コンバイン
【課題】日除け部材を補助キャリアの上方からホッパーの上側へ退避させることによってコンバインの機体全幅を縮小し、路上走行時にこの日除け部材が障害物に衝突して破損する不具合を防止すると共に、狭い倉庫であってもコンバインを容易に格納できるものとする。
【解決手段】補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成する。
【解決手段】補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀粒を袋詰めするためのホッパーを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホッパーを備えたコンバインは、走行装置を備えた機体フレームの前側に穀稈を刈り取る刈取装置を設け、該刈取装置の後側の機体フレーム上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置を設け、該脱穀装置の横側の機体フレーム上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパーを設け、該ホッパーの下方の機体フレーム上に籾袋を載置するキャリアを設け、該キャリアの外側方に補助キャリアを機体前後方向の軸芯回りに開閉自在に設けている。
【0003】
そして、特許文献1に例示するように、補助キャリア上に搭乗する作業者用の日除け部材を、操縦部の上方から補助ステップの上方を一体的に覆うように固定して設ける技術が知られている。
【特許文献1】実開平5−9236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に例示される技術のように、日除け部材を操縦部の上方から補助ステップの上方を一体的に覆うように固定して設けた構成では、補助ステップを閉じた場合に、日除け部材が機体外側方へ突出した状態となり、コンバインの全幅を縮小できず、この日除け部材が路上走行時に障害物に衝突して破損したり、コンバインを狭い倉庫に格納できなくなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行装置(1)を備えた機体フレーム(2)の前側に穀稈を刈り取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側の機体フレーム(2)上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の横側の機体フレーム(2)上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー(5)を設け、該ホッパー(5)の下方の機体フレーム(2)上に籾袋を載置するキャリア(45)を設け、該キャリア(45)の外側方に補助キャリア(46)を機体前後方向の軸芯(48)回りに開閉自在に設け、該補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、前記ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成したことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
この構成により、補助キャリア(46)を開いてこの補助キャリア(46)上に作業者が搭乗した状態で収穫作業を行ない、ホッパー(5)から籾袋へ穀粒を袋詰めする。袋詰め後の籾袋は、一旦、補助キャリア(46)上へ積載するか、または直接圃場面へ降ろされる。このような収穫作業において、日差しが強い場合には、日除け部材(55)をホッパー(5)の上側から外側方に張り出し、補助キャリア(46)の上方を覆う。
【0007】
路上走行時およびコンバインを倉庫へ格納する際には、日除け部材(55)を補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避させると共に補助キャリア(46)を閉じてコンバインの機体全幅を縮小する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の背もたれ(42)を、補助キャリア(46)の上方に張り出した張り出し位置とホッパー(5)の上側に退避した格納位置とにわたって移動自在に構成し、該背もたれ(42)の張り出し位置側への移動に基づいて前記日除け部材(55)を張り出し位置(イ)に移動させる連繋手段(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
この構成により、背もたれ(42)を補助キャリア(46)の上方に張り出すと、これに基づいて日除け部材(55)が自動的に張り出し位置に移動する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、収穫作業時には、補助キャリア(46)を開くと共に日除け部材(55)をホッパー(5)の上側から外側方へ張り出し、この補助キャリア(46)の上方を覆うことにより、補助キャリア(46)上に搭乗する作業者の作業環境を改善することができる。そして、路上走行時や倉庫への格納時には、日除け部材(55)を補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避させると共に補助キャリア(46)を閉じることによってコンバインの機体全幅を縮小し、路上走行時にこの日除け部材(55)が障害物に衝突して破損する不具合を防止でき、狭い倉庫であってもコンバインを容易に格納することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、背もたれ(42)を補助キャリア(46)の上方に張り出すことによって日除け部材(55)をも自動的に張り出すことができ、コンバインの操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を、ホッパーを備えた自脱型コンバインを例示して説明する。
図1、図2に示すように、このコンバインは、走行装置1を備えた機体フレーム2の前側に、穀稈を刈り取る刈取装置3を昇降自在に設け、該刈取装置3後側の機体フレーム2上に、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置4を設け、該脱穀装置4の横側の機体フレーム2上に、脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー5を設けて構成する。
【0013】
前記走行装置1は、機体フレーム2の前後左右の4箇所から下方へ延出させたフレームフット6,6の下端部に左右の転輪フレーム7,7を連結し、該転輪フレーム7,7に複数の転輪8,8と後端部の緊張輪9,9と上側の上部転輪10,10とを軸支し、機体フレーム2の前端部に取り付けたミッションケース11から駆動される駆動スプロケット12,12と前記転輪8,8と緊張輪9,9と上部転輪10,10とにわたってクローラ13,13を巻き掛けて構成する。
【0014】
また、前記機体フレーム2の前部には操縦部14を設ける。該操縦部14は、エンジン15を囲うエンジンカバー16と、該エンジンカバー16の上部に取り付けた座席17と、該座席17の前方に立設したフロント操作ポスト18と、座席17の左側に設けたサイド操作パネル19から構成する。前記フロント操作ポスト18の上部には、フロント操作パネル20を設け、該フロント操作パネル20上に、ハンドル21と、該ハンドル21に取り付けたバックミラー22と、操向レバー23と、メータパネル(図示省略)を設ける。また、前記サイド操作パネル19上には、スロットルレバー24と主変速レバー25と副変速レバー26と刈取・脱穀クラッチレバー(図示省略)を設ける。
【0015】
前記刈取装置3は、機体フレーム2の前部に設けた刈取懸架台(図示省略)に、伝動軸を内装した主フレーム27の後端部を上下回動自在に左右方向の軸で枢着し、該主フレーム27を前部下方へ延出させてその前端部に左右方向の下部ギヤケース28を固定し、該下部ギヤケース28から前方へ分草フレーム29を延出させ、該分草フレーム29の前端部に分草板30を取り付け、分草フレーム29の前後方向中間部にバリカン式の刈刃31を取り付け、分草フレーム29の前部と下部ギヤケース28の左右端部から立ち上げた引起伝動軸32の上端部との間に引起装置33を支持し、油圧シリンダ(図示省略)によって主フレーム27を上下回動させることによって刈り高さを調節自在に構成する。
【0016】
前記脱穀装置4は、前記刈取装置3から搬送される刈取穀稈を引き継いで挟持搬送するフィードチェンと、該フィードチェンによって搬送される刈取穀稈を脱穀処理する上部の扱室と、該扱室内で脱粒した被処理物を選別処理する選別室から構成(いずれも図示省略)し、後側に脱穀後の排藁を裁断処理する排藁カッター34を装着する。
【0017】
前記ホッパー5は、下部に排出シュート35を備える3つの漏斗部36を有した箱型に形成し、前記脱穀装置4の機体奥側の側面に沿って前後方向に延出し、後部を下方へ屈折させて機体フレーム2の後端面に連結した支持フレーム37と、脱穀装置4の機体奥側側面に配置する1番揚穀筒38に支持させて設ける。39は2番物を脱穀装置4の2番処理室に還元する2番揚穀筒である。
【0018】
前記ホッパー5には、各排出シュート35の前後両側に位置して、該排出シュート35の後側から外側方へ延出するように設けた6本の袋ホルダ40を備える。該袋ホルダ40は、その機体奥側端部をホルダ支持フレーム41に固着し、該ホルダ支持フレーム41をホッパー5側と前記エンジンカバー16部のフレームとに連結して支持する。
【0019】
そして、前記ホッパー5の下方の機体フレーム2上に、籾袋を載置するキャリア45を設け、該キャリア45の外側方に配置する補助キャリア46を、機体フレーム2の外側端部の前後2箇所に取り付けた支持ステー47,47に対して、機体前後方向の軸芯48,48回りに開閉自在に取り付ける。これにより、該補助キャリア46は、機体フレーム2に対して略垂直に立った閉じ状態と、機体フレーム2に対して略平行に外側方へ延出する開き状態とに切換自在となる。49は、補助キャリア46を閉じ状態でロックするフックである。前記キャリア45の機体奥側には縦壁50を設け、籾袋を引き出す際に引っ掛かりにくいものとしている。この縦壁50は、機体フレーム2の後部に搭載する燃料タンク51の側面をもカバーしている。
【0020】
また、前記支持フレーム37のホッパー5後側の部位にストッパー機能を備えた回動支持ステー43aを設け、先端部に背もたれ42を支持する支持アーム43の基部を該回動支持ステー43に上下回動自在に枢着する。これにより、背もたれ42は、補助キャリア46の上方に張り出した張り出し位置とホッパー5の上側に退避した格納位置とにわたって回動自在となる。
【0021】
しかして、図3に示すように、前記ホッパー5の前後の側壁部に前後の支持アーム部52,52の基部を機体前後方向の軸芯P回りに上下回動自在に軸支し、該前後の支持アーム部52,52の自由端側を前後方向視で円弧状に屈曲させた日除け支持フレーム53を設け、該日除け支持フレーム53の前後の円弧状部分にわたって布状のシート部材54を張設して作業者用の日除け部材55を構成する。前後の支持アーム部52,52の自由端側の円弧状部は、軸芯Pを中心とした円弧に形成する。
【0022】
また、前記後側の支持アーム52の基部にギヤ56を一体的に取り付け、該ギヤ56と、ホッパー5の後側壁に固定した電動モータ57の出力ギヤ58とを噛み合わせる。図2に示すように、この電動モータ57の正逆転駆動によって、日除け部材55を、前記ホッパー5の上側から外側方に張り出して補助キャリア46の上方を覆う張り出し位置(イ)と、該補助キャリア46の上方からホッパー5の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって回動させることができる。また、この日除け部材55を張り出し位置(イ)と格納位置(ロ)との間の中間位置で保持することもでき、日光の入射角度や作業環境に応じて、日除け部材55の位置を調節することができる。従って、収穫作業時には、補助キャリア46を開くと共に日除け部材55をホッパー5の上側から外側方へ張り出し、この補助キャリア46の上方を覆うことにより、補助キャリア46上に搭乗する作業者の作業環境を改善することができる。そして、路上走行時や倉庫への格納時には、日除け部材55を補助キャリア46の上方からホッパー5の上側へ退避させると共に補助キャリア46を閉じることによってコンバインの機体全幅を縮小し、路上走行時にこの日除け部材55が障害物に衝突して破損する不具合を防止でき、狭い倉庫であってもコンバインを容易に格納することができる。
【0023】
そして、前記回動支持ステー43a部に、背もたれ42を支持する支持アーム43の回動位置を検出するスイッチ59を設け、背もたれ42が補助キャリア46の上方に張り出した状態で、このスイッチ59がONするように構成する。また、前記支持アーム52の回動基部に、該支持アーム52の回動角度を検出するポテンショメータ60を設ける。そして、図4に示すように、コントローラ61に対して、その入力側にスイッチ59とポテンショメータ60を接続する一方、その出力側に前記電動モータ57を接続する。このブロック回路を連繋手段62と称する。
【0024】
これにより、背もたれ42を、ホッパー5の上側に退避した格納位置から補助キャリア46の上方に張り出した張り出し位置に回動させると、これ以上の下降回動が回動支持ステー43のストッパ機能によって規制されると共に、スイッチ59がONする。これによって、コントローラ61から電動モータ57へ駆動出力がなされ、該電動モータ57が正転駆動して日除け部材55が補助キャリア46の上方を覆う張り出し位置(イ)まで回動し、ポテンショメータ60によって検出されるこの日除け部材55の回動角度が、コントローラ61に予め記憶されている設定角度に一致した時点で、この電動モータ57の駆動が停止する。このように、背もたれ42を補助キャリア46の上方に張り出すことによって日除け部材55をも自動的に張り出すことができ、コンバインの操作性を向上させることができる。
【0025】
更に、図5に示すように、図4のブロック回路に加えて、コントローラ61の入力側に角度調整ダイヤル63を接続し、前記コントローラ61に記憶した設定角度を、該角度調整ダイヤル63の回転操作によって変更できるように構成してもよい。これによって、日除け部材55の張り出し位置(イ)を任意に変更することができ、作業環境に適応させることができる。
【0026】
また、図6に示すように、日除け部材55の姿勢を変更自在に構成してもよい。図6(A)はその側面図、図6(B)及び(C)はその平面図を示す。即ち、ホッパー5の後壁の上部に上下方向(略鉛直方向)の支持ボス64を固着し、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム65の下端部を差し込んで取り付ける。これによって、図6(B)に示すように、該日除け部材55は、補助キャリア46上を覆う位置に配置される。そして、図6(C)に示すように、支持アーム65を上下方向の軸芯として、日除け部材55を手動操作で後方へ回動させることができ、これによって、路上走行時や倉庫への格納時に、日除け部材55が機体幅から外側へ突出しないように収納することができる。従って、日除け部材55を取り外す必要がなく、取り扱いを容易化することができる。
【0027】
また、図7に示すように、ホッパー5の後壁の上部に上下方向(略鉛直方向)の支持ボス66を固着し、該支持ボス66に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム67の下部を上下摺動自在に嵌合させて取り付ける。これによって、該日除け部材55は、ホッパー5及び補助キャリア46上を覆う位置において、高さを任意に調節することができる。尚、この高さは、支持ボス66に設けたノブボルト(図示省略)によって固定できる構成とする。従って、日差しの方向等に応じて日除け部材55の高さを調節でき、路上走行時には日除け部材55を下げて機体の全高を低くし、法規制に適応することができる。また、コンバインを狭い倉庫に容易に格納することができる。
【0028】
また、図8に示すように、ホッパー5の後壁の上部に、上下方向の支持ボス68を、機体前後方向の軸芯69回りに回動自在に枢着し、この支持ボス68に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム70の下部を嵌合させて取り付ける。これによって、該日除け部材55は、ホッパー5及び補助キャリア46上を覆う位置において、機体左右方向での姿勢を調節することができる。尚、この日除け部材55の姿勢は、支持ボス68とホッパー5の後壁との間に設けたノブボルト等の位置決め機構(図示省略)によって保持可能に構成する。
【0029】
また、図9に示すように、上述の支持ボス68を横向き姿勢になるまで回動可能に構成すると、日除け部材55を機体側面に沿わせるように収納し、路上走行時や倉庫への格納時に、日除け部材55が機体幅から外側へ突出しないように格納することができる。従って、日除け部材55を取り外す必要がなく、取り扱いを容易化することができる。
【0030】
また、図10に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43に上下方向のボス71を固着し、このボス71に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム72を摺動自在に嵌合させて取り付ける。これにより、図10(A)に示すように、背もたれ42を補助キャリア46上に張り出した状態において、支持アーム72をボス71に対して下降摺動させて日除け部材55を格納することができる。そして、図10(B)に示すように、背もたれ42を補助キャリア46上に張り出した状態において、支持アーム72をボス71に対して上方摺動させ、日除け部材55をホッパー5よりも高い位置まで上げて作業状態とすることができる。図10(C)に、この状態の平面図を示す。また、図10(D)に示すように、支持アーム72をボス71から一旦抜き出し、日除け部材55の向きを180度反転して再び支持アーム72をボス71に差し込んで取り付けると、該日除け部材55は補助キャリア46よりも機体外側方に配置される。これによって、日差しの方向に応じて日除け部材55の位置を変更することができ、条件適応性を更に向上させることができる。
【0031】
また、図11に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43の自由端側に、2つの円弧状の湾曲部73,73を形成し、この各湾曲部73,73に、弾性材74,74を取り付けて構成してもよい。これによって、補助キャリア46上の作業者の体のホールド性が高まり、機体の振動によって作業者が転落するような不具合が発生しにくくなる。、また、作業者の体への背もたれ42の接触面積が拡大し、作業者が疲労しにくくなる。また、湾曲部73,73を2箇所に設けることによって、補助キャリア46上で2人の作業者が作業できるようになり、作業能率が向上する。
【0032】
また、図12に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43の自由端側に、3つの円弧状の湾曲部75,75,75を形成し、この各湾曲部75,75,75に、弾性材76,76,76を取り付けて構成してもよい。この際、3つの湾曲部75,75,75の位置は、ホッパー5の3つの漏斗部36,36,36の排出シュート35,35,35の位置に合わせて設定する。これによって、補助キャリア46上の作業者の体のホールド性が高まり、機体の振動によって作業者が転落するような不具合が発生しにくくなる。また、作業者の体への背もたれ42の接触面積が拡大し、作業者が疲労しにくくなる。また、湾曲部75,75,75を3箇所に設けることによって、補助キャリア46上で3人の作業者が作業できるようになり、またこの湾曲部75,75,75が3つの排出シュート35,35,35に対応した位置に配置されているために、この湾曲部75,75,75に背をもたせかける作業者が袋詰め作業を行ない易く、作業能率が更に向上する。
【0033】
また、図13に示すように、図12の構成に加え、各湾曲部75,75,75に作業者の体を保持するベルト77,77,77を夫々設けてもよい。これによって、補助キャリア46上の作業者が両手で袋詰め作業を行ない易くなり、作業能率を高めることができる。
【0034】
また、図14に示すように、背もたれ42を断面L字形状に屈折形成し、該背もたれ42を、支持アーム43の自由端部に対して、該支持アーム43の長手方向を軸芯として回動調節自在に取り付ける構成としてもよい。これによって、刈取脱穀作業時には、図14(A)に実線で示すように、背もたれ42の短辺部42aが補助キャリア46上の作業者の体に接触して姿勢を保持するものとし、圃場間移動時等には、図14(B)に示すように背もたれ42を支持アーム43の長手方向に摺動させてから仮想線の位置まで180度反転回動させ、該背もたれ42の長辺部42b上に作業者が着座できるものとする。従って、作業者の疲労を軽減することができる。
【0035】
また、図15に示すように、支持アーム43の自由端部に対して、背もたれ42を該支持アーム43の長手方向に摺動自在に取り付けると共に、該支持アーム43の自由端側の基部に、補助座席78を縦軸79を支点として横方向に回動自在に取り付ける構成としてもよい。これによって、背もたれ42と補助座席78を使用する場合には、実線で示すように、背もたれ42を機体前方へ摺動させ、補助座席78をホッパー5側へ向く姿勢に回動させる。また、背もたれ42と補助座席78を使用しない場合には、仮想線で示すように、背もたれ42を機体後方へ摺動させ、補助座席78を機体後方を向く姿勢に回動させる。これによって、刈取脱穀作業及び圃場間移動を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの背面図である。
【図3】要部の説明用の斜視図である。
【図4】ブロック回路図である。
【図5】ブロック回路図である。
【図6】ホッパー部の三面図である。
【図7】コンバインの背面図である。
【図8】コンバインの背面図である。
【図9】コンバインの背面図である。
【図10】作用状態の説明図である。
【図11】背もたれの平面図である。
【図12】ホッパーと背もたれの関係を示す平面図である。
【図13】ホッパーと背もたれの関係を示す平面図である。
【図14】背もたれの説明図である。
【図15】背もたれの説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 走行装置
2 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 ホッパー
42 背もたれ
45 キャリア
46 補助キャリア
48 軸芯
55 日除け部材
62 連繋手段
イ 張り出し位置
ロ 格納位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀粒を袋詰めするためのホッパーを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホッパーを備えたコンバインは、走行装置を備えた機体フレームの前側に穀稈を刈り取る刈取装置を設け、該刈取装置の後側の機体フレーム上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置を設け、該脱穀装置の横側の機体フレーム上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパーを設け、該ホッパーの下方の機体フレーム上に籾袋を載置するキャリアを設け、該キャリアの外側方に補助キャリアを機体前後方向の軸芯回りに開閉自在に設けている。
【0003】
そして、特許文献1に例示するように、補助キャリア上に搭乗する作業者用の日除け部材を、操縦部の上方から補助ステップの上方を一体的に覆うように固定して設ける技術が知られている。
【特許文献1】実開平5−9236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に例示される技術のように、日除け部材を操縦部の上方から補助ステップの上方を一体的に覆うように固定して設けた構成では、補助ステップを閉じた場合に、日除け部材が機体外側方へ突出した状態となり、コンバインの全幅を縮小できず、この日除け部材が路上走行時に障害物に衝突して破損したり、コンバインを狭い倉庫に格納できなくなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行装置(1)を備えた機体フレーム(2)の前側に穀稈を刈り取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側の機体フレーム(2)上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の横側の機体フレーム(2)上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー(5)を設け、該ホッパー(5)の下方の機体フレーム(2)上に籾袋を載置するキャリア(45)を設け、該キャリア(45)の外側方に補助キャリア(46)を機体前後方向の軸芯(48)回りに開閉自在に設け、該補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、前記ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成したことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
この構成により、補助キャリア(46)を開いてこの補助キャリア(46)上に作業者が搭乗した状態で収穫作業を行ない、ホッパー(5)から籾袋へ穀粒を袋詰めする。袋詰め後の籾袋は、一旦、補助キャリア(46)上へ積載するか、または直接圃場面へ降ろされる。このような収穫作業において、日差しが強い場合には、日除け部材(55)をホッパー(5)の上側から外側方に張り出し、補助キャリア(46)の上方を覆う。
【0007】
路上走行時およびコンバインを倉庫へ格納する際には、日除け部材(55)を補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避させると共に補助キャリア(46)を閉じてコンバインの機体全幅を縮小する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の背もたれ(42)を、補助キャリア(46)の上方に張り出した張り出し位置とホッパー(5)の上側に退避した格納位置とにわたって移動自在に構成し、該背もたれ(42)の張り出し位置側への移動に基づいて前記日除け部材(55)を張り出し位置(イ)に移動させる連繋手段(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
この構成により、背もたれ(42)を補助キャリア(46)の上方に張り出すと、これに基づいて日除け部材(55)が自動的に張り出し位置に移動する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、収穫作業時には、補助キャリア(46)を開くと共に日除け部材(55)をホッパー(5)の上側から外側方へ張り出し、この補助キャリア(46)の上方を覆うことにより、補助キャリア(46)上に搭乗する作業者の作業環境を改善することができる。そして、路上走行時や倉庫への格納時には、日除け部材(55)を補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避させると共に補助キャリア(46)を閉じることによってコンバインの機体全幅を縮小し、路上走行時にこの日除け部材(55)が障害物に衝突して破損する不具合を防止でき、狭い倉庫であってもコンバインを容易に格納することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、背もたれ(42)を補助キャリア(46)の上方に張り出すことによって日除け部材(55)をも自動的に張り出すことができ、コンバインの操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を、ホッパーを備えた自脱型コンバインを例示して説明する。
図1、図2に示すように、このコンバインは、走行装置1を備えた機体フレーム2の前側に、穀稈を刈り取る刈取装置3を昇降自在に設け、該刈取装置3後側の機体フレーム2上に、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置4を設け、該脱穀装置4の横側の機体フレーム2上に、脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー5を設けて構成する。
【0013】
前記走行装置1は、機体フレーム2の前後左右の4箇所から下方へ延出させたフレームフット6,6の下端部に左右の転輪フレーム7,7を連結し、該転輪フレーム7,7に複数の転輪8,8と後端部の緊張輪9,9と上側の上部転輪10,10とを軸支し、機体フレーム2の前端部に取り付けたミッションケース11から駆動される駆動スプロケット12,12と前記転輪8,8と緊張輪9,9と上部転輪10,10とにわたってクローラ13,13を巻き掛けて構成する。
【0014】
また、前記機体フレーム2の前部には操縦部14を設ける。該操縦部14は、エンジン15を囲うエンジンカバー16と、該エンジンカバー16の上部に取り付けた座席17と、該座席17の前方に立設したフロント操作ポスト18と、座席17の左側に設けたサイド操作パネル19から構成する。前記フロント操作ポスト18の上部には、フロント操作パネル20を設け、該フロント操作パネル20上に、ハンドル21と、該ハンドル21に取り付けたバックミラー22と、操向レバー23と、メータパネル(図示省略)を設ける。また、前記サイド操作パネル19上には、スロットルレバー24と主変速レバー25と副変速レバー26と刈取・脱穀クラッチレバー(図示省略)を設ける。
【0015】
前記刈取装置3は、機体フレーム2の前部に設けた刈取懸架台(図示省略)に、伝動軸を内装した主フレーム27の後端部を上下回動自在に左右方向の軸で枢着し、該主フレーム27を前部下方へ延出させてその前端部に左右方向の下部ギヤケース28を固定し、該下部ギヤケース28から前方へ分草フレーム29を延出させ、該分草フレーム29の前端部に分草板30を取り付け、分草フレーム29の前後方向中間部にバリカン式の刈刃31を取り付け、分草フレーム29の前部と下部ギヤケース28の左右端部から立ち上げた引起伝動軸32の上端部との間に引起装置33を支持し、油圧シリンダ(図示省略)によって主フレーム27を上下回動させることによって刈り高さを調節自在に構成する。
【0016】
前記脱穀装置4は、前記刈取装置3から搬送される刈取穀稈を引き継いで挟持搬送するフィードチェンと、該フィードチェンによって搬送される刈取穀稈を脱穀処理する上部の扱室と、該扱室内で脱粒した被処理物を選別処理する選別室から構成(いずれも図示省略)し、後側に脱穀後の排藁を裁断処理する排藁カッター34を装着する。
【0017】
前記ホッパー5は、下部に排出シュート35を備える3つの漏斗部36を有した箱型に形成し、前記脱穀装置4の機体奥側の側面に沿って前後方向に延出し、後部を下方へ屈折させて機体フレーム2の後端面に連結した支持フレーム37と、脱穀装置4の機体奥側側面に配置する1番揚穀筒38に支持させて設ける。39は2番物を脱穀装置4の2番処理室に還元する2番揚穀筒である。
【0018】
前記ホッパー5には、各排出シュート35の前後両側に位置して、該排出シュート35の後側から外側方へ延出するように設けた6本の袋ホルダ40を備える。該袋ホルダ40は、その機体奥側端部をホルダ支持フレーム41に固着し、該ホルダ支持フレーム41をホッパー5側と前記エンジンカバー16部のフレームとに連結して支持する。
【0019】
そして、前記ホッパー5の下方の機体フレーム2上に、籾袋を載置するキャリア45を設け、該キャリア45の外側方に配置する補助キャリア46を、機体フレーム2の外側端部の前後2箇所に取り付けた支持ステー47,47に対して、機体前後方向の軸芯48,48回りに開閉自在に取り付ける。これにより、該補助キャリア46は、機体フレーム2に対して略垂直に立った閉じ状態と、機体フレーム2に対して略平行に外側方へ延出する開き状態とに切換自在となる。49は、補助キャリア46を閉じ状態でロックするフックである。前記キャリア45の機体奥側には縦壁50を設け、籾袋を引き出す際に引っ掛かりにくいものとしている。この縦壁50は、機体フレーム2の後部に搭載する燃料タンク51の側面をもカバーしている。
【0020】
また、前記支持フレーム37のホッパー5後側の部位にストッパー機能を備えた回動支持ステー43aを設け、先端部に背もたれ42を支持する支持アーム43の基部を該回動支持ステー43に上下回動自在に枢着する。これにより、背もたれ42は、補助キャリア46の上方に張り出した張り出し位置とホッパー5の上側に退避した格納位置とにわたって回動自在となる。
【0021】
しかして、図3に示すように、前記ホッパー5の前後の側壁部に前後の支持アーム部52,52の基部を機体前後方向の軸芯P回りに上下回動自在に軸支し、該前後の支持アーム部52,52の自由端側を前後方向視で円弧状に屈曲させた日除け支持フレーム53を設け、該日除け支持フレーム53の前後の円弧状部分にわたって布状のシート部材54を張設して作業者用の日除け部材55を構成する。前後の支持アーム部52,52の自由端側の円弧状部は、軸芯Pを中心とした円弧に形成する。
【0022】
また、前記後側の支持アーム52の基部にギヤ56を一体的に取り付け、該ギヤ56と、ホッパー5の後側壁に固定した電動モータ57の出力ギヤ58とを噛み合わせる。図2に示すように、この電動モータ57の正逆転駆動によって、日除け部材55を、前記ホッパー5の上側から外側方に張り出して補助キャリア46の上方を覆う張り出し位置(イ)と、該補助キャリア46の上方からホッパー5の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって回動させることができる。また、この日除け部材55を張り出し位置(イ)と格納位置(ロ)との間の中間位置で保持することもでき、日光の入射角度や作業環境に応じて、日除け部材55の位置を調節することができる。従って、収穫作業時には、補助キャリア46を開くと共に日除け部材55をホッパー5の上側から外側方へ張り出し、この補助キャリア46の上方を覆うことにより、補助キャリア46上に搭乗する作業者の作業環境を改善することができる。そして、路上走行時や倉庫への格納時には、日除け部材55を補助キャリア46の上方からホッパー5の上側へ退避させると共に補助キャリア46を閉じることによってコンバインの機体全幅を縮小し、路上走行時にこの日除け部材55が障害物に衝突して破損する不具合を防止でき、狭い倉庫であってもコンバインを容易に格納することができる。
【0023】
そして、前記回動支持ステー43a部に、背もたれ42を支持する支持アーム43の回動位置を検出するスイッチ59を設け、背もたれ42が補助キャリア46の上方に張り出した状態で、このスイッチ59がONするように構成する。また、前記支持アーム52の回動基部に、該支持アーム52の回動角度を検出するポテンショメータ60を設ける。そして、図4に示すように、コントローラ61に対して、その入力側にスイッチ59とポテンショメータ60を接続する一方、その出力側に前記電動モータ57を接続する。このブロック回路を連繋手段62と称する。
【0024】
これにより、背もたれ42を、ホッパー5の上側に退避した格納位置から補助キャリア46の上方に張り出した張り出し位置に回動させると、これ以上の下降回動が回動支持ステー43のストッパ機能によって規制されると共に、スイッチ59がONする。これによって、コントローラ61から電動モータ57へ駆動出力がなされ、該電動モータ57が正転駆動して日除け部材55が補助キャリア46の上方を覆う張り出し位置(イ)まで回動し、ポテンショメータ60によって検出されるこの日除け部材55の回動角度が、コントローラ61に予め記憶されている設定角度に一致した時点で、この電動モータ57の駆動が停止する。このように、背もたれ42を補助キャリア46の上方に張り出すことによって日除け部材55をも自動的に張り出すことができ、コンバインの操作性を向上させることができる。
【0025】
更に、図5に示すように、図4のブロック回路に加えて、コントローラ61の入力側に角度調整ダイヤル63を接続し、前記コントローラ61に記憶した設定角度を、該角度調整ダイヤル63の回転操作によって変更できるように構成してもよい。これによって、日除け部材55の張り出し位置(イ)を任意に変更することができ、作業環境に適応させることができる。
【0026】
また、図6に示すように、日除け部材55の姿勢を変更自在に構成してもよい。図6(A)はその側面図、図6(B)及び(C)はその平面図を示す。即ち、ホッパー5の後壁の上部に上下方向(略鉛直方向)の支持ボス64を固着し、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム65の下端部を差し込んで取り付ける。これによって、図6(B)に示すように、該日除け部材55は、補助キャリア46上を覆う位置に配置される。そして、図6(C)に示すように、支持アーム65を上下方向の軸芯として、日除け部材55を手動操作で後方へ回動させることができ、これによって、路上走行時や倉庫への格納時に、日除け部材55が機体幅から外側へ突出しないように収納することができる。従って、日除け部材55を取り外す必要がなく、取り扱いを容易化することができる。
【0027】
また、図7に示すように、ホッパー5の後壁の上部に上下方向(略鉛直方向)の支持ボス66を固着し、該支持ボス66に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム67の下部を上下摺動自在に嵌合させて取り付ける。これによって、該日除け部材55は、ホッパー5及び補助キャリア46上を覆う位置において、高さを任意に調節することができる。尚、この高さは、支持ボス66に設けたノブボルト(図示省略)によって固定できる構成とする。従って、日差しの方向等に応じて日除け部材55の高さを調節でき、路上走行時には日除け部材55を下げて機体の全高を低くし、法規制に適応することができる。また、コンバインを狭い倉庫に容易に格納することができる。
【0028】
また、図8に示すように、ホッパー5の後壁の上部に、上下方向の支持ボス68を、機体前後方向の軸芯69回りに回動自在に枢着し、この支持ボス68に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム70の下部を嵌合させて取り付ける。これによって、該日除け部材55は、ホッパー5及び補助キャリア46上を覆う位置において、機体左右方向での姿勢を調節することができる。尚、この日除け部材55の姿勢は、支持ボス68とホッパー5の後壁との間に設けたノブボルト等の位置決め機構(図示省略)によって保持可能に構成する。
【0029】
また、図9に示すように、上述の支持ボス68を横向き姿勢になるまで回動可能に構成すると、日除け部材55を機体側面に沿わせるように収納し、路上走行時や倉庫への格納時に、日除け部材55が機体幅から外側へ突出しないように格納することができる。従って、日除け部材55を取り外す必要がなく、取り扱いを容易化することができる。
【0030】
また、図10に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43に上下方向のボス71を固着し、このボス71に、日除け部材55側に一体に設けた支持アーム72を摺動自在に嵌合させて取り付ける。これにより、図10(A)に示すように、背もたれ42を補助キャリア46上に張り出した状態において、支持アーム72をボス71に対して下降摺動させて日除け部材55を格納することができる。そして、図10(B)に示すように、背もたれ42を補助キャリア46上に張り出した状態において、支持アーム72をボス71に対して上方摺動させ、日除け部材55をホッパー5よりも高い位置まで上げて作業状態とすることができる。図10(C)に、この状態の平面図を示す。また、図10(D)に示すように、支持アーム72をボス71から一旦抜き出し、日除け部材55の向きを180度反転して再び支持アーム72をボス71に差し込んで取り付けると、該日除け部材55は補助キャリア46よりも機体外側方に配置される。これによって、日差しの方向に応じて日除け部材55の位置を変更することができ、条件適応性を更に向上させることができる。
【0031】
また、図11に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43の自由端側に、2つの円弧状の湾曲部73,73を形成し、この各湾曲部73,73に、弾性材74,74を取り付けて構成してもよい。これによって、補助キャリア46上の作業者の体のホールド性が高まり、機体の振動によって作業者が転落するような不具合が発生しにくくなる。、また、作業者の体への背もたれ42の接触面積が拡大し、作業者が疲労しにくくなる。また、湾曲部73,73を2箇所に設けることによって、補助キャリア46上で2人の作業者が作業できるようになり、作業能率が向上する。
【0032】
また、図12に示すように、背もたれ42を支持する支持アーム43の自由端側に、3つの円弧状の湾曲部75,75,75を形成し、この各湾曲部75,75,75に、弾性材76,76,76を取り付けて構成してもよい。この際、3つの湾曲部75,75,75の位置は、ホッパー5の3つの漏斗部36,36,36の排出シュート35,35,35の位置に合わせて設定する。これによって、補助キャリア46上の作業者の体のホールド性が高まり、機体の振動によって作業者が転落するような不具合が発生しにくくなる。また、作業者の体への背もたれ42の接触面積が拡大し、作業者が疲労しにくくなる。また、湾曲部75,75,75を3箇所に設けることによって、補助キャリア46上で3人の作業者が作業できるようになり、またこの湾曲部75,75,75が3つの排出シュート35,35,35に対応した位置に配置されているために、この湾曲部75,75,75に背をもたせかける作業者が袋詰め作業を行ない易く、作業能率が更に向上する。
【0033】
また、図13に示すように、図12の構成に加え、各湾曲部75,75,75に作業者の体を保持するベルト77,77,77を夫々設けてもよい。これによって、補助キャリア46上の作業者が両手で袋詰め作業を行ない易くなり、作業能率を高めることができる。
【0034】
また、図14に示すように、背もたれ42を断面L字形状に屈折形成し、該背もたれ42を、支持アーム43の自由端部に対して、該支持アーム43の長手方向を軸芯として回動調節自在に取り付ける構成としてもよい。これによって、刈取脱穀作業時には、図14(A)に実線で示すように、背もたれ42の短辺部42aが補助キャリア46上の作業者の体に接触して姿勢を保持するものとし、圃場間移動時等には、図14(B)に示すように背もたれ42を支持アーム43の長手方向に摺動させてから仮想線の位置まで180度反転回動させ、該背もたれ42の長辺部42b上に作業者が着座できるものとする。従って、作業者の疲労を軽減することができる。
【0035】
また、図15に示すように、支持アーム43の自由端部に対して、背もたれ42を該支持アーム43の長手方向に摺動自在に取り付けると共に、該支持アーム43の自由端側の基部に、補助座席78を縦軸79を支点として横方向に回動自在に取り付ける構成としてもよい。これによって、背もたれ42と補助座席78を使用する場合には、実線で示すように、背もたれ42を機体前方へ摺動させ、補助座席78をホッパー5側へ向く姿勢に回動させる。また、背もたれ42と補助座席78を使用しない場合には、仮想線で示すように、背もたれ42を機体後方へ摺動させ、補助座席78を機体後方を向く姿勢に回動させる。これによって、刈取脱穀作業及び圃場間移動を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの背面図である。
【図3】要部の説明用の斜視図である。
【図4】ブロック回路図である。
【図5】ブロック回路図である。
【図6】ホッパー部の三面図である。
【図7】コンバインの背面図である。
【図8】コンバインの背面図である。
【図9】コンバインの背面図である。
【図10】作用状態の説明図である。
【図11】背もたれの平面図である。
【図12】ホッパーと背もたれの関係を示す平面図である。
【図13】ホッパーと背もたれの関係を示す平面図である。
【図14】背もたれの説明図である。
【図15】背もたれの説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 走行装置
2 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 ホッパー
42 背もたれ
45 キャリア
46 補助キャリア
48 軸芯
55 日除け部材
62 連繋手段
イ 張り出し位置
ロ 格納位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(1)を備えた機体フレーム(2)の前側に穀稈を刈り取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側の機体フレーム(2)上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の横側の機体フレーム(2)上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー(5)を設け、該ホッパー(5)の下方の機体フレーム(2)上に籾袋を載置するキャリア(45)を設け、該キャリア(45)の外側方に補助キャリア(46)を機体前後方向の軸芯(48)回りに開閉自在に設け、該補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、前記ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の背もたれ(42)を、補助キャリア(46)の上方に張り出した張り出し位置とホッパー(5)の上側に退避した格納位置とにわたって移動自在に構成し、該背もたれ(42)の張り出し位置側への移動に基づいて前記日除け部材(55)を張り出し位置(イ)に移動させる連繋手段(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
走行装置(1)を備えた機体フレーム(2)の前側に穀稈を刈り取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側の機体フレーム(2)上に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の横側の機体フレーム(2)上に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めするホッパー(5)を設け、該ホッパー(5)の下方の機体フレーム(2)上に籾袋を載置するキャリア(45)を設け、該キャリア(45)の外側方に補助キャリア(46)を機体前後方向の軸芯(48)回りに開閉自在に設け、該補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の日除け部材(55)を、前記ホッパー(5)の上側から外側方に張り出して補助キャリア(46)の上方を覆う張り出し位置(イ)と該補助キャリア(46)の上方からホッパー(5)の上側へ退避した格納位置(ロ)とにわたって移動自在に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記補助キャリア(46)上に搭乗する作業者用の背もたれ(42)を、補助キャリア(46)の上方に張り出した張り出し位置とホッパー(5)の上側に退避した格納位置とにわたって移動自在に構成し、該背もたれ(42)の張り出し位置側への移動に基づいて前記日除け部材(55)を張り出し位置(イ)に移動させる連繋手段(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−35425(P2010−35425A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198154(P2008−198154)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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