説明

コンテナ用冷凍装置

【課題】筐体内の構成部材のレイアウトを変更して、冷凍能力を増大させ、長時間駆動が可能な構成とすることを目的とする。
【解決手段】筐体10内に、冷媒回路53によって接続されたコンプレッサ51とコンデンサ52とエバポレータ81とを設け、エンジン41に連設された発電機45によって該コンプレッサ51が駆動されて、該筐体10に接続されるコンテナ室内を冷却するコンテナ用冷凍装置1において、該筐体10下部に設けられた下部室3に、燃料タンク30とバッテリー31とを配設し、該下部室3の上部に、該エンジン41が配設されるエンジン室4と、該発電機45と該コンプレッサ51と該コンデンサ52と該冷媒回路53とが配設される冷凍機室5とを並設し、該エンジン室4と冷凍機室5との上部に、電装品71を配設した電装品室7と、排気消音器63を配設したマフラー室6と、該エバポレータ81を配設したエバポレータ室8とを並設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置の技術に関し、より詳細には、筐体内に配設されるエンジンや冷凍機器等のレイアウトの改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陸上及び海上運搬用のコンテナに連設してコンテナ室内を冷却するコンテナ用冷凍装置が公知となっており、このコンテナ用冷凍装置において、エンジン、発電機並びにコンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータ等からなる冷凍機等の構成機器の配置を変更して、冷凍効率を向上させるようにした技術が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
例えば、図26に示すように、特許文献2において開示されるコンテナ用冷凍装置201は、エンジン241を配置したエンジン室204等に複数に区画された筐体210より構成され、具体的には、筐体210下部にエンジン室204、マフラー室206及び燃料タンク230を配置したタンク室203が並設して構成され、下部室の上部であって、筐体210の上下略中央部に電装品室207、冷却ファン室及びコンデンサ室205が並設して構成され、さらに筐体210上部にはエバポレータ室208が構成されている。(特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2524187号公報
【特許文献2】特開2004−3705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコンテナ用冷凍装置の構成では、次のような課題があった。
すなわち、筐体下部にマフラー室が構成され、マフラーの排気出口管がマフラー室の下辺から下方に突出し、この排気出口管から排気ガスが排出されるような構成であったため、排気ガス中に含有するカーボン粒子や熱気が筐体下方に堆積してしまい、冷凍能力及び燃費が悪かった。
また、筐体下部にエンジン室及び冷凍装置室をタンク室と並設して構成していたため、燃料タンクの配置スペースを確保できず、燃料タンクの容量を増大することが困難であった。燃料タンクの容量が小さいと、頻繁に給油する必要があり、コンテナ用冷凍装置を長時間駆動することができなかった。
【0005】
そこで、本発明においては、コンテナ用冷凍装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、筐体内の構成部材のレイアウトを変更して、冷凍能力を増大させ、長時間駆動が可能な構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
すなわち、請求項1においては、筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されて、該筐体に接続されるコンテナ室内を冷却するコンテナ用冷凍装置において、該筐体下部に設けられた下部室に、燃料タンクとバッテリーとを配設し、該下部室の上部に、該エンジンが配設されるエンジン室と、該発電機と該コンプレッサと該コンデンサと該冷媒回路とが配設される冷凍機室とを並設し、該エンジン室と冷凍機室との上部に、電装品を配設した電装品室と、マフラーを配設したマフラー室と、該エバポレータを配設したエバポレータ室とを並設したものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1において、前記エンジン近傍に潤滑油用の補助タンクを設け、該補助タンクと該エンジンのオイルパンとを、それぞれホースを介してドレンパイプと接続したものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1又は請求項2において、前記エンジンは、低負荷時にエンジン回転数を所定回転数に下げるように制御されるものである。
【0010】
請求項4においては、請求項1又は請求項2において、前記発電機は、前記エンジンの反対側に冷却風吸込み口を設け、該吸込み口に前記コンデンサと反対方向に開口するダクトを設けてなるものである。
【0011】
請求項5においては、請求項1において、前記コンプレッサは、前記コンデンサの下方位置に配設したものである。
【0012】
請求項6においては、請求項1において、前記マフラー室は、排気出口管を上方に突出し、マフラー室の外周面を覆うカバー部材に室外と連通する通風孔を開口したものである。
【0013】
請求項7においては、請求項1において、前記電装品は、正面視で前記エンジンと対角方向位置に配置したものである。
【0014】
請求項8においては、請求項1において、前記エバポレータ室は、室外と連通する点検用窓を複数設け、該点検用窓に断熱材より形成された枠体を配設するものである。
【0015】
請求項9においては、請求項1において、前記筐体は、前記下部室と前記エンジン室と前記冷凍機室とを設けてなる下部体と、前記電装室とマフラー室とエバポレータ室とを設けてなる上部体とに、上下に分割可能に構成したものである。
【0016】
請求項10においては、請求項1において、前記筐体は、上面に吊上金具を左右に設け、該吊上金具間に補強メンバを着脱可能に横設したものである。
【0017】
請求項11においては、請求項1において、前記筐体は、カバー部材の左右方向に設けた補強用突部を斜下方に突出し、該補強用突部と係合する切欠をフレームに設けてなるものである。
【0018】
請求項12においては、請求項1において、前記筐体の一隅に、収納ボックス内に操作パネルを回動自在に内設した操作パネルユニットを設け、該操作パネルユニットは、収納ボックスの回動軸と該操作パネルの回動軸とをそれぞれ備えてなるものである。
【0019】
請求項13においては、請求項12において、前記操作パネルユニットは、収納ボックスの回転軸を前記筐体の外枠フレームに設けたものである。
【0020】
請求項14においては、請求項12において、前記操作パネルユニットは、収納ボックス内壁と前記操作パネルの回動軸との間に受部材を設けたものである。
【0021】
請求項15においては、請求項12において、前記操作パネルユニットは、収納ボックスの下辺部に、カバー受けとしての補助フレームを設けたものである。
【0022】
請求項16においては、請求項12乃至請求項15のいずれか1項において、前記操作パネルユニットは、パネルカバーの内側に回動レバーによって回動可能に操作される係合アームと、収納ボックス側に配設され、長手方向略中央部が短手方向に狭められた係合孔が貫設された係合プレートとからなり、該該回動アームによって係合アームが回動操作されて、該係合アームが該係合孔に係合してパネルカバーがロックされるロック機構を設けてなるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
請求項1に示す構成としたので、燃料タンク室を広く確保することができ、燃料タンクのタンク容量を大きくしてエンジンの駆動時間を長くすることができる。また、筐体の最上部に排気消音器を配置することで、排気ガス中に含まれるカーボンが下方に堆積するのを防止でき、冷凍能力及び燃費を向上できる。
【0025】
請求項2に示す構成としたので、補助タンクやオイルパン内のオイルを交換する時にドレンパイプのみを引き出せばよく、不使用時にはドレンパイプをエンジンの下方等に収納でき、作業性が向上する。
【0026】
請求項3に示す構成としたので、不必要な燃料消費を低減して、エンジンの駆動時間を長くできる。
【0027】
請求項4に示す構成としたので、発電機において、冷凍機室内でコンデンサを冷却して送出された冷却風を直ちに吸込み口から吸込むことを防止して、発電効率を高めることができる。
【0028】
請求項5に示す構成としたので、コンデンサを冷却した冷却風を利用してコンプレッサを冷却できる。
【0029】
請求項6に示す構成としたので、排気を筐体の上方から排気することで、排気音を小さくすることができるとともに、排気消音器によって温められた空気を、上昇流とともに通風孔を介して室外に容易に送出できる。
【0030】
請求項7に示す構成としたので、電装品において、エンジンからの放熱の影響が少なくなり、安定した作動か可能となり、故障を防止できる。
【0031】
請求項8に示す構成としたので、点検用窓よりエバポレータ室に配設されるエバポレータファン等のメンテナンス等が可能となる。また、枠体の製造が容易となり、エバポレータ室への組み立て作業も容易となる。
【0032】
請求項9に示す構成としたので、下部体にエンジン等を上方から載置して、その後に上部体を下部体に取り付けることで、組み立て作業が容易となる。
【0033】
請求項10に示す構成としたので、吊上金具を介して確実に吊り上げることができ、フォークリフト等のフォークを筐体下部に容易に通すことができる。また、不使用時には取り外すことで、コンテナに取り付ける際に邪魔にならない。
【0034】
請求項11に示す構成としたので、カバー部材をフレームに係止した状態で容易にネジ締め等の固定作業ができ、カバー部材を着脱する際の作業性が向上する。また、補強用突部が、カバー部材の補強用部品とカバー取付構造の係合部品とを兼ねるため、部品点数を減らし、製造コストを低減できる。
請求項12に示す構成としたので、操作パネルを回動させることで、操作パネルの操作性が向上するとともに、収納ボックスを回動させて筐体の内部空間を広く開放して、構成機器のメンテナンス性を向上できる。
【0035】
請求項13に示す構成としたので、操作パネルユニットの全体を筐体の外側に位置するように回動して筐体の前面だけでなく筐体内部を完全に開放することができるため、操作パネルや構成機器のメンテナンス性が向上する。
【0036】
請求項14に示す構成としたので、収納ボックスの内部空間を有効に活用することができる。また、収納ボックス内部にマニュアル類を載置しておくことで、かかるマニュアル類を雨水等に濡らすことなく保管できる。
【0037】
請求項15に示す構成としたので、収納ボックスを回動操作する際に補強フレームも回動することで、直ちに筐体内のメンテナンス等を行うことができ、作業性が向上する。
【0038】
請求項16に示す構成としたので、係合孔の形状によって締め代が決められるため、面倒な調整が不要となる。また、ある程度の軸方向長さを有する回動レバーによって係合アームを回動操作するため、小さい操作負荷でロック・解除できる。さらに、回動レバーは、パネルカバーの外側表面に当接するため、パネルカバーからの出代が小さく、損傷を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るコンテナ用冷凍装置の全体的な構成を示した正面図、図2は図1のカバー部材を外した正面図、図3は図1の右側面図、図4はエンジンユニットの正面図、図5は同じくエンジンユニットの平面図、図6は同じくエンジンユニットの底面図、図7は図1の左側面図、図8は冷凍機ユニットの正面図、図9は同じく冷凍機ユニットの平面図、図10はコンデンサユニットの左側面図、図11は導風板を備えたカバーの後方斜視図、図12は図1の上面図、図13はエバポレータ室の後面図、図14は同じく図13のエバポレータ室の後方斜視図、図15は蓋体の斜視図、図16は筐体内での冷却風の流れを表す状態図、図17は同じく筐体内での冷却風の流れを表す状態図、図18は冷凍機室のフレームを表す正面図、図19はカバーの取付面の斜視図、図20は操作パネルユニットの前方斜視図、図21は同じく操作パネルユニットの平面図、図22は同じく操作パネルユニットの断面図、図23は収納ボックスの開口部の斜視図、図24はロック機構を表す状態図、図25は同じくロック機構を表す状態図である。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、直方体の筐体10として形成され、この筐体10は、外枠及び内枠としてのフレーム2に、筐体10の内部を覆うように前面、左右面及び上面にカバー部材(燃料タンク室カバー20等)を被着して構成されている。この筐体10の内部は、複数に区画された室が構成され、各室に構成機器がそれぞれ配置されている。カバー部材は、着脱あるいは開閉自在の蓋体として、各室の区画に合わせてそれぞれの室に対応して取り付けられている。
【0041】
筐体10には、コンテナ用冷凍装置1の構成機器として、冷媒回路53によって接続されたコンプレッサ51、コンデンサ52及びエバポレータ等の冷凍機器が内設されている。この冷凍機器は、エンジン41にて駆動される発電機45によってコンプレッサ51がモータにより電動駆動され、このコンプレッサ51によって圧縮されたガス冷媒が、コンデンサ52、エバポレータ81及びコンプレッサ51の順に状態変化を繰り返しながら冷凍回路を循環する際に、熱交換によってコンテナ室内の空気(内気)を冷却して排出する。その他に、筐体10には、これら冷凍機器を駆動させるエンジン41及び発電機45や、該エンジン41の駆動源となる燃料タンク30及びバッテリー31や、コンテナ用冷凍装置1の構成機器を制御するための操作パネル91及び電装品71等がそれぞれ内設されている。
【0042】
本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、各構成機器の配置レイアウトに特徴を有するものであり、具体的には、筐体10は、筐体10下部に設けられた下部室3に、燃料タンク30とバッテリー31と商用電源ケーブル32等とを配設し、下部室3の上部に、エンジン41が配設されるエンジン室4と、発電機45とコンプレッサとコンデンサと冷媒回路が配設される冷凍機室5が並設し、エンジン室4と冷凍機室5の上部に、電装品71を配設した電装品室7と、排気消音器63を配設したマフラー室6と、エバポレータ81を配設したエバポレータ室8とが並設するように区画して、従来の装置と比べて優れた作用・効果を奏するように構成されている。
以下、筐体10に形成された各室について、それぞれ分節して説明する。
【0043】
まず、下部室3について、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、筐体10の下部は、左右方向に連続した下部室3が形成され、この下部室3には、燃料タンク30、バッテリー31及び商用電源ケーブル32等が配設される。詳細には、下部室3は、燃料タンク30が配設される燃料タンク室3aと、バッテリー31及び商用電源ケーブル32が配設されるバッテリー室3bとにさらに区画されている。燃料タンク室3aに長手方向に横設される燃料タンク30は、エンジン41の燃料を貯油しており、この下部室3の大半を占めるように形成されている。
【0044】
筐体10の下部前面に燃料タンク室3aの開口部が開口され、かかる開口部から燃料タンク30を前後方向に移動させて着脱可能としており、所定位置に燃料タンク30を載置(収納)した状態で、位置固定用の固定ワイヤ(ベルト)33によって前方位置において、上方から下方に締め付けるようにしてこれを位置固定する。燃料タンク室3aの前面には、燃料タンク室カバー20が着脱可能に配設され、該燃料タンク室カバー20に外気取り込み用の通風孔20aが形成されている。この通風孔20aによって燃料タンク室3aに送入された外気は、後述するように燃料タンク30を冷却しながらエンジン室4の方向に移送されるように構成されている(図16及び図17参照)。
【0045】
このように、下部室3に燃料タンク30を配置することで、燃料タンク室3aを広く確保することができるため、タンク容量を大きくして、エンジン41の駆動時間を長くすることができる。また、燃料タンク30を筐体10の最下部であってエンジン41よりも下方に配置し、前記通風孔20aを介して外気が送入されるように構成することで、燃料タンク30の温度上昇を抑えて、タンクの膨張を抑え引火等を防止するようにしている。なお、燃料タンク30は、複数個(本実施例においては2個)に分けて形成することで、筐体10から着脱する際の作業性を向上することができる。
【0046】
バッテリー31は、後述するラジエータファン43や操作パネル91やセルモータ等に駆動電源を供給するものであり、燃料タンク30の側方に、下部室3を区画して形成されたバッテリー室3bに配設されている。バッテリー室3bには、バッテリー31の他に商用電源ケーブル32が収納されている。本実施例においては、商用電源ケーブル32は軸心を上下方向に向けて配置して回転自在に設けたリールに巻かれて引き出し巻き付けが容易にできるようにしており、バッテリー台35とリールが一体的に形成され、バッテリー31及び商用電源ケーブル32が、バッテリー台35上に載置され、バッテリー台35が、筐体10の前後方向に配置された摺動レール34上に前後摺動可能に取り付けられている。ただし、商用電源ケーブル32は、バッテリー台35上に収納される構成であれば、リールに巻き付けることなく束ねて収納する構成であってもよい。
【0047】
バッテリー台35を摺動レール34に沿って摺動させて、バッテリー31及び商用電源ケーブル32をバッテリー室3bから引き出して取り出すことができるため、バッテリー31のメンテナンスや交換が容易となるとともに、商用電源ケーブル32を引き出したり収納したりするのが容易となる。また、商用電源ケーブル32を筐体10の最下部(バッテリー室3b)に配置することで、商用電源ケーブル32が床面沿って取り回すことになりぶら下げられることがなく、この商用電源ケーブル32の使用時に、オペレータの足や周辺器材等に引っ掛かりにくい。
【0048】
次に、エンジン室4について、以下に説明する
図2乃至図6に示すように、下部室3の上部であって筐体10の右方側(図2の紙面において)には、エンジン41、ラジエータ42、ラジエータファン43及び冷却水タンク44等が配設されるエンジン室4が形成されている。エンジン41は、筐体10の左右方向に配置され、該エンジン41の図2において左方には発電機45が連設されている。エンジン41と筐体10の右側面との間にラジエータ42とラジエータファン43とが略平行に配置され、ラジエータファン43は、前記バッテリー31と接続されてバッテリー31を駆動電源とした電動式に構成されている。ラジエータ42とラジエータファン43の前方位置には、エンジン冷却水を貯溜した冷却水タンク44が配設されて、冷却水タンク44は、図示せぬ専用ポンプによって冷却水の給排を行うように構成されている。
【0049】
筐体10の右側面には、右面カバー21が取り付けられており、右面カバー21は、ラジエータファン43と水平方向で同一位置となるように通風孔21aが開口されている(図3参照)。ラジエータファン43が、バッテリー31によって駆動されることによって、上述したように燃料タンク室3aに送入された冷却風が、エンジン室4の底面であって燃料タンク室3aとエンジン室4との境界部に開口した図示せぬ通風孔からエンジン室4内に移送され、エンジン41やラジエータ42を冷却しながら通風孔21aを介して送出するように構成されている。また、エンジン41の前方であって筐体10の左右方向に、エンジン41の潤滑油を貯油した補助タンク47が横設されている。この補助タンク47は、エンジン室4の左方に形成される冷凍機室5に渡って施設されている。
【0050】
発電機45は、エンジン41の前方位置に該エンジン41と略平行となるように連設され、該エンジン41によって駆動されて、後述するコンプレッサ51やエバポレータファン82等に電源を供給してこれを駆動するように構成されている。特に、発電機45によって、エンジン41の駆動を電力に変換し、この電力によってコンプレッサ51を駆動するような構成(電力型)とすることで、例えば、エンジン41の駆動を、ベルト等を介して伝達してコンプレッサ51を駆動させるような構成(ベルト駆動型)と比べて、騒音を低減することができる。
【0051】
筐体10の上下方向に、下部室3の上部を左右にエンジン室4と冷凍機室5とに区画する遮断壁46が配設され、この遮断壁46の下方部46aが、エンジン41と発電機45との間を遮断するように配置される。すなわち、下方部46aは、エンジン41が前記エンジン室4に、発電機45が冷凍機室5に位置するようにエンジン41と発電機45との間に配置される。このように、エンジン室4内にエンジン41を配置し、さらにエンジン41と発電機45との間に遮断壁46(下方部46a)を配置して防音することで、コンテナ用冷凍装置1の騒音を低減することができる。
【0052】
図4乃至図6に示すように、本実施例においては、該エンジン41、ラジエータ42、ラジエータファン43、冷却水タンク44及び発電機45等が、平面視略平板状のエンジン台49の上にそれぞれ一体的に載置固定されたエンジンユニット40として構成されている。このエンジン台49は、筐体10の前後方向に配置された摺動レール(図略)上に前後摺動可能に取り付けられており、エンジン台49を摺動させることで、エンジン41等をエンジンユニット40として一体的に引き出すことができるように構成されている。このように、エンジンユニット40として構成することで、フレーム2への取り付け作業が容易となる。また、エンジンユニット40として、筐体10から一体的に引き出すことができるように構成することで、各構成機器のメンテナンス等が容易となり、特に冷却水や潤滑油等を接続するホース類等の断接を行う必要がなく作業性が向上される。
【0053】
また、エンジン41及び発電機45の上方であって前後略中央部に、エンジンユニット40の吊下げ金具40aが上方に突出して複数個配設されており、エンジンユニット40が前方に引き出された状態で、吊下げ金具40aにクレーンフック等を係合することによって、エンジンユニット40を吊り上げることができ、エンジン41の交換等が容易となる。さらに、前記下方部46aは、エンジンユニット40が一体として筐体10の前後方向に摺動操作されることから、遮断壁46本体から分離可能に形成されている。具体的には、エンジンユニット40を駆動する際には、下方部46aを遮断壁46本体から取り外すか、エンジンユニット40と一体的に摺動するように構成される。
【0054】
エンジンユニット40(エンジン台49)の下面側において、エンジン41近傍に配設される潤滑油(エンジン41用)の補助タンク47の下面から、ドレン用のホース47aが延設されるとともに、エンジン41の下面からエンジン41のケース等に形成されるオイルパン(図略)内作動油のドレン用のホース41aが延設されている。そして、このホース41a・47aは、接続バルブ(三方弁)101を介してドレンパイプ48と連通されている。接続バルブ101はエンジン台49の下面に突出して形成されたブラケット102に固定され、ドレンパイプ48は、一端部が接続バルブ101に接続され、他端部(先端部)がエンジン台49下方から引き出し自在に形成されている。そのため、不使用時にはドレンパイプ48をエンジン台49下方に収納して邪魔にならず、補助タンク47やオイルパン内のオイルを交換する時には、ドレンパイプ48のみをエンジン台49下方から引き出せばよく、作業性が向上する。
【0055】
また、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、エンジン41の低負荷時には、該エンジン41の回転数を定格回転数に下げるように制御される。エンジン41の回転数を下げるには、機械的又は電気的に制御することが可能である。コンテナ用冷凍装置1は、コンテナの内気を冷却して送出ように構成されているが、エンジン41の低負荷時、すなわち、コンテナの内気が一定温度以下に冷却された状態等の時には、エンジン41を定格回転数で駆動させる必要がない場合がある。かかる場合に、エンジン41の回転数を定格回転数よりもさらに下げるように制御することによって、不必要な燃料消費を低減して、エンジン41の駆動時間を長くすることができる。
【0056】
エンジン室4の上方空間であってエンジン41の上方には、エンジン41の吸気消音器61及びエアクリーナ62が配置され、吸気消音器61はエンジン41の上面に開口された吸気消音器61の取付部41bに接続される(図2参照)。エンジン室4の上部に形成されたマフラー室6に、エンジン41の排気消音器63が配設され、排気消音器63はエンジン41の上面に開口された排気消音器63の取付部41c(図5参照)に接続される。このマフラー室6の詳細については、後述する(図2及び図12参照)。エンジン41のエンジンユニット40を筐体10の前後方向に摺動させる時は、各消音器61・63は取付部41b・41cから取り外される。
【0057】
また、同エンジン室4の上方空間であって吸気消音器61及びエアクリーナ62の前右方側に、操作パネル91を内設した操作パネルユニット90が、フレーム2に対して回動自在に取り付けられている。この操作パネル91及び操作パネルユニット90の詳細は、後述する(図20乃至図25参照)。
【0058】
エンジン室4の前面には、エンジン室カバー22が着脱可能に配設されるとともに、このエンジン室カバー22の左方が、ヒンジ部材22aを介してエンジン室4と冷凍機室5とを区画するフレーム2aに、開閉自在に取り付けられている(図1参照)。このように、エンジン室カバー22を開閉自在に取り付けることで、エンジン室4内のメンテナンス、例えば、エンジンユニット40を引き出さずにエンジン41等の修理等を行う時や、エンジン室4の前面に配置された冷却水タンク44内の冷却水の補充・確認等を行う時に、エンジン室カバー22とフレーム2とを締結するボルト等を外してこれを回動するだけでよい。なお、エンジン41のエンジンユニット40を引き出す時には、エンジン室カバー22は、フレーム2aから取り外される。
【0059】
次に、冷凍機室5について、以下に説明する。
図1、図2、図7乃至図10に示すように、下部室3の上部であって筐体10の左方側には、コンプレッサ51、コンデンサ52及びこれらを接続する冷媒回路53等からなる冷凍機器や、前記発電機45等が配設される冷凍機室5が形成されている。冷凍機器として、コンプレッサ51は、発電機45の左方に配置され、上述のように発電機45によって発電された電力によりモータが駆動される電動型に構成される。このコンプレッサ51、発電機45及びエンジン41は、筐体10の左右方向に略直線上に位置するように構成されている。また、コンプレッサ51の略直上に、コンデンサ52が配置され、コンデンサ52は、略同形のコンデンサ52を側面視略V字状に配置されたコンデンサユニット103として構成されている。
【0060】
図7乃至図9に示すように、その他の冷凍機器として、リキッドタンク55、アキュムレータ56及び高圧センサ57等が、コンプレッサ51及びコンデンサユニット103(コンデンサ52)の側方であって冷凍機室5の左側に密集して配置されている。なお、コンデンサ52にリキッドタンク55等を介して接続されるエバポレータ81は、該冷凍機室5の上部に形成されるエバポレータ室8に配置される(図13参照)。そして、コンプレッサ51、コンデンサ52及びエバポレータ81等の冷凍機器は、冷凍回路53によって接続されている。
【0061】
本実施例における冷凍機器の冷凍サイクルについて、概説すると、コンプレッサ51は、エバポレータ81から循環供給されたガス冷媒を圧縮し、コンデンサ52は、コンプレッサ51によって高温高圧に圧縮されたガス冷媒を冷却し、かかるガス冷媒をコンデンサファン54によって筐体外から供給された外気と熱交換させて凝縮して液体冷媒とする。リキッドタンク55によって液体冷媒が一時的に貯溜され、エバポレータ81は、このリキッドタンク55、膨張弁等を介して液体冷媒が供給されてこれを気化し、かかる液体冷媒をコンテナ内の内気と熱交換して気化熱によって内気を冷却して排風するとともに、気化したガス冷媒をアキュムレータ56等を介してコンプレッサ51に供給する。このように、筐体10内で冷凍機器(コンプレッサ51等)による冷凍サイクルを形成するため、冷媒配管を必要限度で短くすることができる。
【0062】
本実施例においては、コンプレッサ51、冷凍回路53、リキッドタンク55、アキュムレータ56及び高圧センサ57等は、平面視略平板状の冷凍機台58の上にそれぞれ一体的に載置固定されて、冷凍機ユニット50として構成されている。コンプレッサ51は、冷凍機台58の前後方向に配置された摺動レール105上に前後摺動可能に取り付けられている。コンプレッサ51等を冷凍機ユニット50として構成することで、筐体10に一体的に取り付けることができるため、組み立てが容易となる。また、筐体10内(冷凍機室5内)に配置された冷凍機ユニット50からコンプレッサ51を摺動可能に構成することで、冷凍機ユニット50として組み付けたコンプレッサ51を、室外に摺動させてメンテナンス等することができる。
【0063】
冷凍機室5において、前記発電機45は、エンジン41とは反対方向に向けて冷却風の吸込み口45aが開口されており、該吸込み口45aには、発電機45とコンプレッサ51との間であってコンプレッサ51と反対方向に向けて開口したダクト107が配設されている(図4乃至図6参照)。このダクト107は、吸込み口45aの開口部を覆うように、すなわち縁部107aがエンジン41の方向に向けて突出するように形成されている。このように構成することで、発電機45において、後述するように冷凍機室5内でコンデンサ52を冷却してコンデンサユニット103から送出された冷却後の温かい風を直ちに吸込み口45aから吸込むことを防止して、該発電機45による発電効率を高めることができる。
【0064】
図2及び図10に示すように、コンデンサユニット103は、一対のコンデンサ52・52を側面視V字状に組み合わせ、具体的には、両側を側面視V字状に形成された支持部材104に固定して組み立てられる。このコンデンサユニット103には、両コンデンサ52が離間した上部側を覆うようにコンデンサファン54が一体として略水平方向に配設されている。コンデンサユニット103は、冷凍機室5の上方に左右方向に橋設されるフレーム2bに、コンデンサ52部分が筐体10の略前後方向に向くように懸架されて取り付けられ、フレーム2bに取り付けられた状態でエバポレータ室8との間隙に上方空間5aが形成される。このように、一対のコンデンサ52を一体的に構成することで、コンデンサ52の着脱が容易となり、筐体10内にコンパクトに配置することができる。さらに、コンデンサファン54をコンデンサ52が離間した上部側を覆うように取り付けることで、一対のコンデンサ52を一度に冷却風を送風してこれを冷却することができる。
【0065】
図1及び図2に示すように、冷凍機室5の前面には、上方から順に冷凍機室カバー23・24・25が着脱可能に配設され、冷凍機室カバー23は、下辺が前記フレーム2bに取り付けられるとともに、正面視で前記コンデンサユニット103上方の上方空間5aの前面を覆うように取り付けられる。この冷凍機室カバー23には、通風孔23aが開口され、通風孔23aを介してコンデンサファン54によって冷却風が室内(上方空間5a)に送入され各コンデンサ52へと送風される。冷凍機室カバー24は、該冷凍機室カバー23の下方であって上辺がフレーム2bに、右辺がフレーム2aに取り付けられるとともに、正面視でコンデンサユニット103を構成するコンデンサ52の前方を覆うように取り付けられる。
【0066】
図7及び図11に示すように、コンデンサ52の前方に配置される冷凍機室カバー24の冷凍機室5側の側面には導風板106が固設されている。該導風板106は、冷凍機室カバー24の内面に固設され、前方側のコンデンサ52と冷凍機室カバー24との空間の左右両側及び下側を覆うように筐体10の内側方向に突出して形成されている。換言すれば、コンデンサユニット103の筐体10前方側であってコンデンサ52の前下方に、該コンデンサ52を通過した冷却風を室外に送出するための導風板106が配置されている。そして、冷凍機室カバー24には、正面視でコンデンサ52の対向位置に通風孔24aが開口され、コンデンサファン54から前方側のコンデンサ52を通過した冷却風が、導風板106によって、通風孔24aを介して室外に送出できるように構成されている(図16及び図17参照)。
【0067】
冷凍機室カバー25は、右辺がフレーム2aに取り付けられて冷凍機室カバー24の下方に連設されている。この冷凍機室カバー25には通風孔25aが開口され、コンデンサファン54によって室内に送入されコンデンサユニット103の後方側のコンデンサ52を通過してこれを冷却した冷却風が、冷凍機室5内の冷却機器等を冷却しながら通風孔25aを介して室外に送出されるように構成されている。
【0068】
図2に示すように、本実施例においては、コンデンサ52(コンデンサユニット103)の下方にコンプレッサ51を配置する構成としているため、後方側のコンデンサ52を冷却した冷却風を利用してコンプレッサ51を冷却するように構成されている。すなわち、一対のコンデンサ52を側面視V字状に組み付けたコンデンサユニット103を構成し、コンデンサファン54によってコンデンサユニット103に送入された冷却風のうち、前方側のコンデンサ52を冷却した冷却風は導風板106を介して通風孔24aから直ちに室外に送出し、後方側のコンデンサ52を冷却した冷却風は後方側のコンデンサユニット103の下方位置に配置したコンプレッサ51等を冷却して通風孔25aから室外に送出するように構成される(図16及び図17参照)。このような構成とすることで、コンデンサファン54によって送入された冷却風を一度に一対のコンデンサ52に送風して、これを冷却することができるとともに、前方側と後方側のコンデンサ52からの排風を別々に送出して、冷却風の流れをスムーズにして熱気が滞留するのを防止できる。
【0069】
次に、マフラー室6について、以下に詳述する。
図1、図2、図3及び図12に示すように、エンジン室4の上方であって筐体10の前側に、エンジン41の排気消音器63が配設されるマフラー室6が形成されている。この排気消音器63はエンジン41の上面に開口された排気消音器63の取付部41cに接続されるとともに、排気出口管63aが、マフラー室6の上面から突出している。すなわち、このマフラー室6は、上面、側面及び前面を覆うようにカバー26・27・29が取り付けられ、排気消音器63の排気出口管63aは、上面に取り付けられるカバー26から室外に突出して形成されている。なお、後述するようにカバー26・27は、マフラー室6を含む上部体12の前面及び側面を覆うように形成されている。
【0070】
マフラー室6の上面及び右側面に取り付けられるカバー26・27・29には、それぞれ室外と連通する通風孔26a・27a・29aが開口されている。このマフラー室6は、前記冷凍機室5の上面であって該冷凍機室5とマフラー室6との境界部に図示せぬ連通孔が開口され、冷凍機室5に配置されるコンデンサファン54によって冷凍機室カバー23に開口された通風孔23aを介して室内(上方空間5a)に送入された冷却風が、この連通孔を介してマフラー室6に送出される。冷凍機室5からマフラー室6への冷却風の流れが形成され、また通風孔29aから冷却風が送入され、マフラー室6において、排気消音器63によって温められた空気を、上昇流とともに通風孔26a・27aを介して室外に容易に送出することができる。
【0071】
このように、本実施例におけるコンテナ用冷凍装置1は、エンジン41が配置されるエンジン室4の上方であって筐体10の最上部にマフラー室6を形成して排気消音器63を配置するとともに、筐体10の上面から排気出口管63aを上方に突出するように構成されているため、エンジン41の排気を筐体10の上方へと排気することで、排気音を小さくすることができるとともに、排気ガス中に含まれるカーボンが下方に堆積するのを防ぐことができる。
【0072】
次に、電装品室7について、以下に詳述する。
図1及び図2に示すように、前記冷凍機室5の上部であってマフラー室6の左側に、電装品71を内装したコントロールボックス70が配置される電装品室7が形成されている。ここで、電装品71は、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1が連設されるコンテナ内の温度を調節するための温度記録装置等を含むコントローラ、コンタクタ及びリレー等のことをいい、コンタクタやりレー等は背板等に一体として取り付けられている。コントロールボックス70は、前面に図示せぬヒンジ部材等を介して開閉自在に取り付けられた開閉扉72が設けられ、内部に電装品71が収納されている。
【0073】
このように、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、正面視でエンジン41と対角方向位置、すなわち、エンジン41が配置されるエンジン室4の対角方向位置に電装品室7を形成するとともに、この電装品室7に前記電装品71を配設するように構成しているため、電装品71において、エンジン41からの放熱の影響が少なくなり、安定した作動か可能となり、故障を防止することができる。なお、電装品71は、コントロールボックス70において、開閉扉72の内側面にも取り付けることが可能である。かかる場合には、コントロールボックス70の小型化を図ることができ、またメンテナンスが容易となるため好ましい。
【0074】
次に、エバポレータ室8について、以下に詳述する。
図2、図3、図7、図12乃至図15に示すように、前記エンジン室4及び冷凍機室5の上部であってマフラー室6及び電装品室7の後方に、上述したように冷凍サイクルを構成するエバポレータ81を配置したエバポレータ室8が形成されている。エバポレータ室8は、筐体10の後方に開口しており、開口部にエバポレータ81及びエパポレータファン82が後方、すなわちコンテナ用冷凍装置1が取り付けられるコンテナの内部方向に突出して配置され、またエバポレータ81及びエパポレータファン82の側方にオゾン発生装置83が配設されている。エバポレータファン82によってコンテナ内の空気がエバポレータ81に送入され、エバポレータ81によって熱交換されて、冷気として導風ガイド板84によってコンテナ方向に導かれながらエバポレータ室8から送出される。
【0075】
本実施例におけるエバポレータ室8は、上面及び左右側面を前記カバー26・27・28に覆われ、該カバー26・27・28には、室外と連通する点検用窓85が複数設けられており、具体的には、この点検用窓85は、エバポレータ室8の上面及び両側面に3箇所に略同形状に穿設されている。点検用窓85を設けることによって、エバポレータ室8内に配設されるエバポレータファン82等のメンテナンス等が容易となる。なお、この点検用窓85の配設位置や数はこれに限定するものではない。
【0076】
エバポレータ室8の内面側であって各点検用窓85には、断熱材より形成され、かつ、それぞれが同形状に形成される枠体86が取り付けられる。この枠体86には、点検用窓85と略同形状に穿設された挿通口86aが形成されている。枠体86よりもエバポレータ室8内側は、ステンレス等により形成される箱状体87が密接して取り付けられている。このように構成することで、エバポレータ室8内での冷凍効率が向上する。
【0077】
本実施例においては、各点検用窓85を略同形状に穿設するとともに、これに取り付ける枠体86においても挿通口86aをこれと略同形状に形成されている。具体的には、3箇所に穿設された点検用窓85は全て同一形状であり、これに取り付けられる3つの枠体86も略同一に形成される。このように構成することによって、枠体86の製造が容易となり、同一形状であるため組み立ての際に取付位置等を誤ることがなく、エバポレータ室8への組み立て作業も容易となる。
【0078】
それぞれの点検用窓85には、少なくとも一部を断熱材により形成した蓋体88が嵌合して取り付けられる。蓋体88は、点検用窓85との嵌合部位に断熱材部88aとパッキン部88bとが形成され、断熱材部88aは点検用窓85及び挿通口86aの形状と略一致するように形成されている。このように、蓋体88に断熱材部88aとパッキン部88bとを形成することで、点検用窓85からの冷気の漏出を防ぐとともに、特にパッキン部88bを形成することで、水・冷気を遮断してエバポレータ室8内への水滴の混入を防いで結露を防ぎ、前記枠体86や断熱材部88aの損傷を防ぐことができる。なお、この蓋体88は、点検用窓85より取り外して、エバポレータ室8内のメンテナンスを行う際に、点検用窓85からエバポレータ室8内に載置してくことができるように形成してもよい。
【0079】
以上のように区画された筐体10内に移送される外気(冷却風)は、次のようにして構成機器を冷却した後に筐体10外に送出される。
図16及び図17に示すように、エンジン室4に配置されるラジエータファン43が駆動されることによって、燃料タンク30及びエンジン41等を冷却するための冷却風の流れが生起されて、この冷却風は、燃料タンク室3aの燃料タンク室カバー20に開口された通風孔20aから筐体10内(燃料タンク室3a内)に送入され、燃料タンク30を冷却しながら図示せぬ前記通風孔を介してエンジン室4内に移送され、エンジン41やラジエータ42を冷却しながら右面カバー21の通風孔21aを介して送出される。
【0080】
また、冷凍機室5に配置されるコンデンサファン54が駆動されることによって、コンデンサ52及びコンプレッサ51等を冷却するための冷却風の流れが生起されて、この冷却風は、冷凍機室カバー23の通風孔23aを介して上方空間5aに送入され、一部がエンジン室4に移送されて、上述したようにエンジン41等を冷却して通風孔21aを介してから筐体外に送出される。そして、かかる冷却風の多くは、コンデンサユニット103のコンデンサ52を冷却しながら、筐体前方側のコンデンサ52を冷却した冷却風は冷凍機室カバー24の通風孔24aから室外に送出され、筐体後方側のコンデンサ52を冷却した冷却風は冷凍機室5内の冷却機器等を冷却しながら冷凍機室カバー25の通風孔25aを介して室外に送出される。
【0081】
このように、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、筐体10内で温められた冷却風を、上昇熱によって筐体10の上方へと移送することができ、冷却風による構成機器の冷却効率を向上できるように構成されている。
【0082】
次に、筐体10の上部体と下部体の構成について、以下に詳述する。
図1及び図2に示すように、本実施例における筐体10は、前記下部室3とエンジン室4と冷凍機室5とを設けてなる下部体11と、前記電装品室7と、マフラー室6とエバポレータ室8とを設けてなる上部体12とに、上下に分割可能に構成されている。具体的には、筐体10は、フレーム2にカバー部材が被着されて構成されており、このフレーム2及びカバー部材が上下に分割されて、それぞれ下部体11及び上部体12として構成される。
【0083】
下部体11は、上述のようにフレーム2が区画されて下部室3等が形成され、燃料タンク30やエンジン41(エンジンユニット40)等が配置され、下部体11の外周を覆うように、前記燃料タンク室カバー20やエンジン室カバー22等が被着される。上部体12も同様に、上述のようにフレーム2が区画されてマフラー室6等が形成され、排気消音器63等が配置され、カバー26等が被着される。そして、筐体10は、エンジン室4及びこれに連設する冷凍機室5のそれぞれの略上部水平面と、マフラー室6、電装品室7及びエバポレータ室8のそれぞれの下部水平面とが当接するように着脱可能に取り付けられる。
【0084】
このような構成とすることで、コンテナ用冷凍装置1を組み立てる際に、エンジンユニット40、冷凍機ユニット50、コンデンサユニット103等が大きくなっても、これらをまず先に下部体11のフレーム2に取り付け、その後に上部体12を下部体11に取り付けることができ、かかる組み立て作業が容易となる。特に、コンデンサユニット103を、ワイヤによって吊り上げて、下部体11に形成される冷凍機室5のフレーム2に、上方から取り付けることができ、取り付け作業の効率が向上する。
【0085】
次に、筐体10の上面構造について、以下に詳述する。
図12に示すように、筐体10の上面は前記カバー26が装着されており、このカバー26の上面には、筐体10をワイヤで吊り上げるための吊上金具108が左右方向に二箇所に設けられている。吊上金具108は、筐体10の前後方向に施設され、カバー26平面から上方に略垂直方向に突出して形成され、ワイヤを取り付けるための取付孔108aが穿設されている。吊上金具108は、筐体10の前方向の端部108bが左右方向に略直角に屈曲して形成して、筐体10を吊り上げる際の吊上金具108の強度を保つようにしている。なお、本実施例においては、左右の吊上金具108は、端部108bが左右逆方向に屈曲されている。
【0086】
そして、この吊上金具108間には、補強メンバ109がカバー26に対して着脱可能に横設されている。この補強メンバ109は、左右の吊上金具108にワイヤを通してコンテナ用冷凍装置1を吊り上げる際に、該吊上金具108の強度を保つために吊上金具108間に橋設され、さらに吊上金具108に対して着脱可能に形成されている。本実施例においては、補強メンバ109は、左右両端が吊上金具108に当接するように筐体の左右方向に施設され、カバー26平面から上方に略垂直方向に突出して形成され、該カバー26に対して図示せぬボルト等によって固定される。
【0087】
このような構成とすることによって、コンテナ用冷凍装置1を搬送等する際に、吊上金具108をワイヤによって確実に吊り上げることができ、フォークリフト等のフォークを筐体下部に容易に通すことができる。また、搬送等終了時、すなわち吊上金具108にワイヤを通す作業を行わないときには、補強メンバ109をカバー26から取り外すことで、筐体10の上部に形成される上方突起部を減らすことができ、コンテナ用冷凍装置1をコンテナに取り付ける際に邪魔にならない。
【0088】
次に、筐体10のカバー取付構造について、以下に説明する。
図1、図18及び図19に示すように、筐体10の前面や左右側面等には、その外周を覆うように長板状に形成された燃料タンク室カバー20等の長板状のカバー部材が取り付けられている。本実施例におけるカバー取付構造は、カバー部材において筐体10への取付面側の左右方向に補強用突部110を斜下方に突出させ、筐体10のフレーム2に、該補強用突部110と係合する切欠111が形成され、この切欠111にカバー部材の補強用突部110を係合させて、カバー部材の位置決めを行ってから、ボルト等によってネジ締め固定するように構成されている。ここで、カバー部材には、上述したように燃料タンク室カバー20、エンジン室カバー22及び冷凍機室カバー23など筐体10の外周を覆いながらフレーム2に被着される全ての部材を含むものである。
【0089】
このカバー部材は、軽量化を図るために板厚を小さくする等して軽量化が図られており、かかる軽量化によって低減する強度を確保するために、左右方向若しくは上下方向に補強用突部110が形成されている。本実施例においては、さらにかかる補強用突部110の下辺側を斜下方に突出させ、さらにこの斜下方突出部110aにおいて、切欠111に上方から係合させるように構成されている。切欠111は、筐体10の上下方向に施設されるフレーム2に、筐体10にカバー部材が取り付けられた状態で補強用突部110の高さに合わせて形成される。
【0090】
一例として、冷凍機室5において、フレーム2・2aには、それぞれカバー23・24・25を取り付けるための切欠111が形成される。この冷凍機室5を覆うように、例えば、冷凍機室カバー25の取付面側の左右方向に補強用突部110が配設され、この補強用突部110を斜下方に突出して斜下方突出部110aが形成される。そして、斜下方突出部110aが切欠111に係合することで、冷凍機室カバー25が筐体10に取り付けられる(図18及び図19参照)
【0091】
このような構成とすることによって、ボルト等を外した状態でもフレーム2からカバー部材が落下することがなく、カバー部材をフレーム2に係止した状態で容易にネジ締め等の固定作業ができる。また、カバー部材を筐体10に取り付ける際には、切欠111に補強用突部110を容易に係合させることができる。さらに、補強用突部110が、カバー部材の補強用部品とカバー取付構造の係合部品とを兼ねるため、簡素な構成とすることができ、部品点数を減らし、ひいては製造コストを低減できる。
【0092】
次に、操作パネルユニット90について、以下に詳述する。
図2、図20乃至図25に示すように、筐体10の一隅である前記エンジン室4の上方空間、すなわち、エンジンユニット40の上方であって前記吸気消音器61及びエアクリーナ62の前方側に、収納ボックス92内に操作パネル91を内設した操作パネルユニット90が配置されている。収納ボックス92は、筐体10の前面側及び右面側に向けてそれぞれ開口部126・126が開口され、この開口部126・126を塞ぐようにパネルカバー93・93が配設されている。パネルカバー93は、ヒンジ部材94を介して上下回動可能に取り付けられ、正面視略中央部に収納ボックス92内部を外部から視認可能な窓93aが開口されている。窓93aの下方部には、パネルカバー93を収納ボックス92にロックするロック機構118が構成されている。このロック機構118の詳細は、後述する。
【0093】
このように収納ボックス92において、窓93aが開口されたパネルカバー93を筐体10の正面側及び右面側に設けることで、後述するように、収納ボックス92に対して回動自在に内設された操作パネル91を回動させて、コンテナ用冷凍装置1の前方だけでなく右方からも操作可能となって、オペレータによる操作性が向上するよう構成されている。なお、両パネルカバー93は略同一に構成されている。
【0094】
操作パネル91は、収納ボックス92に内設されるとともに、回動機構によって該収納ボックス92に対して相対回動可能に構成され、この回動機構によって操作パネル91を筐体10の正面側若しくは右面側に対向するように回動されて、前記開口部126から操作可能となるように構成されている。この操作パネル91の回動機構は、操作パネル91を支持する回動座95が、回動軸96によって収納ボックス92に対して相対回動可能に軸支されて構成されている。
【0095】
具体的には、回動座95は、正面視コ字形に形成され、上辺95a及び下辺95bと収納ボックス92の上壁92a及び下壁92bとの間に、弾性体よりなる防振ゴム97を介して、各上辺95a及び下辺95bの左右中心の後側端部近傍を回動軸96によって枢支されている。操作パネル91は、この回動座95の上辺95a及び下辺95bとの間に弾性体である防振ゴム98を介して、左右中心の前側端部近傍に相対回動不能に取り付けられている。このように、操作パネル91は、回動座95と一体的に、回動軸96を回動中心として収納ボックス92に対して相対回動可能に取り付けられている。
【0096】
回動座95の下辺95bには、回動座95の回動を規制する位置決め機構が構成されている。この位置決め機構は、下辺95bを上下方向に貫通した位置決めピン99と、収納ボックス92の下壁92bに穿設されて該位置決めピン99が上方から嵌合する位置決め孔112と、該位置決めピン99を位置決め孔112方向に付勢するバネ113等とより構成されている。位置決めピン99は、下辺95bの下面側に配設したバネ113が突部99aに当接して下壁92b方向に付勢され、端部が位置決め孔112に嵌合して回動座95が位置決めされる。
【0097】
回動座95は、位置決めピン99の他端部のフック部99bをバネ113の付勢力に抗して持ち上げて、位置決めピン99を位置決め孔112から引き抜くことで、回動自在となる。このフック部99bは、収納ボックス92の開口部126を介して、オペレータによって操作することができるように構成されている。位置決め孔112は、本実施例においては、収納ボックス92の開口部126に対向する位置、すなわち相互に直交方向に位置するように2箇所に穿設されており、位置決めピン99を一方の位置決め孔112から引き抜いて、操作パネル91が筐体10の前面側若しくは右面側に対向するように回動座95を回動させ、位置決めピン99を他方の位置決め孔112に嵌合して位置決めする。
【0098】
このように、回動座95及び操作パネル91を、防振ゴム97・98を介して支持することで、コンテナ用冷凍装置1の上下動やエンジン41による振動によって、操作パネル91が故障等するのを防ぐことができる。また、回動座95の位置決め機構において、位置決めピン99を上下動させることで回動座95の回動を規制しながら所定の位置に確実にかつ容易に位置決めすることができるとともに、装置構成を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0099】
収納ボックス92は、筐体10に対して回動自在に構成され、前方右側の隅に正面視コ字状の回動金具114が設けられ、回動金具114が、前方右側のフレーム2の外側に設けられた受け金具125(図1及び図2参照)に取り付けられて該回動金具114及び受け金具125を回動軸として、筐体10前方に向けて左回り(図21において反時計回り)に回動可能に構成している。収納ボックス92の前面側の左方は、エンジン室4と冷凍機室5とを区画するフレーム2aに図示せぬボルト等によってネジ締めされて、収納ボックス92が回動しないように固定される。収納ボックス92を回動操作する際には、かかるボルト等を外すだけでよい。
【0100】
以上のように、操作パネルユニット90は、筐体10の一隅であって収納ボックス92が回動金具114(受け金具125)を回動中心として回動可能に構成されるとともに、この収納ボックス92に内設される操作パネル91が回動座95の回動軸96を回動中心として回動可能に構成されている。従来の操作パネルユニット90は、操作パネル91を収納ボックス92に対して相対回動可能に配設したコンテナ用冷凍装置が提案されているものの、かかる操作パネルユニットが筐体10に対して固設されていたため、筐体10内部をメンテナンス等する際には、操作パネルユニット90を筐体10から取り外す必要があり、かかる作業が煩わしかった。このように、本実施例における操作パネルユニット90は、収納ボックス92と操作パネル91とが別々に回動可能に構成されているため、操作パネル91を筐体10の前面側若しくは右面側に向くように回動させて操作でき、操作パネル91の操作性が向上するとともに、操作パネルユニット90が配置されるエンジン室4においてエンジン41やエアクリーナ62等のメンテナンスを行う場合に収納ボックス92を回動させて、エンジン室4を広く開放して、作業性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0101】
また、操作パネルユニット90において、収納ボックス92は、上述のように筐体10の外枠を形成するフレーム2の前面に取り付けられた受け金具125に回動金具114を係合させ、回動金具114(受け金具125)を回動中心として回動可能に構成されている。本実施例においては、フレーム2から筐体10の前方に向けて回動可能に構成されている。このように、収納ボックス92を筐体10の外側に回転可能に構成することで、操作パネルユニット90の全体を筐体10の外側に位置させることができ、操作パネル91のメンテナンス性が向上する。また、筐体10の前面だけでなく、エンジン室4の上方空間を完全に開放することができ、内部のエンジン41や、前記吸気消音器61及びエアクリーナ62等のメンテナンスも容易となる。
【0102】
また、図21及び図22に示すように、操作パネルユニット90において、収納ボックス92内部は操作パネル91や回動座95の他に、収納ボックス92の内壁と操作パネル91の回動軸96の間に、例えば操作マニュアルやサービスマニュアル等のマニュアル類116を配置するための受部材115が配設されている。具体的には、受部材115は、収納ボックス92の内壁であって、回動操作される操作パネル91(回動座95)が当接しない位置に配設されている。この受部材115は、収納ボックス92の内壁に向けて平面視コ字型の枠体として形成され、受部材115と収納ボックス92の内壁との間に、マニュアル類116を載置することができるように構成されている。
【0103】
このように、収納ボックス92の内壁と操作パネル91の回動軸96との間に受部材115を設けることで、この受部材115に操作マニュアル等のマニュアル類116を載置することができ、収納ボックス92の内部空間を有効に活用することができる。また、収納ボックス92内部にマニュアル類116を載置しておくことで、かかるマニュアル類116を雨水等に濡らすことなく保管しておくことができる。なお、受部材115の構成は、上述した形状に限るものではなく、例えば、弾性体よりなる帯状の部材や箱型の枠体として形成する等、操作パネルユニット90を構成しない他の部材を載置できるよう構成したものを含む。
【0104】
また、図22に示すように、前記収納ボックス92の下辺部に、操作パネルユニット90を筐体10に取り付けたときに前記エンジン室カバー22の上辺部が当接する、カバー受けとしての補助フレーム117が一体的に形成されている。フレーム2に配設された操作パネルユニット90において、上述のように収納ボックス92の右方をフレーム2aに取り付けた状態で、エンジン室4の前方を覆うようエンジン室カバー22がフレーム2aにヒンジ部材22aを介して回動可能に取り付けられる(図1参照)。かかる場合に、収納ボックス92の下辺部に形成された補助フレーム117に、エンジン室カバー22の上辺部が上方から当接するように構成されている。
【0105】
このように、収納ボックス92の下辺部に補強フレーム117を一体的に形成することで、収納ボックス92を回動操作する際に同時に補強フレーム117も回動し、操作パネルユニット90の下方に別途補強フレームを配置した場合と比べて、直ちに筐体10内のメンテナンス等を行うことができ、作業性が向上する。また、エンジン室カバー22のカバー受けとしての補強フレーム117を形成することで、該エンジン室カバー22を筐体10に安定して取り付けることができる。
【0106】
さらに、図22乃至図25に示すように、操作パネルユニット90には、パネルカバー93を収納ボックス92にロックするロック機構118が構成されている。このロック機構118は、パネルカバー93の外側に配置される回動レバー119と、パネルカバー93の内側に配置され回動レバー119によって連結軸120を介して回動操作される係合アーム121と、収納ボックス92の開口部126の下縁部に配設される係合プレート122等とから構成されている。なお、上述のように、収納ボックス92には、略同一に構成されるパネルカバー93及び開口部126が2箇所形成さることから、各パネルカバー93等に構成されるロック機構118においても、略同一に構成されている。
【0107】
具体的には、パネルカバー93の内外面の略垂直方向に連結軸120が貫設し、回動レバー119は、この連結軸120の外側端部に形成される連結部120aと連結され、連結軸120を回動中心として回動操作可能に構成されるとともに、連結部120aにおいて連結軸120に対して揺動可能に構成されている。すなわち、回動レバー119は、パネルカバー93に略平行に当接する状態と、この状態から連結軸120(連結部120a)を揺動中心として、パネルカバー93の前後方向に揺動角度θとなるように揺動された状態とに切り換え操作される(図25参照)。回動レバー119が揺動操作されると、連結部120aを介して、連結軸120がパネルカバー93に対して垂直方向に摺動するように構成されている。そして、回動レバー119は、揺動角度θとなるように揺動された状態から上下いずれかの方向に回動操作される。
【0108】
係合アーム121は、平面視長板状に形成され、パネルカバー93の内側に突出した連結軸120の他端部に、回動レバー119の軸方向と直交する方向に固設される。回動レバー119が略水平に位置する場合には、係合アーム121はこれと直交する方向、すなわち上下方向に位置され(図24(a)参照)、この回動レバー119が連結軸120を回動中心として回動操作されて上下方向に位置する場合には、係合アーム121は、連結軸120を介して該回動レバー119と相対回動不能に回動されて水平方向に位置する(図24(b)参照)。
【0109】
係合プレート122は、平面視略矩形に形成され、前記開口部126の下縁部に水平方向に配設され、略長穴状の係合孔123が上下方向に貫設されている(図23参照)。この係合孔123は、少なくともいずれか一方の長手辺に、長手方向の両端部から略中央部近傍にかけて短手方向に徐々に狭くなるように、係合孔123の中心部に向けて緩やかに突出した当接部123aが形成されている。係合孔123には、回動レバー119によって回動操作された係合アーム121の端部が係合する。
【0110】
以上のように構成されるロック機構118において、パネルカバー93をロックするには、パネルカバー93を開口部126を塞ぐように閉めた状態(図25(a)参照)で、まず、回動レバー119を回動操作して係合アーム121を回動させ、該係合アーム121の端部を係合プレート122の係合孔123に係合させる(図25(b)参照)。この時、係合アーム121は係合孔123の当接部123aに当接しないか、若しくは係合アーム121の回動操作に支障がない程度に当接している。かかる状態から、今度は、回動レバー119を連結軸120(連結部120a)を揺動中心として揺動角度θが小さくなる方向に揺動操作すると、連結軸120がパネルカバー93の外側方向に摺動して、係合アーム121の端部が当接部123aに徐々に当接する。回動レバー119がパネルカバー93と略平行となる位置まで揺動されて、係合アーム121の端部と当接部123aとが係合すると、パネルカバー93が収納ボックス92に密着してロックした状態となる(図25(c)参照)。
なお、ロック機構118を解除する場合には、これと逆の順に回動レバー119を操作することになる。
【0111】
パネルカバー93の内側面には、縁部の形状に沿って平面視ロ字型にシール部材124が着設され、このシール部材124が開口部126の縁部に当接するように構成されている。パネルカバー93を開口部126を塞ぐように閉めた状態(図25(a)参照)から、パネルカバー93がロックされた状態(図25(c)参照)まで回動レバー119を揺動操作することで、シール部材124が圧縮して開口部126に密着するようにしてパネルカバー93がロックされる。このように、ロック機構118は、パネルカバー93がシール部材124を介して開口部126に密着して開口部126の防水性を向上させ、収納ボックス92内に雨水等が漏入することを防ぐように構成されている。
【0112】
本実施例におけるロック機構118は、操作パネルユニット90にパネルカバー93と収納ボックス92とをロックするロック機構118を設け、このロック機構118において、回動レバー119を回動操作して、長手方向略中央部が短手方向に狭められた係合孔123に係合アーム121が徐々に係合してロックするように構成している。このように構成することで、係合孔123の形状によって締め代が決められるため、面倒な調整が不要となり、またある程度の軸方向長さを有する回動レバー119によって係合アーム121を回動操作するため、小さい操作負荷でロック・解除を行うことができ、さらに回動レバー119は上下いずれの方向に回動操作することができるため操作性が向上される。特に、ロック機構118によってパネルカバー93がロックされた状態では、回動レバー119は、パネルカバー93の外側表面に当接するため、パネルカバー93からの出代が小さく、回動レバー119が損傷するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るコンテナ用冷凍装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】図1のカバー部材を外した正面図。
【図3】図1の右側面図。
【図4】エンジンユニットの正面図。
【図5】同じくエンジンユニットの平面図。
【図6】同じくエンジンユニットの底面図。
【図7】図1の左側面図。
【図8】冷凍機ユニットの正面図。
【図9】同じく冷凍機ユニットの平面図。
【図10】コンデンサユニットの左側面図。
【図11】導風板を備えたカバーの後方斜視図。
【図12】図1の上面図。
【図13】エバポレータ室の後面図。
【図14】同じく図13のエバポレータ室の後方斜視図。
【図15】蓋体の斜視図。
【図16】筐体内での冷却風の流れを表す状態図。
【図17】同じく筐体内での冷却風の流れを表す状態図。
【図18】冷凍機室のフレームを表す正面図。
【図19】カバーの取付面の斜視図。
【図20】操作パネルユニットの前方斜視図。
【図21】同じく操作パネルユニットの平面図。
【図22】同じく操作パネルユニットの断面図。
【図23】収納ボックスの開口部の斜視図。
【図24】ロック機構を表す状態図。
【図25】同じくロック機構を表す状態図。
【図26】従来のコンテナ用冷凍装置の全体的な構成を示した正面図。
【符号の説明】
【0114】
1 コンテナ用冷凍装置
2 フレーム
3 下部室
4 エンジン室
5 冷凍機室
6 マフラー室
7 電装品室
8 エバポレータ室
10 筐体
30 燃料タンク
31 バッテリー
41 エンジン
45 発電機
51 コンプレッサ
52 コンデンサ
53 冷凍回路
63 排気消音器(マフラー)
71 電装品
81 エバポレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されて、該筐体に接続されるコンテナ室内を冷却するコンテナ用冷凍装置において、
該筐体下部に設けられた下部室に、燃料タンクとバッテリーとを配設し、
該下部室の上部に、該エンジンが配設されるエンジン室と、該発電機と該コンプレッサと該コンデンサと該冷媒回路とが配設される冷凍機室とを並設し、
該エンジン室と冷凍機室との上部に、電装品を配設した電装品室と、マフラーを配設したマフラー室と、該エバポレータを配設したエバポレータ室とを並設した、
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
前記エンジン近傍に潤滑油用の補助タンクを設け、該補助タンクと該エンジンのオイルパンとを、それぞれホースを介してドレンパイプと接続した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
前記エンジンは、低負荷時にエンジン回転数を所定回転数に下げるように制御される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
前記発電機は、前記エンジンの反対側に冷却風吸込み口を設け、該吸込み口に前記コンデンサと反対方向に開口するダクトを設けてなる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
前記コンプレッサは、前記コンデンサの下方位置に配設した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項6】
前記マフラー室は、排気出口管を上方に突出し、マフラー室の外周面を覆うカバー部材に室外と連通する通風孔を開口した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項7】
前記電装品は、正面視で前記エンジンと対角方向位置に配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項8】
前記エバポレータ室は、室外と連通する点検用窓を複数設け、該点検用窓に断熱材よりそれぞれ略同一に形成された複数の枠体を配設する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記下部室と前記エンジン室と前記冷凍機室とを設けてなる下部体と、前記電装室とマフラー室とエバポレータ室とを設けてなる上部体とに、上下に分割可能に構成した、
ことを特徴する請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項10】
前記筐体は、上面に吊上金具を左右に設け、該吊上金具間に補強メンバを着脱可能に横設した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項11】
前記筐体は、カバー部材の左右方向に設けた補強用突部を斜下方に突出し、該補強用突部と係合する切欠をフレームに設けてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項12】
前記筐体の一隅に、収納ボックス内に操作パネルを回動自在に内設した操作パネルユニットを設け、該操作パネルユニットは、収納ボックスの回動軸と該操作パネルの回動軸とをそれぞれ備えてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項13】
前記操作パネルユニットは、収納ボックスの回転軸を前記筐体の外枠フレームに設けた、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項14】
前記操作パネルユニットは、収納ボックス内壁と前記操作パネルの回動軸との間に受部材を設けた、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項15】
前記操作パネルユニットは、収納ボックスの下辺部に、カバー受けとしての補助フレームを設けた、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項16】
前記操作パネルユニットは、
パネルカバーの内側に回動レバーによって回動可能に操作される係合アームと、収納ボックス側に配設され、長手方向略中央部が短手方向に狭められた係合孔が貫設された係合プレートとからなり、
該該回動アームによって係合アームが回動操作されて、該係合アームが該係合孔に係合してパネルカバーがロックされるロック機構を設けてなる、
ことを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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