説明

コンバイン

【課題】エンジン側とミッションケース側との連動連結を行う伝動ベルトと車体フレームとの接触を簡単な構造で避けられるようにする。
【解決手段】エンジン60の出力軸とミッションケース7の入力軸とを結ぶ仮想線分L1よりも上側に偏倚した位置に中継プーリ63a,63bの中継軸を設けて、出力軸に設けた出力プーリ61aと中継プーリ63aとに掛張される第1伝動ベルト62aと、入力軸に設けた入力プーリ70aと中継プーリ63bとの間に掛張した第2伝動ベルト62bとによって構成されるベルト伝動機構62を、車体フレームの前端位置を越えて入力プーリ70aと出力プーリ61aとに亘って掛張し、テンションプーリ66を第1伝動ベルト62aと第2伝動ベルト62bとの上側に圧接してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームの前端側に設けたミッションケースの機体左右向きの入力軸と、前記ミッションケースよりも後方側の車体フレームに搭載されたエンジンの機体左右向きの出力軸とを、ベルト伝動機構を介して連動連結したコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
このように機体左右向きの出力軸を備えたエンジンと機体左右方向の入力軸を備えたミッションケースとを、ベルト伝動機構を介して連動連結したコンバインとしては、下記[1]及び[2]に記載のものが知られている。
[1]エンジンの出力軸に設けた出力プーリと、ミッションケースの上部に取り付けられた油圧変速機構の入力プーリとの間に伝動ベルトを張設して、エンジン動力が伝動ベルトを介してミッションケース側に伝達されるように構成したもの(特許文献1参照)。
[2]エンジンの出力軸側にベルト式無段変速機構を設け、そのベルト式無段変速機構の出力プーリとミッションケースの入力軸に設けた入力プーリとの間に伝動ベルトを張設して、エンジン動力が伝動ベルトを介してミッションケース側に伝達されるように構成したもの(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−161147号公報(段落〔0012〕、図1,2)
【特許文献2】特開平6−2747号公報(段落〔0007〕、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のコンバインでは、深い湿田での作業性能を高めるために、クローラ走行装置に対する車体フレームの位置を高くして車高を高くしたり、車高の高い機体での前後バランスの安定性を高めるために、エンジンの位置を前端側のミッションケースから離れた後方側に配設することも要望されている。
ところが、上記[1]のように、特許文献1に記載の構造のものでは、エンジンの出力軸に設けた出力プーリと、ミッションケースの上部に取り付けられた油圧変速機構の入力プーリとの間に一本の伝動ベルトを張設して動力伝達が行われている。このため、例えば、ミッションケースの上下位置を変えずにエンジンが搭載された車体フレームの位置を高くして車高を高くしたり、その車高を高くした状態でエンジンの配設位置を車体フレームの前端から離れた後方側に設けたい場合に、車体フレームの前端側が、前記出力プーリと入力プーリとの間に張設された伝動ベルトに接触する可能性があって、車体フレームの高さをあまり高くしたり、エンジンの位置をあまり後方側へ離して設け難いものであった。
【0005】
上記[2]のように、特許文献2に記載の構造のものでは、エンジンの駆動力が伝達されるベルト式無段変速機構の出力プーリとミッションケースの入力軸に設けた入力プーリとの間に伝動ベルトが掛張されている。
この構造では、ベルト式無段変速機構がエンジンの前方側へ延出されているので、エンジンがミッションケースから比較的離れた後方側に位置していても、ベルト式無段変速機構の出力側のプーリがミッションケースの近くに位置して、伝動ベルトが車体フレームの前端側に接触することを回避できるようになっている。しかしながら、このようなベルト式無段変速機構を介在させた伝動機構を用いなければならないものであり、伝動構造の複雑化や大型化を招き易いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、エンジン側とミッションケース側との連動連結を行う伝動ベルトと車体フレームとの接触を、車高の上昇やエンジン位置の後方移動に拘わらず簡単な構造で避けられるようにして、湿田性能の向上や前後バランスの安定化を図り得たコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、車体フレームの前端側に設けたミッションケースの機体左右向きの入力軸と、前記ミッションケースよりも後方側の車体フレームに搭載されたエンジンの機体左右向きの出力軸とを、ベルト伝動機構を介して連動連結したコンバインであって、前記ミッションケースの入力軸とエンジンの出力軸との間で、かつエンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分よりも上側に偏倚した位置に中継軸を設けて、この中継軸に中継プーリを支持させ、前記エンジンの出力軸に設けた出力プーリと前記中継プーリとに掛張される第1伝動ベルトと、前記ミッションケースの入力軸に設けた入力プーリと前記中継プーリとの間に掛張した第2伝動ベルトとによって前記ベルト伝動機構を構成し、このベルト伝動機構を前記車体フレームの前端位置を越えてミッションケースの入力軸に設けた入力プーリとエンジンの出力軸に設けた出力プーリとに亘って掛張してあり、前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとのそれぞれを張り側に付勢するテンションプーリを、前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとの上側に圧接するように配設してあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる本発明の構成によると、ミッションケースの入力軸に設けた入力プーリとエンジンの出力軸に設けた出力プーリとに亘って掛張したベルト伝動機構が、車体フレームの前端位置を越えてミッションケースの入力軸とエンジンの出力軸との間に配設され、かつエンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分よりも上側に偏倚した位置に中継軸を備えたものによって構成されている。
これにより、中継軸に設けられる中継プーリに掛張される第1伝動ベルトと第2伝動ベルトは中継軸部分が前方上方側へ突出するくの字状に屈折した形状に張設され、車体フレームは、その屈折した部分の下側凹入箇所へ入り込む状態に位置することになる。
したがって、ミッションケースの対地高さに比べて車体フレームを高く位置させて車高を上げ、またエンジンは車体フレームの前端よりも離れた後方側に位置させながら、ベルト伝動機構と車体フレームとの接触を回避し得る利点がある。
【0009】
また、第1伝動ベルトと第2伝動ベルトとのそれぞれを張り側に付勢するテンションプーリは、第1伝動ベルトと第2伝動ベルトとを上側に圧接するように配設してあるので、第1伝動ベルト及び第2伝動ベルトの下側には、テンションプーリを配設するためのスペースやその支持構造を要さず、より一層、第1伝動ベルト及び第2伝動ベルトの下側に車体フレームを近接させた状態に配設することが可能となる。
したがって、車体フレームをより高く位置させて車高を上げ、またエンジンは車体フレームの前端よりもさらに離れた後方側に位置させ易くなる利点がある。
【0010】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとのそれぞれに対応する前記テンションプーリは、前記中継軸に揺動可能に支持された支持アームに取り付けてあることを特徴とする。
【0011】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明の構成によると、中継軸がテンションプーリの支持アームを支持するための手段としての役割を果たすことになるので、構造の簡素化を図り得る利点がある。
【0012】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記中継軸は、機体左右方向での一端側が、前記車体フレームに立設した支持体によって支持され、他端側が車体フレーム上に設けられた運転部ステップ支持枠の横壁によって支持されていることを特徴とする。
【0013】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明の構成によると、車体フレーム上に設けられた運転部ステップ支持枠の横壁を、中継軸の他端側を支持する部材に利用するものであるから、構成部材の兼用化による構造の簡素化を図り得る利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記中継軸の一端側を支持する支持体は、ミッションケースを装着するための取付ブラケットを装備させたミッション支持フレーム上に立設されていることを特徴とする。
【0015】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明の構成によると、エンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分よりも上側に偏倚して位置する中継軸の偏倚量を比較的少なくし得て、ベルト伝動機構の小型化を図り得る利点がある。
つまり、車体フレームの前端側箇所でミッションケースを支持するミッション支持フレームは、車体フレームの前端側箇所に設けてあり、このミッション支持フレームに取り付けられた支持体や、支持体が支持する中継軸に設けられた中継プーリも必然的に車体フレームの前端側箇所に位置することになる。そして、中継軸の位置がエンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分に対して偏倚することで屈折するベルト伝動機構の屈折箇所も、その中継軸が車体フレームの前端側箇所に位置していることによって車体フレームの前端側箇所に位置した状態となる。
これによって、ベルト伝動機構の屈折箇所の下側に形成される下側凹入箇所が、前後方向で車体フレームの前端側箇所であるミッション支持フレームと一致した箇所に存在する状態となり、ベルト伝動機構の伝動ベルトが車体フレームの前端側と接触するような不具合を回避する上で好都合であるとともに、中継プーリがミッションケース支持フレームよりも少し上側に離れるように配設するだけで、確実に伝動ベルトとミッション支持フレームとの接触を回避できる。
したがって、中継軸をエンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分から大きく離して設ける場合のように、エンジンの出力軸やミッションケースの入力軸から中継軸までの長さが長くなって各伝動ベルトの掛張長さが長くなることを避けられ、ベルト伝動機構の小型化を図り易い点で有利である。
【0016】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記車体フレームの左右方向での一端側に配設される前記エンジンの出力軸を前記車体フレームの他端側へ向けて突出させ、前記車体フレームの左右方向での中央部に配設されるミッションケースの入力軸を前記エンジンが配設された側の車体フレームの一端側へ向けて突出させてあるとともに、前記中継軸に支持される前記中継プーリを、前記第1伝動ベルトが掛張される第1中継プーリと前記第2伝動ベルトが掛張される第2中継プーリとによって構成し、前記第1中継プーリを前記第2中継プーリよりもエンジンの出力軸の突出方向側に位置させてあることを特徴とする。
【0017】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明の構成によると、車体フレームの左右方向での一端側に位置するエンジンと車体フレームの左右方向での中央部に配設されるミッションケースとの位置関係において、中継軸に支持される中継プーリのうちで、第1中継プーリが第2中継プーリよりもエンジンの出力軸の突出方向側に位置していることによって、これらの中継プーリに掛張される第1伝動ベルト及び第2伝動ベルトを含めて、エンジンとミッションケースとの左右方向での配設範囲をコンパクトに構成し易い。
すなわち、上記の場合とは逆に、第1中継プーリが第2中継プーリよりもエンジンの出力軸の突出方向とは反対側に位置していれば、その第1中継プーリよりもエンジンの出力軸の突出方向側に位置する第2中継プーリに掛張される第2伝動ベルト、及びミッションケース側の入力プーリは、前記第1中継プーリやエンジンの出力プーリよりもさらにエンジンの出力軸の突出方向側に位置することになり、ひいてはミッションケースの全体がエンジンの出力軸の突出方向側に寄って位置することになる。その結果、エンジンとミッションケースとの左右方向での配設範囲が広くなってしまうが、この解決手段5にかかる発明では、そのような問題を回避し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】普通型コンバインの全体側面図である。
【図2】普通型コンバインの全体平面図である。
【図3】動力伝達系を示す線図である。
【図4】フィーダの動力入力部への動力伝達構造を示す一部切り欠き側面図
【図5】車体フレームを示す平面図である。
【図6】車体フレームを示す側面図である。
【図7】車体フレームを示す正面図である。
【図8】エンジンとミッションケースとの間におけるベルト伝動機構を示す平面図である。
【図9】エンジンとミッションケースとの間におけるベルト伝動機構を示す側面図である。
【図10】図9におけるX-X線矢視図である。
【図11】運転部における操作連係機構を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】運転部における操作連係構造を示す正面図である。
【図13】脱穀レバーの取付部を示し、(a)は側面図、(b)は図11(b)におけるXIIIb-XIIIb線断面図、(c)は図13(b)におけるXIIIc-XIIIc線断面図である。
【図14】原動部を示し、(a)は側面図、(b)は吸気ボックスを取り外した状態でのエンジンボンネットの内部を示す側面図である。
【図15】図14(a)におけるXV-XV線断面図である。
【図16】運転部ステップ支持枠部分の横外側箇所を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面の記載に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1は、本発明に係る普通型コンバインの全体側面図、図2は全体平面図である。これらの図に示すように、本発明に係る普通型コンバインは、車体フレーム1の下側に左右一対のクローラ走行装置2,2を備えて自走機体を構成し、車体フレーム1の前部に、エンジン60を装備した原動部6、及び原動部6の上側に運転座席30を備えた運転部3を設けてある。
前記運転部3の後方側に脱穀装置5と穀粒袋詰め部16とが機体横方向に並べて配設してあり、前記脱穀装置5の前部にフィーダ4Aが連結された刈取部4を備えている。
【0020】
前記刈取部4は、図2乃至図4に示すように、搬送ケース40の内部にフィーダコンベヤ41を内装した前記フィーダ4Aを備えるとともに、このフィーダ4Aの前端部に連結されている前処理フレーム42に前処理装置4Bを支持させて構成してある。
前記フィーダ4Aの脱穀装置5に対する上下揺動操作により、前処理フレーム42の下部に位置するプラットホーム42aが地面付近に下降した下降作業状態と、前記プラットホーム42aが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降作動可能に構成されている。
【0021】
前記前処理装置4Bは、前処理フレーム42の前部に位置して刈取り対象の植立穀稈を分草する左右一対のデバイダ43,43と、刈取り対象の植立穀稈の穂先側を掻き込む回転リール45と、刈取り対象の植立穀稈を刈り取るバリカン型の刈取装置44と、刈り取られた穀稈をフィーダ4Aの前側に寄せてフィーダ4Aの搬送ケース40の入り口40aに送り込むように搬送するオーガ46とを備えて構成されている。
前記フィーダ4Aは、内部にフィーダコンベヤ41(図3参照)を備え、前記オーガ46側から送り込まれた刈取り穀稈をフィーダ4Aの後端部に搬送し、この後端部に位置する排出口40bから脱穀装置5の扱室50に、刈り取られた穀稈の株元から穂先までの全体を供給するように構成されている。
【0022】
前記脱穀装置5は、扱室50の内部に、機体前後向きの軸芯x1を有した扱胴軸51を介して扱胴52、及び選別装置(図示せず)を配設してあり、扱胴軸51に伝達される脱穀駆動系の駆動力によって扱胴52を回転駆動して、脱穀処理物を脱穀粒と排ワラとに選別処理し、脱穀粒を前記穀粒袋詰め部16の袋詰めタンク16aに供給するように構成してある。
前記扱室50の左右の横側壁50a,50bのうち、左側の横側壁50aは、機体後方側の上下方向の軸心y1回りで横外側方に大きく開放できるように構成してあり、この左側の横側壁50aを開放した状態で扱室50の内部の保守点検を行うことができるように構成されている。
このように扱室50の横側壁50a部分を開放するようにしたことにより、例えば水平方向の横軸心回りで扱室50の上方側の天井壁板(図示せず)を開閉操作可能に構成した場合に比べて、重い天井壁板を揺動開閉するための持ち上げ力をアシストするための補助持ち上げ手段としてエアーダンパ(図示せず)を配設するというような構造の複雑化や重量増加を招く虞もない。
【0023】
穀粒袋詰め部16では、袋詰めタンク16a内に供給された穀粒を、袋詰めタンク16aの下部に備えられた穀粒吐出口(図外)から吐出させて袋詰めできるように構成してある。
【0024】
車体フレーム1の前部に設けられた原動部6では、運転部3の運転座席30の下側に相当する箇所の車体フレーム1に対して、出力軸61が機体左右方向に沿う横置き姿勢のエンジン60を搭載してある。
このエンジン60の出力軸61には、左右のクローラ走行装置2,2を駆動するための後述する走行駆動系の伝動機構62、及び脱穀装置5へ駆動力を伝達するための後述する脱穀駆動系の伝動機構55が連係されている。
【0025】
〔運転部〕
運転部3は、運転座席30の機体前方側に対向して操縦操作具を備えた操縦搭31を立設してあり、運転座席30の左横側方に各種作業装置の操作具を備えたサイドパネルボックス32を立設してある。
前記運転座席30は、運転部ステップ3Aの後部側に設けた箱状の座席支持台3Bの上側に配設してある。この座席支持台3Bは、下側に前記原動部6のエンジン60等を収容する空間を備えていて、この座席支持台3Bが原動部6のエンジン60を上側から覆うエンジンボンネットを兼ねるように構成されている。この座席支持台3Bは、前記車体フレーム1の右側縁箇所の前後方向の軸心x2(図15及び図16参照)回りで横外方側へ倒伏させた開放姿勢と、運転部ステップ3A上で固定された搭乗用姿勢とに姿勢切換可能に構成してあるものであり、この構造については後述する。
【0026】
前記運転部3では、操縦搭31にステアリング操作レバー31aを設けてあり、前記サイドパネルボックス32の前部側に、機体の前後進切換を含む変速操作を行うための主変速レバー33、及び副変速レバー34を設けてある。
そして、前記サイドパネルボックス32の後部側には、図2乃至図4に示すように、刈取部4を正転駆動するための正転用刈取クラッチ102の入り切り操作を行う正転用刈取クラッチレバー36を、運転座席30に近い側に位置させて配設し、その正転用刈取クラッチレバー36よりも運転座席30から機体左右方向で遠い側に位置させて、脱穀装置5の駆動を断続する脱穀クラッチ101を入り切り操作するための脱穀クラッチレバー35を設けてある。
【0027】
前記正転用刈取クラッチレバー36と脱穀クラッチレバー35とは、正転用刈取クラッチレバー36と脱穀クラッチレバー35とが共にクラッチ切り位置(機体後方側)にある状態から、脱穀クラッチレバー35は単独で入り位置(機体前方側)に操作することができるが、正転用刈取クラッチレバー36は、その入り位置(機体前方側)への操作を行うと、切り位置にある脱穀クラッチレバー35も一緒に入り位置に操作して、刈取部4の駆動とともに脱穀装置5も駆動されるように、正転用刈取クラッチレバー36と脱穀クラッチレバー35とを連係させてある。
逆に、正転用刈取クラッチレバー36と脱穀クラッチレバー35とが共にクラッチ入り位置にある状態では、正転用刈取クラッチレバー36は単独で切り位置に操作することはできるが、脱穀クラッチレバー35を切り位置に操作すると、正転用刈取クラッチレバー36も一緒に切り位置に操作して、脱穀装置5とともに刈取部4の駆動も停止されるように連係させてある。
【0028】
つまり、脱穀装置5は単独で駆動することはできるが、刈取部4の正転駆動は単独で行うことができず、脱穀装置5の同期駆動を伴うように連係されている。
この連係のための具体構成は図示しないが、例えば、前記正転用刈取クラッチレバー36側から脱穀クラッチレバー35の切り操作方向側に接当する係止部材を連設する、あるいは、前記脱穀クラッチレバー35側から正転用刈取クラッチレバー36の入り操作方向側に接当する係止部材を連設するなどの手段によって構成するなど、適宜の手段を採用すればよい。
【0029】
また、サイドパネルボックス32に配設された前記正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35よりも、さらに運転座席30から機体左右方向で遠い位置である脱穀装置5の前部側箇所には、刈取部4を逆転駆動、及び駆動停止するための逆転用刈取クラッチ103の入り切り操作を行う逆転用刈取クラッチレバー37を設けてある。
この逆転用刈取クラッチレバー37は機体左右方向の横軸心回りに揺動してほぼ上下方向に入り切り操作されるように枢支してあり、その握り部37aの配設位置は、機体前後方向では、前記正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35の入り操作位置では、正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35の握り部36a,35aと同程度の位置にあるが、前記正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35の切り操作位置では、正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35の握り部36a,35aよりも機体前方側に握り部37aが位置している。したがって、切り位置の正転用刈取クラッチレバー36、及び脱穀クラッチレバー35に邪魔されずに入り切り操作を行い易いように配設されている。
【0030】
前記逆転用刈取クラッチ103と前記正転用刈取クラッチ102とは、一方が入り状態であるときに他方は切り状態であるように、図示しない牽制連係機構によって互いに連係されている。
【0031】
〔動力伝達構造〕
前記エンジン60が設けられた箇所よりも機体前方側寄りの車体フレーム1の前端側には、左右のクローラ走行装置2,2を駆動するための駆動系に対する変速機構を内装したミッションケース7が配設してある。
このミッションケース7の入力軸70に対して前記エンジン60からの駆動力を伝える走行駆動系のベルト伝動機構62を、前記エンジン60の出力軸61とミッションケース7の入力軸70との間に設けてある。
つまり、この走行駆動系のベルト伝動機構62は、エンジン60の出力軸61に設けた走行系出力プーリ61aとミッションケース7の入力軸70に設けた入力プーリ70aとの間に、車体フレーム1の固定部に枢支された中継軸63に設けた中継プーリ63a,63bを介して、第1伝動ベルト62aと第2伝動ベルト62bとを掛張して連動連結している。
【0032】
前記ミッションケース7には、可変容量形でアキシャルプランジャ形の油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油によって駆動されるアキシャルプランジャ形の油圧モータとを備えて構成された静油圧式無段変速機構71と、左右のクローラ走行装置2,2の駆動軸73に対して駆動力を伝達するギヤ式変速機構72とが組み込まれている。そして、前記入力軸70から入力されたエンジン動力を、静油圧式無段変速機構71で無段階に変速し、さらにその変速された動力をギヤ式変速機構72で多段に変速して、左右のクローラ走行装置2,2の各駆動軸73,73を左右各別に駆動及び駆動停止するように構成してある。
【0033】
〔逆転駆動系〕
そして、このミッションケース7内には、前記走行駆動系に動力を伝達するギヤ式変速機構72とは別に、刈取部4に対して逆転動力を出力するための刈取部4に対して逆転動力を出力するための刈取逆転出力部74が設けてある。
この刈取逆転出力部74は、図3に示すように、遊星歯車機構を用いた減速機構によって構成してある。この刈取逆転出力部74は、前記入力軸70から入力されたエンジン動力を、静油圧式無段変速機構71による変速の影響を受けない伝動上手側の伝動ギヤ70bから分岐させた動力が入力され、遊星歯車機構によって大きく減速された動力を逆転用出力軸75から出力するように構成されている。
【0034】
前記逆転用出力軸75は、ミッションケース7の前記入力軸70が突出している側の横側面とは反対側の横側面に突出するように設けてある。この逆転用出力軸75から出力される動力は、刈取部4のフィーダ4Aのフィーダ入力軸47に入力される動力のうち、脱穀駆動系の伝動機構55を介して伝達される動力の回転方向とは逆方向の回転となる状態でフィーダ入力軸47に伝達されるように、逆転伝動用の伝動機構64を介して駆動力を伝達するように構成してある。
【0035】
前記逆転伝動用の伝動機構64は、逆転用出力軸75に設けた出力プーリ75aと、フィーダ入力軸47に設けた逆転用入力プーリ47aとの間に、車体フレーム1の固定部に枢支された中間軸65に設けた中間プーリ65a,65bを介して、第1逆転伝動ベルト64aと第2逆転伝動ベルト64bとを掛張することによって構成してある。
そして、この逆転伝動用の伝動機構64と、前記ミッションケース7に設けた刈取逆転出力部74とによって、刈取部4のフィーダ4Aのフィーダ入力軸47に対して逆転用の駆動力を伝達する刈取逆転伝動機構Aを構成している。
【0036】
前記逆転伝動用の伝動機構64には、前記中間軸65に設けた一方の中間プーリ65bとフィーダ入力軸47に設けた逆転用入力プーリ47aとの間に掛張された第2逆転伝動ベルト64bに作用する逆転用刈取クラッチ103を設けてある。
この逆転用刈取クラッチ103は、図3,4に示すように、第2逆転伝動ベルト64bに接当するテンション輪体103aを備えていて、前記運転部3に設けた逆転用刈取クラッチレバー37の入り切り操作で、このテンション輪体103aが、第2逆転伝動ベルト64bを緊張状態と弛緩状態とに切り換えるように、逆転用刈取クラッチレバー37とテンション輪体103aとを図示しない連係機構によって連係させてある。
これによって、逆転用刈取クラッチレバー37を入り操作するとテンション輪体103aが第2逆転伝動ベルト64bを緊張させて逆転用刈取クラッチ103がクラッチ入り状態となり、逆転用刈取クラッチレバー37を切り操作するとテンション輪体103aが第2逆転伝動ベルト64bを弛緩させて逆転用刈取クラッチ103がクラッチ切り状態となるベルトテンションクラッチが構成されている。
【0037】
前記ミッションケース7に内装されている刈取逆転出力部74は、ミッションケース7自体の上部が車体フレーム1の上面に近くに位置して、機体の低い位置に配設されているものであるため、図4に示すように、刈取部4のフィーダ4Aの動力入力部であるフィーダ入力軸47よりも低い箇所に設けられている。
そして、逆転伝動用の伝動機構64も、逆転用出力軸75や中間軸65がフィーダ入力軸47よりも低い位置にあって、第1逆転伝動ベルト64a及び第2逆転伝動ベルト64bの大部分が動力入力部であるフィーダ入力軸47よりも下方側に配設されている。
したがって、前記刈取逆転出力部74及び逆転伝動用の伝動機構64の重心を考えると、フィーダ入力軸47よりもかなり低い位置にある。
【0038】
〔正転駆動系〕
前記エンジン60の出力軸61には、脱穀装置5などの脱穀駆動系に駆動力を伝達するための脱穀系出力プーリ61bが一体に設けてある。
この脱穀系出力プーリ61bと、脱穀装置5の底部近くに設けてある唐箕軸53に備えた脱穀入力プーリ53aと、前記脱穀系出力プーリ61bと脱穀入力プーリ53aとにわたって掛張された脱穀用伝動ベルト54とによって、エンジン動力が脱穀駆動系に伝達される脱穀駆動系の伝動機構55を構成してある。
そして、前記唐箕軸53に伝えられたエンジン動力は、この唐箕軸53に、前記脱穀入力プーリ53aの他に、扱胴出力プーリ53b、選別出力プーリ53c、及び刈取正転出力プーリ53dが固設されていることで、扱胴軸51に動力を伝達する扱胴伝動機構56と、脱穀装置5内の各種選別機構に動力を伝達する選別伝動機構57と、刈取部4のフィーダ入力軸47に動力を伝達する刈取正転伝動機構48のそれぞれに分岐されるように構成してある。
【0039】
前記扱胴軸51に動力を伝達する扱胴伝動機構56は、図3に示すように、脱穀装置5の右側の横側壁50aよりも右横外方に突出する箇所の唐箕軸53に設けた扱胴出力プーリ53bと、扱胴52に対する駆動力伝達用の扱胴入力プーリ51aとにわたって設けられたものである。
この扱胴伝動機構56は、脱穀装置5の右側の横側壁50aに沿う中間プーリ56a及び第1扱胴伝動ベルト56bと、脱穀装置5の前壁50bに沿う中間プーリ56cと第2扱胴伝動ベルト56dとを備えて、脱穀装置5の右側の横側壁50aと前壁50bとに沿って配設されている。
【0040】
脱穀装置5内の各種選別機構に動力を伝達する選別伝動機構57は、脱穀装置5の左側の横側壁50aよりも左横外方に突出する箇所の唐箕軸53に設けた選別出力プーリ53cから、伝動ベルト57a,57bを介して、一番スクリューコンベヤ58A、二番スクリューコンベヤ58B、及び揺動選別装置の駆動軸58C等を駆動するように構成してある。
【0041】
前記刈取正転伝動機構48は、前記選別出力プーリ53cよりもさらに左外側位置の唐箕軸53に設けた刈取正転出力プーリ53dから動力を取り出すように構成されている。
つまり、刈取部4のフィーダ4A側では、フィーダ入力軸47の前記逆転用入力プーリ47aが設けられた側とは、フィーダ4Aを挟んで反対の左側に正転用入力プーリ47bを設けてあり、その正転用入力プーリ47bに対して伝動ベルト48aを介して、刈取正転出力プーリ53dから正転用の駆動力を伝達するように構成されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、刈取正転伝動機構48の脱穀駆動系からの分岐箇所は、唐箕軸53に設けた刈取正転出力プーリ53dであるから、フィーダ4Aの動力入力部であるフィーダ入力軸47よりも低い脱穀装置5の底部近く箇所であり、この刈取正転伝動機構48も、比較的重心の低い位置に配設されている。
【0043】
前記刈取正転伝動機構48には、刈取正転出力プーリ53dと正転用入力プーリ47bとの間に掛張された伝動ベルト48aに作用する正転用刈取クラッチ102を設けてある。
この正転用刈取クラッチ102は、図3,4に示すように、伝動ベルト48aに接当するテンション輪体102aを備えていて、前記運転部3に設けた正転用刈取クラッチレバー36の入り切り操作で、このテンション輪体102aが、伝動ベルト48aを緊張状態と弛緩状態とに切り換えるように、正転用刈取クラッチレバー36とテンション輪体102aとを図示しない連係機構によって連係させてある。
これによって、正転用刈取クラッチレバー36を入り操作するとテンション輪体102aが伝動ベルト48aを緊張させて正転用刈取クラッチ102がクラッチ入り状態となり、正転用刈取クラッチレバー36を切り操作するとテンション輪体102aが伝動ベルト48aを弛緩させて正転用刈取クラッチ102がクラッチ切り状態となるベルトテンションクラッチが構成されている。
【0044】
前記エンジン60の出力軸61に設けた脱穀系出力プーリ61bと唐箕軸53に備えた脱穀入力プーリ53aとにわたって掛張された脱穀用伝動ベルト54に作用する脱穀クラッチ101を設けてある。
この脱穀クラッチ101は、図3に示すように、脱穀用伝動ベルト54に接当するテンション輪体101aを備えていて、前記運転部3に設けた脱穀クラッチレバー35の入り切り操作で、このテンション輪体101aが、脱穀用伝動ベルト54を緊張状態と弛緩状態とに切り換えるように、脱穀クラッチレバー35とテンション輪体101aとを後述する脱穀クラッチ操作機構80によって連係させてある。
これによって、脱穀クラッチレバー35を入り操作するとテンション輪体101aが脱穀用伝動ベルト54を緊張させて脱穀クラッチ101がクラッチ入り状態となり、脱穀クラッチレバー35を切り操作するとテンション輪体101aが脱穀用伝動ベルト54を弛緩させて脱穀クラッチ101がクラッチ切り状態となるように構成されている。
【0045】
このように構成されているので、刈取部4と脱穀装置5とを共に駆動して刈取脱穀作業を行う際には、正転用刈取クラッチレバー36を入り位置(機体前方側)へ操作すれば、脱穀クラッチレバー35も入り位置(機体前方側)に操作され、刈取部4と脱穀装置5とが共に駆動して刈取脱穀作業が行われる。
このとき、逆転用刈取クラッチレバー37が入り位置に操作されていれば、前記正転用刈取クラッチレバー36の入り位置への操作はできないか、もしくは、強制的に逆転用刈取クラッチレバー37をクラッチ切り位置に操作するように、前述した牽制連係機構を介して正転用刈取クラッチレバー36と逆転用刈取クラッチレバー37とが連係されている。
【0046】
刈取部4と脱穀装置5とが共に駆動して刈取脱穀作業が行われている状態から、正転用刈取クラッチレバー36を切り位置へ操作すれば、刈取部4の駆動が停止され、脱穀装置5の駆動は続行される。脱穀クラッチレバー35を切り位置へ操作すれば、脱穀装置5と刈取部4の駆動が共に停止される。
上記の刈取脱穀作業が行われている状態から逆転用刈取クラッチレバー37を切り位置に操作しようとすると、前述したように、正転用刈取クラッチレバー36を先にクラッチ切り位置に操作しないかぎり操作できないか、もしくは、強制的に正転用刈取クラッチレバー36をクラッチ切り位置に操作することになる。
【0047】
〔フレーム構造〕
左右一対のクローラ走行装置2,2によって支持されている前記車体フレーム1は、図5乃至図7に示すように構成されている。
すなわち、前記車体フレーム1は、左右両外側の横外側縁に沿って前後方向に延設される左右一対の前後向き主フレーム10と、その左右両側の前後向き主フレーム10,10に対して同一平面上に位置して溶接連結するように、横向き主フレーム11と、前記左右両側の前後向き主フレーム10よりも左右方向での中央側寄り箇所で、前記横向き主フレーム11の下側に位置する状態で横向き主フレーム11に溶接連結される足回り支持フレーム12とを備えて、平面視格子状に構成されている。
【0048】
前記足回り支持フレーム12は、前記横向き主フレーム11に対して溶接連結されることによって、前記左右両側の前後向き主フレーム10,10、及び、それらの前後向き主フレーム10,10同士を前後方向の複数箇所で連結する横向き主フレーム11とともに車体フレーム1を構成するものであり、かつ、左右一対のクローラ走行装置2,2におけるトラックフレーム20,20を支持するように構成されている。
つまり、左右のトラックフレーム20,20同士を前後両端側で連結するアーチ状の連結部材21の頂部付近を除く左右方向での中間位置の二箇所で、そのアーチ状の連結部材21の前後両面側及び上面側と、足回り支持フレーム12の下面側との間に介在させたチェンネル状の支柱部材22a、及び前記アーチ状の連結部材21の上面側と、足回り支持フレーム12の横外側面との間に介在させた平板状のブラケット22bとで角筒状に形成された取付用部材22を介して、左右の足回り支持フレーム12,12とアーチ状の連結部材21とを溶接して連結してある。
【0049】
前記前後向き主フレーム10,10同士を連結する横向き主フレーム11は、機体進行方向での前方から順に配設された第1横向き主フレーム11a、第2横向き主フレーム11b、第3横向き主フレーム11c、第4横向き主フレーム11dの4本のフレーム部材で構成されている。前記足回り支持フレーム12の前端側は、前記左右両側の前後向き主フレーム10,10同士を連結する横向き主フレーム11のうちの前端側の第1横向き主フレーム11aよりもさらに前方側へ突出するように設けてあり、かつ、その前端近くにミッション支持フレーム13が溶接して連結してある。
このミッション支持フレーム13は、左右一対の足回り支持フレーム12の前端側を連結する部材であるとともに、その上面13a側に溶接固定した平面視チャンネル状の取付ブラケット13bを介してミッションケース7を連結して支持するための部材である。前記上面13aの高さは、図7に示すように、前記左右の足回り支持フレーム12の上面12aよりも少し低い高さ位置となるように、前記左右の足回り支持フレーム12に溶接して連結されている。
【0050】
前記足回り支持フレーム12に対する前端側のアーチ状の連結部材21の連結箇所は、横向き主フレーム11のうちの前端側の第1横向き主フレーム11aよりもさらに前方側で、かつ、ミッション支持フレーム13よりも後方側の箇所である。したがって、この前端側のアーチ状の連結部材21が前記ミッション支持フレーム13の近くで足回り支持フレーム12を支持していることにより、このミッション支持フレーム13に支持されるミッションケース7の支持強度を向上し得る。
前記横向き主フレーム11のうちの前端側の第1横向き主フレーム11aの右端近くと、その後方側に位置する第2横向き主フレーム11bの右端近くとに、エンジン60の取付部15を設けてあり、この第1横向き主フレーム11aと、その後方側に位置する第2横向き主フレーム11bとに亘って、図5、図8、及び図9に示すようにエンジン60を搭載してある。
【0051】
図5に示すように、前記左右両側の前後向き主フレーム10,10のうち、右側の前後向き主フレーム10は、前記前端側の第1横向き主フレーム11aを越えて左側の前後向き主フレーム10よりも前方側に長く延出されている。また、前記左右一対の足回り支持フレーム12,12のうち、右側の足回り支持フレーム12を左側の足回り支持フレーム12よりも前方側へ長く形成してある。
そして、前記右側の前後向き主フレーム10と右側の足回り支持フレーム12とにわたって、運転部3の運転部ステップ3Aを支持する運転部ステップ支持枠14が連設されている。この運転部ステップ支持枠14は、前後方向では、原動部6の後端近くから前記足回り支持フレーム12に取り付けられたミッション支持フレーム13よりもさらに前方にまで延出されている。
【0052】
〔走行駆動系の伝動構造〕
上記のように構成された車体フレーム1に対して、図8及び図9に示すように、エンジン60とミッションケース7とが取り付けられる。
すなわち、エンジン60は、車体フレーム1の右横側部近くで、前記第1横向き主フレーム11aと、その後方側の第2横向き主フレーム11bとに設けたエンジン60の取付部15に対して固定してある。
ミッションケース7は、そのミッションケース7から左右横方向に延出された車軸ケース76がトラックフレーム20の前端側に前方上方に向けて立設された支持ステー23によって支持されることで下部側が固定され、上部側が前記ミッション支持フレーム13に連結されることによって固定されている。
【0053】
上記のエンジン60とミッションケース7とは次のように車体フレーム1上に配設されている。つまり、車体フレーム1の右側に設けられたエンジン60の出力軸61が、前記取付部15を設けた車体フレーム1の右側から車体フレーム1の左側に向けて延出され、車体フレーム1の左右方向での中央部に配置されたミッションケース7の入力軸70は、逆に車体フレーム1の右側に向けて延出されている。
前記出力軸61には、一本の第1伝動ベルト62aを掛張可能な走行系出力プーリ61aが設けられ、前記入力軸70に二本の第2伝動ベルト62bを掛張可能な走行系入力プーリ70aが設けてある。
【0054】
そして、前記エンジン60の出力軸61に設けられる走行系出力プーリ61aとミッションケース7の入力軸70に設けられる走行系入力プーリ70aとの間に設けられる中継プーリ63a,63bは、図8乃至図10に示すように、中継軸63に支持されている。
この中継軸63は、その一端側が、前記ミッション支持フレーム13の上側に設けた取付片13cに連結ボルトを介して着脱可能に立設された板状の支持体17によって固定支持され、他端側が運転部ステップ支持枠14の横壁14aに設けた取付ブラケット14bに溶接して固定支持されている。
【0055】
前記中継軸63には、前記中継プーリ63a,63bが回動自在に枢支されているとともに、その中継プーリ63a,63bのうちの、前記走行系出力プーリ61aとの間で第1伝動ベルト62aが掛張される第1中継プーリ63aが、前記走行系入力プーリ70aとの間で第2伝動ベルト62bが掛張される第2中継プーリ63bよりもエンジン60の出力軸61の突出方向側(車体フレーム1の左側)寄りに位置させて回動自在に枢支してある。
また、この中継軸63には、前記第1中継プーリ63aと前記走行系出力プーリ61aとの間に掛張される第1伝動ベルト62aと、前記第2中継プーリ63bと前記走行系入力プーリ70aとの間に掛張される第2伝動ベルト62bとの、それぞれに対するテンションプーリ66、66の支持アーム66a、66aが左右各別に回動自在に枢支されている。
【0056】
前記テンションプーリ66の支持アーム66aは、前記中継軸63上で、前記中継プーリ63a,63bの左右両側に振り分けられていて、第1伝動ベルト62aに対するテンションプーリ66が、その第1伝動ベルト62aが掛張される第1中継プーリ63aと前記支持体17との間で中継軸63に枢支され、前記第2伝動ベルト62bに対するテンションプーリ66が、その第2伝動ベルト62bが掛張される第2中継プーリ63bと前記運転部ステップ支持枠14の横壁14aとの間で中継軸63に枢支されている。
【0057】
それぞれの支持アーム66a,66aに枢支された各テンションプーリ66,66は、前記第1伝動ベルト62a及び第2伝動ベルト62bに対して、それぞれ上方側から接当するように設けてあり、各支持アーム66a,66aの長さ方向の中間位置に連結ピン66bを介して付勢具67,67を連結して、各支持アーム66a,66aを第1伝動ベルト62a及び第2伝動ベルト62bの張り側に付勢するように構成してある。
つまり、各付勢具67は、車体フレーム1のミッション支持フレーム13に設けてある2箇所の係合片13dに対して、それぞれ係脱可能なフック部67aを下端側に備えた付勢ロッド67bを係止させ、その付勢ロッド67bの上部側に、コイルスプリングからなる押圧バネ67c及び止めナット67dを設けて、前記連結ピン66b,66bを介して各支持アーム66a,66aを第1伝動ベルト62a及び第2伝動ベルト62bの張り側へ付勢するように構成してある。この押圧バネ67cにおける付勢力の調節は、前記止めナット67dの位置を付勢ロッド67bの軸線方向で螺合位置を調節することによって行われる。
【0058】
図9に示すように、前記中継軸63の軸心p3は、前記エンジン60の出力軸61の軸心p1とミッションケース7の入力軸70の軸心p2とを結ぶ仮想線分L1よりも上側に偏倚した位置に設けてある。
これによって、各中継プーリ63a,63bに掛張される第1伝動ベルト62aと第2伝動ベルト62bとからなるベルト伝動機構62が、前記エンジン60の出力軸61の軸心p1から前記中継軸63の軸心p3に向けた仮想線分L2と、ミッションケース7の入力軸70の軸心p2から前記中継軸63の軸心p3に向けた仮想線分L3との交差角αに相当する程度の角度を持って上方側にくの字状に突曲した状態で掛張されることになる。
【0059】
その結果、前記ベルト伝動機構62の下方側には、前記交差角αに相当する程度の角度を持って上方側に突曲した部分に対応して三角形状の凹入空間s1が形成されることとなる。この凹入空間s1に相当する箇所には、左右の足回り支持フレーム12,12同士を連結するミッション支持フレーム13等が入り込む状態で配設されている。
仮に、上記の構造で前記ベルト伝動機構62が、走行系出力プーリ61aの下部外周と走行系入力プーリ70aの下部外周とを結ぶ接線L4(図9参照)に沿って直線的に掛張された場合には、同図9に斜線で示したように、足回り支持フレーム12,12同士を連結するミッション支持フレーム13とベルト伝動機構62とが重複する部分が生じてしまい、ベルト伝動機構62がミッション支持フレーム13と強く摺接してしまうことになるが、前述の凹入空間s1が形成されるようにベルト伝動機構62を突曲させることによって、このような接触が生じることを回避させられる。
【0060】
〔操作連係構造〕
図11乃至図13に示すように、前記運転部3のサイドパネルボックス32に設けられた脱穀クラッチレバー35と正転用刈取クラッチレバー36との取付箇所の構造、及び脱穀クラッチレバー35と脱穀クラッチ101との連係構造は次のように構成されている。
すなわち、図13(a)乃至(c)に示すように、脱穀クラッチレバー35及び正転用刈取クラッチレバー36を支持する支持軸38は、サイドパネルボックス32の内部で、その運転座席30に近い側に設けた支持板32Aに、運転座席30側寄りの端部を挿通させた状態で支持してあり、運転座席30から遠い側では、側面視で上方側に開放空間s2を有するようにチャンネル状に形成されたガイドステー39によって、その支持軸38の端部近くが支持されている。
前記ガイドステー39には、前記支持軸38を挿通して回動自在に枢支可能な取付孔39aが形成してあり、かつ、この取付孔39aの上部に、取付孔39aの直径よりも幅の狭い切り欠き溝39bを、上方の開放空間s2に連通するように形成してある。
【0061】
前記支持軸38には、前記脱穀クラッチレバー35が一体回動するように溶接して固定してあり、前記正転用刈取クラッチレバー36は相対回動自在に枢支されている。
そして、支持軸38は、前記支持板32Aよりも運転座席30に近い側の端部に止めピン38aを挿入可能なピン孔(図示せず)が形成されているとともに、前記支持板32Aと前記ガイドステー39との間に位置する箇所に、部分的に小径となる軸段差部38bを形成してある。そして、前記軸段差部38bよりも前記運転座席30から遠い側で前記ガイドステー39の外側に接当する箇所に鍔部38cを形成してあり、前記ガイドステー39の外側で前記運転座席30から遠い側の端部に操作アーム部38dを設けてある。
【0062】
操作アーム部38dには、脱穀クラッチ101を操作するための脱穀クラッチ操作機構80が連係されている。この脱穀クラッチ操作機構80は、前記操作アーム部38dの遊端側の枢支点p4回りで揺動操作される操作体81と、その操作体81とテンション輪体101aを揺動操作自在に支持するテンションアーム101bとの間を接続するコイルスプリングからなる連係部材82とで構成してあり、クラッチ操作レバー35の揺動操作にともなって、前記テンション輪体101aを脱穀用伝動ベルト54に接当させて緊張状態とするクラッチ入り状態、及び脱穀用伝動ベルト54から離間させて弛緩状態とした切り状態とに切り換え自在に構成してある。
【0063】
前記正転用刈取クラッチレバー36は、その正転用刈取クラッチレバー36の下端側に延出された操作アーム36bに連係用ワイヤ36cを連結して、正転用刈取クラッチ102を入り切り操作するように構成してある。
【0064】
前記支持軸38を前記支持板32A及びガイドステー39に装着するには、ガイドステー39のチャンネル状に開放された上方の開放空間s2に位置させた支持軸38の前記軸段差部38bを、前記ガイドステー39の切り欠き溝39bに嵌め込んで支持軸38を取付孔39aの位置にまで降ろす。
このとき、支持軸38の運転座席30側の端部は、支持板32Aの軸孔には挿通されていない状態であり、前記軸段差部38bを運転座席30側へ近づけるように支持軸38を運転座席30側へ寄せながら、支持軸38の運転座席30側の端部を支持板32Aの軸孔に挿通させ、鍔部38cをガイドステー39の外側で前記運転座席30から遠い側に接当させる。
この状態で支持軸38の支持板32Aよりも運転座席30に近い側の端部に止めピン38aを挿入することによって、支持軸38が抜け止め状態に支持され、操作アーム部38dはガイドステー39の外側で前記運転座席30から遠い側の端部に位置する状態となる。
【0065】
上記のように脱穀クラッチレバー35と正転用刈取クラッチレバー36とを設けたサイドパネルボックス32の内部下方には、前記脱穀クラッチレバー35と連係する脱穀クラッチ操作機構80がサイドパネルボックス32の外側に配設されたことによって空間的に余裕が生じ、この部位に、図11(b)及び図13(b)に仮想線で示すように、エンジン60のマフラー60aの排気管60d等が配設されている。このとき、前記正転用刈取クラッチレバー36と連係する連係用ワイヤ36cは、その配設箇所を自在に設定できるので、前記エンジン60のマフラー60aの排気管60d等を避けた位置に配設される。
【0066】
図11及び図12に示すように、前記運転部3のサイドパネルボックス32に設けられた主変速レバー33は、その主変速レバー33の揺動操作に伴って一体的に揺動操作されるアーム部33aと、ミッションケース7側に備えた主変速装置としての静油圧式無段変速機構71のトラニオン軸71aとを、主変速操作機構83によって連動連結してある。
前記主変速操作機構83は、前記アーム部33aに連結されて中間箇所でくの字状に屈曲した上部ロッド84と、前記トラニオン軸71aに一体的に取り付けられた操作アーム71bに横軸心p5周りで揺動自在に連結した下部ロッド85とを連結して構成してある。
【0067】
前記上部ロッド84と下部ロッド85との連結箇所では、圧縮付勢されたコイルスプリング87が介装されていて、主変速レバー33をトラニオン軸71aの作動範囲内で操作しているときには弾性変形しないが、主変速レバー33の操作量がトラニオン軸71aの作動限界を越えるような場合には弾性変形可能であるように構成されている。
また、前記下部ロッド85はトラニオン軸71aを通る鉛直線に対してほぼ平行な軸線を有するように上下向きに設けてある。そして、その長さ方向の中間部には、ターンバックルからなる長さ調節機構86を介装してある。
【0068】
〔原動部の構造〕
図14及び図15に示すように、原動部6では、エンジン60及びマフラー60a、エアクリーナ60b、及びラジエータ60cが、エンジンボンネットを兼ねる座席支持台3Bに上方側から覆われている。
図14及び図15に示すように、座席支持台3Bの内部では、エンジン60が機体前方側に配置され、その後方側にエアクリーナ60b及びマフラー60aが配置してあり、エンジン60の機体右横外方側にラジエータ60cが配設されている。前記マフラー60aは、座席支持台3Bの下側空間で上下方向に長い縦筒状に配設されていて、エンジン60の排気マニホールドからの排気管60dはエンジン60の上側を通って後方側のマフラー60aの上端部に接続され、マフラー60aの下端側から排気するように構成されている。
【0069】
前記ラジエータ60cの横外側には、前記ラジエータ60cを支持するためのラジエータ支持板68が立設されている。このラジエータ支持板68には、前記ラジエータ60cの吸気面に対応する大きさの開口68aが形成されているとともに、エアクリーナ60bのインレットホース60eの吸入口側を支持する外気取り入れ口68bが形成してある。
そして、前記ラジエータ支持板68の外側に、ラジエータ60cから離れる横外側に防塵網69aを備え、ラジエータ60cに近い側が開放された箱状の吸気ボックス69が、前記座席支持台3Bと一体に構成されていて、この吸気ボックス69及び座席支持台3Bが、座席支持台3Bの下端側で車体フレーム1の右側縁箇所に沿う前後方向の軸心x2回りで横外方側へ倒伏した開放姿勢と、運転部ステップ3A上で固定した搭乗用姿勢とに姿勢切換可能に構成されている。
【0070】
このとき、前記吸気ボックス69及び座席支持台3Bとともに運転座席30も姿勢変更されるが、前記ラジエータ支持板68よりも内方側のラジエータ60c、エンジン60、マフラー60a、及びエアクリーナ60bは姿勢変更されずに位置固定されたままである。
また、前記吸気ボックス69の防塵網69aよりも内方側に、防塵網69aのうちで、ラジエータ60cの前面側に対向する部位と、前記ラジエータ60cの前面側から外れて前記エアクリーナ60bに対向する部位とを分離するように区画する仕切板69bを設けてあり、エアクリーナ60bへ外気を導入するための外気取り入れ口68bに供給されるべき外気が、吸引ファン(図示せず)を備えるラジエータ60c側へ引き込まれることを抑制するようにしてある。
【0071】
図16は、前記座席支持台3Bを前後方向の軸心x2回りで揺動可能に支持する運転部ステップ支持枠14の右横側辺部分を示し、この運転部ステップ支持枠14の右横側辺部分から横外方へ突出させた前後一対のブラケット14c,14cに、前記座席支持台3Bの下端部に形成された係合孔(図示せず)を係入させて、揺動可能に支持させてある。
前記運転部ステップ支持枠14の右横側辺部分は、車体フレーム1の矩形パイプによって構成された前後向き主フレーム10、及び第1横向き主フレーム11a、第2横向き主フレーム11b等に連結固定されている。
前記車体フレーム1の前後向き主フレーム10に連結された箇所よりも前方側における運転部ステップ支持枠14の右横側辺部分は、図示しないが断面L字状に形成されている。
【0072】
〔クローラ走行装置〕
クローラ走行装置2,2は、図1、図6、及び図10に示すように、左右一対のトラックフレーム20,20同士を前後両端側で連結するアーチ状の連結部材21を用いて一体的に連結し、その左右のトラックフレーム20,20のそれぞれに設けた転輪27、ガイド輪26、及び駆動スプロケット25に亘ってクローラベルト24を巻回している。
前記左右のトラックフレーム20,20のそれぞれは、ほぼ正方形の断面を有した矩形パイプ20a,20aを上下方向で2段に積み重ねた状態で一体に溶接して固定して、上下方向で縦長の形状となるように構成してある。
【0073】
これによって、この左右のトラックフレーム20,20同士を連結するアーチ状の連結部材21を、各トラックフレーム20に対して溶接固定する箇所が、クローラベルト24の接地面に対して高く位置設定された状態となる。
つまり、例えば、上述のように矩形パイプ20a,20aを上下方向で2段に積み重ねるのではなく、一つの矩形パイプを用いてトラックフレーム20を構成し、その左右のトラックフレーム20,20同士をアーチ状の連結部材21で連結した構造のものに比べて、トラックフレーム20,20同士を連結するアーチ状の連結部材21の連結箇所を対地的に高く構成することができる。
このように、アーチ状の連結部材21の連結箇所を対地的に高くすると、このアーチ状の連結部材21の下部が走行地面の泥中に沈み込む可能性、あるいは沈み込み量を少なくすることができ、泥押しを少なくし易い点で有利である。
【0074】
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、ミッションケース7の入力軸70とエンジン60の出力軸61との間で、かつエンジン60の出力軸61とミッションケース7の入力軸70とを結ぶ仮想線分L1よりも上側に偏倚した位置に、単一の中継軸63を設けて、この中継軸63に中継プーリ63a,63bを支持させたものを例示したが、これに限らず、例えば前記中継軸60及び中継プーリ63a,63bを複数個設けて、ベルト伝動機構62の屈折箇所を複数箇所に設けてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0075】
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、第1伝動ベルト62aと第2伝動ベルト62bとのそれぞれに対応するテンションプーリ66,66は、単一の中継軸63に対して揺動可能に支持された支持アーム66a,66aに取り付けた構造のものを示したが、これに限らず、中継軸63とは別の部材に対して揺動可能に支持させたものであってもよい。
また、中継軸63を複数本のもので構成した場合には、その複数の各中継軸63毎に支持アーム66aを枢支させるようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0076】
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、各中継プーリ63a,63bを支承する中継軸63を、機体左右方向での一端側では、車体フレーム1としてのミッション支持フレーム13上に立設した支持体17によって支持し、他端側は車体フレーム1上に設けられた運転部ステップ支持枠14の横壁14aによって支持した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、中継軸63の左右両端側をともに車体フレーム1に立設した複数の支持体17によって支持するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0077】
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、足回り支持フレーム12に対する前端側のアーチ状の連結部材21の連結箇所は、横向き主フレーム11のうちの前端側の第1横向き主フレーム11aよりもさらに前方側で、かつ、ミッション支持フレーム13よりも後方側の箇所に設定したものであるが、これに限らず、例えば、アーチ状の連結部材21の連結箇所を、前後方向でミッション支持フレーム13の存在位置を同じ箇所に設定してもよい。
この場合、ミッション支持フレーム13が上側でアーチ状の連結部材21が下側に重なる状態で位置することになるが、さらに、前記ミッション支持フレーム13を省略して、アーチ状の連結部材21がミッション支持フレーム13を兼ねるように、ミッション支持フレーム13の存在すべき高さ位置にまでアーチ状の連結部材21の高さ位置を高くして設けてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この種のコンバインとしては、実施の形態に示したような普通型コンバインに限らず、自脱型コンバインであってもよい。また、稲、麦などの穀粒を収穫するものに限らず、大豆などの豆類や菜種などの花卉類を収穫するものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 車体フレーム
7 ミッションケース
13 ミッション支持フレーム
13b 取付ブラケット
14 運転部ステップ支持枠
14a 横壁
17 支持体
60 エンジン
61 出力軸
61a 出力プーリ
62 ベルト伝動機構
62a 第1伝動ベルト
62b 第2伝動ベルト
63 中継軸
63a 中継プーリ
63b 中継プーリ
66 テンションプーリ
66a 支持アーム
70 入力軸
70a 入力プーリ
L1 仮想線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの前端側に設けたミッションケースの機体左右向きの入力軸と、前記ミッションケースよりも後方側の車体フレームに搭載されたエンジンの機体左右向きの出力軸とを、ベルト伝動機構を介して連動連結したコンバインであって、
前記ミッションケースの入力軸とエンジンの出力軸との間で、かつエンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とを結ぶ仮想線分よりも上側に偏倚した位置に中継軸を設けて、この中継軸に中継プーリを支持させ、
前記エンジンの出力軸に設けた出力プーリと前記中継プーリとに掛張される第1伝動ベルトと、前記ミッションケースの入力軸に設けた入力プーリと前記中継プーリとの間に掛張した第2伝動ベルトとによって前記ベルト伝動機構を構成し、このベルト伝動機構を前記車体フレームの前端位置を越えてミッションケースの入力軸に設けた入力プーリとエンジンの出力軸に設けた出力プーリとに亘って掛張してあり、
前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとのそれぞれを張り側に付勢するテンションプーリを、前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとの上側に圧接するように配設してあることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記第1伝動ベルトと前記第2伝動ベルトとのそれぞれに対応する前記テンションプーリは、前記中継軸に揺動可能に支持された支持アームに取り付けてある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記中継軸は、機体左右方向での一端側が、前記車体フレームに立設した支持体によって支持され、他端側が車体フレーム上に設けられた運転部ステップ支持枠の横壁によって支持されている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記中継軸の一端側を支持する支持体は、ミッションケースを装着するための取付ブラケットを装備させたミッション支持フレーム上に立設されている請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記車体フレームの左右方向での一端側に配設される前記エンジンの出力軸を前記車体フレームの他端側へ向けて突出させ、前記車体フレームの左右方向での中央部に配設されるミッションケースの入力軸を前記エンジンが配設された側の車体フレームの一端側へ向けて突出させてあるとともに、
前記中継軸に支持される前記中継プーリを、前記第1伝動ベルトが掛張される第1中継プーリと前記第2伝動ベルトが掛張される第2中継プーリとによって構成し、前記第1中継プーリを前記第2中継プーリよりもエンジンの出力軸の突出方向側に位置させてある請求項1〜4の何れか一項記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−235762(P2012−235762A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108617(P2011−108617)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】