説明

ゲルのスポット状施用を含む節足動物の防除方法

本発明は、殺虫剤、誘引剤及び増粘剤を含有する水性ゲルの施用を含む節足動物を防除する方法であって、水性ゲルが果樹にスポット状に施用される方法に関する。本発明は、殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質を含む水性ゲルに更に関する。本発明は、また、水性ゲルを調製するための濃厚ゲルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤、誘引剤及び増粘剤を含有する水性ゲルの施用を含む節足動物を防除する方法であって、水性ゲルが植物又は固体物品上にスポット状に施用される方法に関する。本発明は、殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質を含む水性ゲルに更に関する。本発明は、また、水性ゲルを調製するための濃厚ゲルに関する。好ましい実施形態と他の好ましい実施形態との組合せは、本発明の範囲内である。
【背景技術】
【0002】
昆虫、特に飛ぶ昆虫を防除する多様な方法は既知である。
【0003】
EP0547828は、飛ぶ昆虫を捕獲する手段及び水放出水性ゲルを含む、飛ぶ昆虫を防除する装置を開示する。ゲルは、フェロモン、増粘剤又は誘引剤を含むことができる。
【0004】
US3,954,968は、誘引剤、グリセロール、増粘剤、防腐剤及び水を含む、メキシコワタミゾウムシ(boll weevil)を誘引するゲル化エマルションを開示する。ゲルはカップに注がれて昆虫に提示された。
【0005】
WO2008/031870は、有害生物が組成物に接触する場所に組成物を施用することを含む、節足動物の有害生物を駆除する方法を開示する。組成物を、保護されるべき植物の部分に施用することができる。組成物は、殺有害生物剤(pesticide)、高吸収性ポリマー、充填材料(例えば、誘引剤又は摂食刺激物質)及び水を含有するゲルでありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP0547828
【特許文献2】US3,954,968
【特許文献3】WO2008/031870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、昆虫を防除する改善された方法を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
目的は、殺虫剤、誘引剤及び増粘剤を含有する水性ゲルの施用を含む節足動物を防除する方法であって、水性ゲルが植物又は固体物品上にスポット状に施用される方法によって解決された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
施用の前に、濃厚ゲルを好ましくは水などの液体で希釈して、水性ゲルを得る。更に好ましい実施形態において、水性ゲルは希釈ゲルである。通常、水性ゲルは、濃厚ゲルと水とを3/1〜1/10、好ましくは2/1〜1/5、より好ましくは1/1〜1/3の濃厚ゲル/水の重量比で混合することにより調製される。濃厚ゲル及び水性ゲルは、通常、水の濃度だけが異なっている。
【0010】
水性及び濃厚ゲルとは、水よりも高い動力学粘度η(水のηは、20℃で1.0mPa.sである)を有し、固体ではない製剤を指す。水性及び濃厚ゲルのレオロジーは、通常、20℃でケチャップ又は練り歯磨きに匹敵する。より好ましくは、水性ゲル及び濃厚ゲルは、粘弾性ゲルである。ゲル様状態は、通常、-10〜54℃、好ましくは1〜45℃の範囲の温度で見出される。
【0011】
典型的には、水性ゲルはレオロジー的には粘弾性材料のように挙動する。水性ゲルの動力学粘度ηは、通常、30〜10,000mPa.s、より好ましくは50〜1000mPa.s、特に80〜500mPa.s(20℃、剪断速度100s-1での回転粘度測定法により決定)の範囲である。
【0012】
水性ゲルは、通常、低剪断応力下で弾性ゲルにように挙動するが、高剪断応力下では低粘度液体である。「液体」様挙動は、多くの場合、良好な噴霧性のために必要とされるが、「より堅い」弾性状態は、通常、標的表面に対する良好な接着性のために必要とされる。低及び高剪断条件下でのレオロジー挙動についての更なる情報は、「ゼロ」剪断応力下でのゼロ剪断粘度η0及び「無限」剪断応力下での無限剪断粘度ηの二つのレオロジーパラメーターが生じる定常流動実験により得ることができる。水性ゲルのゼロ剪断粘度η0は、低い流出を達成するため、標的表面に対する良好な接着性のために「高い」べきである。したがって、水性ゲルのゼロ剪断粘度η0は、好ましくは少なくとも100Pa.s、より好ましくは少なくとも200Pa.sである。一方、水性ゲルの無限剪断粘度ηは、良好な噴霧性のために「低い」べきである。したがって、水性ゲルは、好ましくは300mPa.s未満、より好ましくは200mPa.s未満、最も好ましくは100mPa.s未満の無限剪断粘度ηを有する。
【0013】
振動レオロジー試験により、テキスチャー(texture)及び施用特性を評価するための重要な情報を、静止時の耐変形性の測度であるレオロジーパラメーターの複素弾性率G*(「堅さ」)をモニターして得ることができる。典型的には、水性ゲルは、好ましくは1〜200Pa、より好ましくは5〜100Pa、最も好ましくは10〜50Paの範囲の堅さG*を有する。堅さは、通常、20℃で決定される。
【0014】
上記したように、水性ゲルは濃厚ゲルを水で希釈して調製することができる。濃厚ゲルの動力学粘度ηは、通常、100〜100,000mPa.s、より好ましくは300〜20,000mPa.s、特に400〜5000mPa.s(20℃、剪断速度100s-1での回転粘度測定法により決定)の範囲である。比較すると、懸濁液のような通常の殺有害生物製剤は、これらの分析条件下で約100mPa.sの動力学粘度を有する。典型的には、濃厚ゲルは、200〜10,000Pa、より好ましくは300〜2000、最も好ましくは400〜1000Paの範囲の堅さG*を有する。
【0015】
濃厚ゲルは、好ましくは水性ゲルである。濃厚ゲルは、好ましくは少なくとも10重量%の水を含む。より好ましくは、水性ゲルは、20〜95重量%、更により好ましくは40〜90重量%、最も好ましくは50〜80重量%の水を含む。
【0016】
植物の部分(例えば、幹又は茎葉)だけを製剤で処理すればよいことは、本発明の利点である。好ましくは、水性ゲルは、植物の総表面の30%未満、より好ましくは15%未満、特に好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満に施用される。
【0017】
水性ゲルは、植物又は固体物品上にスポット状に施用される。植物一本当たりのスポットの数は、最大五つ、好ましくは最大二つ、より好ましくは一つのみである。例えば、通常、果樹は有効な処理には一つ又は二つのスポットだけ、好ましくは一つのスポットだけ必要である。典型的には、スポットは1cm2〜1000cm2、より好ましくは10〜100cm2の面積を覆う。スポットの面積は植物の大きさに応じて決まり、通常、水性ゲルは大きな植物には大きなスポット状に施用される。スポットは、円、線(例えば、水平、垂直若しくは傾斜)の形状又は波の形状などの任意の不規則形状を有することができる。
【0018】
水性ゲルを従来の手段により施用することができる。好ましくは、水性ゲルは、例えばスポットへの噴射として又は線として噴霧することにより施用される。これは、バッフルプレートのない円錐形ノズル、連続流(solid stream)ノズル又は有孔プレートを使用して達成することができる。圧力を調整して、ノズルの開口部から所望の容量を施用する。典型的な開口部直径は、0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜1.5mm、最も好ましくは0.6〜0.8mmであり、典型的な圧力は0.1〜8bar、より好ましくは1〜5bar、最も好ましくは2〜3barである。濃厚ゲルは、通常、例えば上述の噴霧条件下で噴霧可能ではない。
【0019】
施用は、連続的である必要はなく、好ましくは発射的である。それぞれの発射は、通常、1〜200ml、より好ましくは2〜50ml、最も好ましくは3〜20mlの容量を有する。発射一つ当たりのこれらの量は、一本の果樹に特に適している。
【0020】
好ましくは、施用量は、植物が成長する耕地の一ヘクタール当たり水性ゲル最大20 lである。より好ましくは、施用量は、最大10 l/ha、更により好ましくは最大5 l/ha、特に最大3 l/haである。通常、少なくとも1 l/haが推奨される。水性ゲルが水により水性であった場合、上述の施用量は、水性ゲルの量に関連する。
【0021】
施用を繰り返し行うことができる。通常、処理は数週間有効である。したがって、施用を最も早くは一週間後、好ましくは二週間後、より好ましくは三週間後に繰り返すことができる。
【0022】
通常、水性ゲルは、植物又は固体物品上にスポット状に施用される。適切な植物は、任意の種類の作物又は低木である。好ましくは、植物は、リンゴの木、モモの木、柑橘類の木、オリーブの木、サクラの木、ナシの木などの果樹である。カキの木も果樹の例である。適切な固体物品は、有害生物が居そうな領域に吊すことができるパネル又はボード(例えば、プラスチック製、紙製又は木製)である。更なる固体物品は、温室の任意の固体表面である。好ましくは、水性ゲルは、植物、より好ましくは果樹にスポット状に施用される。
【0023】
殺虫剤のタイプに応じて、本方法を使用して、昆虫及びクモ類を含む多数の節足動物を防除することができる。本方法は、例えば以下の目の昆虫と戦うために特に有用である:
鱗翅類(鱗翅目)、例えば、アグロチス・イプシロン(Agrotis ypsilon)、アグロチス・セゲツム(Agrotis segetum)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)、アルギレスチア・コンジュゲラ(Argyresthia conjugella)、ガンマキンウワバ(Autographa gamma)、ブパルス・ピニアリウス(Bupalus piniarius)、カコエシア・ムリナナ(Cacoecia murinana)、カプア・レチクラナ(Capua reticulana)、ケイマトビア・ブルマタ(Cheimatobia brumata)、コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)、コリストネウラ・オクシデンタリス(Choristoneura occidentalis)、シルフィス・ウニプンクタ(Cirphis unipuncta)、シジア・ポモネラ(Cydia pomonella)、デンドロリムス・ピニ(Dendrolimus pini)、ジアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis)、ジアトラエア・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)、エイリアス・インスラナ(Earias insulana)、エラスモパルプス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus)、オイポエシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella)、エベトリア・ボウリアナ(Evetria bouliana)、フェルチア・サブテラネア(Feltia subterranea)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、グラホリタ・フネブラナ(Grapholitha funebrana)、グラホリタ・モレスタ(Grapholitha molesta)、ヘリオチス・アルミゲラ(Heliothis armigera)、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)、ヘルラ・ウンダリス(Hellula undalis)、ヒベルニア・デホリアリア(Hibernia defoliaria)、ヒファントリア・クネア(Hyphantria cunea)、ヒポノメウタ・マリネルス(Hyponomeuta malinellus)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ランブジナ・フィスセラリア(Lambdina fiscellaria)、ラフィグマ・エキシグア(Laphygma exigua)、ロイコプテラ・コフェエラ(Leucoptera coffeella)、ロイコプテラ・シテラ(Leucoptera scitella)、リトコレチス・ブランカルデラ(Lithocolletis blancardella)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、ロキソステゲ・スチクチカリス(Loxostege sticticalis)、リマントリア・ジスパル(Lymantria dispar)、リマントリア・モナカ(Lymantria monacha)、リオネチア・クレルケラ(Lyonetia clerkella)、マラコソマ・ネウストリア(Malacosoma neustria)、マメストラ・ブラッシカ(Mamestra brassicae)、オルギイア・プソイドツガタ(Orgyia pseudotsugata)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、パノリス・フランメア(Panolis flammea)、ペクチノホラ・ゴッシピエラ(Pectinophora gossypiella)、ペリドロマ・サウシア(Peridroma saucia)、ファレラ・ブセファラ(Phalera bucephala)、フトリマエア・オペルクレラ(Phthorimaea operculella)、フィロクニスチス・シトレラ(Phyllocnistis citrella)、ピエリス・ブラッシカ(Pieris brassicae)、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)、プソイドプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、リアシオニア・フルストラナ(Rhyacionia frustrana)、スクロビパルプラ・アブソルタ(Scrobipalpula absoluta)、シトトロガ・セレアレラ(Sitotroga cerealella)、スパルガノチス・ピレリアナ(Sparganothis pilleriana)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、スポドプテラ・リットラリス(Spodoptera littoralis)、スポドプテラ・リツラ(Spodoptera litura)、タウマトポエア・ピチオカンパ(Thaumatopoea pityocampa)、トルトリキス・ビリダナ(Tortrix viridana)、トリコプルシアニ(Trichoplusiani)及びゼイラフェラ・カナデンシス(Zeiraphera canadensis);
甲虫類(鞘翅目)、例えば、アグリルス・シヌアツス(Agrilus sinuatus)、アグリオテス・リネアツス(Agriotes lineatus)、アグリオテス・オブスクルス(Agriotes obscurus)、アンフィマルス・ソルスチチアリス(Amphimallus solstitialis)、アニサンドルス・ジスパル(Anisandrus dispar)、アントノムス・グランジス(Anthonomus grandis)、アントノムス・ポモルム(Anthonomus pomorum)、アフトナ・オイホリダ(Aphthona euphoridae)、アソウス・ハエモロイダリス(Athous haemorrhoidalis)、アトマリア・リネアリス(Atomaria linearis)、ブラストファグス・ピニペルダ(Blastophagus piniperda)、ブリトファガ・ウンダタ(Blitophaga undata)、ブルクス・ルフィマヌス(Bruchus rufimanus)、ブルクス・ピソルム(Bruchus pisorum)、ブルクス・レンチス(Bruchus lentis)、ビクチスクス・ベツラ(Byctiscus betulae)、カッシダ・ネブロサ(Cassida nebulosa)、セロトマ・トリフルカタ(Cerotoma trifurcata)、セトニア・アウラタ(Cetonia aurata)、コイトリンクス・アッシミリス(Ceuthorrhynchus assimilis)、コイトリンクス・ナピ(Ceuthorrhynchus napi)、カエトクネマ・チビアリス(Chaetocnema tibialis)、コノデルス・ベスペルチヌス(Conoderus vespertinus)、クリオセリス・アスパラギ(Crioceris asparagi)、クテニセラ属の種(Ctenicera ssp.)、ジアブロチカ・ロンギコルニス(Diabrotica longicornis)、ジアブロチカ・セミプンクタタ(Diabrotica semipunctata)、ジアブロチカ・12-プンクタタ(Diabrotica 12-punctata)、ジアブロチカ・スペシオサ(Diabrotica speciosa)、ジアブロチカ・ビルギフェラ(Diabrotica virgifera)、エピラクナ・バリベスチス(Epilachna varivestis)、エピトリキス・ヒルチペンニス(Epitrix hirtipennis)、オイチノボトルス・ブラシリエンシス(Eutinobothrus brasiliensis)、ヒルオビウス・アビエチス(Hylobius abietis)、ヒペラ・ブルンネイペンニス(Hypera brunneipennis)、ヒペラ・ポスチカ(Hypera postica)、イプス・チポグラフス(Ips typographus)、レマ・ビリネアタ(Lema bilineata)、レマ・メラノプス(Lema melanopus)、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)、リモニウス・カリホルニクス(Limonius californicus)、リッソロプトルス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus)、メラノツス・コンムニス(Melanotus communis)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、メロロンタ・ヒッポカスタニ(Melolontha hippocastani)、メロロンタ・メロロンタ(Melolontha melolontha)、オウレマ・オリザ(Oulema oryzae)、オルチオリンクス・スルカツス(Ortiorrhynchus sulcatus)、オチオリンクス・オバツス(Otiorrhynchus ovatus)、ファエドン・コクレアリア(Phaedon cochleariae)、フィロビウス・ピリ(Phyllobius pyri)、フィロトレタ・クリソセファラ(Phyllotreta chrysocephala)、フィロファガ属の種(Phyllophaga sp.)、フィロペルタ・ホルチコラ(Phyllopertha horticola)、フィロトレタ・ネモルム(Phyllotreta nemorum)、フィロトレタ・ストリオラタ(Phyllotreta striolata)、ポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica)、シトナ・リネアツス(Sitona lineatus)及びシトフィルス・グラナリア(Sitophilus granaria);
ハエ類、カ類(双翅目)、例えば、アエデス・アエギプチ(Aedes aegypti)、アエデス・アルボピクツス(Aedes albopictus)、アエデス・ベキサンス(Aedes vexans)、アナストレファ・ルデンス(Anastrepha ludens)、アノフェレス・マクリペンニス(Anopheles maculipennis)、アノフェレス・クルシアンス(Anopheles crucians)、アノフェレス・アルビマヌス(Anopheles albimanus)、アノフェレス・ガンビア(Anopheles gambiae)、アノフェレス・フレエボルニ(Anopheles freeborni)、アノフェレス・ロイコスフィルス(Anopheles leucosphyrus)、アノフェレス・ミニムス(Anopheles minimus)、アノフェレス・クアドリマクラツス(Anopheles quadrimaculatus)、バクトロセラ・オレア(bactrocera olea)、カリホラ・ビシナ(Calliphora vicina)、セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata)、クリソミア・ベジアナ(Chrysomya bezziana)、クリソミア・ホミニボラキス(Chrysomya hominivorax)、クリソミア・マセラリア(Chrysomya macellaria)、クリソプス・ジスカリス(Chrysops discalis)、クリソプス・シラセア(Chrysops silacea)、クリソプス・アトランチクス(Chrysops atlanticus)、コクリオミイア・ホミニボラキス(Cochliomyia hominivorax)、コンタリニア・ソルギコラ(Contarinia sorghicola)、コルジルオビア・アントロポファガ(Cordylobia anthropophaga)、クリコイデス・フレンス(Culicoides furens)、クレックス・ピピエンス(Culex pipiens)、クレックス・ニグリパルプス(Culex nigripalpus)、クレックス・キンケファスシアツス(Culex quinquefasciatus)、クレックス・タルサリス(Culex tarsalis)、クリセタ・イノルナタ(Culiseta inornata)、クリセタ・メラヌラ(Culiseta melanura)、ダクス・ククルビタ(Dacus cucurbitae)、ダクス・オレア(Dacus oleae)、ダシネウラ・ブラッシカ(Dasineura brassicae)、デリア・アンチク(Delia antique)、デリア・コアルクタタ(Delia coarctata)、デリア・プラツラ(Delia platura)、デリア・ラジクム(Delia radicum)、デルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis)、ファンニア・カニクラリス(Fannia canicularis)、ゲオミザ・トリプンクタタ(Geomyza Tripunctata)、ガステロフィルス・インテスティナリス(Gasterophilus intestinalis)、グロッシナ・モルシタンス(Glossina morsitans)、グロッシナ・パルパリス(Glossina palpalis)、グロッシナ・フスシペス(Glossina fuscipes)、グロッシナ・タキノイデス(Glossina tachinoides)、ハエマトビア・イリタンス(Haematobia irritans)、ハプロジプロシス・エケストリス(Haplodiplosis equestris)、ヒッペラテス属の種(Hippelates spp.)、ヒレミイア・プラツラ(Hylemyia platura)、ヒポデルマ・リネアタ(Hypoderma lineata)、レプトコノプス・トレンス(Leptoconops torrens)、リリオミザ・サチバ(Liriomyza sativae)、リリオミザ・トリフォリイ(Liriomyza trifolii)、ルシリア・カプリナ(Lucilia caprina)、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)、ルシリア・セリカタ(Lucilia sericata)、リコリア・ペクトラリス(Lycoria pectoralis)、マンソニア・チチラヌス(Mansonia titillanus)、マイエチオラ・デストルクトル(Mayetiola destructor)、ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica)、ムスシナ・スタブランス(Muscina stabulans)、オエストルス・オビス(Oestrus ovis)、オポミザ・フロルム(Opomyza florum)、オシネラ・フリット(Oscinella frit)、ペゴミア・ヒソシアミ(Pegomya hysocyami)、ホルビア・アンチクア(Phorbia antiqua)、ホルビア・ブラッシカ(Phorbia brassicae)、ホルビア・コアルクタタ(Phorbia coarctata)、フレボトムス・アルゲンチペス(Phlebotomus argentipes)、プソロホラ・コルンビア(Psorophora columbiae)、プシラ・ロサ(Psila rosae)、プソロホラ・ジスコロル(Psorophora discolor)、プロシムリウム・ミキスツム(Prosimulium mixtum)、ラゴレチス・セラシ(Rhagoletis cerasi)、ラゴレチス・ポモネラ(Rhagoletis pomonella)、サルコファガ・ハエモロイダリス(Sarcophaga haemorrhoidalis)、サルコファガ属の種(Sarcophaga sp.)、シムリウム・ビッタツム(Simulium vittatum)、ストモキシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、タバヌス・ボビヌス(Tabanus bovinus)、タバヌス・アトラツス(Tabanus atratus)、タバヌス・リネオラ(Tabanus lineola)及びタバヌス・シミリス(Tabanus similis)、チプラ・オレラセア(Tipula oleracea)及びチプラ・パルドサ(Tipula paludosa);
ゴキブリ類(ゴキブリ亜目)、例えば、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica)、ブラッテラ・アサヒナ(Blattella asahinae)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、ペリプラネタ・ジャポニカ(Periplaneta japonica)、ペリプラネタ・ブルンネア(Periplaneta brunnea)、ペリプラネタ・フリギノサ(Periplaneta fuligginosa)、ペリプラネタ・アウストララシア(Periplaneta australasiae)及びブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis);
アリ類、ハチ類、スズメバチ類、ハバチ類(膜翅目)、例えば、アタリア・ロサ(Athalia rosae)、アッタ・セファロテス(Atta cephalotes)、アッタ・カピグアラ(Atta capiguara)、アッタ・セファロテス(Atta cephalotes)、アッタ・ラエビガタ(Atta laevigata)、アッタ・ロブスタ(Atta robusta)、アッタ・セキスデンス(Atta sexdens)、アッタ・テキサナ(Atta texana)、シリアゲアリ属の種(Crematogaster spp.)、ホプロカンパ・ミヌタ(Hoplocampa minuta)、ホプロカンパ・テスツジネア(Hoplocampa testudinea)、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ソレノプシス・ゲミナタ(Solenopsis geminata)、ソレノプシス・インビクタ(Solenopsis invicta)、ソレノプシス・リクテリ(Solenopsis richteri)、ソレノプシス・キシロニ(Solenopsis xyloni)、ポゴノミルメックス・バルバツス(Pogonomyrmex barbatus)、ポゴノミルメックス・カリホルニクス(Pogonomyrmex californicus)、フェイドール・メガセファラ(Pheidole megacephala)、ダシムチラ・オクシデンタリス(Dasymutilla occidentalis)、マルハナバチ属の種(Bombus spp.)、ベスプラ・スクアモサ(Vespula squamosa)、パラベスプラ・ブルガリス(Paravespula vulgaris)、パラベスプラ・ペンンシルバニカ(Paravespula pennsylvanica)、パラベスプラ・ゲルマニカ(Paravespula germanica)、ドリコベスプラ・マクラタ(Dolichovespula maculata)、ベスパ・クラブロ(Vespa crabro)、ポリステス・ルビギノサ(Polistes rubiginosa)、カンポノツス・フロリダヌス(Camponotus floridanus)及びリネピテマ・フミル(Linepithema humile);
コオロギ類、バッタ類、イナゴ類(直翅目)、例えば、アケタ・ドメスチカ(Acheta domestica)、グリルロタルパ・グリルロタルパ(Gryllotalpa gryllotalpa)、ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria)、メラノプルス・ビビッタツス(Melanoplus bivittatus)、メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)、メラノプルス・メキシカヌス(Melanoplus mexicanus)、メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)、メラノプルス・スプレツス(Melanoplus spretus)、ノマダクリス・セプテンファスシアタ(Nomadacris septemfasciata)、スキストセルカ・アメリカナ(Schistocerca americana)、スキストセルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria)、ドシオスタウルス・マロッカヌス(Dociostaurus maroccanus)、タキシネス・アシナモルス(Tachycines asynamorus)、オエダロイス・セネガレンシス(Oedaleus senegalensis)、ゾノゼルス・バリエガツス(Zonozerus variegatus)、ヒエログリフス・ダガネンシス(Hieroglyphus daganensis)、クラウッサリア・アングリフェラ(Kraussaria angulifera)、カリプタムス・イタリクス(Calliptamus italicus)、コルトイセテス・テルミニフェラ(Chortoicetes terminifera)及びロクスタナ・パルダリナ(Locustana pardalina)。
【0024】
好ましい節足動物は、鱗翅目、甲虫類、ハエ類、カ類、ゴキブリ類、アリ類、ハチ類、スズメバチ類、ハバチ類、コオロギ類、バッタ類及びイナゴ類である。更なる実施形態において、節足動物は、鱗翅目、甲虫類、ゴキブリ類、アリ類、ハチ類、スズメバチ類、ハバチ類、コオロギ類、バッタ類及びイナゴ類である。より好ましくは、節足動物は、シジア・ポモネラ(Cydia pomonella)(コドリンガ)などの鱗翅目である。
【0025】
殺虫剤という用語は、殺虫剤及び殺線虫剤の群から選択される少なくとも一つの活性物質を意味する。当業者はそのような殺虫剤について熟知しており、これらは例えば、the Pesticide Manual, 14th Ed. (2006), The British Crop Protection Council, Londonにおいて見出すことができる。適切な殺虫剤は以下である:
-有機(チオ)ホスフェート:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオクソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;
-カルバメート:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メトミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、トリアザメート;
-ピレスロイド:アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンI及びII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウ-フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン;
-昆虫成長調節物質:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素:クロルフルアズロン、シラマジン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b)エクジソンアンタゴニスト:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c)幼若ホルモン様物質:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
-ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、1-(2-クロロ-チアゾール-5-イルメチル)-2-ニトリミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン;
-GABAアンタゴニスト化合物:エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェニル)-4-スルフィンアモイル-1H-ピラゾール-3-カルボチオ酸アミド;
-大環状ラクトン殺虫剤:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、スピネトラム;
-ミトコンドリア電子伝達阻害剤(METI)I殺ダニ剤:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;
-METI II及びIII化合物:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;
-脱共役剤:クロルフェナピル;
-酸化的リン酸化阻害剤:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
-脱皮撹乱性化合物(moulting disruptor compounds):クリオマジン(cryomazine);
-混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド;
-ナトリウムチャンネル遮断剤:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
-その他:ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアジピル(cyazypyr)(HGW86)、シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン及びピリフルキナゾン。
【0026】
好ましい殺虫剤は、ピレスロイド、ナトリウムチャンネル遮断剤及び/又は脱共役剤である。より好ましい殺虫剤は、アルファ-シペルメトリン、メタフルミゾン及び/又はクロルフェナピルである。殺虫剤は、溶解、乳化、懸濁又は封入などの任意の形態で存在することができる。好ましくは、殺虫剤は懸濁又は封入されている。
【0027】
殺虫剤の濃度は、昆虫に対する殺虫活性によって大きく左右される。したがって、専門家は、殺虫活性及び国内官庁の公的規制に基づいて適切な濃度を選択することになろう。例えば、濃厚ゲルは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の殺虫剤を含む。例えば、水性ゲルは0.001〜15重量%、より好ましくは0.01〜8重量%の殺虫剤を含む。
【0028】
誘引剤は、以下の様式のうち一つ又は幾つかで作用することができる非殺有害生物性の材料である:a)昆虫が組成物又は組成物で処理した材料に近づくように誘う;b)昆虫が組成物又は組成物で処理した材料に触れるように誘う;c)昆虫が組成物又は組成物で処理した材料を消費するように誘う;及びd)昆虫が組成物又は組成物で処理した材料に戻るように誘う。適切な誘引剤には、非食用誘引剤、及び摂食刺激物質とも呼ばれる食用誘引剤が含まれる。
【0029】
誘引剤は、固体又は液体形態などの任意の形態で含まれうる。また、封入誘引剤を含むことも可能である。多様な既知の封入技術を、情報物質などの誘引剤の封入に使用することができる。例えば、EP0141584は、シェルがポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート)を含有し、コアが生物学的活性剤(例えば、コドルル(codlure))を含有するマイクロカプセルを開示する;又はWO98/45036は、フェロモン(例えば、コドレモン(codlemone))が封入されている、ポリ尿素若しくはポリウレタンシェルを有するマイクロカプセルを開示する。典型的には、カプセルのシェルは、ポリ(メタ)アクリレート又はポリウレタンを含み、ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
ポリ(メタ)アクリレートは、例えば、WO2008/071649、EP0457154又はDE10200705581によって知られている封入材料である。通常、ポリ(メタ)アクリレートは、アクリル及び/若しくはメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、並びに/又はマレイン酸を重合形態で含む。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートは、メチルメタクリレート及びメタクリル酸を含む。ポリ(メタ)アクリレートは、また、一つ又は複数の二官能又は多官能モノマーを重合形態で含む。ポリ(メタ)アクリレートは、他のモノマーを更に含むことができる。
【0031】
より好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、
モノマーの総重量に基づいて、30〜100重量%の、アクリル及び/又はメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、並びにマレイン酸を含む群からの一つ又は複数のモノマー(モノマーI)、
モノマーの総重量に基づいて、10〜70重量%の、一つ又は複数の二官能又は多官能モノマー(モノマーII)、及び
モノマーの総重量に基づいて、0〜40重量%の、一つ又は複数の他のモノマー(モノマーIII)
から合成される。
【0032】
ポリウレタンを含む封入材料によるカプセルは、よく知られており、従来技術と同様に調製することができる。これらは、好ましくは、適切なポリマー壁形成材料の界面重合法により調製される。界面重合は、通常、ポリマー壁形成材料の少なくとも一部を溶解して含有するコア材料の水性油中水型エマルション又は懸濁液において実施される。重合の際に、ポリマーはコア材料から分離してコア材料と水との間の境界面に行き、それによってマイクロカプセルの壁を形成する。それにより、マイクロカプセル材料の水性懸濁液が得られる。殺有害生物化合物を含有するマイクロカプセルを調製する界面重合法に適した方法は、従来技術において開示されており、例えば、US3,577,515、US4,280,833、US5,049,182、US5,229,122、US5,310,721、US5,705,174、US5,910,314、WO95/13698、WO00/10392、WO01/68234、WO03/099005、EP619,073又はEP1,109,450であり、全て参照される。
【0033】
ポリウレタンカプセルに適した壁形成材料には、好ましくは2成分系又は3成分系が含まれ、例えば、
-多官能イソシアネート/多官能アルコール、
-多官能イソシアネート/多官能アミン、及び
-多官能イソシアネート+多官能酸又は酸塩化物/多官能アミン
である。好ましくは、ポリウレタンは、多官能イソシアネート(ポリイソシアネートとも呼ばれる)及び多官能アミン(ポリアミンとも呼ばれる)を重合形態で含む。
【0034】
イソシアネート基が水と反応してカルバミン酸基となり、これが次に二酸化炭素を排除して、最終的にアミン基を生じうることも知られている。更なる実施形態において、2成分系多官能イソシアネート/多官能アミンは、多官能イソシアネートを水と反応させて調製することができる。
【0035】
一般に、ポリウレタンは、少なくとも二つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、少なくとも二つの第一級アミノ基を有するポリアミンとを、場合により多官能酸塩化物の存在下で反応させて、ポリ尿素壁材料を形成することによって形成される。ポリイソシアネートを、個別に又は二つ以上のポリイソシアネートの混合物として使用することができる。使用するのに適したポリイソシアネートには、イソシアネート基が脂肪族若しくは脂環式部分に結合している(脂肪族イソシアネート)又は芳香族部分に結合している(芳香族イソシアネート)、ジ-及びトリイソシアネートが含まれる。
【0036】
本発明の範囲内の適切なポリアミンとは、一般に、分子中に二つ以上のアミノ基を含有し、アミノ基が脂肪族又は芳香族部分に結合していてもよい化合物を意味すると理解されよう。適切な脂肪族ポリアミンの例は、α,ω-ジアミンである。
【0037】
適切な非食用誘引剤は、通常、揮発性材料である。揮発性誘引剤は、疑似餌として作用し、このタイプは、既知の様式で防除される有害生物によって決まることになろう。非食用誘引剤には、
-フェロモン、特に性フェロモン及び集合フェロモン、カイロモンなどの情報物質、並びに
-天然又は合成起源の香味料
が含まれる。
【0038】
適切な情報物質の例は、例えばT.D. Wyatt, Pheromones and Animal Behaviour: Communication by Smell and Taste, Cambridge 2003: Cambridge University Pressから挙げることができる。例には、5〜10個の炭素原子を有する揮発性アルカノール及びアルケノール、5〜10個の炭素原子を有する揮発性アルカン及びアルケナール、6〜10個の炭素原子を有するアルカノン、1,7-ジオキサスピロノナン及び3-又は4-ヒドロキシ-1,7-ジオキサスピロウンデカン、ベンジルアルコール、Z-(9)-トリコセン(ムスカルル)、ヘンエイコセン、ジアセチル、5〜10個の炭素原子を有するアルカン酸(alcanoic acid)、例えば、カプリル酸、ラウリル酸(laurylic acid)、α-ピネン、メチルオイゲノール、エチルドデカノエート、tert-ブチル4-(又は5-)クロロ-2-エチルシクロヘキサン-カルボキシレート、ミクレノン(mycrenone)、ククルビタシン、トリメドルル(trimedlure)(Capilure(登録商標)として市販されている)及び(E,E)-8,10-ドデカジエン-1-オール(コドレモン)が含まれる。好ましい実施形態において、誘引剤は、フェロモンなどの情報物質である。
【0039】
適切な香味料には、肉香味料、酵母香味料、魚介類香味料、牛乳香味料、バター香味料、チーズ香味料、タマネギ香味料、並びにリンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、サクランボ、干しブドウ、スグリ、ブドウ、グレープフルーツ、ラズベリー及びイチゴの香味料などの果実香味料が含まれる。
【0040】
適切な摂食刺激物質には、下記が含まれる:
-動物性タンパク質及び植物性タンパク質を含むタンパク質、例えば、肉粉、魚粉、魚の抽出物、魚介類、魚介類の抽出物又は血粉、昆虫の一部、コオロギの粉末、酵母抽出物、卵黄、タンパク質加水分解産物、酵母自己溶解物、グルテン加水分解産物などの形態のもの;
-炭水化物及び水素化炭水化物、特に、グルコース、アラビノース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトロース、マルトペントースなどの単糖及び二糖又は糖蜜、コーンシロップ、メープルシロップ、転化糖及び蜂蜜などのそれらの混合物;ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンなどのデンプン、穀物粉末(例えば、コムギ粉末、トウモロコシ粉末、麦芽粉末、コメ粉末、コメ糠)、ペクチン及びグリセロールなどのデンプンに基づいた材料、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマルトロース(isomaltolose)、トレハロース及びマルチトール、並びにマルチトール含有シロップなどの水素化単糖及びオリゴ糖(糖アルコール)、を含む多糖類;
-植物油、例えばトウモロコシ油、オリーブ油、カラウェー油、アマニ油、カノーラ油、ピーナッツ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油などの油脂、魚に基づいた油などの動物起源の油脂、及びまた、上述の油脂に由来する脂肪酸。更に適した植物油はヤシ油である。
【0041】
上述の誘引剤は、果汁、果実シロップ及び果実抽出物(例えば、フルクトース、グルコース及びフルーツ酸を含有しうるリンゴ抽出物)などの揮発性材料及び摂食刺激物質と、果実、作物、植物、動物、昆虫又はこれらの特定の部分の腐敗部分などの有機材料の腐敗部分とを含む複合混合物の形態で存在することもできる。
【0042】
誘引剤の濃度は、昆虫に対する誘引活性によって大きく左右される。したがって、専門家は、誘引活性に基づいて適切な濃度を選択することになろう。例えば、濃厚ゲルは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.001〜1重量%の誘引剤を含む。例えば、水性ゲルは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1重量%の誘引剤を含む。
【0043】
適切な消泡剤には、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン及びロウが含まれる。消泡剤の量は、一般に、組成物の総重量に基づいて1重量%以下となろう。典型的には、消泡剤は、0.001〜1重量%、特に0.001〜0.8重量%の範囲の量で濃厚ゲル中に存在することができる。
【0044】
適切な湿潤剤は、グリセロール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、プロピレングリコール、グルシトール、ポリエチレングリコール(好ましくは3000g/mol未満の分子量)、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、マルチトール、ポリデキストロース及び転化糖である。好ましくは、湿潤剤はグリセロールである。湿潤剤の量は、一般に、濃厚ゲルの総重量に基づいて50重量%以下となろう。典型的には、湿潤剤は、1〜40重量%、特に5〜30重量%、とりわけ10〜25重量%の範囲の量で濃厚ゲル中に存在することができる。典型的には、湿潤剤は、0.5〜20重量%、特に2〜15重量%、とりわけ3〜10重量%の範囲の量で水性ゲル中に存在することができる。
【0045】
適切な増粘剤には、粘土、水和ケイ酸マグネシウムなどの無機増粘剤及び好ましくは有機増粘剤が含まれる。適切な有機増粘剤は、多糖ゴム(例えば、ジェランガム、ジェルトンガム、キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、タラガム、イナゴマメガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はカルシウム))、デンプン及びその誘導体、水溶性合成ポリマー増粘剤(例えば、ビニルアルコール、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、アクリルアミド、ビニルピロリドン、スチレン及び無水マレイン酸に基づいたアニオン性又は中性コポリマー;例えばカチオン性ビニルイミダゾリウムモノマーに基づいたカチオン性コポリマー)、水溶性ペプチド(例えば、カゼイン又はゼラチン)、並びにセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)である。上述の増粘剤のいずれかの混合物も適している。水溶性合成ポリマー増粘剤のうち、5mol%未満、好ましくは0.5mol%未満のアクリル酸及びその塩又はメタクリル酸及びその塩を含むものが好ましい。
【0046】
好ましい増粘剤は、多糖ゴム、デンプン及びその誘導体、水溶性ペプチド、セルロース誘導体及び水溶性合成ポリマー増粘剤である。より好ましい増粘剤は、多糖ゴム及びセルロース誘導体である。
【0047】
水性ゲル中の増粘剤の量は、当該増粘剤の増粘能力によって決まる。したがって、専門家は、水性ゲルを調製するのに必要な増粘剤の適切な量を選択することになろう。典型的には、濃厚ゲルは最大15重量%の増粘剤を含む。好ましくは、濃厚ゲルは、0.1〜25重量%、より好ましくは0.5〜15重量%、特に1.0〜10重量%の増粘剤を含む。典型的には、水性ゲルは最大8重量%の増粘剤を含む。好ましくは、水性ゲルは、0.01〜12重量%、より好ましくは0.1〜8重量%、特に0.5〜5重量%の増粘剤を含む。
【0048】
好ましい実施形態において、水性ゲル及び濃厚ゲルは、1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の合成ポリマー増粘剤を含有する。特に好ましいものは、合成ポリマー増粘剤を含有しない水性ゲル及び濃厚ゲルである。
【0049】
本発明の製剤の微生物腐敗を防止するのに適した防腐剤には、ホルムアルデヒド、p-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、o-フェニルフェノール、ベンゾイソチアゾリノンなどのチアゾリノン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリノン、ペンタクロロフェノール、2,4-ジクロロベンジルアルコール及びこれらの混合物が含まれる。防腐剤の量は、一般に、水性及び濃厚ゲルの総重量に基づいて1.0重量%以下となろう。
【0050】
適切な忌避剤が、鳥類、両生類、は虫類又は温血動物、特にヒトなどの脊椎動物による摂取を避けるために存在することができる。適切な忌避剤は、安息香酸デナトニウム(N-ベンジル-2-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-N,N-ジエチル-2オキソエタンアミニウムベンゾエート)などの苦味剤及びギニアペッパーなどの辛味物質である。
【0051】
適切なUVフィルターを以下の群から選択することができる:
A)ベンゾトリアゾール、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェノール(Tinuvin(登録商標)900、CIBA AG)、[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-w-[3-[3-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロポキシ]ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)(Tinuvin(登録商標)1130、CIBA AG)、6-tert-ブチル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール;
B)シアノアクリレート誘導体、例えば、エチル2-シアノ-3-フェニルシンナメート(Uvinul(登録商標)3035、BASF SE)、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸-2'-エチルヘキシルエステル又は2-エチルヘキシル-2-シアノ-3-フェニルシンナメート(オクトクリレン、Uvinul(登録商標)539 T、Uvinul 3039、BASF SE);
C)パラ-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、特にエステル、例えば、エチル-PABA、エトキシ化PABA、エチル-ジヒドロキシプロピル-PABA、グリセロール-PABA、2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート(Uvinul(登録商標)MC 80)、2-オクチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、アミル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、4-ビス(ポリエトキシ)4-アミノ安息香酸ポリエトキシエチルエステル(Uvinul(登録商標)P 25、BASF SE);
D)サリチル酸のエステル、例えば、2-エチルヘキシルサリチレート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、TEAサリチレート(Neo Heliopan(登録商標)TS, Haarmann and Reimer)、ジプロピレングリコールサリチレート;
E)ケイ皮酸のエステル、例えば、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート(Uvinul(登録商標)MC 80)、オクチル-p-メトキシシンナメート、プロピル4-メトキシシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、コノキセート、ジイソプロピルメチルシンナメート、エトクリレン(Uvinul(登録商標)N 35、BASF SE);
F)ベンゾフェノンの誘導体、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)M 40、BASF SE)、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus、BASF SE)、4-n-オクチルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)3008、BASF SE)、2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば、4-ヒドロキシ-、4-メトキシ-、4-オクチルオキシ-、4-デシルオキシ-、4-ドデシルオキシ-、4-ベンジルオキシ-、4,2',4'-トリヒドロキシ-、2'-ヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン;
G)ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(Uvinul(登録商標)MS 40、BASF SE)及びその塩、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン-5,5'-スルホン酸及びその塩(二ナトリウム塩:Uvinul(登録商標)DS 49、BASF SE);
H)3-ベンジリデンカンファー及びその誘導体、例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)d-1-カンファー、ベンジルイジエンカンファースルホン酸(Mexoryl(登録商標)SO、Chimex);
I)3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸及び2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸、並びにこれらの塩;
J)ベンザルマロン酸のエステル、例えば、2-エチルヘキシル4-メトキシベンズマロネート;
K)トリアジン誘導体、例えば、ジオクチルブトアミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB、Sigma)、2,4,6-トリナニリノ-p-(カルボ-2'-エチル-ヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン(Uvinul(登録商標)T 150、BASF SE)、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinuvin(登録商標)405、CIBA AG)、アニソトリアジン(Tinosorb(登録商標)S、CIBA AG)、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン;
L)プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
M)2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸又は2-フェニルベンゾイミダゾール-4-スルホン酸、並びにこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカモニウム(glucammonium)塩;
N)ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン又は1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
O)ベンゾフェノンのアミノヒドロキシ置換誘導体、例えば、N,N-ジエチルアミノヒドロキシベゾイル-n-ヘキシルベンゾエート;及び
P)無機吸収剤、例えば、ZnOに基づいたもの(例えば、Z-Cote(登録商標)の製品、BASF SE)、TiO2に基づいたもの(例えば、T-Lite(商標)の製品、BASF SE)又はCeO2に基づいたもの;並びに
Q)A)〜O)の群のUVフィルターの混合物、例えば、p-メトキシケイ皮酸エチルエステル(65%)と2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(35%)との混合物(Uvinul(登録商標)A Plus B、BASF SE)。
【0052】
好ましいUVフィルターは、ベンゾフェノンの誘導体、より好ましくは2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、特に4-n-オクチルオキシ-2-ヒドロキシ-ベンゾフェノンである。
【0053】
水性ゲル中のUVフィルターの量は、当該UVフィルターのUVフィルタリング能力によって決まる。したがって、専門家は、妥当なUVフィルタリング活性を達成するために推奨されるUVフィルターの適切な量を選択することになろう。典型的には、濃厚ゲルは最大15重量%のUVフィルターを含む。好ましくは、濃厚ゲルは、0.01〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%のUVフィルターを含む。典型的には、水性ゲルは最大10重量%のUVフィルターを含む。好ましくは、水性ゲルは、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、特に0.3〜3重量%のUVフィルターを含む。
【0054】
本発明は、また、殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質を含む水性ゲルに関する。適切で好ましいレオロジーパラメーター、殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質は、上記に定義されたとおりである。摂食刺激物質は誘引剤にも属する。したがって、水性ゲルは二つの異なる誘引剤を含み、少なくとも一方は摂食刺激物質から選択される。
【0055】
そのような水性ゲルは、本発明による方法にとって有利である。好ましくは、水性ゲルは、0.01〜20重量%の増粘剤、0.5〜30重量%の湿潤剤及び0.01〜40重量%の摂食刺激物質を含む。より好ましくは、水性ゲルは、0.05〜10重量%の増粘剤、5〜30重量%の湿潤剤及び0.5〜25重量%の摂食刺激物質を含む。更により好ましくは、水性ゲルは、0.3〜5重量%の増粘剤、2〜10重量%の湿潤剤及び1〜15重量%の摂食刺激物質を含む。
【0056】
本発明は、更に、3/1〜1/10の範囲の濃厚ゲル/水の重量比で水により希釈して本発明による水性ゲルを調製するための濃厚ゲルに関する。典型的には、濃厚ゲルは、殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質を含む。好ましくは、濃厚ゲルは、0.01〜25重量%の増粘剤、1〜40重量%の湿潤剤及び0.1〜50重量%の摂食刺激物質を含む。より好ましくは、濃厚ゲルは、0.1〜15重量%の増粘剤、5〜30重量%の湿潤剤及び1〜30重量%の摂食刺激物質を含む。更により好ましくは、濃厚ゲルは、0.5〜8重量%の増粘剤、10〜20重量%の湿潤剤及び1〜15重量%の摂食刺激物質を含む。
【0057】
本発明による水性ゲル及び濃厚ゲルは、ゲルを調製する通常の方法により調製することができる。通常、成分は撹拌下で混合される。典型的には、粘性組成物を撹拌するのに適した撹拌装置が使用される。混合は、50〜100℃の温度で達成することができる。
【0058】
本発明による方法並びに水性及び濃厚ゲルは、両方とも多様な利点を有する。植物の大部分にわたる散布施用と比較して、スポット施用のため残留物が少ない。スポット施用のため、施用された水性ゲルからは水分蒸発が少なく、活性物質のまき散らしも少ない。誘引剤は、極めて局所的な施用を可能にする。スポット施用のためドリフトがより低い。水性ゲルの粘性テキスチャーはドリフトを阻止する。容積施用量が低いので節水できる。UVフィルターのため殺虫剤の残効性が増加する。作業者への曝露及び環境への影響が、標的概念のため低減される。有益及び非標的生物に対する影響が低減される。増粘剤は、生分解性であるか又は天然起源のものである。水性ゲルは、噴霧が容易であり(特に2から5barの間の圧力で)、植物の表面に非常に良好に付着する(高い保持力に相当する)。
【0059】
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、これらに限定されない。
【0060】
[実施例]
材料:
Rhodigel(登録商標)easy:キサンタンガム、顆粒、乾燥時減量8〜14重量%、粘度1200〜1600mPas(24℃、1%のKCl、Brookfield LVT、60rpm、スピンドル3);Rhodiaから市販。
【0061】
Culminal(登録商標)MHPC:メチルヒドロキシプロピルセルロース、顆粒、粘度58000〜70000mPas(2%溶液)、水に完全に溶解;Hercules Aqualonから市販。
【0062】
Synergen(登録商標)Y02:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)に基づいた疎水性改質コポリマー、アンモニアにより中性、粉末、粘度35,000〜50,000mPas(1重量%水溶液、Brookfield粘度計、20rpm、20℃)、含水量5重量%;pH5〜6(1重量%水溶液);Clariantから市販。
【0063】
Kelcogel(登録商標)F:ジェランガム、粉末、水溶性;C.P. Kelcoから市販。
【0064】
Kelcosol(登録商標)NF:アルギン酸、ナトリウム塩、粉末、粘度1000〜1500mPas(1%溶液)、乾燥時減量7〜15重量%、pH6.4〜8(1%水溶液);C.P. Kelcoから市販。
【0065】
Genuvisco(登録商標)CL-123:カラギーナン、粉末、水溶性、乾燥時減量10%、ゲル強度60〜85g(1.4%);C.P. Kelcoから市販。
【0066】
Luvigel(登録商標)Advanced:ポリクオタニウム-86(ビニルピロリドンとビニルイミダゾールと3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリドとメタクリル酸とのコポリマー;架橋;CAS 935522-29-5)、粉末;BASF SEから市販。
【0067】
Aquasorb(登録商標)3500S:アクリルアミドとアクリル酸カリウムとの架橋コポリマー;乾燥分85〜90%;水中のpH8.1;SNF Floergerから市販。
【0068】
Luviset(登録商標)Clear:N-ビニルピロリドンとメタクリルアミドとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、Mw:270000g/mol、固形分20%、粘度700〜200mPas(Brookfield、スピンドル4、20rmp、23℃);BASF SEから市販。
【実施例1】
【0069】
濃厚ゲルの調製
それぞれ100gの濃厚ゲルを、60g/lのアルファシペルメトリン、5.0gのショ糖(摂食刺激物質)、5.0gのリンゴ抽出物(乾燥抽出リンゴから作製された暗褐色のシロップは、フルクトース、グルコース、ソルビトール及びリンゴ香味料を含む)、0.2gの防腐剤、15.0gのグリセロール(湿潤剤)及び水を含む16.14gの濃厚懸濁液を撹拌しながら混合することにより、室温で調製した。これらの化合物を均質化した後、2.0gの2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(UVフィルター)及び増粘剤(量については表1を参照されたい)を撹拌しながら加えた。ゲルの最終粘度を、20℃、100rpmで決定した。いずれの種類の節足動物用誘引剤もこのモデルゲルに加えることができた。
【表1】

【実施例2】
【0070】
濃厚ゲルの調製
それぞれ100gの濃厚ゲルを、100g/lのアルファシペルメトリン、5.0gのショ糖(摂食刺激物質)、10.0gのBuminal(登録商標)(Bayer Crop Scienceからのタンパク質加水分解物)、0.2gの防腐剤、15.0gのグリセロール(湿潤剤)、5.0gのCapilure(登録商標)(t-ブチル-4(又は5)-クロロ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、CAS No. 12002-53-8としても知られているトリメドルア(trimedlure)に基づいた誘引剤)及び水を含む6.2gの濃厚懸濁液を撹拌しながら混合することにより、室温で調製した。これらの化合物を均質化した後、2.0gの2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(UVフィルター)及び増粘剤(量については表2を参照されたい)を撹拌しながら加えた。
【表2】

【実施例3】
【0071】
葉への接着性
リンゴの木の葉への多様な傾斜角度での接着性を、実施例1の全てのゲル(2重量部の水を有する水性)について室温で試験した。全てのゲルスポットは、葉表面の傾斜角度が60°以上であっても、噴霧施用によって、滑る又は流出することなく1時間を超えて葉に付着した。
【実施例4】
【0072】
生物学的試験
スペインの柑橘園において、セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata)(チチュウカイミバエ)の防除を、柑橘類の木に配置した緑色の接着ボードに施用したゲル製剤の誘引性を評価すること及び果樹園におけるセラチチス・カピタタの個体群の低減を管理することによって試験した。果樹園を四つの区域に分けた(それぞれ約0.8haで約300本の柑橘類の木を有する)。試験は、八月後半に実施した。通常のミバエ(Ceratitis fly)は南東から北西に飛ぶ。したがって、それぞれの区域では南東の境界に進入罠を設置し、出口罠を北西の境界に設置した。それぞれの区域において、四枚の緑色の接着パネルを区域全体にわたって均一に分布して設置した。
【0073】
区域C0:対照、処理なし。
【0074】
区域C1:対照、それぞれの木及び四枚のパネルをSpintor(登録商標)CEBO(0.02重量%のスピノサド、糖、植物性タンパク質及び抽出物を含有する水性製剤、Dow Agrosciencesから市販)で処理。区域C1の総施用量は7.5 l/haの水性噴霧ミックスであり、これは、Splintor(登録商標)を水により1:5の比で希釈することにより調製した。それぞれの木及びパネルを約17.9mlの噴霧ミックスで処理した。
【0075】
区域A:それぞれの木及び四枚のパネルをゲルで処理。区域Aの総施用量は3.0 l/haの水性噴霧ミックスであり、これは、実施例2Cの濃厚ゲルを水により1:3の比で希釈することにより調製した。それぞれの木及びパネルを、約7.2mlの噴霧ミックスで処理し、不規則な線スポット状に施用した。
【0076】
区域B:二列毎(すなわち、この区域の木の50%のみ)及び四枚のパネルをゲルで処理。区域Bの総施用量は3.0 l/haの水性噴霧ミックスであり、これは、実施例2Cの濃厚ゲルを水により1:3の比で希釈することにより調製した。それぞれ二番目の木及びパネルを、約14.4mlの噴霧ミックスで処理し、不規則な線スポット状に施用した。
【0077】
処理後の様々な日(DAT)に、パネル、並びに進入罠及び出口罠に捕獲されたハエの数を数えた。
【表3】

【表4】

【0078】
結論としては、一般にハエの大個体群が試行の開始時に存在した。処理領域におけるハエの個体群の良好な低減が、表4の進入/出口罠における差により示された。これは、多数のハエを誘引し死滅させた本発明によるゲル餌の高い誘引性により達成された。処理した木の数を50%まで低減しても、依然として市場の製品と比較してハエの大きな低減を達成することも可能であった。このことは、より短時間でより少ない労力による果樹園のより素早い処理を可能にする。
【実施例5】
【0079】
マイクロカプセルを含有する濃厚ゲルの調製
A)マイクロカプセルの調製
水相:
27.36g 水
45.63g ポリビニルアルコール(水中10重量%、加水分解度88%)
0.17g 2.5重量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
油相:
23.93g コドレモン/エチルイソバレレート(重量比1/9)
11.04g カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
2.58g MMA
2.58g MAA
1.72g BDA2
1.72g PETIA
供給原料1:0.30g tert-ブチルペルピバレート(75%)
供給原料2:0.47g 炭化水素中の10重量%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液
供給原料3:2.51g 1重量%のアスコルビン酸水溶液
最初に、水相及び油相を上記の組成により別々に生成した。水相を室温で最初に投入した。油相を加えた後に、分散撹拌機(disperser stirrer)により15000rpmで1分間分散した。次に、形成されたエマルションを窒素下及び撹拌下で250mlのフラスコに移した。供給原料1を加え、混合物をアンカー撹拌機で撹拌しながら70℃まで加熱し、70℃で1時間保持した。これを次に85℃に加熱し、85℃で2時間保持した。供給原料2を、形成されたマイクロカプセル分散体に撹拌しながら加えた。供給原料3を50分以内に計量導入し、その間、混合物を60分以内に室温まで冷却した。形成されたマイクロカプセル分散体は、37.7%の固形分及び1.8μmの平均粒径(フラウンホーファー回折により測定、平均容積)を有した。
【0080】
B)ゲルの調製
それぞれ100gの濃厚ゲルを、1.25gの工程A)のカプセル懸濁液、5.0gのショ糖(摂食刺激物質)、0.2gの防腐剤、15.0gのグリセロール(湿潤剤)及び水を撹拌しながら混合することにより、室温で調製した。これらの化合物を均質化した後、0.2gの2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(UVフィルター)及び増粘剤(0.6gのAquasorb(登録商標)3500S、0.8gのCulminal(登録商標)MHPC、0.2gのKelcogel(登録商標)F及び0.2gのGenuvisco(登録商標)CL-123)を撹拌しながら加えた。
【実施例6】
【0081】
実施例5のカプセルの生物学的試験
ドイツの果樹園において(九月後半)、二つのケージをそれぞれ一本の木の周囲に置いた。それぞれのケージでは、二つのデルタトラップ(delta trap)を木の近くに置いた。一つのトラップは、二匹の雌コドリンガで誘き寄せ、第二のトラップは実施例5Bによるゲル餌で誘き寄せた。次に40匹の雄コドリンガを午前11時にケージの中に放した。24時間後、捕獲された雄のガの数をそれぞれのトラップで数えた(1DAT)。ゲル餌をトラップの中に14日間放置した。10日後、二匹の新たな雌のガをトラップに入れ、40匹の新たなコドリンガをケージの中に放した。捕獲されたガの数を4日後に数えた(14DAT)。同じ日に、更に40匹の新たなコドリンガをケージの中に放した。捕獲されたガの数を3日後に数えた(17DAT)。試験結果(表4)は、ゲル餌の長期にわたる高い誘引性を実証した。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫剤、誘引剤及び増粘剤を含有する水性ゲルを施用することを含む節足動物を防除する方法であって、水性ゲルが果樹にスポット状に施用される方法。
【請求項2】
水性ゲルが植物の総表面の30%未満に施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スポットが1cm2〜100cm2の面積を覆う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
水性ゲルが噴霧により施用される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
施用量が、植物が成長する耕地の一ヘクタール当たり、水性ゲル最大10 lである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
果樹が、リンゴの木、モモの木、柑橘類の木、オリーブの木、サクラの木、ナシの木及びカキの木である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
水性ゲルが湿潤剤を更に含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ゲルがUVフィルターを更に含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
殺虫剤が、アルファシペルメトリン、メタフルミゾン及び/又はクロルフェナピルである、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
水性ゲルが、濃厚ゲルと水とを3/1〜1/10の重量比で混合することにより調製される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
殺虫剤、誘引剤、増粘剤、湿潤剤及び摂食刺激物質を含む水性ゲル。
【請求項12】
1〜200Paの範囲の堅さG*を有する、請求項11に記載の水性ゲル。
【請求項13】
湿潤剤がグリセロールを含み、摂食刺激物質が糖を含む、請求項11又は12に記載の水性ゲル。
【請求項14】
殺虫剤が、アルファシペルメトリン、メタフルミゾン及び/又はクロルフェナピルを含む、請求項11から13のいずれかに記載の水性ゲル。
【請求項15】
3/1〜1/10の範囲の濃厚ゲル/水の重量比で水により希釈して請求項11から15に記載の水性ゲルを調製するための濃厚ゲル。

【公表番号】特表2013−517314(P2013−517314A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549327(P2012−549327)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050579
【国際公開番号】WO2011/089105
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】