説明

コンバイン

【課題】脱穀部と、選別部と、二番物搬送部と、二番物処理部と、を具備するコンバインにおいて、前記二番物処理部から前記選別部へ供給され前記選別部上に堆積した二番物を分散させる装置を提供する。
【解決手段】二番物処理部160の供給口164から前フィードパン127上へ供給された二番物が堆積する位置に、分散軸171、羽体172、モータ173等からなる二番物分散装置170を配設し、分散軸171に正面視放射状に固設した羽体172・172の回転により、堆積した二番物を正面視右方向へ跳ね出して分散させるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの揺動選別装置上に還元された二番物を拡散するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀部から流下する穀粒や藁屑等から、選別装置により穀粒を選別した後の二番物を、二番コンベア、二番還元コンベアを介して枝梗処理装置へ送り、前記枝梗処理装置により枝梗等を取り除いた後に、投入口から再び選別部へ戻すようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。このような構成において、前記選別部へ戻された前記二番物に対する分散作用及び送り作用は、前記選別部の揺動運動によるものであった。
【特許文献1】特開2007−111057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記二番物が戻される前記選別部上の空間は、扱胴の下部周囲を覆うように設けられた受網と、前記選別部の揺動選別板と、によって限られた狭い空間である。そのため、前記二番物を投入口から前記選別部上に投入する時に、前記二番物を十分に分散できる空間が確保できず、空中で均一に分散させることは難しい。
また、特に前記二番物の流量が高流量になると、前記選別部の揺動運動による分散能力以上に、前記選別部上に投入される前記二番物が増加し、選別部上に前記二番物が堆積することがある。これが、三番ロスや選別不良の原因となる。
【0004】
そこで本発明は、前記選別部に投入されて堆積した前記二番物を分散させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、農作物を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部で脱穀された穀粒を選別処理する選別部と、前記選別部にて選別された二番物を二番物処理部へ搬送する二番物搬送部と、前記二番物搬送部により搬送された二番物を処理し再び前記選別部の前部へ供給する前記二番物処理部と、を具備するコンバインであって、前記選別部上方、かつ、前記二番物処理部と脱穀部の受網との間に、前記選別部上に堆積した前記二番物を分散させる二番物分散装置を具備するものである。
【0007】
請求項2においては、前記二番物分散装置は、長手を前後方向と平行に軸支された軸と、前記軸に放射状に固設された羽体と、前記軸を回転させる駆動装置と、により構成したものである。
【0008】
請求項3においては、前記二番物処理部の選別部への供給口近傍に、前記二番物の量を検出する検出手段を設け、該検出手段の検出値に基づき前記二番物分散装置の駆動装置を制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1の如く構成することで、二番物処理部から選別部へ供給された二番物が二番物分散装置により前記選別部上に堆積するのを防ぐことが可能である。それにより、三番ロスや選別不良等のない効率的な選別が可能である。
【0011】
請求項2の如く構成することで、二番物分散装置の軸に固設された羽体の回転によって、選別開始部に堆積した二番物を跳ね出し、分散させることが可能である。
【0012】
請求項3の如く構成することで、選別部へ供給される二番物が堆積すると、自動的に二番物分散装置の作動により分散させることができ、選別性能を向上できる。また、選別部へ供給される二番物の流量を検出するように構成することで、二番物の増減に同期して、二番物分散装置の回転数を増減させることが可能である。つまり、選別部へ供給される二番物が高流量になった場合には自動的に二番物分散装置の回転数を増加させる。これにより、堆積した二番物を、供給される二番物の流量に合わせて分散することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0014】
先ず、コンバイン101の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
コンバイン101は、クローラ式走行装置102上に機体フレーム103が配設されている。機体フレーム103の前部には、刈取部104が配設されている。機体フレーム103上の左側には、扱胴122やフィードチェーン108等を備える脱穀部105が配設されている。脱穀部105の下方には選別部141が配設されている。選別部141には、チャフシーブ129、グレンシーブ130等を備える揺動選別装置106が配設され、揺動選別装置106の前下方に、唐箕ファン119が配設されている。また、揺動選別装置106の前方には、プレファン120が配設されている。
【0015】
機体フレーム103上の前部右側には、運転席110やステアリングハンドル111等を備える運転部109が配設されている。運転部109の下方であって、機体フレーム103上の前部右側には、エンジン112が配設されており、運転部109の後方であって、機体フレーム103上の後部右側には、グレンタンク113が配設されている。グレンタンク113の底部には、排出コンベア114が前後方向に配設されており、グレンタンク113の後部には、排出オーガ115の縦送りオーガ115aが立設されている。グレンタンク113に貯溜された穀粒は、排出コンベア114により後方に搬送され、排出オーガ115先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【0016】
フィードチェーン108の後方には、排藁チェーン116が配設されており、この排藁チェーン116後部下方には、排藁カッター118、分散コンベア(不図示)等からなる排藁処理部117が配設されており、排藁が切断されて藁片にされた後、分散されながら圃場に均一に放出される。
【0017】
脱穀部105について、図3を用いて説明する。
脱穀部105は、扱室121内に、扱胴122が機体の前後方向に横架されており、扱胴122の下方には、扱胴122の下部周囲を覆うようにクリンプ網等で構成した受網124が設けられている。受網124の前端及び後端位置には、扱胴122下方の空間を前後に仕切るように、入口仕切り板145及び出口仕切り板146が固設されている。そして、扱胴122の右後方であって、グレンタンク113側の処理室125内に、処理胴123が扱胴122と平行に機体の前後方向に横架されている。
【0018】
脱穀部105において、フィードチェーン108により、株元部が拘束されて、機体後方に搬送された穀稈は、先端部が扱胴122の下方に挿入されて、扱胴122の回転により脱穀されて、籾等が受網124を通過して下方へ落下される。扱胴122で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口(不図示)より処理室125内に搬送されて、処理胴123の回転により、藁屑に絡まった籾が分離されて下方に落下されて、藁屑等が機外に排出される。
【0019】
次に、選別部141について、図3を用いて説明する。
選別部141は、揺動選別装置106による揺動選別と、唐箕ファン119及びプレファン120による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別されるように構成されている。
【0020】
具体的には、揺動選別装置106は、機枠126内であって、扱胴122及び処理胴123の下方に配設されている。揺動選別装置106の前後方向の長さは、扱胴122の前端から処理胴123の後端までの長さと略一致するように構成されている。そして、揺動選別装置106の前下部は、前後摺動自在に支持されているとともに、揺動選別装置106の後下部には揺動軸(不図示)が設けられている。前記揺動軸が偏心駆動されることで揺動駆動機構が構成され、この揺動駆動機構によって、揺動選別装置106が機枠126に対して揺動されるように構成されている。
【0021】
揺動選別装置106の前部には、前フィードパン127が設けられており、前フィードパン127の後下方には、後フィードパン128が設けられている。前後フィードパン127・128は、波形に成形された板状部材で構成されており、受網124を通過した籾等は、前後フィードパン127・128上に落下し、揺動選別装置106の揺動により後方に搬送される。
【0022】
前フィードパン127の後部には、第一選別部であるチャフシーブ129が配設されており、チャフシーブ129の下方であって、後フィードパン128の後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ130が配設されており、チャフシーブ129の後方には、ストローラック131が配設されている。チャフシーブ129は、チャフシーブ129の開度を調節するチャフレバー(不図示)が、ワイヤー等を介して、排藁チェーン116のチェーンガイド(不図示)と連結されており、排藁量に応じてチャフシーブ129の開度が調節されるように構成されている。
【0023】
そして、揺動選別装置106の前下方には、唐箕ファン119が配設されており、揺動選別装置106の前方には、プレファン120が配設されており、チャフシーブ129及びグレンシーブ130に選別風を送風するように構成されている。
【0024】
また、揺動選別装置106の後部上方には、吸引ファン132が揺動選別装置106の全幅(左右方向)に横設されており、唐箕ファン119及びプレファン120からの選別風に乗ってきた塵埃が吸引されて機外に排出される。
【0025】
そして、揺動選別装置106下方の前後中途部であって、唐箕ファン119の後方には、一番コンベア133が左右方向に横設されており、この一番コンベア133の後方には、二番コンベア134が左右方向に横設されている。一番コンベア133は、唐箕ファンケース142の後端から流穀板を介して連設されている凹状の一番回収樋136内に横設されており、二番コンベア134は、この一番回収樋136の後端に連設されている凹状の二番回収樋137内に横設されている。
【0026】
一番コンベア133には、搬送方向が略上下方向とされる揚穀コンベア135が連結されており、この揚穀コンベア135の上端は、グレンタンク113内と連通されている。二番コンベア134には、搬送方向が略前後方向とされる二番還元コンベア138が連結されている。二番コンベア134及び二番還元コンベア138によって二番物搬送部が構成されている。二番還元コンベア138の前端には、二番物処理部160の二番処理胴161がベルトを介して連結されて、前記揺動選別装置106の前フィードパン127上に処理後の二番物が放出されるように構成されている。
【0027】
このような構成により、チャフシーブ129の隙間を通過した籾や細かい藁屑等は、グレンシーブ130上に落下される。一方、チャフシーブ129の隙間を通過しなかった藁屑等は、揺動選別装置106の揺動により後方に搬送されて、ストローラック131を経て機外に排出される。そして、グレンシーブ130上に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒及び細かい藁屑等の内、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等は、グレンシーブ130を通過して下方に落下される。その際、チャフシーブ129及びグレンシーブ130には、唐箕ファン119及びプレファン120から選別風が送風されており、細かい藁屑の一部は、後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0028】
ここで、重量が大きい穀粒は、前記選別風により後方に吹き飛ばされずに、手前側の一番回収樋136に回収され、一番コンベア133、揚穀コンベア135を経て、グレンタンク113に搬送される。一方、未熟穀粒や未処理粒等は、前記選別風により後方に吹き飛ばされて、奥側の二番回収樋137に回収されるとともに、チャフシーブ129の隙間を通過した枝梗付着粒等も二番回収樋137に回収され、二番コンベア134、二番還元コンベア138を経て、二番物処理部160に搬送され、二番処理胴161により枝梗が除去処理された後、前フィードパン127上に放出される。
【0029】
次に、二番物処理部160について、図4及び図5を用いて説明する。
二番物処理部160は二番還元コンベア138の前側の終端下方に配置され、二番物処理部160は扱室121内であってグレンタンク113の裏側、つまり、正面視グレンタンク113の右側で揺動選別装置106の左側上に位置している。よって、グレンタンク113を開放することによって二番物処理部160をメンテナンスすることができる。
【0030】
二番物処理部160は二番処理胴161、二番処理胴ケース162等からなる。
二番物処理部160の外枠を構成する円筒状の二番処理胴ケース162の正面視左側上後部には、連通口163を開口して二番還元コンベア138と連通されている。二番処理胴ケース162の正面視右側端部には供給口164を設け、揺動選別装置106の前フィードパン127の上方に臨むように配置されている。
【0031】
二番処理胴ケース162と略同一の長さである二番処理胴軸161aは、二番処理胴ケース162内に収納され、二番処理胴ケース162の側面視中心に軸支されている。二番処理胴軸161aの連通口163前方から正面視右端にかけて二番処理胴161が固設されている。二番処理胴161の連通口163前方から正面視右端にかけて、スクリュー状の搬送羽根161c、処理歯161d・161d・・・、分散羽根161eが順に固設されている。また、二番処理胴ケース162の内側面には、ツースバー(固定側処理刃)162a・162a・・・が軸心方向に適宜間隔をあけて、回転時に処理歯161dと当接しないように突設されている。
【0032】
以上の構成において、二番還元コンベア138からの二番物の流れを説明する。
二番物は、連通口163より二番物処理部160の二番処理胴ケース162内へ投入された後、二番処理胴161と共に回転するスクリュー状の搬送羽根161cの回転により供給口164側へ搬送される。供給口164まで搬送される過程で、前記二番処理胴161の外周に備える処理歯161d・161d・・・と、二番処理胴ケース162の内側面に突設したツースバー162a・162a・・・とにより枝梗を除去処理される。その後供給口164近傍まで搬送された二番物は、分散羽根161eの回転によって供給口164より空中に分散されながら揺動選別装置106の選別開始部、即ち、前フィードパン127の機体前方表面上へ供給される。
【0033】
次に、脱穀部105や選別部141等の駆動構成の一例について説明する。図6に示す如く、エンジン112には、出力軸112aが左右方向に突設されており、この出力軸112aの左軸上には、第一出力プーリ112b、右軸上には、第二出力プーリ112c、ファン出力プーリ112dが固設されている。エンジン112より右側に取付ステー等を介してファン出力軸112eが突設されている。このファン出力軸112eの中途部にはプーリ112fが固設されており、右端には、ラジエータファン112gが固設される。ファン出力プーリ112dと、プーリ112fとには、ベルトが巻回されている。
【0034】
唐箕ファン119の唐箕軸140の右軸上には、プーリ140a、140b、左軸上には、プーリ140c、140dが固設されている。プーリ140aと、第一出力プーリ112bとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。
【0035】
第一フィードチェーン軸108a上の左端には、プーリ108dが固設され、右端には、ギア108eが固設され、中途部上には、ウォーム108fが固設されている。プーリ108dとプーリ140dとの間には、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。第二フィードチェーン軸108b上の前端には、ウォームホィール108hが固設されており、このウォームホィール108hは、ウォーム108fと噛合されている。フィードチェーン108を駆動するための第三フィードチェーン軸108cの右端からは、ベベルギア108gを介して、第二フィードチェーン軸108bと動力伝達可能とされている。ギア108eは、カウンターギア108iと噛合する。カウンターギア108iはカウンター軸108jの左端に固設され、カウンター軸108jの右端には、プーリ108kが固設される。
【0036】
プレファン120のプレファン軸120a上の左端には、プーリ120bが固設されている。プーリ120bとプーリ108kとには、ベルトが巻回されている。
【0037】
一番コンベア133の一番コンベア軸133a上の左端には、プーリ133bが固設されている。一番コンベア軸133aの右端からは、ベベルギア150を介して、揚穀コンベア135の揚穀コンベア軸135aと動力伝達可能とされている。
【0038】
二番コンベア134の二番コンベア軸134a上の左端には、プーリ134bが固設されている。二番コンベア軸134aの右端からは、ベベルギア151を介して、二番還元コンベア138の二番還元コンベア軸138aと動力伝達可能とされている。
【0039】
二番処理胴軸161aの左端には二番処理胴161が固設され、右端にはプーリ161bが固設されている。二番還元コンベア138の二番還元コンベア軸138aの後端からは、ベベルギア149を介して、動力伝達軸149aと動力伝達可能とされている。動力伝達軸149aの左端には、プーリ149bが固設されている。プーリ149bと、プーリ161bとには、ベルトが巻回されている。
【0040】
揺動選別装置106の振動軸106a上の左端には、プーリ106bが固設されている。振動駆動軸107上の左端には、プーリ107aが固設され、右端には、プーリ107bが固設されている。プーリ107bと、プーリ106bとには、ベルトが巻回されている。
【0041】
吸引ファン132の吸引軸132aは、ギア等を介して、プーリ132bと動力伝達可能とされている。カウンター軸152上の右端には、プーリ152aが固設され、左端には、プーリ152b(152c)が固設されている。プーリ152b(152c)と、プーリ132bとには、ベルトが巻回されている。
【0042】
また、プーリ140cと、プーリ133bと、プーリ134bと、プーリ107aと、プーリ152aと、には、ベルトが巻回されている。
【0043】
扱胴122の扱胴軸122aの前端からは、ベベルギア147を介して、扱胴入力軸122bと動力伝達可能とされている。扱胴入力軸122b上の右端には、プーリ122cが固設され、このプーリ122cの左方には、プーリ122dが固設されている。プーリ122dと、プーリ140bとには、ベルトが巻回されている。また、扱胴軸122a上の後端には、プーリ122eが固設されている。
【0044】
排藁チェーン116の第二排藁軸116bの右端からは、ベベルギア148を介して、第一排藁軸116aと動力伝達可能とされている。第一排藁軸116a上の前端には、プーリ116cが固設されている。プーリ116cと、プーリ122eとには、ベルトが巻回されている。
【0045】
排出コンベア114のコンベア軸114a上の前端には、プーリ114bが固設されている。第二グレン入力軸154上の後端には、プーリ154aが固設されている。プーリ154aと、プーリ114bとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。そして、第二グレン入力軸154の前端からは、ベベルギア155を介して、第一グレン入力軸153と動力伝達可能とされている。第一グレン入力軸153上の右端には、プーリ153aが固設されている。プーリ153aと、第二出力プーリ112cとには、ベルトが巻回されている。
【0046】
縦送りオーガ115aの縦コンベア軸115bの左端からは、ベベルギア156を介して、排出コンベア114のコンベア軸114aと動力伝達可能とされている。縦コンベア軸115bの右端からは、ベベルギア157、受継コンベア軸158、ベベルギア159を介して、排出オーガ115の排出コンベア軸115cと動力伝達可能とされている。
【0047】
このような構成により、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、ファン出力プーリ112d、プーリ112f、ファン出力軸112eを経て、ラジエータファン112gに伝達される。
【0048】
また、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、第一出力プーリ112b、プーリ140a、唐箕軸140を経て、唐箕ファン119に伝達される。
【0049】
そして、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140d、プーリ108d、第一フィードチェーン軸108a、ウォーム108f、ウォームホィール108h、第二フィードチェーン軸108b、ベベルギア108g、第三フィードチェーン軸108cを経て、フィードチェーン108に伝達される。
【0050】
そして、第一フィードチェーン軸108aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ギア108e、カウンターギア108i、カウンター軸108j、プーリ108k、プーリ120b、プレファン軸120aを経て、プレファン120に伝達される。
【0051】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ133b、一番コンベア軸133aを経て、一番コンベア133に伝達される。また、一番コンベア軸133aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア150、揚穀コンベア軸135aを経て、揚穀コンベア135に伝達される。
【0052】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ134b、二番コンベア軸134aを経て、二番コンベア134に伝達される。また、二番コンベア軸134aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア151、二番還元コンベア軸138aを経て、二番還元コンベア138に伝達される。
【0053】
そして、二番還元コンベア軸138aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア149、動力伝達軸149a、プーリ149b、プーリ161b、二番処理胴軸161aを経て、二番処理胴161に伝達される。
【0054】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ107a、振動駆動軸107、プーリ107b、プーリ106bを経て振動軸106aに伝達される。
【0055】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ152a、カウンター軸152、プーリ152b(152c)、プーリ132b、吸引軸132aを経て、吸引ファン132に伝達される。
【0056】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140b、プーリ122d、扱胴入力軸122b、ベベルギア147、扱胴軸122aを経て、扱胴122に伝達される。
【0057】
そして、扱胴軸122aに伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ122e、プーリ116c、第一排藁軸116a、ベベルギア148、第二排藁軸116bを経て、排藁チェーン116に伝達される。
【0058】
一方、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、第二出力プーリ112c、プーリ153a、第一グレン入力軸153、ベベルギア155、第二グレン入力軸154、プーリ154a、プーリ114b、コンベア軸114aを経て、排出コンベア114に伝達される。
【0059】
そして、コンベア軸114aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア156、縦コンベア軸115bを経て、縦送りオーガ115aに伝達される。縦コンベア軸115bに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア157、受継コンベア軸158、ベベルギア159、排出コンベア軸115cを経て、排出オーガ115に伝達される。
【0060】
次に図7及び図8に示す、本発明に係る二番物分散装置170の実施例について説明する。二番物分散装置170は、長手を前後方向と平行に軸支された軸である分散軸171、分散軸171に固設された羽体172、駆動装置であるモータ173等からなる。
図7及び図8に示すように、二番物処理部160の供給口164の正面視右下方には、分散軸171が長手を前後方向として、機枠126の前側板と、入口仕切り板145と、出口仕切り板146と、にそれぞれ軸受部174・175・176により回転可能に軸支されている。分散軸171上の、軸受部175後方から軸受部176前方の略全域に亘って、長方形板状の複数の羽体172・172が正面視放射状に固設されている。羽体172・172は分散軸171を対称軸として対称に固設されている。
前述の通り、分散軸171を機枠126の前側板と、入口仕切り板145と、出口仕切り板146と、に亘って設けることにより、コンバイン本体の補強の効果も奏する。また、既存のコンバインに補強のための軸が機枠126の前側板と、入口仕切り板145と、出口仕切り板146と、に亘って設けられている場合は、前記軸を分散軸171に置き換えることでスペースを有効に利用して二番物分散装置170を設けることもできる。
【0061】
軸受部174の前方には駆動装置であるモータ173が具備されている。モータ173の出力軸には分散軸171が連結固設されている。モータ173の駆動力により分散軸171が正面視反時計方向に回転する構成としている。
【0062】
分散軸171は、分散軸171と共に回転する羽体172・172が、揺動する揺動選別装置106、受網124、二番物処理部160と干渉しない位置に軸支される。また、羽体172・172は、前フィードパン127上に堆積した二番物を回転により跳ね出して分散させる。そのため、分散軸171は羽体172・172の回転によって前フィードパン127上に堆積した二番物を跳ね出すことができる位置に軸支される。つまり、正面視で、二番物処理部160と、揺動選別装置106の前フィードパン127と、受網124と、により囲まれる略三角形状の空間に配置される。この時、羽体172・172の最外端を二番物処理部160に可能な限り近づけ、かつ羽体172・172の正面視放射方向長さを可能な限り長くすることが、二番物を効率良く分散させる上で望ましい。
【0063】
羽体172の材質はゴム等の弾性体とすることが望ましい。これは、二番物を跳ね出して分散させる際に傷めないためであり、本発明は羽体172の材質をこれに限るものではない。
また、本実施例において羽体172の枚数を二枚としたが、本発明は羽体172の枚数をこれに限るものではない。
【0064】
また、図7に示すようにモータ173は制御手段としてのコントローラ200と接続されている。コントローラ200はモータ173へ制御信号を送り、モータ173の回転数を制御し、つまりは二番物分散装置170の分散軸171の回転数を制御している。
二番物処理部160の供給口164近傍には流量センサ201を設けている(図7及び図8参照。)。流量センサ201は、二番物処理部160の供給口164より排出される二番物の流量を検出するための流量検出手段であり、光学式センサや超音波式センサ等の流量検出手段である。流量センサ201はコントローラ200に接続されている。流量センサ201は、前記流量を検出し、検出信号をコントローラ200に送信する。
【0065】
上記のような構成における、本実施例の作動態様について説明する。
図9に示すように、二番還元コンベア138から二番物処理部160に投入され、二番物処理部160にて処理された二番物は、供給口164より前フィードパン127上へ分散されながら排出される。前フィードパン127上に落下し堆積した二番物は、二番物分散装置170に固設した羽体172・172の回転により、正面視右方向へ跳ね出される。これにより前フィードパン127上に堆積した二番物を分散させることが可能となる。
【0066】
また、流量センサ201は、二番物処理部160の供給口164より排出される二番物の流量を検出し、検出信号をコントローラ200へ常時送信する。コントローラ200は、受信した前記検出信号を基に、前記流量に応じた回転数でモータ173を回転させる。つまり、コントローラ200は前記流量に応じた回転数で羽体172・172を回転させる。
前記流量に応じた回転数とは、その回転数で羽体172・172を回転させた時に、排出される二番物を前フィードパン127上に堆積させることなく、十分に分散させることができる回転数である。二番物の流量と、それを十分に分散することができる回転数と、の相関関係は、予めコントローラ200に記憶されている。コントローラ200により前記相関関係を基に前記流量に応じた回転数が算出される。
【0067】
上記の二番物分散装置170の構成により、排出される二番物が前フィードパン127上に落下するまでの空中で十分に分散されず前フィードパン127上に堆積しても、堆積した前記二番物は、二番物分散装置170によって正面視右方向へ分散される。つまり、前フィードパン127上に堆積した前記二番物は、揺動選別装置106の揺動と二番物分散装置170の分散作用によって分散される。
また、モータ173の回転数を、排出される二番物の流量に応じた回転数に制御することによって、前記二番物の流量が高流量になった場合でも、それを十分に分散させる回転数で二番物分散装置170を駆動することができる。
なお、流量センサ201をスイッチ等で構成してモータ173と接続し、二番物の堆積を検知するようにし、所定量堆積すると流量センサ201がONしてモータ173を駆動する構成とすることもできる。この場合、無駄にモータを作動させることがない。また、脱穀作業中に二番物分散装置170を常時作動させる場合には、分散軸171をプーリや歯車等の変速機構を介して扱胴122の扱胴軸122aと連動連結する構成として、駆動することも可能である。この場合モータやセンサを用いる必要がなく、構成が簡単となる。また、前記分散軸171と扱胴122の扱胴軸122aとの間にクラッチを介装し、流量センサ201と連動するように構成することで、堆積した時のみ二番物分散装置170を作動させるように構成することもできる。
【0068】
本実施例において、羽体172は長方形板状であり、分散軸171に正面視放射状に固設されるものとした。しかし、本発明において羽体の形状はこれに限るものではない。例えば図10に示した二番物分散装置180のように、緩やかな捻りを設けたスクリュー状の羽体182を分散軸171の軸受部175から軸受部176の略全域に亘って固設することで、羽体182の回転によって堆積した二番物を正面視右方向へ分散させると共に、機体後方へ送る作用を付与することも可能である。
【0069】
また図7及び図8に示したように、本実施例において二番物分散装置170は、分散軸171、羽体172、モータ173等からなる構成とした。しかし、本発明は二番物分散装置をこの構成に限るものではない。
その他の構成の一つとして、回転軸を鉛直方向に配置して前記回転軸を二番物処理部160の機体前方及び後方に設け、前記回転軸によって羽体を斜め後方へ回転することにより、堆積した二番物を分散させるように構成することもできる。
【0070】
上記のように、本発明における二番物分散装置は本実施例における構成に限るものではなく、選別部141上に堆積した二番物を分散させることが可能な構成であればよい。
【0071】
なお、本発明に係る二番物分散装置170は、例えば図11及び図12に示すような脱穀部205にも設けることができる。
図11及び図12に示す脱穀部205は、二番還元コンベア238が二番コンベア134(図3参照)の右端に連設されて機体後上方に斜めに延設されている。二番還元コンベア238の上端(搬送終端部)には、処理胴123で処理された穀粒、及び二番還元コンベア238で搬送された二番穀粒を合流して、揺動選別装置106の前部へ戻す移送体であるターンコンベア207の後端(搬送始端部)が連設されている。ターンコンベア207の搬送終端部(機体前方端部)には、ターンコンベア207で搬送された被処理物の枝梗を除去する二番物処理部160が設けられている。
二番物分散装置170は、図12に示すように正面視において、二番物処理部160(ターンコンベア207)の右側に配設され、羽体172・172の回転により、堆積した二番物を正面視右方向へ跳ね出して分散するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】コンバインの右側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく右側面断面図。
【図4】脱穀部・選別部の右側面断面図。
【図5】同じく正面断面図。
【図6】脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図。
【図7】本実施例を示す脱穀部・選別部の右側面断面図。
【図8】同じく正面断面図。
【図9】本実施例の作動態様を示す脱穀部・選別部の正面拡大断面図。
【図10】他の実施例を示す二番物分散装置の概略図。
【図11】二番物分散装置を備えた他の形態の脱穀部・選別部の左側面断面図。
【図12】同じく正面断面図。
【符号の説明】
【0073】
101 コンバイン
105 脱穀部
106 揺動選別装置
138 二番還元コンベア
141 選別部
160 二番物処理部
161 二番処理胴
164 供給口
170 二番物分散装置
171 分散軸
172 羽体
173 モータ
200 コントローラ
201 流量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を脱穀処理する脱穀部と、
前記脱穀部で脱穀された穀粒を選別処理する選別部と、
前記選別部にて選別された二番物を二番物処理部へ搬送する二番物搬送部と、
前記二番物搬送部により搬送された二番物を処理し再び前記選別部の前部へ供給する前記二番物処理部と、
を具備するコンバインであって、
前記選別部上方、かつ、前記二番物処理部と脱穀部の受網との間に、前記選別部上に堆積した前記二番物を分散させる二番物分散装置を具備することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記二番物分散装置は、
長手を前後方向と平行に軸支された軸と、
前記軸に放射状に固設された羽体と、
前記軸を回転させる駆動装置と、
により構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記二番物処理部の選別部への供給口近傍に、前記二番物の量を検出する検出手段を設け、該検出手段の検出値に基づき前記二番物分散装置の駆動装置を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−65838(P2009−65838A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234369(P2007−234369)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】