説明

コンバータ回路を動作させるための方法およびその方法を実行するための装置

コンバータ回路を動作させるための方法が、多くの制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニット(1)を有し、かつ、2つの直列に接続されたコンデンサによって構成されたエネルギー蓄積回路(2)を有するコンバータ回路によって規定され、そのコンバータ回路において、制御可能なパワー半導体スイッチは、ヒステリシス信号ベクトル(x)から生成された制御信号(S)によって制御され、ヒステリシス信号ベクトル(x)は、ヒステリシスレギュレータ(6)によって差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)から生成され、差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)は、基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)から位相接続電流ベクトル(ifi,i)を減算することによって生成され、基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)は、差分電力値(Pdiff)、差分無効成分値(Qdiff)、および、位相フラックスベクトル(Ψg,αβ)から生成される。制御可能なパワー半導体スイッチのスイッチング周波数を相当に安定させるために、電流補正値(i)が、差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)を生成するためにさらに減算され、電流補正値(i)は、位相接続電圧平均値(uinv,A)を積分することによって生成され、位相接続電圧平均値(uinv,A)は、エネルギー蓄積回路(2)におけるコンデンサの接続点(M)からなる基準点に対する位相接続電圧(uinv,iM)の算術平均値を決定することによって生成される。また、装置が、規定され、その装置によって、方法をとりわけ簡素な形で実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載されるように、パワーエレクトロニクスの分野に関し、より詳細には、コンバータ回路を動作させるための方法に関し、また、その方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、コンバータ回路は、多くの制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニットを有し、それらのパワー半導体スイッチは、少なくとも2つのスイッチング電圧レベルに切り替えるために、公知の方法で切り替えられる。さらにまた、例として、LCLフィルターが、コンバータユニットのそれぞれの位相接続(phase connection)に接続されてもよい。図1は、従来技術によるコンバータ回路を動作させるための方法を実行するための装置の一実施形態を示す。図1のコンバータ回路は、コンバータユニット1を有する。図1に示されるコンバータユニット1は、2つの直列に接続されたコンデンサによって一般的な形で構成されたエネルギー蓄積回路2に接続される。コンバータ回路を動作させるために、ヒステリシス信号ベクトルxを生成するための制御装置15を有する装置が、提供され、その装置15は、ヒステリシス信号ベクトルxから制御信号Sを生成するための制御回路3を介してコンバータユニット1内の制御可能なパワー半導体スイッチに接続される。それによって、パワー半導体スイッチは、制御信号Sによって制御される。ヒステリシス信号ベクトルxは、ヒステリシスレギュレータ6によって、差分位相接続電流ベクトルΔifi,iから生成される。そして、その差分位相接続電流ベクトルΔifi,iは、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refから位相接続電流ベクトルifi,iを減算することによって生成され、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refは、基準電力値Pdiff、基準無効成分値Qdiff、および、位相フラックスベクトル(phase flux vector)Ψg,αβから生成される。
【0003】
上述したコンバータ回路を動作させるための方法は、基準電力値Pref、基準無効成分値Qref、および、位相フラックスベクトルΨg,αβから基準位相接続電流ifi,i,refを生成した結果として、パワー半導体スイッチのスイッチング周波数がきわめて大きく変化するという問題を有する。そのように大きく変化するかもしれないスイッチング周波数は、コンバータ回路上の位相接続電流ifg,iおよび位相接続電圧uinv,iにおける高調波を相当に増加させる。これに関連して、図4は、位相接続電流ifg,1の対応する時間プロフィールを示し、この時間プロフィールは、1つの位相において、多くの高調波を有する。例として、コンバータ回路が、電気的に相互接続される電力供給システムに接続される場合、そのような大きな高調波成分は、望ましいものではなく、あるいは、許容できるものではない。例えば、コンバータ回路が、電気的な負荷に接続された場合、このような高調波は、負荷を損傷し、それどころか、破壊さえもし、そのために、きわめて望ましくないものである。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の1つの目的は、コンバータ回路を動作させるための方法を規定することであり、その方法によって、コンバータ回路内に存在するコンバータユニット内の制御可能なパワー半導体スイッチのスイッチング周波数を実質的に一定に維持することができる。本発明のさらなる目的は、とりわけ簡素な形でその方法を実行することのできる装置を規定することである。
【0005】
これらの目的は、それぞれ、請求項1および請求項9の特徴によって達成される。本発明の有益な発展形態が、従属請求項において規定される。
【0006】
コンバータ回路は、多くの制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニットと、2つの直列に接続されたコンデンサによって構成されたエネルギー蓄積回路とを有する。コンバータ回路を動作させるための本発明による方法においては、制御可能なパワー半導体スイッチは、ここで、ヒステリシス信号ベクトルから生成された制御信号によって制御され、そのヒステリシス信号ベクトルは、ヒステリシスレギュレータによって差分位相接続電流ベクトルから生成され、その差分位相接続電流ベクトルは、基準位相接続電流ベクトルから位相接続電流ベクトルを減算することによって生成される。さらにまた、基準位相接続電流ベクトルは、基準電力値、基準無効成分値、および、位相フラックスベクトルから生成される。本発明によれば、電流補正値が、差分位相接続電流ベクトルを生成するために、さらに減算され、その電流補正値は、位相接続電圧平均値を積分することによって生成され、その位相接続電圧平均値は、エネルギー蓄積回路におけるコンデンサの接続点からなる基準点に対する位相接続電圧の算術平均値を決定することによって生成される。このようにして生成された電流補正値は、有利に、コンバータユニット内の制御可能なパワー半導体スイッチのスイッチング周波数を実質的に一定に維持するのを可能にする。また、きわめて一定なスイッチング周波数は、有利に、コンバータユニットの位相接続電流および位相接続電圧における高調波を抑制するのを可能にする。
【0007】
コンバータ回路を動作させるための方法を実行するための本発明による装置は、制御装置を有し、その制御装置は、ヒステリシス信号ベクトルを提供するのに使用され、かつ、制御信号を生成するための制御回路を介して制御可能なパワー半導体スイッチに接続され、その制御装置は、差分位相接続電流ベクトルからヒステリシス信号ベクトルを生成するためのヒステリシスレギュレータと、基準位相補正電流ベクトルから位相接続電流ベクトルを減算することによって差分位相接続電流ベクトルを生成するための第1の加算器と、基準電力値、基準無効成分値、および、位相フラックスベクトルから基準位相接続電流ベクトルを生成するための第1の計算ユニットとを有する。
【0008】
さらにまた、電流補正値が、基準位相接続電流ベクトルから位相接続電流ベクトルおよび電流補正値を減算することによって差分位相接続電流ベクトルを生成するために、差分位相接続電流ベクトルを生成するための第1の加算器に供給される。さらにまた、制御装置は、位相接続電圧平均値を積分することによって電流補正値を生成するための積分器と、エネルギー蓄積回路内のコンデンサの接続点からなる基準点に対する位相接続電圧の算術平均値を決定することによって位相接続電圧平均値を生成するための平均器を有する。
【0009】
そして、コンバータ回路を動作させるための方法を実行するための本発明による装置は、きわめて容易にかつ高い費用効率で提供することができる。なぜなら、回路の複雑さをきわめて小さくすることができ、さらにまた、装置を構成するのにほんのわずかな数の部品しか必要としないからである。したがって、本発明による方法は、この装置によって、とりわけ容易に実行することができる。
【0010】
本発明のこれらのおよびさらなる目的、利点、および、特徴が、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から、また、添付の図面を参照することによって、明らかとなる。
【0011】
図面において使用される符号およびそれらの符号の意味は、符号の説明に簡単に列挙されている。原則として、同一の部品は、図面において同一の符号を備える。説明される実施形態は、本発明の要旨の例を表現するものであり、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図2は、コンバータ回路を動作させるための本発明による方法を実行するための本発明による装置の第1の実施形態を示す。図2に示されるように、コンバータ回路は、多くの制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニット1と、2つの直列に接続されたコンデンサによって構成されたエネルギー蓄積回路2とを有する。例として、図2のコンバータユニット1は、3つの位相を有するものとして示される。コンバータユニット1は、コンバータユニット1に接続されたエネルギー蓄積回路2の電圧に対する2つかまたはそれ以上のスイッチング電圧レベル(マルチレベルコンバータ回路)に切り替えるために、一般的には、どのようなコンバータユニット1として設計されてもよいことに言及しなければならない。
【0013】
コンバータ回路を動作させるための本発明による方法においては、ここで、コンバータユニット1内に存在する制御可能なパワー半導体スイッチは、ヒステリシス信号ベクトルxから生成された制御信号Sによって制御される。ルックアップテーブルが、制御信号を生成するために、一般的な形で使用され、そのルックアップテーブルにおいては、ヒステリシス信号ベクトルxは、対応する信号Sに、または、パルス幅変調に基づいた変調器に、固定された形で対応する。添字iを備えたすべてのベクトルは、全部でi個の位相ベクトル成分を有することに注意されたい。すなわち、i=3の位相であれば、対応するベクトルもまたi=3のベクトル成分を有する。また、ヒステリシス信号ベクトルxは、ヒステリシスレギュレータ6によって差分位相接続電流ベクトルΔifi,iから生成され、そして、その差分位相接続電流ベクトルΔifi,iは、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refから位相接続電流ベクトルifi,iを減算することによって生成され、その基準位相接続電流ベクトルifi,i,refは、差分電力値Pdiff、差分無効成分Qdiff、および、位相フラックスベクトルΨg,αβから生成される。位相接続電流ベクトルifi,iのベクトル成分は、典型的には、コンバータユニット1の適切な位相接続において、電流センサーによって測定される。本発明によれば、差分位相接続電流ベクトルΔifi,iを生成するために、電流補正値iが、さらに減算され、その電流補正値iは、位相接続電圧平均値uinv,Aを積分することによって生成され、その位相接続電圧平均値uinv,Aは、エネルギー蓄積回路2におけるコンデンサの接続点Mからなる基準点に対して、位相接続電圧uinv,iMの算術平均値を決定することによって生成される。電流補正値iは、コンバータユニット1内に存在する制御可能なパワー半導体スイッチのスイッチング周波数が、有利に、実質的に一定に維持されることが可能であることを意味する。そして、きわめて一定のスイッチング周波数は、有利に、コンバータユニット1の位相接続電流ifi,iおよび位相接続電圧uinv,iにおける高調波を抑制することができる。これに関連して、図5は、本発明による方法を用いたときの1つの位相における位相接続電流ifi,iの時間プロフィールを示し、一般的な方法に対する図4に示されるプロフィールと比較すれば、プロフィールにおける高調波を相当に減少させることができることを示している。
【0014】
位相フラックスベクトルΨg,αβは、好ましくは、位相接続電流ベクトルifi,i、制御信号S、および、エネルギー蓄積回路2における瞬間DC電圧値uDCから生成される。これは、以下で詳細に説明される。ベクトル成分として添字αβを備えたすべてのベクトルは、対応する変数の空間ベクトル変換のα成分と、対応する変数の空間ベクトル変換のβ成分とを有することに注意されたい。
【0015】
空間ベクトル変換は、一般的には、次のように定義される。
【数1】

【0016】
ここで、
【数2】

【0017】
は、複素変数であり、yαは、変数
【数3】

【0018】
の空間ベクトル変換のα成分であり、yβは、変数
【数4】

【0019】
の空間ベクトル変換のβ成分であり、そして、y1、y、yは、複素変数
【数5】

【0020】
に関連するベクトルyのベクトル成分である。これまでに説明されまた以下で説明される変数の空間ベクトル変換のすべては、上に列挙された式を用いて提供され、その場合、これらの空間ベクトル変換は、とりわけこの目的のために提供された計算ユニットにおいて、さもなければ、対応するα成分およびβ成分が別の変数の計算に必要とされる計算ユニットにおいて、個々に提供されてもよい。
【0021】
位相フラックスΨは、次の複素表示を用いて、一般的な形で得られる。
【数6】

【0022】
そして、Lは、電力供給システムインダクタンスであり、f1(S)、f(S)は、制御信号Sの予め定めることのできるスイッチング関数である。したがって、上に列挙した式は、位相フラックスベクトルΨg,αβ、すなわち、とりわけ、それの成分Ψg,α、Ψg,βをきわめて簡素な形で生成するのに使用することができる。
【0023】
図2に示される実施形態によれば、差分電力値Pdiffは、予め定めることのできる基準電力値Prefに対応し、差分無効成分値Qdiffは、予め定めることのできる基準無効成分値Qrefに対応する。
【0024】
差分位相接続電流ベクトルΔifi,iからヒステリシス信号ベクトルxを生成するための上述したヒステリシスレギュレータ6に加えて、図2に示される装置内に存在する制御装置15は、また、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refから位相接続電流ベクトルifi,iを減算することによって差分位相接続電流ベクトルΔifi,iを生成するための第1の加算器16と、差分電力値Pdiff、差分無効成分値Qdiff、および、位相フラックスベクトルΨg,αβから基準位相接続電流ベクトルifi,i,refを生成するための第1の計算ユニット5とを有する。本発明によれば、差分位相接続電流ベクトルΔifi,iを生成するために、第1の加算器16は、さらに、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refから位相接続電流ベクトルifi,iおよび電流補正値iを減算することによって差分位相接続電流ベクトルΔifi,iを生成するために、電流補正値iを供給される。さらにまた、図2に示される制御装置15は、本発明によれば、位相接続電圧平均値uinv,Aを積分することによって電流補正値iを生成するための積分器8と、エネルギー蓄積回路2におけるコンデンサの接続点Mからなる基準点に対する位相接続電圧uinv,iMの算術平均値を決定することによって位相接続電圧平均値uinv,Aを生成するための平均器7とを有する。したがって、コンバータ回路を動作させるための方法を実行するための本発明による装置は、きわめて容易にかつ高い費用効率で提供されることが可能である。なぜなら、回路の複雑さを相当に抑制することができ、さらにまた、この装置を構成するのにほんのわずかな数の部品しか必要としないからである。したがって、この装置によって、本発明による方法をきわめて容易に実行することができる。
【0025】
図2に示されるように、制御装置15は、位相接続電流ベクトルifi,i、制御信号S、および、エネルギー蓄積回路2からの瞬間DC電圧値uDCから位相フラックスベクトルΨg,αβを生成するための第2の計算ユニット4を有する。
【0026】
図3は、コンバータ回路を動作させるための本発明による方法を実行するための本発明による装置の第2の実施形態を示す。この図面において、LCLフィルターLf,i、Cfi、Lfg,iが、コンバータユニット1のそれぞれの位相接続に接続される。繰り返すと、添字iは、位相の数iを表現する。したがって、それぞれのLCLフィルターは、第1のフィルターインダクタンスL、第2のフィルターインダクタンスLfg、および、フィルターキャパシタンスCを有し、第1のフィルターインダクタンスLは、コンバータユニット1の関連する位相接続、第2のフィルターインダクタンスLfg、および、フィルターキャパシタンスCに接続される。そして、個々のLCLフィルターのフィルターキャパシタンスCは、お互いに接続される。
【0027】
この方法によれば、差分電力値Pdiffは、図3に示される実施形態において、基準電力値PrefとLCLフィルターのフィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波電力値Pとの和から減衰電力値Pを減算することによって生成され、減衰電力値Pは、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分を乗算した積と、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分を乗算した積との和を可変減衰係数kによって重み付けすることによって生成される。さらにまた、差分無効成分値Qdiffは、基準無効成分値QrefとLCLフィルターのフィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波無効成分値Qとの和から減衰無効成分値Qを減算することによって生成され、減衰無効成分値Qは、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分を乗算した積とLCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分を乗算した積との差を可変減衰係数kによって重み付けすることによって生成される。図3に示されるように、フィルターキャパシタンス電流は、対応するフィルターキャパシタンスCf,iにおける電流センサーによって測定され、図3に示されるように、フィルターキャパシタンス電流ベクトルiCf,iのベクトル成分である。
【0028】
減衰電力値Pは、次の式を用いて生成される。
【数7】

【0029】
基準電力値Prefは、図3に示されるように、自由に変化することができ、また、LCLフィルターの出力において生成されることを意図した電力の公称値である。
【0030】
減衰無効成分値Qは、次の式を用いて生成される。
【数8】

【0031】
基準無効成分値Qrefは、図3に示されるように、自由に変化することができ、また、LCLフィルターの出力において生成されることを意図した無効成分の公称値である。
【0032】
減衰電力値Pおよび減衰無効成分値Qの生成は、適切なフィルタリングによって、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分およびLCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分から減衰電流ベクトルをただ単に計算することによって、回避されてもよく、そして、その減衰電流ベクトルは、基準位相接続電流ベクトルifi,i,refを生成するときに、したがって、差分位相接続電流ベクトルΔifi,iを生成するときに、直接に含められてもよいことに注意されたい。これは、計算時間を節減することに関連する。なぜなら、有利に、減衰電力値Pおよび減衰無効成分値Qを計算する必要がないからである。
【0033】
減衰電力値Pおよび減衰無効成分値Qは、有利に、フィルター出力電流ifg,iおよびフィルター出力電圧における歪みすなわち望ましくない振動を積極的に減衰させるのを可能にし、それによって、この歪みは、大きく減少し、とりわけ、きわめて大きく抑制される。さらなる利点は、望ましくない歪みを効果的に減衰させるために、場所をとる複雑なしたがって高価な個別制動抵抗をそれぞれの位相接続に接続する必要がないことである。差分電力値Pdiffを生成するために少なくとも1つの補償高調波電力値Pを加算または接続すること、および、差分無効成分値Qdiffを生成するために少なくとも1つの補償高調波無効成分値Qを加算または接続することは、有利に、高調波を積極的に減少させ、それによって、結果的に、高調波を減少させるのをさらに改善する。
【0034】
図3に示されるように、制御装置15は、基準電力値PrefとLCLフィルターのフィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波電力値Pとの和から減衰電力値Pを減算することによって差分電力値Pdiffを生成するための第2の加算器13を有し、制御装置15は、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分を乗算した積と、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分を乗算した積との和を可変減衰係数kによって重み付けすることによって減衰電力値Pを生成するための第3の計算ユニット9を有する。さらにまた、制御装置15は、基準無効成分値QrefとLCLフィルターのフィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波無効成分値Qとの和の減算によって差分無効成分値Qdiffを生成するための第3の加算器14を有し、第3の計算ユニット9は、さらに、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分を乗算した積とLCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分に位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分を乗算した積との差を可変減衰係数kによって重み付けすることによって減衰無効成分値Qを生成するのに使用される。また、LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分、位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分、および、空間ベクトル変換のβ成分にLCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流iCfβを乗算した積だけから減衰電力値Pおよび減衰無効成分値Qを生成することも可能である。
【0035】
図3によれば、さらに、補償無効成分値Qcompが、差分無効成分値Qdiffを生成するために加算され、この補償無効成分値Qcompは、推定フィルターキャパシタンス無効成分値QCfを低域通過フィルタリングすることによって生成される。これは、有利に、LCLフィルターの出力において提供されるLCLフィルターの望ましくない無効成分とりわけLCLフィルターのフィルターキャパシタンスCf,iを無効にし、それによって、選択された基準無効成分値Qrefに対応する無効成分値だけがLCLフィルターの出力に提供されることを保証することができる。図3に示されるように、補償無効成分Qcompは、さらに、差分無効成分値Qdiffを生成するための第3の加算器に供給され、補償無効成分値Qcompは、推定フィルターキャパシタンス無効成分値QCfを低域通過フィルター12によって低域通過フィルタリングすることによって生成される。さらにまた、推定フィルターキャパシタンス無効成分値QCfは、次の式によって具体的に示されるように、フィルターキャパシタンス電流iCfαの空間ベクトル変換のα成分、フィルターキャパシタンス電流iCfβの空間ベクトル変換のβ成分、推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトルΨCf,αβ、および、フィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する基本周波数角度ωtから生成される。
【数9】

【0036】
推定フィルターキャパシタンス無効成分値QCfを生成するために、制御装置15は、図1に示されるように、第4の計算ユニット10を有し、その第4の計算ユニット10によって、推定フィルターキャパシタンス無効成分値QCfが、上の式を用いて計算される。
【0037】
推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトルΨCf,αβは、図3に示されるように、エネルギー蓄積回路2における瞬間DC電圧値uDC、制御信号S、位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分、および、位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分から生成される。したがって、第2の計算ユニット4は、さらに、エネルギー蓄積回路2における瞬間DC電圧値uDC、制御信号S、位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiαのα成分、および、位相接続電流ベクトルifi,iの成分の空間ベクトル変換ifiβのβ成分から推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトルΨCf,αβを生成するのに使用される。
【0038】
したがって、フィルターキャパシタンスフラックスベクトルΨCf,αβの空間ベクトル変換ΨCfαのα成分は、次の式を用いて生成される。
【数10】

【0039】
それに対応する形で、フィルターキャパシタンスフラックスベクトルΨCf,αβの空間ベクトル変換ΨCfβのβ成分は、次の式を用いて生成される。
【数11】

【0040】
図3に示されるように、これまでに説明した補償高調波電力値Pおよび補償高調波無効成分値Qは、それぞれ、フィルター出力電流ifgαの空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力電流ifgβの空間ベクトル変換のβ成分、フィルター出力フラックスΨLαの空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力フラックスΨLβの空間ベクトル変換のβ成分、および、フィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する基本周波数角度ωtから生成される。
【0041】
フィルター出力フラックスΨLαの空間ベクトル変換のα成分は、次の式に具体的に示されるように、推定フィルターキャパシタンスフラックスΨCfαの空間ベクトル変換のα成分およびフィルター出力電流ifgαの空間ベクトル変換のα成分から生成される。
【数12】

【0042】
さらにまた、フィルター出力フラックスΨLβの空間ベクトル変換のβ成分は、次の式に具体的に示されるように、推定フィルターキャパシタンスフラックスΨCfβの空間ベクトル変換のβ成分およびフィルター出力電流ifgβの空間ベクトル変換のβ成分から生成される。
【数13】

【0043】
フィルター出力フラックスΨLαの空間ベクトル変換のα成分およびフィルター出力フラックスΨLβの空間ベクトル変換のβ成分は、例えば、第2の計算ユニット4において計算されてもよく、あるいは、わかりやすいように図3には示されていないが、第5の計算ユニット11において計算されてもよい。
【0044】
制御装置15は、補償高調波電力値Pおよび補償高調波無効成分値Qを、いずれの場合にも、フィルター出力電流ifgαの空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力電流ifgβの空間ベクトル変換のβ成分、フィルター出力フラックスΨLαの空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力フラックスΨLβの空間ベクトル変換のβ成分、および、フィルター出力電流ベクトルifg,iの基本周波数に対する基本周波数角度ωtから生成するための第5の計算ユニット11を有する。フィルター出力電流ベクトルifg,iは、図3に示されるように、位相接続電流ベクトルifi,iおよびフィルターキャパシタンス電流ベクトルiCf,iからきわめて容易に計算される。基本周波数角度ωtは、図3に示されるように、第2の計算ユニット4から、すなわち、第2の計算ユニット4の位相同期ループ(または、略して、PLL)から計算ユニット9、10、および、11に提供される。図6は、第5の計算ユニット11の一実施形態を示す。図6に示されるように、第5の計算ユニット11において、フィルター出力電流ifgαの空間ベクトル変換のα成分およびフィルター出力電流ifgβの空間ベクトル変換のβ成分が、まず最初に、供給されるフィルター出力電流ベクトルifg,iの空間ベクトル変換によって生成される。この後に、フィルター出力電流ifgαの空間ベクトル変換のα成分およびフィルター出力電流ifgβの空間ベクトル変換のβ成分が、Park−Clarke変換され、あるいは、低域通過フィルタリングされ、フィルター出力電流ifg1、ifg2、ifg3の基本周波数に対するフィルター出力電流ihdおよびihqの少なくとも1つの望ましい選択された高調波のPark−Clarke変換のd成分およびq成分として送出される。添字hは、この変数および以下で説明される変数のh番目の高調波を表現し、ここで、h=1,2,3,...である。
【0045】
Park−Clarke変換は、一般的には、次のように定義される。
【数14】

【0046】
ここで、
【数15】

【0047】
は、複素変数であり、aは、変数
【数16】

【0048】
のPark−Clarke変換のd成分であり、aは、変数
【数17】

【0049】
のPark−Clarke変換のq成分である。有利なことに、Park−Clarke変換において、複素変数
【数18】

【0050】
の基本周波数が変換されるだけでなく、複素変数
【数19】

【0051】
において発生した高調波のすべてが変換される。図6に示されるように、フィルター出力電流ihdおよびihqの望ましい選択されたh番目の高調波のPark−Clarke変換のd成分およびq成分は、それぞれ、好ましくは、比例積分特性に基づいて、関連する予め定められた基準値ihdおよびihqにおいて調節され、そして、逆Park−Clarke変換され、その結果として、基準フィルター出力電流ihαのh番目の高調波の空間ベクトル変換のα成分および基準フィルター出力電流ihβのh番目の高調波の空間ベクトル変換のβ成分が、生成される。最後に、次の式に具体的に示されるように、補償高調波電力値Pおよび補償高調波無効成分Qが、それぞれ、基準フィルター出力電流ihαのh番目の高調波の空間ベクトル変換のα成分、基準フィルター出力電流ihβのh番目の高調波の空間ベクトル変換のβ成分、フィルター出力フラックスΨLαの空間ベクトル変換のα成分、および、フィルター出力フラックスΨLβの空間ベクトル変換のβ成分から計算される。
【数20】

【0052】
本発明による方法におけるすべてのステップは、ソフトウェアとして実施されてもよく、そして、そのソフトウェアは、とりわけディジタル信号プロセッサーを備えたコンピュータシステム上にロードされ、実行される。とりわけ計算のためにそのようなシステムにおいて発生するディジタル遅延時間が、例えば、Park−Clarke変換においてさらなる項を基本周波数ωtに加算することによって一般的な形で考慮されてもよい。さらにまた、これまでに詳細に説明した本発明による装置は、コンピュータシステム、とりわけ、ディジタル信号プロセッサーにおいて実施されてもよい。
【0053】
全体的に見れば、コンバータ回路を動作させるための本発明による方法を実行するための本発明による装置、とりわけ、図2および図3に示されるような装置は、きわめて簡単な形でかつ高い費用効率で実施することができ、かつ、それを構成するためにはほんのわずかな数の部品しか必要としないことがわかる。したがって、本発明による方法は、この装置によって、とりわけ簡単に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来技術によるコンバータ回路を動作させるための方法を実行するための装置の一実施形態を示す図である。
【図2】コンバータ回路を動作させるための本発明による方法を実行するための本発明による装置の第1の実施形態を示す図である。
【図3】コンバータ回路を動作させるための本発明による方法を実行するための本発明による装置の第2の実施形態を示す図である。
【図4】従来技術によるコンバータ回路を動作させるための方法による1つの位相における位相接続電流の時間プロフィールを示す図である。
【図5】本発明による方法を用いた1つの位相における位相接続電流の時間プロフィールを示す図である。
【図6】第5の計算ユニットの一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 コンバータユニット
2 エネルギー蓄積回路
3 制御回路
4 第2の計算ユニット
5 第1の計算ユニット
6 ヒステリシスレギュレータ
7 平均器
8 積分器
9 第3の計算ユニット
10 第4の計算ユニット
11 第5の計算ユニット
12 低域通過フィルター
13 第2の加算器
14 第3の加算器
15 制御装置
16 第1の加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータ回路が、複数の制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニット(1)を有し、かつ、2つの直列に接続されたコンデンサによって構成されたエネルギー蓄積回路(2)を有し、前記制御可能なパワー半導体スイッチが、ヒステリシス信号ベクトル(x)から生成された制御信号(S)によって制御され、前記ヒステリシス信号ベクトル(x)が、ヒステリシスレギュレータ(6)によって差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)から生成され、前記差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)が、基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)から位相接続電流ベクトル(ifi,i)を減算することによって生成され、前記基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)が、差分電力値(Pdiff)、差分無効成分値(Qdiff)、および、位相フラックスベクトル(Ψg,αβ)から生成される、コンバータ回路を動作させるための方法であって、
電流補正値(i)が、前記差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)を生成するためにさらに減算されることと、
前記電流補正値(i)が、位相接続電圧平均値(uinv,A)を積分することによって生成されることと、
前記位相接続電圧平均値(uinv,A)が、前記エネルギー蓄積回路(2)における前記コンデンサの接続点(M)からなる基準点に対する位相接続電圧(uinv,iM)の算術平均値を決定することによって生成されることと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記位相フラックスベクトル(Ψg,αβ)が、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)、前記制御信号(S)、および、前記エネルギー蓄積回路(2)の瞬間DC電圧値(uDC)から生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
LCLフィルター(Lf,i、Cfi、Lfg,i)が、前記コンバータユニット(1)のそれぞれの位相接続に接続されることと、
前記差分電力値(Pdiff)が、基準電力値(Pref)と前記LCLフィルターのフィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波電力値(P)との和から減衰電力値(P)を減算することによって生成され、前記減衰電力値(P)が、前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分を乗算した積と前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分を乗算した積との和を可変減衰係数(k)によって重み付けすることによって生成されることと、
前記差分無効成分値(Qdiff)が、基準無効成分値(Qref)と前記LCLフィルターの前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波無効成分値(Q)との和の減算によって生成され、減衰無効成分値(Q)が、前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分を乗算した積と前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分を乗算した積との差を前記可変減衰係数(k)によって重み付けすることによって生成されることと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記差分無効成分値(Qdiff)を生成するために、補償無効成分値(Qcomp)が、さらに加算され、前記補償無効成分値(Qcomp)が、推定フィルターキャパシタンス無効成分値(QCf)を低域通過フィルタリングすることによって生成されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記推定フィルターキャパシタンス無効成分値(QCf)が、前記フィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分、前記フィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分、推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトル(ΨCf,αβ)、および、前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する基本周波数角度(ωt)から生成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトル(ΨCf,αβ)が、前記エネルギー蓄積回路(2)の前記瞬間DC電圧値(uDC)、前記制御信号(S)、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分、および、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分から生成されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記補償高調波電力値(P)および前記補償高調波無効成分値(Q)が、それぞれ、フィルター出力電流(ifgα)の空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力電流(ifgβ)の空間ベクトル変換のβ成分、フィルター出力フラックス(ΨLα)の空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力フラックス(ΨLβ)の空間ベクトル変換のβ成分、および、前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する前記基本周波数角度(ωt)から生成されることを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記差分電力値(Pdiff)が、予め定めることのできる前記基準電力値(Pref)に対応することと、
前記差分無効成分値(Qdiff)が、予め定めることのできる前記基準無効成分値(Qref)に対応することと、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンバータ回路が、複数の制御可能なパワー半導体スイッチを備えたコンバータユニット(1)を有し、かつ、2つの直列に接続されたコンデンサによって構成されたエネルギー蓄積回路(2)を有し、
制御装置(15)を有し、前記制御装置(15)が、ヒステリシス信号ベクトル(x)を提供するのに使用され、かつ、制御信号(S)を生成するための制御回路(3)を介して前記制御可能なパワー半導体スイッチに接続され、前記制御装置(15)が、差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)から前記ヒステリシス信号ベクトル(x)を生成するためのヒステリシスレギュレータ(6)と、基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)から位相接続電流ベクトル(ifi,i)を減算することによって前記差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)を生成するための第1の加算器(16)と、差分電力値(Pdiff)、差分無効成分値(Qdiff)、および、位相フラックスベクトル(Ψg,αβ)から前記基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)を生成するための第1の計算ユニット(5)とを有する、
前記コンバータ回路を動作させるための方法を実行するための装置であって、
前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)および電流補正値(i)を前記基準位相接続電流ベクトル(ifi,i,ref)から減算することによって前記差分位相接続電流ベクトル(Δifi,i)を生成するために、前記電流補正値(i)が、前記第1の加算器(16)にさらに供給されることと、
前記制御装置(15)が、
位相接続電圧平均値(uinv,A)を積分することによって前記電流補正値(i)を生成するための積分器(8)と、
前記エネルギー蓄積回路(2)における前記コンデンサの接続点(M)からなる基準点に対する位相接続電圧(uinv,iM)の算術平均値を決定することによって前記位相接続電圧平均値(uinv,A)を生成するための平均器(7)と、
を備えたことと、
を特徴とする装置。
【請求項10】
前記制御装置(15)が、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)、前記制御信号(S)、および、前記エネルギー蓄積回路(2)の瞬間DC電圧値(uDC)から前記位相フラックスベクトル(Ψg,αβ)を生成するための第2の計算ユニット(4)を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
LCLフィルター(Lf,i、Cfi、Lfg,i)が、前記コンバータユニット(1)のそれぞれの位相接続に接続されることと、
前記制御装置(15)が、基準電力値(Pref)と前記LCLフィルターのフィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波電力値(P)との和から減衰電力値(P)を減算することによって前記差分電力値(Pdiff)を生成するための第2の加算器(13)を有し、前記制御装置(15)が、前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分を乗算した積と前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分を乗算した積との和を可変減衰係数(k)によって重み付けすることによって前記減衰電力値(P)を生成するための第3の計算ユニット(9)を有することと、
前記制御装置(15)が、基準無効成分値(Qref)と前記LCLフィルターの前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する少なくとも1つの補償高調波無効成分値(Q)との和の減算によって前記差分無効成分値(Qdiff)を生成するための第3の計算ユニット(14)を有し、前記第3の計算ユニット(9)が、さらに、前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分を乗算した積と前記LCLフィルターのフィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分に前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分を乗算した積との差を前記可変減衰係数(k)によって重み付けすることによって減衰無効成分値(Q)を生成するのに使用されることと、
を特徴とする請求項9または請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記差分無効成分値(Qdiff)を生成するために、前記第3の領域が、さらに、補償無効成分値(Qcomp)を供給され、前記補償無効成分値(Qcomp)が、低域通過フィルター(12)によって推定フィルターキャパシタンス無効成分値(QCf)を低域通過フィルタリングすることによって生成されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御装置(15)が、前記フィルターキャパシタンス電流(iCfα)の空間ベクトル変換のα成分、前記フィルターキャパシタンス電流(iCfβ)の空間ベクトル変換のβ成分、推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトル(ΨCf,αβ)、および、前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する基本周波数角度(ωt)から前記推定フィルターキャパシタンス無効成分値(QCf)を生成するための第4の計算ユニット(10)を有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の計算ユニット(4)が、さらに、前記エネルギー蓄積回路(2)の前記瞬間DC電圧値(uDC)、前記制御信号(S)、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiα)のα成分、および、前記位相接続電流ベクトル(ifi,i)の成分の空間ベクトル変換(ifiβ)のβ成分から前記推定フィルターキャパシタンスフラックスベクトル(ΨCf,αβ)を生成するのに使用されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記制御装置(15)が、フィルター出力電流(ifgα)の空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力電流(ifgβ)の空間ベクトル変換のβ成分、フィルター出力フラックス(ΨLα)の空間ベクトル変換のα成分、フィルター出力フラックス(ΨLβ)の空間ベクトル変換のβ成分、および、前記フィルター出力電流ベクトル(ifg,i)の前記基本周波数に対する前記基本周波数角度(ωt)から前記補償高調波電力値(P)および前記補償高調波無効成分値(Q)をそれぞれ生成するための第5の計算ユニット(11)を有することを特徴とする請求項11から請求項14までのいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記差分電力値(Pdiff)が、予め定めることのできる前記基準電力値(Pref)に対応することと、
前記差分無効成分値(Qdiff)が、予め定めることのできる前記基準無効成分値(Qref)に対応することと、
を特徴とする請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−516994(P2009−516994A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541565(P2008−541565)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000648
【国際公開番号】WO2007/056886
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(505056845)アーベーベー・シュバイツ・アーゲー (34)
【Fターム(参考)】