説明

コンバイン

【課題】 刈取り部を地面に突っ込みにくい状態で接地追従させた刈取り作業も、倒伏穀稈の刈り残しを回避しやすい刈取り作業もできるコンバインを提供する。
【解決手段】 自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結してある。刈取り部に接地部を設けてある。刈取り部に作用するバランス支持手段20を設けてある。バランス支持手段20は、刈取り部の接地圧を減少させるよう刈取り部に支持作用した作用状態と、接地部による接地状態にある刈取り部に対する支持作用を解除した解除状態とに切換え自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結したコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンバインにおいて、従来、特許文献1に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、刈取り部の分草杆に設けた接地橇を備えている。自走機体のフレームに対して刈取り部の刈取フレームと共に上下揺動するアーム部材、このアーム部材と自走機体のフレームとの間に介装されたバランススプリングを備えている。バランススプリングは、刈取り部が自走機体に対する昇降範囲のうち、設定レベルよりも下方の範囲に位置すると、スプリング受けを介して刈取り部を弾性支持し、刈取り部が地面の起伏に応答して上昇しやすいように刈取り部の接地圧を減少させる。すなわち、刈取り部の地面への突っ込みを回避しやすい状態で刈取り部を接地追従させることが可能になったものである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−267123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した技術を採用したコンバインによると、植立穀稈の倒伏が著しい場合、刈り残しが発生しやすくなっていた。
つまり、刈取り部がバランス支持手段としてのバランススプリングによって支持されると、刈取り部は、接地部での接地反力の変化に敏感に応答して上昇する。これにより、刈取り部が自走機体に対して上昇した際、刈取り部の慣性による過剰な上昇が発生しやすい。すると、植立穀稈が地面に低く倒伏している場合、刈取り部の過剰上昇のために刈取り部の引起し作用や刈取り作用が倒伏穀稈に及びにくくなる。
【0005】
本発明の目的は、刈取り部を地面に突っ込みにくい状態での接地追従作業することも、倒伏穀稈の刈り残しを防止することも可能なコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結したコンバインにおいて、
前記刈取り部に接地部を設け、刈取り部の接地圧を減少させるよう刈取り部に支持作用した作用状態と、前記接地部による接地状態にある刈取り部に対する支持作用を解除した解除状態とに切換え自在なバランス支持手段を設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、バランス支持手段を作用状態に切り換えれば、バランス支持手段が刈取り部に支持作用し、バランス支持手段の作用によって刈取り部の接地圧が減少する。すると、刈取り部が接地部での接地反力の変化に敏感に応答して上昇する状態で刈取り部を接地追従させることができる。バランス支持手段を解除状態に切り換えると、刈取り部が接地部によって接地した状態になってもバランス支持手段が刈取り部に支持作用しなくなる。すると、刈取り部が地面にやや入り込んだ接地状態や、バウンドなどで容易に上昇しない接地状態になり、刈取り部の引起しや刈取り作用が倒伏穀稈に及びやすくなる。
【0008】
これにより、刈取り部の接地反力の変化に敏感に応答した上昇によって刈取り部の地面への突っ込みを効果的に防止しやすい刈取り作業をすることも、倒伏穀稈の場合でも刈取り部の引起しや刈取り作用が及びやすくて刈り残しを発生しにくい刈取り作業をすることもできる。
【0009】
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記バランス支持手段は、刈取り部と自走機体との一方と他方に振り分けて設けた被当接部とバランスバネ部とを備え、かつ、前記バランスバネ部を刈取り部に支持作用するよう前記被当接部に当接した配置で保持した状態と、刈取り部に対する支持作用を解除するよう前記被当接部から離間した配置で保持した状態とに切換え自在な保持部を備えている。
【0010】
本第2発明の構成によると、保持部によるバランスバネ部の保持状態を切り換えるだけで操作簡単にバランス支持手段を刈取り部に支持作用させたり、バランス支持手段による刈取り部の支持を解除したりすることができ、刈取り部の地面への突っ込みを防止する作業形態と、倒伏穀稈の刈り残しを防止する作業形態とに楽にかつ迅速に切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式の走行装置1によって自走し、かつ、運転座席2が装備された運転部を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部10と、前記自走機体の機体フレーム3の後部側に設けた脱穀装置5および穀粒タンク6とを備えている。
【0012】
このコンバインは、稲、麦などの収穫を行うものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10が有する前処理部フレーム11と前記機体フレーム3とにわたって設けた昇降操作機構50により、前記前処理部フレーム11の基部11bが前記機体フレーム3の前部に位置する支持体4に相対回動自在に連結している自走機体横向きの軸芯Xまわりで自走機体に対して揺動操作され、刈取り部10の前部に設けてある接地部18が地面に接地し、かつ、接地部18の後側に位置する刈取り装置12が地面近くに位置した下降作業状態と、前記接地部18が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り部10は、この刈取り部10の前部に自走機体横方向に並んで位置する複数の分草具14によって植立穀稈を刈り取り対象と非刈取り対象とに分草するとともに刈取り対象の植立穀稈を各分草具14の後方に位置する引き起こし経路15に案内し、各引き起こし経路15に案内された植立穀稈を引き起こし装置16によって引き起こし処理するとともにバリカン形の前記刈取り装置12によって刈取り処理し、刈取り装置12からの刈取り穀稈を供給装置17によって機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収し、貯留していく。
【0013】
図1,2に示すように、前記前処理部フレーム11は、前記支持体4に基部11bが前記軸芯Xまわりで回動自在に支持された伝動ケースで成るメインフレーム11aと、このメイフレーム11aの先端部の自走機体横方向に並ぶ複数箇所から機体前方向きに延出した分草杆13とを備えている。前記各分草具14は、前記分草杆13の延出端部に設けてある。
【0014】
図1に示すように、前記接地部18は、前記分草具14の支持ブラケット14aを前記分草杆13に連結している連結杆19の下方と、分草杆13の下方とにわたって配置した一つの橇体によって構成してある。
【0015】
図3は、前記昇降操作機構50の自走機体正面視での構造を示す。図4は、前記昇降操作機構50の自走機体側面視での構造を示す。これらの図に示すように、昇降操作機構50は、前記支持体4に固定された左右一対のブラケット52,52に連結軸部53bが自走機体横向きの軸芯53aまわりで回動自在に連結された揺動操作体53と、この揺動操作体53の遊端側軸部53dに固定されたブラケット58と機体フレーム3に固定されたブラケット54とにわたって連結された油圧式単動シリンダで成る昇降シリンダ51とを備えている。前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dと、揺動操作体53に固定された左右一対のブラケット56,56に支持された係止ロッド55とが前記メインフレーム11aを挟んでいることにより、揺動操作体53がメインフレーム11aに一体揺動自在に係止している。揺動操作体53の遊端側軸部53dは、メインフレーム11aに設けた保護プレート11cに当接してメインフレーム11aに押し上げ作用する。係止ロッド55は、仲介部材57を介してメインフレーム11aに係止作用する。図3,4に示す如く前記左右一対のブラケット56,56に回転自在に支持された螺旋軸60は、電動モータ61によって正回転方向や逆回転方向に回転操作され、横送り部材62を介してメインフレーム11aをこのメインフレーム11aと支持体4の連結軸に兼用の入力軸63に沿わせて移動操作する。すなわち、螺旋軸60は、刈取り部10を自走機体に対して中割り作業用の連結位置と回り刈り作業用の連結位置とに位置変更する。
【0016】
つまり、昇降操作機構50は、昇降シリンダ51に油圧が供給されると、昇降シリンダ51が油圧によって伸長操作されて揺動操作体53を介してメインフレーム11aを上昇揺動操作することにより、刈取り部10を上昇操作し、昇降シリンダ51から油圧が排出されると、昇降シリンダ51が刈取り部10の重量によって短縮操作されてメインフレーム11aを下降揺動操作することにより、刈取り部10を下降操作する。
【0017】
図3,5,6,7,8に示すように、機体フレーム3の前部と、刈取り部10のメインフレーム11aとにわたってバランス支持手段20を設けてある。図3,7は、バランス支持手段20の自走機体正面視での構造を示す。図5は、バランス支持手段20の自走機体側面視での構造を示す。図6は、バランス支持手段20の縦断側面図である。図8は、バランス支持手段20の縦断平面図である。これらの図に示すように、バランス支持手段20は、機体フレーム3に設けた保持部31と、この保持部31に保持されたバランスバネ部21と、メインフレーム11aに設けた被当接部20aとを備えている。
【0018】
被当接部20aは、前記揺動操作体53の遊端側軸部53dによって構成してある。
【0019】
バランスバネ部21は、バネ受け台26と、このバネ受け台26に固定されている一対の支軸27,27に支持された基端側バネホルダ25および先端側バネホルダ28と、前記基端側バネホルダ25と前記先端側バネホルダ28とバネカバー30との内部に設けたコイルバネで成るバランスバネ22と、前記基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とにわたって装着した連結杆29とを備えている。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを設定間隔以上離れないように連結し、これによってバランスバネ22に初期弾性変形を備えさせている。一対の支軸27,27は、先端側バネホルダ28を摺動自在に支持している。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを接近自在に連結している。バネカバー30は、伸縮自在になっている。
【0020】
保持部31は、機体フレーム3に固定された板金部材によって構成され、この板金部材の両横側に自走機体前後方向に並べて設けた保持溝32,33,34を備えている。図5,6,8は、保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持した状態を示す。これらの図に示すように、左右の複数の保持溝32,33,34のうち、最も前方側に位置する第1保持溝32、もしくはこの第1保持溝32に隣り合った第2保持溝33に前記バネ受け台26の取付け板部26aが係入されると、保持部31は、バランバネ部21を使用状態で保持した状態に切り換わる。このように保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持すると、バランスバネ部21は、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの上側の非作業部位B(図12参照)に位置する場合、前記被当接部20aが先端側バネホルダ28から上方に離れるように配置して、かつ、刈取り部10が前記昇降範囲Aの下側の作業部位C(図12参照)に位置すれば、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接してバランスバネ22が刈取り部10の重量によって初期弾性変形状態よりもさらに弾性変形されるよう配置して保持される。保持部31は、第1保持溝32によってバランスバネ部21を保持した場合と、第2保持溝33によって保持した場合とを比較すると、第1保持溝32によって保持した場合には第2保持溝33によって保持した場合に比べ、刈取り部10が上昇ストロークエンドから下降するに伴って被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接し始めるときの刈取り部10の自走機体に対する連結高さが高くなる状態でバランスバネ部21を保持する。保持部31は、バランスバネ部21を使用状態で保持した状態に切り換えられた場合、バランスバネ部21を図6に示す状態で保持する。すなわち、刈取り部10が作業部位Cにおいて機体前後方向での水平姿勢になった連結高さh(図12参照)に位置すると、被当接部20aがバランスバネ22の軸芯22a上に位置した状態で被当接部20aとバランスンバネ部21とが当接し合う状態でバランスバネ部21を保持する。
図9,10は、保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持した状態を示す。これらの図に示すように、左右の複数の保持溝32,33,34のうち、前記第2保持溝33よりも後方に位置する収納保持溝34に前記バネ受け台26の取付け板部26aが係入されると、保持部31は、バランスバネ部21を格納状態で保持した状態に切り換わる。このように保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持すると、バランスバネ部21は、刈取り部10が前記昇降範囲Aのうちの前記下側の作業部位Cに位置しても、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが離間しているよう配置して保持される。
【0021】
これにより、保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持した状態に切り換えられると、バランス支持手段20は、前記昇降範囲Aのうちの作業部位Cに位置した刈取り部10に揺動操作体53を介してバランスバネ部21によって支持作用した作用状態に切り換わり、刈取り部10の接地部18での接地圧をバランスバネ部21によって上昇操作力を付与する分だけ減少させる。一方、保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持した状態に切り換えられると、バランス支持手段20は、バランスバネ部21による刈取り部10に対する支持作用を解除した解除状態に切り換わり、刈取り部10の接地圧減少を解除する。
【0022】
図11は、昇降操作機構50の油圧回路を示す。この図に示すように、前記昇降シリンダ51の制御弁Vは、制御手段70aを介して昇降レバー70に連係されており、この昇降レバー70によって「中立」と「上昇」と「下降」とに切り換え操作される。「中立」に切り換え操作された制御弁Vは、昇降シリンダ51に対する油圧の供給及び排出を停止する。制御弁Vが「中立」に操作された状態においても、昇降シリンダ51は、接地部18に作用する接地反力の大きさによっては、この接地反力と、バランスバネ22による上昇操作力との合力のために、かつ、圧油の気泡含有などのために若干伸長作動し、刈取り部10が自走機体に対して昇降することを許容する。制御弁Vが「中立」に操作された状態では、昇降シリンダ51は、短縮操作の外力が付与されても短縮作動せず、刈取り部10に対するストッパとなって刈取り部10の自走機体に対する下降限界を設定する。
【0023】
つまり、作業を行うに当たり、昇降レバー70によって制御弁Vを「下降」に切り換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vによって排油されて短縮操作され、刈取り部10を下降操作する。刈取り部10の下降によって接地部18が接地すると、制御弁Vを「中立」に切り換え操作する。
【0024】
このとき、バランスバネ部21を保持部31に使用状態で保持させてあれば、バランス支持手段20が作用状態になっている。そして、刈取り部10が接地状態になれば、被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接し、バランス支持手段20がバランスバネ部21によって刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる。そして、昇降シリンダ51が停止状態にあり、刈取り部10の自走機体に対する下降限界を設定するよう刈取り部10にストップ作用する。これにより、刈取り部10は、接地部18の接地反力の変化に敏感に応答して自走機体に対して上昇する状態で、かつ、刈取り部10の自走機体に対する下降限界が昇降シリンダ51によって設定された状態で接地部18によって接地追従する下降作業状態となる。このため、刈取り部10は、分草具14の土中への突っ込みを発生しにくくしながら、かつ、刈取り装置12による刈り高さを一定またはほぼ一定にしながら刈取り作業する。
【0025】
これに対し、バランスバネ部21を保持部31に格納状態で保持させてあれば、バランス支持手段20が解除状態になっている。そして、刈取り部10が接地状態になっても、被当接部20aと先端側バネホルダ28とが離間したままにあり、バランス支持手段20のバランスバネ部21による刈取り部10の接地圧減少が行われない。そして、昇降シリンダ51が停止状態にあり、刈取り部10の自走機体に対する下降限界を設定するよう刈取り部10にストップ作用する。これにより、刈取り部10は、分草具14が地面にやや入り込んだ連結高さに、かつ、自走機体に対して容易には上昇しない状態に昇降シリンダ51によって支持された下降作業状態となる。このため、刈取り部10は、植立穀稈の倒伏が著しくても分草具14及び引起し装置16による引起しミス、刈取り装置12による刈取りミスを発生しにくくしながら刈取り作業する。
【0026】
刈取り部10を上昇させる場合、昇降レバー70によって制御弁Vを「上昇」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vから油圧を供給されて伸長操作され、刈取り部10を上昇操作する。刈取り部10がストロークエンドなど所望の連結高さまで上昇すると、制御弁Vを「中立」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が停止し、刈取り部10が所望の連結高さになる。
【0027】
図13,14,15は、第二実施構造を備えたバランス支持手段20を示す。これらの図に示すように、このバランス支持手段20は、コイルバネで成るバランスバネ22を有したバランスバネ部21と、調節ネジ軸37を有した保持部31とを備えている。
【0028】
バランスバネ部21は、前記バランスバネ22を備える他、このバランスバネ22の前端側に装着された先端側バネホルダ28と、バランスバネ22の基端側に装着された基端側バネホルダ25と、両バネホルダ28,25を連結している連結杆29と、両バネホルダ28,25を摺動自在に支持する支軸27と、バランスバネ22を覆う蛇腹式のバネカバー30とを備えている。
【0029】
保持部31は、前記調節ネジ軸37を備える他、前記基端側バネホルダ25に連結されたバネ受け台26と、前記調節ネジ軸37を螺進自在に保持したベース台36とを備えている。ベース台36は、自走機体の機体フレーム(図示せず)に固定されている。調節ネジ軸37の先端側は、バネ受け台26に相対回転自在に、かつ、一体移動自在に係合されている。
【0030】
図13は、保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持した状態を示している。図15は、保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持した状態を示している。これらの図に示すように、保持部31は、調節ネジ軸37が回動操作され、この調節ネジ軸37によってバネ受け台26をベース台36の一対のガイド壁部36a,36aの先端側どうしの間に移動させることにより、バランスバネ部21を使用状態に切り換えて保持し、調節ネジ軸37によってバネ受け台26を前記一対のガイド壁36a,36aの基端側どうしの間に移動させることにより、バランスバネ部21を格納状態に切り換えて保持する。
【0031】
バランスバネ部21は、使用状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置すれば、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接する状態で保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、接地部18によって接地支持された刈取り部10にバランスバネ22によって支持作用した作用状態に切り換わる。すなわち、バランス支持手段20は、接地部18の接地反力の変化に応答した刈取り部10の自走機体に対する上昇が敏感になるよう刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる。
一方、バランンスバネ部21は、格納状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置しても、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが離間した保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、刈取り部10が接地部18によって接地した状態になってもバランスバネ22による刈取り部10の支持作用を解除するよう解除状態に切り換わり、刈取り部10の接地圧減少を解除する。
【0032】
図16,17,18は、第三実施構造を備えたバランス支持手段20を示す。これらの図に示すように、このバランス支持手段20は、コイルバネで成るバランスバネ22を有したバランスバネ部21と、保持体35を有した保持部31とを備えている。
【0033】
バランスバネ部21は、前記バランスバネ22を備える他、このバランスバネ22の前端側に装着された先端側バネホルダ28と、バランスバネ22の基端側に装着された基端側バネホルダ25と、両バネホルダ28,25を連結している連結杆29と、バランスバネ22を覆う蛇腹式のバネカバー30と、基端側バネホルダ25に連結されたバネ受け台26とを備えている。バネ受け台26は、このバネ受け台26の後面側に固設した取付け板部26aを備えている。
【0034】
保持部31は、前記保持体35を備える他、この保持体35の下部から機体前方向きに延出されたバネ受けガイド36を備えている。
【0035】
保持体35は、機体フレーム3に固定されている。この保持体35は、左右一対の保持板35a,35aを備えている。各保持板35aは、機体前後方向に並んだ保持溝32,33,34を備えている。バネ受けガイド36は、両バネホルダ28,25を載置されてバランスバネ部21を支持するバネ受け面36aを備えている。
【0036】
図16は、保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持した状態を示している。図18は、保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持した状態を示している。これらの図に示すように、保持部31は、左右一対の保持板35aの最も機体前方側に位置する第1保持溝32又はこの第1保持溝32に隣合う第2保持溝33にバネ受け台26の前記取付け板部26aが装着されることにより、バランスバネ部31を使用状態に切り換えて保持し、左右一対の保持板35aの最も機体後方側の第3保持溝34にバネ受け台26の前記取付け板部26aが装着されることにより、バランスバネ部31を格納状態に切り換えて保持する。
【0037】
バランスバネ部21は、使用状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置すれば、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接する状態で保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、接地部18によって接地支持された刈取り部10にバランスバネ22によって支持作用した作用状態に切り換わる。すなわち、バランス支持手段20は、接地部18の接地反力の変化に応答した刈取り部10の自走機体に対する上昇が敏感になるよう刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる。バランスバネ部21が第1保持溝32によって保持された使用状態と、第2保持溝33によって保持された使用状態とでは、刈取り部10が上昇ストロークエンドから下降操作された際、被当接部53dが先端側バネホルダ28に当接するときの刈取り部10の自走機体に対する取り付け高さが異なる。すなわち、バランスバネ部21が第1保持溝32によって使用状態に保持された場合の方が、被当接部53dが先端側バネホルダ28に当接するときの刈取り部10の自走機体に対する取り付け高さが高くなる。
一方、バランンスバネ部21は、格納状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置しても、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが離間した保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、刈取り部10が接地部18によって接地した状態になってもバランスバネ22による刈取り部10の支持作用を解除するよう解除状態に切り換わり、刈取り部10の接地圧減少を解除する。
【0038】
図19,20,21は、第四実施構造を備えたバランス支持手段20を示す。これらの図に示すように、このバランス支持手段20は、コイルバネで成るバランスバネ22を有したバランスバネ部21と、調節ネジ軸37を有した保持部31とを備えている。
【0039】
バランスバネ部21は、前記バランスバネ22を備える他、このバランスバネ22の前端側に装着された先端側バネホルダ28と、バランスバネ22の基端側に装着された着端側バネホルダ25と、両バネホルダ28,25を連結している連結杆29と、バランスバネ22を覆う蛇腹式のバネカバー30とを備えている。
【0040】
保持部31は、前記調節ネジ軸37を備える他、前記基端側バネホルダ25に連結されたバネ受け台26と、前記調節ネジ軸37を螺進自在に保持したベース台36と、このベース台36に基端側が固定されたガイド軸39とを備えている。ベース台36は、自走機体の機体フレーム(図示せず)に固定されている。調節ネジ軸37の先端側は、バネ受け台26に相対回転自在に、かつ、一体移動自在に係合されている。ガイド軸39は、先端側バネホルダ28及び後端側バネホルダ25を摺動自在に支持している。
【0041】
図19は、保持部31がバランスバネ部21を使用状態で保持した状態を示している。図21は、保持部31がバランスバネ部21を格納状態で保持した状態を示している。これらの図に示すように、保持部31は、調節ネジ軸37が回動操作され、この調節ネジ軸37によってバランスバネ部21をガイド軸39の先端側に移動させることにより、バランスバネ部21を使用状態に切り換えて保持し、調節ネジ軸37によってバランスバネ部21をガイド軸39の基端側に移動させることにより、バランスバネ部21を格納状態に切り換えて保持する。
【0042】
バランスバネ部21は、使用状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置すれば、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが当接する状態で保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、接地部18によって接地支持された刈取り部10にバランスバネ22によって支持作用した作用状態に切り換わる。すなわち、バランス支持手段20は、接地部18の接地反力の変化に応答した刈取り部10の自走機体に対する上昇が敏感になるよう刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる。
一方、バランンスバネ部21は、格納状態で保持されると、刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aのうちの下側の作業部位Cに位置しても、前記被当接部20aと先端側バネホルダ28とが離間した保持されたことになる。これにより、バランス支持手段20は、刈取り部10が接地部18によって接地した状態になってもバランスバネ22による刈取り部10の支持作用を解除するよう解除状態に切り換わり、刈取り部10の接地圧減少を解除する。
【0043】
図22は、第五実施構造を備えたバランス支持手段20を示す。このバランス支持手段20は、自走機体横方向に並ぶ一対のバランスバネ22,22を備えている。一対のバランスバネ22,22は、自走機体の前後方向視で前記メインフレーム11aの両横側に分かれて位置し、前記揺動操作体53の遊端側軸部53dを被当接部20aとし、この被当接部20aを介して前記メインフレーム11aに支持作用する。
【0044】
図23は、第六実施構造を備えたバランス支持手段20を示す。このバランス支持手段20は、同心状に配置した一対のコイルバネで成るバランスバネ22,22を備えている。一対のバランスバネ22,22は、伸縮時に互いの線材が噛み合う事態が発生しないように巻き方向が互いに逆方向になった線材巻き方向を備えている。
【0045】
図24は、第二実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第二実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aを分草杆13に連結している連結杆19の下方に配置した前橇体18aと、前記分草杆13の下方に配置した後橇体18bとによって構成してある。
【0046】
図25は、第三実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第三実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方に配置した前橇体18aと、前記支持ブラケット14aを分草杆13に連結している連結杆19の下方と前記分草杆13の下方とにわった配置した後橇体18bとによって構成してある。
【0047】
図26は、第四実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第四実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aを分草杆13に連結している連結杆19の下方に配置した橇体によって構成してある。
【0048】
図27に示す接地部18は、第五実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第五実施構造を備えた接地部18は、前記分草杆13の下方に配置した橇体によって構成してある。
【0049】
図28に示す接地部18は、第六実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第六実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方に配置した橇体によって構成してある。
【0050】
図29に示す接地部18は、第七実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第七実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方に配置した前橇体18aと、前記支持ブラケット14aを前記分草杆13に連結している連結杆19の下方に配置した後橇体18bとによって構成してある。
【0051】
図30に示す接地部18は、第八実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第八実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方と、前記支持ブラケット14aを前記分草杆13に連結している連結杆19の下方とにわたって配置した一つの橇体とによって構成してある。
【0052】
図31に示す接地部18は、第九実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第九実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方と、前記支持ブラケット14aを前記分草杆13に連結している連結杆19の下方と、分草杆13の下方とにわたって配置した一つの橇体によって構成してある。
【0053】
図32に示す接地部18は、第十実施構造を備えた接地部18を示す。この図に示すように、第十実施構造を備えた接地部18は、分草具14の支持ブラケット14aの下方に配置した前橇体18aと、前記分草杆13の下方に配置した後橇体18bとによって構成してある。
【0054】
〔別実施例〕
上記各実施例のバランス支持手段20に替え、被当接部20aを自走機体に設け、バランスバネ部21および保持部31を刈取り部10に設けた構成を採用しても、本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】昇降操作機構、バランス支持手段の正面図
【図4】昇降操作機構の側面図
【図5】バランス支持手段の側面図
【図6】バランス支持手段のバランスバネ部が使用状態にある状態での側面図
【図7】バランスバネ部の正面図
【図8】バランス支持手段のバランスバネ部が使用状態にある状態での縦断平面図
【図9】バランス支持手段のバランスバネ部が格納状態にある状態での側面図
【図10】バランス支持手段のバランスバネ部が格納状態にある状態での縦断平面図
【図11】刈取り部昇降操作の油圧回路図
【図12】刈取り部の昇降範囲を示す側面図
【図13】第二実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が使用状態にある状態での側面図
【図14】第二実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部の正面図
【図15】第二実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が格納状態にある状態での側面図
【図16】第三実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が使用状態にある状態での側面図
【図17】第三実施構造を備えたバランス支持手段の正面図
【図18】第三実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が格納状態にある状態での側面図
【図19】第四実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が使用状態にある状態での側面図
【図20】第四実施構造を備えたバランス支持手段の正面図
【図21】第四実施構造を備えたバランス支持手段のバランスバネ部が格納状態にある状態での側面図
【図22】第五実施構造を備えたバランス支持手段の正面図
【図23】第六実施構造を備えたバランス支持手段の側面図
【図24】第二実施構造を備えた接地部の側面図
【図25】第三実施構造を備えた接地部の側面図
【図26】第四実施構造を備えた接地部の側面図
【図27】第五実施構造を備えた接地部の側面図
【図28】第六実施構造を備えた接地部の側面図
【図29】第七実施構造を備えた接地部の側面図
【図30】第八実施構造を備えた接地部の側面図
【図31】第九実施構造を備えた接地部の側面図
【図32】第十実施構造を備えた接地部の側面図
【符号の説明】
【0056】
10 刈取り部
18 接地部
20 バランス支持手段
20a 被当接部
21 バランスバネ部
31 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結したコンバインであって、
前記刈取り部に接地部を設け、
刈取り部の接地圧を減少させるよう刈取り部に支持作用した作用状態と、前記接地部による接地状態にある刈取り部に対する支持作用を解除した解除状態とに切換え自在なバランス支持手段を設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記バランス支持手段は、刈取り部と自走機体との一方と他方に振り分けて設けた被当接部とバランスバネ部とを備え、かつ、前記バランスバネ部を刈取り部に支持作用するよう前記被当接部に当接した配置で保持した状態と、刈取り部に対する支持作用を解除するよう前記被当接部から離間した配置で保持した状態とに切換え自在な保持部を備えている請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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