コンクリート躯体の養生方法及びその装置
【課題】コンクリート躯体の表面に結露等の汚れが付着することを抑制して表面の仕上げ状態を良好にし、且つコンクリート躯体の表面を適切に保護するコンクリート躯体の養生方法及びその装置を提供する。
【解決手段】コンクリート躯体18を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対し、型枠固定用ロッド1の外周側に配置するように支持管20を挿入し、更に支持管20の一端をコンクリート躯体18の凹部19内に配置し、コンクリート躯体18の一面に対応して形成される板部21を型枠固定用ロッド1に通して支持管20の他端に配し、型枠固定用ロッド1に締結部22を締結して板部21を固定し、コンクリート躯体18を養生する。
【解決手段】コンクリート躯体18を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対し、型枠固定用ロッド1の外周側に配置するように支持管20を挿入し、更に支持管20の一端をコンクリート躯体18の凹部19内に配置し、コンクリート躯体18の一面に対応して形成される板部21を型枠固定用ロッド1に通して支持管20の他端に配し、型枠固定用ロッド1に締結部22を締結して板部21を固定し、コンクリート躯体18を養生する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート躯体の養生方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に柱や壁等のコンクリート躯体を構築する際には、生コンクリートを打設するために型枠を用いており、型枠を組み立てる際には、図10に示す如く型枠固定用ロッド1と型枠固定具2とを用いて左右の型枠3,3を固定している。
【0003】
型枠固定用ロッド1は、構築するコンクリート躯体の厚さ寸法に応じた長さのものを選定して用いられ、型枠固定用ロッド1の両側には、雄ネジ部4が形成されている。また型枠固定具2は、図11に示す如く型枠位置決め駒5と、締付ロッド6と、押し具7と、締付ナット8により構成されている。
【0004】
前記型枠位置決め駒5は、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合する雌ネジ部9が一端に開口したナット10を有している。該ナット10の外周には、雌ネジ部9の開口側の外径が小さく開口と反対側に向かって大径となる截頭円錐形状の位置決め部材11が一体に固定されており、更に、位置決め部材11の中心部には、前記雌ネジ部9の開口と反対側に向かって所要の長さで延設されたボルト部12を備えている。また前記型枠位置決め駒5の位置決め部材11は、一般に合成樹脂にて截頭円錐形の筒状に形成されており、更に、その他の部材は鋼等の金属で形成されている。
【0005】
前記締付ロッド6は、前記型枠位置決め駒5のボルト部12に螺合する雌ネジ部13を一端に有しており、また締付ロッド6の他端には所要長さの雄ネジ部14が形成されている。また前記押し具7は、開口15を介して前記締付ロッド6に嵌合し、更に図10に示すように型枠3の外面を押圧して支持するための二本のパイプ材16を支持するようにした凹部17を両側に備えている。更に前記締付ナット8は、前記締付ロッド6の雄ネジ部14に螺合して前記押し具7を押圧するようにしている。
【0006】
型枠3,3を組み立てて生コンクリートを打設する際には、先ず、構築する柱や壁等の厚さ寸法に応じた長さの型枠固定用ロッド1を用意する。この時、型枠固定用ロッド1の両端の雄ネジ部4には、型枠位置決め駒5の雌ネジ部9が螺合して取り付けられており、型枠位置決め駒5の位置決め部材11の大径側端部の相互間距離Sが、構築するコンクリート躯体の厚さとなるので、型枠位置決め駒5のねじ込みにより距離Sを調整する。
【0007】
左右の型枠3,3に予め所要の間隔で形成されている開口3aに、型枠固定用ロッド1の両端に備えた型枠位置決め駒5のボルト部12を貫通させる。そして、型枠3,3を貫通したボルト部12の先端に、前記締付ロッド6の雌ネジ部13を螺合し、型枠位置決め駒5と締付ロッド6により型枠3,3を挾持する。
【0008】
次に、型枠3,3の外面に二本のパイプ材16を当て、このパイプ材16を外側から押すように押し具7を当てて締付ロッド6の雄ネジ部14に螺合した締付ナット8を締込むようにする。すると、押し具7及びパイプ材16を介して型枠3,3は外側に湾曲しないようにしっかり支持される。型枠3,3は、所要の間隔で形成されている複数の開口3aにおいて、前記型枠固定用ロッド1と型枠固定具2とにより連結され、これにより型枠3,3は、距離Sの間隔を保持した状態で高い強度に組立てられる。
【0009】
このように組み立てられた型枠3,3間に生コンクリートを打設する。
【0010】
続いて、生コンクリートの打設後、所要の固化時間を経過した後に前記型枠3,3を除去する際には、先ず、締付ナット8を緩めて押し具7を緩めることにより二本のパイプ材16を取り外した後、締付ロッド6を回して型枠位置決め駒5のボルト部12から締付ロッド6を取り外し、続いて、型枠3,3をボルト部12から抜き出して型枠3を取り外す。
【0011】
次に、ボルト部12を指で掴んで回すか、又は型枠位置決め駒5の内側のナット10に工具を係合させて回すことにより、型枠位置決め駒5を型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4から取り外す。
【0012】
この時、コンクリート躯体18の表面には、図12に示す如く前記型枠位置決め駒5による截頭円錐形の凹部19が所要の間隔で形成されており、更に各凹部19には、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4が所要の長さで突出している。
【0013】
その後、コンクリート躯体18をビニールシート(図示せず)で囲んで養生し、コンクリート躯体18の内部や外面で適切に凝結が進むようにしている。
【0014】
尚、コンクリート躯体を養生する技術としては、生コンクリートの打設前に型枠の内面に予めコンクリート養生保持板を配置し、養生時に、コンクリート躯体の表面に接触するコンクリート養生保持板を連続的に用いてコンクリート躯体を養生するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−113372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、コンクリート躯体18をビニールシートで囲んで養生する際には、コンクリート躯体18とビニールシートとの接触面や隙間に結露を生じ、結露等の空気中の汚れがコンクリート躯体18の表面に付着するという問題があった。またビニールシートで囲んだコンクリート躯体18に対して機材や資材が接触した場合には、コンクリート躯体18の表面に凹みや欠損を生じてコンクリート躯体18の表面を適切に保護できないという問題があった。更に特許文献1の如くコンクリート養生保持板を用いる場合には、養生時であってもコンクリート養生保持板がコンクリート躯体18の表面に常に接触するため、乾燥養生を適切に行うことができず、また型枠3,3を外した後であってもコンクリート躯体18の表面状態を確認することできないという問題があった。
【0017】
本発明は、斯かる実情に鑑み、コンクリート躯体の表面に結露等の汚れが付着することを抑制して表面の仕上げ状態を良好にし、且つコンクリート表面を適切に保護するコンクリート躯体の養生方法及びその装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のコンクリート躯体の養生方法は、型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周側に配置するように支持管を挿入し、更に該支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置し、前記コンクリート躯体の一面に対応して形成される板部を型枠固定用ロッドに通して支持管の他端に配し、前記型枠固定用ロッドに締結部を締結して板部を固定し、コンクリート躯体を養生するものである。
【0019】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生装置であって、
前記コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周に配置する支持管と、
前記コンクリート躯体の一面に対応して形成され且つ前記型枠固定用ロッドに通して前記支持管の端に配する板部と、
前記型枠固定用ロッドに締結して前記板部を固定する締結部と、
を備えるものである。
【0020】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置するものである。
【0021】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、板部の側部と、隣接する板部の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材を配置することが好ましい。
【0022】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、板部の上部と、コンクリート躯体との間を塞ぐ第二塞ぎ部材を配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンクリート躯体を養生する際に、支持管によってコンクリート躯体から一定間隔を介して板部を配置するので、コンクリート躯体の表面に結露等の空気中の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。また板部で囲んだコンクリート躯体に対して機材や資材が接触する場合には、外部からの圧力(打撃)を板部及び支持管で受け止めるので、コンクリート躯体の表面における凹みや欠損を防ぎ、コンクリート躯体の表面を適切に保護してコンクリート躯体の表面の仕上げ状態を良好にすることができる。更に型枠を外した後に、支持管を介して板部を配置するので、板部をコンクリート躯体に接触させることがなく、コンクリート躯体の乾燥養生を適切に行うことができ、また型枠を外した際にコンクリート躯体の表面状態を確認し、表面の仕上げ状態を良好にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施する形態例を示す全体概念図である。
【図2】本発明を実施する形態例を示す側面図である。
【図3】本発明を実施する形態例を示す断面図である。
【図4】本発明を実施する形態の他例を示す断面図である。
【図5】板部の側面と隣接する板部の側面とを接触させた状態を示す概念図である。
【図6】板部の側面と隣接する板部の側面との間に第一塞ぎ部材を配し、第一塞ぎ部材を貼付した状態を示す概念図である。
【図7】板部の側面と隣接する板部の側面との間に第一塞ぎ部材を配し、第一塞ぎ部材を締結バンドにより支持した状態を示す概念図である。
【図8】板部の上部とコンクリート躯体の表面との間に第二塞ぎ部材を配した状態を示す概念図である。
【図9】板部の上部と他のコンクリート躯体の表面との間に第二塞ぎ部材を配した状態を示す概念図である。
【図10】型枠固定用ロッドと型枠固定具により型枠を組み立てた状態を示す一部切断側面図である。
【図11】型枠固定具の詳細を示す断面図である。
【図12】コンクリート躯体の表面から型枠位置決め駒を取り除いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1〜図9は本発明を実施する形態例を示すもので、図10〜図12と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0027】
本発明の形態例は、図1〜図9に示す如くコンクリート躯体18を乾燥養生する際に、コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対応して配置される支持管20(図2〜図4参照)と、該支持管20に支持される板部21と、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に締結して板部21を固定する締結部22とを備えている。
【0028】
前記支持管20は、図2〜図4に示す如く軸線方向に所定の長さを有する円筒管や角型管であり、更にコンクリート躯体18の凹部19に対して一端を挿入し得る外径を有していると共に、型枠固定用ロッド1を管内に通し得るように型枠固定用ロッド1の外径よりも大きな内径を有している。また支持管20の材質は、塩化ビニール管やポリエチレン管等の樹脂、鋼管やアルミニウム管等の金属、紙や木等の材料から選択されているが、ある程度の加重に耐えるならば特に制限されるものではない。
【0029】
前記板部21は、コンクリート躯体18の一面に対応するように所定の大きさを備える平板で構成されており、コンクリート躯体18の凹部19の位置に対応して通過穴23が形成されている。また板部21の材質は、ベニヤ板等の木材、塩化ビニール板等の樹脂、鋼板等の金属から選択されているが、外部からの圧力(打撃)を受け止めるものならば特に制限されるものではない。ここでコンクリート躯体18が柱部である場合には、板部21が、柱部の一面とほぼ同じ面積または柱部の一面よりやや大きい面積を有し、柱部の各面に対応するように準備されている。またコンクリート躯体18が壁面である場合には、板部21が、壁面とほぼ同じ面積、または複数枚で壁面とほぼ同じ大きさになる面積を有し、壁面の大きさに対応するように準備されている。
【0030】
また板部21は、コンクリート躯体18の柱部に対応して他の板部21を異なる角度(約90°)で配置している場合、図6、図7に示す如く板部21の側部と、隣接する他の板部21の側部との間を塞ぐように第一塞ぎ部材24を備えることが可能であり、第一塞ぎ部材24は、隙間に対応するよう長手方向に対して垂直断面形状でL形のコーナ部24a(図6参照)や、ビニール素材のシート(図示せず)で構成されている。またコーナ部24aやシート等の第一塞ぎ部材24は、ガムテープ等の貼付手段25(図6参照)、紐部材等の支持手段26(図7参照)、ボルト等の固定手段(図示せず)により固定されるようになっている。ここで支持手段26を更に具体的に説明すると、支持手段26は、図7に示す如く型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に配置されるフック等の係止具26aと、該係止具26aに係止する締結バンド26bとを備え、両側の板部21の型枠固定用ロッド1に係止具26aを固定し、該係止具26aに締結バンド26bを配してコーナ部24a等の第一塞ぎ部材24を支持するようにしている。
【0031】
更に板部21は、コンクリート躯体18の壁面に複数枚で対応して他の板部21を平面状に配置している場合、板部21の側部と、隣接する他の板部21の側部との間を塞ぐように他の第一塞ぎ部材(図示せず)を備えることが可能であり、他の第一塞ぎ部材は、ベニヤ板等の平板(図示せず)やビニール素材のシート(図示せず)で構成されている。またベニヤ板等の平板(図示せず)や、ビニールシート等のシート(図示せず)は、ガムテープ等の貼付手段(図示せず)、ボルト等の固定手段(図示せず)により固定されるようになっている。
【0032】
更にまた板部21は、コンクリート躯体18の表面との間を塞ぐように第二塞ぎ部材27を配置することが可能であり、第二塞ぎ部材27は、図8に示す如くビニールシート等のシート27aで構成されている。また板部21の上部とコンクリート躯体18の上面が近接する場合には、シート27aの一端をコンクリート躯体18の上面に配置すると共にシート27aの他端を板部21の側面に配置している。また図9に示す如くコンクリート躯体18の表面に、横方向に向かう凹状の目地18aが存在する場合には、シート27aの一端を目地18aの内側上部に配置すると共にシート27aの他端を板部21の側面に配置している。更にシート27aの一端は、コンクリート躯体18の上面に、モルタル、板材、木片等の重し手段(図示せず)やガムテープ等の貼付手段28で固定され、シート27aの他端は、板部21の面に、ボルト等の固定手段(図示せず)やガムテープ等の貼付手段29で固定されても良い。またシート27aは、板部21とコンクリート躯体18との間を塞ぐと同時に、型枠固定用ロッド1の先端及び締結部22を覆うことが好ましい。
【0033】
前記締結部22は、図1〜図4に示す如く板部21の通過穴23と合せるように開口30を配するプレート部31と、プレート部31を板部21に固定するようプレート部31の締結孔(図示せず)に挿入するボルトや釘等の締結手段32と、型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合するナット等の螺合手段33とを備えて構成されており、プレート部31、締結手段32、螺合手段33は、金属や樹脂等の材質で構成されている。またプレート部31は、ボルト等の締結手段32で固定される代わりに、差し込み用の挿入爪(図示せず)を備えても良い。更に締結手段32は、プレート部31を固定するならば位置や個数は特に制限されるものではないが、通過穴23の周方向に沿って少なくとも2箇所以上の複数箇所で締結されることが好ましい。
【0034】
ここで型枠固定用ロッド1は、雄ネジ部4がコンクリート躯体18の凹部19から所定の長さ以上で突出するように構成されている。また型枠固定用ロッド1は、型枠3,3(図10参照)を組み立てる前から予め長くして形成されることが好ましいが、長さが不足する場合には、図4に示す如く接続部34を介して延長用の型枠固定用ロッド1aを配しても良い。更に接続部34は、延長用の型枠固定用ロッド1aと別体のものでも良いし、一体化されたものでも良い。
【0035】
次に、上記実施する形態例の作用を説明する。
【0036】
生コンクリートの打設後に型枠3,3を除去してコンクリート躯体18を養生する際には、コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対し、型枠固定用ロッド1の外周側に配置するように支持管20を挿入し、支持管20の一端をコンクリート躯体18の表面の凹部19内に配置する。ここで支持管20の一端は、截頭円錐形である凹部19の底面または周囲面に接触して安定的に保持されている。
【0037】
次に型枠固定用ロッド1に通過穴23を介して板部21を通し、該板部21を支持管20の他端に接触させて配置する。この時、板部21の面には、締結部22のプレート部31を締結手段32により固定しておくことが好ましい。
【0038】
続いて前記締結部22の螺合手段33を前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合し、板部21を支持管20に固定する。ここで一枚の板部21を配置する際には、複数の型枠固定用ロッド1及び締結部22により板部21を複数箇所で固定し、板部21を安定的に固定することが好ましい。
【0039】
そしてコンクリート躯体18の表面と板部21との間に隙間を備えてコンクリート躯体18を同一条件で乾燥養生し、コンクリート躯体18の表面に結露等が生じることを抑制すると共に、コンクリート躯体18の表面の乾き班を低減する。
【0040】
一方、コンクリート躯体18の柱部が雨水に晒される場合には、側方からの雨水等の侵入を防ぐように、図5に示す如く板部21と、隣接する他の板部21との側部同士が接触するように板部21を大きくしても良いし、図6に示す如く板部21と、隣接する他の板部21との間に、コーナ部24aやシートの第一塞ぎ部材24を配置しても良い。またコンクリート躯体18の壁面が雨水に晒される場合には、側方からの雨水等の侵入を防ぐように、板部21と、隣接する他の板部21との間に、平板やシートの第一塞ぎ部材(図示せず)を配置しても良い。更にコンクリート躯体18の柱部や壁面に汚水や雨水が伝ってくる場合には、上方からの雨水等の侵入を防ぐように、図8、図9に示す如く板部21の上部とコンクリート躯体18の間に、シート27aの第二塞ぎ材27を配置しても良い。
【0041】
而して、このように実施の形態例によれば、コンクリート躯体18を養生する際に、支持管20によってコンクリート躯体18から一定間隔の隙間を介して板部21を配置するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の空気中の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。また板部21で囲んだコンクリート躯体18に対して機材や資材が接触する場合には、外部からの圧力(打撃)を板部21及び支持管20で受け止めるので、コンクリート躯体18の表面における凹みや欠損を防ぎ、コンクリート躯体18の表面を適切に保護してコンクリート躯体18の表面の仕上げ状態を良好にすることができる。更に型枠3,3を外した後に、支持管20を介して板部21を配置するので、板部21をコンクリート躯体18に接触させることがなく、コンクリート躯体18の乾燥養生を適切に行うことができ、また型枠3,3を外した際にコンクリート躯体18の表面状態を確認し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる
【0042】
実施の形態例において、支持管20の一端をコンクリート躯体18の凹部19に配置すると、凹部19で支持管20の一端側を安定的に保持すると同時に、凹部19以外の他の箇所に支持管20が接触することがないので、コンクリート躯体18の表面に対して傷や凹みを生じることを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすると共にコンクリート表面を適切に保護することができる。
【0043】
実施の形態例において、板部21の側部と、隣接する板部21の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材24を配置すると、板部21と他の板部21の間から雨水等が侵入することを抑制するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。
【0044】
実施の形態例において、板部21の上部と、コンクリート躯体18との間を塞ぐ第二塞ぎ部材27を配置すると、板部21とコンクリート躯体18の間から雨水等が侵入することを抑制するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。
【0045】
尚、本発明のコンクリート躯体の養生方法及びその装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 型枠固定用ロッド
1a 延長用の型枠固定用ロッド
3 型枠
18 コンクリート躯体
19 凹部
20 支持管
21 板部
22 締結部
24 第一塞ぎ部材
27 第二塞ぎ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート躯体の養生方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に柱や壁等のコンクリート躯体を構築する際には、生コンクリートを打設するために型枠を用いており、型枠を組み立てる際には、図10に示す如く型枠固定用ロッド1と型枠固定具2とを用いて左右の型枠3,3を固定している。
【0003】
型枠固定用ロッド1は、構築するコンクリート躯体の厚さ寸法に応じた長さのものを選定して用いられ、型枠固定用ロッド1の両側には、雄ネジ部4が形成されている。また型枠固定具2は、図11に示す如く型枠位置決め駒5と、締付ロッド6と、押し具7と、締付ナット8により構成されている。
【0004】
前記型枠位置決め駒5は、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合する雌ネジ部9が一端に開口したナット10を有している。該ナット10の外周には、雌ネジ部9の開口側の外径が小さく開口と反対側に向かって大径となる截頭円錐形状の位置決め部材11が一体に固定されており、更に、位置決め部材11の中心部には、前記雌ネジ部9の開口と反対側に向かって所要の長さで延設されたボルト部12を備えている。また前記型枠位置決め駒5の位置決め部材11は、一般に合成樹脂にて截頭円錐形の筒状に形成されており、更に、その他の部材は鋼等の金属で形成されている。
【0005】
前記締付ロッド6は、前記型枠位置決め駒5のボルト部12に螺合する雌ネジ部13を一端に有しており、また締付ロッド6の他端には所要長さの雄ネジ部14が形成されている。また前記押し具7は、開口15を介して前記締付ロッド6に嵌合し、更に図10に示すように型枠3の外面を押圧して支持するための二本のパイプ材16を支持するようにした凹部17を両側に備えている。更に前記締付ナット8は、前記締付ロッド6の雄ネジ部14に螺合して前記押し具7を押圧するようにしている。
【0006】
型枠3,3を組み立てて生コンクリートを打設する際には、先ず、構築する柱や壁等の厚さ寸法に応じた長さの型枠固定用ロッド1を用意する。この時、型枠固定用ロッド1の両端の雄ネジ部4には、型枠位置決め駒5の雌ネジ部9が螺合して取り付けられており、型枠位置決め駒5の位置決め部材11の大径側端部の相互間距離Sが、構築するコンクリート躯体の厚さとなるので、型枠位置決め駒5のねじ込みにより距離Sを調整する。
【0007】
左右の型枠3,3に予め所要の間隔で形成されている開口3aに、型枠固定用ロッド1の両端に備えた型枠位置決め駒5のボルト部12を貫通させる。そして、型枠3,3を貫通したボルト部12の先端に、前記締付ロッド6の雌ネジ部13を螺合し、型枠位置決め駒5と締付ロッド6により型枠3,3を挾持する。
【0008】
次に、型枠3,3の外面に二本のパイプ材16を当て、このパイプ材16を外側から押すように押し具7を当てて締付ロッド6の雄ネジ部14に螺合した締付ナット8を締込むようにする。すると、押し具7及びパイプ材16を介して型枠3,3は外側に湾曲しないようにしっかり支持される。型枠3,3は、所要の間隔で形成されている複数の開口3aにおいて、前記型枠固定用ロッド1と型枠固定具2とにより連結され、これにより型枠3,3は、距離Sの間隔を保持した状態で高い強度に組立てられる。
【0009】
このように組み立てられた型枠3,3間に生コンクリートを打設する。
【0010】
続いて、生コンクリートの打設後、所要の固化時間を経過した後に前記型枠3,3を除去する際には、先ず、締付ナット8を緩めて押し具7を緩めることにより二本のパイプ材16を取り外した後、締付ロッド6を回して型枠位置決め駒5のボルト部12から締付ロッド6を取り外し、続いて、型枠3,3をボルト部12から抜き出して型枠3を取り外す。
【0011】
次に、ボルト部12を指で掴んで回すか、又は型枠位置決め駒5の内側のナット10に工具を係合させて回すことにより、型枠位置決め駒5を型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4から取り外す。
【0012】
この時、コンクリート躯体18の表面には、図12に示す如く前記型枠位置決め駒5による截頭円錐形の凹部19が所要の間隔で形成されており、更に各凹部19には、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4が所要の長さで突出している。
【0013】
その後、コンクリート躯体18をビニールシート(図示せず)で囲んで養生し、コンクリート躯体18の内部や外面で適切に凝結が進むようにしている。
【0014】
尚、コンクリート躯体を養生する技術としては、生コンクリートの打設前に型枠の内面に予めコンクリート養生保持板を配置し、養生時に、コンクリート躯体の表面に接触するコンクリート養生保持板を連続的に用いてコンクリート躯体を養生するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−113372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、コンクリート躯体18をビニールシートで囲んで養生する際には、コンクリート躯体18とビニールシートとの接触面や隙間に結露を生じ、結露等の空気中の汚れがコンクリート躯体18の表面に付着するという問題があった。またビニールシートで囲んだコンクリート躯体18に対して機材や資材が接触した場合には、コンクリート躯体18の表面に凹みや欠損を生じてコンクリート躯体18の表面を適切に保護できないという問題があった。更に特許文献1の如くコンクリート養生保持板を用いる場合には、養生時であってもコンクリート養生保持板がコンクリート躯体18の表面に常に接触するため、乾燥養生を適切に行うことができず、また型枠3,3を外した後であってもコンクリート躯体18の表面状態を確認することできないという問題があった。
【0017】
本発明は、斯かる実情に鑑み、コンクリート躯体の表面に結露等の汚れが付着することを抑制して表面の仕上げ状態を良好にし、且つコンクリート表面を適切に保護するコンクリート躯体の養生方法及びその装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のコンクリート躯体の養生方法は、型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周側に配置するように支持管を挿入し、更に該支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置し、前記コンクリート躯体の一面に対応して形成される板部を型枠固定用ロッドに通して支持管の他端に配し、前記型枠固定用ロッドに締結部を締結して板部を固定し、コンクリート躯体を養生するものである。
【0019】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生装置であって、
前記コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周に配置する支持管と、
前記コンクリート躯体の一面に対応して形成され且つ前記型枠固定用ロッドに通して前記支持管の端に配する板部と、
前記型枠固定用ロッドに締結して前記板部を固定する締結部と、
を備えるものである。
【0020】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置するものである。
【0021】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、板部の側部と、隣接する板部の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材を配置することが好ましい。
【0022】
本発明のコンクリート躯体の養生装置は、板部の上部と、コンクリート躯体との間を塞ぐ第二塞ぎ部材を配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンクリート躯体を養生する際に、支持管によってコンクリート躯体から一定間隔を介して板部を配置するので、コンクリート躯体の表面に結露等の空気中の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。また板部で囲んだコンクリート躯体に対して機材や資材が接触する場合には、外部からの圧力(打撃)を板部及び支持管で受け止めるので、コンクリート躯体の表面における凹みや欠損を防ぎ、コンクリート躯体の表面を適切に保護してコンクリート躯体の表面の仕上げ状態を良好にすることができる。更に型枠を外した後に、支持管を介して板部を配置するので、板部をコンクリート躯体に接触させることがなく、コンクリート躯体の乾燥養生を適切に行うことができ、また型枠を外した際にコンクリート躯体の表面状態を確認し、表面の仕上げ状態を良好にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施する形態例を示す全体概念図である。
【図2】本発明を実施する形態例を示す側面図である。
【図3】本発明を実施する形態例を示す断面図である。
【図4】本発明を実施する形態の他例を示す断面図である。
【図5】板部の側面と隣接する板部の側面とを接触させた状態を示す概念図である。
【図6】板部の側面と隣接する板部の側面との間に第一塞ぎ部材を配し、第一塞ぎ部材を貼付した状態を示す概念図である。
【図7】板部の側面と隣接する板部の側面との間に第一塞ぎ部材を配し、第一塞ぎ部材を締結バンドにより支持した状態を示す概念図である。
【図8】板部の上部とコンクリート躯体の表面との間に第二塞ぎ部材を配した状態を示す概念図である。
【図9】板部の上部と他のコンクリート躯体の表面との間に第二塞ぎ部材を配した状態を示す概念図である。
【図10】型枠固定用ロッドと型枠固定具により型枠を組み立てた状態を示す一部切断側面図である。
【図11】型枠固定具の詳細を示す断面図である。
【図12】コンクリート躯体の表面から型枠位置決め駒を取り除いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1〜図9は本発明を実施する形態例を示すもので、図10〜図12と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0027】
本発明の形態例は、図1〜図9に示す如くコンクリート躯体18を乾燥養生する際に、コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対応して配置される支持管20(図2〜図4参照)と、該支持管20に支持される板部21と、前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に締結して板部21を固定する締結部22とを備えている。
【0028】
前記支持管20は、図2〜図4に示す如く軸線方向に所定の長さを有する円筒管や角型管であり、更にコンクリート躯体18の凹部19に対して一端を挿入し得る外径を有していると共に、型枠固定用ロッド1を管内に通し得るように型枠固定用ロッド1の外径よりも大きな内径を有している。また支持管20の材質は、塩化ビニール管やポリエチレン管等の樹脂、鋼管やアルミニウム管等の金属、紙や木等の材料から選択されているが、ある程度の加重に耐えるならば特に制限されるものではない。
【0029】
前記板部21は、コンクリート躯体18の一面に対応するように所定の大きさを備える平板で構成されており、コンクリート躯体18の凹部19の位置に対応して通過穴23が形成されている。また板部21の材質は、ベニヤ板等の木材、塩化ビニール板等の樹脂、鋼板等の金属から選択されているが、外部からの圧力(打撃)を受け止めるものならば特に制限されるものではない。ここでコンクリート躯体18が柱部である場合には、板部21が、柱部の一面とほぼ同じ面積または柱部の一面よりやや大きい面積を有し、柱部の各面に対応するように準備されている。またコンクリート躯体18が壁面である場合には、板部21が、壁面とほぼ同じ面積、または複数枚で壁面とほぼ同じ大きさになる面積を有し、壁面の大きさに対応するように準備されている。
【0030】
また板部21は、コンクリート躯体18の柱部に対応して他の板部21を異なる角度(約90°)で配置している場合、図6、図7に示す如く板部21の側部と、隣接する他の板部21の側部との間を塞ぐように第一塞ぎ部材24を備えることが可能であり、第一塞ぎ部材24は、隙間に対応するよう長手方向に対して垂直断面形状でL形のコーナ部24a(図6参照)や、ビニール素材のシート(図示せず)で構成されている。またコーナ部24aやシート等の第一塞ぎ部材24は、ガムテープ等の貼付手段25(図6参照)、紐部材等の支持手段26(図7参照)、ボルト等の固定手段(図示せず)により固定されるようになっている。ここで支持手段26を更に具体的に説明すると、支持手段26は、図7に示す如く型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に配置されるフック等の係止具26aと、該係止具26aに係止する締結バンド26bとを備え、両側の板部21の型枠固定用ロッド1に係止具26aを固定し、該係止具26aに締結バンド26bを配してコーナ部24a等の第一塞ぎ部材24を支持するようにしている。
【0031】
更に板部21は、コンクリート躯体18の壁面に複数枚で対応して他の板部21を平面状に配置している場合、板部21の側部と、隣接する他の板部21の側部との間を塞ぐように他の第一塞ぎ部材(図示せず)を備えることが可能であり、他の第一塞ぎ部材は、ベニヤ板等の平板(図示せず)やビニール素材のシート(図示せず)で構成されている。またベニヤ板等の平板(図示せず)や、ビニールシート等のシート(図示せず)は、ガムテープ等の貼付手段(図示せず)、ボルト等の固定手段(図示せず)により固定されるようになっている。
【0032】
更にまた板部21は、コンクリート躯体18の表面との間を塞ぐように第二塞ぎ部材27を配置することが可能であり、第二塞ぎ部材27は、図8に示す如くビニールシート等のシート27aで構成されている。また板部21の上部とコンクリート躯体18の上面が近接する場合には、シート27aの一端をコンクリート躯体18の上面に配置すると共にシート27aの他端を板部21の側面に配置している。また図9に示す如くコンクリート躯体18の表面に、横方向に向かう凹状の目地18aが存在する場合には、シート27aの一端を目地18aの内側上部に配置すると共にシート27aの他端を板部21の側面に配置している。更にシート27aの一端は、コンクリート躯体18の上面に、モルタル、板材、木片等の重し手段(図示せず)やガムテープ等の貼付手段28で固定され、シート27aの他端は、板部21の面に、ボルト等の固定手段(図示せず)やガムテープ等の貼付手段29で固定されても良い。またシート27aは、板部21とコンクリート躯体18との間を塞ぐと同時に、型枠固定用ロッド1の先端及び締結部22を覆うことが好ましい。
【0033】
前記締結部22は、図1〜図4に示す如く板部21の通過穴23と合せるように開口30を配するプレート部31と、プレート部31を板部21に固定するようプレート部31の締結孔(図示せず)に挿入するボルトや釘等の締結手段32と、型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合するナット等の螺合手段33とを備えて構成されており、プレート部31、締結手段32、螺合手段33は、金属や樹脂等の材質で構成されている。またプレート部31は、ボルト等の締結手段32で固定される代わりに、差し込み用の挿入爪(図示せず)を備えても良い。更に締結手段32は、プレート部31を固定するならば位置や個数は特に制限されるものではないが、通過穴23の周方向に沿って少なくとも2箇所以上の複数箇所で締結されることが好ましい。
【0034】
ここで型枠固定用ロッド1は、雄ネジ部4がコンクリート躯体18の凹部19から所定の長さ以上で突出するように構成されている。また型枠固定用ロッド1は、型枠3,3(図10参照)を組み立てる前から予め長くして形成されることが好ましいが、長さが不足する場合には、図4に示す如く接続部34を介して延長用の型枠固定用ロッド1aを配しても良い。更に接続部34は、延長用の型枠固定用ロッド1aと別体のものでも良いし、一体化されたものでも良い。
【0035】
次に、上記実施する形態例の作用を説明する。
【0036】
生コンクリートの打設後に型枠3,3を除去してコンクリート躯体18を養生する際には、コンクリート躯体18の凹部19から突出する型枠固定用ロッド1に対し、型枠固定用ロッド1の外周側に配置するように支持管20を挿入し、支持管20の一端をコンクリート躯体18の表面の凹部19内に配置する。ここで支持管20の一端は、截頭円錐形である凹部19の底面または周囲面に接触して安定的に保持されている。
【0037】
次に型枠固定用ロッド1に通過穴23を介して板部21を通し、該板部21を支持管20の他端に接触させて配置する。この時、板部21の面には、締結部22のプレート部31を締結手段32により固定しておくことが好ましい。
【0038】
続いて前記締結部22の螺合手段33を前記型枠固定用ロッド1の雄ネジ部4に螺合し、板部21を支持管20に固定する。ここで一枚の板部21を配置する際には、複数の型枠固定用ロッド1及び締結部22により板部21を複数箇所で固定し、板部21を安定的に固定することが好ましい。
【0039】
そしてコンクリート躯体18の表面と板部21との間に隙間を備えてコンクリート躯体18を同一条件で乾燥養生し、コンクリート躯体18の表面に結露等が生じることを抑制すると共に、コンクリート躯体18の表面の乾き班を低減する。
【0040】
一方、コンクリート躯体18の柱部が雨水に晒される場合には、側方からの雨水等の侵入を防ぐように、図5に示す如く板部21と、隣接する他の板部21との側部同士が接触するように板部21を大きくしても良いし、図6に示す如く板部21と、隣接する他の板部21との間に、コーナ部24aやシートの第一塞ぎ部材24を配置しても良い。またコンクリート躯体18の壁面が雨水に晒される場合には、側方からの雨水等の侵入を防ぐように、板部21と、隣接する他の板部21との間に、平板やシートの第一塞ぎ部材(図示せず)を配置しても良い。更にコンクリート躯体18の柱部や壁面に汚水や雨水が伝ってくる場合には、上方からの雨水等の侵入を防ぐように、図8、図9に示す如く板部21の上部とコンクリート躯体18の間に、シート27aの第二塞ぎ材27を配置しても良い。
【0041】
而して、このように実施の形態例によれば、コンクリート躯体18を養生する際に、支持管20によってコンクリート躯体18から一定間隔の隙間を介して板部21を配置するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の空気中の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。また板部21で囲んだコンクリート躯体18に対して機材や資材が接触する場合には、外部からの圧力(打撃)を板部21及び支持管20で受け止めるので、コンクリート躯体18の表面における凹みや欠損を防ぎ、コンクリート躯体18の表面を適切に保護してコンクリート躯体18の表面の仕上げ状態を良好にすることができる。更に型枠3,3を外した後に、支持管20を介して板部21を配置するので、板部21をコンクリート躯体18に接触させることがなく、コンクリート躯体18の乾燥養生を適切に行うことができ、また型枠3,3を外した際にコンクリート躯体18の表面状態を確認し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる
【0042】
実施の形態例において、支持管20の一端をコンクリート躯体18の凹部19に配置すると、凹部19で支持管20の一端側を安定的に保持すると同時に、凹部19以外の他の箇所に支持管20が接触することがないので、コンクリート躯体18の表面に対して傷や凹みを生じることを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすると共にコンクリート表面を適切に保護することができる。
【0043】
実施の形態例において、板部21の側部と、隣接する板部21の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材24を配置すると、板部21と他の板部21の間から雨水等が侵入することを抑制するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。
【0044】
実施の形態例において、板部21の上部と、コンクリート躯体18との間を塞ぐ第二塞ぎ部材27を配置すると、板部21とコンクリート躯体18の間から雨水等が侵入することを抑制するので、コンクリート躯体18の表面に結露等の汚れが付着することを抑制し、表面の仕上げ状態を良好にすることができる。
【0045】
尚、本発明のコンクリート躯体の養生方法及びその装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 型枠固定用ロッド
1a 延長用の型枠固定用ロッド
3 型枠
18 コンクリート躯体
19 凹部
20 支持管
21 板部
22 締結部
24 第一塞ぎ部材
27 第二塞ぎ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周側に配置するように支持管を挿入し、更に該支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置し、前記コンクリート躯体の一面に対応して形成される板部を型枠固定用ロッドに通して支持管の他端に配し、前記型枠固定用ロッドに締結部を締結して板部を固定し、コンクリート躯体を養生することを特徴とするコンクリート躯体の養生方法。
【請求項2】
型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生装置であって、
前記コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周に配置する支持管と、
前記コンクリート躯体の一面に対応して形成され且つ前記型枠固定用ロッドに通して前記支持管の端に配する板部と、
前記型枠固定用ロッドに締結して前記板部を固定する締結部と、
を備えたことを特徴とするコンクリート躯体の養生装置。
【請求項3】
支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置したことを特徴とする請求項2記載のコンクリート躯体の養生装置。
【請求項4】
板部の側部と、隣接する板部の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材を配置したことを特徴とする請求項2又は3記載のコンクリート躯体の養生装置。
【請求項5】
板部の上部と、コンクリート躯体との間を塞ぐ第二塞ぎ部材を配置したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコンクリート躯体の養生装置。
【請求項1】
型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生方法であって、
コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周側に配置するように支持管を挿入し、更に該支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置し、前記コンクリート躯体の一面に対応して形成される板部を型枠固定用ロッドに通して支持管の他端に配し、前記型枠固定用ロッドに締結部を締結して板部を固定し、コンクリート躯体を養生することを特徴とするコンクリート躯体の養生方法。
【請求項2】
型枠固定用ロッドにより支持された型枠内部に生コンクリートを打設し、脱枠後のコンクリート躯体を養生保護するための養生装置であって、
前記コンクリート躯体の凹部から突出する型枠固定用ロッドに対し、型枠固定用ロッドの外周に配置する支持管と、
前記コンクリート躯体の一面に対応して形成され且つ前記型枠固定用ロッドに通して前記支持管の端に配する板部と、
前記型枠固定用ロッドに締結して前記板部を固定する締結部と、
を備えたことを特徴とするコンクリート躯体の養生装置。
【請求項3】
支持管の一端をコンクリート躯体の凹部内に配置したことを特徴とする請求項2記載のコンクリート躯体の養生装置。
【請求項4】
板部の側部と、隣接する板部の側部との間を塞ぐ第一塞ぎ部材を配置したことを特徴とする請求項2又は3記載のコンクリート躯体の養生装置。
【請求項5】
板部の上部と、コンクリート躯体との間を塞ぐ第二塞ぎ部材を配置したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコンクリート躯体の養生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−117252(P2012−117252A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266707(P2010−266707)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(501442884)株式会社 山田研業社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(501442884)株式会社 山田研業社 (3)
【Fターム(参考)】
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