説明

コンバイン

【課題】脱穀処理量の高速化、高能率化にともなう穀粒ロスの低減を図るために、揺動選別装置の選別幅を有効に活用することができるコンバインを提供する。
【解決手段】送塵口処理胴22の下方にあって該送塵口処理胴22から排出された処理物を受け、該処理物を送塵口処理胴11による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部17の揺動選別装置27上に排出する搬送体50を備え、該搬送体50は、搬送した前記処理物を前記選別部17上に排出する搬送終端部が扱胴21の終端部側板よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体50の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部17上に排出する向きとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀性能及び選別性能を向上させるために、扱胴後部側方で平行に送塵口処理胴を配置し、扱胴で処理できなかった枝梗付着粒等を処理胴に送り処理し、脱穀部で処理する穀粒の内、通常10〜15%の穀粒を単粒化し、処理網を通して下方の選別部の揺動選別装置上へ排出するようにしていた。さらに、脱穀部から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別装置により選別した後の二番物を、二番コンベア、二番還元コンベアを介して枝梗処理装置へ送り、該枝梗処理装置により枝梗等を取り除いた後に、再び揺動選別装置の選別開始部へ戻し処理するようにしていた。
【特許文献1】特開2001−299061号公報
【特許文献2】特開平11−46563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、コンバイン本機の高速化、高能率化などによって脱穀処理量が増えてくると、送塵口処理胴の処理物が荒れて処理胴網の濾過が悪くなり、機外への排出量が増えたり、揺動選別装置上に濾過されても、チャフシーブ等で濾過されずに三番口からの機外への排出が増えて、通常の単粒化率の達成も難しくなっていた。特に、送塵口処理胴の直下に多くの穀粒が片寄り集中するため、揺動選別の不良を招くことがあった。
そこで、本発明は三番口などからの穀粒ロスを低減することができ、また揺動選別装置の選別幅を有効に活用して穀粒を増加させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を揺動選別・風選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴と、送塵口に受口が連通して該扱胴の脱粒物を再処理する送塵口処理胴と、二番物等を処理する枝梗処理装置を備えたコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、該搬送体は、搬送した前記処理物を前記選別部上に排出する搬送終端部が前記扱胴の終端部側板よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きとしたものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載のコンバインにおいて、前記搬送体の搬送終端部に枝梗処理装置を連結し、搬送始端部に二番還元コンベアを連結したものである。
【0006】
請求項3においては、請求項2記載のコンバインにおいて、前記枝梗処理装置を扱胴の終端部側板の真後ろに配置し、該枝梗処理装置の上方を開放したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に示す如く、脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を揺動選別・風選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴と、送塵口に受口が連通して該扱胴の脱粒物を再処理する送塵口処理胴と、二番物等を処理する枝梗処理装置を備えたコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備えたので、処理物を再度揺動選別・風選別することができ、三番口等から穀粒ロスを低減することができ、また選別部の選別幅を有効に活用して穀粒を増加させることができる。
【0008】
また、前記搬送体は、搬送した前記処理物を前記選別部上に排出する搬送終端部が前記扱胴の終端部側板よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きであるので、選別部の選別幅を一層有効に活用することができるとともに、搬送した処理物を、揺動選別装置にたたきつけることなく排出することができ、より穀粒を増加させることができる。
【0009】
請求項2に示す如く、前記搬送体の搬送終端部に枝梗処理装置を連結し、搬送始端部に二番還元コンベアを連結したので、枝梗の多い二番物と送塵口処理胴の処理物を、一経路で枝梗処理装置に投入して枝梗を除去することができるため、効率よく枝梗処理を行うことができる。また、送塵口処理胴よる処理物には、稈切れも多いが、これを枝梗処理装置で粉砕することができるため、選別能力の向上を図ることができる。
また、二番還元コンベアの全長を短縮することができ、軽量化とコストの低減化を図ることができる。さらに、二番還元コンベアは揚穀コンベアとラップしないので、脱穀部の横幅を短縮することができ、グレンタンクの容量を増加したり、グレンタンクの脱穀部側の側板を簡素化したりすることができる。
【0010】
請求項3に示す如く、前記枝梗処理装置を扱胴の終端部側板の真後ろに配置し、該枝梗処理装置の上方を開放したので、該終端部側板よりオーバーフローした稈切れ等を枝梗処理装置で受けて、枝梗処理装置内の枝梗処理胴で粉砕し拡散すことが可能となり、選別性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は同じく脱穀部及び選別部の側断面図、図4は枝梗処理装置と選別装置との配置関係を示す斜視図、図5は枝梗処理装置と扱胴との配置関係を示す正面図、図6は枝梗処理装置の内部構成を示す側面図、図7は同じく正面図、図8は脱穀部の側断面図、図9は脱穀部後部の側断面図、図10は脱穀部の正面図、図11は別実施例の脱穀部及び選別部の側断面図、図12は同じく側断面図、図13は別実施例の脱穀部の側断面図、図14は別実施例の脱穀部後部の側断面図、図15は脱穀部の正面図である。
【0012】
まず、本発明に係わるコンバインの全体構成について、図1乃至図3により説明する。クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前端には引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
【0013】
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元がフィードチェーン9に受け継がれ、脱穀部12内に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方には排藁カッター装置、拡散コンベアなどからなる排藁処理部19が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出するようにしている。
【0014】
また、前記脱穀部12側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には運転室14が配設される一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にしてグレンタンク13が側方へ回動可能とし、本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部12下方には、選別部17が配設され、脱穀部12から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別し、前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
【0015】
次に、前記脱穀部12について説明する。図3及び図9に示すように、脱穀部12に形成された扱室28に機体の前後方向に軸架する扱胴21を内設させ、該扱胴21周囲には扱歯21a・21a・・・が植設されて脱粒が行われるとともに、扱胴21下部周囲には受網20が設けられて処理物のみ落下するようにしている。そして、前記扱胴21後部で、グレンタンク13側の処理室29に、送塵口処理胴22が扱胴21と平行に前後方向に横架されるとともに、該扱胴21の後部は、送塵口23を介して送塵口処理胴22前部へ連通されており、扱胴21で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物を送塵口処理胴22へ送るようにしている。該送塵口処理胴22の下部周囲には処理胴網24が設けられ、該処理胴網24からは、処理物のみ落下するようにしている。また、送塵口処理胴22の後端部の外周面に前後に長い板体より成る羽体91・91・・・を設けている。該羽体91・91・・・は、該送塵口処理胴22と一体的に回転するので、送塵口処理胴22内部の藁屑は該羽体91・91・・・の回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴22の下方に排出され、後述するガイド板61によって機体外部に案内される。
【0016】
次に、選別部について図3を用いて説明する。選別部17においては、揺動選別装置27による揺動選別と唐箕26による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。この揺動選別装置27は機枠35内に収納され、揺動選別装置27前部は扱胴21前端部の下方まで位置し、揺動選別装置27後部は前記送塵口処理胴22後端部の下方まで延設させている。そして、揺動選別装置27前下部には揺動軸が設けられ、後部には揺動駆動機構が設けられ、揺動駆動機構によって揺動本体49が揺動するように構成されている。
【0017】
揺動選別装置27の前部には前流穀板30が形成され、該前流穀板30の後下方には後流穀板31が形成され、該前後の流穀板30・31では、板体を波状に成形して穀粒を後方に搬送しやすくしている。そして、前記後流穀板31後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ32が連設されるとともに、該グレンシーブ32と前記後流穀板31の上方には、第一選別部であるチャフシーブ33が被装されている。
【0018】
また、揺動選別装置27下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア36と二番コンベア37とが横設され、このうちの一番コンベア36の右側には揚穀コンベア38が連結されており、前記揺動選別装置27を介して一番コンベア36の流穀板39上に漏下された一番物は、一番コンベア36から揚穀コンベア38を介して、前記グレンタンク13に搬送されるようにしている。また、前記二番コンベア37の右端には二番還元コンベア40が連結されており、該二番還元コンベア40の前方側端部を枝梗処理装置10に連設し、該枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗を除去した後の二番物を、揺動選別装置27の選別開始部に再投入する構成としている。
【0019】
そして、前記前流穀板30後部の下方には唐箕26が配置され、グレンシーブ32やチャフシーブ33に選別風を送風するとともに、前記一番コンベア36と二番コンベア37との間にも副圧送ファンであるセカンドファン46を設けて選別風を送風し、唐箕26による選別風の風力が弱まる選別部17後部においても選別性能が低下しないようにしている。さらに、揺動選別装置27の後端部上方には、吸引ファン25が全幅に横設されており、該吸引ファン25に、前記唐箕26、セカンドファン46から供給される選別風の流れに乗ってきた塵が吸引されて機外に排出されるのである。
【0020】
次に、枝梗処理装置10について、図4及至図7を用いて説明する。枝梗処理装置10は枝梗処理胴11を二番還元コンベア40の前側の終端下方に配置し、枝梗処理装置10はグレンタンク13の裏側、つまり、正面視グレンタンク13の右側で揺動選別装置27の左側上に位置している。よって、グレンタンク13を開放することによって枝梗処理装置10をメンテナンスすることができる。前記枝梗処理胴11の外周面には、処理歯11a・11a・・・が、適宜間隔を開けて配置されている。該枝梗処理胴11は筒体45内に収納され、該筒体45の右側(進行方向)上後部に供給口41を設けて二番還元コンベア40と連通されている。該筒体45の内側面には、ツースバー(固定側処理刃)51・51・・・が突設されている。また、筒体45の左側下方に排出口42を設けて、揺動選別装置27の開始部に臨ませて配置している。該排出口42の前部または側部には籾ガイド板43を上下方向に配置して落下する籾が飛散しないようにガイドしている。
【0021】
以上の構成において、二番還元コンベア40からの二番物の流れを説明すると、二番物は、供給口41より枝梗処理装置10内へ投入された後、枝梗処理胴11の回転により、該枝梗処理胴11の外周に備える処理歯11a・11a・・・と、枝梗処理装置10の外枠を構成する筒体45の内側面に突設したツースバー51・51・・・とにより、枝梗を除去されつつ排出口42まで搬送され、該排出口42から下方に向けて排出された後、該排出口42の近傍に配置された籾ガイド板43に当たって、揺動選別装置27の選別開始部、即ち、前流穀板30の前方表面上へ落下するように案内される。本実施例では、該籾ガイド板43の配置は、排出口42の前方とし、該排出口42の開口が、機体正面視中央側にかけて広くなるように構成されている。
【0022】
また、図4に示すごとく、前記枝梗処理胴11は、平面視において、機体進行方向と直交して配置し、該枝梗処理胴11の回転方向は、機体進行方向左側面視において、時計回りとしている。この枝梗処理胴11の回転方向により、前記供給口41より投入される二番物が、筒体下方の排出口42から排出される際には、枝梗処理胴11の回転による風の流れによって前方に向けて流され、前流穀板30の前方に排出されるようになる。こうして、前流穀板30を移動させる距離を十分に確保し、二番物を拡散させ、籾層を薄くすることができ、一番コンベア36への漏下が行われ易くなる。即ち、選別性能の向上が図られるのである。また、上述した籾ガイド板43に、排出後の二番物を確実に当てることができるので、籾ガイド板43による選別性能の向上をさらに効果的なものにすることができる。
【0023】
次に、枝梗処理装置10への駆動伝達構成について図6及び図7を用いて説明する。枝梗処理装置10への駆動の伝達において、駆動源であるエンジンからの駆動は、出力軸、ギアケース、一番コンベア36、二番コンベア37等を介して、二番還元コンベア40に伝達され、そして、該二番還元コンベア40の末端から枝梗処理装置10へ伝達される。二番還元コンベア40のコンベア駆動軸70終端に設けられているベベルギア71より、スプロケット72、チェーン73を介して、駆動軸11bに動力を伝達し、枝梗処理胴11を回転する構成としている。
【0024】
次に、本発明について説明する。図3、図8乃至図10に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体50が、送塵口処理胴22と平行に平面視で重複するように前後方向に横設されており、該搬送体50によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を前方、即ち送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向に搬送して、揺動選別装置27上に排出するように構成されている。
【0025】
該搬送体50は処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受樋52を横設して上方を開放し、該受樋52内に螺旋状体としてスクリュー53を備えてコンベアを構成しており、前記送塵口処理胴22と同様に、側面視において該搬送体50はその搬送始端部を処理胴網24の後端下方に配置し、その搬送終端部を前記扱胴21の終端部側板59より機体進行方向前側に配置して、扱胴21の後部と前後方向で一部重複して配置されている。また、搬送体50及び送塵口処理胴22より前方には前記枝梗処理装置10が配設され、側面視で扱胴21と重複するように配置されている。
【0026】
また、前記搬送体50と扱胴21とが側面視で重複しない部分において、搬送体50から処理物が落下しないように受樋52の扱胴21側に側壁54が固設される一方、搬送体50と扱胴21とが重複する部分、即ち搬送終端部においては、受樋52の扱胴21側が開放状態とされて排出部52aが形成されている。そして、該排出部52aに位置するスクリュー53の駆動軸55に、板状の羽根56が固着され、該羽根56の回転により処理物を揺動選別装置27の左右中心側へ排出するようにしている。
【0027】
そして、前記搬送体50の後方にガイド板61を配設している。該ガイド板61は、図8乃至図10に示すように、処理胴22の下方で揺動選別装置27の上方に配置している。ガイド板61の前端位置は処理胴網24の後端より前方に、ガイド板61の後端位置は揺動選別装置27の後端より後方に配置しており、前部を高く後部を低く斜めに形成している。該ガイド板61は、処理胴22の左右方向の幅と略同等として前記吸引ファン25と処理胴カバー76との間に配置しており、ボルト等の固定手段により固定されている。該ガイド板61は、前記送塵口処理胴22内部の藁屑等を機体外部に案内するもので、前記処理胴22内部の藁屑を前記羽体91・91の回転によって跳ね飛ばし、処理胴22の下方に排出し、前記ガイド板61によって機体外部に案内している。このように、ガイド板61を設けることで、藁屑が前記搬送体50や揺動選別装置27に混ざらずに機体外部に排出することができる。
【0028】
また、図9に示す如く、搬送体50前方において、スクリュー53の駆動軸55上にギア47aが固定され、該47aは入力軸58の一端に固定されたギア47bと噛合している。そして、該入力軸58の他端にプーリ48aが固着され、該プーリ48aと、送塵口処理胴22の駆動軸34に固着されたプーリ48bとがベルト57で巻回されている。こうして、前記送塵口処理胴22の駆動軸34にプーリ48a・48b、ベルト57及びギア47a・47bを介して搬送体50の駆動軸55を連動連結させ、送塵口処理胴22の駆動軸34から搬送体50の駆動軸55に動力を伝達するようにして、送塵口処理胴22の回転に応じて搬送体50を回転駆動できるようにしている。但し、搬送体50の駆動構成は限定するものではなく、チェーン式等であってもよく、また、送塵口処理胴22からだけでなく、下方の選別装置等から動力を伝達する構成とすることもできる。
【0029】
ここで、前記搬送体50の駆動軸55は、図10に示す如く、正面視で搬送体50が扱胴21の左側に設置されている場合、反時計回りに回転駆動するように構成されている。このようにしてスクリュー53と羽根56の回転方向を反時計回り方向とすることで、該スクリュー53により搬送された処理物は、羽根56によって揺動選別装置27上にアンダースローで排出されることになり、該処理物を受樋52の排出部52aから揺動選別装置27のチャフシーブ33等にたたきつけることなく排出することができる。なお、本実施例においては、処理物は排出部52aから揺動選別装置27上にアンダースローで排出されるが、スクリュー53と羽根56を時計回りに回転駆動させて、処理物をオーバースローで排出するように構成することもできる。
【0030】
このように構成することによって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して洩れ落ちて、処理物が搬送体50に落下すると、該処理物はスクリュー53の回転によって搬送体50の搬送終端部である排出部52aまで搬送されて、該排出部52aから羽根56の回転により揺動選別装置27の左右中心側へ排出されるのである。したがって、送塵口処理胴22から直接二番コンベア37に落下することがなくなり、二番物は分散されて揺動選別装置27上に還元されるようになり、揺動選別装置27の選別幅を有効に活用して搬送した処理物を再選別し、穀粒ロスを低減するとともに、穀粒の処理の増加を図ることができる。
【0031】
次に、第二実施例について説明する。図11及び図12に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体60が、送塵口処理胴22と平面視で重複するように平行に前後方向に横設されている。該搬送体60は処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受樋62を横設して上方を開放し、該受樋62内にスクリュー63を備えてコンベアを構成しており、該搬送体60はその搬送終端部(機体進行方向前側)が扱胴21の略中央部まで延設されて、搬送体60及び送塵口処理胴22の前方に配設された前記枝梗処理装置10に連結されている。
【0032】
そして、搬送体60によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向である搬送終端部までスクリュー63の回転によって搬送して、枝梗処理装置10に投入し、該枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗を除去した後、揺動選別装置27の選別開始部に再投入する構成としている。
【0033】
また、図12に示す如く、前記搬送体60の搬送始端部(機体進行方向後側)には、二番還元コンベア80の後方上端部が連結されており、二番還元コンベア80から搬送される二番物を、搬送体60へ受け継ぎ、該搬送体60内をスクリュー63の回転によってその搬送終端部まで搬送して前記枝梗処理装置10に投入し、枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗を除去した後、揺動選別装置27の選別開始部に再投入する構成としている。
【0034】
ここで、上述の如く前記搬送体60の搬送始端部に二番還元コンベア80を連結する構成とした場合、二番還元コンベア80は後方に傾斜して搬送体60の搬送始端部に連結されるため、従来の如く二番還元コンベアを前方に傾斜して枝梗処理装置に連結する場合に比べて、二番還元コンベア80の全長を短縮することができ、軽量化とコストの低減化を図ることができる。また、二番還元コンベア80は揚穀コンベア38とラップしないので、脱穀部12の横幅を短縮することができ、グレンタンク13の容量を増加したり、グレンタンク13の脱穀部12側の側板を簡素化したりすることができる。
【0035】
なお、本実施例においては、搬送体60は枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11と同軸上に配置されているが、図13に示す如く、搬送体60を前上がりに傾斜して、該搬送体60の搬送終端部の下方に枝梗処理装置10を配置し、搬送される処理物を枝梗処理胴11の上方から投入するように構成することもできる。
【0036】
このような構成において、枝梗の多い二番物と送塵口処理胴22の処理物を、二番還元コンベア80と搬送体60とからなる一経路で枝梗処理装置10に投入して枝梗を除去することができるため、効率よく枝梗処理を行うことができ、第一実施例と比較して、部品点数を低減することができる。また、送塵口処理胴22よる処理物には、稈切れも多いが、これを枝梗処理装置10で粉砕することができるため、選別能力の向上を図ることができる。
【0037】
次に、第三実施例について説明する。図14、図15に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体65が、送塵口処理胴22と平行に平面視で重複するように前後方向に横設されている。該搬送体65は処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受樋66を横設して上方を開放し、該受樋66内にスクリュー67を収納してコンベアを構成しており、該搬送体60はその搬送終端部(機体進行方向前側)が扱胴21の後端部まで延設されて、前記枝梗処理装置68に連結されている。
【0038】
そして、搬送体65によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向である搬送終端部までスクリュー67の回転によって搬送して、枝梗処理装置68に投入する。該枝梗処理装置68内では前記同様に枝梗処理胴69により枝梗を除去した後、揺動選別装置27に投入する構成としている。
【0039】
また、図14に示す如く、前記搬送体65の搬送始端部(機体進行方向後側)には、二番還元コンベア80の後方上端部が連結されており、二番還元コンベア80から搬送される二番物を、搬送体65へ受け継ぎ、該搬送体65内をスクリュー67の回転によってその搬送終端部まで搬送して枝梗処理装置68に投入し、枝梗処理装置68内の枝梗処理胴69により枝梗を除去した後、揺動選別装置27に投入する構成としている。
【0040】
ここで、上述の如く前記搬送体60の搬送始端部に二番還元コンベア80を連結する構成とした場合、二番還元コンベア80は後方に傾斜して搬送体60の搬送始端部に連結されるため、従来の如く二番還元コンベアを前方に傾斜して枝梗処理装置に連結する場合に比べて、二番還元コンベア80の全長を短縮することができ、軽量化とコストの低減化を図ることができる。また、二番還元コンベア80は揚穀コンベア38とラップしないので、脱穀部12の横幅を短縮することができ、グレンタンク13の容量を増加したり、グレンタンク13の脱穀部12側の側板を簡素化したりすることができる。
【0041】
また、図14に示す如く、前記枝梗処理装置68は、扱胴21の終端部側板59の真後ろ下方に配置されており、枝梗処理胴69を送塵口処理胴22前部下方から扱胴21後部下方まで延出して左右方向に横設されている。該枝梗処理胴69は筒体75内に収納されており、該筒体75の進行方向右側後部に開口を設けて搬送体65と連通するとともに、進行方向左側上部に扱胴21の横幅と略同じ横幅を有する開口部75aを設けて上方を開放し、該開口部75aより扱胴21の終端部側板59よりオーバーフローした稈切れなど受けて、枝梗処理胴69で粉砕し拡散して、揺動選別装置27上に排出するようにしている。
【0042】
このような構成において、枝梗処理胴69は、機体進行方向左側面視において、時計回りに回転駆動されるため、前記搬送体65及び開口部75aより投入される処理物や稈切れ等は、筒体75の前部下に開口された排出部75bから排出される際には、枝梗処理胴69の回転による風の流れによって前方に向けて流され、揺動選別装置27の前方に排出される。そのため、揺動選別装置27を移動させる距離を十分に確保し、処理物を拡散させて片寄りを防止することができ、選別性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体側面図。
【図2】同じく全体平面図。
【図3】同じく脱穀部及び選別部の側断面図。
【図4】枝梗処理装置と選別装置との配置関係を示す斜視図。
【図5】枝梗処理装置と扱胴との配置関係を示す正面図。
【図6】枝梗処理装置の内部構成を示す側面図。
【図7】同じく正面図。
【図8】脱穀部の側断面図。
【図9】脱穀部後部の側断面図。
【図10】脱穀部の正面図。
【図11】別実施例の脱穀部及び選別部の側断面図。
【図12】同じく側断面図。
【図13】別実施例の脱穀部の側断面図。
【図14】別実施例の脱穀部後部の側断面図。
【図15】脱穀部の正面図。
【符号の説明】
【0044】
10 枝梗処理装置
12 脱穀部
17 選別部
21 扱胴
22 送塵口処理胴
23 送塵口
27 揺動選別装置
50 搬送体
52 受樋
53 スクリュー
59 終端部側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を揺動選別・風選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴と、送塵口に受口が連通して該扱胴の脱粒物を再処理する送塵口処理胴と、二番物等を処理する枝梗処理装置を備えたコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、該搬送体は、搬送した前記処理物を前記選別部上に排出する搬送終端部が前記扱胴の終端部側板よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きであることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載のコンバインにおいて、前記搬送体の搬送終端部に枝梗処理装置を連結し、搬送始端部に二番還元コンベアを連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2記載のコンバインにおいて、前記枝梗処理装置を扱胴の終端部側板の真後ろに配置し、該枝梗処理装置の上方を開放したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−111057(P2007−111057A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348690(P2006−348690)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【分割の表示】特願2002−197540(P2002−197540)の分割
【原出願日】平成14年7月5日(2002.7.5)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】