コンバイン
【課題】穀稈引継搬送装置に備えた引継ぎチェンの外れを防止する。
【解決手段】刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設ける。また、脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とする。
【解決手段】刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設ける。また、脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のコンバインは、幅広い刈取装置によって複数条の植付穀稈条列を一度に刈取るから、高能率で刈取脱穀作業ができる特色があり、広く普及している。例えば、特開2004−57091号公開特許公報に開示されているコンバインは、車体の最前部の低位置において左右両側に左右株元合流チェンを配置し、その間に、中央株元合流チェンを設けた6条の穀稈条列を一度に刈り進む高能率の構成となっている。そして、該公報には、上記各合流搬送チェンを伝動する伝動ケースを、搬送チェンの穀稈搬送通路から離し、更に、穀稈の合流部からも離した部位に設け、搬送途中の刈取穀稈が伝動ケースに引掛ったり、藁草、泥土等の堆積を未然に防止する構成としたコンバインが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−57091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコンバインでは、刈取搬送装置で搬送された穀稈を脱穀装置のフィードチェンに受継がせる穀稈引継搬送装置の引継ぎチェンが、この引継ぎチェンを摺動案内するチェンレールから外れる問題がある。また、搬送穀稈をフィードチェンへ良好に受継ぐことができない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、クローラ(10)を備えた車体(11)に脱穀装置(12)を搭載し、該脱穀装置(12)の前側に刈取搬送装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、該穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、該引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、該チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、該株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、該株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とした請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に設けた脱線防止板(36)によって、この引継ぎチェン(31)の外れを防止することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明の効果に加え、脱線防止板(36)に取り付けた株元ガイド杆(38)によって、搬送穀稈の株元をフィードチェン(15)へ良好に受継がせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】刈取搬送装置の要部平面図
【図2】刈取搬送装置の右側を断面して示す側面図
【図3】説明用模式図
【図4】従来装置の説明用模式図
【図5】コンバインの側面図
【図6】穀稈引継搬送装置の内部平面図
【図7】穀稈引継搬送装置の切断側面図
【図8】穀稈引継搬送装置の平面図
【図9】図8にA→方向から見た正面図
【図10】扱深さ調節チェンの平面図
【図11】図10のS1−S1断面図
【図12】図10のS2−S2断面図
【図13】図10のS3−S3断面図
【図14】図10のS4−S4断面図
【図15】扱深さ調節チェンの切断背面図
【図16】従来型のスクレーパ取付平面図
【図17】図16の一部破断した側面図
【図18】スクレーパ取付図
【図19】図18の一部破断した側面図
【図20】従来型の遊動ローラのテンション装置
【図21】断面して示す作用図(調整後)
【図22】断面して示す作用図(調整前)
【図23】サブデバイダの斜面図
【図24】サブデバイダの平断面図
【図25】サブデバイダの平断面図
【図26】サブデバイダの一部の側面図
【図27】サブデバイダの斜面図
【図28】サブデバイダの作用図
【図29】従来型巻付防止杆の平面図
【図30】掻込みスターホイルと巻付防止杆との平面図
【図31】円筒体とスクレーパとの一部破断正面図
【図32】掻込みスターホイルと巻付防止杆の平面図
【図33】掻込みスターホイルと巻付防止杆との一部破断正面図
【図34】掻込みスターホイルと巻付防止杆との平面図
【図35】掻込みスターホイルと巻付防止杆との一部破断正面図
【図36】運転操縦席の正面図
【図37】運転操縦席の前側機枠の側面図
【図38】バランスウエイトを取付けたコンバインの側面図
【図39】バランスウエイトを構成するタンクの斜面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図5に示すように、クローラ10,10を装備した車体11上に脱穀装置12が搭載され、その前側に刈取搬送装置4を設けて、前進に伴い刈取脱穀作業ができる構成としている。
【0011】
そして、刈取搬送装置4は、前部から分草杆13、穀稈引起し装置14、刈取装置1、掻込みスターホイル2、株元掻込みチェン3a、株元搬送チェン3b、扱深さ調節チェン5、穂先搬送装置6等を一体的に枠組みして構成している。そして、脱穀装置12は、穀稈供給口を前側にして、前記刈取搬送装置4から受け継いだ穀稈をフィードチェン15で搬送しながら脱穀して、一番粒を隣接したグレンタンク16まで揚穀搬送して貯留できる構成としている。そして、グレンタンク16は、排出オーガー17を接続して設け、作業が進んで穀粒が満杯に達すると、機外に排出できる構成としている。
【0012】
つぎに、刈取搬送装置4、特に、本件出願の主要部となる多条の穀稈条列を掻込み、刈取り、搬送する刈取搬送装置4の構成について説明する。
実施例の刈取装置1は、図1、及び図2に示すように、後部に位置する伝動兼支持フレーム18の前側に設けて、低位置に配置されており、刈幅を広くして6条の穀稈条列が刈取りできる構成としている。そして、掻込みスターホイル2,2は、前記刈取装置1の上方において、左右一対を一組として2条の穀稈条列を掻込む通路を形成し、その位置から斜め前方に向けた前開きの平面視ハ字状に配置した掻込みラグベルト20,20を設けた構成としている。
【0013】
このように、実施例の場合、刈取搬送装置4は、図1に示すように、2条の穀稈条列を掻込む通路を横並びに3つ配置し、同時に6条の穀稈条列が刈取りできる構成としている。
【0014】
そして、該刈取搬送装置4を構成する最も右側の株元掻込みチェン3aは、図面に示すように、前記掻込みスターホイル(第1掻込みスターホイル)2aの上側に、同軸に軸架したスプロケット(第1スプロケット)21と、そのすぐ後ろ側に軸架したスプロケット(第2スプロケット)22とに巻き掛けて設け、テンションローラ23で張圧して掻込み回転ができる構成としている。そして、株元搬送チェン3bは、前部の般送始端側を前記掻込みチェン3aのスプロケット22と同軸で上側に軸着した搬送スプロケット24と、後部ローラ25との間に巻き掛けて設けた構成としている。
【0015】
そして、上記株元搬送チェン3bは、図1に示すように、中間部分と終端部分との2箇所に、前側の掻込み通路から搬送されてくる穀稈を合流する搬送チェン3,3の終端部分を臨ませて設けた構成としている。そして、株元搬送チェン3bは、穀稈搬送側に対応させて挟持案内杆25aを設け、前部で受継いだ搬送穀稈を挟持して搬送する構成としている。なお、株元搬送チェン3bの中間部分と終端部分とに臨ませている前述の両搬送チェン3,3も、搬送側に挟持案内杆26,26を設けて穀稈を挟持して搬送する構成としている。
【0016】
そして、前述の各一対で一組とした掻込みスターホイル2,2は、図面から解るように、搬送チェン3を巻き掛けた側のスターホイルを駆動して、他方のスターホイルを係合状態で伝動しながら、両方の内側に穀稈の掻込みができる構成としている。
【0017】
そして、穂先搬送装置6は、図1、及び図2に示すように、ラグ付きチェンから構成して穀稈上部を係合状態に係止して搬送するが、前記株元搬送チェン3bの上方に沿わせて配置してその株元搬送チェン3bと共同して穀稈の搬送ができる構成としている。
【0018】
そして、扱深さ調節チェン5は、図面から解るように、上記株元搬送チェン3bの搬送終端部分に位置させており、受継いだ穀稈を挟持して稈身方向に調節しながら穂部が、脱穀装置12の扱胴に対して適する部位に供給できるように、図示しない扱深さ自動制御装置で自動的に調節操作される構成となっている。
【0019】
以上のように構成した実施例の刈取搬送装置は、既に「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した従来型(図4の模式図参照)の一番右側に軸架した掻込・搬送チェン(B)が1本チェン構成であったものを、改良して、図3の模式図に示すように、2本チェンの構成にした点に構成上の特徴がある。
【0020】
この出願の上述した実施例は、最も右側に配置する短い株元掻込みチェン3aと、後続する別の株元搬送チェン3bとの2本チェンの構成にしているから、前側の株元掻込みチェン3aを掻込み作用に最も適する角度に装置することが可能であり、後続の株元搬送チェン3bも隣接する他の合流用の搬送チェン3,3との関係を配慮して、搬送穀稈の合流に適する角度に配置することができる。要するに、本件発明の実施例は、図3の模式図に示すように、それぞれ単独の2本チェン構成にしているから、前側の株元掻込みチェン3aとすぐ後に続く株元搬送チェン3bとの両者の間に形成される角度(β)も自由に決められて前側の掻込みチェン3aと、後続する搬送チェン3bとがそれぞれ充分に機能が発揮できる角度(β)に設定することができて、前述した従来装置の課題を解消することができる。
【0021】
つぎに、穀稈引継搬送装置30の実施例を説明する。
まず、穀稈引継搬送装置30は、図1、及び図5に示すように、刈取搬送装置4の穀稈搬送径路の終端部位置にあって、脱穀装置12のフィードチェン15に搬送穀稈を円滑に受継ぎ供給するように構成している。そして、上記装置30の引継ぎチェン31は、図6、及び図7に示すように、駆動スプロケット32とそれぞれ角部分に軸架した2つの遊動ローラ(遊動輪)33,33とに巻回し、穀稈搬送面の裏側に配置している円弧形状のチェンレール34上を摺動しながら沿って回動する構成としている。そして、上下脱線防止板35,36は、図面に示すように、引継ぎチェン31の移動経路(チェンレール34の位置)に沿わせて上側と下側とに設け、引継ぎチェン31の脱線を防止する構成としている。この場合、上下脱線防止板35,36は、搬送穀稈を脱穀装置12に供給するために順次倒伏状態に変化しながら搬送する部分であるから、搬送通路側への張出代が上を短く、下を長く構成している。
【0022】
そして、穂先側案内カバー37は、図8、及び図9に示すように、その下縁を前記した上側脱線防止板35のすぐ上面に隙間がないように接近して円弧形状に添わせて設けた構成としている。
【0023】
そして、株元ガイド杆38は、図面に示すように、基部を前記下側脱線防止板(請求項の「脱線防止板」)36に溶接して固着し、中間部位から先端側を搬送通路の株元搬送側へ折り曲げて突出させ、上面側で搬送穀稈の株元部分を上方で外側方向にガイドして、脱穀装置12のフィードチェン15の上側に受継ぎ易いように案内する構成としている。
【0024】
以上述べたように、まず、前記チェンレール34は、他の部材(脱線防止板35,36等)から独立した単体の構成としており、単独で着脱ができるために、加工(焼入れ作業等)やメンテナンス等が容易となり、焼入れ等で耐久性を向上できる利点がある。そして、前記穂先側案内カバー37は、上側脱線防止板35のすぐ上面に下縁を隙間がないように接近して設けているから、藁屑や脱粒した籾の溜まり場なくなった利点がある。
【0025】
そして、株元ガイド杆38は、搬送穀稈の株元をフィードチェン15を跨がすように向こう側に案内して受継ぎを良好にしながら、別体の取付部材を必要とせず、取付の簡略化を図り、引継ぎチェン31の脱線防止にも役立つ特徴がある。
【0026】
つぎに、扱深さ調節チェン5の実施例を説明する。
まず、扱深さ調節チェン5は、図1に基づいて説明したが、株元搬送チェン3bの終端部から受継いだ穀稈を、図外の扱深調節制御装置の制御作動によって稈身方向に移動調節しながら扱深さを適正位置に調節して脱穀装置12に供給する装置である。そして、扱深さ調節チェン5は、図10に示すように、機体側支持部41に調節自由に軸受けした駆動スプロケット42と、終端側の遊動ローラ43とに巻き掛けた構成としているが、この場合、支持フレーム40と補強連結取付部材48とによって駆動スプロケット42側と、遊動ローラ43側とを連結して一体に枠組みした構成としている。
【0027】
そして、Uパイプ44は、図10、及び図15に示すように、一方の端部を上記補強連結取付部材48(支持フレーム40側)に連結し、他方を挟持杆45側の連結部材46に連結して穀稈通路を迂回させた状態にしてチェン5側と挟持杆45側とを一体に連結してU字空間部分に穀稈を通過させる構成としている。
【0028】
そして、扱深さ調節チェン5は、支持フレーム40の中間部位に制御連動杆47が設けられ、図外の制御モータに接続して制御作動される構成になっているが、実施例の場合、搬送上手側の駆動スプロケット42側を回動支点として、遊動ローラ43側を作動して、穀稈の稈身方向に制御調節する構成としている。
【0029】
そして、支持フレーム40と補強取付部材48とは、一体として扱深さ調節チェン5の主要な構成部材となるが、図11から図14に示す各断面は、それぞれ該当する断面を示し、それぞれL型(図11参照)、箱型(図12、乃至図14参照)に形成し、特に、前記制御連動杆47の取付位置より遊動ローラ43側を箱型に形成してフレームの強度アップを図る構成としている。
【0030】
このように、扱深さ調節チェン5は、主要な構成部材となる支持フレーム40と補強取付部材48との剛性を高めることによって、調節制御時に発生していたフレームのねじれ等をなくして確実な作動ができるものとなった。従来装置では、支持フレームが捻じれてUパイプが変位し、挟持杆45がチェンの中心位置から離れた位置を押圧して、チェン5が脱線する弊害が発生することがあったが、それらの課題が解消できた。
【0031】
つぎに、スクレーパ50は、図18、及び図19に示すように、前記駆動スプロケット42への藁屑等の巻き付きを防止するように設けるが、従来装置は、図16、及び図17に示すように、支持フレーム51と一体にして取り付ける構成をとっていた。それに対して、実施例は、図18、及び図19に示すように、支持フレーム51に着脱自在にねじ締めして取り付ける構成にした。したがって、実施例のスクレーパ50は、支持フレームに関係なく単体で着脱することができ駆動スプロケット42の交換等も楽にできる特徴がある。
【0032】
つぎに、扱深さ調節チェン5の搬送終端部に軸架している遊動ローラ43のテンション装置53について実施例を説明する。
まず、この発明の実施例に係るテンション装置53は、従来装置(図20参照)の欠陥を解消して、図21、及び図22に示すように、チェンの伸び量をアジャスト側の目視で確認できる構成とし、更に、それの調整位置も目で見ながら、調整作業が容易にできる構成としている。
【0033】
従来の構成は、図19に示すように、短く形成したスペーサ54を保持パイプ55の中に挿入した構成であったから、右側への移動を外部から確認できず、チェン56が緩んで伸びても保持パイプ55の端部から外に出ることがない構成であった。したがって、従来のテンション装置53は、チェン56が緩んできても簡単に確認ができないために、穀稈の搬送障害がでて初めて気づく場合が多く、チェン56の張力の調整をする場合もアジャストボルト57の調節量が解らず、感と経験で行っていた。
【0034】
それに対して、本案の実施例に係るテンション装置53は、図21、及び図22に示すように、スペーサ54を従来より長く形成して、扱深さ調節チェン5を長時間使用してチェン56が伸びて遊動ローラ43がスプリング58の張圧力に押されて移動すると、一体構成の保持パイプ55が遊動ローラ43と共にチェン56側に移動するから、スペーサ54が、逆に保持パイプ55の端部から外に出てくることになる。
【0035】
したがって、オペレータは、そのスペーサ54の突出長さを目視して、チェン56の緩み量(伸び量)が解り、調整量(アジャストすべき長さ)を知ることができる。そして、実施例の場合、チェン56の調整量は、図21に示すように、保持パイプ55の端部に、スペーサ54の端部を合わせた位置が適正な調整(後)位置であり、チェン張力の調整位置が目で確認できる実用的効果がある。
【0036】
以上述べたように、実施例の扱深さ調節チェン5のテンション装置53は、チェン56の伸び量も、それの調整量(アジャストボルト57を調整する位置)も目視で確認できる優れた特徴がある。
【0037】
つぎに、穀稈引起し装置60の前側に設けたサブデバイダ61について、実施例を説明する。
実施例に係るサブデバイダ61は、図23に示すように、下部を分草杆62の中央位置か、又はこれを貫通して裏側機枠に取り付け、上部を穀稈引起し装置60の上部外側に取り付けて順次上部を前方側に膨出状に突出させ、縦方向に高い位置まで分草作用ができる構成としている。そして、案内プレート63は、図24、及び図25に示すように、上記サブデバイダ61と穀稈引起し装置60の前板60aとの間を塞ぐように配置して取り付け、圃場の穀稈を上下に渡って板面で案内できる構成としている。なお、図24は平らな板面で案内し、図25は案内面を湾曲状に形成して脱粒を低減しながらスムースに案内するものとしている。
【0038】
なお、サブデバイダ61は、図26に示すように、その下部を分草杆62の後ろ側を通して分草支持杆64に取り付ける構成にしても良く、又、図27に示すように、穀稈引起し装置60の前板60aの下部に取り付ける構成でも良い。
【0039】
このように構成すると、分草杆62は、サブデバイダ61の取り付けに関係なくなり、自由に位置調節ができる。
そして、サブデバイダ61は、図28に示すように、上端部を枢着Pとして下部を左右に揺動させて位置調節ができる構成にする事も自由であるが、この場合、案内プレート63の取付部(前板60a)に横向きの長孔を設けて、同方向に一体に調節可能にすればよい。
【0040】
以上述べたように、実施例のサブデバイダ61は、案内プレート63を設けた点に特徴があり、運転操縦席から稈身方向の分草状態の確認がし易く、又案内プレート63のために穀稈がサブデバイダ61を構成する杆に絡み付くことがない利点がある。更に、案内プレート63は、図25に示すように、穀稈案内面を湾曲形状にすると、既に述べたように、脱粒を低減しながらスムースに案内することができる特徴がある。
【0041】
つぎに、掻込みスターホイル2の巻付防止手段について、実施例を説明する。
既に、図1に基づいて説明しが、刈取搬送装置4は、前部低位置の穀稈掻込み条列ごとに掻込みスターホイル2を軸架して穀稈の掻込み作用を行う構成としているが、掻込みスターホイルは、常に、掻込み穀稈の巻き付きが発生し、その対策が課題となっている。
【0042】
従来から、掻込みスターホイルは、例えば、平5−25445号特許公報や特開平9−65750号公開特許公報に見られるように、掻込みスターホイルと巻付防止杆に関する技術が提案され、又、昭58−29226号公開実用新案公報に示されているように、回 転体に巻きついた藁等を除去するスクレーパの技術が公開されている。
まず、巻付防止杆65は、図30に示すように、掻込みスターホイル66の中心部分に設けている円筒体67からできる限り遠い位置で、しかも、その円筒体67の外周に沿って等間隔に隔てた位置に設けることが巻付を防止できる構成である。従来の巻付防止杆65は、図29に示すように、円筒体67との間隔が狭いために巻き付きが起きる原因となっていた。
【0043】
このように、掻込みスターホイル66は、図30に示すように構成すると、図29の構成に比較して大幅に巻き付きが防止できる。
つぎに、スクレーパ68は、図31に示すように、掻込みスターホイル66の中心寄りの上面と円筒体67の周面とにスクレーパ作用ができるように接近して設けた構成としている。このように構成すると、スクレーパ68は、スターホイル66の上面と円筒体67の下部周面との両面に同時にスクレーパ作用をして巻きついた藁屑等を取り除くことができる。
【0044】
つぎに、図32、及び図33に示した実施例は、通常の巻付防止杆65の上側に穀稈ガイド杆69を配置して、上下二重の構成にして巻付き作用を防止する構成をとっている。
そして、図34と図35とに示す実施例は、上記巻付防止杆65をピアノ線に置き換えて構成したものである。
【0045】
以上、掻込みスターホイル66の上側周辺に配置する巻付防止杆65の各実施例を列挙したが、いずれも巻付き防止機能に加えて、メンテナンス性がよく破損や変形に対応できる特徴がある。
【0046】
つぎに、運転操縦座席の右側(オペレータの乗降側)に設けたウインカー70とバックミラー71との取付け構成について実施例を説明する。
まず、ウインカー70は、図36、及び図37に示すように、ハンドル(側部の乗降時に握る把持部を含む)72と一体にした取付け用ステー73に取り付けて構成している。更に、バックミラー71は、図面に示すように、上記取付け用ステー73に取付具74を介して取付けてこれらを一体構成としている。
【0047】
そして、ウインカー70とウインカー71とは、図36の正面視で解るように、いずれも機体の右外側に位置し、それぞれの機能が発揮できるように後方に障害物が突出しないように開放した構成としている。
【0048】
そして、バックミラー71は、図37に示すように、側面視で乗降時の通路から前側に退避した位置にあり、邪魔にならず、しかも、下側に横軸に支架して前後方向に操作する駐車ブレーキレバー75の回動操作範囲の上側に位置する構成としている。
【0049】
以上、述べたように、実施例の構成は、バックミラー71とウインカー70とが本来の機能を充分に発揮できる位置に設けられ、しかも、運転操縦席への乗降時に支障とならず、駐車ブレーキレバー75の操作にも支障がない特徴がある。
【0050】
つぎに、コンバインの後部に取付けたバランスウエイト77について実施例を説明する。
実施例のバランスウエイト77は、水を入れるタンク78からなり、コンバインカッター79の後部カバーに代えて取り付けた構成としている。そして、バランスウエイト77は、実施例の場合、図39に示すように、横長のタンク78を上下方向に複数段を重ねて着脱自由に取付けて一体構成とし、各タンク78ごとにそれぞれ給水口80と排水口81とを設けた構成としている。
【0051】
そして、バランスウエイト77は、各タンク78を着脱自由に構成しているから、ウエイト調節が自由に出来る。
以上説明したように、実施例に係るバランスウエイト77は、コンバインカッター79の後部カバーを兼ねており、低コストで製作ができる。更に、実施例の場合、水を横長のタンク78に給水し、これを着脱自由に重ねる構成であるから、ウエイト調節が可能であると共に、ウエイトが水であるにもかかわらず、車体が左右に傾斜しても横移動がほとんどなく、ウエイトの横移動が防止できる利点がある。
【符号の説明】
【0052】
4 刈取搬送装置
10 クローラ
11 車体
12 脱穀装置
15 フィードチェン
30 穀稈引継搬送装置
31 引継ぎチェン
32 駆動スプロケット
33 遊動ローラ(遊動輪)
34 チェンレール
36 下側脱線防止板(脱線防止板)
38 株元ガイド杆
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のコンバインは、幅広い刈取装置によって複数条の植付穀稈条列を一度に刈取るから、高能率で刈取脱穀作業ができる特色があり、広く普及している。例えば、特開2004−57091号公開特許公報に開示されているコンバインは、車体の最前部の低位置において左右両側に左右株元合流チェンを配置し、その間に、中央株元合流チェンを設けた6条の穀稈条列を一度に刈り進む高能率の構成となっている。そして、該公報には、上記各合流搬送チェンを伝動する伝動ケースを、搬送チェンの穀稈搬送通路から離し、更に、穀稈の合流部からも離した部位に設け、搬送途中の刈取穀稈が伝動ケースに引掛ったり、藁草、泥土等の堆積を未然に防止する構成としたコンバインが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−57091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコンバインでは、刈取搬送装置で搬送された穀稈を脱穀装置のフィードチェンに受継がせる穀稈引継搬送装置の引継ぎチェンが、この引継ぎチェンを摺動案内するチェンレールから外れる問題がある。また、搬送穀稈をフィードチェンへ良好に受継ぐことができない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、クローラ(10)を備えた車体(11)に脱穀装置(12)を搭載し、該脱穀装置(12)の前側に刈取搬送装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、該穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、該引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、該チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、該株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、該株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とした請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に設けた脱線防止板(36)によって、この引継ぎチェン(31)の外れを防止することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明の効果に加え、脱線防止板(36)に取り付けた株元ガイド杆(38)によって、搬送穀稈の株元をフィードチェン(15)へ良好に受継がせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】刈取搬送装置の要部平面図
【図2】刈取搬送装置の右側を断面して示す側面図
【図3】説明用模式図
【図4】従来装置の説明用模式図
【図5】コンバインの側面図
【図6】穀稈引継搬送装置の内部平面図
【図7】穀稈引継搬送装置の切断側面図
【図8】穀稈引継搬送装置の平面図
【図9】図8にA→方向から見た正面図
【図10】扱深さ調節チェンの平面図
【図11】図10のS1−S1断面図
【図12】図10のS2−S2断面図
【図13】図10のS3−S3断面図
【図14】図10のS4−S4断面図
【図15】扱深さ調節チェンの切断背面図
【図16】従来型のスクレーパ取付平面図
【図17】図16の一部破断した側面図
【図18】スクレーパ取付図
【図19】図18の一部破断した側面図
【図20】従来型の遊動ローラのテンション装置
【図21】断面して示す作用図(調整後)
【図22】断面して示す作用図(調整前)
【図23】サブデバイダの斜面図
【図24】サブデバイダの平断面図
【図25】サブデバイダの平断面図
【図26】サブデバイダの一部の側面図
【図27】サブデバイダの斜面図
【図28】サブデバイダの作用図
【図29】従来型巻付防止杆の平面図
【図30】掻込みスターホイルと巻付防止杆との平面図
【図31】円筒体とスクレーパとの一部破断正面図
【図32】掻込みスターホイルと巻付防止杆の平面図
【図33】掻込みスターホイルと巻付防止杆との一部破断正面図
【図34】掻込みスターホイルと巻付防止杆との平面図
【図35】掻込みスターホイルと巻付防止杆との一部破断正面図
【図36】運転操縦席の正面図
【図37】運転操縦席の前側機枠の側面図
【図38】バランスウエイトを取付けたコンバインの側面図
【図39】バランスウエイトを構成するタンクの斜面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図5に示すように、クローラ10,10を装備した車体11上に脱穀装置12が搭載され、その前側に刈取搬送装置4を設けて、前進に伴い刈取脱穀作業ができる構成としている。
【0011】
そして、刈取搬送装置4は、前部から分草杆13、穀稈引起し装置14、刈取装置1、掻込みスターホイル2、株元掻込みチェン3a、株元搬送チェン3b、扱深さ調節チェン5、穂先搬送装置6等を一体的に枠組みして構成している。そして、脱穀装置12は、穀稈供給口を前側にして、前記刈取搬送装置4から受け継いだ穀稈をフィードチェン15で搬送しながら脱穀して、一番粒を隣接したグレンタンク16まで揚穀搬送して貯留できる構成としている。そして、グレンタンク16は、排出オーガー17を接続して設け、作業が進んで穀粒が満杯に達すると、機外に排出できる構成としている。
【0012】
つぎに、刈取搬送装置4、特に、本件出願の主要部となる多条の穀稈条列を掻込み、刈取り、搬送する刈取搬送装置4の構成について説明する。
実施例の刈取装置1は、図1、及び図2に示すように、後部に位置する伝動兼支持フレーム18の前側に設けて、低位置に配置されており、刈幅を広くして6条の穀稈条列が刈取りできる構成としている。そして、掻込みスターホイル2,2は、前記刈取装置1の上方において、左右一対を一組として2条の穀稈条列を掻込む通路を形成し、その位置から斜め前方に向けた前開きの平面視ハ字状に配置した掻込みラグベルト20,20を設けた構成としている。
【0013】
このように、実施例の場合、刈取搬送装置4は、図1に示すように、2条の穀稈条列を掻込む通路を横並びに3つ配置し、同時に6条の穀稈条列が刈取りできる構成としている。
【0014】
そして、該刈取搬送装置4を構成する最も右側の株元掻込みチェン3aは、図面に示すように、前記掻込みスターホイル(第1掻込みスターホイル)2aの上側に、同軸に軸架したスプロケット(第1スプロケット)21と、そのすぐ後ろ側に軸架したスプロケット(第2スプロケット)22とに巻き掛けて設け、テンションローラ23で張圧して掻込み回転ができる構成としている。そして、株元搬送チェン3bは、前部の般送始端側を前記掻込みチェン3aのスプロケット22と同軸で上側に軸着した搬送スプロケット24と、後部ローラ25との間に巻き掛けて設けた構成としている。
【0015】
そして、上記株元搬送チェン3bは、図1に示すように、中間部分と終端部分との2箇所に、前側の掻込み通路から搬送されてくる穀稈を合流する搬送チェン3,3の終端部分を臨ませて設けた構成としている。そして、株元搬送チェン3bは、穀稈搬送側に対応させて挟持案内杆25aを設け、前部で受継いだ搬送穀稈を挟持して搬送する構成としている。なお、株元搬送チェン3bの中間部分と終端部分とに臨ませている前述の両搬送チェン3,3も、搬送側に挟持案内杆26,26を設けて穀稈を挟持して搬送する構成としている。
【0016】
そして、前述の各一対で一組とした掻込みスターホイル2,2は、図面から解るように、搬送チェン3を巻き掛けた側のスターホイルを駆動して、他方のスターホイルを係合状態で伝動しながら、両方の内側に穀稈の掻込みができる構成としている。
【0017】
そして、穂先搬送装置6は、図1、及び図2に示すように、ラグ付きチェンから構成して穀稈上部を係合状態に係止して搬送するが、前記株元搬送チェン3bの上方に沿わせて配置してその株元搬送チェン3bと共同して穀稈の搬送ができる構成としている。
【0018】
そして、扱深さ調節チェン5は、図面から解るように、上記株元搬送チェン3bの搬送終端部分に位置させており、受継いだ穀稈を挟持して稈身方向に調節しながら穂部が、脱穀装置12の扱胴に対して適する部位に供給できるように、図示しない扱深さ自動制御装置で自動的に調節操作される構成となっている。
【0019】
以上のように構成した実施例の刈取搬送装置は、既に「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した従来型(図4の模式図参照)の一番右側に軸架した掻込・搬送チェン(B)が1本チェン構成であったものを、改良して、図3の模式図に示すように、2本チェンの構成にした点に構成上の特徴がある。
【0020】
この出願の上述した実施例は、最も右側に配置する短い株元掻込みチェン3aと、後続する別の株元搬送チェン3bとの2本チェンの構成にしているから、前側の株元掻込みチェン3aを掻込み作用に最も適する角度に装置することが可能であり、後続の株元搬送チェン3bも隣接する他の合流用の搬送チェン3,3との関係を配慮して、搬送穀稈の合流に適する角度に配置することができる。要するに、本件発明の実施例は、図3の模式図に示すように、それぞれ単独の2本チェン構成にしているから、前側の株元掻込みチェン3aとすぐ後に続く株元搬送チェン3bとの両者の間に形成される角度(β)も自由に決められて前側の掻込みチェン3aと、後続する搬送チェン3bとがそれぞれ充分に機能が発揮できる角度(β)に設定することができて、前述した従来装置の課題を解消することができる。
【0021】
つぎに、穀稈引継搬送装置30の実施例を説明する。
まず、穀稈引継搬送装置30は、図1、及び図5に示すように、刈取搬送装置4の穀稈搬送径路の終端部位置にあって、脱穀装置12のフィードチェン15に搬送穀稈を円滑に受継ぎ供給するように構成している。そして、上記装置30の引継ぎチェン31は、図6、及び図7に示すように、駆動スプロケット32とそれぞれ角部分に軸架した2つの遊動ローラ(遊動輪)33,33とに巻回し、穀稈搬送面の裏側に配置している円弧形状のチェンレール34上を摺動しながら沿って回動する構成としている。そして、上下脱線防止板35,36は、図面に示すように、引継ぎチェン31の移動経路(チェンレール34の位置)に沿わせて上側と下側とに設け、引継ぎチェン31の脱線を防止する構成としている。この場合、上下脱線防止板35,36は、搬送穀稈を脱穀装置12に供給するために順次倒伏状態に変化しながら搬送する部分であるから、搬送通路側への張出代が上を短く、下を長く構成している。
【0022】
そして、穂先側案内カバー37は、図8、及び図9に示すように、その下縁を前記した上側脱線防止板35のすぐ上面に隙間がないように接近して円弧形状に添わせて設けた構成としている。
【0023】
そして、株元ガイド杆38は、図面に示すように、基部を前記下側脱線防止板(請求項の「脱線防止板」)36に溶接して固着し、中間部位から先端側を搬送通路の株元搬送側へ折り曲げて突出させ、上面側で搬送穀稈の株元部分を上方で外側方向にガイドして、脱穀装置12のフィードチェン15の上側に受継ぎ易いように案内する構成としている。
【0024】
以上述べたように、まず、前記チェンレール34は、他の部材(脱線防止板35,36等)から独立した単体の構成としており、単独で着脱ができるために、加工(焼入れ作業等)やメンテナンス等が容易となり、焼入れ等で耐久性を向上できる利点がある。そして、前記穂先側案内カバー37は、上側脱線防止板35のすぐ上面に下縁を隙間がないように接近して設けているから、藁屑や脱粒した籾の溜まり場なくなった利点がある。
【0025】
そして、株元ガイド杆38は、搬送穀稈の株元をフィードチェン15を跨がすように向こう側に案内して受継ぎを良好にしながら、別体の取付部材を必要とせず、取付の簡略化を図り、引継ぎチェン31の脱線防止にも役立つ特徴がある。
【0026】
つぎに、扱深さ調節チェン5の実施例を説明する。
まず、扱深さ調節チェン5は、図1に基づいて説明したが、株元搬送チェン3bの終端部から受継いだ穀稈を、図外の扱深調節制御装置の制御作動によって稈身方向に移動調節しながら扱深さを適正位置に調節して脱穀装置12に供給する装置である。そして、扱深さ調節チェン5は、図10に示すように、機体側支持部41に調節自由に軸受けした駆動スプロケット42と、終端側の遊動ローラ43とに巻き掛けた構成としているが、この場合、支持フレーム40と補強連結取付部材48とによって駆動スプロケット42側と、遊動ローラ43側とを連結して一体に枠組みした構成としている。
【0027】
そして、Uパイプ44は、図10、及び図15に示すように、一方の端部を上記補強連結取付部材48(支持フレーム40側)に連結し、他方を挟持杆45側の連結部材46に連結して穀稈通路を迂回させた状態にしてチェン5側と挟持杆45側とを一体に連結してU字空間部分に穀稈を通過させる構成としている。
【0028】
そして、扱深さ調節チェン5は、支持フレーム40の中間部位に制御連動杆47が設けられ、図外の制御モータに接続して制御作動される構成になっているが、実施例の場合、搬送上手側の駆動スプロケット42側を回動支点として、遊動ローラ43側を作動して、穀稈の稈身方向に制御調節する構成としている。
【0029】
そして、支持フレーム40と補強取付部材48とは、一体として扱深さ調節チェン5の主要な構成部材となるが、図11から図14に示す各断面は、それぞれ該当する断面を示し、それぞれL型(図11参照)、箱型(図12、乃至図14参照)に形成し、特に、前記制御連動杆47の取付位置より遊動ローラ43側を箱型に形成してフレームの強度アップを図る構成としている。
【0030】
このように、扱深さ調節チェン5は、主要な構成部材となる支持フレーム40と補強取付部材48との剛性を高めることによって、調節制御時に発生していたフレームのねじれ等をなくして確実な作動ができるものとなった。従来装置では、支持フレームが捻じれてUパイプが変位し、挟持杆45がチェンの中心位置から離れた位置を押圧して、チェン5が脱線する弊害が発生することがあったが、それらの課題が解消できた。
【0031】
つぎに、スクレーパ50は、図18、及び図19に示すように、前記駆動スプロケット42への藁屑等の巻き付きを防止するように設けるが、従来装置は、図16、及び図17に示すように、支持フレーム51と一体にして取り付ける構成をとっていた。それに対して、実施例は、図18、及び図19に示すように、支持フレーム51に着脱自在にねじ締めして取り付ける構成にした。したがって、実施例のスクレーパ50は、支持フレームに関係なく単体で着脱することができ駆動スプロケット42の交換等も楽にできる特徴がある。
【0032】
つぎに、扱深さ調節チェン5の搬送終端部に軸架している遊動ローラ43のテンション装置53について実施例を説明する。
まず、この発明の実施例に係るテンション装置53は、従来装置(図20参照)の欠陥を解消して、図21、及び図22に示すように、チェンの伸び量をアジャスト側の目視で確認できる構成とし、更に、それの調整位置も目で見ながら、調整作業が容易にできる構成としている。
【0033】
従来の構成は、図19に示すように、短く形成したスペーサ54を保持パイプ55の中に挿入した構成であったから、右側への移動を外部から確認できず、チェン56が緩んで伸びても保持パイプ55の端部から外に出ることがない構成であった。したがって、従来のテンション装置53は、チェン56が緩んできても簡単に確認ができないために、穀稈の搬送障害がでて初めて気づく場合が多く、チェン56の張力の調整をする場合もアジャストボルト57の調節量が解らず、感と経験で行っていた。
【0034】
それに対して、本案の実施例に係るテンション装置53は、図21、及び図22に示すように、スペーサ54を従来より長く形成して、扱深さ調節チェン5を長時間使用してチェン56が伸びて遊動ローラ43がスプリング58の張圧力に押されて移動すると、一体構成の保持パイプ55が遊動ローラ43と共にチェン56側に移動するから、スペーサ54が、逆に保持パイプ55の端部から外に出てくることになる。
【0035】
したがって、オペレータは、そのスペーサ54の突出長さを目視して、チェン56の緩み量(伸び量)が解り、調整量(アジャストすべき長さ)を知ることができる。そして、実施例の場合、チェン56の調整量は、図21に示すように、保持パイプ55の端部に、スペーサ54の端部を合わせた位置が適正な調整(後)位置であり、チェン張力の調整位置が目で確認できる実用的効果がある。
【0036】
以上述べたように、実施例の扱深さ調節チェン5のテンション装置53は、チェン56の伸び量も、それの調整量(アジャストボルト57を調整する位置)も目視で確認できる優れた特徴がある。
【0037】
つぎに、穀稈引起し装置60の前側に設けたサブデバイダ61について、実施例を説明する。
実施例に係るサブデバイダ61は、図23に示すように、下部を分草杆62の中央位置か、又はこれを貫通して裏側機枠に取り付け、上部を穀稈引起し装置60の上部外側に取り付けて順次上部を前方側に膨出状に突出させ、縦方向に高い位置まで分草作用ができる構成としている。そして、案内プレート63は、図24、及び図25に示すように、上記サブデバイダ61と穀稈引起し装置60の前板60aとの間を塞ぐように配置して取り付け、圃場の穀稈を上下に渡って板面で案内できる構成としている。なお、図24は平らな板面で案内し、図25は案内面を湾曲状に形成して脱粒を低減しながらスムースに案内するものとしている。
【0038】
なお、サブデバイダ61は、図26に示すように、その下部を分草杆62の後ろ側を通して分草支持杆64に取り付ける構成にしても良く、又、図27に示すように、穀稈引起し装置60の前板60aの下部に取り付ける構成でも良い。
【0039】
このように構成すると、分草杆62は、サブデバイダ61の取り付けに関係なくなり、自由に位置調節ができる。
そして、サブデバイダ61は、図28に示すように、上端部を枢着Pとして下部を左右に揺動させて位置調節ができる構成にする事も自由であるが、この場合、案内プレート63の取付部(前板60a)に横向きの長孔を設けて、同方向に一体に調節可能にすればよい。
【0040】
以上述べたように、実施例のサブデバイダ61は、案内プレート63を設けた点に特徴があり、運転操縦席から稈身方向の分草状態の確認がし易く、又案内プレート63のために穀稈がサブデバイダ61を構成する杆に絡み付くことがない利点がある。更に、案内プレート63は、図25に示すように、穀稈案内面を湾曲形状にすると、既に述べたように、脱粒を低減しながらスムースに案内することができる特徴がある。
【0041】
つぎに、掻込みスターホイル2の巻付防止手段について、実施例を説明する。
既に、図1に基づいて説明しが、刈取搬送装置4は、前部低位置の穀稈掻込み条列ごとに掻込みスターホイル2を軸架して穀稈の掻込み作用を行う構成としているが、掻込みスターホイルは、常に、掻込み穀稈の巻き付きが発生し、その対策が課題となっている。
【0042】
従来から、掻込みスターホイルは、例えば、平5−25445号特許公報や特開平9−65750号公開特許公報に見られるように、掻込みスターホイルと巻付防止杆に関する技術が提案され、又、昭58−29226号公開実用新案公報に示されているように、回 転体に巻きついた藁等を除去するスクレーパの技術が公開されている。
まず、巻付防止杆65は、図30に示すように、掻込みスターホイル66の中心部分に設けている円筒体67からできる限り遠い位置で、しかも、その円筒体67の外周に沿って等間隔に隔てた位置に設けることが巻付を防止できる構成である。従来の巻付防止杆65は、図29に示すように、円筒体67との間隔が狭いために巻き付きが起きる原因となっていた。
【0043】
このように、掻込みスターホイル66は、図30に示すように構成すると、図29の構成に比較して大幅に巻き付きが防止できる。
つぎに、スクレーパ68は、図31に示すように、掻込みスターホイル66の中心寄りの上面と円筒体67の周面とにスクレーパ作用ができるように接近して設けた構成としている。このように構成すると、スクレーパ68は、スターホイル66の上面と円筒体67の下部周面との両面に同時にスクレーパ作用をして巻きついた藁屑等を取り除くことができる。
【0044】
つぎに、図32、及び図33に示した実施例は、通常の巻付防止杆65の上側に穀稈ガイド杆69を配置して、上下二重の構成にして巻付き作用を防止する構成をとっている。
そして、図34と図35とに示す実施例は、上記巻付防止杆65をピアノ線に置き換えて構成したものである。
【0045】
以上、掻込みスターホイル66の上側周辺に配置する巻付防止杆65の各実施例を列挙したが、いずれも巻付き防止機能に加えて、メンテナンス性がよく破損や変形に対応できる特徴がある。
【0046】
つぎに、運転操縦座席の右側(オペレータの乗降側)に設けたウインカー70とバックミラー71との取付け構成について実施例を説明する。
まず、ウインカー70は、図36、及び図37に示すように、ハンドル(側部の乗降時に握る把持部を含む)72と一体にした取付け用ステー73に取り付けて構成している。更に、バックミラー71は、図面に示すように、上記取付け用ステー73に取付具74を介して取付けてこれらを一体構成としている。
【0047】
そして、ウインカー70とウインカー71とは、図36の正面視で解るように、いずれも機体の右外側に位置し、それぞれの機能が発揮できるように後方に障害物が突出しないように開放した構成としている。
【0048】
そして、バックミラー71は、図37に示すように、側面視で乗降時の通路から前側に退避した位置にあり、邪魔にならず、しかも、下側に横軸に支架して前後方向に操作する駐車ブレーキレバー75の回動操作範囲の上側に位置する構成としている。
【0049】
以上、述べたように、実施例の構成は、バックミラー71とウインカー70とが本来の機能を充分に発揮できる位置に設けられ、しかも、運転操縦席への乗降時に支障とならず、駐車ブレーキレバー75の操作にも支障がない特徴がある。
【0050】
つぎに、コンバインの後部に取付けたバランスウエイト77について実施例を説明する。
実施例のバランスウエイト77は、水を入れるタンク78からなり、コンバインカッター79の後部カバーに代えて取り付けた構成としている。そして、バランスウエイト77は、実施例の場合、図39に示すように、横長のタンク78を上下方向に複数段を重ねて着脱自由に取付けて一体構成とし、各タンク78ごとにそれぞれ給水口80と排水口81とを設けた構成としている。
【0051】
そして、バランスウエイト77は、各タンク78を着脱自由に構成しているから、ウエイト調節が自由に出来る。
以上説明したように、実施例に係るバランスウエイト77は、コンバインカッター79の後部カバーを兼ねており、低コストで製作ができる。更に、実施例の場合、水を横長のタンク78に給水し、これを着脱自由に重ねる構成であるから、ウエイト調節が可能であると共に、ウエイトが水であるにもかかわらず、車体が左右に傾斜しても横移動がほとんどなく、ウエイトの横移動が防止できる利点がある。
【符号の説明】
【0052】
4 刈取搬送装置
10 クローラ
11 車体
12 脱穀装置
15 フィードチェン
30 穀稈引継搬送装置
31 引継ぎチェン
32 駆動スプロケット
33 遊動ローラ(遊動輪)
34 チェンレール
36 下側脱線防止板(脱線防止板)
38 株元ガイド杆
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ(10)を備えた車体(11)に脱穀装置(12)を搭載し、該脱穀装置(12)の前側に刈取搬送装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、該穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、該引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、該チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、該株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、該株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とした請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
クローラ(10)を備えた車体(11)に脱穀装置(12)を搭載し、該脱穀装置(12)の前側に刈取搬送装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送装置(4)で搬送された穀稈を脱穀装置(12)のフィードチェン(15)に受継がせる穀稈引継搬送装置(30)を設け、該穀稈引継搬送装置(30)の引継ぎチェン(31)を駆動スプロケット(32)と遊動輪(33)に巻回し、該引継ぎチェン(31)を摺動案内するチェンレール(34)の下側に、該チェンレール(34)からの引継ぎチェン(31)の外れを防止する脱線防止板(36)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記脱線防止板(36)に株元ガイド杆(38)の基部を取り付け、該株元ガイド杆(38)の先端側を穀稈搬送通路側へ突出させ、該株元ガイド杆(38)で搬送穀稈の株元部分を上方へ案内してフィードチェン(15)に受継がせる構成とした請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2012−165752(P2012−165752A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103122(P2012−103122)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2006−322441(P2006−322441)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2006−322441(P2006−322441)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]