説明

コンバインの刈幅調節装置

【課題】分草体を左右に移動させて刈幅を調節する遠隔操作レバーを、運転席横側のサイド操作パネル上に配置された刈脱クラッチレバーや変速レバーの近くに配設することによって、各種レバーの操作性向上並びに作業性の向上を図る。
【解決手段】左右方向端部に配置する右側分草体(14R)を左右に移動させて刈幅を拡縮調節可能に構成し、該右側分草体(14R)を左右に移動操作する遠隔操作レバー(13)を運転席(5)の左側に設置されたサイド操作パネル(7)上に配置し、該遠隔操作レバー(13)をサイド操作パネル(7)上に配置された刈取部及び脱穀部への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー(9)と走行速度を変速操作する変速レバー(10)の近傍に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈幅調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、未刈地側のナローガイドを左右内外へ揺動変位自在に設け、運転席横側のサイドコラムに設けた操作部材の操作により、ナローガイドを左側(外側)又は右側(内側)へ揺動操作するように構成したものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−42650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、従来構成のものとは異なり、分草体を左右に移動させて刈幅調節を遠隔操作する遠隔操作レバーであって、運転席横側のサイド操作パネル上に配置された刈脱クラッチレバーや変速レバー等の近くに配設することによって、各種レバーの操作性向上並びに作業性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体のうち、左右方向端部に配置する右側分草体(14R)を左右に移動させて刈幅を拡縮調節可能に構成し、該右側分草体(14R)を左右に移動操作する遠隔操作レバー(13)を運転席(5)の左側に設置されたサイド操作パネル(7)上に配置し、該遠隔操作レバー(13)をサイド操作パネル(7)上に配置された刈取部及び脱穀部への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー(9)と走行速度を変速操作する変速レバー(10)の近傍に設けたことを特徴とするコンバインの刈幅調節装置とする。
【0005】
遠隔操作レバー(13)の前後方向の操作により、右側分草体(14R)を左内側方又は右外側方へ移動操作し、刈取幅を広くしたり狭めたりして穀稈の刈取導入量を調整する。
【0006】
遠隔操作レバー(13)は、運転席横側のサイド操作パネル(7)上に配置し、且つ、刈脱クラッチレバー(9)や変速レバー(10)の近傍に設けているので、刈脱クラッチレバー(9)の操作で刈取脱穀クラッチを入りにし、変速レバー(10)の操作で機体を前進させながら刈取作業を行い、また、この作業中に遠隔操作レバー(13)の操作で刈幅の変更調節を運転位置から容易に遠隔操作することができる。各種レバーがサイド操作パネル(7)上に集中的に設けられるため、各種レバー操作を手順よく行い得て操作性が向上し、作業能率が向上する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、右側分草体(14R)を左右に移動操作する遠隔操作レバー(13)を、運転席(5)の左側のサイド操作パネル(13)上にあって、刈脱クラッチレバー(9)や変速レバー(10)の近傍に設けているので、刈脱クラッチレバー(9)の操作で刈取脱穀クラッチを入りにし、変速レバー(10)の操作で機体を前進させながら刈取作業を行い、また、この作業中に遠隔操作レバー(13)の操作で刈幅の調節を速やかに行え、運転位置から容易に遠隔操作することができる。従って、各種レバー操作が運転位置から手順よく容易に行えて操作性が向上し、ひいては作業能率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置(脱穀部)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5、運転席前側のフロント操作ボックス6、運転席左横側のサイド操作パネル7等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0009】
フロント操作ボックス6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取部4を昇降制御するパワステレバー8が設置されている。運転席5左側のサイド操作パネル7上には、刈取部4及び脱穀部3への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー9、走行速を変速制御する変速レバー(HSTレバー)10、副変速レバー11、刈取変速レバー12等が配置されている。
【0010】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体14,14,14…と、分草後の穀稈を引き起す3条の穀稈引起し装置15,15,15と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置16と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置17、掻込搬送後の穀稈を脱穀部に揚上搬送して供給する揚上搬送装置18等からなり、車体に対し横方向に架設された刈取入力軸19を支点として上下に昇降可能に装備している。各分草体14,14…は、刈取装置16側から前方に突設する分草支持杆21の先端に取り付けられている。
【0011】
運転席5側に位置する、即ち、既刈地側に位置する右側分草体14Rは、先端側が左内側方又は右外側方に向けて回動するよう分草支持杆21の途中部に設けた上下方向の縦軸22回りに回動自在に枢着している。なお、この右側分草体14Rはスプリングにより常時左内側方に向けて回動するよう付勢した構成としている。右分草体11Rとこれの回動操作を遠隔操作する遠隔操作レバー13とは、操作ワイヤ23で接続して設け、該遠隔操作レバー13の操作により、右分草体11Rを左内側、又は右外側へ回動操作する構成としている。従って、遠隔操作レバー13を前方に揺動操作すると、右側分草体14Rの先端が左内側方に回動して分草幅(刈幅)が狭くなり、分草幅内に導入される穀稈量は少なくなる。また、遠隔操作レバー13を後方に揺動操作すると、右側分草体14Rは右外側方へ開く方向に回動して分草幅が広くなり、導入される穀稈量が多くなるようになっている。
【0012】
そして、遠隔操作レバー13は、運転席横側部のサイド操作パネル7上に配置すると共に、前記刈脱クラッチレバー9の近くでこれより外側(刈取部側)に並設した構成としている。また、この遠隔操作レバー13は、操作が容易となるように途中部から外側に向けて折り曲げると共に、操作パネル7aの左端と防塵カバー24の右側面との間に配置して取扱性向上を図るように構成している。
【0013】
遠隔操作レバー13の回動支点部P及び操作ワイヤ23は、刈取上下支点である刈取入力軸19の上部後方に集中配置し、サイド操作パネル7内に内装することによって刈取上下時におけるワイヤの屈曲防止を図るようにしている。各種レバーの組立容易化を図るため、サイド操作パネル7上の操作パネル7aは着脱自在に構成している。
【0014】
図5及び図6の実施例で示すように、刈取部に設置した右側分草体14Rの操作ワイヤ23、方向制御センサ30のセンサハーネス31、注油ポンプ32から作業部に注油する注油ホース33、ナローガイド34のワイヤ35等は、刈取部を上下に昇降させる刈取縦フレーム20上に沿わせて集中的に配置し、刈取入力軸19を架設する上部回動ケース25付近で固定具26により集束保持させて、マッチング時の組立性容易化を図るように構成している。
【0015】
次にナローガイドの遠隔操作構成について説明する。
図7に示すように、刈取部4の未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド34が設けられている。このナローガイド34は、前端部が未刈地側(左側)の分草体14Lの背部位置で分草支持杆21の前端部に回動自在に枢支され、後端が走行フレームに前後方向スライド可能に支持されており、そして、第1リンク37aと第2リンク37bからなる横幅方向に伸縮可能な屈伸リンク37を介して張出し・収納自在に連係され、脱穀部の扱胴カバー27上に設けられた操作レバー36によって遠隔操作できるように連動構成されている。
【0016】
左側(未刈地側)の分草支持杆21、分草杆連結具38(又は引起し伝動パイプ44)から突設するステー39a,39bを介して支持されたブラケット40には上下方向に立設する回動軸41が軸支され、また、この回動軸41には天秤アーム42と前記屈伸リンク37の第1リンク37aが一体に回動するよう固定されている。天秤アーム42の一端側にはナローガイドワイヤ35の一端側が連結され、該ワイヤ35の他端側は前記ナローガイド操作レバー36に連動連結されている。天秤アーム42の他端側と分草杆連結具38との間には、天秤アーム40を反時計方向に付勢する引張スプリング43が設けられている。前記ステー39aとブラケット40とはボルト45により該ボルト軸芯回りに回動可能に締付固定し、ステー39aとブラケット40とは、ボルト46a、ナット46b、スプリング46c等からなる締付固定具46により上下方向の長穴47を介して締付固定することで、ナローガイドの高さが任意に調整できる構成としている。なお、ステー39aには所定範囲以上の回動を規制するストッパ48が設けられている。
【0017】
また、図8に示すように、ブラケット40の回動軸芯(ボルト45)がナローガイド34の作用位置より下側位置となるよう設定することで、ナローガイド外側方への張出し作用位置にて衝突した場合でも、ナローガイド自体が変形する前に上側に回動(実線位置から仮想線位置)して回避することができる。
【0018】
刈取変速機構を内装する刈取変速ギヤケース50は、この変速軸部の凸部50aが刈取部を上下動させる刈取縦フレーム20に対して刈取入力プーリ51に掛け渡す伝動ベルトラインより反対側となる位置に配設している。これにより、刈取縦フレームを刈取部に対して中央近くに配置でき、左右バランスの安定化を図ることができる。
【0019】
また、図5及び図6に示すように、刈取変速ギヤケース50の左外側方には、揚上搬送装置18の扱深さ調節用供給チエン18aを上下に駆動操作する扱深さ調節用駆動モータ52を配置している。更に、刈取変速ギヤケース50を左側の走行クローラ2よりも上方に配置することで、わら屑の堆積や泥押しの回避が容易に行える。刈取変速ギヤケース50を刈取縦フレーム20上に設置し、上下に2分割構成とすることで、メンテナンス性向上並びに組立容易化を図ることができる。また、刈取変速ギヤケースは、刈取懸架台53上で供給穂先チエン部より下方に配置することで、わら屑や泥などのゴミ溜まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】コンバイン一部の側面図
【図5】コンバイン要部の側面図
【図6】同上要部の正面図
【図7】刈取部の要部の平面図
【図8】同上要部の側面図
【符号の説明】
【0021】
5 運転席
7 サイド操作パネル
9 刈脱クラッチレバー
10 変速レバー
13 遠隔操作レバー
14R 右側分草体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体のうち、左右方向端部に配置する右側分草体(14R)を左右に移動させて刈幅を拡縮調節可能に構成し、該右側分草体(14R)を左右に移動操作する遠隔操作レバー(13)を運転席(5)の左側に設置されたサイド操作パネル(7)上に配置し、該遠隔操作レバー(13)をサイド操作パネル(7)上に配置された刈取部及び脱穀部への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー(9)と走行速度を変速操作する変速レバー(10)の近傍に設けたことを特徴とするコンバインの刈幅調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−4820(P2010−4820A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169059(P2008−169059)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】