説明

コンバイン

【課題】カバー部材の取り付けや取り外しを行うことなくメンテナンス作業を行うことができるコンバインを提供する。
【解決手段】茎稈細断装置8が通常姿勢であるときに、第1カバー部材145の先端部と第2カバー部材153の先端部とが近接して、縦送りスクリューコンベヤ135を囲む囲繞空間A2を形成するとともに、茎稈細断装置8がメンテナンス姿勢であるときに、脱穀装置6と茎稈細断装置8との間から縦送りスクリューコンベヤ135に連通する連通空間を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体フレームの後部に、グレンタンク及び脱穀装置を左右に振り分け配置し、前記グレンタンクの後方に、当該グレンタンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガを、縦軸芯周りで回動可能に設け、前記脱穀装置の後方に、当該脱穀装置で脱穀された後の茎稈を細断可能な茎稈細断装置を設けてあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のコンバインとしては、特許文献1に開示されているように、モータのギヤが、排出オーガの縦送りスクリューコンベヤに固着されたリングギヤに噛合し、モータの駆動によって排出オーガを回動駆動するものがある。このとき、縦送りスクリューコンベヤやモータ、リングギヤ等を保護すべく、グレンタンクの後面部に縦送りスクリューコンベヤおよびモータを囲む状態でカバー部材を取り付けるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンバインにおいては、例えばモータやリングギヤ等のオーガ駆動部のメンテナンス作業を行うためには、グレンタンクの後面部からカバー部材を取り外し、メンテナンス作業後にグレンタンクの後面部にカバー部材を取り付ける必要がある等、メンテナンス作業が煩雑なものとなっていた。
【0005】
本発明の目的は、カバー部材の取り付けや取り外しを行うことなくメンテナンス作業を行うことができるコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインは、機体フレームの後部に、グレンタンク及び脱穀装置を左右に振り分け配置し、前記グレンタンクの後方に、当該グレンタンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガを、縦軸芯周りで回動可能に設け、前記脱穀装置の後方に、当該脱穀装置で脱穀された後の茎稈を細断可能な茎稈細断装置を設けてあるものであって、
その第1特徴構成は、前記排出オーガの縦送りスクリューコンベヤに、前記機体フレームに固定されたモータのピニオンギヤに噛合するリングギヤを固着して、前記モータの駆動によって前記排出オーガを縦軸芯周りで回動可能に構成し、前記茎稈細断装置を、当該茎稈細断装置における排出オーガ側の縦軸芯周りに回動して、前記脱穀装置に近接する通常姿勢と、前記脱穀装置から離間するメンテナンス姿勢とに姿勢変更可能に構成し、前記グレンタンクの後部に前記縦送りスクリューコンベヤの外側を覆う第1カバー部材を設け、前記茎稈細断装置に前記縦送りスクリューコンベヤの外側を覆う第2カバー部材を設けて、前記茎稈細断装置が前記通常姿勢であるときに、平面視で前記第1カバー部材の先端部と前記第2カバー部材の先端部とが近接して、前記第1カバー部材、前記第2カバー部材、前記グレンタンク、および前記茎稈細断装置の内方側に、前記縦送りスクリューコンベヤを囲む囲繞空間を形成するとともに、前記茎稈細断装置が前記メンテナンス姿勢であるときに、前記脱穀装置と前記茎稈細断装置との間から前記縦送りスクリューコンベヤに連通する連通空間を形成するように構成してある点にある。
【0007】
通常作業を行うときには、茎稈細断装置が通常姿勢に位置する。このとき、第1カバー部材、第2カバー部材、グレンタンク、および茎稈細断装置の内方側に、縦送りスクリューコンベヤを囲む囲繞空間が形成されるので、縦送りスクリューコンベヤやモータ、リングギヤ等を良好に保護することができる。また、機体後部に浮遊するワラ屑等がリングギヤおよびピニオンギヤに付着することを防止できる。
【0008】
メンテナンス作業を行うときには、茎稈細断装置を縦軸芯周りで機体に対して後方に回動操作する。このとき、茎稈細断装置は、脱穀装置から離間するメンテナンス姿勢に位置して、脱穀装置と茎稈細断装置との間から縦送りスクリューコンベヤに連通する連通空間が形成されるので、作業者は、連通空間からモータ、リングギヤ、およびピニオンギヤの点検やグリスアップ等のメンテナンス作業が行うことができる。この場合、茎稈細断装置に設けられた第2カバー部材は茎稈細断装置とともに移動するので、茎稈細断装置をメンテナンス姿勢に姿勢変更するだけの簡単な操作で、第1カバー部材や第2カバー部材の取り付けや取り外しを行うことなくメンテナンス作業が行うことができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記茎稈細断装置における排出オーガ側の部分に、当該茎稈細断装置と前記排出オーガとを仕切る仕切り板を取り付けるとともに、当該仕切り板に前記第2カバー部材を取り付けてある点にある。
【0010】
茎稈細断装置と排出オーガとを仕切る仕切り板に第2カバー部材を取り付けることにより、仕切り板を有効に利用して、例えば第2カバー部材を取り付けるためのブラケットを不要にできる等、第2カバー部材の取り付け構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンバインを示す側面図である。
【図2】コンバインを示す平面図である。
【図3】脱穀装置および茎稈細断装置を示す断面図である。
【図4】点検用開口に蓋を取り付けた状態を示す側面図である。
【図5】図4のV−V矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI矢視断面図である。
【図7】図4のVII−VII矢視断面図である。
【図8】2番還元機構を示す縦断面図である。
【図9】単粒化処理部を示す縦断面図である。
【図10】グレンタンクおよび茎稈細断装置を示す後面図である。
【図11】グレンタンクおよび茎稈細断装置を示す後面図であり、グレンタンクから第1カバー部材を外した状態を示す。
【図12】グレンタンクおよび茎稈細断装置を示す分解斜視図である。
【図13】茎稈細断装置が通常姿勢でのグレンタンクおよび茎稈細断装置を示す平面図である。
【図14】茎稈細断装置がメンテナンス姿勢でのグレンタンクおよび茎稈細断装置を示す平面図である。
【図15】第1および第2カバー部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔全体構成〕
図1,図2に示すように、この自脱型コンバインは、クローラ走行装置1を備えた機体フレーム2と、その機体フレーム2の前部に昇降可能に連結された刈取部3と、機体フレーム2の右側前部に配置された運転部4と、機体フレーム2の右側後部に配置されたグレンタンク5と、機体フレーム2の左側後部に配置された脱穀装置6と、グレンタンク5の後方に配置された穀粒排出部7と、脱穀装置6の後方に配置された茎稈細断装置8と、を備えている。
【0013】
(グレンタンク)
図1,図2に示すように、グレンタンク5は、機体フレーム2の右側後部に配設されている。グレンタンク5は、脱穀装置6で脱穀された後の穀粒を貯留するものであって、底面部5aと、前面部5bと、後面部5cと、右面部5dと、左面部5eと、天井面部5fと、を備えている。
【0014】
(脱穀装置)
図3に示すように、脱穀装置6は、左外側に設けた脱穀フィードチェーン19と、上部に形成された扱室11と、その扱室11の内部に装備された扱胴12と、その扱胴12の上部側を上方から覆う天板13と、扱胴12の下部側を下方から覆う受網14と、その受網14の下方に設けられた揺動選別機構15と、その揺動選別機構15の前方下方に設けられた唐箕16と、揺動選別機構15の中間部下方に形成された1番回収部17と、揺動選別機構15の後部下方に形成された2番回収部18と、を備えている。
【0015】
(扱室)
図3に示すように、前記扱室11は、前壁、後壁、右および左の側壁、受網14、天板13によって区画形成してある。扱室11の前端部下側には、供給口20が形成され、刈取穀稈がその供給口20を通って扱室11に供給される。
【0016】
(脱穀フィードチェーン)
図3に示すように、前記脱穀フィードチェーン19は、刈取穀稈の株元側を挟持して後方に搬送する。これにより、刈取穀稈の穂先側が扱胴12と受網14との間に挿入される。
【0017】
(扱胴)
図3〜図7に示すように、前記扱胴12は、扱室11に回転可能に支持され、エンジン(図示しない)の動力によって扱胴12を回転可能に構成してある。これにより、扱胴12と受網14との間の刈取穀稈が脱穀処理される。
【0018】
前記扱胴12は、具体的には、外周部21に扱歯22が取り付けられた板金製の円筒状の扱胴ドラム23と、この扱胴ドラム23に一体回転可能に固定された前後向きの支軸24とを備えている。扱胴ドラム23の外周部21の前後方向の中間部には、点検用開口25が形成されている。この点検用開口25を閉塞する蓋26がボルト34によって連結され、このボルト34の頭部の磨耗を防止する炭素工具鋼製の第1,第2防護部材35,36が取り付けられている。
【0019】
前記蓋26は、扱歯22が取り付けられた矩形状の蓋部27と、点検用開口25の周縁部に重複する枠状の連結部28を備えている。蓋26の連結部28における短辺部分には、それぞれ1つずつ大径の穴29が形成され、蓋26の連結部28における長辺部分には、それぞれ3つずつ大径の穴が形成されている。点検用開口25の周縁部における短辺部分には、1つの大径の穴29に対応する1つの大径の孔32および1つの小径の穴44が形成され、点検用開口25の周縁部における長辺部分には、3つの大径の穴に対応する3つの大径の穴が形成されている。
【0020】
蓋26の連結部28における図4の紙面右側の短辺部分、および、点検用開口25の周縁部における図4の紙面右側の短辺部分を連結するボルト34の取付位置は、上記短辺部分の中央であり、蓋26の連結部28における図4の紙面左側の短辺部分、および、点検用開口25の周縁部における図4の紙面左側の短辺部分を連結するボルト34の取付位置は、上記短辺部分の中央よりも下寄りの箇所である。このように、それらボルト34の取付位置を扱胴12の回転方向にずらせることにより、点検用開口25に蓋26を取り付ける際に、誤って蓋26を上下反対に取り付けてしまうことを防止できる。
【0021】
(防護部材)
図3〜図7に示すように、前記第1防護部材35は、外周部21に取り付けられかつ3つの大径の穴を有する取付部分38と、その取付部分38における扱胴12の回転方向下流側の端部から径方向外方側に延びる突出部分39とを備えて、断面形状が略L字状の長尺状に構成してある。第2防護部材36は、外周部21に取り付けられかつ1つの大径の穴40を有する取付部分41と、その取付部分41における扱胴12の回転方向下流側の端部から径方向外方側に延びる突出部分42と、取付部分41における扱胴12の回転方向上流側の端部から径方向内方側に延びる舌片部分43とを備えている。
【0022】
点検用開口25の周縁部の裏面に蓋26の連結部28の表面を当接し、点検用開口25の周縁部における長辺部分の表面に第1防護部材35の取付部分38の裏面を当接した状態で、ボルト34を各大径の穴を通して連結する。このとき、ボルト34の取付箇所が複数存在するので、第1防護部材35が刈取穀稈に当たっても第1防護部材35の取付位置がずれることはない。
【0023】
点検用開口25の周縁部の裏面に蓋26の連結部28の表面を当接し、点検用開口25の周縁部における短辺部分の表面に第2防護部材36の取付部分41の裏面を当接し、第2防護部材36の舌片部分43が小径の穴44に係合した状態で、ボルト34を各大径の穴29,32,40を通して連結する。このとき、第2防護部材36が刈取穀稈に当たって第2防護部材36がボルト34周りに回転しようとしても、第2防護部材36の舌片部分43と小径の穴44との係合により第2防護部材36の回転を阻止するので、第2防護部材36の取付位置がずれることはない。
【0024】
つまり、第2防護部材36に回り止め用の舌片部分43を形成することによって、ボルト34の取付箇所が複数存在しなくても、第2防護部材36の回転を阻止することができる。よって、ボルト34が1本で済む等、低コスト化および部品点数の削減化を図ることに加えて、ボルト34の取付作業が1回で済む等、メンテナンス作業の簡素化を図ることができる。また、小径の穴44は、蓋26の連結部28における短辺部分によって閉塞されているため、脱穀処理で発生した稈屑等が小径の穴44を通って扱胴12の内部に侵入することを防止できる。
【0025】
(受網)
図3に示すように、前記受網14は、扱室11に供給された刈取穀稈を受け止める。これにより、脱穀処理で得られた単粒化穀粒、枝梗付き穀粒、脱穀処理で発生した稈屑等が下方の揺動選別機構15に向けて漏下される。受網14の後方(脱穀装置6の脱穀処理方向下手側の端部)には、排稈口51が形成されている。
【0026】
(揺動選別機構)
図3に示すように、前記揺動選別機構15は、カム式の揺動機構52によって前後方向に揺動駆動されるシーブケース53の上部に、粗選別用の第1グレンパン54および第2グレンパン55とストローラック56とを、前後方向に並べて装備し、シーブケース53の中間部に、チャフシーブ57を装備するとともに、シーブケース53の底部に、精選別用のグレンシーブ58を装備して構成してある。
【0027】
前記揺動選別機構15は、受網14から漏下した単粒化穀粒、枝梗付き穀粒、稈屑等の選別処理物を、第1グレンパン54および第2グレンパン55、チャフシーブ57、ストローラック56で受け止めて後方に搬送しつつ、篩い選別による粗選別処理を行う。また、チャフシーブ57から漏下した単粒化穀粒、枝梗付き穀粒等の選別処理物を、グレンシーブ58で受け止めて後方に搬送しつつ、篩い選別による精選別処理を行う。これにより、選別処理物が、1番物としての単粒化穀粒と、2番物としての枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物と、稈屑などの塵埃とに選別される。
【0028】
(唐箕)
図3に示すように、前記唐箕16は、脱穀装置6の下部に回動可能に支持された横向きの支軸61に固定されている。唐箕16は、支軸61に取り付けられた羽根部62を有している。エンジンの動力によって支軸61を回転駆動し、羽根部62を支軸61周りに回転駆動し、選別風を発生させる。選別風が、受網14から漏下した選別処理物や、揺動選別機構15で選別される選別処理物などに作用して風力選別処理を行う。選別処理物から比重の小さい稈屑等を吹き分ける。これにより、稈屑等が排塵ファン63や排塵口64に搬送されて機外に放出される。
【0029】
(1番回収部)
図3に示すように、前記1番回収部17は、略V字状の凹部65と、その凹部65の底部に配備した横向きの1番スクリュー66と、を備えている。凹部65によって揺動選別機構15のグレンシーブ58から漏下した単粒化穀粒が受け止められ、1番スクリュー66の駆動によって、受け止めた1番物が、1番スクリュー66の右端部に連通接続した第1揚送スクリューコンベヤ67に搬送される。第1揚送スクリューコンベヤ67の駆動によって、1番物がグレンタンク5に供給される。
【0030】
(2番回収部)
図3,図8,図9に示すように、前記2番回収部18は、略V字状の凹部71と、その凹部71の底部に配備した横向きの2番スクリュー72と、を備えている。凹部71によって揺動選別機構15のグレンシーブ58から漏下せずにその後端から流下した枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物、及び、揺動選別機構15のストローラック56から漏下した枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物が受け止められ、2番スクリュー72の駆動によって、受け止めた2番物が、2番スクリュー72の右端部に連通接続した2番還元機構73に搬送される。2番還元機構73によって搬送した2番物が揺動選別機構15に還元される。
【0031】
(2番還元機構)
図8,図9に示すように、前記2番還元機構73は、搬送された2番物に対して単粒化処理を行う単粒化処理部74と、単粒化処理後の2番物を揚送して揺動選別機構15に還元する第2揚送スクリューコンベヤ75と、を備えている。
【0032】
(単粒化処理部)
図8,図9に示すように、前記単粒化処理部74は、2番スクリュー72のスクリュー軸72aの右端部に固定された円板状の第1取付部材70と、その第1取付部材70の左側面および2番スクリュー72のスクリュー軸72aにスクリュー軸72aの長手方向視で放射状に溶接により固定された複数の矩形板状の第2取付部材69と、それら複数の第2取付部材69の夫々のスクリュー軸72aの回転方向上流側の面にボルト94によって連結された第1櫛歯部材76と、複数の第2取付部材69の夫々のスクリュー軸72aの回転方向下流側の面にボルト94によって連結された磨耗防止カバー93と、それら第1,第2取付部材69,70および第1櫛歯部材76を収容する略円筒状のケース84と、そのケース84の外周面の一部を構成する湾曲状の蓋部68から径方向内方側に突出する複数の三角形板状の第2櫛歯部材77と、を備えている。
【0033】
前記第1櫛歯部材76は、本体部76aと該本体部76aの回転方向上流側の面にスクリュー軸72aの長手方向に並ぶ状態で固定された複数の櫛歯部76bとを備えている。本体部76aは、スクリュー軸72aからケース84の径方向外方側に延びる矩形板状の基端部分と、その基端部分からケース84の径方向からスクリュー軸72aの回転方向上流側に傾斜する方向に延びる矩形板状の先端部分とを備えて、スクリュー軸72aの長手方向視でく字状に形成してある。前記本体部76aの先端部分の中央から左寄りの箇所には、矩形状の切欠部分が形成されている。
【0034】
左端の櫛歯部76bは、スクリュー軸72aから該スクリュー軸72aの径方向外方側に沿って延びている。左端の櫛歯部76bの先端部分は、本体部76aの切欠部分の左側縁部に沿っている。
【0035】
中央から左寄りの櫛歯部76bは、スクリュー軸72aから該スクリュー軸72aの径方向外方側に沿って延びる基端部分と、その基端部分の先端から左側に傾斜する方向に沿って延びる折曲部分と、その折曲部分の先端からスクリュー軸72aの径方向外方側に沿って延びる先端部分と、を備えている。中央から左寄りの櫛歯部76bの先端部分は、本体部76aの切欠部分から突出している。これにより、中央から左寄りの櫛歯部76bがボルト94の取付箇所をかわすようにしてある。
【0036】
中央から右寄りの櫛歯部76bは、スクリュー軸72aから該スクリュー軸72aの径方向外方側に沿って延びている。中央から右寄りの櫛歯部76bの基端部分は、中央から左寄りの櫛歯部76bの基端部分に固定されている。中央から右寄りの櫛歯部76bの先端部分は、本体部76aの切欠部分から突出している。
【0037】
右端の櫛歯部76bは、スクリュー軸72aから該スクリュー軸72aの径方向外方側に沿って延びている。右端の櫛歯部76bの基端部分は、スクリュー軸72a、および、その櫛歯部76bを構成する第1櫛歯部材76が連結されている第2取付部材69のスクリュー軸72aの回転方向上流側に隣接する第2取付部材69のスクリュー軸72aの回転方向下流側の面に近接している。右端の櫛歯部76bの先端部分は、本体部76aの切欠部分の左側縁部に沿っている。
【0038】
左端の櫛歯部76bの先端部分、中央から左寄りの櫛歯部76bの先端部分、中央から右寄りの櫛歯部76bの先端部分、右端の櫛歯部76bの先端部分は、スクリュー軸72aの長手方向に沿って等間隔に並ぶように構成してある。
【0039】
前記第2櫛歯部材77は、スクリュー軸72aの長手方向に沿って等間隔に並んでいる。第2櫛歯部材77の位置をスクリュー軸72aの回転方向にずらせてある。
【0040】
(第2揚送スクリューコンベヤ)
図8,図9に示すように、前記第2揚送スクリューコンベヤ75は、筒状の外装ケース85と、その外装ケース85の内部に配設された縦送りスクリュー86とを備えている。外装ケース85はケース84に連通している。縦送りスクリュー86のスクリュー軸86aの下端部には、ベベルギヤ式伝達機構78を介して横向き伝動軸79が連動連結されている。横向き伝動軸79の先端部には、従動スプロケット80が固定されている。
【0041】
前記2番スクリュー72のスクリュー軸72aの右端部は、前記ケース84から右側に突出している。2番スクリュー72のスクリュー軸72aの右端部には、駆動スプロケット81が固定されている。それらスプロケット80,81に亘ってチェーン82が巻回されている。第2揚送スクリューコンベヤ75の下端部とケース84の側面部とに亘って、それらスプロケット80,81およびチェーン82を覆う筒状のカバー83が設けられている。
【0042】
前記第2揚送スクリューコンベヤ75の上端部には、揺動選別機構15に連通する排出口91aを有する排出部91が取り付けられている。第2揚送スクリューコンベヤ75の縦送りスクリュー86のスクリュー軸86aの上端部には、矩形板状の掻出羽根92が溶接により固定されている。掻出羽根92におけるスクリュー軸86aの回転方向下流側の面には、磨耗防止カバー93が掻出羽根92の先端部分から突出する状態でボルト95によって連結されている。
【0043】
(磨耗防止カバー)
図8,図9に示すように、前記磨耗防止カバー93は、矩形板状であり、四隅部のうちの1つが切り欠かれて傾斜部93aを形成してある。磨耗防止カバー93における傾斜部93aが存在しない長辺部分側には、長辺方向に2つの第1穴93bが形成され、その磨耗防止カバー93の中央側には、長辺方向に2つの第2穴93cが形成されている。第1穴93bの間隔は第2穴93cの間隔よりも狭くしてある。第1穴93bの径は第2穴93cの径よりも小さくしてある。
【0044】
磨耗防止カバー93を掻出羽根92に取り付ける際には、掻出羽根92のスクリュー軸86aの回転方向下流側の面に磨耗防止カバー93を押し当てた状態で、ボルト95を磨耗防止カバー93の第1穴93bおよび掻出羽根92の穴を通して連結する。これにより、磨耗防止カバー93によって掻出羽根92の磨耗を防止できる。第2穴93cは掻出羽根92によって閉塞されている。
【0045】
磨耗防止カバー93および第1櫛歯部材76を第2取付部材69に取り付ける際には、第1櫛歯部材76の本体部76aのスクリュー軸72aの回転方向下流側の面に磨耗防止カバー93を押し当てかつ該本体部76aのスクリュー軸72aの回転方向上流側の面に第1櫛歯部材76を押し当てた状態で、ボルト94を磨耗防止カバー93の第2穴93c、第2取付部材69の穴および第1櫛歯部材76の本体部76aの穴を通して共締め連結する。これにより、磨耗防止カバー93によって第2取付部材69の磨耗を防止できる。
【0046】
同じ磨耗防止カバー93を掻出羽根92や第2取付部材69および第1櫛歯部材76に取り付けることによって、部品の共有化および部品点数の削減を図ることができる。
【0047】
第2取付部材69と2番スクリュー72のスクリュー軸72aとの溶接箇所、および、第2取付部材69と第1取付部材70との溶接箇所には、帯状に盛り上がった溶接ビードが形成される。特に、第2取付部材69と2番スクリュー72のスクリュー軸72aとの溶接箇所、および、第2取付部材69と第1取付部材70との溶接箇所の合わせ部分には、大きな溶接ビードが形成され易い。そこで、磨耗防止カバー93の傾斜部93aが上記合わせ部分に対向するように磨耗防止カバー93を第2取付部材69に取り付けて、磨耗防止カバー93が上記合わせ部分に形成された溶接ビードに干渉しないようにしてある。
【0048】
(2番還元機構の動作)
エンジンの駆動によって2番スクリュー72が回転し、第1櫛歯部材76が回転し、チェーン82およびそれらスプロケット80,81を介して横向き伝動軸79が回転し、ベベルギヤ式伝達機構78を介して縦送りスクリュー86が回転する。
【0049】
このとき、2番スクリュー72によって搬送された2番物は、ケース84に供給される。第2櫛歯部材77が第1櫛歯部材76の櫛歯部76bの間を通過する際に、ケース84内の2番物のうち枝梗付穀粒から枝梗を除去する単粒化処理が行われる。単粒化処理後の2番物は、縦送り第2揚送スクリューコンベヤ75によって上方に搬送される。磨耗防止カバー93がスクリュー軸86a周りに回転し、磨耗防止カバー93によって2番物が排出口91aを通って揺動選別機構15に還元される。
【0050】
(茎稈細断装置)
図1〜図3,図10〜図16に示すように、脱穀装置6の後部には、脱穀フィードチェーン19によって搬送された茎稈を受け継いで後方に搬送する茎稈搬送装置101、および、その茎稈搬送装置101によって搬送された茎稈を細断して機外に放出する茎稈細断装置8が装備されている。茎稈細断装置8の上方には、茎稈搬送装置101を覆う排ワラカバー103が設けられている。
【0051】
前記茎稈細断装置8は、カッターケース105と、そのカッターケース105内に回転可能に装備された茎稈供給部106および茎稈細断部107と、を備えている。茎稈供給部106は、供給軸と該供給軸に長手方向に沿って複数並べて取り付けられた円板状の供給刃とを備えている。茎稈細断部107は、切断軸と該切断軸に長手方向に沿って複数並べて取り付けられた円板状の切断刃とを備えている。
【0052】
前記カッターケース105は、後面部109と右側面部110と左側面部111とを備えている。カッターケース105の上部には、茎稈搬送装置101によって搬送された茎稈を受け入れる受入口112と該受入口112を開閉可能な蓋体113とが設けられている。蓋体113は、手動操作により開放姿勢(起立姿勢)と閉塞姿勢(傾斜姿勢)とに切り換え可能に構成してある。カッターケース105の下部には、排出口114が設けられている。
【0053】
前記蓋体113を開放姿勢にしてあると、茎稈搬送装置101によって搬送された茎稈は、受入口112を通って茎稈供給部106及び茎稈細断部107に供給され、茎稈供給部106及び茎稈細断部107によって稈身方向に細断され、カッターケース105の排出口114から機外に排出される。蓋体113を閉塞姿勢にしてあると、茎稈搬送装置101によって搬送された茎稈は、蓋体113の傾斜面を滑落して機外に排出される。
【0054】
前記機体フレーム2における右側後部には、支柱115が立設されている。支柱115には、上側の支点取付部116および下側の支点取付部117が固定されている。それら支点取付部116,117の夫々には、ピン118が立設されている。茎稈細断装置8の右側面部110の上部には、下方に延びるパイプ部材119が固定されている。
【0055】
前記茎稈細断装置8の右側面部110の上部には、上側のブラケット120が固定されている。上側のブラケット120には、パイプ部材119が上側のブラケット120を貫通する状態で連結されている。上側のブラケット120の先端部には、上側のピン118を挿入する穴が形成されている。茎稈細断装置8の右側面部110の下部には、下側のブラケット121が固定されている。下側のブラケット121には、パイプ部材119の下端部が連結されている。下側のブラケット121の先端部には、下側のピン118を挿入する穴が形成されている。これにより、茎稈細断装置8は、支柱115に上向きピン118の縦軸芯X1周りで回動可能に片持ち支持されている。
【0056】
(穀粒排出部)
図1,図2,図10〜図16に示すように、前記穀粒排出部7は、グレンタンク5の底面部5aに前後方向に沿う状態に配備された底部スクリューコンベヤ131と、その底部スクリューコンベヤ131に接続してグレンタンク5に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ132と、を備えている。
【0057】
(底部スクリューコンベヤ)
図1に示すように、前記底部スクリューコンベヤ131は、スクリュー131aを備えている。スクリュー131aの搬送始端側の端部は、グレンタンク5の前面部5bから突出してある。スクリュー131aの搬送始端側の端部には、入力プーリ133が装着されている。入力プーリ133ともう一方のプーリ(図示しない)とに亘ってベルト(図示しない)を巻き掛けて、ベルトテンション式の排出クラッチに構成してある。
【0058】
前記スクリュー131aの搬送終端側の端部は、グレンタンク5の後面部5cから突出してある。グレンタンク5の後面部5cには、スクリュー131aの搬送終端側の端部を取り囲むとともにグレンタンク5に連通接続するロアケース134が固定されている。
【0059】
(排出オーガ)
図1,図2に示すように、前記排出オーガ132は、グレンタンク5の後方に配置されており、垂直方向に延びる縦送りスクリューコンベヤ135と、縦送りスクリューコンベヤ135の上端から縦送りスクリューコンベヤ135の縦軸芯X2に直交する方向(水平方向)に延びる中間スクリューコンベヤ136と、中間スクリューコンベヤ136の先端から中間スクリューコンベヤ136の横軸芯X3に直交する方向に延びかつ該横軸芯X3周りで起伏揺動可能な横送りスクリューコンベヤ137と、を備えている。
【0060】
(縦送りスクリューコンベヤ)
図1,図2に示すように、前記縦送りスクリューコンベヤ135は、底部スクリューコンベヤ131のスクリュー131aにベベルギヤ式連動機構を介して連動連結されたスクリュー135aと、そのスクリュー135aを取り囲むとともにロアケースに連通接続する円筒ケース135bと、を備えている。縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bは、ロアケース134に対して縦軸芯X2周りに回動可能に支持されている。
【0061】
(中間スクリューコンベヤ)
図1,図2に示すように、前記中間スクリューコンベヤ136は、縦送りスクリューコンベヤ135のスクリュー135aにベベルギヤ式連動機構を介して連動連結されたスクリュー(図示しない)と、そのスクリューを取り囲むとともに縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bに接続する接続ケースと、を備えている。
【0062】
(横送りスクリューコンベヤ)
図1,図2に示すように、横送りスクリューコンベヤ137は、中間スクリューコンベヤ136のスクリューにベベルギヤ式連動機構を介して連動連結されたスクリュー137aと、そのスクリュー137aを取り囲むとともに中間スクリューコンベヤ136の接続ケースに連通接続する円筒ケース137bと、その円筒ケース137bの先端部に形成された穀粒排出用の排出口137cと、を備えている。これにより、横送りスクリューコンベヤ137の円筒ケース137bは、中間スクリューコンベヤ136の接続ケースに横軸芯X3周りに回動可能に構成してある。
【0063】
(保持部材)
図10,図11,図13〜図15に示すように、前記支柱115の上端部には、縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bを回動可能に保持する下側の保持部材139が取り付けられている。グレンタンク5の後面部5cには、縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bを回動可能に保持する上側の保持部材140が取り付けられている。
【0064】
(旋回駆動手段)
図10〜図12に示すように、前記下側の保持部材139には、排出オーガ132を縦軸芯X2周りに旋回駆動する電動モータM(旋回駆動手段の一例)が設けられている。
【0065】
前記下側の保持部材139には、ブラケット141が固定され、ブラケット141には、ピニオンギヤ142を有する電動モータMが支持固定されている。縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bには、リングギヤ143が固着されており、電動モータMのピニオンギヤ142がリングギヤ143に噛合するように構成してある。電動モータMの回転駆動によって、ピニオンギヤ142、そのピニオンギヤ142に噛合するリングギヤ143、そのリングギヤ143が固着された縦送りスクリューコンベヤ135を縦軸芯X2周りに回転駆動し、排出オーガ132を旋回操作する。
【0066】
(起伏駆動手段)
図1〜図2に示すように、中間スクリューコンベヤ136と横送りスクリューコンベヤ137とに亘って、排出オーガ132を横軸芯X3周りに起伏駆動する油圧シリンダCY(起伏駆動手段の一例)が設けられている。油圧シリンダCYの伸縮作動によって、排出オーガ132(横送りスクリューコンベヤ137)を起伏操作する。
【0067】
(カバー部材)
図1,図2,図10〜図16に示すように、グレンタンク5の後面部5cの右端部には、第1カバー部材145が取り付けられている。第1カバー部材145は、グレンタンク5の後面部5cの右端部に固定された取付部材144を介して縦軸芯X4周りに回動可能に取り付けられかつ前後方向に延びる矩形板状の第1カバー部分146と、その第1カバー部分146の後端部から前後方向から左側に傾斜する方向に延びる矩形板状の第2カバー部分147と、その第2カバー部分147の後端部から横方向に延びる矩形板状の第3カバー部分148と、支柱115の後側に取り付けられかつ横方向に延びる矩形板状の第4カバー部分149と、を備えて、平面視で略L字状に構成してある。
【0068】
つまり、第1カバー部材145は、グレンタンク5の後面部5cの右端部に縦軸芯X4周りに回動可能に取り付けられた第1〜第3カバー部分146〜148(第1カバー部材145の可動部分)と、支柱115の後側に取り付けられて縦送りスクリューコンベヤ135の直後方箇所を覆う第4カバー部分149(第1カバー部材145の固定部分)とを備えた2分割式に構成してある。第3カバー部分148には、ピン156が固定されるとともに、第4カバー部分149には、そのピン156を挿入可能な穴を有する板状部材157が固定されている。メンテナンス作業を行うときには、第1カバー部材145の可動部分を横外方に回動させる。メンテナンス作業後には、第1カバー部材145の可動部分を横内方に回動させる。このとき、第3カバー部分148が、第4カバー部分149の板状部材157に案内されながら当接し、第3カバー部分148に固定されたピン156が第4カバー部分149の板状部材157に形成された穴に入り込む。これにより、第1カバー部材145の可動部分の閉塞姿勢を良好に維持できる。第4カバー部分149の内側部分には、茎稈細断装置8のメンテナンス姿勢で上側および下側のブラケット120,121の入り込みを許容する上側および下側の切欠部が形成されている。
【0069】
前記茎稈細断装置8の右側面部110には、仕切り板150が立設されている。仕切り板150は、茎稈細断装置8(蓋体113)と排ワラカバー103との間の空間A1と排出オーガ132(後述する囲繞空間A2)とを仕切って、刈取穀稈の穂先が茎稈細断装置8の右側面部110から排出オーガ132の縦送りスクリューコンベヤ135側(右側)に入り込むことを防止したり、茎稈細断装置8で発生するワラ屑がリングギヤ143やピニオンギヤ142に向かうことを防止するものであって、カッターケース105の右側面部110の上部に縦送りスクリューコンベヤ135側(右側)に折曲形成された折曲部分110aの上面にボルトにより連結された台形の板状の取付座151と、その取付座151の左端部から上方に延びて空間A1と排出オーガ132とを仕切る台形の板状の仕切り部152と、を備えている。取付座151の左端部は、平面視でカッターケース105の右側面部110の折曲部分に重複している。取付座151の左端部以外の部分は、平面視でカッターケース105の右側面部110から縦送りスクリューコンベヤ135側(右側)に突出している。仕切り部152は、上端部が排ワラカバー103の右側面部の下端部に近接している。
【0070】
前記仕切り板150の取付座151の右端部には、第2カバー部材153が立設されている。第2カバー部材153は、台形の板状の前後向きの第1カバー部分154と、矩形板状の横向きの第2カバー部分155とを備えて、平面視でL字状に形成してある。第2カバー部材153は、縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bに固着されたリングギヤ143の左側後部に対向してリングギヤ143の左側後部を後側および左側から覆っている。第2カバー部材153の第1カバー部分154は、平面視で仕切り板150の取付座151の内方側に位置している。第2カバー部材153の第2カバー部分155は、平面視で一部が仕切り板150の取付座151から縦送りスクリューコンベヤ135側(右側)に突出している。第2カバー部材153の第2カバー部分155の先端部は、平面視で縦軸芯X1に近接している。側面視で第2カバー部材153における第1カバー部分154および第2カバー部分155の下端部が仕切り板150の仕切り部152の下端部と同じ又はほぼ同じ位置でかつ該第1カバー部分154および第2カバー部分155の上端部が仕切り板150の仕切り部152の上端部よりも少し低い位置になるようにして、リングギヤ143をカバーしてある。
【0071】
尚、第2カバー部材153における第1カバー部分154および第2カバー部分155の下端部を仕切り板150の仕切り部152の下端部よりも下方に延長させ、第2カバー部材153における第1カバー部分154および第2カバー部分155の上端部を仕切り板150の仕切り部152の上端部から上方に延長させて、リングギヤ143のみならず縦送りスクリューコンベヤ135の上下方向の全長に亘ってカバーしてもよい。
【0072】
このように、仕切り板150の取付座151に第2カバー部材153を取り付けることにより、例えば第2カバー部材153を取り付けるためのブラケットを不要にできる等、第2カバー部材153の取り付け構成の簡素化を図ることができる。
【0073】
前記カッターケース105と機体後部とに亘ってフック機構(図示しない)が取り付けられている。通常作業を行うときには、茎稈細断装置8は、脱穀装置6に近接する通常姿勢に位置する。図13(実線)および図15に示すように、この通常姿勢では、平面視で第1カバー部材145の第3カバー部分148の先端部と第4カバー部分149の右端部とが近接し、第4カバー部分149の左端部と第2カバー部材153の第2カバー部分155の先端部とが近接して、第1カバー部材145、第2カバー部材153、第4カバー部分149、グレンタンク5の後面部5c、および茎稈細断装置8の右側面部110の内方側に、排出オーガ132の縦送りスクリューコンベヤ135、電動モータMおよびリングギヤ143を囲む囲繞空間A2を形成するので、排出オーガ132の縦送りスクリューコンベヤ135、電動モータMおよびリングギヤ143を良好に保護することができる。また、機体後部に浮遊するワラ屑等がリングギヤ143およびピニオンギヤ142に付着することを防止できる。
【0074】
図13(二点鎖線)および図14に示すように、メンテナンス作業を行うときには、フック機構を解除して茎稈細断装置8を縦軸芯X1周りで機体に対して後方に回動操作する。このとき、茎稈細断装置8は、脱穀装置6から離間するメンテナンス姿勢に位置して、脱穀装置6と茎稈細断装置8との間から排出オーガ132の縦送りスクリューコンベヤ135、電動モータMおよびリングギヤ143に連通する連通空間A3を形成するので、作業者は、連通空間A3から電動モータM、リングギヤ143、およびピニオンギヤ142の点検やグリスアップ等のメンテナンス作業が行うことができる。よって、茎稈細断装置8をメンテナンス姿勢に姿勢変更するだけの簡単な操作で、第1カバー部材145や第2カバー部材153の取り付けや取り外しを行うことなく、メンテナンス作業が行うことができる。
【0075】
また、茎稈細断装置8の通常姿勢からメンテナンス姿勢への移動に伴って、第2カバー部材153が該第2カバー部材153の第2カバー部分155の先端部周りに横外方に揺動する。つまり、第2カバー部材153の第1カバー部分154の先端部がリングギヤ143に近接する位置からリングギヤ143から離間する位置に移動して第2カバー部材153の第1カバー部分154とリングギヤ143との間に大きな空間が形成されるので、メンテナンス作業が行ない易いものとなる。さらに、第1カバー部材145の可動部分を縦軸芯X4周りに横外方に回動操作すれば、より広い作業空間でメンテナンス作業が行うことができる。
【0076】
〔別実施形態〕
(1)縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bは、ロアケース134に固定支持され、中間スクリューコンベヤ136の接続ケースは、縦送りスクリューコンベヤ135の円筒ケース135bに縦軸芯X2周りに回動可能に接続する構成としてもよい。
【0077】
(2)また、第4カバー部分149を省略して、通常姿勢であるときに、平面視で第1カバー部材145の先端部と第2カバー部材153の先端部とが近接して、第1カバー部材145、第2カバー部材153、グレンタンク5、および茎稈細断装置8の内方側に、縦送りスクリューコンベヤ135、電動モータMおよびリングギヤ143を囲む囲繞空間A2を形成してもよい。
【0078】
(3)第2カバー部材153を仕切り板150に取り付ける構成に代えて、第2カバー部材153を直接的に茎稈細断装置8の右側面部110に取り付けたり、第2カバー部材153を茎稈細断装置8の右側面部110から延出されたブラケット(図示しない)等に取り付ける構成を採用してもよい。
【0079】
(4)縦送りスクリューコンベヤ135の下部にリングギヤ143および電動モータM等を配備したものでは、茎稈細断装置8の右側面部110の下部に第2カバー部材153を取り付けてもよい。この場合においても、第2カバー部材153を茎稈細断装置8の右側面部110から延出されたブラケット(図示しない)等に取り付ける構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、自脱型コンバインだけでなく、普通型コンバインにも適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
2 機体フレーム
5 グレンタンク
6 脱穀装置
8 茎稈細断装置
132 排出オーガ
135 縦送りスクリューコンベヤ
142 ピニオンギヤ
143 リングギヤ
145 第1カバー部材
150 仕切り板
153 第2カバー部材
A2 囲繞空間
A3 連通空間
M モータ
X2 縦軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームの後部に、グレンタンク及び脱穀装置を左右に振り分け配置し、
前記グレンタンクの後方に、当該グレンタンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガを、縦軸芯周りで回動可能に設け、
前記脱穀装置の後方に、当該脱穀装置で脱穀された後の茎稈を細断可能な茎稈細断装置を設けてあるコンバインであって、
前記排出オーガの縦送りスクリューコンベヤに、前記機体フレームに固定されたモータのピニオンギヤに噛合するリングギヤを固着して、前記モータの駆動によって前記排出オーガを縦軸芯周りで回動可能に構成し、
前記茎稈細断装置を、当該茎稈細断装置における排出オーガ側の縦軸芯周りに回動して、前記脱穀装置に近接する通常姿勢と、前記脱穀装置から離間するメンテナンス姿勢とに姿勢変更可能に構成し、
前記グレンタンクの後部に前記縦送りスクリューコンベヤの外側を覆う第1カバー部材を設け、
前記茎稈細断装置に前記縦送りスクリューコンベヤの外側を覆う第2カバー部材を設けて、
前記茎稈細断装置が前記通常姿勢であるときに、平面視で前記第1カバー部材の先端部と前記第2カバー部材の先端部とが近接して、前記第1カバー部材、前記第2カバー部材、前記グレンタンク、および前記茎稈細断装置の内方側に、前記縦送りスクリューコンベヤを囲む囲繞空間を形成するとともに、
前記茎稈細断装置が前記メンテナンス姿勢であるときに、前記脱穀装置と前記茎稈細断装置との間から前記縦送りスクリューコンベヤに連通する連通空間を形成するように構成してあるコンバイン。
【請求項2】
前記茎稈細断装置における排出オーガ側の部分に、当該茎稈細断装置と前記排出オーガとを仕切る仕切り板を取り付けるとともに、当該仕切り板に前記第2カバー部材を取り付けてある請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−239737(P2011−239737A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115582(P2010−115582)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】