説明

コンバイン

【課題】メインフレーム部に溶接される取付部材の数を削減して、メインフレーム部の形状を簡略化すると共に、溶接箇所を減らして機体フレームのコストダウンを図る。
【解決手段】機体フレーム7に各種の部品を組付けて構成されるコンバイン1において、機体フレーム7は、走行部6が組付けられるトラックフレーム部7aと、トラックフレーム部7aの上部に一体的に設けられ、エンジン10などが組付けられるメインフレーム部7bとを備えており、トラックフレーム部7aは、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームで構成される一方、メインフレーム部7bは、プレート材を絞り加工して成形したプレートフレームで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎稈の刈り取り、穀粒の脱穀及び選別などを行うコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
茎稈の刈り取り、穀粒の脱穀及び選別などを行うコンバインが広く普及している。この種のコンバインは、機体フレームに各種の部品(アッセンブリやユニットを含む)を組付けて構成されており、機体フレームには、各種の部品を組付けるための取付部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来例に係る機体フレームを斜め上方から見た斜視図である。この図に示すように、コンバインの機体フレーム101は、走行装置が組付けられるトラックフレーム部101aと、トラックフレーム部101aの上部に一体的に設けられ、エンジンなどが組付けられるメインフレーム部101bとを備えている。トラックフレーム部101a及びメインフレーム部101bは、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームからなり、メインフレーム部101bには、取付部材102〜109を溶接して各種部品の取付部が構成されている。具体的には、操縦部取付部材102、穀粒タンク取付部材103、脱穀部取付部材104、リフトフレーム取付部材105、リフトシリンダ取付部材106、エンジン取付部材107、オイルタンク取付部材108、搬送系変速ケース取付部材109などがメインフレーム部101bに溶接されている。
【特許文献1】特開2006−94724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機体フレームは、取付部材の数が多いため、形状が複雑なだけでなく、溶接箇所が多くコストアップを招くという問題がある。特に、機体フレームの前側は、リフトフレーム、リフトシリンダ、エンジン、オイルタンク、搬送系変速ケースなどの多くの部品が組み付けられるため、取付部材の数が多くなっており、形状が複雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体フレームに各種の部品を組付けて構成されるコンバインにおいて、前記機体フレームは、少なくとも走行装置が組付けられるトラックフレーム部と、該トラックフレーム部の上部に一体的に設けられ、少なくともエンジンが組付けられるメインフレーム部とを備え、前記トラックフレーム部は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームで構成され、前記メインフレーム部は、プレート材を絞り加工して成形したプレートフレームで構成されることを特徴とする。このようにすると、メインフレーム部(プレートフレーム)に絞り加工で複数の部品取付部を形成することができるので、メインフレーム部に溶接される取付部材の数を削減することができる。その結果、メインフレーム部の形状を簡略化できるだけでなく、溶接箇所を減らして機体フレームのコストダウンが図れる。
また、前記メインフレーム部は、プレートフレームを上下2枚重ねて構成されることを特徴とする。このようにすると、プレートフレームであっても大きな強度を確保し、メインフレーム部の強度低下を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯留する穀粒タンク4と、オペレータが乗車する操縦部5と、クローラ走行装置からなる走行部6とを備えて構成されている。
【0007】
図2〜図5は、コンバイン1の機体フレーム7を示している。図2に示すように、機体フレーム7には、前述した脱穀部3、穀粒タンク4、操縦部5及び走行部6に加えて、リフトフレーム8、リフトシリンダ9、エンジン10、オイルタンク11、搬送系変速ケース12などの多くの部品が組み付けられる。
【0008】
本発明の機体フレーム7は、走行部6が組付けられるトラックフレーム部7aと、該トラックフレーム部7aの上部に一体的に設けられ、エンジン10などが組付けられるメインフレーム部7bとを備えている。トラックフレーム部7aは、従来と同様、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームで構成されるが、メインフレーム部7bは、プレート材を絞り加工して成形したプレートフレームで構成されている。
【0009】
機体フレーム7をこのように構成すると、メインフレーム部(プレートフレーム)7bに絞り加工で複数の部品取付部を形成することができるので、メインフレーム部7bに溶接される取付部材の数を削減することができる。その結果、メインフレーム部7bの形状を簡略化できるだけでなく、溶接箇所を減らして機体フレーム7のコストダウンが図れる。
【0010】
メインフレーム部7bは、プレートフレームを上下2枚重ねて構成されることが好ましい。このようにすると、プレートフレームであっても大きな強度を確保し、メインフレーム部7bの強度低下を回避することができる。以下、本実施形態に係る機体フレーム7のメインフレーム部7bについて、詳細に説明する。
【0011】
本実施形態に係る機体フレーム7のメインフレーム部7bは、4つのプレートフレーム13〜16を溶接して構成されている。具体的には、メインフレーム部7bの前側上部を構成する前上プレートフレーム13と、メインフレーム部7bの前側下部を構成する前下プレートフレーム14と、メインフレーム部7bの後側上部を構成する後上プレートフレーム15と、メインフレーム部7bの後側下部を構成する後下プレートフレーム16とを備えて構成されている。
【0012】
前上プレートフレーム13及び後上プレートフレーム15は、プレート材を深絞りして成形されており、前下プレートフレーム14及び後下プレートフレーム16は、プレート材を浅絞りして成形されている。浅絞りされた前下プレートフレーム14は、深絞りされた前上プレートフレーム13の下部開口を塞ぐように重合され、スポット溶接により一体化される。また、浅絞りされた後下プレートフレーム16は、深絞りされた後上プレートフレーム15の下部開口を塞ぐように重合され、スポット溶接により一体化される。そして、前上プレートフレーム13と前下プレートフレーム14からなるメインフレーム前側アッシー7cの後端部と、後上プレートフレーム15と後下プレートフレーム16からなるメインフレーム後側アッシー7dの前端部とをスポット溶接により一体的に連結することで、メインフレーム部7bが構成されるようになっている。
【0013】
メインフレーム前側アッシー7cの後端部と、メインフレーム後側アッシー7dの前端部とをスポット溶接する際には、両アッシー7c、7dを単に突き合せて溶接するのではなく、図5に示すように、一方のアッシー7c、7dの一部を他方のアッシー7d、7cにオーバーラップするよう延長形成し、該オーバーラップ部分をスポット溶接することが好ましい。例えば、メインフレーム前側アッシー7cを構成する前上プレートフレーム13及び前下プレートフレーム14の後端部をメインフレーム後側アッシー7dの前端部にスポット溶接するにあたり、図5に示すように、前上プレートフレーム13の後端部に、メインフレーム後側アッシー7dの後上プレートフレーム15上にオーバーラップする延長部13aを形成し、該延長部13aを後上プレートフレーム15にスポット溶接する。このようにすると、アッシー7c、7dを単に突き合せて溶接する場合に比べ、アッシー7c、7dの連結強度を高め、メインフレーム部7bの剛性アップを図ることができる。
【0014】
なお、本実施形態では、メインフレーム部7bを4枚のプレートフレーム13〜16で構成しているが、前後に分割することなく上下2枚のプレートフレームでメインフレーム部7bを構成したり、5枚以上のプレートフレームでメインフレーム部7bを構成してもよい。
【0015】
次に、機体フレーム7に形成される各種部品の取付部について順次説明する。
【0016】
操縦部取付フレーム17、リフトシリンダ取付部材(図示せず)及びオイルタンク取付部材18は、メインフレーム部7bに溶接されており、これらの取付部材17、18に操縦部5、リフトシリンダ9及びオイルタンク11が組付けられる。尚、プレートフレーム14に対する取付部材17、18の溶接は、メインフレーム部7bの組み立てる以前、以降のいずれであっても良い。
【0017】
リフトフレーム取付部13b、エンジン取付部13c及び搬送系変速ケース取付部13dは、メインフレーム部7b(前上プレートフレーム13)に絞り加工で成形されており、これらの取付部13b〜13dにリフトフレーム8(前処理部連結フレーム)、エンジン10及び搬送系変速ケース12が組付けられる。なお、本実施形態のコンバイン1は、左右一対のリフトフレーム8L、8Rを備えると共に、右側のリフトフレーム8Rを搬送系変速ケース12の支持部材に兼用しているので、右側のリフトフレーム取付部13bは、搬送系変速ケース取付部13dとしても機能することになる。
【0018】
なお、本実施形態のメインフレーム部7bには、各種の部品を組付けるための取付部13b〜13dが一体成形されているが、部品の一部をメインフレーム部7bに一体成形するようにしても良い。例えば、脱穀部3の枠部や穀粒タンク4の下部をプレート材の絞り加工で成形し、メインフレーム部7bと一体化することができる。このようにすると、部品点数や組立工数を削減してコストダウンが図れるだけでなく、立体的な構造部の付加によりメインフレーム部7bの強度も向上させることができる。
【0019】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、機体フレーム7に各種の部品を組付けて構成されるコンバイン1において、機体フレーム7は、走行部6が組付けられるトラックフレーム部7aと、トラックフレーム部7aの上部に一体的に設けられ、エンジン10などが組付けられるメインフレーム部7bとを備えており、トラックフレーム部7aは、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームで構成される一方、メインフレーム部7bは、プレート材を絞り加工して成形したプレートフレームで構成されるので、メインフレーム部7b(プレートフレーム)に絞り加工で複数の部品取付部を形成することができる。その結果、メインフレーム部7bに溶接される取付部材の数を削減し、メインフレーム部7bの形状を簡略化できるだけでなく、溶接箇所を減らして機体フレーム7のコストダウンが図れる。
【0020】
また、メインフレーム部7aは、プレートフレームを上下2枚重ねて構成されるので、プレートフレームであっても大きな強度を確保し、メインフレーム部7bの強度低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】各種の部品が搭載された機体フレームの斜視図である。
【図3】機体フレームの斜視図である。
【図4】メインフレーム部の分解斜視図である。
【図5】メインフレーム部のA−A断面図である。
【図6】従来例に係る機体フレームを斜め上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
4 穀粒タンク
5 操縦部
6 走行部
7 機体フレーム
7a トラックフレーム部
7b メインフレーム部
8 リフトフレーム
9 リフトシリンダ
10 エンジン
11 オイルタンク
12 搬送系変速ケース
13〜16 プレートフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに各種の部品を組付けて構成されるコンバインにおいて、
前記機体フレームは、
少なくとも走行装置が組付けられるトラックフレーム部と、
該トラックフレーム部の上部に一体的に設けられ、少なくともエンジンが組付けられるメインフレーム部とを備え、
前記トラックフレーム部は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームで構成され、
前記メインフレーム部は、プレート材を絞り加工して成形したプレートフレームで構成される
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記メインフレーム部は、プレートフレームを上下2枚重ねて構成されることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−159894(P2009−159894A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1091(P2008−1091)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】