同士を結合して管状ガイド体25を形成する結合手段29と、前記結合手段29により湾曲方向の端部27,28同士が結合されて形成された管状ガイド体25の後部開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段30とを備えた構造となっている。
【0045】
前記管状ガイド体25を構成する弾性基材26は、プラスチック、金属等で形成されている。この前記弾性基材26にあっては、本例では、湾曲方向の端部27,28が開いた状態、即ち、断面略C字状に形成されており(図13)、径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部27,28同士を結合手段29により結合して管状ガイド体25を形成している。
【0046】
前記弾性基材26の湾曲方向の端部27,28同士を結合する結合手段29にあっては、本例では、一方の端部27の表面側に軸方向に沿って形成された係止突起31と、他方の端部28の裏面側に軸方向に沿って形成され前記係止突起31に半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止する係止突起32とから構成されている。
【0047】
そして、略C字状に形成された弾性基材26の湾曲方向の端部27,28を径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部27,28に形成された係止突起31と係止突起32を半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止させると、縮径させた弾性基材26の拡径方向への復元力により係止突起31と係止突起32とがしっかりと噛み合い弾性基材26の湾曲方向の端部27,28が結合して管状ガイド体25が形成されるようになっている。前記弾性基材26の湾曲方向の端部27,28同士を結合する結合手段29は、前記構成に限定されるものでないことはもちろんである。
【0048】
また、前記結合手段29により弾性基材26の湾曲方向の端部27,28同士が結合されて形成された管状ガイド体25の後部開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段30にあっては、管状補修材1に備えた接続手段6を構成する、前記小径外周部10の外周面に形成された係止突部14を係止させる係止溝部33により構成されている。
【0049】
即ち、管状ガイド部25の後部開口端部側に、管状補修材1の大径内周部9と同径の大径内周部34が形成され、該大径内周部34の内周面には、管状補修材1の大径内周部9に形成された直進溝11と交差溝12とからなる鍵状の係止溝部13と同じ構成の直進溝35と交差溝36とからなる鍵状の前記係止溝部33が設けられている。
【0050】
また、前記管状ガイド体25の本体部25aの先端部に有する円錐部25bには、紐通し穴37が設けられており、牽引用紐38を連結できるようになっている(図12、図13)。
【0051】
前記の管状ガイド体25は、次のようにして使用される。先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状ガイド体25を構成する弾性基材26の湾曲内部へ、弾性基材26の湾曲方向の両端部27,28間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材26の湾曲方向の端部27,28同士を結合手段29により結合して管状ガイド体25を形成する。
【0052】
次に、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ、弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1の小径外周部10側の開口端部と前記管状ガイド体25の後部開口端部とを接続手段30で接続し、この状態で管状ガイド体25を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0053】
この後は、前記第1例で示した工程に従って順次内部にケーブル21を通した状態の次の管状補修材1を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段6により接続してから前記保護管22内へ挿入して前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブル21を通した状態で前記管状補修材1をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部からマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。
【0054】
このように、管状ガイド体25を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入すると、保護管22曲線部分があっても、管状ガイド体25の先端部に有する円錐部25bが保護管22の曲線分部に応じて管状ガイド体25に接続されている管状補修材1を曲がり方向にガイドするので、保護管22内における管状補修材1の移動を一層容易にすることができるものとなる。
【0055】
前記保護管22内に挿入した管状補修材1を、保護管22の他方の開口部側から引っ張って移動させる場合、図14に示すように、管状ガイド体25の円錐部25bに設けられた紐通し穴37に牽引用紐38を連結し、図15に示すように、保護管22の他方の開口部側から前記牽引用紐38を引っ張って移動させることができる。
【0056】
図16乃至図18は、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で、前記管状補修材に併せて使用する可撓管状補修材の一例を示すものであり、図16は可撓管状補修材の斜視図、図17は図16のC−C線拡大断面図、図18は図16に示す可撓管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図である。
【0057】
本例の可撓管状補修材39は、円周方向に湾曲した弾性基材40で構成されている。弾性基材40は軸方向に可撓構造を有している。可撓構造として、本例では、弾性基材40に、周方向に向かう凹溝と凸条が軸方向に交互に形成されており、弾性基材40の湾曲方向の端部41,42同士を結合したとき、蛇腹部43が形成され、蛇腹部43をもって軸方向に可撓性を保有させた構造としている。
【0058】
また、前記弾性基材40は、湾曲方向の端部41,42同士を結合して可撓管状補修材39を形成する結合手段44と、前記結合手段44により湾曲方向の端部41,42同士が結合されて形成された可撓管状補修材39の開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段45とを備えた構造となっている。
【0059】
前記可撓管状補修材39を構成する弾性基材40は、プラスチック、金属等で形成されている。この前記弾性基材40にあっては、本例では、湾曲方向の端部41,42開いた状態、即ち、断面略C字状に形成されており(図18)、径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部41,42同士を結合手段44により結合して可撓管状補修材39を形成している。前記弾性基材40の湾曲方向の端部41,42同士を結合する結合手段44にあっては、本例では、一方の端部41の表面側に軸方向に沿って形成された係止突起46と、他方の端部42の裏面側に軸方向に沿って形成され前記係止突起46に半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止する係止突起47とから構成されている。そして、略C字状に形成された弾性基材40の湾曲方向の端部41,42を径方向の弾発力に抗して縮径させ、湾曲方向の端部41,42に形成された係止突起46と係止突起47を半径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止させると、縮径させた弾性基材40の拡径方向への復元力により係止突起46と係止突起47とがしっかりと噛み合い弾性基材40の湾曲方向の端部41,42が結合して可撓管状補修材39が形成されるようになっている。
【0060】
また、前記結合手段44により弾性基材40の湾曲方向の端部41,42が結合されて形成された可撓管状補修材39の開口端部と前記管状補修材1の開口端部とを接続する接続手段45にあっては、管状補修材1に備えた接続手段6と同じ構成となっており、可撓管状補修材39の開口端部と管状補修材1の開口端部とが接続できるようになっている。
【0061】
即ち、本例の接続手段45も、可撓管状補修材39の一方の開口端部側に、管状補修材1の大径内周部9と同径の大径内周部48が形成され、他方の開口部側に前記管状補修材1の大径内周部9内に挿入可能な小径外周部49が形成され、前記大径内周部48の内周面には、管状補修材1の大径内周部9に形成された直進溝11と交差溝12とからなる鍵状の係止溝部13と同じ構成の直進溝50と交差溝51とからなる鍵状の係止溝部52が形成され、小径外周部49の外周面には、前記管状補修材1の係止溝部13に係止可能な係止突部53が形成された構成となっている(図16参照)。
【0062】
次に、上記のように構成された可撓管状補修材39を第1例で使用した管状補修材1に併せて使用して保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法を、本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例として図19乃至図21により説明する。
【0063】
図19は地中に埋設している保護管内へケーブルを入れた管状補修材1を挿入した後、可撓管状補修材39を構成する弾性基材40の湾曲内部へ、弾性基材40の湾曲方向の両端部41,42間から前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材40の湾曲方向の端部41,42同士を結合手段44により結合して可撓管状補修材39を形成し、該可撓管状補修材39を前記保護管内へ挿入する工程を示す縦断面図、図20は保護管内に挿入した管状補修材1を、図19で形成した可撓管状補修材39の挿入により保護管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す縦断面図、図21は保護管内に順次管状補修材1と可撓管状補修材39を交互に挿入して、管状補修材1と可撓管状補修材39を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図である。
【0064】
図に示すように、地面20の地中に、内部にケーブル21が布設されている保護管22が所定間隔で垂直に立設するマンホール23a,23bで区切られた状態で埋設されている。
【0065】
このような保護管22を補修するにあたり、先ず、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、前記第1例と全く同様にして、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ、弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0066】
次に、前記可撓管状補修材39を構成する弾性基材40の湾曲内部へ、弾性基材40の湾曲方向の両端部41,42間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材40の湾曲方向の端部41,42同士を結合手段44により結合して可撓管状補修材39を形成し、該可撓管状補修材39を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段45により接続してから前記保護管22内へ挿入する(図19)。そして、保護管22内へ挿入した可撓管状補修材39により前記先の管状補修材1を保護管22の他方の開口部側へ移動させる(図20)。
【0067】
次に、前記保護管22内へ挿入した可撓管状補修材39の開口端部に、前記と同様にして形成した新たな管状補修材1の一方の開口端部を接続手段6により接続し、可撓管状補修材39を保護管22の他方の開口部側へ押圧移動させ、該工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブル21を通した状態で前記管状補修材1及び可撓管状補修材39を保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置する。
【0068】
前記保護管22内に交互に配置した管状補修材1と可撓管状補修材39は、本例では、1個ずつ交互に配置しているが、例えば、管状補修材1が2個、可撓管状補修材39が1個といった状態で交互に配置してもよい。
【0069】
前記のようにして保護管22内に配置した管状補修材1を、適宜の固定手段24により保護管22に固定する。固定手段24としては、保護管22と管状補修材1及び可撓管状補修材39との間に、例えば、エポキシ樹脂やモルタル等を注入して固定する。このようにして内部にケーブル21が布設されている保護管22の補修が終了する(図21)。
【0070】
なお、前記可撓管状補修材39を形成する際に、結合する弾性基材40の湾曲方向の両端部41,42にシーリング剤を塗布すると、可撓管状補修材39を構成する弾性基材40の湾曲方向の両端部41,42の間からの水漏れを防止することができ、また、管状補修材1の開口端部と可撓管状補修材39の開口端部を接続する際も、管状補修材1の開口端部と可撓管状補修材39の開口端部にシーリング剤を塗布すると、接続された管状補修材1と可撓管状補修材39の間からの水漏れを防止することができる。
【0071】
また、前記保護管22の一方の開口部から挿入した前記管状補修材1と可撓管状補修材39を保護管22の他方の開口部側へ移動させるには、前記第1例と同様に、保護管22の一方の開口部側から、管状補修材1と可撓管状補修材39を人力或いはジャッキ等の機械的手段で押圧し、或いは保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1と可撓管状補修材39を引っ張って行うが、特に限定されない。また、保護管22内における管状補修材1と可撓管状補修材39の移動を容易にするため、必要に応じて保護管22の内周面に滑剤を塗布してもよい。
【0072】
このようにすることにより、内部にケーブル21が布設されている保護管22の補修を、ケーブル21に邪魔されることなく、ケーブル21が布設されたままの状態でケーブル布設済み保護管の補修を簡単な作業で容易に行うことができ、そして、保護管22内へ管状補修材1及び可撓管状補修材39を挿入し移動させる際に、保護管22に曲線部分があっても、管状補修材1の間に配置された可撓管状補修材39が保護管22の曲線部分に応じて曲がり、保護管22内における管状補修材1及び可撓管状補修材39の円滑な移動を可能にすることができ、保護管22の一方の開口部から他方の開口部に亘って管状補修材1及び可撓管状補修材39を確実に配置することができる。
【0073】
上記のケーブル布設済み保護管補修方法において、保護管22内に挿入した管状補修材1と可撓管状補修材39を、人力或いはジャッキ等の機械的手段で押圧し、或いは管状補修材1と可撓管状補修材39を挿入した保護管22の他方の開口部側から前記管状補修材1と可撓管状補修材39を引っ張って保護管22内を移動させるが、保護管22内における管状補修材1と可撓管状補修材39の移動をより一層容易にするものとして、前記第1例と同様に、先端部を円錐形状とする管状ガイド体を使用するとよい。本例においても、第1例と同様の、図12、図13に示す管状ガイド体25が使用される。
【0074】
本例において、前記の管状ガイド体25は、次のようにして使用される。先ず、第1例と同様に、前記保護管22の一方の開口部が開口するマンホール23a内で、管状ガイド体25を構成する弾性基材26の湾曲内部へ、弾性基材26の湾曲方向の両端部27,28間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材26の湾曲方向の端部27,28同士を結合手段29により結合して管状ガイド体25を形成する。
【0075】
次に、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ、弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して管状補修材1を形成し、該管状補修材1の小径外周部10側の開口端部と前記管状ガイド体25の後部開口端部とを接続手段30で接続し、この状態で管状ガイド体25を先頭にして管状補修材1を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入する。
【0076】
次に、前記可撓管状補修材39を構成する弾性基材40の湾曲内部へ、弾性基材40の湾曲方向の両端部41,42間から前記ケーブル21を入れた後、前記弾性基材40の湾曲方向の端部41,42同士を結合手段44により結合して可撓管状補修材39を形成し、該可撓管状補修材39を、その一方の開口端部を先に保護管22内へ挿入した管状補修材1の開口端部へ接続手段45により接続してから前記保護管22内へ挿入する。
【0077】
この後は、前記第2例で示した工程に従って順次内部にケーブル21を通した状態の次に管状補修材1と可撓管状補修材39を保護管22内に交互に挿入して、前記先の管状補修材1と可撓管状補修材39を保護管22の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブル21を通した状態で管状補修材1と可撓管状補修材39をマンホール23a内に開口する保護管22の一方の開口部から次のマンホール23b内に開口する他方の開口部に亘って配置する。
【0078】
このように、管状ガイド体25を先頭にして管状補修材1と可撓管状補修材39を前記保護管22内へ一方の開口部から挿入すると、保護管22曲線部分があっても、管状ガイド体25の先端部に有する円錐部25bが保護管22の曲線分部に応じて管状ガイド体25に接続されている管状補修材1を曲がり方向にガイドするので、保護管22内における管状補修材1及び可撓管状補修材39の移動を一層容易にすることができるものとなる。
【0079】
前記保護管22内に挿入した管状補修材1及び可撓管状補修材39を、保護管22の他方の開口部側から引っ張って移動させる場合、図14に示すように、管状ガイド体25の円錐部25bに設けられた紐通し穴37に牽引用紐38を連結し、図22に示すように、保護管22の他方の開口部側から前記牽引用紐38を引っ張って移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の一例を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線拡大断面図。
【図3】図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図4】図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の内周面を示す展開図。
【図5】表面に形成される突起の他例を示す管状補修材の平面図。
【図6】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状補修材の他例を示す斜視図。
【図7】図6のB−B線拡大断面図。
【図8】図6に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図9】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例で、地中に埋設している保護管の一方の開口部側で、管状補修材を構成する弾性基材の湾曲内部へ、弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入する工程を示す縦断面図。
【図10】保護管内に挿入した管状補修材を、図9と同様にして形成した次の管状補修材の挿入により保護管の他方の開口部側へ押圧移動させる工程を示す縦断面図。
【図11】図10と同様にして保護管内に順次管状補修材を挿入して、管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図。
【図12】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で使用する管状ガイド体の一例を示す斜視図。
【図13】図12に示す管状ガイド体を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図14】管状ガイド体に牽引用紐を連結した状態を示す斜視図。
【図15】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第1例で、管状ガイド体を使用し、管状補修材を挿入した保護管の他方の開口部側から牽引用紐を引っ張って管状補修材を移動させる状態を示す説明図。
【図16】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法で、管状補修材に併せて使用する可撓管状補修材の一例を示す斜視図。
【図17】図16のC−C線拡大断面図。
【図18】図16に示す可撓管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図19】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例で、地中に埋設している保護管内へケーブルを入れた管状補修材を挿入した後、可撓管状補修材を構成する弾性基材の湾曲内部へ、弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入する工程を示す縦断面図。
【図20】保護管内に挿入した管状補修材を、図15で形成した可撓管状補修材の挿入により保護管の他方の開口部側へ押圧移動させる工程を示す縦断面図。
【図21】保護管内に順次管状補修材と可撓管状補修材を交互に挿入して、管状補修材と可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した状態を示す縦断面図。
【図22】本発明に係るケーブル布設済み保護管補修方法の第2例で、管状ガイド体を使用し、管状補修材と可撓管状補修材を挿入した保護管の他方の開口部側から牽引用紐を引っ張って管状補修材と可撓管状補修材を移動させる状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0081】
1 管状補修材
2 弾性基材
3 端部
4 端部
5 結合手段
6 接続手段
7 係止突起
8 係止突起
9 大径内周部
10 小径外周部
11 直進溝
12 交差溝
13 係止溝部
14 係止突部
15 突起
16 リブ
17 リブ
18 係合突条
19 係合溝
20 地面
21 ケーブル
22 保護管
23a,23b マンホール
24 固定手段
25 管状ガイド体
25a 本体部
25b 円錐部
26 弾性基材
27 端部
28 端部
29 結合手段
30 接続手段
31 係止突起
32 係止突起
33 係止溝部
34 大径内周部
35 直進溝
36 交差溝
37 紐通し穴
38 牽引用紐
39 可撓管状補修材
40 弾性基材
41 端部
42 端部
43 蛇腹部
44 結合手段
45 接続手段
46 係止突起
47 係止突起
48 大径内周部
49 小径外周部
50 直進溝
51 交差溝
52 係止溝部
53 係止突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修するケーブル布設済み保護管補修方法であって、
前記管状補修材は、円周方向に湾曲した弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段と、前記結合手段により湾曲方向の端部同士が結合されて形成された管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、
前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材を前記保護管内へ一方の開口部から挿入し、
この後、また、保護管の前記一方の開口部側で前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成し、該管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続してから該管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とするケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項2】
前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項3】
前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、管状補修材の周方向及び/又は軸方向に形成されたリブであることを特徴とする請求項2に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項4】
前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合する際、及び弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して形成した管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部及び接続する管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布することを特徴とする請求項1,2又は3に記載のケーブル布設済み保護管補修方法。
【請求項5】
前記管状補修材に併せて可撓管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている保護管を補修する請求項1,2,3又は4に記載のケーブル布設済み保護管補修方法であって、
前記可撓管状補修材は、円周方向に湾曲した弾性基材で構成され、軸方向に可撓構造を有し、弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合して可撓管状補修材を形成する結合手段と、前記結合手段により湾曲方向の端部同士が結合されて形成された可撓管状補修材の開口端部同士を接続する接続手段とを備えた構造となっており、
前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して可撓管状補修材を形成し、
該可撓管状補修材の一方の開口端部を、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ接続手段により接続し、該可撓管状補修材を前記保護管内へ挿入して前記先の管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
該保護管内へ挿入した可撓管状補修材の開口端部に新たな管状補修材の一方の開口端部を接続手段により接続し、可撓管状補修材を保護管の他方の開口部側へ移動させ、
前記工程を順次繰り返して行うことにより、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材及び可撓管状補修材を保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って交互に配置することを特徴とするケーブル布設済み保護管補修方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2007−124795(P2007−124795A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313261(P2005−313261)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(302059953)株式会社メーシック (24)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(000116873)旭テック株式会社 (144)
【Fターム(参考)】