コンクリート用ホッパ排出ゲート
【課題】
コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、縦横の比率が小さい楕円開口として砂利が詰まらないホッパ排出ゲートのラバーシールを提供する。
【解決手段】
コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部、及び、開口末端近傍には、ラバーシールに一対の断面半円状の金属の弾性部材を設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢し、締付部は一対の締付ローラであり、弾性部材は締付部から排出ゲートの開口の末端近傍まで延びているコンクリート用ホッパ排出ゲート。
コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、縦横の比率が小さい楕円開口として砂利が詰まらないホッパ排出ゲートのラバーシールを提供する。
【解決手段】
コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部、及び、開口末端近傍には、ラバーシールに一対の断面半円状の金属の弾性部材を設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢し、締付部は一対の締付ローラであり、弾性部材は締付部から排出ゲートの開口の末端近傍まで延びているコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリート等のホッパ排出ゲートのラバーシールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリート等のホッパの排出ゲートにおいて、生コンクリートが液状であり、かつ、砂利やセメントミルクや水などから構成されているため、水を遮断する必要から所謂ラバーシールゲートが採用されているが、例えば、特許文献1に開示されているように、ラバーシールを一対のローラで挟圧し完全に水をシールしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したように、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリートホッパの排出ゲートは、ラバーシールを一対のローラで挟圧するコンクリート用排出ゲートでスムースな排出ができないという問題点があり、バッチャープラント設備のなかで唯一自動運転ができない部分であった。
その理由は、筒状のラバーシールの排出口を外側から一対のローラで挟んでいるが、通常、建築用の生コンクリートは液状であり、この生コンクリートをコンクリートホッパからミキサー車に積み込む時、一度に全開するとミキサー車が飲み込めず溢れてしまったり、生コンクリートがはねて車を汚したりすることから、ゲートをオペレータの勘と経験で調整しながら開いて行くのが現状であり、機械による自動運転が難しいものであった。
また、ゲート開調整が難しい理由として、製造する生コンクリートが何千種類とありそれぞれの流動性が違うこと、そして、砂利(40mm以下)が含まれる為、少しのゲートの開きであれば砂利が詰まり排出ができなくなり、詰まりを除いて排出できるようにゲートを開くと、どっと生コンが排出してあふれたり、跳ねたりする不都合があった。そして、その部分の調整が機械だけでは難しく、人の経験による操作が必要となり自動運転ができない理由でもあった。
【0004】
従来のゲートの開閉方法を、図12〜14を用いて説明すると、図12に示すように、通常の閉状態ではホッパ排出口aに筒状のラバーシールbが締め付けバンド等で固着され、一対の締付ローラcとシリンダdからなる締付部材eでラバーシールbを挟んゲートを構成しているが、コンクリート製品を排出してミキサー車に積み込む場合には、図13に示すように、オペレータの経験でゲートを開けたり閉じたりして、様子を見ながらゲートを少しずつ開けて、最後に図14に示すように全開とし、なるべく短時間にコンクリートホッパからミキサー車に積み込まなくてはならない。すなわち、図12に示すように、現状のゲートは筒状のラバーシールbを一対の締付ローラcとシリンダdで挟圧し、排出時には、図13に示すように、一対のローラcを少し後退させて細長い隙間の開口fを形成して排出する。
しかし、細長い隙間の開口fでは初めは排出するが、直ぐに、図13(c)に示すように、砂利J等が開口fに詰まり引っ掛って排出ができなくなる。そこで、引っ掛った砂利を排除するために開口を広げると、どっと大量の生コンクリートが排出されて、ミキサー車の供給口が飲み込めず、供給口から溢れてしまうことがあった。つまり、少しの開状態でも砂利が詰まらない構造が必要であるが、従来の一対の平行ローラーでは細長い隙間x7であり、砂利が詰まらない開口となると排出量が多くてミキサー車が生コンを飲み込まなかったり汚れたりするので、それを回避する細長い幅の開口では、砂利Jが開口fに詰まってしまうという不都合があった。
なお、ラバーシールの耐久性を高めるために、耐摩耗部材をラバーシールに埋め込むことが特許文献2、特許文献3に提案されているが、これらのラバーシールのゲートは、無負荷では楕円開口であっても、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかると、図13に示すように、一対のローラcを少し後退させる初期開口では、従来のラバーシールと同様に、細長い隙間の開口fしか形成できないものであった。
また、コンクリート用ホッパのラバーシール排出ゲートを外部からの付勢により、菱形開口にすることも特許文献4(初期開口ではない)、特許文献5、特許文献6として提案されているが、装置が複雑になり、制作費が高価になり、保守も厄介であった。
【0005】
また、コンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールの先端は、図10(a)のように開口が「8」の字になる傾向があり、特に、ラバーシールの開口面積が小さな初期排出での開口が「8」の字になる傾向が顕著である。もっとも、通常の生コンクリートの排出では、生コンクリートの粘性や質量からラバーシールの開口が「8」の字開口になる傾向があっても大量の生コンクリート自体によって外側に押し広げられ支障がないが、しかし、コンクリート用ホッパ内部を水で清掃する場合であって、この清掃後の水を開口面積を小さくして排出する際には、ラバーシールの開口を外側に押し広げる力はなく、清掃後の水がラバーシールの「8」の字の両側の開口から側方に飛散してしまい、周囲の装置を汚してしまうという不都合があった。
これは、上述した特許文献2、特許文献3に開示されている耐摩耗部材を埋め込んだコンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールも、取付当初の無負荷状態では円形、あるいは、楕円開口を維持するが、ラバーシールを締付部材で常に挟さんだり拡げたりするので、経年変化で図10(a)のようにラバーシールの末端の開口が「8」の字になる傾向にある。
【特許文献1】特開2001−341120号公報
【特許文献2】特開平11−321985号公報
【特許文献3】特許第3333772号公報
【特許文献4】特開2004−114306号公報
【特許文献5】特願2004−270421号
【特許文献6】特願2005−136758号
【0006】
本発明は、前述した不都合に鑑みてなされたもので、コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、ゲート断面が縦横の比率が大きい従来の開口断面積と同じでも、縦横の比率が小さい、または、円に近い開口として砂利Jが詰まらない簡単な構成のホッパ排出ゲートを提供するものであり、また、砂利が詰まらない開口とすることが可能なコンクリート用ホッパ排出ゲートを提供するものである。
さらに、コンクリート用ホッパ内を清掃する際の、排出する水が飛散しないように真下に落下させるコンクリート用ホッパ排出ゲートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、該ラバーシールのゲートを形成する下部には一対の対向する半円形状の弾性部材を水平に位置するように設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢したことを特徴とするコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項2の発明は、前記弾性部材は、前記ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項3の発明は、前記締付部は一対の平行ローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項4の発明は、前記締付部は全体が菱形に屈曲する一対のローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項5の発明は、前記弾性部材は、前記ラバーシールのゲートを形成する下部の開口の末端近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、ゲートを半開状態とする初期段階で、ラバーシールの簡単な構成で、ゲート開口断面の縦横寸法の比率が小さく、又は円に近い開口となるので、ゲートを半開状態でも砂利がゲート開口に詰まることがないという効果が得られ、また、ラバーシールの接触面に対して砂利が無理に通過する量が減ることからラバーシールの耐用期間が延びるとういう効果も得られる。更に、コンクリート用ホッパ排出ゲートが砂利が詰まることがないことから、コンクリートをミキサー車に自動制御により積み込むことが可能となり、生コンクリートの製造からミキサー車に積み込むまでの自動操業が可能となるという効果も得られる。
また、従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールの交換だけで、初期開口の排出制御が可能となる効果も得られる。
さらに、ラバーシールの初期の排出開口がほぼ楕円となるので、コンクリート用ホッパ内を水で清掃し、清掃後の水はラバーシールから排出する際には真下に落下するので、従来のようにラバーシールの初期の排出開口が「8」の字になることがないので、側方に飛散することがなく、周囲の装置を汚すことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施例1]
ここで、本発明にラバーシールを使用した好適なコンクリート用ホッパ排出ゲートの実施例1を、図面に沿って説明する。
図1は、セメント、砂利、砂、水等を混合して生コンクリートを製造するホッパ下部の排出口を近傍の断面図で、ホッパ1の下部排出口11の外側には、筒状のラバーシール2が取り付けバンド等で固定されている。
図1及び図2に示すように、ラバーシール2の外側にローラ4からなる一対の締付部材3がラバーシール2を挟んで相対向する位置に配設され、締付部材3がシリンダ5の伸長によってラバーシール2が互いに押圧して水分が下に漏れないように閉口状態に維持しており、排出ゲートを半開状態、及び、全開状態となる場合には操作部(図示せず)からの指令により、シリンダ5の本体部51a,51bが縮む方向に作動する。
また、この締付部材3及びシリンダ5はホッパ1の下部排出口11近傍の固定フレーム12に設けられており、一対の締付部材3の上端は固定フレーム12の排出口11近傍の回動軸31a,31bを中心に揺動し、一対の締付部材3の下端はそれぞれ締付部を構成する一対の平行の締付ローラ41a,41bが設けられ、これら締付ローラ41a,41bに伸縮方向にシリンダ5の駆動軸52a,52bが連なっており、フレーム12に設けられたシリンダ取付部材53a,53bを介して、これも揺動自在に取り付けられている。
【0010】
ラバーシール2は、図2のE部分を拡大した図3に示すように、適度の厚みを有しており、内周に耐磨耗ゴム21が設けられ、外周のゴム22にはナイロンハブ23が埋め込まれ、ラバーシール2の上方はすり鉢状2aで、下方は円筒状2bでゲートを形成するが、この下方のローラ4により締め付けられる部分2bには、一対の金属の弾性部材である弾性板24が埋め込まれている。
なお、本実施例では、ラバーシールのゴムの中に一対の弾性板24を埋め込んだが、ラバーシール2の下部2bの外側に一対の弾性板を貼り付けて固定してもよい。
【0011】
この弾性部材としての弾性板24は、図4(a)に示すように、常に、ラバーシール2を強制的に円筒形状となるように付勢したもので、元の形状は断面半円状である。弾性板24は、このためバネ力を維持し復元力のある金属板としたが、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかっても楕円開口を維持しなければならないから、強力な弾性力があり円筒形状を維持できるのであれば合成樹脂でもよい。
また、この弾性部材24は、一枚の板ではなく、図4(b)に示すように、細い幅20cm程度の一対の金属製の復元力を有する弾性帯を、ラバーシール2の下部2bに複数(この実施例では上中下の3本241a〜243a,241b〜243b)埋め込んでもよい。
この場合には、実施例1の弾性板に比べて材料が少なくて済み、且つ、各弾性の弾性力を異なるように設定することが容易であり、締付けローラに対向する弾性帯241a,241bの弾性反発力は、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかっても楕円開口を維持しなければならないから、反発力(弾性力)を強くし、ラバーシール2の開口の弾性帯243a,243bの弾性反発力は、無負荷で開口するだけで良いので、反発力は弱くてもよい。また、この弾性帯241a〜243a,241b〜243も図4(b)の実施例では、ラバーシールのゴムの中に埋め込んだが、ラバーシール2の外側に一対の弾性帯を貼り付けて固定してもよい。
上述した弾性帯241a〜243a,241b〜243bは帯状であるが、弾性復元力があれば棒状のものをラバーシールに埋め込むか、貼り付けてもよく、この場合には製造が簡単である。
【0012】
ラバーシール2とコンクリート用ホッパ排出ゲートとの以上のような構成についての作動を説明する。
[ラバーシール閉口時]
図2はゲートが閉口状態の図で、締付部材3がシリンダ5のシリンダ軸52(52a,52b)が繰り出され伸長によってラバーシール2を互いに強い押圧力により押圧されている状態Aにある。
この際、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるように付勢されているが、これに反してシリンダ5とローラ4とによる押圧力により潰された形状となり、生コンクリートが排出されるのを阻止している。
【0013】
[ラバーシール初期開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを開口して、ゲート下に待機したミキサー車に生コンクリートを排出し積込み作業を開始するが、前述したように、一度に全開するとミキサー車が飲み込めず溢れてしまったり、生コンクリートがはねて車を汚したりすることから、開口初期にはゲートの開口面積を小さくし、且つ、開口の最小直径をなるべく大きくして、生コンクリートの中の比較的直径の大きな砂利等もスムースに排出しなければならない。
このための構成が本発明の特徴でもあるが、本実施例では図5〜図7に示すような開口状態Bになる。
図6に示すように、シリンダ軸52(52a,52b)が若干後退し、これに伴ってローラも後退し、一対の平行ローラ4の間隔を従来よりも若干広くし、この場合に、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、弾性板24が常にラバーシール2を強制的に円筒形状に維持するように付勢しているので、潰されたラバーシール2の開口両端部近傍(開口距離x1、x2)では内側方向(矢印)に付勢され、逆に、開口中央部(開口距離x3)では外側方向(矢印)に付勢される。
この結果、図6に示すラバーシール2の断面形状のように、中央部が外側に広がった楕円形状となる。この楕円形状は、従来の図13(b)のほぼ矩形の断面積と同じであっても、中央部での距離x3が図13(b)の矩形の巾x7よりも大きくなり、したがって、同じ直径の砂利Jであっても(従来のラバーシールでは排出が阻止されるが)、本実施例のラバーシール2の初期開口Bでは、スムースに排出される。
【0014】
[ラバーシール全開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを全開口にして、ミキサー車に生コンクリートを排出して、短時間の積込み作業を終了させるが、図8〜図9に示すような開口状態Cになる。
図8に示すように、シリンダ軸52(52a,52b)が更に後退し、これに伴ってローラも後退すると、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、さらに、水よりも粘性のある生コンクリートの自重により、ラバーシール2を外に押し広げて下部に排出される。
この場合に、弾性板24の弾力は必要がなく全開口状態となるが、仮に、弾性板24の筒状形状が小さくても、生コンクリートの自重により、更に広がった直径の筒状形状になり、短時間に生コンクリートがミキサー車に排出され積込み作業を終了する。
【0015】
ところで、ラバーシール2の上部はローラ4に対応する位置にあり、ローラ4に挟まれて互いにの距離が短い初期開口の状態にある場合であって、ラバーシール2の下部2bは開口の近傍まで延びており、これを拡大した斜視図が図10(b)である。従来の半筒状形状の弾性板のない開口は、図10(a)に示すように生コンクリートを排出しない場合で、ローラ4の間隔も狭い初期開口の場合には、「8」の字開口になる傾向があるが、本実施例では弾性板24の作用によって、図10(b)のように、中央部x3が最も間隔が広がった楕円形状となる。
これにより、生コンクリートの排出の時は、大量の生コンクリート自体によってラバーシール2が外側に押し広げられ支障がないが、コンクリート用ホッパ内部を水で清掃し、この清掃後の水を排出する際にはラバーシールの開口を外側に押し広げる力はなく、清掃後の水が「8」の字の両側の開口x4、x5から側方に飛散w1してしまい、周囲の装置を汚してしまう。これに反し、本発明の実施例では、清掃後の水w2は中央部x3の最も間隔が広がった楕円形状の開口から真下に落下するので、周囲の装置を汚すことがない。
【0016】
勿論、水での清掃だけのためであれば、弾性部材24は、ラバーシールのゲートを形成する下部2bの開口の末端近傍だけ、例えば、弾性板24であれば下部の開口の末端近傍だけ、図4(b)の弾性帯であれば、一番下の弾性帯243a,243bだけであっても、十分に作用・効果を有する。
すなわち、従来の特許文献2、特許文献3に開示されている耐摩耗部材を埋め込んだだけのラバーシールは、初期開口において、取付当初の無負荷状態では円形あるいは楕円開口を維持するが、ラバーシールを締付ローラで常に挟さんだり拡げたりするので、経年変化で開口部分が変形し、図10(a)のようにラバーシールの末端の開口が「8」の字になる傾向にある。これに対して、本発明の実施例のラバーシールでは、下部2bの開口の末端近傍に弾性板24,弾性帯243a,243bを設けることにより、長期に亘りラバーシールを締付ローラで常に挟さんだり拡げたりしても、初期開口において(開口面積が小さい)、ほぼ無負荷状態(水排出の場合)でもラバーシールの末端では楕円開口(あるいは円形開口)を維持することができる。
【0017】
以上のように、実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートでは、ゲートを半開状態とする初期段階では、一対の平行ローラの間隔を従来よりも若干広くでき、ラバーシールの開口断面を縦に対する横の比率が小さい楕円開口Bとしたので、ゲートの排出断面積が同じでも、従来のゲート断面が縦に対する横の比率が大きい細長い開口とは異なり、図6、図7に示すように、コンクリート中に混在する径の大きな砂利(直径4cm以下)J等が通過し、全開口Cに引っ掛かることもなく、結果として全開口Cに砂利が詰まることが無くなる。
【0018】
[実施例2]
本発明にラバーシールを使用した好適なコンクリート用ホッパ排出ゲートの実施例2を、図11に沿って説明する。
実施例2に示すコンクリート用ホッパ排出ゲートは、ゲートを半開状態とする初期段階では、実施例1で一本のローラ4を二本の直列のローラ6の配列として、二本の直列のローラ6の押圧連結部材61を屈曲させて「く」の字状として後退させるものである。すなわち、締付部は全体が菱形に屈曲するローラ6a,6bを対向するように一対に設けたもので、ラバーシール2の開口断面を縦横の比率が小さい楕円開口(菱形開口)B'としたコンクリート用ホッパ排出ゲートに本発明のラバーシール2を適用したものである。
このコンクリート用ホッパ排出ゲート自体は、本発明者が、特許文献5(特願2004-270421号)、特許文献6(特願2005-136758号)として既に提案しているものであるが、この連結ローラの屈曲型の開口に本実施例のラバーシール2を用いることにより、的確で迅速に追従して楕円開口B'、及び、円形開口C'を実現するものである。
【0019】
[ラバーシール閉口時]
図11(a)は、実施例2でのラバーシール2のゲートが閉口状態を示す図であるが、その構成の概略を説明すると、実施例1と同様に、ラバーシール2の外側にローラ6からなる一対の締付部材3がラバーシール2を挟んで相対向する位置に配設され、締付部材3がシリンダ5の伸長によってラバーシール2が互いに押圧して水分が下に漏れないように閉口状態A'に維持しており、排出ゲートを半開状態、及び全開状態となる場合には操作部からの指令により、シリンダ5の本体部51が縮む方向に作動する。この締付部材3及びシリンダ5はホッパ1の下部排出口(図1参照)近傍の固定フレームに設けられており、一対の締付部材3の上端は固定フレームの排出口近傍の回動軸(図1の31参照)を中心に揺動し、一対の締付部材3の下端はそれぞれ直列の締付ローラ6a,6bが設けられ、これら締付ローラ6a,6bに伸縮方向にシリンダ5の駆動軸52が連なっており、フレームに設けられたシリンダ取付部材を介して締付部材3の枠体32も揺動自在に取り付けられている。
すなわち、前記直列の締付ローラ6a,6bは、ラバーシール2の押圧機能を兼ねた押圧連結部材61により連結され、ラバーシール2は締付ローラ6a,6bと押圧連結部材61とにより一直線の面z1で締付けられ、ゲートが閉口状態A'に維持されている。なお、ラバーシール2の構成は、実施例1と同じである。
【0020】
[ラバーシール初期開口時]
次に、図11(b)に示すように、シリンダ軸52が若干後退し、これに伴ってローラも後退し、一対の直列の締付ローラ6a,6bと対向する締付ローラ(同様の構成であり図示せず)の間隔を広くする。この場合に、直列の締付ローラ6a,6bの外側の軸42a,42bは、押圧連結部材61に引っ張られた際に、側枠体321a,321bに軸方向に滑るように支持されており、枠体32(321)は対向する枠体(図示せず)とバネにより互いに引っ張り合っているのでy方向の力が働くので、締付ローラ6a,6bの中央の押圧連結部材61に引きずられ(シリンダによるx方向)て、約半楕円形状(全体としては、左右対称の一対のシリンダにより、ほぼ楕円形状となる)となる。したがって、押圧されているラバーシール2も、弾性板24a,24bの元の形状が筒状形状であり、両者の形状も同じ傾向となることから、的確で迅速に追従して楕円開口B'が実現する。
この際の生コンクリートの排出作動は実施例1と同様である。
【0021】
[ラバーシール全開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを全開にして、ミキサー車に生コンクリートに排出するが、図11(c)に示すような開口状態C'になる。
図11(c)に示すように、シリンダ軸52が更に後退するが、シリンダ軸52の押圧連結部材61の近傍に設けられたストッパ54が枠体32にぶつかり、シリンダ5は枠体32自体を後退させ、これに伴ってローラも後退する。
この場合は、実施例1のラバーシール全開口時と同じで、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、さらに、水よりも粘性のある生コンクリートの自重により、ラバーシール2を外に押し広げて下部に排出される。
この場合に、弾性板24の弾力は必要がなくほぼ円形の全開口状態C'となるが、仮に、弾性板24の筒状形状が小さくても、生コンクリートの自重により、更に広がった直径の筒状形状になることは、実施例1と同じであるが、実施例2は実施例1に比べてラバーシールの弾性板24の元の形状に戻る復元力が弱くてもよい。
また、ラバーシール2の上部はローラ4に対応する位置にあるが、下部は開口の近傍まで延びており、作用は実施例1と同じである。
【0022】
以上のように、実施例2のコンクリート用ホッパ排出ゲートでも、ゲートを半開状態とする初期段階では、一対の直列の締付ローラ6a,6bと押圧連結部材61とを積極的に楕円形状に配列して、ラバーシール2の開口断面を縦横の比率が小さい楕円開口C'としたことで、ゲートの排出断面積は同じでも、従来のゲート断面が縦横の比率が大きい細長い開口とは異なり、コンクリート中に混在する径の大きな砂利(直径5cm以下)J等が通過し、円形開口(楕円開口)C’に引っ掛かることもなく、結果として円形開口C'に砂利が詰まることが無くなり、ラバーシール2の耐久性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論であり、コンクリート用以外でも、液状物と個体とを混合するゲートとして使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの閉状態を示す断面図、
【図2】図1のゲート主要部の平面図、
【図3】図2の範囲Eのラバーシールの断面拡大図、
【図4】図4(a)は実施例1のラバーシールに埋め込む一対の弾性部材として弾性板の斜視図、図4(b)は、弾性部材として複数の弾性帯の斜視図、
【図5】実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの開口初期の半開状態のゲート主要部の平断面図、
【図6】図5のゲート主要部の平面図、
【図7】図6の作動状態を説明する側断面図、
【図8】実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの全開状態を示す平面図、
【図9】図8の作動状態を説明する平面図、
【図10】図10(a)は従来のラバーシール末端の開口状態を示す斜視図、図10(b)は実施例1、2のラバーシール末端の開口状態を示す斜視図、
【図11】本発明の実施例2のコンクリート用ホッパ排出ゲートの作動状態を説明するゲート主要部の平面図、
【図12】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの閉状態を示す断面図、平面図、
【図13】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの半開状態を示す断面図、平面図、
【図14】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの全開状態を示す断面図、及び平面図である。
【符号の説明】
【0025】
J…砂利、A,A'…閉状態の開口、B,B'…初期開口(楕円開口:半開口)、
C,C'…円形開口(全開口)、
w1,w2…清掃水、x1,x2…両端部近傍での開口距離、x3…中央部での開口距離、
y…ばねの方向、z2…閉状態の開口線、
1…ホッパ、11…下部排出口、12…固定フレーム
2…ラバーシール、21…耐磨耗ゴム、22…外周ゴム、23…ナイロンハブ、
24,24a,24b…弾性板(弾性部材)、
241a,241b,242a,242b,243a,243b…弾性帯(弾性部材)
3…締付部材、31a,31b…回動軸、32…枠体、321a,321b…側枠体
4,6…締付ローラ、41a,41b,6a,6b…締付ローラ、42a,42b…ローラ軸、
5…シリンダ、51,51a,51b…シリンダ本体、52,52a,52b…シリンダ駆動軸、
53a,53b…シリンダ取付部材、54…ストッパ、
61…押圧連結部材、
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリート等のホッパ排出ゲートのラバーシールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリート等のホッパの排出ゲートにおいて、生コンクリートが液状であり、かつ、砂利やセメントミルクや水などから構成されているため、水を遮断する必要から所謂ラバーシールゲートが採用されているが、例えば、特許文献1に開示されているように、ラバーシールを一対のローラで挟圧し完全に水をシールしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したように、生コンクリートプラントなどに使用するコンクリートホッパの排出ゲートは、ラバーシールを一対のローラで挟圧するコンクリート用排出ゲートでスムースな排出ができないという問題点があり、バッチャープラント設備のなかで唯一自動運転ができない部分であった。
その理由は、筒状のラバーシールの排出口を外側から一対のローラで挟んでいるが、通常、建築用の生コンクリートは液状であり、この生コンクリートをコンクリートホッパからミキサー車に積み込む時、一度に全開するとミキサー車が飲み込めず溢れてしまったり、生コンクリートがはねて車を汚したりすることから、ゲートをオペレータの勘と経験で調整しながら開いて行くのが現状であり、機械による自動運転が難しいものであった。
また、ゲート開調整が難しい理由として、製造する生コンクリートが何千種類とありそれぞれの流動性が違うこと、そして、砂利(40mm以下)が含まれる為、少しのゲートの開きであれば砂利が詰まり排出ができなくなり、詰まりを除いて排出できるようにゲートを開くと、どっと生コンが排出してあふれたり、跳ねたりする不都合があった。そして、その部分の調整が機械だけでは難しく、人の経験による操作が必要となり自動運転ができない理由でもあった。
【0004】
従来のゲートの開閉方法を、図12〜14を用いて説明すると、図12に示すように、通常の閉状態ではホッパ排出口aに筒状のラバーシールbが締め付けバンド等で固着され、一対の締付ローラcとシリンダdからなる締付部材eでラバーシールbを挟んゲートを構成しているが、コンクリート製品を排出してミキサー車に積み込む場合には、図13に示すように、オペレータの経験でゲートを開けたり閉じたりして、様子を見ながらゲートを少しずつ開けて、最後に図14に示すように全開とし、なるべく短時間にコンクリートホッパからミキサー車に積み込まなくてはならない。すなわち、図12に示すように、現状のゲートは筒状のラバーシールbを一対の締付ローラcとシリンダdで挟圧し、排出時には、図13に示すように、一対のローラcを少し後退させて細長い隙間の開口fを形成して排出する。
しかし、細長い隙間の開口fでは初めは排出するが、直ぐに、図13(c)に示すように、砂利J等が開口fに詰まり引っ掛って排出ができなくなる。そこで、引っ掛った砂利を排除するために開口を広げると、どっと大量の生コンクリートが排出されて、ミキサー車の供給口が飲み込めず、供給口から溢れてしまうことがあった。つまり、少しの開状態でも砂利が詰まらない構造が必要であるが、従来の一対の平行ローラーでは細長い隙間x7であり、砂利が詰まらない開口となると排出量が多くてミキサー車が生コンを飲み込まなかったり汚れたりするので、それを回避する細長い幅の開口では、砂利Jが開口fに詰まってしまうという不都合があった。
なお、ラバーシールの耐久性を高めるために、耐摩耗部材をラバーシールに埋め込むことが特許文献2、特許文献3に提案されているが、これらのラバーシールのゲートは、無負荷では楕円開口であっても、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかると、図13に示すように、一対のローラcを少し後退させる初期開口では、従来のラバーシールと同様に、細長い隙間の開口fしか形成できないものであった。
また、コンクリート用ホッパのラバーシール排出ゲートを外部からの付勢により、菱形開口にすることも特許文献4(初期開口ではない)、特許文献5、特許文献6として提案されているが、装置が複雑になり、制作費が高価になり、保守も厄介であった。
【0005】
また、コンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールの先端は、図10(a)のように開口が「8」の字になる傾向があり、特に、ラバーシールの開口面積が小さな初期排出での開口が「8」の字になる傾向が顕著である。もっとも、通常の生コンクリートの排出では、生コンクリートの粘性や質量からラバーシールの開口が「8」の字開口になる傾向があっても大量の生コンクリート自体によって外側に押し広げられ支障がないが、しかし、コンクリート用ホッパ内部を水で清掃する場合であって、この清掃後の水を開口面積を小さくして排出する際には、ラバーシールの開口を外側に押し広げる力はなく、清掃後の水がラバーシールの「8」の字の両側の開口から側方に飛散してしまい、周囲の装置を汚してしまうという不都合があった。
これは、上述した特許文献2、特許文献3に開示されている耐摩耗部材を埋め込んだコンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールも、取付当初の無負荷状態では円形、あるいは、楕円開口を維持するが、ラバーシールを締付部材で常に挟さんだり拡げたりするので、経年変化で図10(a)のようにラバーシールの末端の開口が「8」の字になる傾向にある。
【特許文献1】特開2001−341120号公報
【特許文献2】特開平11−321985号公報
【特許文献3】特許第3333772号公報
【特許文献4】特開2004−114306号公報
【特許文献5】特願2004−270421号
【特許文献6】特願2005−136758号
【0006】
本発明は、前述した不都合に鑑みてなされたもので、コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、ゲート断面が縦横の比率が大きい従来の開口断面積と同じでも、縦横の比率が小さい、または、円に近い開口として砂利Jが詰まらない簡単な構成のホッパ排出ゲートを提供するものであり、また、砂利が詰まらない開口とすることが可能なコンクリート用ホッパ排出ゲートを提供するものである。
さらに、コンクリート用ホッパ内を清掃する際の、排出する水が飛散しないように真下に落下させるコンクリート用ホッパ排出ゲートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、該ラバーシールのゲートを形成する下部には一対の対向する半円形状の弾性部材を水平に位置するように設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢したことを特徴とするコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項2の発明は、前記弾性部材は、前記ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項3の発明は、前記締付部は一対の平行ローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項4の発明は、前記締付部は全体が菱形に屈曲する一対のローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
請求項5の発明は、前記弾性部材は、前記ラバーシールのゲートを形成する下部の開口の末端近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンクリート用ホッパ排出ゲートにおいて、ゲートを半開状態とする初期段階で、ラバーシールの簡単な構成で、ゲート開口断面の縦横寸法の比率が小さく、又は円に近い開口となるので、ゲートを半開状態でも砂利がゲート開口に詰まることがないという効果が得られ、また、ラバーシールの接触面に対して砂利が無理に通過する量が減ることからラバーシールの耐用期間が延びるとういう効果も得られる。更に、コンクリート用ホッパ排出ゲートが砂利が詰まることがないことから、コンクリートをミキサー車に自動制御により積み込むことが可能となり、生コンクリートの製造からミキサー車に積み込むまでの自動操業が可能となるという効果も得られる。
また、従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートのラバーシールの交換だけで、初期開口の排出制御が可能となる効果も得られる。
さらに、ラバーシールの初期の排出開口がほぼ楕円となるので、コンクリート用ホッパ内を水で清掃し、清掃後の水はラバーシールから排出する際には真下に落下するので、従来のようにラバーシールの初期の排出開口が「8」の字になることがないので、側方に飛散することがなく、周囲の装置を汚すことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施例1]
ここで、本発明にラバーシールを使用した好適なコンクリート用ホッパ排出ゲートの実施例1を、図面に沿って説明する。
図1は、セメント、砂利、砂、水等を混合して生コンクリートを製造するホッパ下部の排出口を近傍の断面図で、ホッパ1の下部排出口11の外側には、筒状のラバーシール2が取り付けバンド等で固定されている。
図1及び図2に示すように、ラバーシール2の外側にローラ4からなる一対の締付部材3がラバーシール2を挟んで相対向する位置に配設され、締付部材3がシリンダ5の伸長によってラバーシール2が互いに押圧して水分が下に漏れないように閉口状態に維持しており、排出ゲートを半開状態、及び、全開状態となる場合には操作部(図示せず)からの指令により、シリンダ5の本体部51a,51bが縮む方向に作動する。
また、この締付部材3及びシリンダ5はホッパ1の下部排出口11近傍の固定フレーム12に設けられており、一対の締付部材3の上端は固定フレーム12の排出口11近傍の回動軸31a,31bを中心に揺動し、一対の締付部材3の下端はそれぞれ締付部を構成する一対の平行の締付ローラ41a,41bが設けられ、これら締付ローラ41a,41bに伸縮方向にシリンダ5の駆動軸52a,52bが連なっており、フレーム12に設けられたシリンダ取付部材53a,53bを介して、これも揺動自在に取り付けられている。
【0010】
ラバーシール2は、図2のE部分を拡大した図3に示すように、適度の厚みを有しており、内周に耐磨耗ゴム21が設けられ、外周のゴム22にはナイロンハブ23が埋め込まれ、ラバーシール2の上方はすり鉢状2aで、下方は円筒状2bでゲートを形成するが、この下方のローラ4により締め付けられる部分2bには、一対の金属の弾性部材である弾性板24が埋め込まれている。
なお、本実施例では、ラバーシールのゴムの中に一対の弾性板24を埋め込んだが、ラバーシール2の下部2bの外側に一対の弾性板を貼り付けて固定してもよい。
【0011】
この弾性部材としての弾性板24は、図4(a)に示すように、常に、ラバーシール2を強制的に円筒形状となるように付勢したもので、元の形状は断面半円状である。弾性板24は、このためバネ力を維持し復元力のある金属板としたが、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかっても楕円開口を維持しなければならないから、強力な弾性力があり円筒形状を維持できるのであれば合成樹脂でもよい。
また、この弾性部材24は、一枚の板ではなく、図4(b)に示すように、細い幅20cm程度の一対の金属製の復元力を有する弾性帯を、ラバーシール2の下部2bに複数(この実施例では上中下の3本241a〜243a,241b〜243b)埋め込んでもよい。
この場合には、実施例1の弾性板に比べて材料が少なくて済み、且つ、各弾性の弾性力を異なるように設定することが容易であり、締付けローラに対向する弾性帯241a,241bの弾性反発力は、質量がある大量の生コンクリートの負荷がかかっても楕円開口を維持しなければならないから、反発力(弾性力)を強くし、ラバーシール2の開口の弾性帯243a,243bの弾性反発力は、無負荷で開口するだけで良いので、反発力は弱くてもよい。また、この弾性帯241a〜243a,241b〜243も図4(b)の実施例では、ラバーシールのゴムの中に埋め込んだが、ラバーシール2の外側に一対の弾性帯を貼り付けて固定してもよい。
上述した弾性帯241a〜243a,241b〜243bは帯状であるが、弾性復元力があれば棒状のものをラバーシールに埋め込むか、貼り付けてもよく、この場合には製造が簡単である。
【0012】
ラバーシール2とコンクリート用ホッパ排出ゲートとの以上のような構成についての作動を説明する。
[ラバーシール閉口時]
図2はゲートが閉口状態の図で、締付部材3がシリンダ5のシリンダ軸52(52a,52b)が繰り出され伸長によってラバーシール2を互いに強い押圧力により押圧されている状態Aにある。
この際、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるように付勢されているが、これに反してシリンダ5とローラ4とによる押圧力により潰された形状となり、生コンクリートが排出されるのを阻止している。
【0013】
[ラバーシール初期開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを開口して、ゲート下に待機したミキサー車に生コンクリートを排出し積込み作業を開始するが、前述したように、一度に全開するとミキサー車が飲み込めず溢れてしまったり、生コンクリートがはねて車を汚したりすることから、開口初期にはゲートの開口面積を小さくし、且つ、開口の最小直径をなるべく大きくして、生コンクリートの中の比較的直径の大きな砂利等もスムースに排出しなければならない。
このための構成が本発明の特徴でもあるが、本実施例では図5〜図7に示すような開口状態Bになる。
図6に示すように、シリンダ軸52(52a,52b)が若干後退し、これに伴ってローラも後退し、一対の平行ローラ4の間隔を従来よりも若干広くし、この場合に、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、弾性板24が常にラバーシール2を強制的に円筒形状に維持するように付勢しているので、潰されたラバーシール2の開口両端部近傍(開口距離x1、x2)では内側方向(矢印)に付勢され、逆に、開口中央部(開口距離x3)では外側方向(矢印)に付勢される。
この結果、図6に示すラバーシール2の断面形状のように、中央部が外側に広がった楕円形状となる。この楕円形状は、従来の図13(b)のほぼ矩形の断面積と同じであっても、中央部での距離x3が図13(b)の矩形の巾x7よりも大きくなり、したがって、同じ直径の砂利Jであっても(従来のラバーシールでは排出が阻止されるが)、本実施例のラバーシール2の初期開口Bでは、スムースに排出される。
【0014】
[ラバーシール全開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを全開口にして、ミキサー車に生コンクリートを排出して、短時間の積込み作業を終了させるが、図8〜図9に示すような開口状態Cになる。
図8に示すように、シリンダ軸52(52a,52b)が更に後退し、これに伴ってローラも後退すると、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、さらに、水よりも粘性のある生コンクリートの自重により、ラバーシール2を外に押し広げて下部に排出される。
この場合に、弾性板24の弾力は必要がなく全開口状態となるが、仮に、弾性板24の筒状形状が小さくても、生コンクリートの自重により、更に広がった直径の筒状形状になり、短時間に生コンクリートがミキサー車に排出され積込み作業を終了する。
【0015】
ところで、ラバーシール2の上部はローラ4に対応する位置にあり、ローラ4に挟まれて互いにの距離が短い初期開口の状態にある場合であって、ラバーシール2の下部2bは開口の近傍まで延びており、これを拡大した斜視図が図10(b)である。従来の半筒状形状の弾性板のない開口は、図10(a)に示すように生コンクリートを排出しない場合で、ローラ4の間隔も狭い初期開口の場合には、「8」の字開口になる傾向があるが、本実施例では弾性板24の作用によって、図10(b)のように、中央部x3が最も間隔が広がった楕円形状となる。
これにより、生コンクリートの排出の時は、大量の生コンクリート自体によってラバーシール2が外側に押し広げられ支障がないが、コンクリート用ホッパ内部を水で清掃し、この清掃後の水を排出する際にはラバーシールの開口を外側に押し広げる力はなく、清掃後の水が「8」の字の両側の開口x4、x5から側方に飛散w1してしまい、周囲の装置を汚してしまう。これに反し、本発明の実施例では、清掃後の水w2は中央部x3の最も間隔が広がった楕円形状の開口から真下に落下するので、周囲の装置を汚すことがない。
【0016】
勿論、水での清掃だけのためであれば、弾性部材24は、ラバーシールのゲートを形成する下部2bの開口の末端近傍だけ、例えば、弾性板24であれば下部の開口の末端近傍だけ、図4(b)の弾性帯であれば、一番下の弾性帯243a,243bだけであっても、十分に作用・効果を有する。
すなわち、従来の特許文献2、特許文献3に開示されている耐摩耗部材を埋め込んだだけのラバーシールは、初期開口において、取付当初の無負荷状態では円形あるいは楕円開口を維持するが、ラバーシールを締付ローラで常に挟さんだり拡げたりするので、経年変化で開口部分が変形し、図10(a)のようにラバーシールの末端の開口が「8」の字になる傾向にある。これに対して、本発明の実施例のラバーシールでは、下部2bの開口の末端近傍に弾性板24,弾性帯243a,243bを設けることにより、長期に亘りラバーシールを締付ローラで常に挟さんだり拡げたりしても、初期開口において(開口面積が小さい)、ほぼ無負荷状態(水排出の場合)でもラバーシールの末端では楕円開口(あるいは円形開口)を維持することができる。
【0017】
以上のように、実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートでは、ゲートを半開状態とする初期段階では、一対の平行ローラの間隔を従来よりも若干広くでき、ラバーシールの開口断面を縦に対する横の比率が小さい楕円開口Bとしたので、ゲートの排出断面積が同じでも、従来のゲート断面が縦に対する横の比率が大きい細長い開口とは異なり、図6、図7に示すように、コンクリート中に混在する径の大きな砂利(直径4cm以下)J等が通過し、全開口Cに引っ掛かることもなく、結果として全開口Cに砂利が詰まることが無くなる。
【0018】
[実施例2]
本発明にラバーシールを使用した好適なコンクリート用ホッパ排出ゲートの実施例2を、図11に沿って説明する。
実施例2に示すコンクリート用ホッパ排出ゲートは、ゲートを半開状態とする初期段階では、実施例1で一本のローラ4を二本の直列のローラ6の配列として、二本の直列のローラ6の押圧連結部材61を屈曲させて「く」の字状として後退させるものである。すなわち、締付部は全体が菱形に屈曲するローラ6a,6bを対向するように一対に設けたもので、ラバーシール2の開口断面を縦横の比率が小さい楕円開口(菱形開口)B'としたコンクリート用ホッパ排出ゲートに本発明のラバーシール2を適用したものである。
このコンクリート用ホッパ排出ゲート自体は、本発明者が、特許文献5(特願2004-270421号)、特許文献6(特願2005-136758号)として既に提案しているものであるが、この連結ローラの屈曲型の開口に本実施例のラバーシール2を用いることにより、的確で迅速に追従して楕円開口B'、及び、円形開口C'を実現するものである。
【0019】
[ラバーシール閉口時]
図11(a)は、実施例2でのラバーシール2のゲートが閉口状態を示す図であるが、その構成の概略を説明すると、実施例1と同様に、ラバーシール2の外側にローラ6からなる一対の締付部材3がラバーシール2を挟んで相対向する位置に配設され、締付部材3がシリンダ5の伸長によってラバーシール2が互いに押圧して水分が下に漏れないように閉口状態A'に維持しており、排出ゲートを半開状態、及び全開状態となる場合には操作部からの指令により、シリンダ5の本体部51が縮む方向に作動する。この締付部材3及びシリンダ5はホッパ1の下部排出口(図1参照)近傍の固定フレームに設けられており、一対の締付部材3の上端は固定フレームの排出口近傍の回動軸(図1の31参照)を中心に揺動し、一対の締付部材3の下端はそれぞれ直列の締付ローラ6a,6bが設けられ、これら締付ローラ6a,6bに伸縮方向にシリンダ5の駆動軸52が連なっており、フレームに設けられたシリンダ取付部材を介して締付部材3の枠体32も揺動自在に取り付けられている。
すなわち、前記直列の締付ローラ6a,6bは、ラバーシール2の押圧機能を兼ねた押圧連結部材61により連結され、ラバーシール2は締付ローラ6a,6bと押圧連結部材61とにより一直線の面z1で締付けられ、ゲートが閉口状態A'に維持されている。なお、ラバーシール2の構成は、実施例1と同じである。
【0020】
[ラバーシール初期開口時]
次に、図11(b)に示すように、シリンダ軸52が若干後退し、これに伴ってローラも後退し、一対の直列の締付ローラ6a,6bと対向する締付ローラ(同様の構成であり図示せず)の間隔を広くする。この場合に、直列の締付ローラ6a,6bの外側の軸42a,42bは、押圧連結部材61に引っ張られた際に、側枠体321a,321bに軸方向に滑るように支持されており、枠体32(321)は対向する枠体(図示せず)とバネにより互いに引っ張り合っているのでy方向の力が働くので、締付ローラ6a,6bの中央の押圧連結部材61に引きずられ(シリンダによるx方向)て、約半楕円形状(全体としては、左右対称の一対のシリンダにより、ほぼ楕円形状となる)となる。したがって、押圧されているラバーシール2も、弾性板24a,24bの元の形状が筒状形状であり、両者の形状も同じ傾向となることから、的確で迅速に追従して楕円開口B'が実現する。
この際の生コンクリートの排出作動は実施例1と同様である。
【0021】
[ラバーシール全開口時]
次に、コンクリート用ホッパ排出ゲートを全開にして、ミキサー車に生コンクリートに排出するが、図11(c)に示すような開口状態C'になる。
図11(c)に示すように、シリンダ軸52が更に後退するが、シリンダ軸52の押圧連結部材61の近傍に設けられたストッパ54が枠体32にぶつかり、シリンダ5は枠体32自体を後退させ、これに伴ってローラも後退する。
この場合は、実施例1のラバーシール全開口時と同じで、ラバーシール2は弾性板24の弾力により開口すべく外に広がるが、さらに、水よりも粘性のある生コンクリートの自重により、ラバーシール2を外に押し広げて下部に排出される。
この場合に、弾性板24の弾力は必要がなくほぼ円形の全開口状態C'となるが、仮に、弾性板24の筒状形状が小さくても、生コンクリートの自重により、更に広がった直径の筒状形状になることは、実施例1と同じであるが、実施例2は実施例1に比べてラバーシールの弾性板24の元の形状に戻る復元力が弱くてもよい。
また、ラバーシール2の上部はローラ4に対応する位置にあるが、下部は開口の近傍まで延びており、作用は実施例1と同じである。
【0022】
以上のように、実施例2のコンクリート用ホッパ排出ゲートでも、ゲートを半開状態とする初期段階では、一対の直列の締付ローラ6a,6bと押圧連結部材61とを積極的に楕円形状に配列して、ラバーシール2の開口断面を縦横の比率が小さい楕円開口C'としたことで、ゲートの排出断面積は同じでも、従来のゲート断面が縦横の比率が大きい細長い開口とは異なり、コンクリート中に混在する径の大きな砂利(直径5cm以下)J等が通過し、円形開口(楕円開口)C’に引っ掛かることもなく、結果として円形開口C'に砂利が詰まることが無くなり、ラバーシール2の耐久性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論であり、コンクリート用以外でも、液状物と個体とを混合するゲートとして使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの閉状態を示す断面図、
【図2】図1のゲート主要部の平面図、
【図3】図2の範囲Eのラバーシールの断面拡大図、
【図4】図4(a)は実施例1のラバーシールに埋め込む一対の弾性部材として弾性板の斜視図、図4(b)は、弾性部材として複数の弾性帯の斜視図、
【図5】実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの開口初期の半開状態のゲート主要部の平断面図、
【図6】図5のゲート主要部の平面図、
【図7】図6の作動状態を説明する側断面図、
【図8】実施例1のコンクリート用ホッパ排出ゲートの全開状態を示す平面図、
【図9】図8の作動状態を説明する平面図、
【図10】図10(a)は従来のラバーシール末端の開口状態を示す斜視図、図10(b)は実施例1、2のラバーシール末端の開口状態を示す斜視図、
【図11】本発明の実施例2のコンクリート用ホッパ排出ゲートの作動状態を説明するゲート主要部の平面図、
【図12】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの閉状態を示す断面図、平面図、
【図13】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの半開状態を示す断面図、平面図、
【図14】従来のコンクリート用ホッパ排出ゲートの全開状態を示す断面図、及び平面図である。
【符号の説明】
【0025】
J…砂利、A,A'…閉状態の開口、B,B'…初期開口(楕円開口:半開口)、
C,C'…円形開口(全開口)、
w1,w2…清掃水、x1,x2…両端部近傍での開口距離、x3…中央部での開口距離、
y…ばねの方向、z2…閉状態の開口線、
1…ホッパ、11…下部排出口、12…固定フレーム
2…ラバーシール、21…耐磨耗ゴム、22…外周ゴム、23…ナイロンハブ、
24,24a,24b…弾性板(弾性部材)、
241a,241b,242a,242b,243a,243b…弾性帯(弾性部材)
3…締付部材、31a,31b…回動軸、32…枠体、321a,321b…側枠体
4,6…締付ローラ、41a,41b,6a,6b…締付ローラ、42a,42b…ローラ軸、
5…シリンダ、51,51a,51b…シリンダ本体、52,52a,52b…シリンダ駆動軸、
53a,53b…シリンダ取付部材、54…ストッパ、
61…押圧連結部材、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、該ラバーシールのゲートを形成する下部には一対の対向する半円形状の弾性部材を水平に位置するように設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢したことを特徴とするコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項3】
前記締付部は一対の平行ローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項4】
前記締付部は全体が菱形に屈曲する一対のローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記ラバーシールのゲートを形成する下部の開口の末端近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項1】
コンクリート用ホッパ排出ゲートの筒状のラバーシールであって、該ラバーシールのゲートを形成する下部には一対の対向する半円形状の弾性部材を水平に位置するように設け、常にラバーシールを強制的に円筒形状を維持するように付勢したことを特徴とするコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記ラバーシールによって排出ゲートを形成する締付部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項3】
前記締付部は一対の平行ローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項4】
前記締付部は全体が菱形に屈曲する一対のローラであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記ラバーシールのゲートを形成する下部の開口の末端近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のコンクリート用ホッパ排出ゲート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−45021(P2007−45021A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232672(P2005−232672)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(500066562)オル・ジャパン株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(500066562)オル・ジャパン株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]