コンバイン
【課題】従来の遮蔽部材は、故障が多く、また、制御が不安定である。
【解決手段】揺動選別棚20の後方に処理物を排出する排出口40を設け、排出口40には排出口開閉シャッタ41を設ける。排出口開閉シャッタ41は、刈取装置5の上下動に連動して排出口40を開閉できるように、刈取装置5と排出口開閉シャッタ41とをワイヤー45により接続する。開閉作動に必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設ける。
【解決手段】揺動選別棚20の後方に処理物を排出する排出口40を設け、排出口40には排出口開閉シャッタ41を設ける。排出口開閉シャッタ41は、刈取装置5の上下動に連動して排出口40を開閉できるように、刈取装置5と排出口開閉シャッタ41とをワイヤー45により接続する。開閉作動に必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置の排出口を開閉させるシャッタに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取装置を設け、前記走行装置の上方に脱穀装置を設け、前記脱穀装置は、上部に扱胴を軸装した脱穀室の下方に、唐箕からの送風により風選する風選室を設け、該風選室に往復揺動する揺動選別棚により構成した揺動選別装置を設けて構成し、前記揺動選別棚のストローラックの上方に遮蔽部材を設け、処理物の量が多いと、開き、処理物が少ないときには閉じるようにした構成は、公知である(特許文献1)
【特許文献1】特開平8ー252023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例の遮蔽部材は、処理物の量の多少により開閉させているため、処理物の量を検知する検知手段と遮蔽部材とを電気的に接続しなければならず、故障が多く、また、制御が不安定となるという課題がある。
そこで、処理物の量に影響する刈取装置の上下と排出口開閉シャッタとを機械的に連動させようとすると、刈高さ調節のための刈取装置の上下動によっても、排出口が開閉することになるという別の課題が生じる。
本願は、刈取装置の上下動と排出口開閉シャッタとを機械的に連動させる構成でありながら、刈高さ調節のための刈取装置の上下動には連動せず、一定以上の刈取装置の上昇に連動するように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取装置5を上下動自在に設け、前記走行装置2の上方に脱穀装置4を設け、前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を軸装した脱穀室11の下方に、唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設けて構成し、前記揺動選別棚20の後方には処理物を排出する排出口40を設け、排出口40には該排出口40を開閉する排出口開閉シャッタ41を設け、該排出口開閉シャッタ41は、前記刈取装置5の上下動に連動して前記排出口40を開閉するように、前記刈取装置5と前記排出口開閉シャッタ41とをワイヤー45により接続し、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置5で刈り取られた穀稈は、脱穀室11で回転する扱胴10により脱穀され、脱穀された被処理物は、風選室18内で往復揺動する揺動選別棚20により選別され、穀粒は、揺動選別棚20から落下して一番コンベアに回収され、揺動選別棚20から落下しない藁屑は、揺動選別棚20の終端のストローラックより後方に移送されて排出される。
排出口40には排出口開閉シャッタ41を設け、排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が通常の刈取作業高さ範囲にある状態では排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を非刈取高さへ上昇させた状態では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。この際、排出口開閉シャッタ41を開閉させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けているので、刈取装置5が刈高さ調節のために上下動しても、排出口開閉シャッタ41は排出口40の開放状態を維持し、詰まり発生を防止する。
本発明は、前記排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介して排出口開閉シャッタ41に接続して構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、長さ吸収バネ46の伸縮により刈取装置5の上下動によるワイヤー45の弛みを吸収して、排出口開閉シャッタ41の不作動域を形成する。
本発明は、前記排出口開閉シャッタ41を機体固定部に回動自在に軸装する取付軸42にアーム43を固定し、アーム43には排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に付勢する閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤー45の他端を長さ吸収バネ46を介して接続したことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置5を上動させるとワイヤー45が弛み、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を弛めるが、長さ吸収バネ46の縮小によりワイヤー45の弛みを吸収する。これによって、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業高さ範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
本発明は、前記長さ吸収バネ46の弾性係数は、閉塞用バネ44の弾性係数よりも大きく設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、非刈取作業高さまで刈取装置5を上昇させると、ワイヤー45が弛んで長さ吸収バネ46は縮小し、長さ吸収バネ46の弾力がアーム43の回動に影響しなくなるので、閉塞用バネ44の弾力が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
本発明は、前記閉塞用バネ44の弾性力を、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押される場合に、排出口開閉シャッタ41が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、閉塞用バネ44は、長さ吸収バネ46が非作用中はアーム43を閉方向に回動させるが、揺動選別棚20上の選別物の押圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動し、排出口40を開放する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、刈取装置5が通常の刈取作業高さにある場合には排出口40の開き状態を維持して揺動選別棚20上での選別物の詰まりを防止して、脱穀作業を能率よく行うことができる。また、例えば、圃場の一辺を刈り終えて旋回する場合など、刈取装置5を非刈取作業高さまで上昇させた場合には排出口40を閉じて揺動選別棚20上での選別物が機外へ排出されて穀粒の収穫ロスとなるのを防止することができる。また、刈取装置5の上下動と排出口開閉シャッタ41とを機械的に連動させるので、作動が確実であり、安価に製造できる。
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加えて、長さ吸収バネ46の伸縮により刈取装置5の弛みを吸収するので、機械的連結構成における排出口開閉シャッタ41の不作動域を簡素の構成で実現できる。
請求項3の発明では、請求項2の発明の効果に加えて、長さ吸収バネ46を効果的に用いて、機械的連結構成における排出口開閉シャッタ41の不作動域の構成を簡素に実現できる。
請求項4の発明では、請求項3の発明の効果に加えて、刈取装置5の上下と排出口開閉シャッタ41の開閉の連動を、二本の閉塞用バネ44および長さ吸収バネ46とワイヤー45により実現でき、安価に提供することができる。
請求項5の発明では、請求項4の発明の効果に加えて、排出口40を排出口開閉シャッタ41により開閉し、排出口40が閉状態のときでも、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押された場合に、排出口40を開放するので、詰まりの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は左右一対のクローラ3により走行する走行装置、4は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、5は脱穀装置4の前側に設けた刈取装置、6は脱穀装置4の側部に設けたグレンタンク、7はグレンタンク6の前方に設けた操縦部である。
前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を略水平に軸装した脱穀室11を設ける。脱穀室11の側部には穀稈供給搬送装置12を設け、穀稈供給搬送装置12の終端には排藁搬送装置13の始端部を臨ませる。
脱穀室11は、扱胴10の主として下方側は扱網15により包囲し、扱網15の下方には唐箕16の唐箕ケーシング17を設ける。前記脱穀室11の下方には前記唐箕16の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室18を形成し、風選室18内には唐箕16の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。
【0007】
揺動選別装置21は、一例を示すと、その揺動選別棚20の始端部(前端部)を唐箕ケーシング12の上方に位置させて移送棚部22に形成する。移送棚部22の構成は任意であり、移送方向下手側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚部22の上面に突起や凹凸を設けて、揺動選別装置21の移送方向下手側の前側シーブ23に向けて扱網15からの落下物を移送できればよい。
前記前側シーブ23は、扱網15より落下した穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。前側シーブ23は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。
【0008】
しかして、前側シーブ23の下方から移送方向の下手側(後側)の揺動選別棚20には後側シーブ24を複数並設する。後側シーブ24は任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。後側シーブ24の下手側にはストローラック25を設ける。
揺動選別棚20の下方所定位置には一番コンベア26を設け、一番コンベア26の後側には二番コンベア27を設ける。
前記脱穀室11の後方の一側(右側)の側部には排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装して構成する。排塵処理装置30の前側には、二番コンベア27により回収された二番物を処理する二番処理装置32を設ける。二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方には二番還元装置33の先端を開口させ、二番還元装置33の基部は二番コンベア27の終端に接続している。二番処理胴34は、排塵処理胴31と同心状に配置する。
【0009】
前記排塵処理装置30の反対側の側部には吸引排塵ファン35を設ける。36は吸引排塵ファン35のケーシング、37はケーシング36の排風口である。脱穀装置4の後側にはカッター装置38を設ける。カッター装置38は公知の構成であり、一対のカッター刃39を設けている。
しかして、揺動選別棚20の後部には、排出物を拡散させて排出口40を設け、排出口40には排出口40を開閉させる排出口シャッタ41を設ける。
排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が下方で刈取作業中は排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を上昇させた非刈取作業中では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
排出口開閉シャッタ41と刈取装置5との連動は、機械的連結構成Lにより行う。
排出口開閉シャッタ41の上部には取付軸42を固定し、取付軸42は脱穀装置4の任意の固定部に回転自在に軸装する。取付軸42にはアーム43を固定し、アーム43には常時排出口開閉シャッタ41を閉方向に付勢する閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤー45の他端を取付ける。
【0010】
この場合、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けるように構成する。
排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介してアーム43に接続して構成する。
そのため、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
【0011】
即ち、刈取装置5を下動させるとワイヤー45を牽引し、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引し、長さ吸収バネ46がアーム43を開方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41を開状態にするので、刈取装置5を上動させるとワイヤー45が弛むが、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45が弛んでも、刈取装置5を下動させたときにワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引して伸びた分の長さ範囲内で長さ吸収バネ46が縮小するので、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
そして、非刈取作業中となるまで刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は縮小するので、長さ吸収バネ46の弾力がアーム43に作用せず、すると、閉塞用バネ44の弾力が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
【0012】
そのため、長さ吸収バネ46の弾力>閉塞用バネ44の弾力となるように構成し、長さ吸収バネ46が刈取装置5の上動によって縮小した後に、閉塞用バネ44の弾力で排出口開閉シャッタ41を閉じるようにし、刈取作業中は閉塞用バネ44の弾力より強い長さ吸収バネ46の弾力で常時排出口40を全開にさせ、排出口40が詰まるのを防止する。
即ち、前記長さ吸収バネ46の弾性係数は、閉塞用バネ44の弾性係数よりも大きく設定する。
47は刈取装置5の支持フレーム、48は刈取装置5の支持フレーム47の回動軸、49はワイヤー45の一端を接続するステーである。
【0013】
この場合、長さ吸収バネ46の弾力は、刈取装置5の刈高さ調節のための刈高さ上限位置T(図4)ではワイヤー45の弛みの吸収作用を奏しないように設定し、刈取装置5の刈高さ調節のための上限高さ以上の上昇位置H(図4)に刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させるのを許容するように構成する。
そのため、刈高さ調節のために刈高さ下限位置L(図4)から刈高さ上限位置T(図4)の所定範囲で刈取装置5を上昇させてワイヤー45を弛めても、ワイヤー45の弛みを長さ吸収バネ46が吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の全開状態を保持でき、排出口40が詰まるのを防止する。
なお、刈高さ下限位置L(図4)は、刈取装置5の最も低くできる設定高さ位置を図示したものであり、実際の作業状態を示すものではない。
【0014】
また、閉塞用バネ44は、排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に回動するように付勢するが、揺動選別棚20上の選別物の移動圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かるときは、排出口開閉シャッタ41が排出口40を開放するように設定する。
即ち、前記閉塞用バネ44の弾性力を、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押される場合に、排出口開閉シャッタ41が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定する。
そのため、刈取装置5を上昇させて排出口開閉シャッタ41を閉じていても、選別物の圧力が排出口開閉シャッタ41に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動して排出口40を開放し、排出口40で詰まりが発生するのを未然に防止する。
【0015】
前記脱穀室11は、脱穀室11の後板50に扱胴10を軸装しており、後板50の所定間隔置いた後方には回転体51を設ける(図7,図8,図9)。回転体51はリング体52に複数の腕部53の先端を連設し、各腕部53の基部を扱胴10の扱胴軸54に軸装し、扱胴10と一体回転する。リング体52には、円周方向に所定間隔を置いて複数の突片55を設ける。突片55はリング体52に対して放射方向に突出した背面視三角状に形成し、回転方向の下手側を緩い傾斜面に形成している。
前記突片55の先端軌跡は扱胴10の扱歯56の先端軌跡より大径に形成する。
回転体51は、少なくとも、脱穀室11に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置12の穀稈供給搬送チェン61を掛け回した歯車57より前側に位置させる
【0016】
回転体51は、脱穀室11に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置12の終端および穀稈供給搬送装置12から排藁搬送装置13に搬送中の穀稈および排藁中の刺さり粒を、回転体51の突片55がしごきあるいは叩いて揺動選別棚20上に落下させて、回収効率を向上させる。
この場合、回転体51は扱胴10の後方に設けているので、脱穀室11の後方の一側に設けた排塵処理装置30に入りきれず、扱胴と10と共回りする処理物から発生する刺さり粒の回収効率を向上させる。
したがって、高速走行で刈取脱穀作業を行うことで、処理物が脱穀室11から排塵処理装置30に入りきれないような場合に発生する刺さり粒の回収効率を向上させるので、高速刈取脱穀作業の穀粒回収効率を向上させることができ、刈取脱穀作業全般の能率を向上させることができる。
58は排藁搬送装置13の駆動歯車である。
【0017】
また、突片55の先端軌跡は扱胴10の扱歯56の先端軌跡より大径に形成しているので、回転体51の突片55の穀稈および排藁のしごきあるいは叩きを良好にできて、揺動選別棚20上への落下を促進させ、回収効率を向上させる。
前記穀稈供給搬送装置12は、前記穀稈供給搬送チェン61と挾扼杆62により構成し、この挾扼杆62は左右一対の縦板63の上部を横板64により連結して下向きのコ型形状に形成しているが、前記縦板63のうちの内側縦板63の終端は、少なくとも、前記後板50の側方までとし、後板50より後方の挾扼杆62の断面形状は逆L型形状に形成する。
そのため、内側縦板63により穀稈の押さえを弛められるので、前記回転体51の突片55がしごきあるいは叩いて穀稈中の刺さり粒を揺動選別棚20上に落下させるのを一層促進させて、回収効率を向上させる。
【0018】
即ち、挾扼杆62の形状と回転体51の存在の相乗効果により、刺さり粒の回収効率を向上させることができる。
実施例では、内側縦板63のみならず横板64の一部を、省略し、挾扼杆62の断面形状を逆L型形状に形成している。
65は穀稈供給搬送チェン61の案内レールである。
しかして、図13は、脱穀装置4の他の実施例を示し、前側シーブ23を任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。扱胴10の下方の前側シーブ23のピッチ(間隔)は、扱胴10より後方の前側シーブ23のピッチ(間隔)よりも狭くなるように構成する。
そのため、前側シーブ23の始端側では、狭いピッチ(間隔)のため、穀粒の落下を促進して藁屑の落下を抑制でき、前側シーブ23の中間より終端側では、広いピッチ(間隔)のため、藁屑の落下を促進して詰まり発生を防止する。
【0019】
また、前側シーブ23の終端とストローラック25の間には後側シーブ24を複数並設する。後側シーブ24は、側面視、後側シーブ24の上端が前側シーブ23の上端より低く、後側シーブ24の上端と前側シーブ23の上端との間に段差Sを形成するように構成する。
そのため、前側シーブ23上の選別物が後側シーブ24の上面に移送される際に、落下の衝撃を受けて、選別物がばらけ易くなって、穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させられ、穀粒の飛散を抑制する。
したがって、後側シーブ24の上端が前側シーブ23の上端より低くして、選別物が落下するようにすればよいが、実施例では、後側シーブ24の上端を前側シーブ23の略上下中間に位置するように配置して段差Sを形成している。
【0020】
また、後側シーブ24のピッチは、前側シーブ23の後方部分の広いピッチ(間隔)よりも狭くなるように構成する。
前側シーブ23と後側シーブ24との間に段差Sを設け、前側シーブ23の後方部分の広いピッチ(間隔)よりも狭く後側シーブ24のピッチを変えることで、後側シーブ24上の藁屑と穀粒の分離が促進され、穀粒の回収効率が向上し、穀粒の飛散を抑制する。
また、前側シーブ23の後側部分のピッチ(間隔)は、後側シーブ24のピッチより広いので、選別風の抜けが良好となって、前側シーブ23から後側シーブ24への移行の際の藁屑と穀粒の分離を良好にする。
【0021】
また、後側シーブ24の傾斜は、前側シーブ23の傾斜より起立させて構成する。
そのため、後側シーブ24のピッチが、前側シーブ23の後側部分のピッチ(間隔)よりも狭く構成しているが、後側シーブ24の傾斜を前側シーブ23の傾斜より起立させて急傾斜にすることで、藁屑からの穀粒の分離を良好にし、穀粒の飛散を抑制する。
【0022】
(実施例の作用)
脱穀装置4の供給された穀稈は、穂先部分が回転する扱胴10により脱穀され、穀稈と穀粒とに分離され、穀粒は扱網15より下方の揺動選別装置21の揺動選別棚20上に落下し、唐箕16からの選別風と揺動選別棚20の往復揺動により風選される。
扱網15より漏下せず脱穀室11内に残った処理物は、排塵処理装置30には入り、回転する排塵処理胴31により処理される。
脱穀室11および排塵処理装置30から落下した穀粒は、一番コンベア26により回収され、一番コンベア26に回収されずに二番コンベア27に回収された二番物は二番処理装置32により処理され、二番処理装置32の処理物は揺動選別棚20の始端側に戻されて、再処理される。
【0023】
揺動選別棚20から落下しない藁屑は、前側シーブ23と後側シーブ24によりストローラック25まで移送され、吸引排塵ファン35により吸引排除され、吸引排除されない藁屑はストローラック25により排出口40から機外に排出される。
しかして、排出口40には排出口開閉シャッタ41を設け、排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が下方で刈取作業中は排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を上昇させた非刈取作業中では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
排出口開閉シャッタ41と刈取装置5との連動は、排出口開閉シャッタ41の上部の取付軸42にアーム43を固定し、アーム43には常時排出口開閉シャッタ41を閉方向に付勢する閉塞用バネ閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤーワイヤー45の他端を取付けて構成する機械的連結構成Lにより行うから、構成が簡素であり、作動が確実となり、製造コストを低くすることができる。
【0024】
この場合、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けているので、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業の範囲内で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介してアーム43に接続して構成しているから、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業の範囲内で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
【0025】
即ち、刈取装置5を下動させるとステー49が回動してワイヤー45を牽引し、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引し、長さ吸収バネ46がアーム43を開方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41を開状態にするので、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45が弛んでも、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引したときの長さ吸収バネ46の伸びの分が縮小することでワイヤー45の弛みを吸収するので、アーム43は閉方向に回動せず、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
そして、非刈取作業中となるまで刈取装置5を上昇させると、ワイヤー45が弛んで長さ吸収バネ46は縮小し、ワイヤー45の弛みがアーム43に伝達されるので、閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
【0026】
したがって、排出口開閉シャッタ41を開閉させるワイヤー45のストロークより、伸びた長さ吸収バネ46が縮小する分刈取装置5を上下させるワイヤー45のストロークを大きくすることができるので、刈取装置5が一定高さ以下の範囲で上下しても、排出口開閉シャッタ41が開閉しない不作動域を設けたことになり、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
また、長さ吸収バネ46の弾力は、閉塞用バネ44の弾力より強くなるように、長さ吸収バネ46の弾力>閉塞用バネ44の弾力と設定・構成しているので、刈取装置5の下動によるワイヤー45の弛みで長さ吸収バネ46が弛んでも、刈取装置5を所定高さ以上に上昇させて長さ吸収バネ46の牽引力が零になるまでは、長さ吸収バネ46は排出口開閉シャッタ41を閉塞用バネ44の弾力に抗して常時排出口40を全開にさせ、排出口40が選別物で詰まるのを防止する。
【0027】
この場合、長さ吸収バネ46の弾力は、刈取装置5の刈高さ調節のための上限でワイヤー45の弛みの吸収作用が奏しないように設定しているので、刈取装置5の刈高さ調節のための上限以上に刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させるのを許容する。
そのため、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の全開状態を保持でき、排出口40が詰まるのを防止する。
【0028】
また、閉塞用バネ44は、排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に回動するように付勢するが、揺動選別棚20上の選別物の移動圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かるときは、排出口開閉シャッタ41が排出口40を開放するように設定してるので、刈取装置5を上昇させて排出口開閉シャッタ41を閉じていても、選別物の圧力が排出口開閉シャッタ41に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動して排出口40を開放し、排出口40で詰まりが発生するのを未然に防止する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の側面図。
【図3】同背面図。
【図4】刈取装置の上下動状態側面図。
【図5】排出口開閉シャッタ付近の側面図。
【図6】排出口開閉シャッタ付近の側面図。
【図7】脱穀装置の回転体付近の側面図。
【図8】同背面図。
【図9】同一部平面図。
【図10】穀稈供給搬送装置の終端付近の側面図。
【図11】同背面図。
【図12】同一部拡大背面図。
【図13】脱穀装置の他の実施例の側面図。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…クローラ、4…脱穀装置、5…刈取装置、6…グレンタンク、7…操縦部、10…扱胴、11…脱穀室、12…穀稈供給搬送装置、13……排藁搬送装置、15…扱網、16…唐箕、17…唐箕ケーシング、18…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚部、23…前側シーブ、24…後側シーブ、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…処理胴、32…二番処理装置、33…二番還元装置、35…吸引排塵ファン、36…ケーシング、38…カッター装置、39…カッター刃、40…排出口、41…排出口開閉シャッタ、42…取付軸、43…アーム、44…閉塞用バネ、45…ワイヤー、46…長さ吸収バネ、50…後板、51…回転体、52…リング体、53…腕部、54…扱胴軸、55…突片、56…扱歯、61…穀稈供給搬送チェン、62…挾扼杆、63…縦板、64…横板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置の排出口を開閉させるシャッタに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取装置を設け、前記走行装置の上方に脱穀装置を設け、前記脱穀装置は、上部に扱胴を軸装した脱穀室の下方に、唐箕からの送風により風選する風選室を設け、該風選室に往復揺動する揺動選別棚により構成した揺動選別装置を設けて構成し、前記揺動選別棚のストローラックの上方に遮蔽部材を設け、処理物の量が多いと、開き、処理物が少ないときには閉じるようにした構成は、公知である(特許文献1)
【特許文献1】特開平8ー252023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例の遮蔽部材は、処理物の量の多少により開閉させているため、処理物の量を検知する検知手段と遮蔽部材とを電気的に接続しなければならず、故障が多く、また、制御が不安定となるという課題がある。
そこで、処理物の量に影響する刈取装置の上下と排出口開閉シャッタとを機械的に連動させようとすると、刈高さ調節のための刈取装置の上下動によっても、排出口が開閉することになるという別の課題が生じる。
本願は、刈取装置の上下動と排出口開閉シャッタとを機械的に連動させる構成でありながら、刈高さ調節のための刈取装置の上下動には連動せず、一定以上の刈取装置の上昇に連動するように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取装置5を上下動自在に設け、前記走行装置2の上方に脱穀装置4を設け、前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を軸装した脱穀室11の下方に、唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設けて構成し、前記揺動選別棚20の後方には処理物を排出する排出口40を設け、排出口40には該排出口40を開閉する排出口開閉シャッタ41を設け、該排出口開閉シャッタ41は、前記刈取装置5の上下動に連動して前記排出口40を開閉するように、前記刈取装置5と前記排出口開閉シャッタ41とをワイヤー45により接続し、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置5で刈り取られた穀稈は、脱穀室11で回転する扱胴10により脱穀され、脱穀された被処理物は、風選室18内で往復揺動する揺動選別棚20により選別され、穀粒は、揺動選別棚20から落下して一番コンベアに回収され、揺動選別棚20から落下しない藁屑は、揺動選別棚20の終端のストローラックより後方に移送されて排出される。
排出口40には排出口開閉シャッタ41を設け、排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が通常の刈取作業高さ範囲にある状態では排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を非刈取高さへ上昇させた状態では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。この際、排出口開閉シャッタ41を開閉させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けているので、刈取装置5が刈高さ調節のために上下動しても、排出口開閉シャッタ41は排出口40の開放状態を維持し、詰まり発生を防止する。
本発明は、前記排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介して排出口開閉シャッタ41に接続して構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、長さ吸収バネ46の伸縮により刈取装置5の上下動によるワイヤー45の弛みを吸収して、排出口開閉シャッタ41の不作動域を形成する。
本発明は、前記排出口開閉シャッタ41を機体固定部に回動自在に軸装する取付軸42にアーム43を固定し、アーム43には排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に付勢する閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤー45の他端を長さ吸収バネ46を介して接続したことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置5を上動させるとワイヤー45が弛み、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を弛めるが、長さ吸収バネ46の縮小によりワイヤー45の弛みを吸収する。これによって、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業高さ範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
本発明は、前記長さ吸収バネ46の弾性係数は、閉塞用バネ44の弾性係数よりも大きく設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、非刈取作業高さまで刈取装置5を上昇させると、ワイヤー45が弛んで長さ吸収バネ46は縮小し、長さ吸収バネ46の弾力がアーム43の回動に影響しなくなるので、閉塞用バネ44の弾力が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
本発明は、前記閉塞用バネ44の弾性力を、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押される場合に、排出口開閉シャッタ41が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、閉塞用バネ44は、長さ吸収バネ46が非作用中はアーム43を閉方向に回動させるが、揺動選別棚20上の選別物の押圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動し、排出口40を開放する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、刈取装置5が通常の刈取作業高さにある場合には排出口40の開き状態を維持して揺動選別棚20上での選別物の詰まりを防止して、脱穀作業を能率よく行うことができる。また、例えば、圃場の一辺を刈り終えて旋回する場合など、刈取装置5を非刈取作業高さまで上昇させた場合には排出口40を閉じて揺動選別棚20上での選別物が機外へ排出されて穀粒の収穫ロスとなるのを防止することができる。また、刈取装置5の上下動と排出口開閉シャッタ41とを機械的に連動させるので、作動が確実であり、安価に製造できる。
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加えて、長さ吸収バネ46の伸縮により刈取装置5の弛みを吸収するので、機械的連結構成における排出口開閉シャッタ41の不作動域を簡素の構成で実現できる。
請求項3の発明では、請求項2の発明の効果に加えて、長さ吸収バネ46を効果的に用いて、機械的連結構成における排出口開閉シャッタ41の不作動域の構成を簡素に実現できる。
請求項4の発明では、請求項3の発明の効果に加えて、刈取装置5の上下と排出口開閉シャッタ41の開閉の連動を、二本の閉塞用バネ44および長さ吸収バネ46とワイヤー45により実現でき、安価に提供することができる。
請求項5の発明では、請求項4の発明の効果に加えて、排出口40を排出口開閉シャッタ41により開閉し、排出口40が閉状態のときでも、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押された場合に、排出口40を開放するので、詰まりの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は左右一対のクローラ3により走行する走行装置、4は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、5は脱穀装置4の前側に設けた刈取装置、6は脱穀装置4の側部に設けたグレンタンク、7はグレンタンク6の前方に設けた操縦部である。
前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を略水平に軸装した脱穀室11を設ける。脱穀室11の側部には穀稈供給搬送装置12を設け、穀稈供給搬送装置12の終端には排藁搬送装置13の始端部を臨ませる。
脱穀室11は、扱胴10の主として下方側は扱網15により包囲し、扱網15の下方には唐箕16の唐箕ケーシング17を設ける。前記脱穀室11の下方には前記唐箕16の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室18を形成し、風選室18内には唐箕16の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。
【0007】
揺動選別装置21は、一例を示すと、その揺動選別棚20の始端部(前端部)を唐箕ケーシング12の上方に位置させて移送棚部22に形成する。移送棚部22の構成は任意であり、移送方向下手側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚部22の上面に突起や凹凸を設けて、揺動選別装置21の移送方向下手側の前側シーブ23に向けて扱網15からの落下物を移送できればよい。
前記前側シーブ23は、扱網15より落下した穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。前側シーブ23は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。
【0008】
しかして、前側シーブ23の下方から移送方向の下手側(後側)の揺動選別棚20には後側シーブ24を複数並設する。後側シーブ24は任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。後側シーブ24の下手側にはストローラック25を設ける。
揺動選別棚20の下方所定位置には一番コンベア26を設け、一番コンベア26の後側には二番コンベア27を設ける。
前記脱穀室11の後方の一側(右側)の側部には排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装して構成する。排塵処理装置30の前側には、二番コンベア27により回収された二番物を処理する二番処理装置32を設ける。二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方には二番還元装置33の先端を開口させ、二番還元装置33の基部は二番コンベア27の終端に接続している。二番処理胴34は、排塵処理胴31と同心状に配置する。
【0009】
前記排塵処理装置30の反対側の側部には吸引排塵ファン35を設ける。36は吸引排塵ファン35のケーシング、37はケーシング36の排風口である。脱穀装置4の後側にはカッター装置38を設ける。カッター装置38は公知の構成であり、一対のカッター刃39を設けている。
しかして、揺動選別棚20の後部には、排出物を拡散させて排出口40を設け、排出口40には排出口40を開閉させる排出口シャッタ41を設ける。
排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が下方で刈取作業中は排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を上昇させた非刈取作業中では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
排出口開閉シャッタ41と刈取装置5との連動は、機械的連結構成Lにより行う。
排出口開閉シャッタ41の上部には取付軸42を固定し、取付軸42は脱穀装置4の任意の固定部に回転自在に軸装する。取付軸42にはアーム43を固定し、アーム43には常時排出口開閉シャッタ41を閉方向に付勢する閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤー45の他端を取付ける。
【0010】
この場合、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けるように構成する。
排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介してアーム43に接続して構成する。
そのため、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
【0011】
即ち、刈取装置5を下動させるとワイヤー45を牽引し、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引し、長さ吸収バネ46がアーム43を開方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41を開状態にするので、刈取装置5を上動させるとワイヤー45が弛むが、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45が弛んでも、刈取装置5を下動させたときにワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引して伸びた分の長さ範囲内で長さ吸収バネ46が縮小するので、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
そして、非刈取作業中となるまで刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は縮小するので、長さ吸収バネ46の弾力がアーム43に作用せず、すると、閉塞用バネ44の弾力が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
【0012】
そのため、長さ吸収バネ46の弾力>閉塞用バネ44の弾力となるように構成し、長さ吸収バネ46が刈取装置5の上動によって縮小した後に、閉塞用バネ44の弾力で排出口開閉シャッタ41を閉じるようにし、刈取作業中は閉塞用バネ44の弾力より強い長さ吸収バネ46の弾力で常時排出口40を全開にさせ、排出口40が詰まるのを防止する。
即ち、前記長さ吸収バネ46の弾性係数は、閉塞用バネ44の弾性係数よりも大きく設定する。
47は刈取装置5の支持フレーム、48は刈取装置5の支持フレーム47の回動軸、49はワイヤー45の一端を接続するステーである。
【0013】
この場合、長さ吸収バネ46の弾力は、刈取装置5の刈高さ調節のための刈高さ上限位置T(図4)ではワイヤー45の弛みの吸収作用を奏しないように設定し、刈取装置5の刈高さ調節のための上限高さ以上の上昇位置H(図4)に刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させるのを許容するように構成する。
そのため、刈高さ調節のために刈高さ下限位置L(図4)から刈高さ上限位置T(図4)の所定範囲で刈取装置5を上昇させてワイヤー45を弛めても、ワイヤー45の弛みを長さ吸収バネ46が吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の全開状態を保持でき、排出口40が詰まるのを防止する。
なお、刈高さ下限位置L(図4)は、刈取装置5の最も低くできる設定高さ位置を図示したものであり、実際の作業状態を示すものではない。
【0014】
また、閉塞用バネ44は、排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に回動するように付勢するが、揺動選別棚20上の選別物の移動圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かるときは、排出口開閉シャッタ41が排出口40を開放するように設定する。
即ち、前記閉塞用バネ44の弾性力を、揺動選別棚20上の選別物によって排出口開閉シャッタ41が押される場合に、排出口開閉シャッタ41が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定する。
そのため、刈取装置5を上昇させて排出口開閉シャッタ41を閉じていても、選別物の圧力が排出口開閉シャッタ41に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動して排出口40を開放し、排出口40で詰まりが発生するのを未然に防止する。
【0015】
前記脱穀室11は、脱穀室11の後板50に扱胴10を軸装しており、後板50の所定間隔置いた後方には回転体51を設ける(図7,図8,図9)。回転体51はリング体52に複数の腕部53の先端を連設し、各腕部53の基部を扱胴10の扱胴軸54に軸装し、扱胴10と一体回転する。リング体52には、円周方向に所定間隔を置いて複数の突片55を設ける。突片55はリング体52に対して放射方向に突出した背面視三角状に形成し、回転方向の下手側を緩い傾斜面に形成している。
前記突片55の先端軌跡は扱胴10の扱歯56の先端軌跡より大径に形成する。
回転体51は、少なくとも、脱穀室11に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置12の穀稈供給搬送チェン61を掛け回した歯車57より前側に位置させる
【0016】
回転体51は、脱穀室11に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置12の終端および穀稈供給搬送装置12から排藁搬送装置13に搬送中の穀稈および排藁中の刺さり粒を、回転体51の突片55がしごきあるいは叩いて揺動選別棚20上に落下させて、回収効率を向上させる。
この場合、回転体51は扱胴10の後方に設けているので、脱穀室11の後方の一側に設けた排塵処理装置30に入りきれず、扱胴と10と共回りする処理物から発生する刺さり粒の回収効率を向上させる。
したがって、高速走行で刈取脱穀作業を行うことで、処理物が脱穀室11から排塵処理装置30に入りきれないような場合に発生する刺さり粒の回収効率を向上させるので、高速刈取脱穀作業の穀粒回収効率を向上させることができ、刈取脱穀作業全般の能率を向上させることができる。
58は排藁搬送装置13の駆動歯車である。
【0017】
また、突片55の先端軌跡は扱胴10の扱歯56の先端軌跡より大径に形成しているので、回転体51の突片55の穀稈および排藁のしごきあるいは叩きを良好にできて、揺動選別棚20上への落下を促進させ、回収効率を向上させる。
前記穀稈供給搬送装置12は、前記穀稈供給搬送チェン61と挾扼杆62により構成し、この挾扼杆62は左右一対の縦板63の上部を横板64により連結して下向きのコ型形状に形成しているが、前記縦板63のうちの内側縦板63の終端は、少なくとも、前記後板50の側方までとし、後板50より後方の挾扼杆62の断面形状は逆L型形状に形成する。
そのため、内側縦板63により穀稈の押さえを弛められるので、前記回転体51の突片55がしごきあるいは叩いて穀稈中の刺さり粒を揺動選別棚20上に落下させるのを一層促進させて、回収効率を向上させる。
【0018】
即ち、挾扼杆62の形状と回転体51の存在の相乗効果により、刺さり粒の回収効率を向上させることができる。
実施例では、内側縦板63のみならず横板64の一部を、省略し、挾扼杆62の断面形状を逆L型形状に形成している。
65は穀稈供給搬送チェン61の案内レールである。
しかして、図13は、脱穀装置4の他の実施例を示し、前側シーブ23を任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。扱胴10の下方の前側シーブ23のピッチ(間隔)は、扱胴10より後方の前側シーブ23のピッチ(間隔)よりも狭くなるように構成する。
そのため、前側シーブ23の始端側では、狭いピッチ(間隔)のため、穀粒の落下を促進して藁屑の落下を抑制でき、前側シーブ23の中間より終端側では、広いピッチ(間隔)のため、藁屑の落下を促進して詰まり発生を防止する。
【0019】
また、前側シーブ23の終端とストローラック25の間には後側シーブ24を複数並設する。後側シーブ24は、側面視、後側シーブ24の上端が前側シーブ23の上端より低く、後側シーブ24の上端と前側シーブ23の上端との間に段差Sを形成するように構成する。
そのため、前側シーブ23上の選別物が後側シーブ24の上面に移送される際に、落下の衝撃を受けて、選別物がばらけ易くなって、穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させられ、穀粒の飛散を抑制する。
したがって、後側シーブ24の上端が前側シーブ23の上端より低くして、選別物が落下するようにすればよいが、実施例では、後側シーブ24の上端を前側シーブ23の略上下中間に位置するように配置して段差Sを形成している。
【0020】
また、後側シーブ24のピッチは、前側シーブ23の後方部分の広いピッチ(間隔)よりも狭くなるように構成する。
前側シーブ23と後側シーブ24との間に段差Sを設け、前側シーブ23の後方部分の広いピッチ(間隔)よりも狭く後側シーブ24のピッチを変えることで、後側シーブ24上の藁屑と穀粒の分離が促進され、穀粒の回収効率が向上し、穀粒の飛散を抑制する。
また、前側シーブ23の後側部分のピッチ(間隔)は、後側シーブ24のピッチより広いので、選別風の抜けが良好となって、前側シーブ23から後側シーブ24への移行の際の藁屑と穀粒の分離を良好にする。
【0021】
また、後側シーブ24の傾斜は、前側シーブ23の傾斜より起立させて構成する。
そのため、後側シーブ24のピッチが、前側シーブ23の後側部分のピッチ(間隔)よりも狭く構成しているが、後側シーブ24の傾斜を前側シーブ23の傾斜より起立させて急傾斜にすることで、藁屑からの穀粒の分離を良好にし、穀粒の飛散を抑制する。
【0022】
(実施例の作用)
脱穀装置4の供給された穀稈は、穂先部分が回転する扱胴10により脱穀され、穀稈と穀粒とに分離され、穀粒は扱網15より下方の揺動選別装置21の揺動選別棚20上に落下し、唐箕16からの選別風と揺動選別棚20の往復揺動により風選される。
扱網15より漏下せず脱穀室11内に残った処理物は、排塵処理装置30には入り、回転する排塵処理胴31により処理される。
脱穀室11および排塵処理装置30から落下した穀粒は、一番コンベア26により回収され、一番コンベア26に回収されずに二番コンベア27に回収された二番物は二番処理装置32により処理され、二番処理装置32の処理物は揺動選別棚20の始端側に戻されて、再処理される。
【0023】
揺動選別棚20から落下しない藁屑は、前側シーブ23と後側シーブ24によりストローラック25まで移送され、吸引排塵ファン35により吸引排除され、吸引排除されない藁屑はストローラック25により排出口40から機外に排出される。
しかして、排出口40には排出口開閉シャッタ41を設け、排出口開閉シャッタ41は刈取装置5の上下動に連動して開閉するようにし、刈取装置5が下方で刈取作業中は排出口40を開放して排塵物を排出し、刈取装置5を上昇させた非刈取作業中では排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
排出口開閉シャッタ41と刈取装置5との連動は、排出口開閉シャッタ41の上部の取付軸42にアーム43を固定し、アーム43には常時排出口開閉シャッタ41を閉方向に付勢する閉塞用バネ閉塞用バネ44と刈取装置5に一端を接続したワイヤーワイヤー45の他端を取付けて構成する機械的連結構成Lにより行うから、構成が簡素であり、作動が確実となり、製造コストを低くすることができる。
【0024】
この場合、排出口開閉シャッタ41を開閉作動させるのに必要なワイヤー45の移動ストロークよりも刈取装置5の上下動によるワイヤー45の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置5が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ41が開閉作動しない不作動域を設けているので、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業の範囲内で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
排出口開閉シャッタ41の不作動域は、ワイヤー45を長さ吸収バネ46を介してアーム43に接続して構成しているから、刈高さ調節のために刈取装置5を通常の刈取作業の範囲内で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
【0025】
即ち、刈取装置5を下動させるとステー49が回動してワイヤー45を牽引し、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引し、長さ吸収バネ46がアーム43を開方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41を開状態にするので、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45が弛んでも、ワイヤー45が長さ吸収バネ46を牽引したときの長さ吸収バネ46の伸びの分が縮小することでワイヤー45の弛みを吸収するので、アーム43は閉方向に回動せず、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
そして、非刈取作業中となるまで刈取装置5を上昇させると、ワイヤー45が弛んで長さ吸収バネ46は縮小し、ワイヤー45の弛みがアーム43に伝達されるので、閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させ、排出口開閉シャッタ41が閉方向に回動して排出口40を閉じて穀粒の飛散を防止する。
【0026】
したがって、排出口開閉シャッタ41を開閉させるワイヤー45のストロークより、伸びた長さ吸収バネ46が縮小する分刈取装置5を上下させるワイヤー45のストロークを大きくすることができるので、刈取装置5が一定高さ以下の範囲で上下しても、排出口開閉シャッタ41が開閉しない不作動域を設けたことになり、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、アーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の開状態を保持する。
また、長さ吸収バネ46の弾力は、閉塞用バネ44の弾力より強くなるように、長さ吸収バネ46の弾力>閉塞用バネ44の弾力と設定・構成しているので、刈取装置5の下動によるワイヤー45の弛みで長さ吸収バネ46が弛んでも、刈取装置5を所定高さ以上に上昇させて長さ吸収バネ46の牽引力が零になるまでは、長さ吸収バネ46は排出口開閉シャッタ41を閉塞用バネ44の弾力に抗して常時排出口40を全開にさせ、排出口40が選別物で詰まるのを防止する。
【0027】
この場合、長さ吸収バネ46の弾力は、刈取装置5の刈高さ調節のための上限でワイヤー45の弛みの吸収作用が奏しないように設定しているので、刈取装置5の刈高さ調節のための上限以上に刈取装置5を上昇させると、長さ吸収バネ46は閉塞用バネ44が作用してアーム43を閉方向に回動させるのを許容する。
そのため、刈高さ調節のために刈取装置5を所定範囲で上昇させてワイヤー45を弛めても、長さ吸収バネ46がワイヤー45の弛みを吸収してアーム43を回動させずに、排出口開閉シャッタ41の全開状態を保持でき、排出口40が詰まるのを防止する。
【0028】
また、閉塞用バネ44は、排出口開閉シャッタ41を常時閉方向に回動するように付勢するが、揺動選別棚20上の選別物の移動圧力が排出口開閉シャッタ41の開方向に掛かるときは、排出口開閉シャッタ41が排出口40を開放するように設定してるので、刈取装置5を上昇させて排出口開閉シャッタ41を閉じていても、選別物の圧力が排出口開閉シャッタ41に掛かると、排出口開閉シャッタ41が開方向に回動して排出口40を開放し、排出口40で詰まりが発生するのを未然に防止する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の側面図。
【図3】同背面図。
【図4】刈取装置の上下動状態側面図。
【図5】排出口開閉シャッタ付近の側面図。
【図6】排出口開閉シャッタ付近の側面図。
【図7】脱穀装置の回転体付近の側面図。
【図8】同背面図。
【図9】同一部平面図。
【図10】穀稈供給搬送装置の終端付近の側面図。
【図11】同背面図。
【図12】同一部拡大背面図。
【図13】脱穀装置の他の実施例の側面図。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…クローラ、4…脱穀装置、5…刈取装置、6…グレンタンク、7…操縦部、10…扱胴、11…脱穀室、12…穀稈供給搬送装置、13……排藁搬送装置、15…扱網、16…唐箕、17…唐箕ケーシング、18…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚部、23…前側シーブ、24…後側シーブ、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…処理胴、32…二番処理装置、33…二番還元装置、35…吸引排塵ファン、36…ケーシング、38…カッター装置、39…カッター刃、40…排出口、41…排出口開閉シャッタ、42…取付軸、43…アーム、44…閉塞用バネ、45…ワイヤー、46…長さ吸収バネ、50…後板、51…回転体、52…リング体、53…腕部、54…扱胴軸、55…突片、56…扱歯、61…穀稈供給搬送チェン、62…挾扼杆、63…縦板、64…横板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(5)を上下動自在に設け、前記走行装置(2)の上方に脱穀装置(4)を設け、前記脱穀装置(4)は、上部に扱胴(10)を軸装した脱穀室(11)の下方に、唐箕(16)からの送風により風選する風選室(18)を設け、該風選室(18)に往復揺動する揺動選別棚(20)により構成した揺動選別装置(21)を設けて構成し、前記揺動選別棚(20)の後方には処理物を排出する排出口(40)を設け、排出口(40)には該排出口(40)を開閉する排出口開閉シャッタ(41)を設け、該排出口開閉シャッタ(41)は、前記刈取装置(5)の上下動に連動して前記排出口(40)を開閉するように、前記刈取装置(5)と前記排出口開閉シャッタ(41)とをワイヤー(45)により接続し、排出口開閉シャッタ(41)を開閉作動させるのに必要なワイヤー(45)の移動ストロークよりも刈取装置(5)の上下動によるワイヤー(45)の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置(5)が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ(41)が開閉作動しない不作動域を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記排出口開閉シャッタ(41)の不作動域は、ワイヤー(45)を長さ吸収バネ(46)を介して排出口開閉シャッタ(41)に接続して構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2において、前記排出口開閉シャッタ(41)を機体固定部に回動自在に軸装する取付軸(42)にアーム(43)を固定し、アーム(43)には排出口開閉シャッタ(41)を常時閉方向に付勢する閉塞用バネ(44)と刈取装置(5)に一端を接続したワイヤー(45)の他端を長さ吸収バネ(46)を介して接続したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項3において、前記長さ吸収バネ(46)の弾性係数は、閉塞用バネ(44)の弾性係数よりも大きく設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記閉塞用バネ(44)の弾性力を、揺動選別棚(20)上の選別物によって排出口開閉シャッタ(41)が押される場合に、排出口開閉シャッタ(41)が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(5)を上下動自在に設け、前記走行装置(2)の上方に脱穀装置(4)を設け、前記脱穀装置(4)は、上部に扱胴(10)を軸装した脱穀室(11)の下方に、唐箕(16)からの送風により風選する風選室(18)を設け、該風選室(18)に往復揺動する揺動選別棚(20)により構成した揺動選別装置(21)を設けて構成し、前記揺動選別棚(20)の後方には処理物を排出する排出口(40)を設け、排出口(40)には該排出口(40)を開閉する排出口開閉シャッタ(41)を設け、該排出口開閉シャッタ(41)は、前記刈取装置(5)の上下動に連動して前記排出口(40)を開閉するように、前記刈取装置(5)と前記排出口開閉シャッタ(41)とをワイヤー(45)により接続し、排出口開閉シャッタ(41)を開閉作動させるのに必要なワイヤー(45)の移動ストロークよりも刈取装置(5)の上下動によるワイヤー(45)の移動ストロークの方を大きく設定し、前記刈取装置(5)が刈取作業高さ範囲内で上下動しても、前記排出口開閉シャッタ(41)が開閉作動しない不作動域を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記排出口開閉シャッタ(41)の不作動域は、ワイヤー(45)を長さ吸収バネ(46)を介して排出口開閉シャッタ(41)に接続して構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2において、前記排出口開閉シャッタ(41)を機体固定部に回動自在に軸装する取付軸(42)にアーム(43)を固定し、アーム(43)には排出口開閉シャッタ(41)を常時閉方向に付勢する閉塞用バネ(44)と刈取装置(5)に一端を接続したワイヤー(45)の他端を長さ吸収バネ(46)を介して接続したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項3において、前記長さ吸収バネ(46)の弾性係数は、閉塞用バネ(44)の弾性係数よりも大きく設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記閉塞用バネ(44)の弾性力を、揺動選別棚(20)上の選別物によって排出口開閉シャッタ(41)が押される場合に、排出口開閉シャッタ(41)が開き方向へ回動する程度の弾性力に設定したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−99018(P2010−99018A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274056(P2008−274056)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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