説明

コンバインの引起し装置

【課題】チェーンの弛みを除去する部材への負荷を軽減できる引起し装置を提供する。
【解決手段】チェーン24の巻き回し経路Rの内側の第一ガイド板26aと、第一ガイド26a板よりも内側の第二ガイド板26cと、テンション輪体28を支持し、チェーン24の側に移動可能に第一ガイド板26a及び第二ガイド板26cに支持された支持部材27と、支持部材27をチェーン24の側に付勢する付勢手段29とを備え、支持部材27のチェーン24の側への移動のみを許容する係合部27aを支持部材27又は第二ガイド板26cに備え、支持部材27の移動方向Yにおいて、第一ガイド板26aから第二ガイド板26cまでの長さL2が、第一ガイド板26aからテンション輪体28とチェーン24との接触部分Oまでの長さL1よりも長くされ、チェーン24の張力Toのうち方向Yの直交方向Xの力Txが、第一ガイド板26aを支点として係合部27aに作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立穀稈を引起すコンバインの引起し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、引起しケース31の内部上側に配設された第一案内輪体35と引起しケース31の内部下側に配設された第二案内輪体33とに巻き回されたチェーン37と、チェーン37に取り付けられた複数の引起し爪38と、チェーン37の巻き回し経路の内側からチェーン37に接触するテンション輪体36と、テンション輪体36を支持する支持部材をチェーン37に接近する方向に付勢する付勢手段と、を備えたコンバインの引起し装置(以下、単に「引起し装置」と称する)がある。ただし、本段落において使用した符号は、特許文献1の図5に記載のものを使用してある。
【0003】
特許文献1に記載の引起し装置をさらに詳しく説明する。引起し装置は、例えば図8に示すように、チェーン24の巻き回し経路Rの内側に配置された第一ガイド板126aと、第一ガイド板126aよりも巻き回し経路Rの内側に配置された第二ガイド板126cと、を備えている。支持部材127は、チェーン24に接近する方向に沿って移動可能に第一ガイド板126aと第二ガイド板126cとにより支持されている。テンション輪体28は支持部材127の先端部に支持されている。また、チェーン24に接近する方向への付勢手段29による支持部材127の移動を許容し、チェーン24から離れる方向への支持部材127の移動を阻止する係合部127aを支持部材127に備えている。
【0004】
この技術によると、チェーン24がたるもうとすると、付勢手段29により支持部材127がチェーン24の側に移動して、テンション輪体28がチェーン24を巻き回し経路Rの外側に突っ張る。また、係止部127aにより支持部材127のチェーン24から離れる方向Yへの移動は阻止される。この結果、チェーン24は常時緊張され、チェーン24のたるみを適切に除去できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−65863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術では、例えば、図8に示すように、ガイド部材126を第一ガイド板126aと第二ガイド板126cとから構成し、第一ガイド板126aに形成した第一孔部126bと、第二ガイド板126cに形成した第二孔部126dとに支持部材127を挿通していた。支持部材127が方向Yに移動しようとすると、係合部127aが第一孔部126bに係合して、方向Yへの支持部材127の移動を阻止していた。この際、テンション輪体28にはチェーン24からの張力Toが作用している。この張力Toに基づき、支持部材127は、第一孔部126bと第二孔部126dとに押付けられる。即ち、支持部材127と第二孔部126dとの接触点である点Aを支点として、係合部127a(点P)には力FPが作用する。また、点Aにおいては支持部材127に力FAが作用する。
【0007】
これらの力の作用関係を詳細に説明する。ただし、チェーン24とテンション輪28とは点Oの一点で接触しているものと仮定し、支持部材127がチェーン24から離れる方向を方向Yとし、方向Yと直交する方向を方向Xとする。テンション輪体28には、チェーン24の張力Toがチェーン24の張り方向両側方向に作用する。張力Toの合力が合成張力Tである。合成張力Tを方向Xと方向Yとに分解したものが、分力Txと分力Tyであるとすると、テンション輪体には張力Toに基づいて分力Txと分力Tyとが作用する。
【0008】
分力Txに基づいて、上述したように、支持部材127に力FAと力FPとが作用する。方向Yにおける点Aから点Oまでの長さをL3とし、点Aから点Pまでの長さをL4とすると、「テコの原理」によって、
Tx×L3=FP×L4
のつりあい式が成り立つ。
【0009】
図8から明らかなように、L3はL4よりも大きいため、力FPは分力Txよりも大きい。即ち、分力Txは増大されて係合部127aに掛かることとなる。したがって、係合部127aには過度の負荷が掛かり、支持部材127及び第一ガイド板126aの磨耗や欠損の発生の虞があった。このような状況に陥ると、チェーンのたるみを除去することができず、引起し装置が正常に動作できなくなることも考えられる。
【0010】
本発明は上記実情に鑑み、チェーンのたるみを除去する部材への負荷を軽減できるコンバインの引起し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るコンバインの引起し装置の第1特徴構成は、コンバインの機体前部に後上りに傾斜して設けられた引起しケースと、前記引起しケースの内部上側に配設された第一案内輪体と、前記引起しケースの内部下側に配設された第二案内輪体と、前記第一案内輪体及び前記第二案内輪体に巻き回され、前記第一案内輪体と前記第二案内輪体との間で周回駆動する無端型のチェーンと、前記チェーンに取り付けられた複数の引起し爪と、前記チェーンの巻き回し経路の内側に配置された第一ガイド板と、前記第一ガイド板よりも前記巻き回し経路の内側に配置された第二ガイド板と、前記チェーンに接近する方向に沿って移動可能に前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とにより支持された支持部材と、前記支持部材の先端部に支持され、前記巻き回し経路の内側から前記チェーンに接触するテンション輪体と、前記支持部材を前記チェーンに接近する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記チェーンに接近する方向への前記付勢手段による前記支持部材の移動を許容し、前記チェーンから離れる方向への前記支持部材の移動を阻止する係合部を、前記支持部材または前記第二ガイド板に備え、前記支持部材の移動方向において、前記第一ガイド板から前記第二ガイド板までの長さを、前記第一ガイド板から前記テンション輪体と前記チェーンとが接触する部分までの長さよりも長く設定してあり、前記テンション輪体に作用する前記チェーンの張力のうち、前記移動方向に直交する方向の力が、前記第一ガイド板を支点として、前記係合部に作用するよう構成してある点にある。
【0012】
本構成によると、例えば図3に示すように、テンション輪体28に作用するチェーン24の張力Toのうち、支持部材27の移動方向Yに直交する方向Xの力Txが、第一ガイド板26aを支点として係合部27aに作用する。支持部材27を「てこ」に見立てて、「てこの原理」を適用すると、
「テンション輪体28に作用するチェーン24の張力Toのうち、支持部材27の移動方向Yに直交する方向Xの力Tx」×「〈支持部材27と第一ガイド板26aとの接触点A〉から〈テンション輪体28とチェーン24とが接触する部分O〉までの長さL1」=「係合部27aに作用する力FP」×「〈支持部材27と第一ガイド板26aとの接触点A〉から〈係合部27a〉までの長さL2」
のつりあい式が成り立つ。
【0013】
本構成であると、「〈支持部材と第一ガイド板との接触点〉から〈係合部〉までの長さ」は、「〈支持部材と第一ガイド板との接触点〉から〈テンション輪体とチェーンとが接触する部分〉までの長さ」よりも長いため、「係合部に作用する力」は「テンション輪体に作用するチェーンの張力のうち、支持部材の移動方向に直交する方向の力」よりも小さくなる。即ち、テンション輪体がチェーンから受けた張力を軽減して係合部に作用させることができる。この結果、支持部材や第二ガイド板に掛かる負荷が軽減され、磨耗や欠損を抑制することができる。
【0014】
本発明に係るコンバインの引起し装置の第2特徴構成は、前記支持部材が板材であり、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第一孔部を前記第一ガイド板に開口すると共に、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第二孔部を前記第二ガイド板に開口し、前記支持部材を前記第一孔部と前記第二孔部とに周囲に隙間をもって挿通して、前記支持部材を前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とに支持し、前記張力に基づく前記移動方向回りの曲げモーメントによって前記支持部材が前記第一孔部及び前記第二孔部の内側で傾いたときに、前記支持部材及び前記テンション輪体が、前記チェーンが巻き回される平面に対して平行となるよう、前記第一孔部と前記第二孔部とを前記平面に対して傾けて開口してある点にある。
【0015】
例えば、図5に示すようにテンション輪体28を支持部材27の先端部で支持した場合、支持部材27の板厚方向の中心面Gと、チェーンが巻き回される平面(以下、「巻き回し平面」と称する)Eと、が異なるため、チェーン24が周回駆動すると、チェーン24からの張力に基づいて支持部材27には移動方向Y回りの曲げモーメントMが作用する。支持部材27が板材であると、丸材等と比べて厚みを抑えた分だけ設置スペースを縮小できるが、曲げモーメントMが作用すると、支持部材27は第一孔部と第二孔部26dとに対して傾く。
【0016】
仮に、第一孔部と第二孔部26dとが、チェーン24が巻き回された平面(以下、「巻き回し平面」と称する)Eに対して平行となるように第一ガイド板と第二ガイド板26cとに開口されていると、支持部材27が傾いたとき、支持部材27及びテンション輪体28は巻き回し平面Eに対して平行でなくなる。よって、テンション輪体28に掛かる負荷が大きくなる。また、チェーン24に対してテンション輪体28が傾斜するため、チェーン24がテンション輪体28から外れる虞がある。
【0017】
本構成であると、曲げモーメントが発生していない状態においては、支持部材及びテンション輪体は巻き回し平面に対して平行ではない状態があるが、曲げモーメントが発生して、支持部材が第一孔部及び第二孔部に対して傾いたとき、支持部材及びテンション輪体は巻き回し平面に対して平行となる。したがって、テンション輪体に掛かる負荷が大きくならず、チェーンがテンション輪体から外れることもない。
【0018】
本発明に係るコンバインの引起し装置の第3特徴構成は、前記支持部材が板材であり、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第一孔部を前記第一ガイド板に開口すると共に、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第二孔部を前記第二ガイド板に開口し、前記支持部材を前記第一孔部と前記第二孔部とに周囲に隙間をもって挿通して、前記支持部材を前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とに支持し、前記係合部を前記支持部材に備えると共に、前記第二孔部のうち前記係合部が係合する部分における長孔形状の短辺方向の長さを、前記第二孔部のうち前記係合部が係合しない部分における前記短辺方向の長さよりも大きく設定してある点にある。
【0019】
例えば、図9に示すごとく、第二孔部26dを長辺方向に同一幅の形状とすると、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合できる範囲が狭いため、係合部27aと第二孔部26dとの咬み合いが浅くなって、接触面積が小さくなることがある。この場合は、負荷が局所的に係合部27aと第二孔部26dとに掛かり、磨耗や欠損が生じる虞がある。また、係合部27aの谷部分27cが第二孔部26dに食い込んで、磨耗や欠損が生じる虞もある。
【0020】
本構成のように、例えば、図7に示すように、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合する部分における長孔形状の短辺方向の長さt1を、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合しない部分における短辺方向の長さt2よりも大きく設定すると、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合できる範囲が広くなるため、係合部27aと第二孔部26dの咬み合いが深くなって、接触面積が大きくなる。また、係合部27aの谷部分27cが第二孔部26dに接触しない。
【0021】
このように、本構成によると、係合部と第二孔部とに負荷が局所的に掛かることを防止できると共に、係合部が第二孔部に食い込むことも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明に係るコンバインの側面図である。
【図2】は、本発明に係る引起し装置の縦断正面図である。
【図3】は、ガイド部材付近の縦断正面図である。
【図4】は、ガイド部材付近の縦断側面図である。
【図5】は、ガイド部材付近の横断見上図である。
【図6】は、ガイド部材等の分解斜視図である。
【図7】は、ガイド部材付近を拡大した横断見上図である。
【図8】は、従来技術におけるガイド部材付近の縦断正面図である。
【図9】は、従来技術におけるガイド部材付近を拡大した横断見上図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用したコンバインの引起し装置(以下、単に「引起し装置」と称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(全体構成)
本発明に係るコンバインは、稲、麦などを収穫するものであって、図1に示すごとく、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に連結された刈取り部3と、機体フレーム1の後側に設けた脱穀装置4及び穀粒タンク5と、を備えている。また、コンバインは、機体フレーム1の前側において機体右側に運転部6を備え、運転部6が有する運転座席6aの下方に不図示の原動部を備えている。
【0025】
刈取り部3は、刈取り対象の植立穀稈を引起して刈取り処理を行う。刈取られた刈取り穀稈は脱穀装置4に受け渡される。脱穀装置4は、脱穀フィードチェーン4aを機体の左横側に備えている。刈取り部3から受取った刈取り穀稈の株元側が脱穀フィードチェーン4aによって挟持されて、機体後側に搬送される。脱穀装置4は、刈取り穀稈の穂先側を不図示の扱室に供給する。扱室には、走行機体前後方向を軸芯として回動する不図示の扱胴が備えられている。扱胴の回動によって刈取り穀稈の穂先側を扱いて脱穀処理を行う。穀粒タンク5は、脱穀装置4で脱穀された脱穀粒を貯留する。
【0026】
(刈取り部)
刈取り部3は、図1に示すごとく、主フレーム10と、分草フレーム11と、左右一対の引起し装置14R、14Lと、バリカン型の切断装置15とを備えている。主フレーム10は、軸芯10pを介して機体フレーム1に枢支されている。主フレーム10の中央付近と機体フレーム1の前側との間に油圧シリンダ13を備え、油圧シリンダ13の伸縮によって、主フレーム10は上下揺動可能である。即ち、刈取り部3は、油圧シリンダ13の制御により機体フレーム1に対して上下揺動し、デバイダ12が地面近くに下降した下降作業状態と、デバイダ12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに姿勢変更可能である。
【0027】
分草フレーム11は、主フレーム10の先端部に機体前後方向の姿勢で連結されている。分草フレーム11の数は刈取り条数に応じて決定してあり、図示はしないが、本実施形態では三本の分草フレーム11を互いに平行に備えてある。分草フレーム11の前端部それぞれにデバイダ12を備えてある。左右両側のデバイダ12は、左右の走行装置2の外側位置に対応する位置にそれぞれ備えてある。左右両側のデバイダの略中間に真ん中のデバイダ12を備えてある。通常、左側のデバイダ12と真ん中のデバイダ12とによって二条の植立穀稈が分草されて刈取りが行われ、右側のデバイダ12と真ん中のデバイダ12とによって一条の植立穀稈が分草されて刈取りが行われる。即ち、三条刈りが可能である。しかし、右側のデバイダ12と真ん中のデバイダ12とによって二条の植立穀稈を分草し、刈取りを行うことも可能である。即ち、四条刈りを行うこともできる。
【0028】
刈取り部3を下降作業状態にして走行機体を走行させると、植立穀稈は隣り合うデバイダ12の間へ分草されて導入される。植立穀稈は、左右の引起し装置14R、14Lによって引起され、左右両端の分草フレーム11の間に亘って設けられた切断装置15によって刈取り処理される。
【0029】
(引起し装置)
左右の引起し装置14R、14Lは、ほぼ左右対称の構成であるため、機体右側の引起し装置14Rについて説明し、機体左側の引起し装置14Lについては説明を省略する。引起し装置14Rは、デバイダ12よりもやや後方に備えられている。図2に示すごとく、引起し装置14Rは、引起しケース20と、第一案内輪体21と、第二案内輪体22と、チェーン24と、複数の引起し爪25と、ガイド板26と、支持部材27と、テンション輪体28と、「付勢手段」としてのスプリング29と、を備えている。
【0030】
引起しケース20は、図1に示すごとく、機体前部に後上りに傾斜して設けられている。
【0031】
第一案内輪体21は、図2に示すごとく、引起しケース20の内部上側に配設され、後方の機体本体側から伝達された駆動力によって回転駆動する。第二案内輪体22は、図示はしないが、隣り合うデバイダ12の間に位置するよう、引起しケース20の内部下側に配設されている。第一案内輪体21及び第二案内輪体22はスプロケットである。チェーン24は無端型であって、第一案内輪体21と第二案内輪体22とに巻き回され、第一案内輪体21の駆動によって、第一案内輪体21と第二案内輪体22との間で周回駆動する。以下、チェーン24が周回駆動する経路を本発明に係る「巻き回し経路R」と称し、巻き回し経路Rを含む平面を「巻き回し平面E」と称する。巻き回し平面Eが、本発明に係る「平面」に相当する。
【0032】
本実施形態においては、第二案内輪体22の機体左右方向外側に第三案内輪体23を備えている。第三案内輪体23もスプロケットであり、チェーン24は第三案内輪体23にも巻き回されている。第三案内輪体23を備えると、第三案内輪体23を備えていない場合と比較して、機体左右方向において植立穀稈を引起し可能な範囲が広く、植立穀稈の引起し残しが少ない。また、このような構成であるため、上述した三条刈り及び四条刈りが可能となっている。
【0033】
引起し爪25は、チェーン24に対して巻き回し平面E上で揺動可能に取り付けられている。引起し爪25はL字形状であり、チェーン24の側に基部25aを備え、基部25aとは反対側に先端部25bを備えている。
【0034】
ガイド板26は、図4に示すごとく、長板状の鋼材を折り曲げ加工して形成してある。ガイド板26の一方の側面である第一側部26aが、本発明の「第一ガイド板」に相当する。ガイド板26の他方の側面である第二側部26cが、本発明の「第二ガイド板」に相当する。ガイド板26は、第一側部26aが第二側部26cよりも巻き回し経路Rの内側に位置するよう、図2及び図3に示すごとく、巻き回し経路Rの内側に配置されている。なお、第一側部26aと第二側部26cとが巻き回し平面Eと直交するよう、ガイド板26を引起しケース20にボルト等で固定してある。
【0035】
支持部材27は、図3に示すごとく、第一側部26aと第二側部26cとに支持されている。図6に示すごとく、支持部材27の断面形状に沿った長孔形状の第一孔部26bを第一側部26aに開口してある。第二側部26cに、支持部材27の断面形状に沿った長孔形状の第二孔部26dを開口してある。支持部材27は、第一孔部26b及び第二孔部26dに挿通してある。即ち、支持部材27は、チェーン24に接近する方向及びチェーン24から離れる方向に移動可能にガイド板26に支持されている。支持部材27の巻き回し経路R内側の端部に小さな孔を形成し、ピン34を差してある。よって、第二孔部26dから支持部材27が第一側部26aの方向に抜け出すことはない。
【0036】
テンション輪体28は、図3に示すごとく、巻き回し経路Rの内側からチェーン24に接触するよう、支持部材27の先端部に回転自在に支持されている。よって、テンション輪体28の回転面Fと、支持部材27の板厚方向の中心面Gとは平行である。また、テンション輪体28はスプロケットであり、テンション輪体28とチェーン24とは転がり接触する。例えば、テンション輪体28がローラーである場合のように、テンション輪体28とチェーン24とがすべり接触する場合等と比較して、テンション輪体28に掛かる摩擦が軽減される。さらに、図4に示すごとく、テンション輪体28はベアリング33を介して支持部材27に支持されており、チェーン24の周回駆動を阻害することなく、チェーン24の周回駆動に従って円滑に駆動する。
【0037】
図4、図6に示すごとく、第一側部26aと第二側部26cとの間にコイル形状のスプリング29を配置し、支持部材27は第一孔部26b、スプリング29の内側、第二孔部26dの順に通してある。第一側部26aと第二側部26cとの中間付近で、支持部材27の幅を変更し、スプリング係止部27bを形成してある。支持部材27のうち、第二側部26cの側の部分の幅は、スプリング29の内径よりも小さい。支持部材27のうち、第一側部26aの側の部分の幅は、スプリング29の内径よりも大きい。このように、スプリング29は、スプリング係止部27bと第二側部26cとに挟持されている。この結果、スプリング29は支持部材27をチェーン24に接近する方向に付勢する。
【0038】
初期状態において、スプリング29が圧縮して、支持部材27及びテンション輪体28が巻き回し経路Rの内側から外側に向けて付勢されるようガイド板26を位置決めして、支持部材27及びスプリング29を組み付けてある。
【0039】
以上の構成により、テンション輪体28がチェーン24を巻き回し経路Rの内側から外側に押圧し、チェーン24を緊張させる。この結果、チェーン24はたるむことなく適正に周回駆動を行う。ただし、スプリング29による付勢力がチェーン24に作用してはいるが、支持部材27が巻き回し経路Rの外側から内側に対して移動可能なままであると、走行時の振動などによりチェーン24がバタついた際に、支持部材27が巻き回し経路Rの内側に引退し、チェーン24とテンション輪体28との噛合いが外れる虞がある。したがって、チェーン24に接近する方向へのスプリング29による支持部材27の移動を許容し、チェーン24から離れる方向への支持部材27の移動を阻止する係合部27aを、支持部材27に備えてある。即ち、係止部27aとガイド板26とで、いわゆる「ラチェット構造」を構成してある。
【0040】
(ラチェット構造)
チェーン24、テンション輪体28、支持部材27、及びガイド板26に作用する力の関係を図3に模式的に示す。支持部材27の移動方向を方向Yとし、方向Yに直交する方向を方向Xとする。方向Yが、本発明に係る「移動方向」に相当する。方向Xが、本発明に係る「移動方向に直交する方向」に相当する。テンション輪体28には、チェーン24の張力Toがチェーン24の張り方向両側方向に作用する。張力Toの合力が合成張力Tである。合成張力Tを方向Xと方向Yとに分解したものが、分力Txと分力Tyである。即ち、テンション輪体28には、張力Toに基づいて分力Txと分力Tyとが作用する。ただし、チェーン24とテンション輪体28とは点Oの一点で接触しているものと仮定する。点Oが、本発明に係る「テンション輪体とチェーンとが接触する部分」に相当する。また、分力Txが、本発明に係る「移動方向に直交する方向の力」に相当する。
【0041】
テンション輪体28に分力Txが作用したとき、支持部材27と第一孔部26bとの接触点を点Aとすると、図3の正面視において、支持部材27は点Aを中心として時計回りに回転しようとする。この結果、支持部材27は第一孔部26bに押付けられる。よって、係合部27aは、点Aを支点として、第二孔部26dの一方側の端面に押付けられる。係合部27aと第二孔部26dとの接触点を点Pとすると、点Pでの係合部27aと第二孔部26dとの接触により、支持部材27の時計回りの回転は阻止される。このように、テンション輪体28に作用するチェーン24の張力Toのうち、方向Xの分力Txが、第一側部26aを支点として係合部27aに作用する。点Aにおいて支持部材27に作用する力を力FAとし、点Pにおいて支持部材27に作用する力を力FPとすると、分力Txと力FAと力FPとは、
Tx+FP=FA
のつりあい式を満たしてつりあっている。
【0042】
係合部27aは支持部材27のチェーン24の側の側面に複数の歯を備えており、各歯は第一側部26aから第二側部26cの方向へ傾けてある。張力Toがテンション輪体28に作用し、分力Tyに基づいて支持部材27が方向Yに移動しようとしても、各歯の傾きと分力Txによる第二孔部26dへの押付け動作とにより、点Pにおいて係合部27aが第二側部26cに咬み込み、分力Tyに基づく方向Yの正方向への移動は阻止される。
【0043】
一方、各歯は方向Yの負方向に第二孔部26dを乗り越えることができ、支持部材27は方向Yの負方向へ移動可能である。ただし、各歯が第二孔部26dを乗り越えるためには方向Xへの動きしろが必要である。よって、方向Xにおいて、第二孔部26dと支持部材27との間に歯高さ以上の隙間が存在するよう、第二孔部26dの紙面左右方向の寸法を決定してある。支持部材27が第二側部26cに対して移動可能とするために、第二孔部26dの内側全周に亘って、第二孔部26dと支持部材27との間に隙間を設けてある。同様に、第一孔部26bと支持部材27との間にも隙間を設けてある。
【0044】
チェーン24がたるむと、支持部材27は、スプリング29の付勢力によってそのたるみに応じた係合部27aの歯数分だけ方向Yの負方向に移動する。この結果、テンション輪体28がチェーン24を巻き回し経路Rの外側へ押圧し、チェーン24を緊張させる。上述したように、支持部材27が方向Yの正方向には移動することがないため、機体の揺れ等によってチェーン24とテンション輪体28との咬み合いが外れる虞はない。
【0045】
方向Yにおいて、第一側部26aから第二側部26cまでの長さは、第一側部26aからテンション輪体28とチェーン24とが接触する部分までの長さよりも長く設定してある。即ち、図3に示すごとく、方向Yにおいて、点Aから点Pまでの長さL2が、点Aから点Oまでの長さL1よりも長くなるよう、ガイド板26と支持部材27とテンション輪体28との寸法及び配設位置等を決定してある。長さL1が、本発明に係る「第一ガイド板からテンション輪体とチェーンとが接触する部分までの長さ」に相当する。長さL2が、本発明に係る「第一ガイド板から第二ガイド板までの長さ」に相当する。
【0046】
上述の構成であると、「テコの原理」により、
Tx×L1=FP×L2
が成り立つ。上述したようにL1<L2であるため、Tx>FPとなり、力FPを分力Txよりも小さくして、係合部27aに作用させることができる。即ち、第二側部26cのうち係合部27aが接触する部分と係合部27aとへの負荷が軽減されるため、両部材の磨耗や欠損が防止できる。
【0047】
(第一孔部及び第二孔部)
第一孔部26bと第二孔部26dとは、図5に示すごとく、巻き回し平面Eに対して傾けて、第一側部26aと第二側部26cとに開口してある。上述したように、支持部材27の中心面Gとテンション輪体28の回転面Fとは平行であって互いに離間している。よって、チェーン24が周回駆動すると、支持部材27に方向Yの回りの曲げモーメントが作用する。上述したように、支持部材27は第一孔部26bと第二孔部26dとに周囲に隙間をもって挿通してあるため、曲げモーメントによって支持部材27は図5の正面視における反時計回りに傾く。第一孔部26bと第二孔部26dとの寸法及び傾きは、支持部材27がこのように傾いた状態となったときに、支持部材27と巻き回し平面Eとが平行となるよう決定してある。即ち、チェーン24が周回駆動すると、テンション輪体28の回転面Fと巻き回し平面Eとが一致する。
【0048】
テンション輪体28の回転面Fが巻き回し平面Eに対して傾いていると、チェーン24が巻き回し経路Rから逸脱してテンション輪体28から外れる虞がある。また、チェーン24に同時に接触するテンション輪体28の歯数が少なくなるため、テンション輪体28の個々の歯に作用するチェーン24の張力が大きくなり、歯の磨耗が早まる虞もある。しかし、本構成であると、テンション輪体28の回転面Fと巻き回し平面Eとが一致するため、チェーン24はテンション輪体28から外れることなく円滑に駆動し、歯の磨耗も低減される。また、ベアリング33にも余計な負荷が掛からない。
【0049】
通常、ガイド板26は鋼製であって、第二孔部26dはガイド板26をポンチとダイスとによって打抜いて形成する。鋼製の部材に孔を打抜く場合、孔の形状が角ばっていると、その角部に打抜き負荷が掛かって亀裂が生じる虞があるため、孔の角部はR形状に面取りするものである。仮に、図9に示すごとく、第二孔部26dが長辺方向に同一幅の形状であるとすると、係合部27aと第二孔部26dとの咬み合いが浅く、接触面積が小さくなることがあり、負荷が局所的に掛かってしまう。また、係合部27aの谷部分27cが第二孔部29cに食い込むこともある。これらの場合は、係合部27a及び第二孔部26dに磨耗や欠損が生じる虞がある。
【0050】
本実施形態においては、図7に示すごとく、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合する部分における長孔形状の短辺方向の長さt1を、第二孔部26dのうち、係合部27aが係合しない部分における短辺方向の長さt2よりも大きく設定してある。このように構成すると、係合部27aと第二孔部26dの咬み合いが深くなって、接触面積が大きくなる。また、谷部分27cが第二孔部26cに食い込むこともない。この結果、係合部27a及び第二孔部26dの磨耗、欠損が抑制される。
【0051】
本実施形態においては、部品の汎用性、組付け性等の観点から、図6に示すごとく、第二孔部26dのうち係止部とは係合しない側の端部も係止部の側の端部と同様の形状とし、全体としてH型の形状としてある。さらに、第一孔部26bの形状も第二孔部26dと同様にH型の形状としてある。しかし、これに限定されるものではなく、少なくとも、第二孔部26dのうち係合部27aと係合する部分の形状が上述の形状であれば良い。
【0052】
(引起し装置の動作)
図2に基づいて、引起し装置14Rの動きを説明する。引起し装置14Rは、第一案内輪体21の駆動によって動作する。第一案内輪体21が駆動すると、チェーン24は巻き回し経路Rに沿って図2の反時計回りに周回駆動し、引起し爪25もチェーン24に従って巻き回し経路Rを周回駆動する。
【0053】
引起し爪25は、テンション輪体28から第三案内輪体23までの間に位置するときは、チェーン24に沿って倒伏した状態である。引起し爪25が第三案内輪体23の手前に備えられた起立ガイド30に到達すると、引起し爪25の基部25aが起立ガイド30に当接して、引起し爪25はチェーン24に対して起立する。引起し爪25が起立すると、引起し爪25の先端部25bが引起しケース20から突出する。
【0054】
その後、先端部25bは、第三案内輪体23と第二案内輪体22との間で、デバイダ12によって分草された植立穀稈の株元側に係止して、植立穀稈を機体左右方向内側に引き寄せる。第三案内輪体23と第二案内輪体22との間には起立ガイドレール31が備えられており、植立穀稈から反力を受けても、基部25aが起立ガイドレール31に当接して、引起し爪25は起立状態を維持する。
【0055】
さらに、チェーン24は第二案内輪体22から第一案内輪体21までの間を上昇し、植立穀稈を上方に梳き上げる。第二案内輪体22と第一案内輪体21との間にも、起立ガイドレール31が備えられており、引起し爪25は起立状態を維持する。この間に、切断装置15が植立穀稈の株元側を切断し、刈取り穀稈の株元側は脱穀フィードチェーン4aに引き渡される。
【0056】
第一案内輪体21とテンション輪体28との間には倒伏ガイド33が備えられており、刈取り穀稈を脱穀フィードチェーン4aに引き渡した後の引起し爪25が当接する。引起し爪25の先端部25bが倒伏ガイド33の形状に沿った状態でチェーン24が移動すると、引起し爪25はチェーン24に対して倒伏する。
【0057】
引起し装置14Rは以上の動作を繰り返す。この動作において、テンション輪体28、支持部材27、ガイド板26等が上述のごとき構成であるため、チェーン24がたるんだり、チェーン24が外れたりする虞がなく、引起し装置14Rは円滑かつ適切に動作する。
【0058】
(別実施形態)
上述の実施形態において、係合部は支持部材27に備えたが、これに限られるものではない。係合部を第二ガイド板26としてのガイド板26に備えても良い。この場合は、図示はしないが、上述の実施形態に係る係合部27aのごとき係合部を第二孔部26dに備え、この係合部に係合可能な突起部を支持部材27に備えると良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、左右一対の引起し装置を備えたコンバインだけでなく、引起し装置を二対以上備えたコンバインにも広く利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
14R 引起し装置
14L 引起し装置
20 引起しケース
21 第一案内輪体
22 第二案内輪体
24 チェーン
25 引起し爪
26a 第一側部(第一ガイド板)
26b 第一孔部
26c 第二側部(第二ガイド板)
26d 第二孔部
27 支持部材
27a 係合部
28 テンション輪体
29 スプリング(付勢手段)
X 方向(移動方向に直交する方向)
Y 方向(移動方向)
O 点(テンション輪体とチェーンとが接触する部分)
L1 長さ(第一ガイド板からテンション輪体とチェーンとが接触する部分までの長さ)
L2 長さ(第一ガイド板から第二ガイド板までの長さ)
t1 長さ(係合部が係合する部分における長孔形状の短辺方向の長さ)
t2 長さ(係合部が係合しない部分における短辺方向の長さ)
R 巻き回し経路
E 巻き回し平面(平面)
To 張力
Tx 分力(移動方向に直交する方向の力)
M 曲げモーメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインの機体前部に後上りに傾斜して設けられた引起しケースと、
前記引起しケースの内部上側に配設された第一案内輪体と、
前記引起しケースの内部下側に配設された第二案内輪体と、
前記第一案内輪体及び前記第二案内輪体に巻き回され、前記第一案内輪体と前記第二案内輪体との間で周回駆動する無端型のチェーンと、
前記チェーンに取り付けられた複数の引起し爪と、
前記チェーンの巻き回し経路の内側に配置された第一ガイド板と、
前記第一ガイド板よりも前記巻き回し経路の内側に配置された第二ガイド板と、
前記チェーンに接近する方向に沿って移動可能に前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とにより支持された支持部材と、
前記支持部材の先端部に支持され、前記巻き回し経路の内側から前記チェーンに接触するテンション輪体と、
前記支持部材を前記チェーンに接近する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記チェーンに接近する方向への前記付勢手段による前記支持部材の移動を許容し、前記チェーンから離れる方向への前記支持部材の移動を阻止する係合部を、前記支持部材または前記第二ガイド板に備え、
前記支持部材の移動方向において、前記第一ガイド板から前記第二ガイド板までの長さを、前記第一ガイド板から前記テンション輪体と前記チェーンとが接触する部分までの長さよりも長く設定してあり、
前記テンション輪体に作用する前記チェーンの張力のうち、前記移動方向に直交する方向の力が、前記第一ガイド板を支点として、前記係合部に作用するよう構成してあるコンバインの引起し装置。
【請求項2】
前記支持部材が板材であり、
前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第一孔部を前記第一ガイド板に開口すると共に、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第二孔部を前記第二ガイド板に開口し、
前記支持部材を前記第一孔部と前記第二孔部とに周囲に隙間をもって挿通して、前記支持部材を前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とに支持し、
前記張力に基づく前記移動方向回りの曲げモーメントによって前記支持部材が前記第一孔部及び前記第二孔部の内側で傾いたときに、前記支持部材及び前記テンション輪体が、前記チェーンが巻き回される平面に対して平行となるよう、前記第一孔部と前記第二孔部とを前記平面に対して傾けて開口してある請求項1に記載のコンバインの引起し装置。
【請求項3】
前記支持部材が板材であり、
前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第一孔部を前記第一ガイド板に開口すると共に、前記支持部材の断面形状に沿った長孔形状の第二孔部を前記第二ガイド板に開口し、
前記支持部材を前記第一孔部と前記第二孔部とに周囲に隙間をもって挿通して、前記支持部材を前記第一ガイド板と前記第二ガイド板とに支持し、
前記係合部を前記支持部材に備えると共に、
前記第二孔部のうち前記係合部が係合する部分における長孔形状の短辺方向の長さを、前記第二孔部のうち前記係合部が係合しない部分における前記短辺方向の長さよりも大きく設定してある請求項1または2に記載のコンバインの引起し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−263847(P2010−263847A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118781(P2009−118781)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】