説明

コンバイン

【課題】テールパイプ近傍となる脱穀部上方隅部への塵の進入を防ぎ、塵の堆積を防止できるコンバインを提供する。
【解決手段】扱室210内に扱胴220を回転自在に支持し、該扱胴220の下側外周を受網230で覆い、該受網230を着脱可能とした脱穀装置において、フィードチェーン9と反対側の受網230の奥側である奥網290を支持する支持フレーム296と扱室210の奥側の側板210b内面との間に遮蔽板100を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインに関し、より詳細には、コンバインの機体上部に配置された脱穀装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気装置が機体上部に配管されたコンバインの技術が知られており、このような排気装置を備えたコンバインとして、例えば、エンジンルーム内に排気サイレンサが設けられ、前記排気サイレンサに接続されたテールパイプが機体上方に配管されており、前記テールパイプの後部が脱穀部の上部に固定されている(例えば、特許文献1参照)。また、エンジンからのエキゾーストパイプが機体上方に配管され、前記エキゾーストパイプに接続される排気サイレンサが脱穀部の上部に固定されており、テールパイプが前記排気サイレンサに接続されているコンバインもある。
【0003】
上記のように排気装置を機体上部に配管したコンバインによれば、走行中に巻上げられた泥等が排気装置に掛かり難くなり、排気装置に泥等が抱き込まれることや、排気装置に泥等が浸入することが防止される。このため、排気装置の泥等の抱き込みや、泥等の侵入によるコンバインの走行性能の低下を防止することができる。
【特許文献1】実公昭61−26130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような排気装置では、排気ガスの熱により、排気装置の表面温度が高くなる。前記テールパイプは脱穀部の角部近傍に支持されることが多く、テールパイプ自体の温度が高くなると、脱穀部へも熱が伝わることとなるが、該脱穀部の角部内側は構造上塵等が堆積し易くなっており熱源の近くに可燃物が存在することとなってしまう。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、テールパイプ近傍となる脱穀部上方隅部への塵の進入を防ぎ、塵の堆積を防止できるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、扱室内に扱胴を回転自在に支持し、該扱胴の下側外周を受網で覆い、該受網を着脱可能とした脱穀装置において、フィードチェーンと反対側の受網の奥側を支持する支持フレームと扱室の奥側の側板内面との間に遮蔽板を配置したものである。
【0007】
請求項2においては、前記遮蔽板と支持フレームと扱室の奥側の角部内面に、前記遮蔽板と直角方向に複数の仕切り板を設けたものである。
【0008】
請求項3においては、前記仕切り板を、エンジンのサイレンサからの排気ガスを機体外部に放出するテールパイプを扱室の上部で支持するために設ける支持部材の近傍に配置したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、扱室の奥側の上方隅部への塵の進入を防ぎ、塵の堆積を防止できる。また、清掃が簡単に行えるようになる。
【0011】
請求項2においては、支持フレームの強度をアップすることができる。
【0012】
請求項3においては、テールパイプ取付部の強度向上が図れる。また、熱源となるテールパイプ近傍への可燃物の進入を遮蔽板により遮断でき、断熱空間を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0014】
本発明に係るコンバイン11について、図を用いて説明する。図1はコンバイン11の全体側面図、図2はコンバイン11の正面図、図3はコンバイン11の平面図、図4は排気装置41の側面簡略図、図5は排気装置41の正面簡略図、図6は排気装置41の平面簡略図、図7は脱穀部15および選別部16の左側面模式図、図8は扱室210を示す正面図、図9は受網230を示す展開図、図10は脱穀部15とテールパイプ61を示す正面図、図11は遮蔽板100を示す正面断面図、図12は同じく平面図、図13は扱室210を示す右側面図、図14はカバー部120を示す側面図、図15は同じく正面断面図である。
【0015】
まずコンバイン11の全体構成について説明する。図1から図3に示すように、コンバイン11は、左右のクローラを支承してなるクローラ走行装置12上に機体(シャーシ)13が配設されており、この機体13の前部右側にエンジン34が搭載されている。機体13の前方にはエンジン34の駆動力を変速してクローラ走行装置12に伝達するミッションケース31が配設されており、ミッションケース31にはクローラ走行装置12の駆動輪の車軸が設けられている。また、機体13の前部には刈取部14、機体13の上部において走行方向の左側には選別部16が設けられ、選別部16の上部には扱胴220及び穀稈搬送装置170等を具備する脱穀部15が設けられている。機体13の上部の右側前部には座席19及び運転操作部であるキャビン18が設けられており、機体13の右側後部にはグレンタンク17が設けられている。グレンタンク17の底部には排出コンベア26が前後方向に配設され、グレンタンク17の後部には排出オーガ21が立設されている。グレンタンク17に貯溜された穀粒は排出コンベア26により後方に搬送され、排出オーガ21の縦送りオーガ22、横送りオーガ23を経て、横送りオーガ23先端部の排出口24からトラック等へ排出される。また、機体13の上方には、テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止するガード部材81が設けられている。そして、排出オーガ21の横送りオーガ23には、テールパイプ61の下流側端部63に接近する箇所にガード板90が取り付けられている。
【0016】
図4に示すように、コンバイン11の機体13の前部上において、キャビン18の下方には前記エンジン34が搭載されており、このエンジン34はエンジンルーム32内に収容されている。エンジンルーム32は上面、前面、左右側面を覆うエンジンルームカバーにより構成されており、前面は前壁となるエンジンルーム前カバー37、後面はエンジンルーム後部フレーム33に付設されて後壁となるエンジンルーム後カバー38、上面は遮熱板50により構成されている。また、エンジンルーム32には、冷却用の外気を取り入れるための開口部(図示せず)が右側方に設けられ、開口部近傍に図5に示すようにラジエータ40、及びラジエータ40やエンジン34を冷却するための外気を吸入する冷却ファン35を設けており、キャビン18の後下部からエンジン34にかけては、エアクリーナや吸気サイレンサ等を配設した吸気経路(図示せず)が形成される。
【0017】
次に、前記脱穀部15について図7及び図8を用いて説明する。
脱穀部15に形成された扱室210には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴220が回転自在に支持されており、該扱胴220の外周面には扱歯220a・220a・・・が植設されている。そして、該扱胴220の下部周辺を覆うように半円形状の受網230が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン9により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端(穂先)側が扱胴220の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴220の回転により脱粒が行われ、受網230から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0018】
前記扱室210を被覆する扱室カバー210aの内周面には送塵弁240が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。そして、該送塵弁240を回動操作することにより、穀稈が扱室210内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することを可能としている。
【0019】
そして、前記扱胴220の後部の側方(グレンタンク17側、本実施例では機体進行方向右側)から後方には、処理室250が形成され、該処理室250内には略円柱形状に構成した送塵口処理胴260が扱胴220と平行となるように、扱胴220の後部の側方で前後方向に横架・軸支されている。また、扱胴220を覆って扱室210を形成する扱胴ケースの後部(右)側面、及び、送塵口処理胴260を覆って処理室250を形成する処理胴ケースの前部(左)側面には送塵口270が開口され、扱室210と処理室250が連通されている。そして、該送塵口処理胴260の下部周辺を覆うように半円形状の処理胴網280が周設されている。こうして、扱胴220で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口270より処理室250内に搬送されて処理され、前記処理胴網280に設けられた孔(網目)を通過して処理物のみが漏下するようにしている。
【0020】
また、送塵口処理胴260の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽体260aが固設されている。該羽体260aは、該送塵口処理胴260と一体的に回転し、送塵口処理胴260により処理室250後方まで搬送されてきた藁屑は該羽体260aの回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴260の下方に排出され、図示せぬガイド板によって機体外部に案内される。
【0021】
前記処理胴網280の下方には、送塵搬送コンベア281が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア281はスクリュー式のコンベアであり、該送塵搬送コンベア281によって、処理胴網280に設けられた孔(網目)を通過して下方に落下してきた処理物は、機体前方(すなわち、送塵口処理胴260の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア281前端に設けられた排塵口281aより選別部16に再投入される。
【0022】
そして、前記扱胴220の後方には出口仕切板520が配設され、該出口仕切板520の下部であって扱胴受網230の延長線上後方には篩分装置119が配設されて、穂切れ粒等を選別して選別の向上が図られている。
【0023】
続いて、脱穀部15の受網230の構成について、図8及び図9を用いて説明する。
受網230は、グレンタンク17側(進行方向右側)を奥網290、フィードチェーン9側(進行方向左側)を手前網291として二分割されており、送塵口270始端の前後方向のラインY(図9参照)において、奥網290と手前網291とが連結部295にて連結されている。
【0024】
前記奥網290と手前網291の周囲は断面視L字状の枠により支持されており、前記連結部295において、奥網290及び手前網291の当接部には、扱胴220の径方向外側に向けて略直角に折り曲げて網枠290a及び291aがそれぞれ形成されており、この連結部295において、奥網290及び手前網291のいずれか一方の網枠よりピン292a・292a・292aが機体前後方向に略等間隔を隔てた位置において接線方向に突設され、また他方の網枠には前記ピン292aが突設される位置に対応して挿入孔が形成され、手前網291を押し込むことによりピン292aが挿入孔に嵌合して奥網290と手前網291とを連結する構成としている。なお、前記ピン292aを設ける位置や数は限定されるものではなく、また、この連結構成も限定されるものでなく、凹凸を嵌合させる構造等であってもよい。
【0025】
また、前記奥網290のグレンタンク17側にも前記網枠290aと同様にして網枠290bが形成されており、この網枠290bからはピン292b・292b・292bが機体前後方向の位置を前記ピン292aと略同じにして接線方向に突設され、これらピン292bを本機側に備えられる固定部材となる支持フレーム296に嵌合することで奥網290が本機に固定されるとともに、受網230が扱胴220下方において固定されるのである。
【0026】
図9に示すように、受網230は奥網290と手前網291とにより平面視略L字状に形成され、手前網291が前後方向に長くやや突出した構成としている。また、受網230は網枠293上に薄い金属製の板体294を固設して構成されており、この板体294には全面ほぼ均一に方形状の抜孔294aが穿設されて網目状に形成されている。そして、これらの抜孔294aを通じて、扱歯220a・220a・・・により受網230上に扱ぎ落された籾や藁屑等を漏下するようにしている。なお、本実施例においては、抜孔294aの形状を方形状としたが、丸や多角形等にしてもよい。
【0027】
上述したように平面視略L字状の受網230における突出部291cは、フィードチェーン9による穀稈搬送経路9aの後半部であり、扱胴220の後半部の下部に位置する。この突出部291cの上面には、金属製の板体等で形成される所定高さの仕切297が、扱胴220の回転による扱歯220aの移動方向と平行に、これら扱歯220aの間に位置するように機体前後方向に等間隔を隔てて複数突設されている。この仕切297が複数突設された突出部291cにおいて、フィードチェーン9によって搬送される穀稈は、仕切297によって上方へ浮き上がらされるとともに扱歯220a・220a・・・により下方に押え付けられるようになっており、穀稈に扱歯220a・220a・・・を当接させることができるようになっている。
【0028】
また、受網230は機体側方から着脱できるように構成されている。つまり、機体側方に対して開閉可能に構成されたフィードチェーンフレーム190を開放し、機体側方より機体側に設けられているフレーム298(図9参照)に設けたレールに沿って円弧状に引き出したり挿入したりして着脱可能としているのである。そのため、奥網290の前後の網枠293の連結部295側にはそれぞれストッパ299・299が設けられている。このストッパ299・299においては、網枠293に板状の部材の一部を山型に折り曲げて形成された板バネ299aをボルト等によって締結固定し、この板バネ299aを機体側のフレーム298に止め具299b等を用いて係止できるようにしており、メンテナンス等で手前網291を引き抜く際に奥網290がすべり落ちないようにしている。
【0029】
次に排気装置41について説明する。図4に示すように、排気装置41はエンジン34の排気マニホールド36に接続され、燃焼後の排気ガスを排出し、爆発に伴う排気音を低減させるものである。排気装置41は、排気サイレンサ42、テールパイプ61、外気導入部71を有している。
【0030】
前記排気サイレンサ42について説明すると、前記排気サイレンサ42は、エンジン34の排気マニホールド36に接続されて排気音を低減させるためのものである。図4に示すように、排気サイレンサ42は断面形状が略楕円の筒状体であり、一側部付近に排気ガス出口であるサイレンサ出口管43が設けられている。排気サイレンサ42はエンジンルーム32内に配置されており、エンジン34の上方において、冷却ファン35の排風が当たる位置に設けられている。排気サイレンサ42が冷却ファン35の排風が当たる位置に設けられているため、排気サイレンサ42が冷却されるとともに塵が溜まることも防止できる。また、図5に示すように、排気サイレンサ42は長手方向を機体13の左右方向に向け、かつ排気マニホールド36に対して機体13の左側方向にオフセットして配置されており、前記サイレンサ出口管43が機体13の進行方向左側となるように接続されている。
【0031】
次に前記テールパイプ61について説明する。前記テールパイプ61は、前記排気サイレンサ42の下流側に接続されてエンジン34からの排気ガスを排出するためのものである。テールパイプ61の全体形状は、図4から図6に示すように、排気サイレンサ42のサイレンサ出口管43に外嵌接続する部分である上流側端部62から機体13の後方に向けて延出している。また、該後壁となるエンジンルーム後カバー38の上端38a側と遮熱板50の下端側との間にはテールパイプ61の挿通口60を設けており、該挿通口60とテールパイプ61との間は所定の間隙を有するように配置している。そうしてテールパイプ61は前記挿通口60を抜けて延出し、エンジンルーム後部フレーム33の貫通部の後方で機体13の上方に向けて屈曲しつつ、かつ機体13の左側に向けて延出し、次に、グレンタンク17と脱穀部15の間の脱穀部15上部まで至ったところで再度機体13の後方に向けて水平方向に屈曲して後方へ延出し、本機(脱穀部15またはグレンタンク17)前後中央付近にテールパイプ61の下流側端部63を配置している。下流側端部63は、側面視で水平面に対して斜め上方に角度β(図4)屈曲し、かつ、平面視で前後方向に対して斜め左後方(フィードチェーン側)に角度α(図6)屈曲している。すなわち、排気ガスを下流側端部63(排気口)から機体13の上部で、横送りオーガ23と反対側の斜め左後上方へ排出するように配管されている。
また、前記テールパイプ61は、図1、図2に示すように、最も高い位置にある排出口の上端が横送りオーガ23の下端よりも低い位置となるように設けられている。
【0032】
図4に示すように、前記テールパイプ61は、外管64と内管65から構成される。内管65は排気サイレンサ42のサイレンサ出口管43に外嵌接続されて排気ガスが通過する部分であり、外管64は内管65との間に断熱層を形成する部分である。内管65と外管64はそれぞれ金属製の直管とエルボとで構成されており、外管64に内管65が内挿される。外管64に内挿された内管65の固定は、内管固定部材を内管65の外面と外管64の内面に溶接手段等で固定して、内管65と外管64との間に所定の間隙を確保して固定するようにしている。この内管65と外管64との間隙の部分が断熱層となる。前記間隙はテールパイプ61の上流側端部62から下流側端部63まで連通している。尚、本実施例ではテールパイプ61は外管64と内管65から構成される2重管としたが、内管65のみからなる1重管としてもよいし、あるいは、さらに外側にパイプを設けて3重管以上としてもよい。
【0033】
テールパイプ61の下流側端部63の形状は、外管64の端部の上流側に内管65の端部が位置するようにしており、テールパイプ61の下流側端部63において、外管64と内管65の端部位置に差を設けている。また、外管64の端部は斜めに切断して上部側が長くなるように突出させて、テールパイプ61内に雨水等が浸入し難い構成としている。テールパイプ61の下流側端部63において外管64と内管65の端部位置に差を設けているため、エンジン34が作動して排気ガスが内管65の下流端から排出されると、排気ガスの気流により、内管65後端と外管64との間に負圧が発生して、外管64前端と内管65前部との間から空気が吸入されて、内管65と外管64との間隙に下流方向の空気の流れが生じる。空気に流れが生じると間隙内部の換気が行われて間隙内部の空気の温度上昇は低く抑えられ、内管65と外管64の間の断熱効果が高くなる。このため、外管64の表面温度の上昇を低く抑えることができ、テールパイプ61に接近させてハーネス等が設置されても、ハーネス等への熱影響を防止することができる。また、テールパイプ61内に雨水等を浸入させ難くすることができる。
【0034】
エンジンルーム32側のテールパイプ61の上流側端部62での形状は、外管64の端部の上流側に内管65の端部65aが突出するようにしており、テールパイプ61の上流側端部62において、外管64と内管65の端部位置に差を設けている。尚、内管65と外管64との間の間隙は、テールパイプ61の上流側端部62において外気と連通しているため、テールパイプ61の下流側端部63から雨水等が浸入してきた場合でも、上流側端部62から水が排出される。このため、内管65と外管64との間隙を通じて排気サイレンサ42内部やエンジン34に雨水等が浸入することを防止できる。
【0035】
ここで、図3及び図6に示すように、テールパイプ61は、本機中央付近にて脱穀部15の扱室カバー15b上方に、かつ本機進行方向に対し左後方に角度α(以下、排出方向αという)に排出するように配管される形状であるとともに、テールパイプ61の下流側端部63は、本機前後左右中央付近に位置する。すなわち、テールパイプ61は、本機中央付近にて下流側端部63から排出方向αに排出することになる。また、図5に示すように、扱室カバー15bを最も開放した場合の高さよりも上方となるような角度γ(以下、排出方向γという)に排出するように配管される形状となっている。
【0036】
したがって、本機中央付近にて下流側端部63から排出するため、図3に示すように、本機周縁(ここでは、本機左後角部)までの寸法Aを長く取れ、そして、排出方向αに排出するため、オペレータから遠方へ排気ガスを排出でき、オペレータへの排気ガスの影響(具体的には、排ガスが吹き付けられたり、煤が付着したりする等)を少なくでき、本機右側に位置する排出オーガ21やグレンタンク17への排気ガスの影響も少なくできる。また、扱室カバー15bを最も開放したときの高さよりも上方に排気ガスを排出するため、扱室カバー15bに排気が当たらず汚れを防止することが可能となる。尚、本機左側への排出方向の角度αは30度以下とすることが好ましい。
【0037】
次に前記遮蔽板100について説明する。図10及び図11に示すように、前記遮蔽板100は正面視略へ字状にプレートが折り曲げ形成され、該遮蔽板100の右側端部は鉛直方向下方に折り曲げており、該右側から左下方に向けて傾斜して配設されている。また、前記遮蔽板100は平面視略長方形上であり、遮蔽板100の右側端部は扱室210の奥側(機体左右方向左側)の側板210b内面に当接されて固設されており、遮蔽板100の左側端部が前述した支持フレーム296の右側端部に固定され、扱室210の側板210bと支持フレーム296との間を塞ぐ大きさに形成されている。
【0038】
このように取り付けることによって、図11に示すように、遮蔽板100は、扱室210の上方の側板210b内面と支持フレーム296の右側端部との間に架設してその上方の隅部の空間を塞ぐように取り付けられ、扱室210の右上方隅部に所定の大きさの空間を設けるようにしている。このため、従来は脱穀作業により扱室210の側板210b内面と支持フレーム296との間の隙間を介して藁屑等の塵が隅部に進入し、堆積していたが、前述したように、上記隙間部分を遮蔽板100で塞ぐことで、隅部へ塵等の侵入を防ぐことを可能とし、塵等の堆積を防止できる。その結果、清掃も簡単に行えるようになる。なお、本実施例では遮蔽板100の形状を正面視略へ字状として扱室210の隅部を塞ぐ形状としているが、特にこの形状に限定するものではなく、例えば平板状や円弧状の遮蔽板等にする構成としてもかまわない。
【0039】
また、図11から図13に示すように前記遮蔽板100上面の前後方向中途部には、板材等で形成される仕切り板110が機体左右方向に平行に、機体前後方向に所定間隔を有しながら遮蔽板100上面に対して略直交する上方向に複数突設されており、仕切り板110の上端部と右側端部が扱室210の角部内面に当接している。また、仕切り板110の左下方の端部が断面視四角形状の支持フレーム296の右側面部に当接するように配置されている。前記仕切り板110の上端部近傍である扱室210右上部にはテールパイプ61の支持部材83が設けられており、該支持部材83を介して後述するようにテールパイプ61の横部61bが、支持されている。
【0040】
このように仕切り板110を遮蔽板100上面であって扱室210の右上方隅部と支持フレーム296の間に、遮蔽板100と直角方向に取り付けることによって、支持フレーム296の中途部を補強することができ、支持フレーム296のさらなる強度アップを図ることができる。さらに、扱室210の奥側(機体左右方向の右側)の角部内面を補強できるようになるため角部外側にテールパイプ61を支持部材83を介して取り付ける場合に安定してテールパイプ61を保持できるようになる。特に支持部材83近傍に集中して複数枚の仕切り板110を設けることで更なる補強が可能となる。また、遮蔽板100と角部との間に仕切り板110を配置して所定の大きさの空間を扱室210右上部に設けることで、断熱効果をもたせることが可能となり、テールパイプ61から発せられる熱等の影響を扱室210内部に直接伝えにくくするという利点を有している。なお、本実施例では仕切り板110を3枚取り付けているが、特に限定するものではない。
【0041】
次に、排気装置41の支持について説明する。図4及び図10に示すように、テールパイプ61は、支持部材82・83を介して脱穀部15で支持されるようにしている。前述のように、排気装置41を機体13の上方に配管、支持させると、排気装置41に藁屑等が堆積されにくくなる。また、テールパイプ61の脱穀部15での支持部では、テールパイプ61と脱穀部15との間隔を十分確保しており、テールパイプ61下部にハーネス、注油ホース等が配置されても、熱による影響を防ぐようにしている。
前記支持部材82はテールパイプ61の上下方向に延びる縦部61aを支持している。一方前記支持部材83はテールパイプ61の水平方向に延びる横部61bを支持している。複数箇所で支持することにより、より強固に脱穀部15で支持されることとなる。なお、本実施例では支持部材によって二箇所で支持しているが三箇所以上で支持する構成としてもよい。
【0042】
次に、穀稈搬送装置170について説明する。図8に示すように上述の脱穀部15の左側面部においては穀稈搬送装置170が配置されており、該穀稈搬送装置170は刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部14で刈り取った穀稈を排藁搬送装置320(図7参照)の排藁搬送チェーン10まで搬送するフィードチェーン9と、該フィードチェーン9上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆171と、該挟扼杆171を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体172・172・・・等とから構成されている。
【0043】
次に、前記挟扼杆171を覆うカバー部120について説明する。図14および図15に示すように、カバー部120は、正面視の断面形状上部が丸みを帯びており、上下方向中途部より下方に向けて鉛直方向に延出されるように形成されて、挟扼杆171の略上半分を被覆する形状である。また、カバー部120の前部には、機体進行方向を指示するサイドターンランプ121と、エンジン34を緊急停止する緊急停止スイッチ122が上下に所定間隔を有して配置されている。
【0044】
前記サイドターンランプ121及び緊急停止スイッチ122は、挟扼杆171を支持している内部側板175に支持ステー123を介して取り付けられている。具体的には、サイドターンランプ121のカプラー及びハーネス等のある背面部をクランク状の固定プレート124の一側に固定し、他側を前記支持ステー123の一側にボルト締結している。同様に、緊急停止スイッチ122もカプラー及びハーネス等のある背面部をクランク状の固定プレート125の一側に固定し、他側を前記支持ステー123の一側にボルト締結している。該支持ステー123の他側は挟扼杆171を支持している支持フレーム174の上部近傍の内部側板175に取り付けられる。また、カバー部120は前記サイドターンランプ121及び緊急停止スイッチ122の左側の一部を挿通して突出するための挿通孔126・127を設けており、緊急停止スイッチ122の挿通孔126の形状は円形であり、挿通孔126の周囲をバーリング加工して縁部128を形成している。こうしてカバー部120を脱着自在になるように脱穀部15側面に取り付けている。尚、カバー部120の形状は、本実施例に限定するものではなく、挟扼杆171、前記サイドターンランプ121及び緊急停止スイッチ122等を被覆できればよい。
【0045】
このように取り付けることによって、カバー部120を脱着する場合にハーネス類を取り外したり、接続しなおしたりする必要がないため、カバー部120を外して詰まり対応等のメンテナンスを容易に行うことが可能である。また、組み立て時にハーネスの接続忘れ等によるトラブルが未然に防止できる。また、サイドターンランプ121や緊急停止スイッチ122等に干渉することなくカバー部120の脱着を可能とし、ランプ損傷等を防止できる。さらに、挿通孔126に縁部128を形成することで挿通孔126の強度確保を可能とする。
【0046】
以上のように、本実施例のコンバイン11は、扱室210内に扱胴220を回転自在に支持し、該扱胴220の下側外周を受網230で覆い、該受網230を着脱可能とした脱穀装置において、フィードチェーン9と反対側の受網230の奥側である奥網290を支持する支持フレーム296と扱室210の奥側の側板210b内面との間に遮蔽板100を配置したものである。このように構成することにより、扱室210の奥側の上方隅部への塵の進入を防ぎ、塵堆積を防止できる。また、清掃が簡単に行えるようになる。
【0047】
また、前記遮蔽板100と支持フレーム296と扱室210の奥側の角部内面に、前記遮蔽板100と直角方向に複数の仕切り板110を設けたものである。このように構成することにより、支持フレーム296の強度をアップすることができる。
【0048】
また、前記仕切り板110を、エンジン34の排気サイレンサ42からの排気ガスを機体外部に放出するテールパイプ61を扱室210の上部で支持するために設ける支持部材83の近傍に配置したものである。このように構成することにより、テールパイプ61取付部の強度向上が図れる。また、熱源となるテールパイプ61近傍への可燃物の進入を遮蔽板により遮断でき、断熱空間を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コンバイン11の全体側面図。
【図2】コンバイン11の正面図。
【図3】コンバイン11の平面図。
【図4】排気装置41の側面簡略図。
【図5】排気装置41の正面簡略図。
【図6】排気装置41の平面簡略図。
【図7】脱穀部15および選別部16の左側面模式図。
【図8】扱室210を示す正面図。
【図9】受網230を示す展開図。
【図10】脱穀部15とテールパイプ61を示す正面図。
【図11】遮蔽板100を示す正面断面図。
【図12】同じく平面図。
【図13】扱室210を示す右側面図。
【図14】カバー部120を示す側面図。
【図15】同じく正面断面図。
【符号の説明】
【0050】
9 フィードチェーン
11 コンバイン
13 機体
34 エンジン
42 排気サイレンサ
61 テールパイプ
82・83 支持部材
100 遮蔽板
110 仕切り板
210 扱室
210b 側板
220 扱胴
230 受網
290 奥網
296 支持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室内に扱胴を回転自在に支持し、該扱胴の下側外周を受網で覆い、該受網を着脱可能とした脱穀装置において、フィードチェーンと反対側の受網の奥側を支持する支持フレームと扱室の奥側の側板内面との間に遮蔽板を配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記遮蔽板と支持フレームと扱室の奥側の角部内面に、前記遮蔽板と直角方向に複数の仕切り板を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記仕切り板を、エンジンのサイレンサからの排気ガスを機体外部に放出するテールパイプを扱室の上部で支持するために設ける支持部材の近傍に配置したことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−99594(P2008−99594A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284367(P2006−284367)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】