説明

コンバインの排藁カッター

【課題】本発明の課題は、カッター部のカバー体を、カッター部の横側部の全面を覆う構成とすることでワンタッチでの開閉を容易にし、且つ、燃料タンクの給油口をも覆う構成とすることで燃料の給油容易化を図ることにある。
【解決手段】脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッター(5)の横側部と脱穀部(3)の後側低位置に配置した燃料タンク(12)の燃料給油口(13)とを一体的に覆うカバー体(11)を設ける。そして、該カバー体(11)を、カバー体(11)の後端側に配置した上下方向の軸芯(14)回りに揺動開閉可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀後の排藁を切断処理するコンバインの排藁カッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッターにおいて、カッター部の左右両側部や上部及び後部の略全面にわたって覆うカバー部全体をカッター部本体に対して単独で揺動開閉できるようにしたカッターカバーの開閉構造が開示されている。
【特許文献1】実開昭62−24635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術は、カッター部のメンテを行うために、カバー部全体を開閉するようにしたものであるが、カバー自体の構成が複雑になるので、安全上一定の強度を保持するためにはカッター部に対する何箇所かの取付部を必要とし、ワンタッチでの開閉は容易には行い難い。
【0004】
本発明の課題は、カッター部のカバー体は、カッター部の横側部のみ全面を覆う構成とすることで、ワンタッチでの開閉を容易にし、且つ、燃料タンクの給油口をも覆う構成とすることで、燃料の給油容易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッター(5)の横側部と脱穀部(3)の後側低位置に配置した燃料タンク(12)の燃料給油口(13)とを一体的に覆うカバー体(11)を設け、該カバー体(11)を、カバー体(11)の後端側に配置した上下方向の軸芯(14)回りに揺動開閉可能に支持したことを特徴とするコンバインの排藁カッターとした。
【0006】
排藁カッター5の横側板8には、該カッター部へのベルト伝動機構やカッター部を揺動開閉するための開閉ロック解除機構などが付設されている。これらを覆うべく設けられるカバー体11は、後端側を支点として上下方向の軸芯14回りに揺動開閉する構成であるため、ワンタッチでのオープンが容易にでき、しかも、このカバー体11は燃料タンク12の給油口13を覆う構成であっても、給油時には、カバー体を大きく開放することができるので、給油作業が行い易い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排藁カッター5の横側部を覆うカバー体11は、該カバー体11の後端側に設けた上下方向の軸芯14回りに揺動開閉するように支持してあるので、ワンタッチでオープンすることが容易にでき、着脱によって開閉する場合のように煩わしさがなく、メンテナンス性が向上する。しかも、このカバー体11は燃料タンク12の燃料給油口13をも一体的に覆うために、給油時に該カバー体11を大きく開放することによって、給油作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1はコンバインの概略側面図、図2はコンバイン要部の側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀部(脱穀装置)3の前方部に刈取部Kを設置し,刈取部Kの横側部には運転席や操作ボックス等からなる運転操作部Uを備え、更に、その運転操作部Uの後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク4を装備している。また、脱穀部3の後部には脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッター5を装備している。
【0009】
脱穀部3は、フィードチェン6により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室内で駆動回転する扱胴により脱穀処理するよう構成している。扱胴の上部を覆う扱胴カバー7は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。
【0010】
排藁カッター5のカッター軸を回転駆動可能に軸架する左側横側板8には、カッター部へのベルト伝動機構9や排藁カッター5を揺動開閉するための開閉ロック解除機構10等が具備されている。排藁カッター5の横側部を覆うカバー体11は、前記ベルト伝動機構9や開閉ロック解除機構10等を外側から覆う構成であり、また、脱穀部3後部の車体上に搭載した燃料タンク12の給油口13をも覆うように構成してある。そして、このカバー体11の前端側が後端側を回動支点とする上下方向の縦軸芯14回りに揺動開閉するように構成している。排藁カッター5への伝動機構のメンテ、排藁カッター5を揺動開閉するとき、また、燃料を給油するときなどには、カバー体11を後端の縦軸芯14回りにおいて簡単に揺動開放することができる。
【0011】
図7に示すカバー体11は、所定の開度まで開くと、規制アーム15とガイド溝16に沿ってスライド可能なロックピン17によってカバー体11がロックされるようになっており、カバー体11の開度を規制することで、カバー体11が不意に開閉したりすることがなくなる。なお、前記ロックピン17の外周部には、弾性ゴム等の弾性変位可能な弾性体18を貼り付けておくと、この弾性体18が排藁カッター5をロックするときの衝撃を吸収することになり、カバー体11の変形を未然に防止することができる。また、図7に示すように、カバー体11と排藁カッター5本体をダンパ19によって連結する構成であっても、ダンパ19が排藁カッター5をロックするときの衝撃を吸収するため、上記同様にカバー体11の変形を防止することができる。
【0012】
次に、扱室の受網構造について説明する。上下の受網20u,20dに背断面視で各1枚の仕切金を連続的に設けていた従来構成より、上受網20u、下受網20dともそれぞれ2枚の仕切金21a,21bを設けることで、2枚の仕切金21a,21b間に切れ目が存在することによって藁屑の送りが促進され脱穀負荷の軽減を図ることができる。
【0013】
上下の受網20u,20dの前後には、扱室の側板22から突設するガイドレール23上に沿って抜き差し自在に受けさせる受け枠24,24を設け、受網20を張設する網枠25は、前記受け枠24,24に対しこの受け枠に設けられた上下方向の長孔26及びボルト・ナットによる締付固定具27を介して上下調節固定自在に構成している。従来は扱室側板22側のガイドレール23を調整して扱胴28外周の扱歯29とのクリアランスを調整していたが、受網側でも受け枠に対する上下動調節によって扱歯とのクリアランスを簡単に調整することができる。
【0014】
受網を所定位置に差し込んで固定保持するロック解除レバー30は、フィードチェン6側における網枠25の前後に設けられ、ピン軸31回りに回動可能で、該レバーの途中部に設けられた係止凹部32が機体側のロック部材33に係合することによって受網を固定保持する構成としている。受網20を引き出すときには、揺動開閉可能なフィードチェン6を揺動開放し、ロック解除レバー30,30をピン軸31回りに押し上げて係止凹部32のロック部材33に対するロック状態を解除すると共に、該レバー30,30を握ったままで受網をフィードチェン6の開放側に引き出せばよい。受網を差し込むときには、前後の受け枠24,24がガイドレール23上に沿ってガイドされるが、この受網を所定位置まで差し込むと、レバー30の押し下げ操作で係止凹部32がロック部材33に係合してロックされる。そして、開放状態のフィードチェン6を閉鎖すれば、フィードチェン6の支持フレーム34がロック解除レバー30に当接し、レバー30のロック状態が維持され、確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの概略側面図
【図2】コンバイン要部の側面図
【図3】同上要部の拡大側面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】同上要部の斜視図
【図7】排藁カッター部の要部の平面図
【図8】排藁カッター要部の平面図
【図9】脱穀装置の要部の切断背面図
【図10】受網(下)の平面図
【図11】同上受網の背面図
【図12】同上受網の側面図
【図13】同上要部の背断面図
【符号の説明】
【0016】
5 排藁カッター
11 カバー体
12 燃料タンク 213 給油口
14 縦軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッター(5)の横側部と脱穀部(3)の後側低位置に配置した燃料タンク(12)の燃料給油口(13)とを一体的に覆うカバー体(11)を設け、該カバー体(11)を、カバー体(11)の後端側に配置した上下方向の軸芯(14)回りに揺動開閉可能に支持したことを特徴とするコンバインの排藁カッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−77655(P2009−77655A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249533(P2007−249533)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】