説明

コンバイン

【課題】煩雑な作業を必要とせずに、排藁を結束することも切断することもなく排出することができるコンバインを提供する。
【解決手段】排藁を所定の長さに切断する排藁切断装置20と、排藁切断装置20の後方に配置され、排藁を所定の量ずつ結束紐54aで結束する結束装置30と、を具備するコンバイン1であって、結束装置30の一側部を枢支し、他側を後方に回動可能に構成することによって、結束装置30を排藁切断装置20と離間可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関する。より詳細には、コンバインの後部に設けられ、排藁を結束紐により結束した後に排出する結束装置の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの脱穀装置により脱穀された後の排藁を、結束紐により結束する結束装置の技術は知られている。結束装置の一つには、脱穀装置から搬送されてきた排藁を横倒れ姿勢で収容する収容空間の上側に結節部および放出アーム等を具備するとともに、前記収容空間の下側にパッカー及び結束紐供給用のニードル等を具備し、かつ、前記収容空間の出口側に収容圧感知用のドアを具備したものがある。
【0003】
一般的に、結束装置は、排藁切断装置の後方に配置される。前記排藁切断装置は、排藁を所定の長さに切断して排出する装置である。排藁は、切断切替カバーが開閉操作されることにより、前記結束装置又は前記排藁切断装置のいずれか一方に供給される。排藁が前記結束装置に供給された場合は、当該排藁は結束された後に排出される。また、排藁が前記排藁切断装置に供給された場合は、当該排藁は所定の長さに切断された後に排出される。
【0004】
前記結束装置及び前記排藁切断装置を具備するコンバインにおいて、排藁を結束することも切断することもなく排出するためには、前記結束装置を構成する部品のうちいくつかを取り外す、又は配置を変更する必要がある。具体的には、前記ドアを取り外したり、結束紐を取り外したり(又は切断したり)する必要がある。これにより、前記結束装置に供給される排藁は、結束されることがないまま前記結束装置を通過して圃場へと排出されることになる。
また、コンバインから前記結束装置自体を取り外すことで、前記排藁切断装置に供給されなかった排藁を、結束することなく排出することができる。このように、取り外し可能に構成される結束装置は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の技術の如くである。
【特許文献1】特開2006−230240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の如く結束装置の部品を取り外す(又は配置を変更する)構成や、結束装置自体を取り外す構成では、取り外し等の作業が煩雑であり、作業効率の低下を招く点で不利であった。また、取り外した部品を紛失するおそれや、取り外した部品や結束装置を保管するためのスペースを確保する必要がある点で不利であった。さらに、部品を取り外した結束装置を通過させて排藁を排出する場合、前記結束装置を通過する際に排藁の姿勢が乱れてしまう点で不利であった。
【0006】
本発明は上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、煩雑な作業を必要とせずに、排藁を結束することも切断することもなく排出することができるコンバインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、排藁を所定の長さに切断する排藁切断装置と、前記排藁切断装置の後方に配置され、排藁を所定の量ずつ結束紐で結束する結束装置と、を具備するコンバインであって、前記結束装置は前記排藁切断装置と離間可能に構成されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記結束装置は、前記結束装置の左右いずれか一側部に回動支点が設けられて枢支され、他側が後方に回動可能に構成されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記結束装置は、前後方向に摺動可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1の如く構成したので、排藁を、離間した排藁切断装置と結束装置との間隙から排出することが可能となる。これによって、多数の結束装置の部品の取り外しや、結束装置自体の取り外し等の煩雑な作業を行うことなく、排藁を排出することが可能となる。また、排藁の姿勢を乱すことなく排出することが可能となる。また、排藁切断装置と結束装置の間に排藁が詰まった場合でも容易に解除して、詰まった藁を除去でき、メンテナンス性を向上できる。
【0013】
請求項2の如く構成したので、結束装置を後方に回動させる作業を行うだけで、排藁を排出することが可能となる。これによって、多数の結束装置の部品の取り外しや、結束装置自体の取り外し等の煩雑な作業を行うことなく、簡単な作業を行うだけで排藁を排出することが可能となる。また、排藁の姿勢を乱すことなく排出することが可能となる。
【0014】
請求項3の如く構成したので、結束装置を後方に摺動させる作業を行うだけで、排藁を排出することが可能となる。これによって、多数の結束装置の部品の取り外しや、結束装置自体の取り外し等の煩雑な作業を行うことなく、簡単な作業を行うだけで排藁を排出することが可能となる。また、排藁の姿勢を乱すことなく排出することが可能となる。さらに、排藁切断装置と結束装置との間隙を左右方向に亘って均一にすることができる。これにより、排出される排藁を結束装置に当てることなく確実に排出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係るコンバインの実施の一形態であるコンバイン1について、図面を参照して説明する。
【0016】
まず、図1及び図2を用いてコンバイン1の概略構成について説明する。
コンバイン1は稲の収穫作業、より詳細には、圃場を走行しつつ圃場から穀稈を刈取り、穀粒を脱穀する。本実施形態のコンバイン1は、刈取られた穀稈のうち、穀粒の付いた穂先部のみを脱穀する自脱型のコンバインである。
コンバイン1は、主として刈取り装置2、脱穀装置3、選別装置4、排藁処理装置5等を具備する。
【0017】
刈取り装置2は、コンバイン1の前部に配置される。刈取り装置2は、引起し装置や下部搬送装置や穂先搬送装置や刈刃等を具備し、圃場から穀稈を刈取り、当該穀稈を脱穀装置3へと渡す。
脱穀装置3は、刈取り装置2の後方に配置される。脱穀装置3は、主としてフィードチェーン3a、扱胴3b等を具備する。脱穀装置3は、フィードチェーン3aにより、刈取り装置2から受け取った穀稈を横に倒した状態で前方から後方へと搬送しながら、扱胴3bの回転により、穀稈から穀粒を分離(脱穀)する。
選別装置4は、脱穀装置3の下方に配置される。選別装置4は、脱穀装置3によって脱穀された穀粒に混じった藁屑や塵挨等を、風力選別や揺動選別により分離する。
排藁処理装置5は、脱穀装置3の後方に配置される。排藁処理装置5は、フィードチェーン3aから受け取った脱穀された穀稈(以下、単に「排藁」と記す)を排藁チェーン5aにより後方へ搬送し、所定の処理を施す。
【0018】
選別装置4により藁屑等と分離された精粒は、揚穀筒6を経て脱穀装置3の右方に設けられたグレンタンク7に搬入され、貯溜される。グレンタンク7には排出オーガ8が連通接続される。排出オーガ8を作動することにより、グレンタンク7に貯溜された精粒を、排出オーガ8を経てグレンタンク7の外部に搬出することが可能である。
グレンタンク7の前方には、オペレータがコンバイン1を運転するための運転部9が配置される。
【0019】
以下では、図2から図4を用いて排藁処理装置5の構成について説明する。排藁処理装置5は、主として排藁切断装置20、結束装置30、排藁放出装置60等を具備する。
【0020】
排藁切断装置20は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を所定の長さに切断する。図3に示すように、排藁切断装置20は、主として高速回転軸21、高速回転刃22、低速回転軸23、低速回転刃24、切断切替カバー25等を具備する。
【0021】
高速回転軸21及び低速回転軸23は、排藁チェーン5aの終端部の下方に配置される。高速回転軸21及び低速回転軸23は互いに平行に左右方向に横架される。高速回転軸21及び低速回転軸23上には、それぞれ円板状の高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・が互いに交互に並ぶように固設される。
【0022】
高速回転軸21の左端部には、高速ギア21a、入力プーリ21b、出力プーリ21cが具備される。入力プーリ21bには、コンバイン1のエンジンからの動力を伝達する入力ベルト21dが巻回される。低速回転軸23の左端部には、低速ギア23aが具備され、高速ギア21aと歯合される。
高速回転軸21は、入力ベルト21d及び入力プーリ21bを介して伝達されるコンバイン1のエンジンからの動力により、左側面視で反時計回りに回転される。低速回転軸23は、高速ギア21a及び低速ギア23aを介して伝達される動力により、左側面視で時計回りに回転される。また、高速回転軸21は低速回転軸23よりも高速で回転されるよう構成される。
【0023】
切断切替カバー25は、高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・を上方から覆うように配置される。切断切替カバー25の後部は、左右方向に枢支された回動支点軸25aに固設される。
【0024】
回動支点軸25aは図示しないアームやワイヤー等を介して運転部9付近に設けた切替レバーと連結される。当該切替レバーを操作することにより、切断切替カバー25を開閉することができる。切断切替カバー25が開放され、排藁チェーン5aの下方に配置される図示せぬ挟扼杆が縮められた場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は切断切替カバー25の下方へと投入される。切断切替カバー25が閉鎖され、前記挟扼杆が伸ばされた場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は、結束装置30へと搬入される。
切断切替カバー25が開放され、切断切替カバー25の下方へと搬入された排藁は、回転する高速回転刃22及び低速回転刃24により所定の長さに切断され、排藁切断装置20の下方から圃場へと排出される。
【0025】
結束装置30は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を結束する。図3に示すように、結束装置30は、主として結束装置ケース31、動力伝達ケース32、株元搬送部40、結束部50等を具備する。株元搬送部40及び結束部50は、結束装置ケース31内に配置される。
【0026】
株元搬送部40は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を左右方向に向けたまま株元端を揃えて、結束部50へ搬送する。株元搬送部40は、主として結束入力軸41、ギアボックス42、支持板43、タイン44、株元揃え板45等を具備する。
【0027】
結束入力軸41は、左右方向に枢支される。結束入力軸41の左端部は、結束装置30の左側部に配置される動力伝達ケース32内に延設される。結束入力軸41の左端部には、結束入力プーリ41aが具備さる。結束入力プーリ41aと出力プーリ21cとの間に巻回される結束入力ベルト41bにより、コンバイン1のエンジンからの動力が結束入力軸41へと伝達される。
【0028】
ギアボックス42の下面には支持板43が固設される。支持板43の後端部及び前端部には図示しない駆動スプロケット及び従動スプロケットが枢支される。前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットの間には図示しないチェーンが巻回され、当該チェーンの外周部にタイン44・44・・・が支持される。結束入力軸41により伝達される動力によって、ギアボックス42内のギア等を介して前記駆動スプロケットが回転し、これによりタイン44・44・・・が平面視時計回りに回転する。
【0029】
株元揃え板45は、回動支点45aに枢支される。株元揃え板45の前端は、タイン44の回転後端部まで延出される。株元揃え板45は、結束入力軸41により伝達される動力によって、図示しないリンク機構を介して左右方向に揺動駆動される。
【0030】
排藁切断装置20の切断切替カバー25が閉鎖されている(高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・を上方から覆っている)場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁を、切断切替カバー25の上方を経て結束装置30の株元搬送部40へと搬入することができる。
株元搬送部40へと搬入された排藁は、回転するタイン44・44・・・に押されて後方へ搬送される。タイン44・44・・・の回転後端部において、揺動駆動される株元揃え板45によって排藁の株元端が叩かれて揃えられながら、当該排藁は結束部50へと搬送される。
【0031】
結束部50は、株元搬送部40により搬送されてきた排藁を所定量ずつ結束する。図3及び図4に示すように、結束部50は、主としてパッカー51、ドア52、ニードル53、結束紐ケース54、結節部55、放出アーム56等を具備する。結束部50は、結束入力軸41により伝達される動力によって駆動される。
【0032】
パッカー51は、株元搬送部40により搬送されてきた排藁を、当該排藁を一時的に収容するための収容空間に掻き込む。
ドア52は、前記収容空間の出口(前記収容空間の後部)を閉鎖する。所定量の排藁が前記収容空間に収容されると、ドア52は、前記収容空間の出口を開放する。
ドア52が開放されるとニードル53が回動され、結束紐ケース54内に収容される結束紐54aを、前記収容空間に収容されていた排藁に巻き付けながら結節部55へと供給する。
結節部55は、排藁に巻き付けられた結束紐54aを結節する。結束紐54aにより結束された排藁は、放出アーム56により前記収容空間の出口から掻き出され、排藁放出装置60へと受け渡される。
【0033】
排藁放出装置60は、結束装置30により結束された排藁を外部(圃場)へと放出する。図2及び図4に示すように、排藁放出装置60は、結束装置30の後方に配置される。排藁放出装置60は、主として放出ガイド61、放出部62等を具備する。
【0034】
放出ガイド61は、結束装置30の後方に配置される。
放出部62は、放出ガイド61と対向するように放出ガイド61の右方に配置される。放出部62の前部及び後部には、それぞれ図示しない放出駆動スプロケット及び放出従動スプロケットが具備される。前記放出駆動スプロケット及び前記放出従動スプロケットの間には、図示しない放出チェーンが巻回される。前記放出チェーンの外周部には、放出タイン62a・62a・・・が支持される。コンバイン1のエンジンからの動力により前記放出駆動スプロケットが回転することにより、放出タイン62a・62a・・・は平面視反時計回りに回転される。
【0035】
結束装置30により結束された排藁は、放出ガイド61と放出部62とに挟持されるように排藁放出装置60へと受け渡される。当該排藁は、回転する放出タイン62a・62a・・・に押されることにより、放出ガイド61に沿って後方へ搬送され、排藁放出装置60の後端から圃場へと放出される。
【0036】
以下では図5及び図6を用いて、結束装置30を排藁切断装置20と離間可能にするための構成について説明する。
【0037】
結束装置30は、結束装置側支持フレーム70に固設されている。結束装置側支持フレーム70は、主として側部支持部材71、上部支持部材72、等を具備する。
【0038】
側部支持部材71は、矩形断面を有する棒状の部材である。側部支持部材71は、長手方向が前後方向と平行となるように、結束装置ケース31の右方に配置される。側部支持部材71の前端には取付部材を介して回動支点71aが固設され、排藁切断装置20の右側面に固設された回動支点基部71bに枢支される。
なお、回動支点基部71bは排藁切断装置20の左側面に固設し、側部支持部材71を結束装置30の左方に配置する構成としてもよい。
【0039】
上部支持部材72は、矩形断面を有する棒状の部材である。上部支持部材72は、結束装置30(結束装置ケース31)の上部に固設される。上部支持部材72は、側部支持部材71の後端と動力伝達ケース32の前後方向中途部とを連結する。上部支持部材72の左端には、側面視L字状に構成した固定用プレート72aが固設され、排藁切断装置20の左端後部に固設した平面視L字状の固定ブラケット20aにボルト等で固設される。動力伝達ケース32の下側部には、動力伝達ケース32と後述する機体側支持フレーム80とを締結するための板状の部材である締結部32aが固設される。
【0040】
上記の如く結束装置側支持フレーム70を構成することにより、結束装置側支持フレーム70により結束装置30が支持される。また、結束装置30を回動支点71aを中心に後方に回動させることが可能となる。
【0041】
一方、排藁切断装置20の後部には、機体側支持フレーム80が後方に突設される。機体側支持フレーム80は、平面視略C字状に形成された部材である。機体側支持フレーム80は、結束装置30の下方に配置される。機体側支持フレーム80の一端は、排藁切断装置20の右側面に固設される。機体側支持フレーム80の他端は、排藁切断装置20の左端部の後面に固設される。機体側支持フレーム80には、結束装置30を後方に回動した時(開放時)に、機体側支持フレーム80と動力伝達ケース32とを締結するための板状の部材である締結部80aが固設される。
【0042】
以下では、図5及び図6を用いて、上記の如く構成された結束装置30の回動の態様について説明する。
【0043】
排藁を排藁切断装置20により切断して排出する場合、又は結束装置30により結束して排出する場合は、排藁切断装置20の後面と結束装置30の前面とを当接させた状態で固定する必要がある。この場合、動力伝達ケース32の前面と排藁切断装置20の後面とを当接させた状態で、固定用プレート72aと固定ブラケット20aとを締結部材となるボルトで連結固定することで、排藁切断装置20の後面と結束装置30の前面とを当接させた状態で固定することができる(図5参照)。
【0044】
排藁を切断することも結束することもなく圃場に排出する場合は、排藁切断装置20の後面と結束装置30の前面とを離間させる必要がある。この場合、まず、動力伝達ケース32の前面と排藁切断装置20の後面とを締結する締結部材及び結束入力ベルト41bを取り外す。次に、回動支点71aを支点として、結束装置30を後方へ回動させる(図6の黒塗り矢印参照)。結束装置30を所定角度だけ後方に回動させた状態で、動力伝達ケース32の締結部32aと機体側支持フレーム80の締結部80aとに形成した締結孔を一致させて、締結部材となるボルトを挿入して締結することで、結束装置30を固定することができる(図6参照)。こうして排藁切断装置20と結束装置30の間に排藁が落下することができる空間が形成される。この状態において、ドア52が閉鎖されている場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は、排藁切断装置20と結束装置30との間隙から圃場へと排出される。
【0045】
上記の如く、結束装置30を回動させることで、排藁切断装置20と結束装置30とを離間可能な構成とすることにより、排藁を、離間した排藁切断装置20と結束装置30との間隙から排出することが可能となる。これによって、多数の結束装置30の部品の取り外しや、結束装置30自体の取り外し等の煩雑な作業を行うことなく、排藁を排出することが可能となる。さらに、排藁が結束装置30を通過することがないため、排藁の姿勢を乱すことなく排出することが可能となる。また、排藁切断装置20と結束装置30との間に排藁が詰まった場合でも、詰まった排藁を容易に除去でき、メンテナンス性の向上を図ることが可能となる。
【0046】
なお、結束装置30を後方に回動させるための構成は、上記の結束装置側支持フレーム70及び機体側支持フレーム80を用いるものに限らない。つまり、結束装置30を後方に回動させることが可能な構成であればよく、当該回動の支点は、機体の左右いずれに配置する構成としてもよい。
【0047】
以下では、図7を用いて本発明に係る結束装置の取り付け構造の他の実施形態について説明する。なお、前述の実施形態と略同一の構成の部材には、同じ部材番号を付して説明を省略する。
【0048】
結束装置30は、結束装置側支持フレーム170に固設されている。結束装置側支持フレーム170は、主として上部支持部材171、摺動部材172等を具備する。
【0049】
上部支持部材171は、矩形断面を有する棒状の部材である。上部支持部材171は、結束装置30(結束装置ケース31)の上部に左右方向に亘って固設される。上部支持部材171の両端には、摺動部材172・172がそれぞれ固設される。
【0050】
一方、排藁切断装置20の後部には、機体側支持フレーム180が固設される。機体側支持フレーム180は、主として機体側右側方支持部材181、機体側左側方支持部材182等を具備する。
【0051】
機体側右側方支持部材181は、矩形断面を有する棒状の部材である。機体側右側方支持部材181は、長手方向が前後方向と平行となるように、結束装置ケース31の右方に配置される。機体側右側方支持部材181の前端は、ブラケット181aを介して排藁切断装置20の右側面に固設される。
【0052】
機体側左側方支持部材182は、矩形断面を有する棒状の部材である。機体側左側方支持部材182は、長手方向が前後方向と平行となるように、結束装置30の左方に配置され、排藁切断装置20の後端に固設される。
【0053】
上部支持部材171の右端は、摺動部材172を介して機体側右側方支持部材181に前後に摺動可能に支持される。上部支持部材171の左端は、摺動部材172を介して機体側左側方支持部材182に前後に摺動可能に支持される。
【0054】
上記の如く構成することで、結束装置30は、前後方向に摺動することが可能となる。
排藁を、排藁切断装置20により切断して排出する場合、又は結束装置30により結束して排出する場合は、図7に想像線で示すように、排藁切断装置20の後面と結束装置30の前面とを当接させた状態で図示しない締結部材により固定する。
【0055】
排藁を、切断することも結束することもなく圃場に排出する場合は、結束装置30を後方へ摺動させ図示しない締結部材により固定する(図7の黒塗り矢印参照)。これによって、排藁切断装置20の後面と結束装置30の前面とを離間させることができる。この状態において、ドア52が閉鎖されている場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は、排藁切断装置20と結束装置30との間隙から圃場へと排出される。なお、機体側右側方支持部材181と機体側左側方支持部材182とを伸縮させる構成として、結束装置30を前後に平行移動させる構成とすることも可能である。
【0056】
上記の如く、結束装置30を前後に平行に摺動させることで、排藁切断装置20と結束装置30とを離間可能な構成とすることにより、排藁を、離間した排藁切断装置20と結束装置30との間隙から排出することが可能となる。これによって、多数の結束装置30の部品の取り外しや、結束装置30自体の取り外し等の煩雑な作業を行うことなく、排藁を排出することが可能となる。さらに、排藁が結束装置30を通過することがないため、排藁の姿勢を乱すことなく排出することが可能となる。また、排藁切断装置20と結束装置30との間に排藁が詰まった場合でも、詰まった排藁を容易に除去でき、メンテナンス性の向上を図ることが可能となる。
【0057】
なお、結束装置30を前後に摺動させるための構成は、上記の結束装置側支持フレーム170及び機体側支持フレーム180を用いるものに限らない。つまり、結束装置30を前後に摺動または移動させることが可能な構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るコンバインの全体構成を示す左側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】排藁処理装置の構成を示す平面模式図。
【図4】同じく左側面図。
【図5】結束装置の回動の様子を示す平面図。
【図6】結束装置の回動の様子を示す平面図。
【図7】結束装置の摺動の様子を示す平面図。
【符号の説明】
【0059】
1 コンバイン
20 排藁切断装置
30 結束装置
70 結束装置側支持フレーム
80 機体側支持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排藁を所定の長さに切断する排藁切断装置と、
前記排藁切断装置の後方に配置され、排藁を所定の量ずつ結束紐で結束する結束装置と、
を具備するコンバインであって、
前記結束装置は前記排藁切断装置と離間可能に構成されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記結束装置は、
前記結束装置の左右いずれか一側部に回動支点が設けられて枢支され、後方に回動可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記結束装置は、
前後方向に摺動可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−159901(P2009−159901A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1682(P2008−1682)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】