説明

コンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法および製造装置

【課題】貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻粉砕物を簡易的に製造可能な貝殻粉砕物の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】このコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法は、コンクリート骨材として使用するために粒径に関する調整がされた貝殻粉砕物を製造するために、所定のメッシュサイズを有するメッシュ平面部11に貝殻を敷き、その貝殻の上を重機Jが移動することで粉砕し、その粉砕された貝殻がメッシュ平面部11を通り抜けて受け部13に落下し、受け部に粉砕された貝殻粉砕物を集積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート骨材として使用する貝殻粉砕物の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中国地方、東北地方、北海道などでは、ホタテやカキ等の貝殻が廃棄物として、大量に野積みされており、そのリサイクルが望まれている。貝殻の主成分は、炭酸カルシウムで、石灰岩とほぼ近い成分・密度であり、コンクリートの骨材として使用できる(非特許文献1参照)。このため、国内各所にて、貝殻をコンクリートの細骨材、粗骨材として利用する研究がなされているが、コンクリートの施工性を確保するため、一般的には貝殻を破砕・粉砕して使用することがほとんどである。
【0003】
貝殻粉砕に関する主な特許文献としては、以下のものがある。特許文献1,2は、コンクリートにおける貝殻破砕物の適切な粒度に関し、特許文献3はモルタル・コンクリート組成物としての貝殻の置換率を設定する方法に関し、特許文献4は貝殻粉砕物を含むコンクリートにおける貝殻粉砕物の適切な粒度分布、さらに破砕方法に関する。
【0004】
従来の貝殻を粉砕する方法として、以下の方法がある。
(1)ジョークラッシャーによって粉砕する。
(2)敷鉄板上に敷き均したホタテ貝殻上を重機が走行して圧縮粉砕する。
(3)回転破砕装置等の専用機械で粉砕する(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−184347号公報
【特許文献2】特開2007−186409号公報
【特許文献3】特開平09−165245号公報
【特許文献4】特開2007−15894号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「建設事業における他産業リサイクル材料利用に関する経済学的観点からの検討」明嵐政司(土木技術資料48-7(2006)42〜47頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンクリート用骨材として使用する貝殻は、コンクリートのワーカビリティを確保したうえで大量に骨材として使用するため、所定の粒度を満足することが必要である(特許文献1参照)。そのため、何らかの方法・手段により粒度を調整することが必要である。上記粉砕方法(1)(2)は、粉砕自体は簡易的な方法であるが、粉砕後にふるい分けして粒度調整する必要がある。さらに、(2)に関しては、敷鉄板上に貝殻を広げて粉砕するため、かき集め作業が発生することや、同一箇所を何度も往復するため細粒分が過剰に発生する問題点がある。(3)は、粒度調整が可能であるが、細骨材としての利用となることや、特別な機械を別途用意する必要があり、コスト面に課題がある。
【0008】
上述のように、従来技術の貝殻粉砕方法によれば、別途ふるい分けが必要であり、また、特別な機械が必要である。本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻粉砕物を簡易的に製造可能な貝殻粉砕物の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためのコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法は、コンクリート骨材として使用するために粒径に関する調整がされた貝殻粉砕物を製造する方法であって、所定のメッシュサイズを有するメッシュ平面部に貝殻を敷き、その貝殻の上を重機が移動することで粉砕し、その粉砕された貝殻が前記メッシュ平面部を通り抜けて受け部に落下し、前記受け部に前記粉砕された貝殻粉砕物を集積することを特徴とする。
【0010】
このコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法によれば、メッシュ平面部に敷かれた貝殻の上を重機が移動することで貝殻を粉砕し、その粉砕された貝殻がメッシュ平面部を通り抜けて下段の受け部に落下することで貝殻粉砕物として集積することができる。このように、メッシュ平面部に貝殻を敷き、その上を重機が移動するだけの方法で、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻破砕物を簡易に得ることができる。また、敷鉄板上で貝殻を粉砕する従来技術では粉砕で生じた細粒分がクッションとなって粉砕効率が低下したが、本製造方法では、細粒分がメッシュ平面部から落下するので、貝殻の粉砕効率の低下を防止することができる。
【0011】
上記コンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法において、前記メッシュ平面部が同一平面上にメッシュサイズの異なる複数のメッシュ領域を有し、前記各メッシュ領域の専有面積を変更することで前記貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことが可能である。これより、例えば、目的の粒径加算曲線による粒径分布を有する貝殻粉砕物を容易に得ることができる。
【0012】
また、前記メッシュ平面部の下段でかつ前記受け部の上段に、前記メッシュ平面部よりも小さいメッシュサイズを有するメッシュ部を備え、前記メッシュ部のメッシュサイズを変更することで前記貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことが可能である。このように、メッシュサイズの異なるメッシュ部を多段に配置することで、例えば、目的の粒径範囲を有する貝殻粉砕物を容易に得ることができる。なお、メッシュ部のメッシュサイズは、メッシュ平面部のメッシュサイズが複数ある場合は、そのメッシュ平面部の最大のメッシュサイズよりも少なくとも小さいものである。
【0013】
また、前記メッシュ部および/または前記受け部を振動させることで前記貝殻粉砕物のふるい分けおよび/または集積の補助を行うことが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するためのコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置は、コンクリート骨材として使用するために粒径に関する調整がされた貝殻粉砕物を製造する装置であって、所定のメッシュサイズを有するとともに重機が移動可能なメッシュ平面部と、前記メッシュ平面部の下段に設置された受け部と、を備え、前記メッシュ平面部に貝殻を敷き、その貝殻の上を重機が移動することで粉砕し、その粉砕された貝殻が前記メッシュ平面部を通り抜けて受け部に落下し、前記受け部に前記粉砕された貝殻粉砕物を集積することを特徴とする。
【0015】
このコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置によれば、メッシュ平面部に敷かれた貝殻の上を重機が移動することで貝殻を粉砕し、その粉砕された貝殻がメッシュ平面部を通り抜けて下段の受け部に落下することで貝殻粉砕物として集積することができる。このように、メッシュ平面部に貝殻を敷き、その上を重機が移動するだけの構成で、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻破砕物を簡易に得ることができる。また、敷鉄板上で貝殻を粉砕する従来技術では粉砕で生じた細粒分がクッションとなって粉砕効率が低下したが、本製造方法では、細粒分がメッシュ平面部から落下するので、貝殻の粉砕効率の低下を防止することができる。
【0016】
上記コンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置において前記メッシュ平面部が同一平面上にメッシュサイズの異なる複数のメッシュ領域を有することで、貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことが可能である。これより、例えば、粒径加算曲線などによる粒径分布を有する貝殻粉砕物を容易に得ることができる。
【0017】
また、前記メッシュ平面部の下段でかつ前記受け部の上段に、前記メッシュ平面部よりも小さいメッシュサイズを有するメッシュ部を備えることで、貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことが可能である。このように、メッシュサイズの異なるメッシュ部を多段に配置することで、例えば、目的の粒径範囲を有する貝殻粉砕物を容易に得ることができる。なお、メッシュ部のメッシュサイズは、メッシュ平面部のメッシュサイズが複数ある場合は、そのメッシュ平面部の最大のメッシュサイズよりも少なくとも小さいものである。
【0018】
また、前記受け部および/または前記メッシュ部が傾斜しているかまたは傾斜可能に構成されていることが好ましい。製造された貝殻粉砕物の集積が容易となる。
【0019】
また、前記メッシュ部および/または前記受け部に振動手段を設けることで、貝殻粉砕物のふるい分けおよび/または集積の補助を行うことができる。
【0020】
なお、上記貝殻粉砕物の粒径に関する調整には、粒径分布および/または粒径範囲の調整がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法および製造装置によれば、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻粉砕物を簡易的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態によるコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のメッシュ平面部を概略的に示す平面図(a)(b)である。
【図3】図1,図2のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置で製造可能な貝殻粉砕物の粒径加算曲線の例を示す図である。
【図4】図1のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置を概略的に示す側面図である。
【図5】図1,図2の受け部を傾斜構造に構成した例を概略的に示す側面図である。
【図6】第1実施形態による貝殻粉砕物製造装置の具体的な構成例を示す平面図である。
【図7】図6の貝殻粉砕物製造装置の側断面図である。
【図8】図6においてエキスパンドメタルを途中まで設置した状態を示す平面図である。
【図9】図8のエキスパンドメタルの上にメッシュを設置した状態を示す要部拡大側面図である。
【図10】図6〜図9の貝殻粉砕物製造装置の受け部を傾斜させて配置した構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0024】
〈第1実施形態〉
図1は第1実施形態によるコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置を概略的に示す斜視図である。図2は図1のメッシュ平面部を概略的に示す平面図(a)(b)である。図3は図1,図2のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置で製造可能な貝殻粉砕物の粒径加算曲線の例を示す図である。図4は図1のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置を概略的に示す側面図である。図5は、図1,図2の受け部を傾斜構造に構成した例を概略的に示す側面図である。
【0025】
本実施形態によるコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置(以下、「貝殻粉砕物製造装置」という。)10は、図1のように、重機Jが載ることのできる程度の平面広さと強度を有するとともに所定サイズのメッシュを有するメッシュ平面部11と、メッシュ平面部11の下段に配置されメッシュ平面部11よりも小さいメッシュサイズを有するメッシュ部12と、メッシュ部12の下段に設置された受け部13と、四隅に配置されメッシュ平面部11を支持する支持脚14と、を備え、架台状に構成されている。
【0026】
メッシュ平面部11は、フラットタイプのエキスパンドメタルを架台の上面に設置し、その上に所定のメッシュサイズのメッシュを設置して構成されている。
【0027】
図1,図2,図4のメッシュ平面部11にホタテやカキ等の貝殻Sを敷き均し、重機Jが昇降板15を利用してメッシュ平面部11に載り、敷き均した貝殻の上を重機Jが移動することで貝殻を粉砕し、その粉砕された貝殻がメッシュ平面部11のメッシュサイズ以下であると、メッシュ平面部11を通り抜けて落下する。
【0028】
重機Jとしては、油圧ショベル(ユンボ、バックホー、パワーショベル)、ブルドーザ、スクレイパーなどの建設機械を使用できるが、これらに限定されない。また、重機の駆動輪は無限軌道であってよいが、タイヤであってもよい。
【0029】
本実施形態ではメッシュ平面部11のメッシュの隙間のサイズを変えて各サイズのメッシュの専有面積を変更することで、必要な粒径分布の貝殻粉砕物の製造が可能である。
【0030】
例えば、図2(a)のように、メッシュ平面部11は、メッシュサイズを20mm、10mm、5mmとそれぞれ異なるようにしたメッシュ領域11a,11b,11cを有し、それらの面積比を1:1:1とすることで、図3の粒径加算曲線(i)のような粒径分布を有する貝殻粉砕物を得ることが可能である。
【0031】
また、図2(b)のように、メッシュ領域11a,11b,11cは、上述と同じメッシュサイズであるが、それらの面積比を2:1:1とすることで、図3の粒径加算曲線(ii)のような粒径分布を有する貝殻粉砕物を得ることが可能である。
【0032】
図1,図4のように、メッシュ平面部11とメッシュ部12と受け部13とが上から順に多段に配置されているが、メッシュ部12を省略し、図2(a)または(b)のメッシュ平面部11から受け部13へ直接貝殻粉砕物が落下することで、上述のように、目的の粒径加算曲線を有するように粒径分布を調整した貝殻粉砕物を得ることができる。
【0033】
さらに、図1,図4の中段のメッシュ部12のメッシュサイズを組み合わせることで必要な粒径範囲を調整した貝殻粉砕物の製造が可能となる。すなわち、図1,図2,図4のメッシュ平面部11で重機Jにより粉砕された貝殻がメッシュ平面部11を通り抜けてメッシュ部12へと落下すると、その落下した貝殻粉砕物がメッシュ部12のメッシュサイズ以下であると、メッシュ部12を通り抜けて受け部13へと落下する。
【0034】
メッシュ平面部11が、例えば、図2(a)(b)のようにメッシュサイズ20mm、10mm、5mmを有し、メッシュ部12が5mmのメッシュサイズを有することで、メッシュ部12で5〜20mmの粒径範囲の貝殻粉砕物を得ることができ、受け部13で0〜5mmの粒径範囲の貝殻粉砕物を得ることができる。
【0035】
すなわち、メッシュ平面部11が最大x(mm)のメッシュサイズを有し、メッシュ部12がy(mm)のメッシュサイズ(x>y)を有することで、メッシュ部12で粒径範囲y〜xの貝殻粉砕物をおよび受け部13で粒径範囲0〜yをそれぞれ有する貝殻粉砕物を得ることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、メッシュ平面部11に貝殻を敷き、その上を重機Jが移動するだけの構成で、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関して調整を行った貝殻破砕物を簡易に得ることができる。
【0037】
すなわち、メッシュサイズの異なるメッシュ領域11a,11b,11cを有するメッシュ平面部11、メッシュ部12および受け部13を配置し、メッシュ領域11a,11b,11cの面積比を変え、メッシュ部12のメッシュサイズを変更することで、得られる貝殻粉砕物において、目的の粒径加算曲線を有するように粒径分布を調整しかつ必要な粒径範囲を有するように粒径を調整した貝殻粉砕物を得ることができる。
【0038】
また、図5に示すように、図1,図2の受け部13を傾斜構造とすることで、上述のようにして製造された貝殻粉砕物の集積が容易となる。勾配のある受け部13は予め傾斜させて構成してよいが、集積等の必要時に傾斜するように構成してもよい。
【0039】
また、メッシュ部12,受け部13に振動機などの振動手段を設けることで、貝殻粉砕物のふるい分けを促進し、また、集積の補助を行うことができる。
【0040】
次に、本実施形態による貝殻粉砕物製造装置の具体的な構成例について図6,図7を参照して説明する。図6は本実施形態による貝殻粉砕物製造装置の具体的な構成例を示す平面図である。図7は図6の貝殻粉砕物製造装置の側断面図である。図8は図6においてエキスパンドメタルを途中まで設置した状態を示す平面図である。図9は図8のエキスパンドメタルの上にメッシュを設置した状態を示す要部拡大側面図である。
【0041】
この貝殻粉砕物製造装置の構成例では、図6,図7のように、重機Jが載ることができるようにH型鋼等の強度部材(支持桁)16を支持脚14の間に縦横に複数配置し架台20を構成する。架台20は、支持脚14と強度部材16との間に配置された補強部材19により補強されている。また、重機Jの架台20における昇降のために昇降架台18が設置されている。架台20の上には、複数の強度部材16の縦横の配置によって四角形状の空間であるエキスパンドメタル設置部17が多数構成される。
【0042】
メッシュ平面部11は、図8,図9のように各エキスパンドメタル設置部17にフラットタイプのエキスパンドメタル22(ハッチングで示す部分)を周囲の強度部材16に載せるようにして設置し、その上に所定のメッシュサイズ(例えば、図2のようなメッシュサイズ)のメッシュ23を設置することで構成される。図9にエキスパンドメタル22およびメッシュ23の一単位を示すが、メッシュ23はエキスパンドメタル22の上に載せられてから、その四隅の端部SPで点付け溶接やボルトナットなどにより固定される。これにより、重機Jによる貝殻粉砕時のメッシュ23のずれを防止することができる。
【0043】
なお、エキスパンドメタルは荷重に対して強いXGグレーティングタイプが好ましい。また、エキスパンドメタルのかわりに、グレーチングを用いてもよい。また、メッシュは、パンチングメタルも使用することができる。
【0044】
メッシュ平面部11において、図2(a)(b)のようにメッシュサイズの異なるメッシュ領域を設ける場合には、各領域毎に異なるメッシュサイズのメッシュを設置する。
【0045】
メッシュ平面部11の下部には、メッシュ部12と受け部13とが配置される。また、メッシュ部12の下面の複数箇所には振動機21が設置されている。振動機21としては、公知の振動モータなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
図6〜図9の貝殻粉砕物製造装置によれば、架台20の上のメッシュ平面部11に敷いた貝殻を重機Jの走行により粉砕することで、上述と同様にして、目的の粒径加算曲線を有するように粒径分布を調整しかつ必要な粒径範囲を有するように粒径を調整した貝殻粉砕物を得ることができる。
【0047】
従来、重機で貝殻を粉砕する際は、敷鉄板上で作業するため同一箇所を何度も往復することになり細粒分が過剰に発生したが、本実施形態では、メッシュ平面部11上で粉砕された貝殻は下に落下するため、繰り返しの破砕を防ぐことができ細粒分の生成量を減らすことができる。従来のように敷鉄板上で作業する場合、細粒分が増えると、重機が大きな貝殻を踏んでも細粒分がクッション材となるため破砕効率の低下が問題となったのに対し、本実施形態では、細粒分は下に落下するため、貝殻の粉砕効率の低下を防ぐことができる。
【0048】
図10に図6〜図9の貝殻粉砕物製造装置の受け部13を傾斜させて配置した構造を示す。受け部13を傾斜させることで貝殻粉砕物の集積が容易となる。また、受け部13の下部には振動機21を配置することで、貝殻粉砕物の受け部13からの滑り落下を促進させ、貝殻粉砕物の集積を補助することができる。なお、図8では、メッシュ部12を省略しているが、設けてもよいことはもちろんである。
【0049】
〈第2実施形態〉
【0050】
第2実施形態によるコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置は、図1のメッシュ平面部を単一のメッシュサイズを有するようにした以外は、図1,図4と同様の構成のものである。
【0051】
第2実施形態による貝殻粉砕物製造装置によれば、メッシュ平面部11がx(mm)のメッシュサイズを有し、メッシュ部12がy(mm)のメッシュサイズ(x>y)を有することで、メッシュ部12で粒径範囲y〜xの貝殻粉砕物をおよび受け部13で粒径範囲0〜yをそれぞれ有する貝殻粉砕物を得ることができる。これにより、粒径範囲を調整した貝殻粉砕物を製造することができる。
【0052】
なお、本実施形態による貝殻粉砕物製造装置は、図6〜図10と同様に具体的に構成することができる。
【0053】
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図4,図7において、メッシュサイズの異なるメッシュ部12を二段またはそれ以上に配置してもよい。この場合、下段のメッシュ部のメッシュサイズを上段のメッシュ部よりも小さくする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法および製造装置によれば、貝殻をコンクリート用骨材として使用するために粒径に関する調整を行った貝殻粉砕物を簡易的に製造することができるので、産業廃棄物であるホタテやカキ等の貝殻をコストがさほどかからずに、コンクリート骨材として適切な粒径分布や粒径範囲を有する貝殻粉砕物として再利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
J 重機 S 貝殻 10 コンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置(貝殻粉砕物製造装置) 11 メッシュ平面部 11a,11b,11c メッシュ領域 12 メッシュ部 13 受け部 20 架台 21 振動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート骨材として使用するために粒径に関する調整がされた貝殻粉砕物を製造する方法であって、
所定のメッシュサイズを有するメッシュ平面部に貝殻を敷き、その貝殻の上を重機が移動することで粉砕し、その粉砕された貝殻が前記メッシュ平面部を通り抜けて受け部に落下し、前記受け部に前記粉砕された貝殻粉砕物を集積することを特徴とするコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法。
【請求項2】
前記メッシュ平面部が同一平面上にメッシュサイズの異なる複数のメッシュ領域を有し、前記各メッシュ領域の専有面積を変更することで前記貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法。
【請求項3】
前記メッシュ平面部の下段でかつ前記受け部の上段に、前記メッシュ平面部よりも小さいメッシュサイズを有するメッシュ部を備え、前記メッシュ部のメッシュサイズを変更することで前記貝殻粉砕物の粒径に関する調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法。
【請求項4】
前記メッシュ部および/または前記受け部を振動させることで前記貝殻粉砕物のふるい分けおよび/または集積の補助を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造方法。
【請求項5】
コンクリート骨材として使用するために粒径に関する調整がされた貝殻粉砕物を製造する装置であって、
所定のメッシュサイズを有するとともに重機が移動可能なメッシュ平面部と、
前記メッシュ平面部の下段に設置された受け部と、を備え、
前記メッシュ平面部に貝殻を敷き、その貝殻の上を重機が移動することで粉砕し、その粉砕された貝殻が前記メッシュ平面部を通り抜けて受け部に落下し、前記受け部に前記粉砕された貝殻粉砕物を集積することを特徴とするコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置。
【請求項6】
前記メッシュ平面部が同一平面上にメッシュサイズの異なる複数のメッシュ領域を有することを特徴とする請求項5に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置。
【請求項7】
前記メッシュ平面部の下段でかつ前記受け部の上段に、前記メッシュ平面部よりも小さいメッシュサイズを有するメッシュ部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置。
【請求項8】
前記受け部および/または前記メッシュ部が傾斜しているかまたは傾斜可能に構成されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置。
【請求項9】
前記メッシュ部および/または前記受け部に振動手段を設けたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のコンクリート骨材用貝殻粉砕物の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−180256(P2012−180256A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45844(P2011−45844)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)